JP3761286B2 - ロボット制御方法、制御装置、記憶媒体及びロボット - Google Patents

ロボット制御方法、制御装置、記憶媒体及びロボット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロボットの行動を複数の要素行動に分け、複数の要素行動間に抑制関係を設定しておき、複数の要素行動を時分割で並列処理するロボット制御方法及び制御装置、この方法で制御されるロボット並びにこの方法を実施するプログラムが記憶された記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のロボットは、ビヘービアベーストロボット(behavior based robot)と称されており、このロボットに対する従来の制御の概略構成を図10に示す。図中のSは、要素行動間の抑制を表している。
行動様式Aは要素行動A1〜A3に分けられ、要素行動A1〜A3は時分割により並列処理される。要素行動A1〜A3は、センサ検出信号等により発現の条件が定められ、必要に応じさらに発現停止の条件が定められている。例えば駆動系10がモータを備え、要素行動A1及びA2が発現していて、要素行動A1がこのモータを右回転させようとし、要素行動A2がこのモータを左回転させようとした場合、要素行動A1が要素行動A2により抑制されてモータが左回転される。同様に、要素行動A1〜A3が発現している場合には、要素行動A1及びA2が抑制されて、駆動系10に対する要素行動A3の処理が優先的に実行される。すなわち、優先順位の降順は、要素行動A3〜A1となっている。
【0003】
この行動様式Aの制御に対応したプログラム実行順を図11に示す。
駆動系10は、ドライバ101、102及びこれらでそれぞれ駆動されるモータ103及び104を備えている。ドライバ101及び102には、出力レジスタORの出力が供給され、例えば、出力レジスタORが‘0110’のときにはモータ103及び104がそれぞれ正回転及び逆回転し、出力レジスタORが‘1000’のときにはモータ103及び104がそれぞれ逆回転及び停止する。
【0004】
最初に、バッファレジスタBRの内容が初期化される。
(11)要素行動A1のプログラムが実行されて、その結果がバッファレジスタBRに書き込まれる。
(12)要素行動A2のプログラムが実行されて、その結果がバッファレジスタBRに上書きされる。
【0005】
(13)要素行動A3のプログラムが実行されて、その結果がバッファレジスタBRに上書きされる。
(19)バッファレジスタBRの内容が出力レジスタORに保持され、出力レジスタORの出力により、ドライバ101及び102を介しモータ103及び104の回転が制御される。
【0006】
以上のステップ11〜13及び19の処理が繰り返し実行される。バッファレジスタBRに対するこのような上書きにより、優先順位の昇順が要素行動A1〜A3となる。
図10において、要素行動A1〜A3からなる行動様式Aと、要素行動B1〜B3からなる行動様式Bとを組み合わせた行動をロボットにとらせる場合、要素行動間の抑制関係が矛盾しないよう、優先順位の降順を例えば図示のように要素行動A1、B1、A2、A3、B2、B3として、抑制関係を設定していた。例えば、前方物体をセンサで検出した場合に、この物体を障害物とみなして回避する要素行動と、この物体を目的物とみなしてこれに近づく要素行動とが、矛盾なく発現するように抑制関係を設定していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このように要素行動を組み合わせると、全ての要素行動を時分割により並列処理しなければならないので、要素行動の数の増大に伴い、リアルタイム制御の応答が遅れる原因となる。また、要素行動の数の増大に伴い、要素行動間の抑制関係が複雑になって、制御構造が複雑になる。
【0008】
本発明の目的は、このような問題点に鑑み、要素行動の数が増大しても、制御の応答遅れ及び制御構造の複雑化を低減することが可能なロボット制御方法、制御装置及びこの方法で制御されるロボット並びにこの方法を実施するプログラムが記憶された記憶媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及びその作用効果】
本発明の第1態様のロボット制御方法では、例えば図1に示す如く、
