JP3765556B2 - ２種燃料用バーナ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明が属する技術分野】
この発明は、２種類の燃料を混合して燃焼させるための２種燃料用バーナに関する。
【０００２】
【従来の技術】
この種の２種燃料用バーナとして例えば特開昭５０−５８６３８号公報あるいは特開平８−４９８１４号公報に開示された発明が知られている。前者は、燃焼油とエマルジョン化された燃焼油とをそれぞれ中心管とその外側に配された同心管を通して混合室で混合し、さらにこの混合された燃料に前記同心管のさらに外周に設けられた同心管から圧縮空気または圧力蒸気を前記混合室から燃料が供給される室内に噴出させ、着火した燃焼炎をノズル開口から噴き出させていた。
【０００３】
この公報には中心管を燃焼油の供給管路とし、中心管の外周に配置した同心管をエマルジョンの供給管路とするとともに、同心管よりの小径の混合室に燃焼油とエマルジョンを噴出させて混合し、前記供給管路の長手方向の軸に対して傾斜したノズル開口から燃焼炉内に噴霧するように構成した例が開示されている。また、前記例の同心管のさらに外周に噴霧媒体として圧縮空気や圧力上記を供給する同心管を配置し、混合室のさらに燃料供給方向下流側に設けた室内に圧出したエマルジョン燃料を最外周の同心管からの圧縮空気または圧力蒸気によってノズル開口から噴出させるようにした例が開示されている。
【０００４】
一方、後者は、３重の同心管のうち、最内周の同心管を噴霧媒体通路に、その外周の同心管を例えば補助燃料通路に、最外周の同心管を燃料通路に設定し、燃料と補助燃料を第１の燃料噴出孔で混合して噴出させ、さらに混合して燃料を第２の燃料噴出孔で噴霧媒体と混合して混合体として噴霧され、着火した燃焼炎として噴き出させている。この場合、第１の燃料噴出口は燃料と補助燃料との混合空間としても機能し、第２の燃料噴出孔は燃料と噴霧媒体の混合空間としても機能している。
【０００５】
その他、関連する技術としては実公平１−２５８７７号公報記載の発明も知られている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
エマルジョン化された燃料とは、燃焼油と水とを混合乳化したものであって、エマルジョン化された燃焼油を使用することは、前記特開昭５０−５８６３８号公報に開示されているように石油系燃料を使用する場合に、排ガス中の煤煙、硫黄酸化物、あるいは窒素酸化物を減少させることから、好ましいことである。しかし、このように２種の燃焼油を混合して燃焼させる場合、一方がエマルジョン化された燃料であると、着火が不安定であったり、あるいは２種の燃焼油のうちエマルジョン化されていない燃焼油で着火させた後にエマルジョン化された燃焼油に切り替える際に消化してしまうこともある。そこで、両者の混合の状態や両者の混合率が重要になる。
【０００７】
また、このように一方の燃料が燃焼油であり他方の燃料がエマルジョン化されたものであると、両者の性状が異なるので、両者を混合すると燃料性状が変化し、安定した燃焼、言い換えれば所望の制御に沿った燃焼を行なわせることが難しかった。
【０００８】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、エマルジョン化された燃料と他の燃焼油とをできるだけ均一に混合して安定した燃焼が可能な２種燃料用バーナを提供することにある。また、他の目的は、エマルジョン化された燃料と他の燃焼油との混合率を任意に設定し、安定した燃焼を行なわせることが可能な２種燃料用バーナを提供することにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、第１の手段は、性状の異なる２種類の燃料をバーナチップ側に導く第１および第２の２つの燃料経路と、噴霧媒体をバーナチップに導く噴霧媒体経路とを有し、三者を混合して噴霧状に噴出させて噴霧燃焼させる２種燃料用バーナにおいて、前記燃料経路の最下流に位置し、経路に沿って供給される燃料を混合する混合室と、前記第１および第２の燃料経路に配置され、供給される燃料に対して旋回成分を与える手段とを備え、前記旋回成分を与える手段によって旋回流を形成して前記混合室に導き、２種の燃料を混合するように構成した。なお、旋回成分を与える手段としては、例えばベーンが使用される。
【００１０】
また、第２の手段は、同様の前提の２種燃料用バーナにおいて、前記燃料経路の最下流に位置し、経路に沿って供給される燃料を混合する混合室と、前記第１および第２の燃料経路の最下流に配置され、供給される燃料を攪拌する手段とを備え、前記攪拌する手段によって攪拌された燃料を混合室に導き、２種の燃料を混合するように構成した。なお、攪拌する手段としては、例えばフィンが使用される。このフィンは、第１および第２の燃料経路の最下流の混合室に続く部位の隔壁の先端に設けられ、燃料の流れを阻害するような形状であれば、攪拌機能を有する。
