JP3765196B2 - 高誘電体を使用した誘電体基板及びそれを用いたアンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体通信や無線通信機器等の移動端末用のプレートアンテナに用いられる誘電体基板及びそれを用いたアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、移動体端末等の小型化に伴ない、端末に用いられるアンテナのサイズが小形化されている。この種のアンテナの一つに複数の導体板で誘電体材料(以下「誘電体」という)を挟み込んだ誘電体基板を使用するプレートアンテナがある。このプレートアンテナは、誘電率の高い誘電体(以下「高誘電体」という)を用いた基板を使用することで小型化できることが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プレートアンテナのように高誘電体を用いたアンテナでは、誘電率の低い誘電体(以下「低誘電体」という)に比べ、高誘電体特有の励振電力に対する非線形性が顕著に表れる傾向がある。このため、給電点より励振した電力は、誘電体基板(高誘電体)内で、伝達に伴う電力の強度分布に従う局所的な誘電率上昇によって特定の領域に集中され、低誘電体で構成したものよりも電力分布の制御が困難となる。このため、放射面や電力を放出するスロットなどに電力を効率よく分配することができないという問題がある。
【0004】
そこで、高誘電体内での励振電力の伝達に伴う非線形性を制御、利用し、かつスロットの位置に電力を分配する構造を用いて、特定領域への電力の集中を制御する必要がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、プレートアンテナを小型化することができ、放射面や電力を放射するスロットへ効率よく電力を分配できる高誘電体を使用した誘電体基板及びそれを用いたアンテナを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の高誘電体を使用した誘電体基板は、プレートアンテナに用いられる誘電体基板において、給電点から放射面へ向かって伝達する電力の強度分布を拡散させる空気層あるいは低誘電体層と、その空気層あるいは低誘電体層からの電力を放射面まで伝達する高誘電体層とが電力の伝達される方向に積層され、上記空気層あるいは低誘電体層と上記空気層あるいは低誘電体層よりも誘電率が高く上記高誘電体層よりも誘電率が低い他の低誘電体の領域とを電力分布が広がっていく方向に交互に並べて誘電体空気層とし、電波を放出するスロットを形成した導体プレートを上記高誘電体層に上記電力の伝達される方向へ接して設けたものである。
【0010】
上記構成に加え本発明の高誘電体を使用した誘電体基板は、上記空気層あるいは低誘電体層の内部に設けた給電点より励振した電力が上記高誘電体層に励振されるとき、その電力が上記高誘電体層において特定された領域に集中されながら伝達される電力強度分布となるよう、上記空気層あるいは低誘電体層の幅と上記低誘電体の領域の幅とを決定してもよい。
【0011】
上記構成に加え本発明の高誘電体を使用した誘電体基板は、上記特定された領域が放射面となる導体プレートに形成されたスロットに臨む領域であってもよい。
【0014】
また、本発明のアンテナは、給電点を有する空気層あるいは低誘電体層とこの空気層あるいは低誘電体層よりも誘電率が高い他の低誘電体の領域とを電力分布が広がっていく方向に交互に並べた誘電体空気層と、該誘電体空気層に積層され上記低誘電体の領域よりも誘電率が高く上記誘電体空気層からの電力を放射面まで伝達する高誘電体層と、その高誘電体層に上記電力の伝達される方向へ接して設けた放射面となる導体プレートと、その導体プレートに形成された電波を放出するスロットとを備えたものである。
【0016】
ここで、高誘電体内に設けられた給電点より電力が励振されると、高誘電体内を伝達する電力の強度分布により、数1式及び数2式で表わされるような誘電率変化による非線形性が生じる。
