JP3760232B2 - 水平地動検出器 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地震計等に用いられる水平地動検出器に関し、特に簡単な構成で高精度の測定が行えるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
STS(速度計)やCMG(加速度計)等の広帯域・高感度地震計や超伝導重力計等の地球観測機器は、遠地地震の小さな波形を正確に捕らえる地球の内部トモグラフィーを利用して地球の内部構造を明らかにしたり、等の近年の地震研究に多大な貢献をしている。このような地震研究を発展させるために、さらに高感度・高精度のサーボ型の地震計等が開発されてきた(例えば特許文献1参照)。
【0003】
地震計として、振り子を用いて慣性不動点を作り、震動する地面とこの慣性不動点との間の変位を測定することで振動を検出するものが従来より用いられている。このような地震計を高感度・広帯域化し、特に地震特有の低周波領域の測定を行うためには、長い自然周期を得ることが必要となる。
【0004】
ここで、どのようにして長い自然周期を得るかが一つの問題となる。長周期を得るために、例えば、振り子の錘を非常に重いものとすることが考えられる。しかしながら、このような地震計は大型化するという問題があった。
【0005】
一方、錘にかかる重力を機械式のバネの復元力で打ち消し弱いバネ定数を実現するための倒立振り子やリーフスプリングタイプの地震計、さらにラコステ重力計で使用されているゼロ長バネが考案されている。
【0006】
特に最近の水平高感度地震計は、僅かに倒立させた振り子で重力により板バネの強い復元力を打ち消し、その僅かな差で振り子の弱いバネを実現し長周期化をはかっているものがある。例えば、STS−1は、水平振り子のヒンジに使用している板バネの復元力を打ち消すために、本体を水平面から僅かに上に傾け、その角度調整で振り子の倒立の具合いを変えて重力の打ち消し調整を行っている。
【0007】
また、平行磁場と永久磁石による無定位回転振り子と、磁気バネを使った地動検出器が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−244319号公報(第2頁、図2)
【0009】
【非特許文献1】
文部省科学研究補助金・基盤研究C 1999-2000年度、平行磁場と永久磁石による無定位回転振り子と、磁気バネを使った地動検出器の開発(第1〜33頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述した水平高感度地震計であると次のような問題があった。すなわち、大きな力同士の打ち消しで小さなバネ定数を得るという構造であるため、地面の僅かな傾きや設置誤差、温度・経年変化によるバネの弾性定数の少しの変化もその差を大きく拡大・縮小する。その差の変化は振り子全体のバネ定数の変化になり、自然周期や利得の変動をもたらし測定値のドリフト・ノイズに直結する。したがって、その調整や観測時の設置が難しいという問題があった。
【0011】
また設置を容易にするために、CMGのように内部に電動ジンバル機構を持ったものもあるが、構造が複雑になり、コストが高くなるという問題があった。さらに、バネ機構の設計と製作は、非常に特殊な技術を必要とするという問題があった。
【0012】
そこで本発明は、振り子の長周期化を図る場合であっても、弾性部材のバネ定数の変化に伴うドリフト・ノイズの発生を防止し、かつ、調整や観測時の設置を容易にすることで、高ダイナミックレンジ化及び安定化が図ることができる水平地動検出器を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し目的を達成するために、本発明の水平地動検出器は次のように構成されている。