【００１１】
さらに、第３の手段は、同様の前提の２種燃料用バーナにおいて、前記燃料経路の最下流に位置し、経路に沿って供給される燃料を混合する混合室を備え、この混合室の断面積を前記第１および第２の燃料経路の断面積よりも小さくするとともに、前記第１および第２の燃料経路から前記混合室に燃料を供給する接続経路を前記燃料経路の長手方向に対して傾斜した面に形成し、この傾斜面に沿って第１および第２の燃料を前記混合室に導くように構成した。
【００１２】
これらの場合、前記燃料経路に異種の各燃料の供給量を制御する制御手段、制御弁を設けておくことにより、着火や燃焼の状態に応じて燃料供給量を独立に制御することができる。
【００１３】
なお、この種バーナでは、前記第１および第２の手段を組み合わせることがより好ましい。すなわち、上記組み合わせにより、ベーンによって各供給路を介して送られる燃料に旋回成分を付与し、旋回成分を持った状態で混合フィンを通過させることができる。これによって２種の燃料が攪拌された状態で混合室に燃料が送り込まれるので、混合室における混合効率が上昇し、２つの燃料がより均一に混合される。その結果、さらに下流側における噴霧媒体との混合もより均一化されることになる。
【００１４】
また、第３の手段を前記第１または第２の手段、あるいは第１および第２の手段と組み合わせると、旋回もしくは攪拌された燃料が前記傾斜面に沿って攪拌室に導かれるので、よりスムーズに第１および第２の燃料の攪拌と混合が可能になるとともに、傾斜面によって導かれる混合室の断面積を調整することにより、混合室内の圧力を所望の圧力に設定することもできる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【００１６】
図１は本発明の実施形態に係るバーナの構造を示す断面図である。同図に示すように本実施形態に係るバーナ１１は、中心部に噴霧媒体を供給する噴霧媒体経路５が設けられ、この噴霧媒体経路５の外周部に同心円状に２つの経路、すなわち、液体燃料供給経路２とエマルジョン化燃料供給経路１とが後者をより外周側に位置させて設けられている。これらの各経路５，２，１はそれぞれ円筒状の隔壁５ａ，２ａによって区切られている。経路２および１の隔壁２ａのバーナチップ８側の端部には混合フィン６が設けられ、両供給経路２，１から供給される液体燃料とエマルジョン化燃料とを混合して混合室７に導く。また、液体燃料供給経路２とエマルジョン化燃料供給経路１の前記混合フィン６設置部の上流側にはそれぞれベーン４，３が設けられ、混合フィン６に入る前の各燃料に旋回をかけ、すなわち、円周方向の速度成分を付与し、旋回流として混合フィン６に流入させ、衝突させる。混合フィン６が設けられている部分の混合室７との接続部分は傾斜面７ａに形成されているので、２種の燃料は絞られて混合室７内に流入する。そして、バーナチップ８内の燃料噴出経路８ａ内で噴霧媒体経路５から導かれた噴霧媒体と混合され、燃料噴出口８ｂから噴出し、噴霧状に混合された混合燃料として噴霧燃焼する。
【００１７】
混合室７は、最上流側が傾斜面７ａに形成されて絞られ、断面積が前記液体燃料供給経路２およびエマルジョン化燃料供給経路１のそれぞれの断面積を加算した断面積よりも小さくなっているので、圧力が変化する。したがって、混合室７の断面積と前記各供給経路１，２との断面積の比を設定することによって混合室７の圧力を所望の圧力に設定することができる。
【００１８】
燃料供給路としては、図２に示すようにエマルジョン化された燃料を貯蔵するエマルジョン化燃料タンク９と液体燃料を貯蔵する液体燃料タンク１０とを設け、バーナ１１の前記エマルジョン化燃料供給経路１と液体燃料供給経路２にそれぞれエマルジョン化燃料と液体燃料を供給する。その際、バーナ１１の直前に制御弁を１２，１３を設け、燃料供給量の制御が行えるようにする。これにより制御弁１２，１３を介して燃料供給量を制御し、両者の混合率を任意に設定することができ、また、バーナ単体で混焼率を変化させることが可能になる。なお、図２において、符号１４は噴霧媒体の供給路を示す。
【００１９】
このように構成すると、各燃料供給経路１，２に設けたベーン３，４によってエマルジョン化燃料と液体燃料のそれぞれに旋回成分を与え、旋回流となったそれぞれの燃料をさらに混合フィン６に導いて両者がより均一になるようにして混合室７で混合させる。これによって安定した噴霧燃焼が可能になる。また、エマルジョン化燃料においても十分に制御に可能な混焼運転が行なえ、混焼運転の制約を受けることがなくなる。
