JP3762141B2 - ブレージングシートスクラップの半溶融分離方法の制御方法 - Google Patents

ブレージングシートスクラップの半溶融分離方法の制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は熱交換器等に使用されるアルミニウム合金製ブレージングシートのスクラップから芯材とろう材を分離する方法に関するものであり、特にろう材と芯材の融点差を利用して、実質的にろう材のみを溶融させた半溶融状態として、溶融状態のろう材を固体状態の芯材から分離する方法における制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のようにブレージングシートは、ろう付け後の構造材となる芯材の片面もしくは両面に低融点のろう材を皮材としてクラッドしたものであり、熱交換器等のろう付け構造体に従来から広く使用されている。
【0003】
ところで近年自動車のラジェータ等の熱交換器においては、軽量化のためにアルミニウム合金化が進み、そのため熱交換器に使用されるアルミニウム合金製ブレージングシートの生産も増加の一途をたどっている。
一方、ブレージングシートは前述のように芯材とろう材とをクラッドしたクラッド材の一種であるが、このようなクラッド材の製造過程においては、多量のスクラップ材が発生する。すなわち、異種合金間の圧着工程および熱間圧延工程での前後端の不良部分を切落したクロップ材、あるいは熱間圧延・冷間圧延の各工程での幅方向両側の不良部分のトリミング材、さらにはコイルでの寸法調整のために切落したオフゲージ部など、製造工程中で発生するスクラップの量は多く、そのためブレージングシート製造メーカーにおいてはスクラップ材の有効な回収、処理、再使用を図ることが重要な技術的課題となっている。
【0004】
一般にアルミニウム合金製ブレージングシートに皮材として使用されているろう材は7〜12%もの多量のSiを含有するアルミニウム合金であるのに対し、芯材としては一般にAl−Mn系合金などが用いられており、両者の合金成分組成は全く異なる。
そして、ブレージングシート全重量に対して芯材は通常60〜90%を占めており、残りの40〜10%がろう材となっている。
このようなブレージングシートのスクラップ材をそのまま再溶融させた場合には全体の合金成分が混ざり合い、芯材でもろう材でもない中途半端な合金組成の材料となる。
このため回収材をブレージングシートの芯材やろう材にそのまま再利用することはできず、他の低品位材料の用途に用いたり、あるいは部分的な配合材料として用いざるを得ない。そしてこのことがブレージングシートの製造コストを押上げる結果となっているのである。
【0005】
そこでブレージングシートのスクラップ材の処理方法として、スクラップ材からろう材部分のみを分離し、残る芯材部分を新たなブレージングシートの芯材に、また分離回収されたろう材を新たなブレージングシートのろう材にそれぞれ再利用する技術、すなわち“product to product”の直接的なリサイクル技術の開発が急務である。
【0006】
ところでブレージングシートスクラップ材について、その皮材であるろう材を芯材から分離するための方法としては、特開平4−218624号において、皮材(ろう材)と芯材との融点差を利用した方法が提案されている。
すなわちこの方法は、ろう材の融点が芯材よりも一般に60℃程度以上低いことを利用した方法であり、ろう材の液相線以上でかつ芯材の固相線以下の温度に加熱して、芯材は溶融させずに表面のろう材のみを溶融させ、溶融状態のろう材を芯材から分離・回収することとしており、このような方法を本発明者等は半溶融分離方法と称している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述のような従来から提案されている半溶融分離方法においては、未だ次のような問題があった。
【0008】
すなわちブレージングシートにおいては、芯材と皮材であるろう材との界面は冶金的に強固に接合されており、そのため外部から加熱した場合、両者の界面で合金成分の相互拡散が生じやすく、特に液相と固相との界面では拡散が著しく生じやすい。
したがって外部からの通常の加熱によって融点差を利用してろう材を分離させようとしても、満足できる分離結果は得難かったのが実情である。
【0009】