すなわち、先端側に錘部が設けられるとともに、基端側が板バネで支持され、上記基端側を中心として水平面内で揺動する水平振り子と、この水平振り子の下方に対向配置され上記錘部を磁気浮上させて上記水平振り子の揺動方向を水平面内に維持する浮上磁石部と、前記水平振り子の水平方向の振れ角を測定する測定部と、この測定部による上記水平振り子の振れ角に基づいて上記水平振り子の復元量を算出する演算部と、この演算部による算出結果に基づいて上記水平振り子を復元する復元部とを備えていることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施の形態に係る水平高感度地震計10を示す斜視図、図2は同水平高感度地震計10を一部切欠して示す平面図、図3は同側面図、図4は同水平高感度地震計10の背面図である。なお、これらの図中矢印XYZは互いに直交する三方向を示しており、特に矢印XYは水平方向、矢印Zは鉛直方向を示している。
【0015】
水平高感度地震計10は、いわゆるサーボ型地震計である。サーボ型地震計は、錘の位置を検出しその動きを止めることで大きな外力による大きな揺れでも振り子が振り切れないようにしたものである。このことで地震計の高ダイナミックレンジ化及び安定化が図ることが可能となる。また、フィードバック回路から錘に接続されたコイルアクチュエータヘの信号や位置検出回路の出力信号を、振動検出出力とする。さらにフィードバックパラメータによる補償で、振り子の減衰定数や自然周期等が可変できるという特性を有している。
【0016】
水平高感度地震計10は、測定位置に固定されるベース11と、このベース11上に搭載された水平振り子機構20、磁気浮上機構30、振り子復元機構40と、水平振り子24の位置に基づいて振り子復元機構40を制御する制御回路100とを備えている。
【0017】
水平振り子機構20は、XYZテーブル21と、このXYZテーブル21に支持された振り子支持部22と、この振り子支持部22にX型ヒンジ23を介して取付けられた水平振り子24と、この水平振り子24の先端側下部に取付けられた板状のブラケット25と、このブラケット25の下面に取付けられた錘26と、この錘26を挟んで配置された一対の上側磁石部27,28とを備えている。
【0018】
XYZテーブル21は、3つの調節ネジ21a〜21cによりXYZ方向について移動可能に構成されており、例えば錘26の質量を変えた場合に、磁石浮上機構30による磁気浮上が適正に行われるように調節することが可能である。
【0019】
X型ヒンジ23は、恒弾性合金(ハイテリンバー)の板バネにより形成されており、振り子支持部22及び水平振り子24にネジ止めされている。このX型ヒンジ23により水平振り子24は振り子支持部22に対し、その中心軸23aを揺動軸として揺動可能に支持されている。なお、中心軸23aは鉛直方向であることから、水平振り子24の揺動範囲は水平面内となる。
【0020】
上側磁石部27,28は、X型ヒンジ23の中央軸23aを中心とした円弧状にN極とS極の細い帯状磁石(数mm幅)が交互に配置されたものから構成されている。なお、帯状磁石の代わりにN極・S極を交互に着磁した磁石を用いてもよい。
【0021】
磁気浮上機構30は、架台31と、この架台31上に設けられ、上述した上側磁石部27,28に対向配置された下側磁石部32,33と、非接触で水平振り子24の振れ角を検出する静電容量位置検出器34とを備えている。
【0022】
下側磁石部32,33は、X型ヒンジ23の中央軸23aを中心とした円弧状にN極とS極の細い帯状磁石(数mm幅)が交互に配置されたものから構成されている。なお、帯状磁石の代わりにN極・S極を交互に着磁した磁石を用いてもよい。
【0023】
このとき、上述した上側磁石部27,28におけるN極と下側磁石部32,33のN極とが対向するように、上側磁石部27,28におけるS極と下側磁石部32,33のS極と対応するように配置されている。このことで永久磁石の直上平面では磁場の位置エネルギーを均一にでき、錘26の安定浮上が実現できる。
【0024】
静電容量位置検出器34は、ターゲットである参照質量と検出器にある電極との間の変位に比例した静電容量を測定するものであり、アナログ値として出力される。静電容量位置検出器34の最大分解能は例えば0.5nmである。
【0025】
