JP3764057B2 - ゲーム装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技者(以下「プレイヤ」という)の操作により、景品を取得可能なゲームを行うためのゲーム装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のゲーム装置としては、吊り下げられた開閉自在な把持爪を用いて景品を掴み取り、所定位置でその景品を落として取得するクレーンゲーム装置や、景品を押し出すような構成にし、プレイヤが欲しい景品を直接狙えるようにした押出ゲーム装置がある。
【0003】
このようなゲーム装置では、プレイヤの技量に左右されることが多く、景品の払出率を調整することは難しい。このため、景品取得の難易度を変えることで払出率を調整することができ、予め定めた景品の払出率を維持できるようなものが求められる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、払出率を維持できるような機能を設けた場合であっても、これらのゲーム装置は、その大部分が機械的要素で構成されるので、長期にわたって使用するうちに、その機械的要素の経年変化等が生じる。また、ゲーム装置を構成する部品毎あるいは完成品として組み立てたときの誤差や、ゲーム装置の設置場所の違い等によって動作精度に影響がでる場合がある。このため、安定した払出率の調節が困難となり、その結果、払出率を維持させるという本来の目的を達成することができなくなってしまう。
【0005】
本発明の目的は、長期にわたって、安定した払出率の調節が可能なゲーム装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、外力によって移動可能な景品の載置台を有し、該載置台上に載置された景品を遊技者の操作により取得可能としたゲーム装置であって、載置台を移動させた外力が無くなると当該載置台を移動前の原点位置へ復帰させる原点復帰機構と、載置台を移動させる力に対抗する制動力を発生する制動手段と、載置台を原点位置から所定位置まで移動させた後、制動力をかけた状態で原点復帰機構により載置台を原点位置の方へ戻し、所定時間経過した時の載置台の位置と原点位置とが一致しないとき、当該位置と原点位置との差に応じて制動力を調整する制動力調整手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の態様は、外力によって移動可能な景品の載置台を有し、該載置台上に載置された景品を遊技者の操作により取得可能としたゲーム装置であって、載置台を移動させた外力が無くなると当該載置台を移動前の原点位置へ復帰させる原点復帰機構と、載置台を移動させる力に対抗する制動力を発生する制動手段と、載置台を定期的に所定量揺動させる載置台揺動手段と、該載置台揺動手段により載置台を揺動させた後、制動力をかけた状態で原点復帰機構により載置台を原点位置の方へ戻し、所定時間経過した時の載置台の位置と原点位置とが一致しないとき、当該位置と原点位置との差に応じて制動力を調整する制動力調整手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の態様は、上記ゲーム装置において、制動力調整手段は、所定時間経過した時の載置台の位置が原点位置と一致しないとき、当該位置が原点位置の手前側であるときは、当該位置と原点位置との差に応じて制動力を弱めるように調整し、当該位置が原点位置を超えているときは、当該位置と原点位置との差に応じて、制動力を強めるように調整することを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の態様は、外力によって移動可能な景品の載置台を有し、該載置台上に載置された景品を遊技者の操作により取得可能としたゲーム装置であって、載置台を移動させた外力が無くなると当該載置台を移動前の原点位置へ復帰させる原点復帰機構と、載置台を移動させる力に対抗する制動力を発生する制動手段と、載置台を原点位置から所定位置まで移動させた後、所定の制動力を制動手段に発生させて当該載置台を固定させ、その後、その制動力を徐々に弱めたとき、当該載置台が原点位置の方へ移動を開始したときの制動力を検出し、その検出された制動力に基づいて制動力を調整する制動力調整手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の第5の態様は、上記第4の態様のゲーム装置において、制動力調整手段は、載置台を原点位置から所定位置まで移動させたときに発生する当該載置台を移動させる力と一致する制動力を基準制動力として設定し、検出された制動力が該基準制動力より大きいときは、その差に応じて制動力を弱めるように制動手段を調整し、検出された制動力が該基準制動力より小さいときは、その差に応じて制動力を強めるように制動手段を調整することを特徴とする。
【0011】
【作用及び効果】
本発明のゲーム装置によれば、景品の置かれる載置台が移動可能に構成され、載置台を移動させた外力が無くなると当該載置台を移動前の原点位置へ復帰させる原点復帰機構及び載置台を移動させる力に対抗する制動力を発生する制動手段を備えているので、原点復帰しようとする載置台に対する制動力を変化させれば、景品取得の難易度を調節することが可能となる。例えば、載置台に対する制動力を大きくすることで、景品を載置台より押し出すことが容易な状況を設定することができ、逆に、載置台に対する制動力を小さくすることで、景品を載置台より押し出すことが困難な状況を設定することができる。これにより、景品の払出率を調節することが可能となる。
【0012】
このようなゲーム装置において、制動手段の個体差や経年変化により、所望の制動力が得られなかったり、所望の制動力を超えてしまうといった、制動手段の動作精度にずれが生じた場合であっても、本発明にかかる制動力調整手段を備えることで、所望の制動力が常に得られようになる。これにより、制動手段による景品取得の難易度調節が安定したものとなり、制動手段の個体差や経年変化に影響されることなく、予め定めた景品の払出率を維持させることが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態である景品取得ゲーム装置1の全体外観を示す斜視図である。
【0014】
景品取得ゲーム装置1の筐体2は、プレイヤの操作によるゲームを展開するゲーム空間4を内部に構成する本体部2a及び該本体部2aに開閉自在に取り付けたドア部2bとで構成される。ドア部2b上部の前面及び左右側面には、透明パネル3が取り付けられ、この透明パネル3により、外部よりゲーム空間4を見ることができるようになっている。
【0015】
ゲーム空間4には、プレイヤによる操作に基づき駆動する景品押出手段8が設けられ、その奥側には、上下2箇所に、玩具などの景品7を載置するための載置台としてのトレイ5L1,5L2,5L3,5L4,5R1,5R2,5R3,5R4及び第1回動板35L1,35R1,35L2,35R2を回転自在に取り付けた基台6a,6bが設けられる。左右一対のトレイを一組として、各基台6a,6b上に2組ずつ取り付ける。すなわち、一対のトレイ5L1,5R1と第1回動板35L1とで一つの載置台を構成している。
【0016】
このような構成の景品取得ゲーム装置1は、プレイヤの操作により上記景品押出手段8の位置決めがされた後、その景品押出手段8がゲーム空間4の前後方向(Y軸方向)を後方に向かって自動的に移動し、景品押出手段8の先端に取り付けられた景品押出手段8がトレイ5L1,5L2,5L3,5L4,5R1,5R2,5R3,5R4上の景品7を押し出すことで景品7を取得可能なゲーム装置である。
【0017】
景品押出手段8によりトレイ5L1,5L2,5L3,5L4,5R1,5R2,5R3,5R4上から押し出された景品7は、直接あるいはスロープ部11を通って落し穴部12に入り、後述の景品払出口17より払い出される。
【0018】
景品押出手段8は、モータの駆動によりZ軸スライドレール9を上下に往復移動する移動体に取り付けられ、ゲーム空間4を上下方向(Z軸方向)に移動可能に構成される。ゲーム実行中は、プレイヤにより後述の上昇操作ボタン15が押されている間、Z軸スライドレール9上を景品押出手段8が上方向に移動する。
【0019】
Z軸スライドレール9は、モータの駆動によりX軸スライドレール10を左右に往復移動する移動体に取り付けられ、ゲーム空間4を左右方向(X軸方向)に移動可能に構成される。ゲーム実行中は、プレイヤにより後述の横移動操作ボタン14が押されている間、Z軸スライドレール9が右方向に移動する。
【0020】
このように、プレイヤによる横移動操作ボタン14及び上昇操作ボタン15の操作により、景品押出手段8の位置決めが行われ、その決定した位置において、景品押出手段8がY軸方向を後方に向かって自動的に移動する。なお、景品押出手段8の駆動は、モータの駆動によりY軸方向を前後に移動するように構成される。
【0021】
また、本ゲーム装置は、景品取得の困難性を付与するための機構を備えている。具体的には、トレイ5L1,5L2,5L3,5L4,5R1,5R2,5R3,5R4上の景品7が景品押出手段8により押されたとき、当該景品7とトレイ5L1,5L2,5L3,5L4,5R1,5R2,5R3,5R4の間に生じる摩擦力によってトレイ5L1,5L2,5L3,5L4,5R1,5R2,5R3,5R4が奥側(後方)に移動する機構である。詳しくは後述する。