ロボットの行動を複数の行動様式A、B、C、・・・に分け、該複数の行動様式の各々について該行動様式を複数の要素行動(A1、A2、A3、・・・)、(B1、B2、B3、・・・)、・・・に分け、該複数の行動様式の各々について、該行動様式が発現する条件を定めておき、該複数の要素行動の各々について、該要素行動が発現する条件を定めておき、
該複数の行動様式間に、一方の行動様式が発現しているときに他方の行動様式の行動を抑制する上位抑制関係(S)を設定しておき、
該複数の行動様式の各々について、一方の要素行動が発現しているときに他方の要素行動を抑制する下位抑制関係(S)を設定しておき、
該複数の行動様式のうち該上位抑制関係で抑制されずに発現している行動様式のみについて、該下位抑制関係を満たしながら該複数の要素行動を時分割で並列処理する。
【0010】
このロボット制御方法によれば、複数の行動様式間の上位抑制関係で抑制されずに発現している行動様式のみについて、下位抑制関係を満たしながら該複数の要素行動が時分割で並列処理されるので、要素行動の数が増大しても、制御の応答遅れ及び制御構造の複雑化を低減することができるという効果を奏する。
【0012】
本発明の第2態様のロボット制御方法では、上記第1態様において、
上記上位抑制関係の情報と行動様式の発現状態とに基づいて選択された行動様式について、上記複数の要素行動の優先順位の昇順に処理を行い、
各要素行動の処理毎にその結果をバッファレジスタに上書きする。
【0013】
本発明の第3態様では、
複数の行動様式に分けられたロボットの行動の各行動様式が発現する第1条件と、該複数の行動様式間において一方の行動様式が発現しているときに他方の行動様式の行動を抑制する上位抑制関係とが、予め定められ、該複数の行動様式の各々を構成する複数の要素行動の各々が発現する第2条件と、各行動様式につき該行動様式を構成する該複数の要素行動間において一方の要素行動が発現しているときに他方の要素行動を抑制する下位抑制関係とが、予め定められており、
プロセッサに対し、該定められた第1条件及び上位抑制関係に基づいて、該複数の行動様式のうち該上位抑制関係で抑制されずに発現している行動様式を判定させ、
該プロセッサに対し、該発現している行動様式のみについて、該下位抑制関係を満たしながら該第2条件に基づいて該複数の要素行動を時分割で並列処理させる、
コンピュータプログラムが記憶媒体に記憶されている。
本発明の第4態様のロボットでは、上記第3態様の記憶媒体に記憶されているコンピュータプログラムが格納された記憶装置と、該記憶装置に結合されたプロセッサとを有するコンピュータを備え、該コンピュータに制御されて動作する。
本発明の第5態様のロボット制御装置では、
ロボットの複数の行動様式の発現状態の情報が格納される状態レジスタと、
該発現状態の情報と、予め設定された、一方の行動様式が発現しているときに他方の行動様式の行動を抑制する上位抑制関係とに基づいて、何れの行動様式の複数の要素行動を実行するか否かを判断する判断部と、
該要素行動を優先順位に基づいて実行し、ロボットを駆動するための制御信号を出力する実行部と、
該制御信号を格納するバッファレジスタと、
を備えている。
本発明の第6態様のロボット制御装置では、上記第5態様において、上記バッファレジスタに格納された制御信号を、上記ロボットの駆動部へ出力するための出力バッファを備えている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図2(a)は、制御対象としての走行ロボット20の概略構成を示す。
ロボット20では、後輪21及び22がそれぞれモータ103及び104で回転駆動され、前輪23及び24が自由輪となっている。ロボット20は、誘導路検出センサ25、リーダ26、前方物体検出センサ27、レシーバ28及びコンピュータ29を備えている。誘導路検出センサ25、リーダ26、前方物体検出センサ27及びレシーバ28の出力信号がコンピュータ29に供給され、これらの信号に基づきコンピュータ29により、モータ103及び104の回転が制御されて、ロボット20の走行が制御される。
【0015】