なお、上述した上側磁石部27,28及び下側磁石部32,33で用いる永久磁石は、例えば、希土類であるネオジウムコバルトやフェライトシートであって0.5T程度の磁場を発生するものを用いる。希土類の永久磁石の磁場強度は、磁場の転移点であるキューリー温度に達するまでは大きな温度依存性が無く、また僅かな強度の温度依存性があっても浮上は鉛直方向なので、水平振り子にはほとんど影響しない。希土類の永久磁石を用いた場合、10kgの錘を3次元空間内の1軸を板バネ等で拘束することで安定に浮上できることが明らかになっている。
【0026】
振り子復元機構40は、架台41と、この架台41に支持された磁気バネ機構42と、フィードバック機構50とを備えている。磁気バネ機構42は、矢印Y方向に沿った磁場軸を形成するソレノイドコイル43と、軸方向を矢印Y方向としその先端が水平振り子24に当接して配置された円形棒磁石44とを備えている。ソレノイドコイル43には制御回路100により通電されることで、円形棒磁石44に駆動力を与えて、水平振り子24の自然周期を変えることが可能である。ここで、磁気バネ機構42による駆動力をfmag とする。
【0027】
フィードバック機構50は、矢印Y方向に沿った磁場軸を形成するソレノイドコイル51と、軸方向を矢印Y方向としその先端が水平振り子24に当接して配置された円形棒磁石52とを備えている。ソレノイドコイル51は後述するフィードバックコイル駆動部104により通電・駆動されることで、円形棒磁石44に駆動力を与えて、水平振り子24の動きを規制するものである。
【0028】
制御回路100は、アナログフィードバック回路であって、図5に示すように、静電容量位置検出器34からの出力を増幅するプリアンプ101と、位相補償器102と、フィードバッグフィルタ103と、ソレノイドコイル43を駆動するフィードバックコイル駆動部104とを備えている。
【0029】
次に、磁気浮上機構30及びX型ヒンジ23を用いて長周期の振り子を実現している点について詳述する。すなわち、振り子を支持するために用いられる弾性部材のバネ定数の変動はバネの弾性定数に対する比率で決まることから、バネ定数の変動の絶対値を小さくするには弱い(柔らかい)金属バネを用いることが好ましい。しかし弱い金属バネで支えられる錘は軽いものに限られる。そこで、バネ系とは独立に錘を支え、無定位な状態を作るとともに、錘に金属または別の方法で弱いバネ機構を付加して、長周期振り子を作ることが求められる。
【0030】
したがって、水平振り子24を磁気浮上機構30で支持するとともに、弱いバネ機構としてX型ヒンジ23を用いた。このように、X型ヒンジ23に対する錘26の負荷をごく僅かとすることができることから、X型ヒンジ23を弱い板バネで構成でき長周期化が可能となる。さらに、振り子の自然周期を固定して考えたときには、軽い錘の使用で地震計の軽量化も期待できる。
【0031】
なお、重力に対する錘の支持と振り子の機能を分離して構造を単純にすることで、設置誤差等で生じる傾きに起因した相互干渉による悪影響も除くことが可能となる。
【0032】
永久磁石で浮上できる錘26の重量は、水平振り子24の自然周期を決めるパラメータである。ここでは、簡略化した例として対向する永久磁石による浮上重量の計算結果を述べる。但し、NS交互着磁の浮上用磁石でもほぼ同じ結果が得られる。対向する磁石の吸引力Fは、
【数1】
で表される。ここでBg は対向する磁極問の磁束密度、μは透磁率、Sは磁極間の対向面積である。反発力も同様に成り立つ。この式(1)を使って磁力を変えたときの水平振り子24に使う錘26の浮上力を計算した結果を図6中実線に示す。また、図6中のポイントPは実験値を示す。NS交互着磁の浮上用磁石は磁力線が帯と帯の間に閉じるので、強い磁場の範囲は近傍のみである。その範囲は大きく見ても表面から数十mmの程度である。そのために浮上用磁場の漏れによるX型ヒンジ23等に対する影響も少なくできる。
【0033】
しかし範囲が狭くても、上側磁石部27,28を下側磁石部32,33に対向して近づければ、磁石近傍では0.5T程度の磁場強度が期待できる。図6のグラフから磁石の面積Sにもよるが、1000mm2 程度の面積で2kg程度の重量の錘26を浮上させることができ、実験値は計算値に合致している。
【0034】