【0022】
ドア部2bの前面下部には、ゲーム操作部13が設けられ、このゲーム操作部13の上端部にはプレイヤの操作により景品押出手段8を右方向に移動させるための横移動操作ボタン14、同じくプレイヤの操作により景品押出手段8を上方向に移動させるための上昇操作ボタン15が設けられる。
【0023】
ゲーム操作部13の前面には、ゲームの実行に必要なコインを投入するためのコイン投入口16及び取得した景品7が払い出される景品払出口17が設けられる。
【0024】
上昇操作ボタン15の右側には、コイン投入口16に投入されたコイン数に応じて実行可能なゲーム数を表示するゲームカウント表示部18が設けられる。
【0025】
横移動操作ボタン14の左側には、ゲーム毎に数字の可変表示が実行され、所定態様(例えば“777”)で停止すればサービスプレイを付与するサービスプレイ表示部72が設けられる。
【0026】
サービスプレイとは、例えば、1コインで2プレイできるような場合で、プレイヤにとって有利なゲーム状態である。また、このサービスプレイを、後述のクラッチブレーキ29の作動パターンの難易度を低くした景品の獲得し易いゲーム状態としてもよい。なお、サービスプレイは、上記のようなサービスプレイ表示部72を利用したものに限らず、例えば、100円玉1枚投入で1プレイのところ、500円玉1枚投入で6プレイできるようにするといった場合もある。
【0027】
これらゲームカウント表示部18及びサービスプレイ表示部72は、7セグメントLEDで構成される。
【0028】
また、本ゲーム装置は、所定期間中、例えばゲームが行われていないときに、いわゆるデモ演出として、トレイ5L1,5L2,5L3,5L4,5R1,5R2,5R3,5R4を前後に揺動させ、景品を揺らすような演出を行うよう構成されている。このようなデモ演出を行うための手段として、基台6a,6bの中央の後方位置に、後述の載置台揺動装置60(図12)の載置台揺動用回転軸63が設けられる。この載置台揺動用回転軸63の回転に応じてトレイ5L1,5L2,5L3,5L4,5R1,5R2,5R3,5R4が前後に動かされる。詳しくは後述する。
【0029】
図2は、本発明の景品取得ゲーム装置1の動作を制御する制御手段の構成を示すブロック図である。CPU,RAM,ROM等で構成される制御回路30には、各種スイッチ,センサが接続され、これらからの入力信号に基づいて、制御回路30は各種アクチュエータの動作を制御する。
【0030】
制御回路30に接続される各種スイッチ,センサとしては、ドア部2bの開閉を検知するためのドアセンサ2S、コイン投入口16に投入されたコインを検出するコイン投入スイッチ16S、横移動操作ボタン14の操作入力を検出する横移動操作スイッチ14S、上昇操作ボタン15の操作入力を検出する上昇操作スイッチ15S、景品払出口17より払い出される景品を検出する景品検出センサ17S、Z軸スライドレール9のX軸方向の初期位置を検知するためのX軸初期位置検知センサ19、Z軸スライドレール9のX軸方向の限界位置を検知するためのX軸限界位置検知センサ20、景品押出手段8のY軸方向の初期位置を検知するためのY軸初期位置検知センサ21、景品押出手段8のY軸方向の限界位置を検知するためのY軸限界位置検知センサ22、景品押出手段8のZ軸方向の上端位置を検知するためのZ軸上端検知センサ23、及び景品押出手段8のZ軸方向の下端位置を検知するためのZ軸下端検知センサ24を備える。
【0031】
制御回路30に接続される各種アクチュエータとしては、Z軸スライドレール9をX軸スライドレール10上を左右に移動させるX軸方向駆動モータ25、景品押出手段8をY軸上の前後方向に移動させるY軸方向駆動モータ26、景品押出手段8をZ軸スライドレール9上を上下方向に移動させるZ軸方向駆動モータ27、横移動操作ボタン14のプレイヤによる操作入力が有効となったときに点灯する横移動操作ボタンランプ14P、上昇操作ボタン15のプレイヤによる操作入力が有効となったときに点灯する上昇操作ボタンランプ15P、上記ゲームカウント表示部18、各種装飾ランプ28、後述のクラッチブレーキ29、後述の載置台揺動装置60(図12)の駆動源であるモータ61、及び、トレイの回転角度を検出するためのロータリエンコーダ75を備える。
【0032】
また、制御回路30には、コイン投入スイッチ16Sからの入力信号に基づきゲーム数をカウントするゲームカウンタ31、景品検出センサ17Sからの入力信号に基づき払い出された景品の数をカウントする景品カウンタ32、及び後述のゲームモードと設定モードの切り換えを行うゲームモード/設定モード切換スイッチ33が接続されている。
【0033】
図3は、景品押出手段8の移動する様子を示したものである。図3(i)は、下側の基台6aにおける一つのトレイ5R1上に載置された景品7(この場合、鳥のおもちゃ)に向かって景品押出手段8が移動している様子を示す。
【0034】
図3(ii)は、景品押出手段8のプッシャ8aがトレイ5R1上に載置された景品7を上手く押すことができ、当該景品7をトレイ5R1上から落とすことができたときの様子を示している。
【0035】
図3(iii)は、景品押出手段8のプッシャ8aがトレイ5R1上に載置された景品7を上手く押すことができず、当該景品7をトレイ5R1上より落とすことができなかったときの様子を示している。
【0036】
この図3(ii)及び図3(iii)に示すように、景品押出手段8のプッシャ8aがトレイ5R1上に載置された景品7を押したとき、景品7とトレイ5R1の間に生じる摩擦力によって、そのトレイ5R1は奥側(後方向)に移動し、組となっているもう一方(左側)のトレイ5L1は手前側(前方向)に移動するような構成となっている。これは、2つのトレイ5L1,5R1が1つの第1回動板35L1上に取り付けられた一つの載置台として構成され、一方のトレイが景品押出手段8によって動かされると、その動きに伴って他方のトレイも連動するような機構によるものである。すなわち、2つのトレイ5L1,5R1と第1回動板35L1とで構成される載置台は、上記摩擦力によって、第1回動板35L1の中心軸である回転軸36(図3(ii))を中心とした回転運動を行う。
【0037】
また、各トレイ5L1,5R1は、第1回動板35L1上で、当該トレイ5L1,5R1の中心点5C1,5C2(図1)を中心として回転可能に支持されている。
【0038】
また、回転軸36の下端には第1傘歯車47(図5)が軸着され、この第1傘歯車47(図5)を介して、制動手段としてのクラッチブレーキ29(図5)を取り付ける。このクラッチブレーキ29は、摩擦力で載置台が移動させられたときの回転軸36に加わる回転トルクに対抗する回転トルク、すなわち載置台を移動させる摩擦力に対抗する制動力を発生する。
【0039】
本実施例では、励磁電流の増加にほぼ比例して回転トルクが増加するようなクラッチブレーキ29を用いる。クラッチブレーキ29には、例えば回転トルクの伝達に磁性鉄粉を用いるパウダクラッチブレーキを用いる。このクラッチブレーキ29により回転軸36の回転方向と逆方向に回転トルクをかけ、トレイ5L1,5R1と第1回動板35L1とで構成される載置台の移動させる力すなわち摩擦力に対抗する制動力をかけることができる。これにより、景品7を落とし易くしたり、落とし難くするといった調節が可能となる。
【0040】
例えば、載置台の移動に対し全く制動力をかけない場合、景品押出手段8の進行に伴って載置台が奥側に押しやられるため、景品7をトレイ5L1,5R1から落とすことが困難である。特に重い景品7の場合、景品7とトレイ5L1,5R1の間に生じる摩擦力が大きくなるため、載置台を奥側に押しやるだけで、景品7を動かすことは難しい。一方、クラッチブレーキ29(図5)により載置台の移動に対し制動力をかける場合、その制動力の大きさによって載置台の移動が止められ、景品7を動かし易くなる。すなわち、景品7の獲得が比較的容易になる。
【0041】
このように、トレイ5L1,5R1上に載置される景品7が同一のものであっても、制動力をかけるタイミングや駆動時間あるいは制動力の大小によって、景品7を落とし易くしたり落とし難くするといった調節が可能となる、すなわち、景品の払出率を調節することが可能となる。
【0042】
図4及び図5は、トレイ5L1,5R1及び第1回動板35L1で構成される載置台の構造を示す。トレイ5L1,5R1は、連動部材37とネジ38で連結され、この連動部材37の回転軸である連動部材回転軸37aは、第1回動板35L1の両端に形成する軸支穴35L1’で軸支されている。これにより、連動部材37はトレイ5L1,5R1の回転に連動して回転し、第1回動板35L1はトレイ5L1,5R1の水平方向への移動に伴って、回転軸36を中心とした回転を可能としている。
【0043】
トレイ5L1,5R1の底面には、円筒形状のストッパ39が2ケ所に取り付けられ、このストッパ39を第1回動板35L1の側面に当てて、トレイ5L1,5R1の回転を係止させることとしている。例えば、トレイ5L1,5R1の回転角度が最大60度となるような角度範囲でストッパ39が取り付けられる。
【0044】
また、連動部材37は、第1回動板35L1と結合された第2回動板40と第1バネ41で連結されている。これは、回転したトレイ5L1,5R1を回転前の元の位置に戻すために設けられる。