【0017】
【数1】
ε(x,y,|E(x,y)|)=ε2 +ε0 α|E(x,y)|2
【0018】
【数2】
α=ε2 cε2I
但し、ε2 :高誘電体の線形誘電率[F/m]
ε2I:高誘電体の電力(電界強度)に対する非線形率[m2 /W]
α:非線形係数[m2 /V2 ]
c:光速(=3×108 [m/s])
ε0 :真空の誘電率(=8.854×10-12 [F/m])
E:局所の電界強度[V/m]
数1式は、高誘電体に励振された電力と、高誘電体特有の非線形係数αにより、局所的に誘電率が上昇する非線形性(カー効果)を示している。このカー効果により、高誘電体に励振される電力の強度が、高誘電体内で大きい部分ほど非線形性が顕著に表れることとなる。
【0019】
図3は高誘電体内を伝達する電力の遷移状態と非線形性との関係を示す図であり、横軸がy軸を示し、縦軸がx軸を示す。
【0020】
図4(a)はスポットサイズと電界との関係を示す図であり、横軸がy軸を示し、縦軸が電界強度の2乗を示す。図4(b)は電力が高誘電体内を伝達するのに伴う誘電率変化(非線形性)を示す図であり、横軸がx軸を示し、縦軸が誘電率及びスポットサイズを示す。
【0021】
図3において、給電点1より入射された電力が高誘電体内を伝達する際の効果、すなわち数1式で表わされる非線形性の電力分布の変化が表わされている。同図のxは電力の伝達方向(誘電体の厚さ方向で放射面に垂直)、yは誘電体の幅方向(放射面に平行)をそれぞれ示し、|E|は電力の強度を表わしている。さらにnΔxは、電力の伝達距離を示し、nが大きいほど電力は伝達され、給電点1から遠ざかっていることを示す。また、同図はy=0、y=Δyの位置で観測して電力の伝達に伴う局所的な誘電率変化と電力分布のスポットサイズwの変化を表わしている。このスポットサイズwは電力の集中度を示すものであり、電力の強度分布はGauss分布に相似していることから図4(a)、(b)に示すように定義できる。この定義によりスポットサイズwの大きさが小さいほど電力が局所的に集中していることとなる。
【0022】
図3より、給電点1より励振された電力2が高誘電体内をx方向へ伝達するのに伴い、伝達する電力の強度分布21が最も大きいy=0の付近で誘電率εが上昇している。これにより、結果的にそのy=0の付近でほとんどの電力が集中してしまう現象が生じていることがわかる。
【0023】
これに対して伝達する電力の強度分布21が小さいy=Δyの付近では誘電率εの変化は認められない。この高誘電体内におけるこの現象(非線形性)は、励振される電力の強度分布2が大きく、かつ指数関数的に急激な変化をするところではその特性が顕著に表れ、逆の場合ではその特性が表れないことが知られている。このため、高誘電体内に電力を励振すると、高誘電体の誘電率分布の均一性が保持できなくなり、電力は局所に集中することになる。
【0024】
したがって、この現象により高誘電体内に給電点1を設けると、励振した電力は拡散されずに、図3に示すように高誘電体内の特定の領域に集中することになる。
【0025】
そこで、このような現象を回避するには、高誘電体に励振する電力の強度分布2を予め拡散させておく必要があり、また、この現象を利用してスロットの位置に電力を集中させるには、高誘電体に励振する電力の強度分布2を予め目的とする分布に変化させておく必要がある。
【0026】
このため、本発明者は非線形性が生じにくい空気内あるいは低誘電体内に給電点を設け、この空気層あるいは低誘電体層で電力の強度分布を抑制した後、高誘電体に電力を励振する構造を提案し、さらにこの空気層あるいは低誘電体層に加えて低誘電体の領域をもたせて構成した誘電体基板内の層(誘電体空気層)を導入し、この誘電体空気層で電力の強度分布を制御した後、高誘電体に電力を励振する構造を提案する。
【0027】