次に、水平振り子24の動作特性について説明する。水平振り子24の動作特性は、主にX型ヒンジ23の板バネの復元力fres で決まる。ここで、磁気バネ機構42の力をfmag とする。また本体が傾斜することにより、重力fg によるX型ヒンジ23の復元力を打ち消すような負の力fgsinが錘26に対して働く。この錘26に働く力の関係を模式的に示したのが図7である。
【0035】
図7中の力でY−Z平面(Y軸の傾き)に沿った本体の傾き(回転成分)は、水平振り子24の平衡点のシフトにつながり、この検出器は原理的に水平動の外力とこの成分を区別できない。X−Z平面(X軸の傾き)に沿った本体の傾き(回転成分)はバネ定数の変化につながる。水平振り子24に働く外力とそれぞれの力の関係は、
【数2】
で表され、この式(2)ではY−Z平面に沿った傾きは無いものとする。錘26に働く重力fg は、磁気浮上力flevel で打ち消され式(2)に表れない。ここでfext は外力、mは参照質量、εは減衰係数、kはX型ヒンジ23のバネ定数、gは重力加速度、φは水平振り子24の倒立の具合を決める角度、θは水平振り子24の振れ角、Mgspは磁気バネ機構42の内部棒磁石の磁荷、nは磁気バネ機構42のソレノイドコイル43の巻き数、Iはソレノイドコイル43の電流、αはソレノイドコイル43の半径、xd は水平振り子24の変位である。また右辺の括弧内の第1項はX型ヒンジ23の復元力fres で、第2項は水平振り子24の錘26に働く重力による倒立力fgsin、第3項は磁気バネ機構42による力fmag である。
【0036】
地震計のノイズにつながる外力は、上記の傾斜成分のほかに音や気圧変化等多様なものがある。この式(2)を使って磁気バネ機構42でX型ヒンジ23と逆方向の負の復元力を加え、水平振り子24の自然周期が長くなる方向に変化させたときの計算値を図8の(a)中実線で示す。なお、ソレノイドコイル43に流す電流値と自然周期との関係で示されている。また、図中のポイントは、試作機によって得られた実験値である。図8の(a)からわかるように、計算値と実験値はほぼ一致している。
【0037】
一方、X−Z平面(X軸の傾き)でベース11を傾け、水平振り子24の復元力を変化させたときの傾き角に依存した自然周期の変化の計算値を図8の(b)に示す。なお、試作機の参照質量は2kg程度である。
【0038】
このように構成された水平高感度地震計10は、次のように動作する。すなわち、地震等により水平高感度地震計10に水平方向の振動が伝わると、錘26によって水平振り子24が水平方向に振れる方向に力が働く。この水平振り子24の微小な移動量を静電容量位置検出器34が検出する。静電容量位置検出器34で検出された移動量は振れ角に対応し、この振れ角の信号は、制御回路100に入力され、ソレノイドコイル51への通電量が算出され、フィードバックコイル駆動部104によりソレノイドコイル51が駆動される。そして、円形棒磁石52により水平振り子24の動きが規制される。同時に、フィードバックコイル駆動部104の出力信号や位相補償器102の出力信号を取り出すことにより、振動検出出力とすることができる。
【0039】
上述したように本発明の一実施の形態に係る水平高感度地震計10によれば、次のような効果が得られる。すなわち、サーボ型地震計において、重い錘を用いた水平振り子を弱いバネで支持することにより、振り子の長周期化を図ることができる。このため、地震計の高ダイナミックレンジ化及び安定化が図ることが可能となる。また、強い板バネを用いた場合の温度変化に依存したドリフトや複雑なバネによる重力の打ち消し機構に起因する設置の困難性を排除することが可能である。
【0040】
また、水平高感度地震計10では、錘26の浮上を永久磁石を用いた磁気浮上によって実現しているので、電力消費を小さくでき、地震計のように野外で設置する機器に適している。
【0041】
なお、静電容量位置検出器34の代わりにレーザスケール(最大相対分解能35pm)を用いても良い。レーザスケールでは、石英の物差しに刻んであるホログラム回折格子の動きをレーザ干渉計により測定する方法である。この方法では、格子で作られる干渉縞をフリンジカウントし絶対測定するか、縞の変化により得られる2つのサインとコサイン関数の干渉波形の位相関係を求めて変位情報とするかである。位相測定は数十pmの相対分解能がある。なお、この場合、制御回路としてはデジタルフィードバック回路を用いる。