【0045】
また、第1回動板35L1の側面には、係合部51L1を一体形成した揺動部材50L1が取り付けられる。この揺動部材50L1の係合部51L1は、図12に示す載置台揺動装置60の載置台揺動用回転軸63が回転したとき、この載置台揺動用回転軸63の外周に設けた係合片66aと係合するように構成されている。
【0046】
各トレイ5L1,5R1の前面に設けられる防壁49は、景品7がトレイ5L1,5R1の前方より落下するのを防止するために設けられる。
【0047】
次に、図5に示すように、第2回動板40は、中央に長楕円形状に切り抜いた開口部40aを形成し、第1回動板35L1と第2回動板40をネジ42で結合したとき、その開口部40aによって、第1回動板35L1の底面に長楕円形状の溝が形成される。軸受カバー43で回転自在に軸支された回転軸36の先端に長楕円形状の止部材44を軸通し、この止部材44を第1回動板35L1の底面に形成された溝に嵌合することで、第2回動板40と結合された第1回動板35L1を回転軸36を中心として回転自在とする。また、回転軸36に、該回転軸36の動作に伴い回転するカバー45を軸着する。
【0048】
これにより、景品押出手段8により景品7が押されたときに景品7とトレイ5L1,5R1との間に生じる摩擦力に応じて、載置台としてのトレイ5L1,5R1及び第1回動板35L1が回転し、第1回動板35L1の回転に応じて上記止部材44を介して回転軸36が回転し、さらに回転軸36の回転に応じてカバー45が回転する。また、図12に示す載置台揺動用回転軸63の外周に設けた係合片66aと上記係合部51L1とが係合し第1回動板35L1が動かされたときも、同様に、回転軸36及びカバー45が回転する。
【0049】
更に、回転軸36には、この回転軸36の回転角度を計測するためのロータリエンコーダ75がカップリングにより直結される。ロータリエンコーダ75は、回転体の位置をパルス電圧で出力するものである。例えば、位置検出に磁気センサを用いた磁気式エンコーダの場合、強磁性体からなる歯車を外周に形成した回転体を備え、その歯車の磁束をホール素子でピックアップしパルス電圧を出力するように構成される。この場合、歯車の歯数で分解能(1回転あたりの出力パルス数)が決定される。このようなロータリエンコーダ75の回転体を回転軸36に直結することで回転軸36の回転角度が検出される。
【0050】
また、軸受カバー43とカバー45を第2バネ46で連結する。この第2バネ46は原点復帰機構としての役割を果たし、載置台(トレイ5L1,5R1及び第1回動板35L1)を動かす力が無くなったとき、あるいは、図12に示す載置台揺動用回転軸63の外周に設けた係合片66aと上記係合部51L1とが係合し、その係合状態が終了したとき、回転したカバー45が回転前の元の位置に強制的に戻される。これにより、回転軸36が回転前の元の位置まで戻され、載置台(トレイ5L1,5R1及び第1回動板35L1)が元の位置に戻される。この位置が、後述の通り、原点位置となる。
【0051】
回転軸36の下端部には、第1傘歯車47が軸着され、該第1傘歯車47にクラッチブレーキ29の軸に軸着した第2傘歯車48と歯合させ、回転軸36に対しクラッチブレーキ29による回転トルクをかけることができるように構成される。
【0052】
以上の説明では、下側の基台6aに取り付けられた一組のトレイ5L1,5R1について説明したが、そのほかのトレイ5L2,5L3,5L4,5R2,5R3,5R4についても同様である。
【0053】
景品取得ゲーム装置1では、上述の通り、クラッチブレーキ29を駆動させるタイミングや駆動時間あるいは制動力の大小によって、景品7を落とし易くしたり落とし難くするといった調節が可能となることを述べたが、以下に詳細を説明する。
【0054】
景品取得ゲーム装置1では、予め定められた払出率のうちの一つを予め選択しておき、その選択した通りの払出率で景品払出を実現するために、クラッチブレーキ29の作動を制御する。
【0055】
図6に示すように、払出率に応じた設定レベルが定められ、例えば、ゲーム店の店員により、いずれか一つの設定レベルが選択される。設定レベルは、6段階で、レベル6は払出率が約30%、レベル5は払出率が約20%、レベル4は払出率が約15%、レベル3は払出率が約10%、レベル2は払出率が約5%、レベル1は払出率が約3%、といった内容で設定され、設定レベルが高いほど景品獲得の難易度を低くしている。
【0056】
この設定レベルの選択は、ゲーム操作部13(図1)の内部に設けられた設定装置(図示省略)のゲームモード/設定モード切換スイッチ33(図2)を「設定モード」に切り換えて行う。「設定モード」に切り換えた後、横移動操作ボタン14(図1)及び上昇操作ボタン15(図1)の操作により、上記設定レベルの選択を行う。このとき、選択された設定レベルはゲームカウント表示部18(図1)に、例えば「Lv1,Lv2…」といった態様で表示される。
【0057】
図7は、クラッチブレーキ29の作動パターンを「難易度ランク」別に示し、それぞれの作動パターンには、払出率の目安が定められている。「難易度ランク」とは、景品7を落とすことが容易かどうかの難易度を示すものである。クラッチブレーキ29が作動し載置台を移動させる力に対抗する制動力がかけられ、載置台の奥側への移動を制止することができれば、トレイ5L1,5L2,5L3,5L4,5R1,5R2,5R3,5R4上の景品7を落とすことのできる可能性が高くなる。従って、制動力のかかる回数が多い場合や、制動力のかかる時間が長い場合などは、景品7を落とすことのできる可能性が高くなるため、そのような作動パターンは、上記難易度ランクが低くなっている。すなわち、クラッチブレーキ29を作動させるタイミング、作動時間の長さ、制動力の強さを変化させることで、景品7を落とすことのできる困難性を調整することができるようになっている。
【0058】
これらクラッチブレーキ29の作動パターンは、景品取得ゲーム装置1の電源投入時において、上記設定レベルに応じた難易度ランクのものが選択される。電源投入時に、設定レベルが「レベル6」,「レベル5」の場合、払出率はそれぞれ約30%,約20%であるので、クラッチブレーキ29の作動パターンとしては払出率の目安が「20〜40%」の難易度ランク“C(普通)”が選択され、設定レベルが「レベル4」,「レベル3」,「レベル2」の場合、払出率はそれぞれ約15%,10%,5%であるので、クラッチブレーキ29の作動パターンとしては払出率の目安が「5〜20%」の難易度ランク“B(やや高)”が選択され、設定レベルが「レベル1」の場合、払出率が約3%であるので、クラッチブレーキ29の作動パターンとしては払出率の目安が「0〜5%」の難易度ランク“A(高)”が選択される。
【0059】
例えば、設定レベルとして「レベル6」又は「レベル5」が選択された場合、図7の難易度ランク“C(普通)”に示す作動パターンでクラッチブレーキ29の作動が制御される。しかしながら、難易度ランク“C(普通)”に設定された払出率の目安である20%〜40%には必ずしも収まるとは限らないので、実際の払出率を監視しながら難易度ランクを切り換えて、設定レベルが「レベル6」の場合は約30%に、設定レベルが「レベル5」の場合は約20%に実際の払出率が落ち着くようにする。
【0060】
その具体的な例として、最初の10ゲームを初期設定である難易度ランク“C(普通)”の作動パターンでクラッチブレーキ29の作動を制御し、ゲームを実行する。ここで、この10ゲームの間、プレイヤが景品を1個しか取れなかった場合、すなわち、実際の払出率が10%の場合、次の10ゲームにおけるクラッチブレーキ29の作動パターンを難易度ランク“D(やや低)”とし、プレイヤに景品を取れ易くする。そして、10ゲームが終了した時点(計20ゲーム)で、再び実際の払出率を参照し、その払出率に応じて難易度ランクの切換を行うようにする。このようにして、所望の払出率に収まるようにする。
【0061】
なお、払出率を判断するゲーム数(判断に用いる母数)は、ここでは10ゲームとしているが、任意に設定できるようにし、例えば、設定された難易度ランクに応じてゲーム数を変化させるようにししてもよい。
【0062】
図7に示すクラッチブレーキ29の作動パターンは、X軸に景品押出手段8の移動時間[s]、Y軸に制動力の大きさ(クラッチブレーキ29の出力トルク)[N・m]を示している。ここで景品押出手段8の移動時間とは、景品押出手段8がゲーム空間の奥側に向けての移動を開始してから完了するまでの時間である。
【0063】
従って、X軸に示した「MAX」とは、景品押出手段8がゲーム空間の奥側に向けての移動を完了したときを示しており、Y軸に示した「MAX」とは、クラッチブレーキ29がかけることのできる最大制動力、すなわちクラッチブレーキ29が出力することのできる最大トルクを示している。
【0064】
難易度ランクが“A(高)”の場合のクラッチブレーキ29の作動パターンは、クラッチブレーキ29を全く作動させず制動力をかけない場合である。この場合、景品押出手段8で景品7を押しても、景品7とトレイ5L1,5L2,5L3,5L4,5R1,5R2,5R3,5R4の間の摩擦力で載置台が奥側に押しやられ、景品7を落とすことは難しい。なお、景品7の選定に際しては、この難易度ランクが“A(高)”の場合において、ほぼ100%の確率で落とすことができないような重さのものを選定することが望ましい。