ここで、単一の空気層内や低誘電体層内を伝達する電力の強度分布の遷移状態は図5に示すようになる。この現象を電力のスポットサイズwを用いて、フレネル−キルヒホッフの回折公式に従い、図6に示した模式図を用いると、数3式のように表わされることが知られている。なお、図5は単一の空気層あるいは低誘電体層を伝達する電力の遷移状態を示す図であり、横軸はy軸を示し、縦軸はx軸を示す。図6はスポットサイズを用いたフレネル−キルヒホッフの回折公式の模式図であり、横軸はx軸を示し、縦軸はy軸を示す。
【0028】
【数3】
【0029】
但し、ω0 :励振電力のスポットサイズ
k :波数(ω=√(ε0 μ0 )√(ε/ε0 ))
ε0 :真空の誘電率(=8.854×10-12 [F/m])
μ0 :真空の透磁率(=4π×10-7[H/m])
ε :誘電体の線形誘電率[F/m]
ω :各周波数(=2πf)[rad/sec]
f :励振周波数[Hz(=1/sec)]
数3式により、空気内や低誘電体内に励振された電力は、その伝達に伴いスポットサイズが大きくなる。これにより伝達される電力は、伝達に伴いその分布がより緩やかなものになる。
【0030】
したがって、図5に示すように強度分布21がy方向に十分に拡散することになる。この場合、図7に示すように電力分布が広がっていくy方向に給電点1が設けられた空気あるいは低誘電体よりも高く、さらに高誘電体よりも低い誘電率を有する他の低誘電体の領域を設けることにより、低誘電体の領域に拡散された電力を再度集中させることができる(以下、空気層あるいは低誘電体層と低誘電体の領域とを組み合わせた層を「誘電体空気層」という。)。このような構造を用いることにより、高誘電体層に励振する電力の分布を制御することができる。なお、図7は図1に示した誘電体基板の誘電体空気層と強度分布の遷移状態との関係を示す図である。
【0031】
図7に示すような強度分布を有する電力を高誘電体に励振し、高誘電体固有の非線形性を利用することにより、電力を各スロットへと集中させる。
【0032】
なお、プレートアンテナの放射面に垂直な方向(x方向)で、図7に示すような給電点を内部に設けた空気あるいは低誘電体と目的に合わせて他の低誘電体を配置した本発明における誘電体空気層と、スロットを設けた放射面となる導体プレートと隣接した高誘電体層とを積層する。このとき、誘電体空気層の厚さ(x方向)は、目的とする電力分布を形成し得るものとする必要がある。但し、この厚さは、電力分布をy方向により均一にする場合に比べ、薄いものにすることができる。
【0033】
以上において本発明によれば、給電点から励振された電力は、誘電体空気層で目的とする電力分布に形成された後、高誘電体層に励振される。電力の高誘電体層内の伝達に伴い、高誘電体固有の非線形性と形成された電力分布に従い、その電力の集中度を高め、放射口となるスロットへ伝達することができるアンテナが得られる。この結果、アンテナの放射効率が向上する。
【0034】
また、本発明によれば、高誘電体内に電力を励振すると、高誘電体の誘電率分布の均一性が保持できなくなり、電力が局所に集中する現象を回避するものである。このような現象を回避するには、高誘電体に励振する電力の強度分布2を予めy方向に拡散させ緩やかな分布にしておく必要がある。
【0035】
このため、本発明者は、非線形性が生じにくい空気内もしくは低誘電体内に給電点を設け、電力をこの空気層や低誘電体層内で伝達させた後、最終的に得られる強度分布で高誘電体に電力を励振することを提案する。
【0036】
なお、空気層や低誘電体層内を伝達する電力の強度分布の遷移状態は図5のようになる。この現象によるスポットサイズの変化は、フレネル−キルヒホッフの回折公式に従い、図6のようになる。この現象によるスポットサイズの変化を示す模式図を用いると前述した数3式で表わされることが知られている。
【0037】
数3式により低誘電体層に励振された電力は、その伝達に伴いスポットサイズが大きくなる。これにより伝達される電力は、伝達に伴いその分布がより緩やかなものになる。よって図5に示すように強度分布21がy方向に十分に拡散することになる。これによって得られた十分に緩やかな変化をした分布を有する電力21を高誘電体に励振すれば、非線形性によるある領域での電力集中を回避することができる。