具体的には、皮材であるろう材と芯材との界面付近において、溶融ろう材から芯材部分へのSiの拡散によって芯材のSi濃度が高くなり、その結果、芯材の融点が低下し、溶融ろう材による侵食(エロージョン)が発生しやすくなる。この芯材の侵食が発生すると、芯材からろう材への合金成分の流入が発生して、その結果、回収ろう材は芯材の成分、特にMn量を多く含むようになる。
さらに、外部から単純に加熱した場合には、ろう材の溶融に要する時間が長く、それに伴なって前述のような界面付近でのろう材から芯材へのSiの拡散が激しくなり、溶融ろう材による芯材の侵食が激しくなる。
【0010】
また、特に表面のろう材の厚さが薄い場合には、溶融ろう材が液滴状となり、その表面張力が分離に及ぼす影響、すなわち芯材表面に付着してしまい流下しなくなることも無視できなくなり、この場合には単なる加熱だけでは満足できる分離結果が得られないのが実情である。
【0011】
これらに関して、ろう材を芯材から効率的にかつ成分拡散を少ないまま分離するための改良方法が考えだされた。
特開平10−219364号では高周波加熱によりブレージングシートスクラップを急速に加熱し、表面のろう材溶融後10G以上の加速度を付加して溶融ろう材を滴下させ、分離する方法が提案されている。この提案の分離方法の加熱及び加速度を付加するタイミングの制御方法は、加熱コイルに流す高周波電流を発生する為の高周波発振器の発振管の陽極電圧を一定に制御し、その陽極電流の変化から溶融ろう材を落下する為の加速度を付与するタイミングを決定するという方法である。
しかし、この制御方法ではろう材溶融後のスクラップ温度が上がりやすく、溶融ろう材による芯材のエロージョンが増加し、芯材が溶けることにより芯材に含まれるMnがろう材に含有されることになり、回収ろう材中のMn量が高くなりやすいという欠点があり、これをそのまま元のろう材にリサイクルするには問題であった。
芯材を芯材に、ろう材をろう材へリサイクルする、所謂“product to product”を完全に行う為には上記の合金成分の混入をさらに低下させることが必要である。
【0012】
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、ろう材と芯材との融点差を利用した半溶融分離法によってブレージングシートスクラップからろう材と芯材を分離するにあたり、前述の諸問題を解決して、表面のろう材のみを急速かつ効率的に溶融分離し、芯材の分離回収材さらにはろう材の分離回収材をそれぞれそのまま新たなブレージングシートの芯材、ろう材として確実に再利用できるようにすることを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前述のような課題を解決するため、本発明者等が鋭意実験・検討を重ねた結果、ブレージングシートスクラップの加熱手段として高周波誘導加熱を適用して、加熱制御方法を検討することにより、急速に加熱し、さらにろう材溶融後の温度上昇が少なく、このため溶融ろう材による芯材の侵食(エロージョン)がほとんど無く、分離回収ろう材中のMn量が非常に少なく、また分離回収芯材中のSi量も少なく、それぞれが元のろう材合金、芯材合金に直接リサイクルできる制御方法を発明した。
【0014】
本発明に関し以下に具体的に述べる。
本発明は、垂直な軸線を中心としてるつぼの周囲を螺旋状に巻くように配設された加熱コイルの誘導加熱によりるつぼ内のアルミニウム合金製ブレージングシートスクラップを加熱し、該スクラップのろう材と芯材との融点の差によりろう材を溶融させて、表面ろう材のみを芯材から溶融分離させる半溶融分離方法において、加熱コイル断面形状を矩形若しくはドッグボーン型とし、かつブレージングシートスクラップを平行に揃えてるつぼに装入し、電流一定制御を行い、この時の電圧変化、即ち急激な電圧低下後の時間に対する電圧変化から溶融ろう材を分離するタイミングを決定することを特徴とするブレージングシートスクラップの半溶融分離方法における制御方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明のブレージングシートスクラップの半溶融分離方法を実施している状況の一例を装置構成とともに図1に概略的に示す。
【0016】
図1において、耐熱材料からなるるつぼ1の周囲には垂直な軸線を中心としてるつぼ1を取囲むように矩形状若しくはドッグボーン形状に作られた加熱コイル2が配設されている。