ロボット20は、走行面に貼着された誘導路30に沿って走行する。誘導路30は、例えば磁気テープであり、この場合、磁気センサである誘導路検出センサ25によりその磁界が検出される。この検出に基づいて、コンピュータ29により、誘導路30に対するロボット20の姿勢及びずれが判定される。誘導路30の側方には目標アドレス31、例えば磁気テープの断片が配置されており、これに書き込まれた情報がリーダ26で読み取られる。前方物体検出センサ27は、例えば反射式赤外線センサであり、前方の所定距離内に存在する物体を検出する。レシーバ28は、例えば赤外線センサであり、目標物等からの指令を受信するためのものである。
【0016】
各種環境(誘導路30、目標アドレス31、障害物及び目標物等の様々な配置)に対しロボット20が同一プログラムで行動できるようにするために、すなわちロボット制御プログラムの適用範囲を広くするために、ロボット20の行動が複数の要素行動に分けられている。複数の要素行動は、行動様式A、B及びCに分類されている。図2(b)、図3(a)及び図3(b)はそれぞれ行動様式A〜Cの概略内容を示している。図中、20a1〜20a3、20b1〜20b3及び20c1〜20c3は、ロボット20の状態を示している。
【0017】
行動様式Aでは、図2(b)に示す如く、状態20a1で障害物32が検出されると、障害物32を右回りして障害物32を回避し状態20a2のようになり、誘導路30上に復帰し、誘導路30に対し姿勢を正して状態20a3のようになる。
行動様式Bでは、図3(a)に示す如く、状態20b1のように走行中に目標アドレス31が検出されると、目標アドレス31の内容を読み取りこれを記憶し、この内容に従い方向転換して状態20b2のようになり、誘導路30Aに沿って走行し、目標物33が検出されると停止して状態20b3のようになる。
【0018】
行動様式Cでは、図3(b)に示す如く、誘導路30Aに沿って状態20c1のように後退し、状態20c2で誘導路30が検出されると、前記記憶内容に従い逆回転して方向転換し、誘導路30に対し姿勢を正して状態20a3のようになる。
図4は、行動様式A〜Cの構成及びこれらの組み合わせの構成の概略を示している。
【0019】
行動様式A〜C間の抑制関係は、複数の行動様式の優先順位昇順が行動様式A、B及びCの順となるように設定されている。
行動様式Aは、前進A1、誘導路の探索A2、誘導路への復帰A3、誘導A4及び前方障害物回避A5の要素行動からなり、要素行動A1〜A5間の抑制関係は、この順が優先順位昇順になるように設定されている。行動様式Bは、前進B1、方向転換B2、誘導B3及び停止B4の要素行動からなり、要素行動B1〜B4間の抑制関係は、この順が優先順位昇順になるように設定されている。行動様式Cは、後退C1、誘導路の探索C2及び後退誘導C3の要素行動からなり、要素行動C1〜C3間の抑制関係は、この順が優先順位昇順になるように設定されている。
【0020】
図5は、図4の制御に対応したプログラム実行順を示しており、図11に対応している。このプログラムは、図2(a)のコンピュータ29のメモリに格納されており、状態レジスタSR、バッファレジスタBR及び出力レジスタORはコンピュータ29に備えられている。
状態レジスタSRのフラグFA、FB及びFCが1のときにはそれぞれ、行動様式A、B、Cが発現しており、フラグFA、FB及びFCが0のときにはそれぞれ、行動様式A、B及びCが発現停止している。
【0021】
最初に、不図示の初期化処理が行われ、次にステップ40Cへ移る。この初期化処理において、バッファレジスタBRの内容が初期化され、FA=1、FB=0、FC=0と設定される。
ステップ40Cにおいて、FC=1と判定されると、FB=1又はFA=1であっても行動様式B又はAの行動は無効になり、ステップ11C〜13Cにおいてそれぞれ要素行動C1〜C3が実行される。
【0022】
(11C)後退C1のプログラムが実行されて、その結果がバッファレジスタBRに書き込まれる。
(12C)誘導路の探索C2のプログラムが実行されて、その結果がバッファレジスタBRに上書きされる。
(13C)後退誘導C3のプログラムが実行されて、その結果がバッファレジスタBRに上書きされる。
【0023】
(19C)バッファレジスタBRの内容が出力レジスタORに保持され、出力レジスタORの出力により、ドライバ101及び102を介しモータ103及び104の回転が制御される。
次に、上記ステップ40Cに戻る。