【0065】
難易度ランクが“B(やや高)”の場合のクラッチブレーキ29の作動パターンは、景品押出手段8の移動時間がt2のときにクラッチブレーキ29の作動を開始させ、景品押出手段8の移動時間に比例するように伝達トルクを増加させ、t3のときに最大トルクとした後、景品押出手段8の移動時間に反比例するように伝達トルクを減少させ、t4のときにクラッチブレーキ29の作動を停止させる。この場合、全く制動力のかからない難易度ランク“A(高)”の作動パターンに比べ景品取得の可能性は高く、特に、制動力が最大となるt3のときに、景品7を落とすチャンスが高くなるが、最大制動力のかかる時間が一瞬でかつ一回だけなので、景品取得の可能性が高いとは言い難い。特に、景品7が重い物のときは、それを落とすことは難しい。
【0066】
難易度ランクが“C(普通)”の場合のクラッチブレーキ29の作動パターンは、景品押出手段8の移動時間がt2のときにクラッチブレーキ29の作動を開始させ、景品押出手段8の移動時間に比例するように伝達トルクを増加させ、t3のときに最大トルクとして当該トルクでt4まで継続して制動力をかけ続け、その後、景品押出手段8の移動時間に反比例するように伝達トルクを減少させ、t5のときにクラッチブレーキ29の作動を停止させる。この場合、制動力が最大となる時間がt3〜t4であるため、制動力が最大となる時間が一瞬の難易度ランク“B(やや高)”の作動パターンに比べ景品取得の可能性は高くなる。
【0067】
難易度ランクが“D(やや低)”の場合のクラッチブレーキ29の作動パターンは、景品押出手段8の移動時間がt1のときにクラッチブレーキ29の作動を開始させ、景品押出手段8の移動時間に比例するように伝達トルクを増加させ、t2のときに最大トルクとして当該トルクでt4まで継続して制動力をかけ続け、その後、景品押出手段8の移動時間に反比例するように伝達トルクを減少させ、t5のときにクラッチブレーキ29の作動を停止させる。この場合、制動力が最大となる時間がt2〜t4であるため、制動力が最大となる時間がt3〜t4の難易度ランク“C(普通)”の作動パターンに比べ景品取得の可能性は高くなる。
【0068】
難易度ランクが“E(低)”の場合のクラッチブレーキ29の作動パターンは、景品押出手段8の移動開始と同時にクラッチブレーキ29の作動を開始させ、景品押出手段8の移動時間に比例するように伝達トルクを増加させ、t1のときに最大トルクとして当該トルクでt2まで継続して制動力をかけ続け、その後、景品押出手段8の移動時間に反比例するように伝達トルクを0まで減少させ、t3で再び景品押出手段8の移動時間に比例するように伝達トルクを増加させ、t4のときに最大トルクとして当該トルクでt5まで継続して制動力をかけ続け、その後、景品押出手段8の移動時間に反比例するように伝達トルクを減少させ、t6(MAX)のときにクラッチブレーキ29の作動を停止させる。すなわち、制動力が最大となる時間がt1〜t2及びt4〜t5でと2回に分けられている。この場合、一回制動力を緩めた後再び制動力をかけるため、その再び制動力をかける瞬間、景品7とトレイ5L1,5L2,5L3,5L4,5R1,5R2,5R3,5R4の間の摩擦力が発生する前に景品に衝撃力がかかり、景品が落としやすくなる。この作動パターンであれば、比較的重い景品であっても落とすことのできる可能性が高くなる。
【0069】
なお、クラッチブレーキ29の作動パターンは以上のパターンに限らない。例えば、制動力がかかっていることをプレイヤに気付かれないような自然な動きとするために、景品押出手段8の移動時間経過に伴う制動力の増加量を少なくしたり(この場合、景品押出手段8の移動速度を遅くする)、景品7を落としにくいように景品押出手段8の移動時間の終わり付近で制動力をかけるようにするなど、様々なパターンが考えられる。
【0070】
図8は、クラッチブレーキ29を作動させたとき(ブレーキ作動時)と作動させないとき(ブレーキ未作動時)における、載置台(ここでは5L1,5R1および第1回動板35L1で構成される載置台)の動きを示した概略図である。
【0071】
図8(a)は、プッシャ8aが左側のトレイ5L1上の景品7に当接したときの様子を示し、その後、景品押出手段8が前進すると、景品7とトレイ5L1の間に摩擦力が生じ、載置台が時計方向に回転し、左側のトレイ5L1が奥側に押しやられる。
【0072】
図8(b)は、載置台の時計方向への回転動作が制動力によって止められたときの様子を示す。この場合、載置台が制動力によって固定されるため、景品7を押す景品押出手段8の力が摩擦力を上回れば、景品7はトレイ5L1上を奥側に移動する。従って、このように、ブレーキ作動を継続し載置台の位置が固定された状態が継続すると、トレイ5L1上から景品7を落とすことが可能となる。
【0073】
図8(c)は、載置台に対し制動力かかっていないときの様子を示す。この場合、載置台が景品押出手段8の進行に伴い時計方向に回転するため、景品7はトレイ5L1上をほとんど移動することはない。従って、トレイ5L1上から景品7を落とすことは困難である。
【0074】
また、本ゲーム装置では、予め設定したゲーム数分、プレイヤにとって有利な状態でゲームが行える「アシストゲーム状態」を設ける。この「アシストゲーム状態」中にゲームを行うと、プレイヤは簡単に景品を獲得することができる。例えば、この「アシストゲーム状態」中では、クラッチブレーキ29を難易度の低い作動パターン(例えば、難易度ランク“D”)で作動させるようにし、プレイヤが景品を取れ易い状態とする。
【0075】
次に、制御回路30が実行する処理について図9〜図11のフローチャートを参照して説明する。
【0076】
図9に示すように、景品取得ゲーム装置1の電源がON(ST1)されると、払出率の設定に基づきクラッチブレーキ29の作動パターンをセットし(ST2)、ゲームカウンタ31を0にリセットし(ST3)、景品カウンタ32を0にリセットする(ST4)。
【0077】
次にゲームカウンタ31を参照し、カウント値(ゲームカウント値)が10N(N=1,2,3,…)のときは(ST5で“YES”)、ST6に移り、10Nでないときは(ST5で“NO”)、ST11に移る。ST6では、実際に景品が払い出された払出率(以下「実払出率」という)を算出する。実払出率は、行われたゲーム数のうち景品が払い出されたゲーム数を示す割合で、景品カウンタのカウント値(景品カウント値)をゲームカウント値で割ったときの数値で示される。
【0078】
ST6で求めた実払出率が設定した払出率(設定払出率)を超えているとき(ST7で“YES”)、難易度の1ランク高いクラッチブレーキ29の作動パターンをセットする(ST8)。例えば、難易度ランクEのクラッチブレーキ29の作動パターンがセットされている場合において、このST7の処理で“YES”のときは、難易度ランクDのクラッチブレーキ29の作動パターンがセットされる。ここで、「実払出率が設定払出率を超えているとき」とは、ゲーム店が予定していた以上に景品が払い出されている場合であり、クラッチブレーキ29の作動パターンの難易度ランクを1ランク上げることで、実払出率を設定払出率に近づけることとしたものである。
【0079】
一方、ST6で求めた実払出率が設定払出率より小さいとき(ST9で“YES”)、難易度の1ランク低いクラッチブレーキ29の作動パターンをセットする(ST10)。例えば、難易度ランクAのクラッチブレーキ29の作動パターンがセットされている場合は、このST9の処理で“YES”のときは、難易度ランクBのクラッチブレーキ29の作動パターンがセットされる。ここで、実払出率が設定払出率より小さいときとは、ゲーム店が予定していた払出率に達していないときで、クラッチブレーキ29の作動パターンの難易度ランクを1ランク下げることで、実払出率を設定払出率に近づけることとしたものである。
【0080】
なお、払出率を一定に保つために、軽い物品を景品7とするときは、景品7とトレイ5L1,5L2,5L3,5L4,5R1,5R2,5R3,5R4の間に生じる摩擦力を高めるためにトレイ5L1,5L2,5L3,5L4,5R1,5R2,5R3,5R4の上面にゴム製のマットを敷くようにする。また、不安定な形状の物品を景品7とするときは、その景品7を安定した形状の透明カプセル等に入れてトレイ5L1,5L2,5L3,5L4,5R1,5R2,5R3,5R4上に載置するようにする。
【0081】
ST11では、「ゲーム制御処理」を実行し、続いて、景品が景品押出手段8により落とされ、景品検出センサ17Sが景品を検出したかどうか判別し(ST12)、景品を検出したときは(ST12で“YES”)、景品カウンタ32に“1”加算する。
【0082】
図10に示すように、まず、コインの投入があるか、すなわちコイン投入スイッチ16Sからの入力信号があるかどうか判別し(ST20)、ここで“YES”のときは、コインの投入数に応じてゲームカウンタのカウント値を加算する(ST21)。上昇操作ボタンランプ15Pを点滅させ(ST22)、上昇操作ボタン15がONされたかどうか、すなわち上昇操作ボタン15がプレイヤにより押されたかどうか判別する(ST23)。ここで“YES”のときは、景品押出手段8の上昇を開始させる(ST24)。すなわち、Z軸方向駆動モータ27を駆動させ、景品押出手段8をZ軸の上方向へ移動させる。
【0083】