【0038】
このため、プレートアンテナの放射面に垂直な方向(x方向)で、給電点を内部に設けた空気層もしくは低誘電体層と、放射面となる導体プレートと隣接した高誘電体層とを積層する必要がある。このとき、空気層もしくは低誘電体層の厚さ(x方向)は数3式に従い、励振した電力の強度分布を十分に拡散し得るものとする必要がある。
【0039】
このような構造により、給電点から励振された電力は、空気層もしくは低誘電体層内を伝達して十分に拡散された後、高誘電体層に励振される。電力の高誘電体層内の伝達に伴い、若干の非線形性は生じるものの、緩やかに変化する電力の強度分布により、特定される領域での電力集中を回避できる。さらに、高誘電体層に励振する電力の強度分布をより平坦にすれば、非線形性は高誘電体内でも十分に抑制できる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0041】
図1(a)は本発明の高誘電体を使用した誘電体基板を用いたプレートアンテナの一実施の形態を示す外観斜視図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図であり、図1(c)は図1(a)のB−B線断面図である。
【0042】
誘電体基板(以下「基板」という)5は、高誘電体層(線形誘電体率:ε2 )7と、線形誘電率がεair の空気の領域(以下「空気層」という)61及び線形誘電率がε1 の低誘電体の領域62を組み合わせた誘電体空気層とで構成されている。このとき、各層7、61、62の線形誘電率ε2 、ε1 、εair の関係は数4式で表わされる。
【0043】
【数4】
ε2 >ε1 >εair
但し、ε2 :高誘電体の線形誘電率[F/m]
ε1 :低誘電体の線形誘電率[F/m]
εair :空気の線形誘電率[F/m]
給電点1は誘電体空気層内にある空気層61の内側に設けられており、給電された電力はこの空気層61で拡散された後、隣接する低誘電体の領域62の広さに従い集中される。この低誘電体の領域62で強度分布が制御された電力は、高誘電体層7に励振される。これは、高誘電体層7へ励振する電力の強度分布を低誘電体の領域62によって任意に操作するためである。
【0044】
なお、誘電体空気層は給電点1より励振した電力の強度分布が目的とするものにし得る厚さt1 を有しており、さらに、幅W11、W12、W21、W22も上述した理由に基づいて決定されている。また、幅W1 、W2 は、y方向にある導体プレート8によって電力の内部反射が生じないような長さとなっている。
【0045】
図8は、図1(a)に示した誘電体基板のA−A線断面における、給電点1より入射された電力2が、基板5内を伝達する際の強度分布21の遷移状態を示したものである。基板5の構造は、伝達する電力の強度分布を誘電体空気層内で操作するためのものであり、空気層61と低誘電体の領域62とに関するそれぞれの幅W11、W12を決定する。同図8より誘電体空気層内で目的とする電力2の強度分布21が、厚さt1 内で形成されていることがわかる。
【0046】
ここで、形成された強度分布21を有する電力2が高誘電体層7に励振されると、励振された電力の強度分布に従い、高誘電体層7特有の電力伝達に伴う非線形性が発生し、特定された領域に電力が集中されながら、放射口であるスロット4に向かって伝達される。この結果、放射面における放射電力の強度の効率は向上し、その分布に関してもより均一なものが形成できる。よって、高効率の放射特性を得ることができる。
【0047】
なお、本実施の形態における誘電体空気層は、空気層と低誘電体の領域との組み合わせによるものであるが、空気層を用いずに異なる複数の低誘電体のみで構成した誘電体空気層を用いても同様の効果が得られる。
【0048】