ステップ40CでFC=0と判定されると、ステップ40Bへ移る。ステップ40BでFB=1と判定されると、FA=1であっても行動様式Aの行動は無効になり、上記ステップ11C〜13Cと同様にステップ11B〜14Bにおいてそれぞれ要素行動B1〜B4が実行され、次に上記ステップ19Cと同様にステップ19Bにおいて、バッファレジスタBRの内容が出力レジスタORに保持され、ステップ40Cへ戻る。
【0024】
ステップ40CでFC=0と判定され、ステップ40BでFB=0と判定されると、ステップ40Aへ移る。ステップ40AでFA=1と判定されると、上記ステップ11C〜13Cと同様にステップ11A〜16Aにおいてそれぞれ、要素行動A1〜A6が実行され、次に上記ステップ19Cと同様にステップ19Aにおいて、バッファレジスタBRの内容が出力レジスタORに保持され、ステップ40Cへ戻る。
【0025】
このような処理により、行動様式A〜C間の抑制関係(上位抑制関係)で抑制されずに発現している行動様式のみについて、その複数の要素行動間の抑制関係(下位抑制関係)を満たしながら該複数の要素行動が時分割で並列処理されることになる。このため、要素行動の数が増大しても、制御の応答遅れ及び制御構造の複雑化を大幅に低減することができる。
【0026】
(1)行動様式A
次に、行動様式Aの要素行動である前進A1、誘導路の探索A2、誘導路への復帰A3、誘導A4及び前方障害物回避A5の制御内容を説明する。図7(a)〜(d)はそれぞれ行動様式Aの誘導A4、前方障害物回避A5、誘導路への復帰A3及び誘導路の探索A2の制御内容を示す状態遷移図である。
【0027】
行動様式Aは常に発現(常にFA=1)しており、行動様式B又は行動様式Cにより行動様式Aが抑制されない限り、駆動系10に対する行動様式Aの出力が有効になる。
前進A1は、電源オン時等のリセットにより常に発現しており、他の行動様式及び要素行動により抑制されない限り有効である。
【0028】
図中及び以下の全ての「旋回停止状態」は、前進を意味している。
誘導A4は、誘導路検出センサ25で誘導路30が検出されると発現する。図7(a)において、ロボット20が旋回停止状態のときに、誘導路30に対するロボット20の左側への偏差が設定値以上であると判定されると、ロボット20が右旋回状態に遷移する。この偏差が設定値以下になると、旋回停止状態に遷移する。この状態において、誘導路30に対するロボット20の右側への偏差が設定値以上であると判定されると、ロボット20が左旋回状態に遷移する。この偏差が設定値以下になると、旋回停止状態に遷移する。また、右旋回状態において、誘導路30に対するロボット20の右側への偏差が設定値以上であると判定されると、ロボット20が左旋回状態に遷移する。同様に、左旋回状態において、誘導路30に対するロボット20の左側への偏差が設定値以上であると判定されると、ロボット20が右旋回状態に遷移する。
【0029】
誘導A4は、前方物体検出センサ27で前方物体(行動様式Aでは障害物32)が検出されると発現停止する。
前方障害物回避A5は、この前方物体検出により発現する。図7(b)において、ロボット20が旋回停止状態のときに、前方物体検出センサ27により障害物32が検出されると、右旋回状態に遷移する。このとき、「障害物回避」が記憶される。この状態で前方物体検出センサ27により障害物32が検出されなくなると、旋回停止状態に遷移し、前方障害物回避A5が発現停止する。
【0030】
誘導路への復帰A3は、「障害物回避」の記憶があり且つ前方物体検出センサ27で障害物32が検出されないときに発現する。図7(b)において、ロボット20が旋回停止状態のときに、左旋回状態に遷移する。誘導路30を横切ると、「障害物回避」の記憶が消去され、旋回停止の状態に遷移し、誘導路への復帰A3が発現停止する。
【0031】
したがって、誘導路への復帰A3と前方障害物回避A5とが交互に発現し、これによりロボット20が障害物32の右側を回り、障害物32が回避される。
誘導路の探索A2は、誘導路30を横切ったことが誘導路検出センサ25で検出されると発現し、図7(d)の制御が行われる。図7(b)は、図7(a)において「左側への偏差が設定値以上」及び「右側への偏差が設定値以上」をそれぞれ「誘導路30に対しロボット20が左向き」及び「誘導路30に対しロボット20が右向き」と置き換えたものに等しい。
【0032】
誘導路の探索A2は、誘導路30に対するロボット20の姿勢が正しくなったときに発現を停止する。これにより、次に障害物32が検出されるまで前進A1が有効になる。