上昇操作ボタン15がOFFされたかどうか、すなわちプレイヤにより押されていた上昇操作ボタン15が解放されたかどうか判別し(ST25)、ここで“YES”のときは、景品押出手段8の上昇を停止させる(ST27)。すなわち、Z軸方向駆動モータ27の駆動を停止させる。ST25で“NO”であっても、景品押出手段8がZ軸の上端に到達し、Z軸上端検知センサ23がONとなったときは(ST26で“YES”)、景品押出手段8の上昇を停止させる(ST27)。
【0084】
続いて、横移動操作ボタンランプ14Pを点滅させる(ST28)。続いて、横移動操作ボタン14がONされたかどうか、すなわち横移動操作ボタン14がプレイヤにより押されたかどうか判別し(ST29)、ここで“YES”のときは、景品押出手段8の取り付けられたZ軸スライドレール9の横移動を開始させる(ST30)。すなわち、X軸方向駆動モータ25を駆動させ、Z軸スライドレール9をX軸の右方向へ移動させる。
【0085】
横移動操作ボタン14がOFFされたかどうか、すなわちプレイヤにより押されていた横移動操作ボタン14が解放されたかどうか判別し(ST31)、ここで“YES”のときは、X軸方向駆動モータ25の駆動を停止させ、Z軸スライドレール9の横移動を停止させる(ST33)。ST31で“NO”であっても、Z軸スライドレール9がX軸の限界位置に到達し、X軸限界位置検知センサ20がONとなったときは(ST32で“YES”)、Z軸スライドレール9の横移動を停止させる(ST33)。
【0086】
次に図11に移り、Y軸方向駆動モータ26を駆動させ、景品押出手段8のゲーム空間の奥側への移動(前進)を開始させ(ST34)、続いて、セットされたクラッチブレーキ29の作動パターンに基づきクラッチブレーキ29を作動させる(ST35)。
【0087】
景品押出手段8がY軸の限界位置に到達し、Y軸限界位置検知センサ22がONとなったときは(ST36で“YES”)、景品押出手段8をY軸の初期位置に戻すように手前に移動(後退)させる(ST37)。Y軸初期位置検知センサ21がONとなり、景品押出手段8が初期位置に戻ったことを確認すれば(ST38で“YES”)、続いて、Z軸スライドレール9をX軸の初期位置に戻すように左側に横移動させる(ST39)。X軸初期位置検知センサ19がONとなり、Z軸スライドレール9が初期位置に戻ったことを確認すれば(ST40で“YES”)、続いて、景品押出手段8をZ軸の下端に戻すように下降させる(ST41)。Z軸下端検知センサ24がONとなり、景品押出手段8がZ軸の下端に戻ったことを確認すれば(ST42で“YES”)、1ゲーム終了となる。
【0088】
なお、景品押出手段8のY軸方向への移動開始から終了までを、上記のようなセンサ(Y軸限界位置検知センサ22,Y軸初期位置検知センサ21)の検知によって判断するのではなく、時間(秒数)で判断するようにしてもよい。
【0089】
次に、本ゲーム装置で行うデモ演出について、以下に説明する。
【0090】
図12は、載置台揺動装置60の構造を示す。載置台揺動装置60は、基台6a,6bの中央の後方位置に設置される。載置台揺動装置60は、載置台揺動基台62と、該載置台揺動基台62に回転自在に軸支された載置台揺動用回転軸63と、該載置台揺動用回転軸63を回転させるための載置台揺動装置駆動用モータ61とを備える。
【0091】
載置台揺動装置駆動用モータ61の回転は、その出力軸に軸着されたピニオン64と、載置台揺動用回転軸63の先端に取り付けられる歯車との噛合いによって、載置台揺動用回転軸63に伝達される。
【0092】
載置台揺動用回転軸63の外周には、当該載置台揺動用回転軸63が回転したとき、載置台に取り付けた揺動部材50L1,50R1,50L2,50R2を揺動させるための係合片66a,66bが上下2カ所に取り付けられる。この係合片66a,66bは、半楕円形状に形成され、上記揺動部材50L1,50R1,50L2,50R2の係合部51L1,51R1,51L2,51R2と係合するような位置に取り付けられる。係合片66a,66bは、載置台揺動用回転軸63の回転動作に伴って移動するため、その軌道上に係合部51L1,51R1,51L2,51R2が置かれる。
【0093】
図13は、図12のXIII−XIII断面を上方から見た断面図である。この図に示すように、係合部51L2,51R2は、載置台揺動用回転軸63の回転動作に伴い移動する係合片66bの回転軌道73上に置かれる。載置台揺動用回転軸63が時計方向に回転した場合、係合片66bは回転軌道73を時計方向に移動するため、その回転軌道73上に置かれた右側の係合部51R2は前方(Y軸の負方向)に、左側の係合部51L2は後方(Y軸の正方向)に、それぞれ押しやられる。
【0094】
これにより、揺動部材50L2,50R2は反時計方向に回転し、これに連結された第1回動板35L2,35R2も連動して反時計方向に回転する。すなわち、載置台が反時計方向に回転する。一方、載置台揺動用回転軸63が反時計方向に回転した場合は、係合片66bは回転軌道73を反時計方向に移動するため、左側の係合部51L2は前方(Y軸の負方向)に、右側の係合部51R2は後方(Y軸の正方向)に、それぞれ押しやられる。これにより、揺動部材50L2,50R2は時計方向に回転し、これに連結された第1回動板35L2,35R2も連動して時計方向に回転する。すなわち、載置台が時計方向に回転する。
【0095】
載置台揺動装置60の実際の動作について、図14〜図17を参照して説明する。
【0096】
図14は、載置台揺動用回転軸63が時計方向に回転し、係合片66bが係合部51R2に当接したときの状態を示す。このときは、まだ、載置台は静止したままである。
【0097】
図15は、載置台揺動用回転軸63が図14に示した状態よりさらに回転し、係合片66bが右側に位置する係合部51R2を押しながら移動しているときの状態を示す。このとき、右側の第1回動板35R2は、係合部51R2の動きに連動して反時計方向に回転している。この右側の第1回動板35R2の動きに伴い、5R3,5R4の位置も移動している。すなわち、載置台が反時計方向に回転している。
【0098】
図16は、載置台揺動用回転軸63が図15に示した状態よりさらに回転し、係合片66bが左側に位置する係合部51L2を押しながら移動しているときの状態を示す。このとき、左側の第1回動板35L2は、係合部51L2の動きに連動して反時計方向に回転し、この左側の第1回動板35L2の動きに伴い、トレイ5L3,5R3の位置が移動している。すなわち、載置台が反時計方向に回転している。このとき、右側に位置する係合部51R2は、上記第2バネ46により、移動前の元の位置(原点位置)に戻されている。
【0099】
図17は、基台6b上のトレイ5L3,5R3,5L4,5R4上に景品7a〜7dを載置し、上記載置台揺動装置60(図12)によるデモ演出が行われたときの動作を示す。
【0100】
図17(A)は、デモ演出が行われていない静止状態を示す。
【0101】
図17(B)は、デモ演出が開始し、ここでは、載置台揺動用回転軸63の回転により右側の第1回動板35R2が反時計方向に回転したときの状態を示す。右側の第1回動板35R2の回転に伴い、トレイ5L4,5R4が反時計方向に回転、すなわち右側の載置台が反時計方向に回転し、図17(A)に示した静止状態と比較して、トレイ5L4上の景品7cが前方に、トレイ5R4上の景品7dが後方に移動している。
【0102】
図17(C)は、図17(B)の状態よりさらに載置台揺動用回転軸63が回転し、左側の第1回動板35L2が反時計方向に回転したときの状態を示す。左側の第1回動板35L2の回転に伴い、トレイ5L3,5R3が反時計方向に回転、、すなわち左側の載置台が反時計方向に回転し、図17(A)に示した静止状態と比較して、トレイ5L3上の景品7aが前方に、トレイ5R3上の景品7bが後方に移動している。
【0103】
このようなデモ演出は、ゲームが行われていない所定期間に行われる。具体的には、ゲームが終了した後の所定時間経過後に開始し、プレイヤによるコイン投入によってコイン投入スイッチ16Sからの信号入力があったとき、すなわち「ゲーム開始指令」が出されたときに終了する。
【0104】
このようなデモ演出を行うことで、ゲームを行っていないプレイヤに対し、トレイ5L1,5L2,5L3,5L4,5R1,5R2,5R3,5R4上の景品に注目させることができ、また、ゲーム装置そのものに興味を抱かせることができる。また、デモ演出自体に面白みを持たせることができる。
【0105】
また、本ゲーム装置1において、上記の設定レベルの選択を含む各種の設定を行うため、液晶表示装置、CRT等の表示装置を筐体2に設け、その表示画面を利用して設定操作を行えるようにしてもよい。この設定操作に応じた各種の設定は、設定手段としての機能を有する制御回路30において実行される。
【0106】
図18〜図24に、その表示装置を用いて設定操作を行う場合の具体例を示す。
【0107】
図18は、各種の設定を行うために設けた画面70に表示される「初期メニュー」を示す。この「初期メニュー」は、上記ゲームモード/設定モード切換スイッチ33を「設定モード」に切り換えたときに表示される。この「初期メニュー」では、「1.設定」、「2.データ表示」、「3.テスト」、「4.アシスト」及び「5.その他」の5つの選択項目が表示される。
【0108】