以上、本高誘電体を使用した誘電体基板によれば、プレートアンテナに使用する高誘電体を用いた誘電体基板に誘電体空気層を導入し、この誘電体空気層で給電された電力の強度分布を制御し、かつ高誘電体特有の非線形性を利用することで、放射電力の強度と分布とを任意に決定でき、高効率の放射特性を誘電体基板の構造から実現できる。この結果、高誘電体の適用によるプレートアンテナの小型化を、放射効率の向上の面を含めて容易にし得る誘電体基板及びそれを用いたアンテナを提供することができる。
【0049】
図2(a)は本発明の高誘電体を使用した誘電体基板を用いたプレートアンテナの他の実施の形態を示す外観斜視図であり、図2(b)は図2(a)のC−C線断面図であり、図2(c)は図2(a)のD−D線断面図である。
【0050】
図1(a)〜(c)に示した実施の形態との相違点は、空気層あるいは低誘電体層の内部に設けた給電点より励振した電力を、空気層あるいは低誘電体層に伝達させた後、高誘電体層に励振できるようにした点である。なお、図1(a)〜(c)に示した実施の形態と同様の部材には共通の符号を用いた。
【0051】
図2(a)〜(c)に示した誘電体基板51は、線形誘電率がε2 の高誘電体層7と、線形誘電率がε1 の低誘電体層あるいは線形誘電率がεair の空気層(以下、低誘電体と空気層とを一括して「低誘電体層」という)6とを組み合わせた積層体とで構成されている。このとき、各層6、7の線形誘電率の関係は前述した数4式で表わされる。
【0052】
給電点1は、低誘電体層6の内側に設けられており、給電された電力はこの低誘電体層6で拡散され、高誘電体層7に励振される。なお、低誘電体層6は、給電点1より励振した電力の強度分布が伝達によってより平坦になるときの厚さt1 (数3式参照)を有している。また、幅W1 、W2 は、y方向にある導体プレート8によって電力の内部反射が生じない長さとしている。
【0053】
図9は、図2に示した誘電体基板のC−C線断面における、電力の伝達に伴う強度分布21の遷移状態を示したものである。同図9より、高誘電体のみで構成された基板(図3)と比較し、本発明による基板51の方が、電力伝達に伴う非線形性による電力集中を抑制していることがわかる。そして、電力の放射を行うスロット4が配置されている放射面に対し、電力の分布が効率よく分配されているので、アンテナの放射特性を高効率化することができる。
【0054】
図10(a)は本発明の高誘電体を使用した誘電体基板を用いたプレートアンテナの他の実施の形態を示す外観斜視図であり、図10(b)は図10(a)のE−E線断面図であり、図10(c)は図10(a)のF−F線断面図である。
【0055】
同図10に示す誘電体基板52を構成する各層の誘電率の関係は図5に示すものと同一である。図10に示す基板52は図2に示した基板51と異なり、低誘電体層6を部分的に配置したものである。これは、低誘電体層6の線形誘電率が図5に示した場合よりも低くすることで、図2に示した基板51で必要とした厚さt1 と幅W1 とが図10に示した基板52の厚さt1 及び幅W11、W21で実現できる場合の構造である。
【0056】
なお、図10に示した基板52においても給電点1より給電された電力はこの低誘電体層6で拡散され、高誘電体層7に励振される。
【0057】
図11は図10に示した誘電体基板のE−E線断面における、電力の伝達に伴う強度分布21の遷移状態を示したものである。同図より、図2に示した誘電体基板の場合と同様に高誘電体のみで構成された基板の場合(図3)と比較し、本基板52の方が、電力伝達に伴う非線形性による電力集中を抑制していることがわかる。この場合も図9に示した場合と同様にアンテナの放射特性の高効率化が実現できる。
【0058】
以上、本高誘電体を使用した誘電体基板によれば、高誘電体特有の非線形性を抑制し、かつ高誘電体内で励振電力を十分に拡散できる誘電体基板の構造を実現できるので、プレートアンテナの小型化を容易にする誘電体基板及びそれを用いたアンテナを提供することができる。
【0059】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、次のような優れた効果を発揮する。
【0060】