(2)行動様式B
次に、行動様式Bの要素行動である前進B1、方向転換B2、誘導B3及び停止B4のの制御内容を説明する。図8(a)〜(c)はそれぞれ行動様式Bの方向転換B2、誘導B3及び停止B4の制御内容を示す状態遷移図である。
【0033】
行動様式Bは、目標アドレス31がリーダ26で読み込まれたときに、例えば割り込み処理で、FB=1と設定されて発現する。この状態遷移図を図6(a)に示す。
前進B1は、電源オン時等のリセットにより常に発現しており、他の行動様式及び要素行動により抑制されない限り有効である。
【0034】
方向転換B2は、行動様式Bの発現により発現する。図8(a)は、図7(a)において「左旋回」及び「右旋回」をそれぞれ「左急旋回」及び「右急旋回」と置き換え、「左側への偏差が設定値以上」及び「右側への偏差が設定値以上」をそれぞれ「姿勢が目標進路に対して左向き」及び「姿勢が目標進路に対して左向き」と置き換えたものに等しい。ここに、「左急旋回」及び「右急旋回」の「急」は、図2(a)の後輪21と後輪22とを同時に互いに逆方向へ回転させることを意味する。また、「目標進路」は、リーダ26で読み込まれた値であり、例えば「誘導路30に対し90゜時計回りの方向」である。
【0035】
方向転換B2は、姿勢が目標進路と同じになったことが判定されると発現停止する。
誘導B3は、誘導路30Aの検出により発現し、図8(b)の制御が行われる。図8(b)は、図7(a)と同一である。
停止B4は、前方物体検出センサ27で前方物体(図3(a)の目標物33)を検出すると発現し、図8(c)において、停止状態に遷移し、「目標到達」を記憶する。この停止状態の前は、電源オン等のリセットにより停止解除状態になっている。停止状態において、ロボット20は例えば目標物33から組立用部品を受け取る。この受け取りが完了すると、目標物33からロボット20へ復帰指令が供給される。
【0036】
停止B4では、レシーバ28でこの復帰指令を受信したときに、「目標到達」の記憶が消去されて、元の停止解除状態に遷移する。これにより、停止B4が発現停止し、FB=0とされて、行動様式Bも発現停止する。
(3)行動様式C
次に、行動様式Cの要素行動である後退C1、誘導路の探索C2及び後退誘導C3の制御内容を説明する。図9(a)及び(b)はそれぞれ行動様式Cの後退誘導C3及び誘導路の探索C2の制御内容を示す状態遷移図である。
【0037】
行動様式Cは、復帰指令の受信により、例えば割り込み処理で、FC=1と設定されて発現する。この状態遷移図を図6(b)に示す。
後退C1は、電源オン時等のリセットにより常に発現しており、他の行動様式及び要素行動により抑制されない限り有効である。
後退誘導C3は、誘導路30の検出により発現し、図9(a)の制御が行われる。図9(a)は、図7(a)と同一である。
【0038】
後退誘導C3は、誘導路検出センサ25により誘導路30Aに対するロボット20の姿勢が正しくなったことが検出されると、発現停止する。
誘導路の探索C2は、誘導路30を横切ったことが誘導路検出センサ25で検出されると発現し、図9(b)の制御が行われる。図9(b)は、図8(a)において「目標進路」を「誘導路30」と置き換えたものに等しい。
【0039】
誘導路の探索C2は、ロボット20の姿勢が誘導路30の方向に一致したと判定されたときに発現停止する。これによりFC=0とされ、行動様式Cも発現停止する。
なお、本発明には外にも種々の変形例が含まれる。例えば、上記実施形態ではロボットが走行ロボットである場合を説明したが、本発明は各種ロボットに適用可能である。また上記割り込み処理は、入力信号による割り込み又はタイマー割り込みのいずれであってもよく、割り込み処理の替わりに図5のステップ40Cに入る直前で検出信号をチェックしてフラグを設定する処理を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理構成を示す図である。
【図2】(a)は本発明の一実施形態に係るロボットの概略構成図であり、(b)はこのロボットの行動様式Aの概略内容説明図である。
【図3】(a)及び(b)はそれぞれロボットの行動様式B及びCの概略内容説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るロボット制御の概略構成図である。