さらにるつぼ1の下底面に相当する部分には網目構造もしくは格子形状あるいは多孔構造をなす透過支持部材3が設けられており、その透過支持部材3の下方には上面を開放した受け容器4が配設されている。またるつぼ1自体は支持脚5によって支持されており、その支持脚5は図示しない振動発生器もしくは衝撃発生器に機械的に結合されていて、その振動発生器もしくは衝撃発生器から支持脚5を介してるつぼ1に機械的振動もしくは衝撃力が付与されるようになっている。なおこの機械的振動もしくは衝撃力の方向性は垂直方向(上下方向)とすることが望ましい。
【0017】
図1に示すような構成において、るつぼ1内に対象となるブレージングシートスクラップ6を装入し、加熱コイル2に高周波電流を流してスクラップ6に電磁誘導による誘起電流を発生させる。このとき高周波電磁誘導による誘起電流は表皮効果によってスクラップ6の表面層に発生して、その表面層が自己発熱し、ろう材が溶融する。
そして振動発生器もしくは衝撃発生器から加えられる機械的振動もしくは衝撃力による加速度と重力とによってこれらの溶融したろう材はスクラップの表面に沿って流れ落ち、さらにスクラップから滴下し、るつぼ1の底部の透過支持部材3を経て下方の受け容器4に収容される。
【0018】
ここで、この発明の方法の実施にあたっては、加熱コイルの断面形状は矩形若しくはドッグボーン型とする。
るつぼが小型の場合は円筒形のコイルでも中心部まで磁力線が浸透し、充分な誘起電流を生じさせることができるが、るつぼが大型になるとそれが困難である。即ち、装入されたスクラップの均一加熱が難しくなり、芯材とろう材の分離効率が低下する。
これを解決するため、コイルをスクラップからほぼ等距離となる矩形とする。また矩形のコーナー部で磁力線密度が高くなりすぎる場合には、コーナー部を外側に張り出したドッグボーン形状とする。これにより、るつぼに装入されたブレージングシートスクラップにはほぼ均一に充分な磁力線が入り込み、部分的な過熱や温度低下を防止することができる。
【0019】
またブレージングシートスクラップは、平行に揃えて概ね鉛直方向に立てた状態でるつぼ内に収容する。より正確には、装入する全重量の80%以上のスクラップが水平面から60度以上の角度となるようにるつぼ1内に収容する。
前述のようにブレージングシートの製造工程中で発生するスクラップは、板からの切落し材(クロッブ材、トリミング材、オフゲージ部)がほとんどであり、その形状は板状をなしているのが通常であるから、板材として取扱って前述のように80%以上が水平面から60度以上をなすように立てた状態、すなわち概ね鉛直方向に立てた状態でるつぼ内に収容することができる。
【0020】
このようにスクラップを平行に揃えて概ね鉛直方向に立てた状態でるつぼ内に収容する理由は次の通りである。
すなわち、スクラップを平行に揃えることにより、溶融したろう材が図3(b)に示すように板間をブリッジングし、これにより板間の電気抵抗が減少して本発明の制御が可能となる。
また、スクラップを水平状態として上下に積み上げてるつぼ1内に収納した場合には、溶融したろう材が流れ落ちにくく、また滴下しにくく、そのため溶融したろう材がスクラップ芯材の表面に滞留して分離しにくくなるばかりでなく、溶融ろう材が長時間芯材表面に滞留するために溶融ろう材の合金成分、特にSiが芯材に拡散していわゆるエロージョン(侵食)が生じ、ろう材、芯材の分離回収効率が低下してしまう。また溶融ろう材により芯材がエロージョンされる為に回収ろう材中の含有Mn量が高くなりやすい。
これに対しスクラップを概ね鉛直方向に立てた状態でるつぼ内に収納しておけば、スクラップの表面で溶融したろう材が流れ落ちやすく、また滴下しやすくなり、さらにそれに伴なって溶融ろう材の芯材表面での滞留時間が短くなるため、前述のようなエロージョンが生じにくくなり、ろう材、芯材の分離回収効率が向上し、含有成分的にも好ましいものとなる。
【0021】
また、るつぼの周囲にコイル軸心を垂直方向として螺旋状に巻かれた加熱コイルにより発生する磁力線は概ね鉛直方向に配置されたスクラップの板面と平行にスクラップ内に入り込み、スクラップの表面層付近に効果的に誘起電流を生じさせて、高周波エネルギーを効率的にろう材の溶融に利用することができる。
【0022】
ここで、本来はすべてのスクラップが鉛直方向に立っていることが望ましいが、実際上は種々の寸法のスクラップを全て厳密に鉛直方向に沿って立てることは困難である。装入されるスクラップの全重量の80%以上のものが水平面から60度以上の角度で立っていれば良好な芯材とろう材の分離が可能である。
【0023】