この「初期メニュー」において、横移動操作ボタン14の操作によりカーソル71を移動させ、上昇操作ボタン15の操作により一つの選択項目が選択される。その後、カーソル71が「決定」項目に移動し、上昇操作ボタン15の操作を行うと、続いて、選択した項目に応じたメニューを画面70に表示する。
【0109】
図19(1)は、上記「初期メニュー」において、「1.設定」が選択されたときに表示される「設定メインメニュー」を示す。この「設定メインメニュー」では、「1.ペイアウト設定」、「2.サウンド設定」、「3.料金設定」、及び「4.時間設定」の4つの選択項目が表示される。
【0110】
この「設定メインメニュー」において、上記「初期メニュー」と同様の操作により一つの選択項目を選択すれば、カーソル71が移動し、「A:決定」又は「B:戻る」のいずれかが横移動操作ボタン14により選択可能な状態となる。そして、「A:決定」が選択された状態で上昇操作ボタン15を操作すると、その選択項目に応じたメニューを画面70に表示し、「B:戻る」が選択された状態で上昇操作ボタン15を操作すると、上記「初期メニュー」を画面70に再び表示する。
【0111】
図19(2)は、上記「設定メインメニュー」において、「1.ペイアウト設定」が選択されたときに表示される「ペイアウト設定メインメニュー」を示す。この「ペイアウト設定メインメニュー」では、「1.チャンスアップ設定」及び「2.固定設定」の2つの選択項目が表示される。
【0112】
「ペイアウト設定メインメニュー」では、上記「設定メインメニュー」と同様の操作により項目の選択がなされ、「1.チャンスアップ設定」が選択された場合は、その後、払出率に応じて定めたレベルを選択する後述の「レベル選択メニュー」が表示され、ここで選択されたレベルを基に、実払出率に応じたクラッチブレーキ29の作動パターンの難易度調整がゲーム中実行される。一方、「ペイアウト設定メインメニュー」で「2.固定設定」が選択された場合は、その後、クラッチブレーキ29の作動パターンの難易度(とれやすさレベル)を選択する後述の「とれやすさレベル選択メニュー」が表示され、ここで選択された難易度のクラッチブレーキ29の作動パターンでゲームが実行される。すなわち、「2.固定設定」が選択された場合は、クラッチブレーキ29の作動パターンの難易度調整は行われず、当該難易度を固定した状態でゲームが実行される。
【0113】
図19(3)は、上記「設定メインメニュー」において、「2.サウンド設定」が選択されたときに表示される「サウンド設定メニュー」を示す。この「サウンド設定メニュー」では、ゲーム中或いはデモ演出中におけるBGMや効果音が選択でき、ここでは、これらの音の種類を示す「1.サウンド1」〜「7.サウンド7」及び「8.サウンドなし」の8つの選択項目が表示される。
【0114】
図19(4)は、上記「設定メインメニュー」において、「3.料金設定」が選択されたときに表示される「料金設定メニュー」を示す。この「料金設定メニュー」では、サービスプレイのON/OFFの切換及びサービスプレイの設定変更が行える。
【0115】
図19(5)は、上記「設定メインメニュー」において、「4.時間設定」が選択されたときに表示される「時間設定メニュー」を示す。この「時間設定メニュー」では、現在の日付及び時間の設定が行える。
【0116】
図20は、「ペイアウト設定メインメニュー」で「1.チャンスアップ設定」或いは「2.固定設定」のいずれかが選択された後の画面70での表示内容の流れを示す。
【0117】
まず、画面70には、図20(11)に示す「個別/全体選択メニュー」が表示される。これは、「1.チャンスアップ設定」或いは「2.固定設定」のいずれが選択された場合であっても表示される。ここで、「1.個別設定」が選択されたときは、各トレイ毎にレベル或いはとれやすさレベルの選択が行える。一方、「2.全体設定」が選択されたときは、全トレイについて均一に定めるレベル或いはとれやすさレベルの選択が行える。
【0118】
「1.個別設定」が選択されたときは、続いて、図20(12)に示すような「景品情報」が画面70に表示される。この「景品情報」では、各トレイ毎に設定されているレベル或いはとれやすさレベルが参照できる。また、この景品情報では、トレイ上に載置されている景品の外観を含む景品についての情報が表示される。「景品情報」を表示した後、各トレイについてのレベルが選択できる図20(13)に示す「レベル選択メニュー」或いはとれやすさレベルが選択できる図20(14)に示す「とれやすさレベル選択メニュー」が表示される。
【0119】
「2.全体設定」が選択されたときは、図20(12)に示すような「景品情報」を表示することなく、「レベル選択メニュー」或いは「とれやすさレベル選択メニュー」が表示される。
【0120】
図20(13)に示す「レベル選択メニュー」は、上述の通り、「ペイアウト設定メインメニュー」で「1.チャンスアップ設定」が選択されたときに表示され、ここでは、実払出率に応じたクラッチブレーキ29の作動パターンの難易度調整の基となるレベルの選択が行え、ここに示す“1〜6”は図6に示す“設定レベル1〜6”を示している。
【0121】
図20(14)に示す「とれやすさレベル選択メニュー」は、上述の通り、「ペイアウト設定メインメニュー」で「1.固定設定」が選択されたときに表示され、ここでは、クラッチブレーキ29の作動パターンの難易度を示すとれやすさレベルの選択が行え、ここに示す“A〜E”は図7に示す“難易度ランクA〜E”を示している。
【0122】
図21(21)は、上記「初期メニュー」において、「2.データ表示」が選択されたときに表示される「データ表示メニュー」を示す。この「データ表示メニュー」では、「1.個別」及び「2.全体」の2つの選択項目が表示される。ここで、「1.個別」が選択されたときは、各トレイ毎の各種データが表示され、「2.全体」が選択されたときは、ゲーム装置全体の各種データが表示される。
【0123】
表示されるデータは、図21(22)に示すように、投入された金額を示す「インカム」、「プレイ回数」、景品を払い出した数を示す「払出数」、プレイ回数に対する払出数の割合を示す「払出率」が表示される。これらのデータは、時間毎或いは日にち毎に表示可能である。
【0124】
図22(31)は、上記「初期メニュー」において、「3.テスト」が選択されたときに表示される「テストメインメニュー」を示す。この「テストメインメニュー」では、「1.7セグLEDテスト」、「2.サウンドテスト」、「3.スイッチ入力テスト」及び「4.センサテスト」の4つの選択項目が表示される。
【0125】
この「テストメインメニュー」において、「1.7セグLEDテスト」が選択されたときは、7セグメントLEDで構成される上記ゲームカウント表示部18及びサービスプレイ表示部72の表示機能が正常に作動するかどうかのテストが実行され、「2.サウンドテスト」が選択されたときは、正常にサウンド出力が行われるかどうかのテストが実行される。
【0126】
「テストメインメニュー」において、「3.スイッチ入力テスト」が選択されたときは、続いて、図22(32)に示すような「スイッチ入力テストメニュー」が表示される。「スイッチ入力テストメニュー」では、横移動操作スイッチ14Sの動作テストを実行する「1.横移動操作スイッチ」、上昇操作スイッチ15Sの動作テストを実行する「2.上昇操作スイッチ」、コインの投入なしで1プレイ分の動作を可能とするサービススイッチの動作テストを実行する「3.サービススイッチ」、コイン投入スイッチ16Sの動作テストを実行する「4.コイン投入スイッチ」、景品検出センサ17Sの動作テストを実行する「5.景品検出センサ」及びドアセンサ2Sの動作テストを実行する「6.ドアセンサ」の4つの選択項目が表示される。この「スイッチ入力テストメニュー」でいずれかの項目が選択されると、その項目に応じたスイッチ,センサについて、正常に作動するかどうかのテストが実行される。
【0127】
「テストメインメニュー」において、「4.センサテスト」が選択されたときは、続いて、図22(33)に示すような「センサテストメニュー」が表示される。「センサテストメニュー」では、「1.オートテスト」及び「2.マニュアルテスト」の2つ選択項目が表示される。
【0128】
この「センサテストメニュー」において、「1.オートテスト」が選択されたときは、X軸初期位置検知センサ19、X軸限界位置検知センサ20、Y軸初期位置検知センサ21、Y軸限界位置検知センサ22、Z軸上端検知センサ23、及びZ軸下端検知センサ24の各々について正常に動作するかどうかのテストが自動的に実行される。
【0129】
一方、「センサテストメニュー」において、「1.マニュアルテスト」が選択されたときは、続いて、図22(34)に示すような「マニュアルテストメニュー」が表示される。この「マニュアルテストメニュー」では、「1.左右移動」「2.上下移動」及び「3.奥行き移動」の3つ選択項目が表示される。
【0130】
「1.左右移動」が選択されたときは、Z軸スライドレール9を左右に駆動させ、X軸初期位置検知センサ19及びX軸限界位置検知センサ20の動作テストが実行される。「2.上下移動」が選択されたときは、景品押出手段8を上下に駆動させ、Z軸上端検知センサ23及びZ軸下端検知センサ24の動作テストが実行される。「3.奥行き移動」が選択されたときは、景品押出手段8をY軸方向に駆動させ、Y軸初期位置検知センサ21及びY軸限界位置検知センサ22の動作テストが実行される。
