JP3762066B2 - 再生式空気予熱器出口ガスダクト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボイラ装置の再生式空気予熱器に係り、特に再生式空気予熱器の出口ガスダクト内の出口ガス温度の温度差を低減する再生式空気予熱器の出口ダクトに関する。
【0002】
【従来の技術】
図5に示すようにボイラ火炉1での燃料の燃焼排ガスはボイラ対流部の過熱器2、蒸発器3及び節炭器4によって熱交換された後、脱硝装置6で脱硝処理され、ガスダクト7に設けられた再生式空気予熱器8に流入する。またボイラ燃料燃焼用の空気ダクト9も再生式空気予熱器8を通り、ボイラに供給される構造になっている。ガスダクト7内のボイラ燃焼排ガスは再生式空気予熱器8でボイラ燃料燃焼用の空気と熱交換した後、分岐ガスダクト12および分岐ガスダクト13を通り、それぞれ電気集塵器14、15で集塵処理された後、脱硫装置17などで浄化処理された後、最終的に煙突18から大気に放出される。
【0003】
図4には再生式空気予熱器8が設けられるガスダクト7と空気ダクト9の部分およびガスダクト7が分岐する分岐ダクト12、13部分の拡大図を示すが、ボイラ排ガスは空気予熱器8の出口のガスダクト7から2系統の分岐ダクト12、13によって分岐される場合、再生式空気予熱器8の出口ガス温度が平均で設計予想温度を満足していても温度が不均一であると二台の電気集塵器14、15のいずれか一方の電気集塵器入口ガス温度が設計予想値よりも高くなり、集塵性能未達成ということもある得る。
【0004】
しかし、再生式空気予熱器8は回転エレメントを用いる構造であるため、その内部でのガス温度は約20〜40℃程度の温度不均一を生じやすく、上記したように、二台の電気集塵器14、15のいずれか一方の電気集塵器の性能低下が生じる。
【0005】
電気集塵器14、15では排ガス中のダストが除去されるが、電気集塵器14、15の集塵効率ηは一般に次のDeutsch理論式によって与えられる。
A=−(Q/W)×ln(1−η)
ここで、η:集塵効率
A:集塵面積
Q:処理ガス量
W:ダスト見掛移動速度
この式に示されるように、集塵効率ηは処理ガス量に大きく影響を受け、処理ガス量が増加するほど集塵効率は低下する。すなわち、集塵器14、15の入口ガス温度が高くなれば集塵効率が低下する。
【0006】
従来の技術においては、再生式空気予熱器8は図3の平面概略図に示すように、ガスダクト7と空気ダクト9を横断する方向に回転する熱交換用の回転エレメント8’から構成されていて、ガスダクト7を横断する過程で回転エレメント8’が高温のボイラ燃焼排ガスから得た熱を空気ダクト9を横断する過程で燃焼用空気の予熱に使用される構成になっている。
【0007】
したがって、図3に示すように再生式空気予熱器8出口で回転エレメント8’の回転方向によってガス温度差が生じる。すなわち、図3に示すようにガスダクト7を通過する回転エレメント8’はガスダクト7の通過初期段階にはボイラ火炉1(図5)からの燃焼排ガスとの熱交換が十分なされていないので、比較的低温であるが、ガスダクト7の通過最終段階になると比較的高温になる。
したがって、再生式空気予熱器8通過後のガスダクト7内には図2(a)に示すように低温域と高温域の温度差のあるガス領域が形成される。
【0008】
そして、この温度差をもったままガスダクト7内の排ガスは分岐ガスダクト12、13で分岐され、高温域側の分岐ダクト12内を流れる排ガス流系の電気集塵器14における集塵効率は低温域側の分岐ダクト13内を流れるガス流系の電気集塵器15の集塵効率より低下する。一般的に空気予熱器8出口のガスダクト7で20〜40℃程度のガス温度差が生じ、約0.25〜0.5%の集塵効率低下となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように従来の技術では再生式空気予熱器の構造上、空気予熱器自身では避けられない出口ガス温度の不均一が生じる。そのガス温度差に起因して、再生式空気予熱器8の後流側に位置する電気集塵器14、15の性能へ影響を及ぼす。特に、ガスタクト7に一台の空気予熱器8を設けて空気予熱器8設置部の後流側のガスダクト7に分岐ダクト12、13を設けて、各分岐ダクト12、13に電気集塵器14、15をそれぞれ配置するような、一台の空気予熱器8に対して二台設置する場合には、二台の電気集塵器14、15間で温度差が生じ、高温域の分岐ダクト12内の電気集塵器14の方で集塵性能が未達成となるばかりか、公害規制基準を達成できないことさえあり得る。