スクラップを加熱するにあたって、芯材は溶融させずに表面のろう材のみを速やかに溶融させ、かつ溶融ろう材成分の芯材への浸透を最小限に抑えるには、スクラップを電磁誘導方式で自己発熱により直接的に急速加熱させること、またその際に高周波を用いて、高周波誘導加熱に特有の表皮効果を利用して表面のろう材を優先的に加熱、溶融させることが重要である。
【0024】
ここで、高周波誘導加熱により被加熱物に生じる誘起電流は、主として被加熱物の表皮領域を流れることが表皮効果として知られている。
誘起電流の電流密度は、被加熱物の表皮から内部へ向うに従って指数関数的に減少する。電流密度が表皮電流密度の1/e(但しeは自然対数の底である)となる深さを誘起電流の浸透深さと称し、周波数との関係は次の式で表わされる。
δ=5.03(ρ/μr・f)1 2 ‥‥‥(3)
ここで、δは誘起電流の浸透深さ(cm)、ρは被加熱物の比抵抗(μΩcm)であってアルミニウム合金の場合650℃でρ=10.3μΩcmと置くことができる。またμr は比透磁率であり、アルミニウム合金の場合ほぼ1と置くことができる。またfは周波数(Hz)である。すると浸透深さは表1のようになる。
被加熱物の板厚tが2.5δより薄くなると板中心部で板の表裏面から浸透する逆方向の誘起電流が打ち消し合い、加熱効率が低下する。しかし、本法の目的のためには浸透深さ程度の板厚(t≒δ)まで加熱が可能である。
【0025】
【表1】
Figure 0003762141
【0026】
次にろう材溶融後の溶融ろう材を分離する為に機械的振動もしくは衝撃力を付加する条件について説明する。
【0027】
ブレージングシートスクラップを概ね鉛直方向に立てた状態でるつぼ内で高周波誘導加熱すれば、前述のようにスクラップ表面のろう材は優先的に溶融されて、スクラップ板の表面に沿って流下し易くなる。
このような溶融ろう材をスクラップ板から分離させるには、機械的振動により加速度を与え落下させればよい。また衝撃力を与えてもよい。加速度的には10G以上の加速度を与えた方が分離後の回収ろう材量は増加し、回収芯材中のSi量が低下するので好ましい。
【0028】
次に本発明の要部である溶融ろう材分離のための機械的な振動もしくは衝撃力の付加開始のタイミング条件について説明する。
【0029】
ブレージングシートスクラップ板の表面のろう材が溶融した時点ですみやかに機械的加速度が付与されれば、溶融ろう材成分が芯材に拡散することを最小限に抑えて、ろう材による芯材のエロージョンを抑制し、回収ろう材中の芯材成分による汚染が少なくなる。また芯材、ろう材の効率的な分離回収が可能となる。
基本的にはろう材が溶融したらすぐに加速度を付与し、溶融ろう材を落下させることが分離の点から好ましい。
【0030】
この分離の為の加速度を付加するタイミングを設定する方法としては、今までに次の3方法が提案されていた。
(1) 目視による方法
これは、溶融ろう材が加速度を付加しなくても自然に落下する条件を目視で確認し、加速度を付加するタイミングを設定する方法である。しかし、実操業においては、省力化、自動化のために目視に代わる何らかの特性変化により判定を自動化することが要求されている。
(2) サンプル温度による方法
これはスクラップに熱電対を装着し、ろう材の溶融温度以上の温度に設定して、加速度を付加するタイミングを設定する方法である。この方法では自動化が可能であるが、スクラップ分離処理毎に熱電対を装着しなければならないという工程が入ることになる。また、スクラップのどの位置から温度を測定するかにより、溶融ろう材による芯材のエロージョン程度や、溶融ろう材の回収量が影響を受けるという問題点がある。
(3) 高周波発振管の陽極電圧一定制御による加熱方法で陽極電流の変化による方法
これは特開平10−219364で提案されている方法である。この方法では、加熱コイルとコンデンサを並列に接続し陽極電圧一定制御を行っている。この方法では、ろう材溶融後のスクラップ温度が短時間で高くなりやすく、タイミング設定や加速度の付与時間を厳しく管理しないと、溶融ろう材による芯材のエロージョンが激しくなりやすく、回収ろう材の芯材による汚染が大きくなりやすいという欠点がある。
【0031】
本発明法は (3)の方法をさらに改良したものであり、大きく異なるのは電流一定制御とした点である。
図2にこの時の高周波加熱炉の等価回路を示す。高周波加熱電流 'i'はコンデンサーCを経て加熱コイルLに供給される電流、 'v'は回路に印加される電圧、'r'は被加熱体の誘起電流に対する電気抵抗である。iDCは直流入力電流であり、VDCは直流入力電圧である。