プレートアンテナを小型化することができ、放射面や電力を放射するスロットへ効率よく電力を分配できる高誘電体を使用した誘電体基板及びそれを用いたアンテナの提供を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明の高誘電体を使用した誘電体基板を用いたプレートアンテナの一実施の形態を示す外観斜視図であり、(b)は(a)のA−A線断面図であり、(c)は(a)のB−B線断面図である。
【図2】 (a)は本発明の高誘電体を使用した誘電体基板を用いたプレートアンテナの他の実施の形態を示す外観斜視図であり、(b)は(a)のC−C線断面図であり、(c)は(a)のD−D線断面図である。
【図3】 高誘電体内を伝達する電力の遷移状態と非線形性との関係を示す図である。
【図4】 (a)はスポットサイズと電界との関係を示す図であり、(b)は電力が高誘電体内を伝達するのに伴う誘電率変化(非線形性)を示す図である。
【図5】 単一の空気層あるいは低誘電体層を伝達する電力の遷移状態を示す図である。
【図6】 スポットサイズを用いたフレネル−キルヒホッフの回折公式の模式図である。
【図7】 図1(a)〜(c)に示した誘電体基板の誘電体空気層と強度分布の遷移状態との関係を示す図である。
【図8】 図1(a)に示した誘電体基板のA−A線断面における、給電点より入射された電力が、基板内を伝達する際の強度分布の遷移状態を示したものである。
【図9】 図2に示した誘電体基板のC−C線断面における、電力の伝達に伴う強度分布の遷移状態を示したものである。
【図10】 (a)は本発明の高誘電体を使用した誘電体基板を用いたプレートアンテナの他の実施の形態を示す外観斜視図であり、(b)は(a)のE−E線断面図であり、(c)は(a)のF−F線断面図である。
【図11】 図10に示した誘電体基板のE−E線断面における、電力の伝達に伴う強度分布21の遷移状態を示したものである。
【符号の説明】
1 給電点
4 スロット
5 誘電体基板
7 高誘電体層
61 空気層
62 低誘電体の領域
Claims (4)
- プレートアンテナに用いられる誘電体基板において、給電点から放射面へ向かって伝達する電力の強度分布を拡散させる空気層あるいは低誘電体層と、その空気層あるいは低誘電体層からの電力を放射面まで伝達する高誘電体層とが電力の伝達される方向に積層され、上記空気層あるいは低誘電体層と上記空気層あるいは低誘電体層よりも誘電率が高く上記高誘電体層よりも誘電率が低い他の低誘電体の領域とを電力分布が広がっていく方向に交互に並べて誘電体空気層とし、電波を放出するスロットを形成した導体プレートを上記高誘電体層に上記電力の伝達される方向へ接して設けたことを特徴とする高誘電体を使用した誘電体基板。
- 上記空気層あるいは低誘電体層の内部に設けた給電点より励振した電力が上記高誘電体層に励振されるとき、その電力が上記高誘電体層において特定された領域に集中されながら伝達される電力強度分布となるよう、上記空気層あるいは低誘電体層の幅と上記低誘電体の領域の幅とを決定した請求項1に記載の高誘電体を使用した誘電体基板。
- 上記特定された領域が放射面となる導体プレートに形成されたスロットに臨む領域である請求項2に記載の高誘電体を使用した誘電体基板。
- 給電点を有する空気層あるいは低誘電体層とこの空気層あるいは低誘電体層よりも誘電率が高い他の低誘電体の領域とを電力分布が広がっていく方向に交互に並べた誘電体空気層と、該誘電体空気層に積層され上記低誘電体の領域よりも誘電率が高く上記誘電体空気層からの電力を放射面まで伝達する高誘電体層と、その高誘電体層に上記電力の伝達される方向へ接して設けた放射面となる導体プレートと、その導体プレートに形成された電波を放出するスロットとを備えたことを特徴とするアンテナ。
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1999
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