【図5】図4の制御に対応したプログラム実行順を示す図である。
【図6】(a)及び(b)はそれぞれ行動様式B及びCの発現及びその停止を示す状態遷移図である。
【図7】(a)〜(d)は行動様式Aの要素行動の制御内容を示す状態遷移図である。
【図8】(a)〜(c)は行動様式Bの要素行動の制御内容を示す状態遷移図である。
【図9】(a)及び(b)は行動様式Cの要素行動の制御内容を示す状態遷移図である。
【図10】従来のロボット制御の概略構成図である。
【図11】図10中の行動様式Aの制御に対応したプログラム実行順を示す図である。
【符号の説明】
10 駆動系
20 ロボット
25 誘導路検出センサ
26 リーダ
27 前方物体検出センサ
28 レシーバ
29 コンピュータ
30、30A 誘導路
31 目標アドレス
32 障害物
33 目標物
BR バッファレジスタ
OR 出力レジスタ
SR 状態レジスタ

Claims (6)

  1. ロボットの行動を複数の行動様式に分け、該複数の行動様式の各々について該行動様式を複数の要素行動に分け、該複数の行動様式の各々について、該行動様式が発現する条件を定めておき、該複数の要素行動の各々について、該要素行動が発現する条件を定めておき、
    該複数の行動様式間に、一方の行動様式が発現しているときに他方の行動様式の行動を抑制する上位抑制関係を設定しておき、
    該複数の行動様式の各々について、一方の要素行動が発現しているときに他方の要素行動を抑制する下位抑制関係を設定しておき、
    該複数の行動様式のうち該上位抑制関係で抑制されずに発現している行動様式のみについて、該下位抑制関係を満たしながら該複数の要素行動を時分割で並列処理する、
    ことを特徴とするロボット制御方法。
  2. 上記上位抑制関係の情報と行動様式の発現状態とに基づいて選択された行動様式について、上記複数の要素行動の優先順位の昇順に処理を行い、
    各要素行動の処理毎にその結果をバッファレジスタに上書きする、
    ことを特徴とする請求項1記載のロボット制御方法。
  3. 複数の行動様式に分けられたロボットの行動の各行動様式が発現する第1条件と、該複数の行動様式間において一方の行動様式が発現しているときに他方の行動様式の行動を抑制する上位抑制関係とが、予め定められ、該複数の行動様式の各々を構成する複数の要素行動の各々が発現する第2条件と、各行動様式につき該行動様式を構成する該複数の要素行動間において一方の要素行動が発現しているときに他方の要素行動を抑制する下位抑制関係とが、予め定められ、
    プロセッサに対し、該定められた第1条件及び上位抑制関係に基づいて、該複数の行動様式のうち該上位抑制関係で抑制されずに発現している行動様式を判定させ、
    該プロセッサに対し、該発現している行動様式のみについて、該下位抑制関係を満たしながら該第2条件に基づいて該複数の要素行動を時分割で並列処理させる、
    ことを特徴とするロボット制御用コンピュータプログラムが記憶されていることを特徴とする記憶媒体。
  4. 請求項3記載のコンピュータプログラムが格納された記憶装置と、該記憶装置に結合されたプロセッサとを有するコンピュータを備え、該コンピュータに制御されて動作することを特徴とするロボット。
  5. ロボットの複数の行動様式の発現状態の情報が格納される状態レジスタと、
    該発現状態の情報と、予め設定された、一方の行動様式が発現しているときに他方の行動様式の行動を抑制する上位抑制関係とに基づいて、何れの行動様式の複数の要素行動を実行するか否かを判断する判断部と、
    該要素行動を優先順位に基づいて実行し、ロボットを駆動するための制御信号を出力する実行部と、
    該制御信号を格納するバッファレジスタと、
    を備えることを特徴とするロボット制御装置。
  6. 上記バッファレジスタに格納された制御信号を、上記ロボットの駆動部へ出力するための出力バッファを備えることを特徴とする請求項5記載のロボット制御装置。
JP14394597A 1997-06-02 1997-06-02 ロボット制御方法、制御装置、記憶媒体及びロボット Expired - Fee Related JP3761286B2 (ja)

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