加熱電力はi=一定となるように制御する、即ち電流一定制御である。
図2の等価回路から、vは、
v=i×[j(ωL−1/ωC)+r] ‥‥‥(2)
で与えられる。ここでLは加熱コイルのインダクタンス、Cはコンデンサの静電容量である。
ここで、コイルとコンデンサーは同調しており、ω2=1/CLであり、丸括弧内はゼロとなる。従って
v=i×r ‥‥‥(3)
となる。
【0032】
図3は加熱中のスクラップブロックに流れる誘起電流の流路を模式的に示す。
誘起電流は、本来は図3(b)に示すようにスクラップブロックの外周に沿って流れる。しかし板間に隙間もしくは表面の酸化膜があるため板間の抵抗が大きく、rは大きな値となる。この場合、スクラップブロックの外周に沿った電流は流れず、図3(a)に示すように、電流はスクラップ各板の表層に沿って流れる。
スクラップブロック全体への投入電力 i2×rはrが大きな値となるため、大きくなり、スクラップブロックは急速に加熱される。
【0033】
このdv/dtの値は加熱電力、トランス比、スクラップ装入量等により異なる為、事前にスクラップの溶解試験を行って加速度を付加するタイミングを設定する必要がある。一般的にはdv/dtが0で加振を行えばよい。加速度が少ない場合にはこのタイミングより何秒か、または何十秒か遅らせて加速度を付加させると、ろう材の回収量が増加し、回収芯材中に含まれるSi量を低下させやすくなる。
ろう材の溶融が始まると、溶融ろう材が板間をブリッジングするため板間の抵抗が減少し、rが小さくなり、上式から明らかなように、vが低下する。
この場合、誘起電流は、図3(b)に示すように、スクラップブロックの外周に沿って流れるようになる。この場合、スクラップブロック外周で発熱量が大きくなり、放熱のため温度が低下し易いブロック端部の温度が上昇して温度分布は均一化される。
上記のような加熱誘起電流の挙動は、スクラップブロックをろう材の融点より高温でかつ芯材の融点より低い温度域に安定して加熱するのに好都合である。
ろう材が溶融し、rが小さくなるとスクラップブロックに投入される電力、w=i×v=i2×rが小さくなり、昇温速度は自動的に低下する。これにより、スクラップが急速に加熱される現象が防止できる。
図4に示すように、電圧は加熱時間とともにしだいに上昇し、ろう材が溶融すると上昇が止まり急速に低下し、その後電圧vの低下が飽和し、電圧の時間変化率dv/dtがほぼゼロとなる。この電圧の時間変化が急激に低下した後のdv/dtがほぼゼロとなった時が溶融ろう材によるブリッジングが完成する時である。
従って、このdv/dtが限界値より小さくなるときを加振のタイミングとして設定する。限界値は装置の構成によって電圧の時間変化が異なるが、一般的にはdv/dtが−0.2〜0V/sとなった時点で加振を行えばよい。
【0034】
【実施例】
以下の実施例で本発明法の有効性を示す。
【0035】
[実施例1]
半溶融分離に用いたブレージングシートスクラップのサイズは板厚2.6mm、幅55mm、長さ150mmであり、合金組成は表2(分離前)に示すように、芯材がAl−Mn系合金、ろう材が4004合金からなり、両面クラッドで片側それぞれ11.5%のクラッド率である。
【0036】
スクラップとして、上記表1のブレージングシート3.5Kgを矩形るつぼ内に垂直に立て、るつぼの周囲に垂直な軸線を中心として螺旋状に巻かれたドッグボーン型加熱コイルに100kHzの高周波電流を流して高周波誘導加熱を行なった。
加熱コイルとコンデンサは直列に接続され、電流一定制御とした。加熱出力30KWであり、直流入力電流は150A一定とした。この加熱装置は富士電波工機(株)製造のものを使用した。
また溶融ろう材分離の為の加速度は周波数60Hzで最大加速度15Gの機械的振動とした。
【0037】
図4にスクラップの加熱曲線、及び直流入力電流iDC、直流入力電圧VDCの時間変化を示す。図4のiDC及びVDCはそれぞれ図2のiとvに対応した変化である。
図4で示されているように、ろう材が溶融し始めると、即ち約580℃から昇温速度が急に緩やかになっている。これはろう材の溶融が始まっている為であり、先に述べたように、rが低下しvに対応したVDCは急速に低下している。
ろう材溶融が始まるとスクラップ温度は自動的に入力が低下する為に時間が経過しても著しい温度上昇になっていない。即ちコンデンサと加熱コイルを直列接続の場合に電流一定制御を行うとろう材溶融後のスクラップ温度の上昇が少なく、本制御方法の有効なことがわかる。