【0010】
本発明の課題は、電気集塵器の設計予想性能を満足させ、その安定した運転を可能にするため、電気集塵器入口の温度差を低減することを図ったガスダクトを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は再生式空気予熱器出口のガス温度の不均一を低減するために、再生式空気予熱器出口の温度差のある高温域ガスと低温域ガスを各分岐ガスダクトに流入するに際して、それぞれの分岐ガスダクトに高温域ガスと低温域ガスが共に流入されるような形状のガスダクトの分岐部とするものである。
【0012】
すなわち、本発明は次の構成によって達成される。空気予熱器の高温域のガスと低温域のガスが流れる出口ガスダクトを分岐させる分岐部分より、複数に分岐させる分岐ダクトを設け、該複数の分岐ダクトにそれぞれ電気集塵機を設けた排ガスダクトにおいて、前記分岐部分に、高温域の出口ガスと低温域の出口ガスをそれぞれ層状に二分し、かつ二分された一方の高温域の出口ガスと低温域の出口ガス同士及び他方の高温域の出口ガスと低温域の出口ガス同士を別々に混合して、各々の分岐ダクトに高温域の出口ガスと低温域の出口ガスを混合したガスをそれぞれ誘導する仕切り板を設けた再生式空気予熱器出口ガスダクトである。
【0013】
上記分岐部分に設けた仕切り板は、空気予熱器の出口ガスダクトからの高温部のガス流れと低温部のガス流れを含むガス流を層状に分割して、分割された各分岐ダクトに前記分割されたガス流れを誘導する。上記分岐ダクトは2つ以上設けることができる。
【0015】
【作用】
燃焼排ガスの流路となるガスダクトに設けられる再生式空気予熱器は空気予熱器自身が回転するために空気予熱器出口部のガスダクト内ではガス温度が不均一になる。しかし、本発明では、空気予熱器出口部でのガスダクト内のガス温度が不均一な状態のまま例えばガス流れを層状に分割して、分割された各分岐ガスダクトに導入する。各分岐ガスダクトでは高温域と低温域の各々の排ガスをそれぞれほぼ同じ割合で含む排ガスが導入されるので、それぞれの分岐ダクト内に設けられた電気集塵器はほぼ同一ガス温度の排ガスを処理することになり、集塵性能もほぼ差異が無くなり、従来技術の項で述べたような各分岐ダクト内の電気集塵器間で温度差が生じることも無く、一方の電気集塵器の集塵性能が未達成となるおそれもない。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面とともに説明する。
本発明の実施の形態のガスダクトは図5に示すボイラ排ガスの処理装置に適用されるものである。
【0017】
図5には先に説明したようにボイラ火炉1での燃料の燃焼排ガスはガスダクト7に設けられた一台の再生式空気予熱器8に流入し、該空気予熱器8を出た排ガスは分岐ダクト12、13にそれぞれ設置された電気集塵器14、15により集塵処理されるものである。
【0018】
再生式空気予熱器8は図3に示すようにボイラ排ガスの流路となるガスダスト7とボイラ火炉1の燃料燃焼用空気の供給路である空気ダクト9との間を回転する回転エレメント8’を有するものである。再生式空気予熱器8でボイラ燃料燃焼用の空気と熱交換した後のボイラ排ガスは図2に示すように約130℃〜150℃程度のガス温度となり、ボイラ排ガスの分岐ダクト12、13によってそれぞれ電気集塵器14、15に導かれて排ガス中のダストを除去した後、最終的に煙突18から大気に放出される。
【0019】
電気集塵器14、15での集塵性能により煙突18から放出されるダスト量が決定され、電気集塵器14、15での集塵性能が低下すると、多量のダストが大気に放出されることになるが、電気集塵器14、15の集塵性能は従来の技術の項で述べたようにガスの体積流量を左右する入口ガス温度に影響され、ガス温度が高くなるほど集塵効率は低下する。
【0020】
再生式空気予熱器8は回転エレメント8’を用いる構造であるため、その内部でのガス温度は約20〜40℃程度の温度不均一を生じやすく、上記したように、二台の電気集塵器14、15のいずれか一方の電気集塵器の性能低下が生じる。そこで図1に示すように再生式空気予熱器8の出口の高温域と低温域の各々の排ガスをそれぞれほぼ同じ割合で含む排ガスを分岐ダクト12および分岐ダクト13にそれぞれ導くようにすれば、二台の電気集塵器14、15の入口ガス温度差は1〜2℃まで低減できる。