【0042】
変位情報を計測するとほぼ同時にソレノイドコイル51を駆動する必要があることから、リアルタイム処理が必要である。したがって、処理は高速に行う必要がある。このような高速の非線形データ処理には高速のDSP(DigitalSignal Processor)を使ったデジタルフィードバックが最適である。デジタルフィードバックでは、フィードバック回路とデータ処理・通信回路を一体化して低価格にしたり、振り子の非線形特性を補正し広いダイナミックレンジを得たり、温度による検出器の特性変化を補正するアダプティブ制御が使用できる等の利点がある。
【0043】
なお、地震計にデジタルフィードバックを採用する場合に問題であった信号入力・出力のためのADC・DACのダイナミックレンジの不足は、必要な範囲をカバーするビット幅を上位と下位ビット群に分け、それぞれに対応する各2つのADCやDACで高ビット化して対応するか、デルタ・シグマ方式の24ビットDACを使用することも可能である。
【0044】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、振り子の長周期化を図る場合であっても、弾性部材のバネ定数の変化に伴うドリフト・ノイズの発生を防止し、かつ、調整や観測時の設置を容易にすることで、高ダイナミックレンジ化及び安定化が図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る水平地動検出器を示す斜視図。
【図2】同水平地動検出器を示す平面図。
【図3】同水平地動検出器を示す側面図。
【図4】同水平地動検出器を示す背面図。
【図5】同水平地動検出器に組み込まれた制御回路を示すブロック図。
【図6】磁場強度と浮上力と磁石面積との関係を示すグラフ。
【図7】錘にかかる力を模式的に示す説明図。
【図8】(a)はソレノイドコイルへの電流と自然周期との関係を示すグラフ、(b)はベースの傾きと自然周期との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
10…水平高感度地震計、20…水平振り子機構、23…X型ヒンジ、24…水平振り子、26…錘、27,28…上側磁石部、30…磁気浮上機構、32,33…下側磁石部、34…静電容量位置検出器、40…振り子復元機構、42…磁気バネ機構、43…ソレノイドコイル、100…制御回路、104…フィードバックコイル駆動部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、地震計等に用いられる水平地動検出器に関し、特に簡単な構成で高精度の測定が行えるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
STS(速度計)やCMG(加速度計)等の広帯域・高感度地震計や超伝導重力計等の地球観測機器は、遠地地震の小さな波形を正確に捕らえる地球の内部トモグラフィーを利用して地球の内部構造を明らかにしたり、等の近年の地震研究に多大な貢献をしている。このような地震研究を発展させるために、さらに高感度・高精度のサーボ型の地震計等が開発されてきた(例えば特許文献1参照)。
【0003】
地震計として、振り子を用いて慣性不動点を作り、震動する地面とこの慣性不動点との間の変位を測定することで振動を検出するものが従来より用いられている。このような地震計を高感度・広帯域化し、特に地震特有の低周波領域の測定を行うためには、長い自然周期を得ることが必要となる。
【0004】
ここで、どのようにして長い自然周期を得るかが一つの問題となる。長周期を得るために、例えば、振り子の錘を非常に重いものとすることが考えられる。しかしながら、このような地震計は大型化するという問題があった。
【0005】
一方、錘にかかる重力を機械式のバネの復元力で打ち消し弱いバネ定数を実現するための倒立振り子やリーフスプリングタイプの地震計、さらにラコステ重力計で使用されているゼロ長バネが考案されている。