【００２０】
さらに、水によるエマルジョン化燃料の場合、水の蒸発するエネルギにより燃料の粒子を細分化させる現象が起き、重油など通常の液体燃料に比べて未燃カーボンの発生率が低くなるので、本実施形態における混焼においても未燃カーボンの発生が抑制される。
【００２１】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、旋回成分を付与する手段（ベーン）によって旋回流を形成して混合室に導き、２種の燃料を混合するので、燃料をより均一に混合することができる。
【００２２】
また、本発明によれば、前記攪拌する手段（混合フィン）によって燃料を攪拌させて混合室に導き、２種の燃料を混合するので、燃料をより均一に分布させて混合することができる。
【００２３】
また、本発明によれば、混合室の最上流側に傾斜面を形成したので、２種の燃料が前記傾斜面に沿って攪拌室に導かれ、よりスムーズに第１および第２の燃料の混合が可能になるとともに、断面積の縮小によって混合室内の圧力の調整が可能になる。その際、前記旋回成分を付与する手段や攪拌する手段と併用すると、２種の燃料の混合がより効率的、かつ均一に行われる。
【００２４】
さらに、各燃料供給路から供給される燃料の供給量を独立に制御できるので、着火や燃焼の状態、あるいは燃料の性状や性質に応じて混合率を自由に設定することができ、前記均一な混合状態とも相俟って効率のより燃焼状態に導くことができ、公害源物質の発生を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施形態に係る２種燃料用バーナの概略構成を示す縦断面図である。
【図２】本発明の実施形態に係る２種燃料用バーナの燃料供給のシステム構成を示す説明図である。
【符号の説明】
１ エマルジョン化燃料供給経路
２ 液体燃料供給経路
２ａ 隔壁
３，４ ベーン
５ 噴霧媒体経路
５ａ 隔壁
６ 混合フィン
７ 混合室
７ａ 傾斜面
８ バーナチップ
８ａ 燃料噴出経路
８ｂ 燃料噴出口
１１ バーナ
１２，１３ 制御弁
１４ 噴霧媒体の供給路

Claims (6)

1. 性状の異なる２種類の燃料をバーナチップ側に第１および第２の２つの燃料経路と噴霧媒体をバーナチップに導く噴霧媒体経路とが同心円状に設けられ、前記各経路から供給された燃料および媒体を混合して噴霧状に噴出させて噴霧燃焼させる２種燃料用バーナにおいて、
   前記燃料経路の最下流に位置し、経路に沿って供給される燃料を混合する混合室と、
   前記第１および第２の燃料経路に配置され、供給される燃料に対して旋回成分を与える手段と、
   を備え、前記手段によって旋回流を形成して前記混合室に導き、２種の燃料を混合することを特徴とする２種燃料用バーナ。
2. 前記旋回成分を与える手段がベーンからなることを特徴とする請求項１記載の２種燃料用バーナ。
3. 性状の異なる２種類の燃料をバーナチップ側に導く第１および第２の２つの燃料経路と噴霧媒体をバーナチップに導く噴霧媒体経路とが同心円状に設けられ、前記各経路から供給された燃料および媒体を混合して噴霧状に噴出させて噴霧燃焼させる２種燃料用バーナにおいて、
   前記燃料経路の最下流に位置し、経路に沿って供給される燃料を混合する混合室と、
   前記第１および第２の燃料経路の最下流に配置され、供給される燃料を攪拌する手段と、
   を備え、前記攪拌する手段によって攪拌して混合室に導き、２種の燃料を混合することを特徴とする２種燃料用バーナ。
4. 前記攪拌する手段が第１の燃料経路と第２の燃料経路との隔壁の先端に設けられたフィンからなることを特徴とする請求項３記載の２種燃料用バーナ。
5. 性状の異なる２種類の燃料をバーナチップ側に導く第１および第２の２つの燃料経路と噴霧媒体をバーナチップに導く噴霧媒体経路とが同心円状に設けられ、前記各経路から供給された燃料および媒体を混合して噴霧状に噴出させて噴霧燃焼させる２種燃料用バーナにおいて、
   前記燃料経路の最下流に位置し、経路に沿って供給される燃料を混合する混合室を備え、
   この混合室の断面積を前記第１および第２の燃料経路の断面積よりも小さくするとともに、前記第１および第２の燃料経路から前記混合室に燃料を供給する接続経路を前記燃料経路の長手方向に対して傾斜した面に形成し、この傾斜面に沿って第１および第２の燃料を前記混合室に導くことを特徴とする２種燃料用バーナ。
6. 前記燃料経路に異種の各燃料の供給量を制御する制御手段を備えていることを特徴とする請求項１、３および５のいずれか１項に記載の２種燃料用バーナ。

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