【0131】
図23は、上記「初期メニュー」において、「4.アシスト」が選択されたときに表示される「アシストメニュー」を示す。この「アシストメニュー」では、上述のアシストゲーム状態とするゲーム数を1〜9ゲームの間で設定することができる。
【0132】
図24(41)は、上記「初期メニュー」において、「5.その他」が選択されたときに表示される「その他メニュー」を示す。この「その他メニュー」では、「1.アドバタイズ」及び「2.初期化」の2つの選択項目が表示される。
【0133】
この「その他メニュー」において、「1.アドバタイズ」が選択されたときは、図24(42)に示すような「アドバタイズメニュー」が表示される。この「アドバタイズメニュー」では、載置台揺動装置60によるデモ演出を行うかどうかの選択が行える。ここで、“ON”を選択したときに当該デモ演出が実行される。
【0134】
一方、「2.初期化」が選択されたときは、上記の「インカム」、「プレイ回数」、「払出率」等の各種データがリセットされる。
【0135】
以上のような設定を、表示画面を備えたノートパソコン,携帯電話機,PDA,携帯ゲーム機等の携帯端末装置を景品取得ゲーム装置1に接続して、該携帯端末装置の画面上で各種設定を行えるようにしてもよい。この場合、携帯端末装置を景品取得ゲーム装置1に固定できるような構成としてもよい。
【0136】
次に、上記クラッチブレーキ29(図5)の制動力調整を行う「制動力調整処理」について説明する。本ゲーム装置1では、クラッチブレーキ29の精度調整を行う制動力調整処理が定期的に実行される。この制動力調整処理は、制動力調整手段としての機能を有する制御回路30において行われる。この制動力調整処理を行うのは、クラッチブレーキ29は、その個体差や経年変化により動作精度にずれが生じるためである。
【0137】
このクラッチブレーキ29の制動力調整処理は、上記載置台揺動装置60を利用して行われる。
【0138】
図25は、クラッチブレーキ29の制動力調整処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、上側の基台6b上の右側の第1回動板35R2に連結されるクラッチブレーキ29について、制動力調整処理を実行する場合を例に挙げて説明する。
【0139】
図25のフローチャートにおいて、まず、載置台揺動用回転軸63を時計方向に回転させる(ST51)。これにより、図15に示すように、係合片66bが右側の係合部51R2に押し当たり、右側の第1回動板35R2が反時計方向に回転する。
【0140】
次に、反時計方向に回転した右側の第1回動板35R2の回転角度が、最大回転角度に達したかどうかを判別する(ST52)。回転角度は、第1回動板35R2の静止状態を0°としたときの回転角度であり、回転軸36の回転角度を当該回転軸36に直結されるロータリエンコーダ75で計測することによる。
【0141】
本実施例では、分解能(1回転あたりの出力パルス数)が“100”のロータリエンコーダ75を用いるものとする。この場合、回転軸36が3.6°回転する毎にパルス電圧が出力され、回転軸36の位置を示す角度は3.6°単位での検出となる。また、最大回転角度を18°に設定する。
【0142】
図26は、係合片66bと右側の係合部51R2との係合状態が終了した瞬間、すなわち載置台の反時計方向への回転角度が最大回転角度の18°に達したときの状態を示す。
【0143】
上記ST52で、“YES”のとき、すなわち載置台の回転が最大回転角度の18°に達したことがロータリエンコーダ75により検出されたとき、クラッチブレーキ29を「基準ブレーキ作動パターン」で作動させる(ST53)。「基準ブレーキ作動パターン」は、この制動力調整処理用に定めたクラッチブレーキ29の作動パターンで、クラッチブレーキ29の動作精度が正常であれば、所定時間経過後に載置台の回転前の元の位置である「原点位置」で載置台がきちんと停止するような作動パターンである。
【0144】
具体的には、図28に示す実線PT0のようなパターンでクラッチブレーキ29を作動させる。ここでは、X軸にクラッチブレーキ29の作動時間[s]、Y軸にクラッチブレーキ29の出力トルク[N・m]を示している。この図28に示すクラッチブレーキ29の作動パターンでは、作動開始後tn[s]経過時に第載置台が原点位置で停止するように定めたものである。
【0145】
続いて、基準ブレーキ作動パターンによるクラッチブレーキ29の作動が完了したかどうか、すなわち、作動開始後tn[s]経過したかどうかを判別する(ST54)。
【0146】
ST54で“YES”の場合、載置台の停止位置をロータリエンコーダ75で計測し、原点位置との誤差の有無を判別し、原点位置にきちんと戻っているかどうかを確認する(ST55)。
【0147】
ここで、原点位置を基準として反時計方向すなわち手前側を“−”とし、原点位置を基準として時計方向すなわち奥側を“+”とし、回転軸36の角度位置を定める。すなわち、クラッチブレーキ29の作動が完了したとき、原点位置より3.6°手前の位置で回転軸36の回転が停止したときは、原点位置との誤差が“−3.6°”と判別される。一方、クラッチブレーキ29の作動が完了したとき、原点位置を超えて3.6°奥側の位置で停止したときは、原点位置との誤差が“+3.6°”と判別される。
【0148】
上述の通り、使用されるロータリエンコーダ75は、回転軸36の位置を3.6°単位で検出するため、検出される原点位置との誤差は、手前側では“−18°”,“−14.4°”,“−10.8°”,“−7.2°”,“−3.6°”のいずれかであり、奥側では、“+18°”,“+14.4°”,“+10.8°”,“+7.2°”,“+3.6°”のいずれかである。
【0149】
ST55で“YES”の場合は、ロータリエンコーダ75で検出した原点位置との誤差に応じて、クラッチブレーキ29の調整トルク値を決定する(ST56)。
【0150】
図27に示すように、ロータリエンコーダ75の検出値すなわち原点位置との誤差に応じてクラッチブレーキ29の調整トルク値を決定される。ここで決定された調整トルク値をクラッチブレーキ29の作動時に加減算することで、第1回動板35R2について、誤差のない正常な動作が実現される。例えば、図7に示した各種ブレーキ作動パターンについて、決定された調整トルク値を加減算して作動させるものとする。
【0151】
図28に示した「基準ブレーキ作動パターン」を例に説明すると、例えば、クラッチブレーキ29の作動が完了したとき、原点位置を超えて3.6°奥側の位置で停止したとき、すなわち原点位置との誤差が+3.6°の場合は、図27より調整トルク値が+T1であるので、基準ブレーキ作動パターンにT1加算したブレーキ作動パターンPT1となる。これとは逆に、クラッチブレーキ29の作動が完了したとき、原点位置より3.6°手前の位置で停止したとき、すなわち原点位置との誤差が−3.6°の場合は、図27より調整トルク値が−T1であるので、基準ブレーキ作動パターンにT1減算したブレーキ作動パターンPT6となる。
【0152】
以上の制動力調整処理は、載置台揺動装置60を利用して行われるので、デモ演出実行時において実行することができる。この場合、デモ演出の一動作実行毎、すなわち載置台揺動用回転軸63が1回転する毎に当該制動力調整処理を行うようにしてもよいし、所定回転毎に行うようにしてもよい。また、この制動力調整処理は、デモ演出中に限らず、例えば、ゲーム装置1の電源投入時等に行うようにしてもよい。
【0153】
図29のフローチャートは、クラッチブレーキ29の制動力調整処理の別の方法について、その手順を示す。ここでも、載置台に連結されるクラッチブレーキ29について、制動力調整処理を実行する場合を例に挙げて説明する。
【0154】
図29のフローチャートにおいて、まず、右側の載置台の左側、すなわち第1回動板35R2の左側(トレイL1側)が奥側に押され、突き当たる位置まで押されたかどうか判別する(ST61)。例えば、載置台は、ゲーム店の店員等の人間の手によって押される。もちろん、人間の手によらず自動的に奥側に移動させるような構成としてもよい。
【0155】
図30は、載置台が突き当たる位置まで押されたときの状態を示す。この図30に示すように、基台6b上に円柱状の回転制止部材76を取り付け、ここに第1回動板35R2の側面を突き当てることで回転が制止される。この図30に示すように、載置台が突き当たる位置まで押されたときの回転軸36の回転角度は、原点位置から70°の位置である。従って、載置台が突き当たる位置まで押されたかどうかは、回転軸36に直結されたロータリエンコーダ75が70°の位置を検出することによって判別される。
【0156】
ST61で“YES”のときは、所定の出力トルクでクラッチブレーキ29を作動させ、載置台を固定させる(ST62)。
【0157】
クラッチブレーキ29による載置台の固定を完了したら、次に、そのクラッチブレーキ29の出力トルクを徐々に弱めるようにクラッチブレーキ29を制御する(ST62)。
【0158】
図31に示すように、第1回動板35R2の固定したときの出力トルクをMAXとし、時間に比例して出力トルクを徐々に弱める。
【0159】