【0006】
特に最近の水平高感度地震計は、僅かに倒立させた振り子で重力により板バネの強い復元力を打ち消し、その僅かな差で振り子の弱いバネを実現し長周期化をはかっているものがある。例えば、STS−1は、水平振り子のヒンジに使用している板バネの復元力を打ち消すために、本体を水平面から僅かに上に傾け、その角度調整で振り子の倒立の具合いを変えて重力の打ち消し調整を行っている。
【0007】
また、平行磁場と永久磁石による無定位回転振り子と、磁気バネを使った地動検出器が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−244319号公報(第2頁、図2)
【0009】
【非特許文献1】
文部省科学研究補助金・基盤研究C 1999-2000年度、平行磁場と永久磁石による無定位回転振り子と、磁気バネを使った地動検出器の開発(第1〜33頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述した水平高感度地震計であると次のような問題があった。すなわち、大きな力同士の打ち消しで小さなバネ定数を得るという構造であるため、地面の僅かな傾きや設置誤差、温度・経年変化によるバネの弾性定数の少しの変化もその差を大きく拡大・縮小する。その差の変化は振り子全体のバネ定数の変化になり、自然周期や利得の変動をもたらし測定値のドリフト・ノイズに直結する。したがって、その調整や観測時の設置が難しいという問題があった。
【0011】
また設置を容易にするために、CMGのように内部に電動ジンバル機構を持ったものもあるが、構造が複雑になり、コストが高くなるという問題があった。さらに、バネ機構の設計と製作は、非常に特殊な技術を必要とするという問題があった。
【0012】
そこで本発明は、振り子の長周期化を図る場合であっても、弾性部材のバネ定数の変化に伴うドリフト・ノイズの発生を防止し、かつ、調整や観測時の設置を容易にすることで、高ダイナミックレンジ化及び安定化が図ることができる水平地動検出器を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し目的を達成するために、本発明の水平地動検出器は次のように構成されている。すなわち、先端側に錘部が設けられるとともに、基端側が板バネで支持され、上記基端側を中心として水平面内で揺動する水平振り子と、この水平振り子の下方に対向配置され上記錘部を磁気浮上させて上記水平振り子の揺動方向を水平面内に維持する浮上磁石部と、前記水平振り子の水平方向の振れ角を測定する測定部と、この測定部による上記水平振り子の振れ角に基づいて上記水平振り子の復元量を算出する演算部と、この演算部による算出結果に基づいて上記水平振り子を復元する復元部とを備えていることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施の形態に係る水平高感度地震計10を示す斜視図、図2は同水平高感度地震計10を一部切欠して示す平面図、図3は同側面図、図4は同水平高感度地震計10の背面図である。なお、これらの図中矢印XYZは互いに直交する三方向を示しており、特に矢印XYは水平方向、矢印Zは鉛直方向を示している。
【0015】
水平高感度地震計10は、いわゆるサーボ型地震計である。サーボ型地震計は、錘の位置を検出しその動きを止めることで大きな外力による大きな揺れでも振り子が振り切れないようにしたものである。このことで地震計の高ダイナミックレンジ化及び安定化が図ることが可能となる。また、フィードバック回路から錘に接続されたコイルアクチュエータヘの信号や位置検出回路の出力信号を、振動検出出力とする。さらにフィードバックパラメータによる補償で、振り子の減衰定数や自然周期等が可変できるという特性を有している。
【0016】
水平高感度地震計10は、測定位置に固定されるベース11と、このベース11上に搭載された水平振り子機構20、磁気浮上機構30、振り子復元機構40と、水平振り子24の位置に基づいて振り子復元機構40を制御する制御回路100とを備えている。
【0017】