このようにろう材溶融後の温度上昇が少ないと、目視・測温することなく、ろうの溶融を検出できるメリットがある。
【0038】
図4からスクラップを高周波加熱すると徐々にVDC電圧が高くなり、MAX電圧になりその後dV/dtが瞬間的に0になり、急速に電圧が低下し、dv/dtの傾きが負の値になり、その後dv/dtがまた0になりその状態が続く。
このdV/dtの傾きが負から0に変った時を機械的振動開始タイミングとして、周波数60Hzで最大加速度15Gを15秒間付与した。
このようにして分離回収されたろう材と芯材を化学分析した。表2に分離後のろう材、芯材の化学成分を示す。
【0039】
【表2】
Figure 0003762141
【0040】
表2に示すように、分離後のろう材には芯材からの合金成分特にMnの混入はほとんどなく、また芯材の合金成分もわずかにSiが増加しているが実用上無視できる量である。このように、本発明によって分離されたろう材および芯材はおのおの分離前の成分に近いものとなっており、従ってこの回収材をそのまま溶解してろう材、芯材として再利用することが可能である。
【0041】
これに対して、比較例として加熱コイルとコンデンサを並列に接続し、陽極電圧一定制御を行って陽極電流の変化から機械的振動付加のタイミングを決定し、上記と同じ周波数60Hzで最大加速度15Gを15秒間付与した。尚、陽極電流の変化は特開平10−219364号で提案されている方法により、ΔI・t/w>0.001であるためにこの値を0.0012で、陽極電圧が0.025A以下になった時点で振動を付加した。ここでΔIは陽極電流の電流減少量、tはスクラップ板厚、wはスクラップ重量である。
これにより分離されたろう材ならびに芯材の合金組成は、表2の比較例に示されるように分離ろう材中にはMnが0.20%と高い値で含まれており、一方芯材中のSiも高い値である。これら分離された芯材とろう材を元の材料としてリサイクルする為には、より多くの地金でこれら元素を薄めてしようしなければならず、リサイクル費用として高いものになる。
【0042】
【発明の効果】
ブレージングシートスクラップの半溶融分離にこの発明の制御方法を用いれば、ブレージングシートスクラップの表面のろう材を芯材部分から急速かつ効率的に分離することができ、特に芯材成分の混入量を最小限に抑えたろう材回収材を得ることができるから、ろう材をそのままブレージングシートのろう材として再利用することが可能となる。
また分離した芯材についても、分離前の芯材成分に近い芯材回収材を得ることができるから、芯材回収材についてもそのままブレージングシートの芯材に再利用が可能となり、ブレージングシートスクラップの“product to product”のリサイクルが可能となり、ブレージングシート製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法を実施している状況の一例を、実施のための装置構成とともに示す模式的な縦断面図である。
【図2】高周波加熱炉の等価回路を示した回路図である。
【図3】加熱中のワークに流れる誘起電流の模式図(平面図)である。
【図4】スクラップの加熱曲線及び直流入力電流、直流入力電圧の時間変化を示したグラフである。
【符号の説明】
1 るつぼ
2 加熱コイル
3 透過支持部材
4 回収ろう材の受け容器
5 支持脚
6 ブレージングシートスクラップ

Claims (1)

  1. 垂直な軸線を中心としてるつぼの周囲を螺旋状に巻くように配設された加熱コイルの誘導加熱によりるつぼ内のアルミニウム合金製ブレージングシートスクラップを加熱し、該スクラップのろう材と芯材との融点の差によりろう材を溶融させて、表面ろう材のみを芯材から溶融分離させる半溶融分離方法において、加熱コイル断面形状を矩形若しくはドッグボーン型とし、かつブレージングシートスクラップを全重量の 80 %以上のものが水平面から 60 度以上の角度で立っているように平行に揃えてるつぼに装入し、前記ブレージングシートスクラップに流れる誘起電流が一定となるよう電流一定制御を行い、電圧が上昇し最大値を超えた後において電圧の低下が飽和し dv/dt -0.2 0V/s となった時点(但し、vは電圧、tは時間である。)を、機械的振動又は衝撃力によってろう材を分離するタイミングとすることを特徴とするブレージングシートスクラップの半溶融分離方法における制御方法。
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