その後、固定されていた第1回動板35R2が原点位置の方へ移動を開始したか、すなわち動き出したかどうかを判別する(ST64)。この動き出したかどうかの判別は、ロータリエンコーダ75の検出値(70°)が変動したかどうかによって判別される。
【0160】
載置台が動き出したとき(ST64で“YES”)、そのときのクラッチブレーキ29の出力トルクを計測し、この計測結果と「基準トルク」とを比較し、誤差があるかどうか判別する(ST65)。ここで「基準トルク」とは、クラッチブレーキ29の動作精度が正常である場合において、上記図30に示した状態から載置台が動き出すときの出力トルクであり、予め定められる。例えば、図31に示すように基準トルクが予め定められる。
【0161】
載置台が動き出したときの出力トルクと基準トルクとの間で誤差があるとき(ST66で“YES”)、その誤差に応じてクラッチブレーキ29の調整トルク値を決定する(ST66)。例えば、基準トルクより大きいトルクで動き出したときは、その誤差分を調整トルク値として、通常のトルク値より当該調整トルク値分減算して、クラッチブレーキ29を作動させるようにする。一方、基準トルクより小さいトルクで動き出したときは、その誤差分を調整トルク値として、通常のトルク値に調整トルク値分加算して、クラッチブレーキ29を作動させるようにする。
【0162】
以上の制動力調整処理は、すべての載置台に連結されるクラッチブレーキ29について行う。
【0163】
このような制動力調整処理を行うことで、クラッチブレーキ29の動作精度にずれが生じた場合でも、所望の制動力が常に得られ、クラッチブレーキ29による景品取得の難易度調節が安定したものとなる。すなわち、クラッチブレーキ29の個体差や経年変化に影響されることなく、予め定めた景品の払出率を維持させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である景品取得ゲーム装置の全体外観を示す斜視図。
【図2】景品取得ゲーム装置の動作を制御する制御手段の構成を示すブロック図。
【図3】景品押出手段の移動する様子を説明した図。
【図4】第1回動板の回転の機構を説明した図。
【図5】載置台の回転機構を説明した図。
【図6】設定レベルと払出率の関係を示す図。
【図7】クラッチブレーキの作動パターンを難易度ランク別に示す図。
【図8】ブレーキ作動時とブレーキ未作動時における載置台の動きを示した概略図。
【図9】制御回路が実行する処理手順を示すフローチャート。
【図10】ゲーム制御処理の手順を示すフローチャート。
【図11】図10の続きを示すフローチャート。
【図12】載置台揺動装置の構造を示す斜視図。
【図13】図12のXIII−XIII部分の断面図。
【図14】載置台揺動装置が作動したときの第1の状態を示す図。
【図15】載置台揺動装置が作動したときの第2の状態を示す図。
【図16】載置台揺動装置が作動したときの第3の状態を示す図。
【図17】トレイ上に景品を載置し、載置台揺動装置によるデモ演出が行われたときの動作を示す図。
【図18】「初期メニュー」を示す図
【図19】「初期メニュー」において「1.設定」を選択した後の表示内容を示す図。
【図20】「ペイアウト設定メインメニュー」で「1.チャンスアップ設定」或いは「2.固定設定」のいずれかが選択された後の表示内容の流れを示す図。
【図21】「初期メニュー」において「2.データ表示」を選択した後の表示内容を示す図。
【図22】「初期メニュー」において「3.テスト」を選択した後の表示内容を示す図。
【図23】「初期メニュー」において「4.アシスト」を選択した後の表示内容を示す図。
【図24】「初期メニュー」において「5.その他」を選択した後の表示内容を示す図。
【図25】クラッチブレーキの制動力調整処理の手順を示すフローチャート。
【図26】載置台の反時計方向への回転角度が最大回転角度の18°に達したときの状態を示す図。
【図27】原点位置との誤差に応じたクラッチブレーキの調整トルク値を示す図。
【図28】基準ブレーキ作動パターンを示す図。`
【図29】クラッチブレーキの制動力調整処理の別の方法についての手順を示すフローチャート。
【図30】載置台が突き当たる位置まで押されたときの状態を示す図。
【図31】時間に比例して出力トルクを徐々に弱めるときの時間と出力トルクとの関係を示す図。
【符号の説明】
1…景品取得ゲーム装置、2…筐体、2a…本体部、2b…ドア部、2S…ドアセンサ、3…透明パネル、4…ゲーム空間、5L1,5L2,5L3,5L4,5R1,5R2,5R3,5R4…トレイ、6a,6b…基台、7…景品、8…景品押出手段、8a…プッシャ、9…Z軸スライドレール、10…X軸スライドレール、11…スロープ部、12…落し穴部、13…ゲーム操作部、14…横移動操作ボタン、14S…横移動操作スイッチ、14P…横移動操作ボタンランプ、15…上昇操作ボタン、15S…上昇操作スイッチ、15P…上昇操作ボタンランプ、16…コイン投入口、16S…コイン投入スイッチ、17…景品払出口、17S…景品検出センサ、18…ゲームカウント表示部、19…X軸初期位置検知センサ、20…X軸限界位置検知センサ、21…Y軸初期位置検知センサ、22…Y軸限界位置検知センサ、23…Z軸上端検知センサ、24…Z軸下端検知センサ、25…X軸方向駆動モータ、26…Y軸方向駆動モータ、27…Z軸方向駆動モータ、28…装飾ランプ、29…クラッチブレーキ、30…制御回路、31…ゲームカウンタ、32…景品カウンタ、33…ゲームモード/設定モード切換スイッチ、35L1,35R1,35L2,35R2…第1回動板、35L1’…軸支穴、36…回転軸、37…連動部材、37a…連動部材回転軸、38,42…ネジ、39…ストッパ、40…第2回動板、40a…開口部、41…第1バネ、43…軸受カバー、44…止部材、45…カバー、46…第2バネ、47…第1傘歯車、48…第2傘歯車、50L1,50R1,50L2,50R2…揺動部材、51L1,51R1,51L2,51R2…係合部、60…載置台揺動装置、61…載置台揺動装置駆動用モータ、62…載置台揺動基台、63…回転軸、64…ピニオン、66a,66b…係合片、70…画面、71…カーソル、72…サービスプレイ表示部,73…回転軌道、75…ロータリエンコーダ、76…回転制止部材。
Claims (5)
- 外力によって移動可能な景品の載置台を有し、該載置台上に載置された景品を遊技者の操作により取得可能としたゲーム装置であって、
前記載置台を移動させた外力が無くなると当該載置台を移動前の原点位置へ復帰させる原点復帰機構と、
前記載置台を移動させる力に対抗する制動力を発生する制動手段と、
前記載置台を前記原点位置から所定位置まで移動させた後、前記制動力をかけた状態で前記原点復帰機構により前記載置台を前記原点位置の方へ戻し、所定時間経過した時の前記載置台の位置と前記原点位置とが一致しないとき、当該位置と前記原点位置との差に応じて前記制動力を調整する制動力調整手段と
を備えたことを特徴とするゲーム装置。 - 外力によって移動可能な景品の載置台を有し、該載置台上に載置された景品を遊技者の操作により取得可能としたゲーム装置であって、
前記載置台を移動させた外力が無くなると当該載置台を移動前の原点位置へ復帰させる原点復帰機構と、
前記載置台を移動させる力に対抗する制動力を発生する制動手段と、
前記載置台を定期的に所定量揺動させる載置台揺動手段と、
該載置台揺動手段により前記載置台を揺動させた後、前記制動力をかけた状態で前記原点復帰機構により前記載置台を前記原点位置の方へ戻し、所定時間経過した時の前記載置台の位置と前記原点位置と一致しないとき、当該位置と前記原点位置との差に応じて前記制動力を調整する制動力調整手段と
を備えたことを特徴とするゲーム装置。 - 請求項1又は2記載のゲーム装置において、前記制動力調整手段は、前記所定時間経過した時の前記載置台の位置が前記原点位置とが一致しないとき、当該位置が前記原点位置の手前側であるときは、当該位置と前記原点位置との差に応じて前記制動力を弱めるように調整し、当該位置が前記原点位置を超えているときは、当該位置と前記原点位置との差に応じて、前記制動力を強めるように調整することを特徴とするゲーム装置。
- 外力によって移動可能な景品の載置台を有し、該載置台上に載置された景品を遊技者の操作により取得可能としたゲーム装置であって、
前記載置台を移動させた外力が無くなると当該載置台を移動前の原点位置へ復帰させる原点復帰機構と、
前記載置台を移動させる力に対抗する制動力を発生する制動手段と、
前記載置台を前記原点位置から所定位置まで移動させた後、所定の制動力を制動手段に発生させて当該載置台を固定させ、その後、その制動力を徐々に弱めたとき、当該載置台が前記原点位置の方へ移動を開始したときの制動力を検出し、その検出された制動力に基づいて前記制動力を調整する制動力調整手段と
を備えたことを特徴とするゲーム装置。 - 請求項4記載のゲーム装置において、前記制動力調整手段は、前記載置台を前記原点位置から所定位置まで移動させたときに発生する当該載置台を移動させる力と一致する前記制動力を基準制動力として設定し、前記検出された制動力が該基準制動力より大きいときは、その差に応じて前記制動力を弱めるように前記制動手段を調整し、前記検出された制動力が該基準制動力より小さいときは、その差に応じて前記制動力を強めるように前記制動手段を調整することを特徴とするゲーム装置。
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