【0021】
一台の再生式空気予熱器8を使用すると、空気予熱器8内の回転エレメント8’の回転方向により空気予熱器8出口においてガス温度差が生じる(図3参照)が、そのガス温度差は従来技術の図4のようなダクト形状の場合には図2(a)のように2系統間の分岐ダクト12、13に温度差を生じる。
【0022】
そこで、図1に示すように空気予熱器8の出口ガスダクト7の分岐部分を各分岐ダクト12、13に高温域の出口ガスと低温域の出口ガスとが共に含まれるような形状として、その分岐部内部には仕切板21を設け、それぞれ高温域の出口ガスと低温域の出口ガスを含んだガスが2系統に同じ割合で分岐するような形状とすれば各分岐ダクト12、13で分岐した後のガス温度差が低減できる。
【0023】
図2(b)には図1に示す空気予熱器8の出口ガスダクト7の分岐部分の構造を採用した場合の各分岐ダクト12、13でのガス温度を示すが、両方の分岐ダクト12、13でほぼ同一温度になっていることが分かる。
【0024】
また、空気予熱器8の出口で、ガス温度差を低減する方法としては、ガスの混合を目的として案内板や混合器等を設置する方法が考えられるが、それらの方法は、ダクト形状の複雑化、ガス流通時の圧力の増加、コストアップ等が生ずるので望ましくない。本発明によれば、前記他の方法に比べ簡単な方法で確実に分岐ダクト12、13で分岐した後のガス温度差が低減できる。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、電気集塵器の設計予想性能を満足させ、安定した電気集塵器の運転が可能になり、公害防止上の規制値を外れるおそれが無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の再生式空気予熱器出口ガスダクトの概略図である。
【図2】 (図2(b))は本発明の実施の形態の再生式空気予熱器出口のガスダクト内のガス温度分布、(図2(a))は従来技術での同ガス温度分布を示す図である。
【図3】 再生式空気予熱器で生ずるガス温度差の説明図である。
【図4】 従来技術のガスダクト形状からなる、空気予熱器出口ガスダクトの概略図である。
【図5】 空気予熱器一台、電気集塵器二台をボイラ排ガス流路に設置した場合の排ガス処理装置の概略図である。
【符号の説明】
1 ボイラ火炉 2 過熱器
3 蒸発器 4 節炭器
6 脱硝装置 7 ガスダクト
8 再生式空気予熱器 9 空気ダクト
12、13 分岐ガスダクト 14、15 電気集塵器
17 脱硫装置 18 煙突
21 仕切り板
Claims (1)
- 空気予熱器の高温域のガスと低温域のガスが流れる出口ガスダクトを分岐させる分岐部分より、複数に分岐させる分岐ダクトを設け、該複数の分岐ダクトにそれぞれ電気集塵機を設けた排ガスダクトにおいて、前記分岐部分に、高温域の出口ガスと低温域の出口ガスをそれぞれ層状に二分し、かつ二分された一方の高温域の出口ガスと低温域の出口ガス同士及び他方の高温域の出口ガスと低温域の出口ガス同士を別々に混合して、各々の分岐ダクトに高温域の出口ガスと低温域の出口ガスを混合したガスをそれぞれ誘導する仕切り板を設けたことを特徴とする再生式空気予熱器出口ガスダクト。
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JP27114897A JP3762066B2 (ja) | 1997-10-03 | 1997-10-03 | 再生式空気予熱器出口ガスダクト |
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JP27114897A JP3762066B2 (ja) | 1997-10-03 | 1997-10-03 | 再生式空気予熱器出口ガスダクト |
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JPH11108341A JPH11108341A (ja) | 1999-04-23 |
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1997
- 1997-10-03 JP JP27114897A patent/JP3762066B2/ja not_active Expired - Fee Related
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