水平振り子機構20は、XYZテーブル21と、このXYZテーブル21に支持された振り子支持部22と、この振り子支持部22にX型ヒンジ23を介して取付けられた水平振り子24と、この水平振り子24の先端側下部に取付けられた板状のブラケット25と、このブラケット25の下面に取付けられた錘26と、この錘26を挟んで配置された一対の上側磁石部27,28とを備えている。
【0018】
XYZテーブル21は、3つの調節ネジ21a〜21cによりXYZ方向について移動可能に構成されており、例えば錘26の質量を変えた場合に、磁石浮上機構30による磁気浮上が適正に行われるように調節することが可能である。
【0019】
X型ヒンジ23は、恒弾性合金(ハイテリンバー)の板バネにより形成されており、振り子支持部22及び水平振り子24にネジ止めされている。このX型ヒンジ23により水平振り子24は振り子支持部22に対し、その中心軸23aを揺動軸として揺動可能に支持されている。なお、中心軸23aは鉛直方向であることから、水平振り子24の揺動範囲は水平面内となる。
【0020】
上側磁石部27,28は、X型ヒンジ23の中央軸23aを中心とした円弧状にN極とS極の細い帯状磁石(数mm幅)が交互に配置されたものから構成されている。なお、帯状磁石の代わりにN極・S極を交互に着磁した磁石を用いてもよい。
【0021】
磁気浮上機構30は、架台31と、この架台31上に設けられ、上述した上側磁石部27,28に対向配置された下側磁石部32,33と、非接触で水平振り子24の振れ角を検出する静電容量位置検出器34とを備えている。
【0022】
下側磁石部32,33は、X型ヒンジ23の中央軸23aを中心とした円弧状にN極とS極の細い帯状磁石(数mm幅)が交互に配置されたものから構成されている。なお、帯状磁石の代わりにN極・S極を交互に着磁した磁石を用いてもよい。
【0023】
このとき、上述した上側磁石部27,28におけるN極と下側磁石部32,33のN極とが対向するように、上側磁石部27,28におけるS極と下側磁石部32,33のS極と対応するように配置されている。このことで永久磁石の直上平面では磁場の位置エネルギーを均一にでき、錘26の安定浮上が実現できる。
【0024】
静電容量位置検出器34は、ターゲットである参照質量と検出器にある電極との間の変位に比例した静電容量を測定するものであり、アナログ値として出力される。静電容量位置検出器34の最大分解能は例えば0.5nmである。
【0025】
なお、上述した上側磁石部27,28及び下側磁石部32,33で用いる永久磁石は、例えば、希土類であるネオジウムコバルトやフェライトシートであって0.5T程度の磁場を発生するものを用いる。希土類の永久磁石の磁場強度は、磁場の転移点であるキューリー温度に達するまでは大きな温度依存性が無く、また僅かな強度の温度依存性があっても浮上は鉛直方向なので、水平振り子にはほとんど影響しない。希土類の永久磁石を用いた場合、10kgの錘を3次元空間内の1軸を板バネ等で拘束することで安定に浮上できることが明らかになっている。
【0026】
振り子復元機構40は、架台41と、この架台41に支持された磁気バネ機構42と、フィードバック機構50とを備えている。磁気バネ機構42は、矢印Y方向に沿った磁場軸を形成するソレノイドコイル43と、軸方向を矢印Y方向としその先端が水平振り子24に当接して配置された円形棒磁石44とを備えている。ソレノイドコイル43には制御回路100により通電されることで、円形棒磁石44に駆動力を与えて、水平振り子24の自然周期を変えることが可能である。ここで、磁気バネ機構42による駆動力をfmag とする。
【0027】
フィードバック機構50は、矢印Y方向に沿った磁場軸を形成するソレノイドコイル51と、軸方向を矢印Y方向としその先端が水平振り子24に当接して配置された円形棒磁石52とを備えている。ソレノイドコイル51は後述するフィードバックコイル駆動部104により通電・駆動されることで、円形棒磁石44に駆動力を与えて、水平振り子24の動きを規制するものである。
【0028】
制御回路100は、アナログフィードバック回路であって、図5に示すように、静電容量位置検出器34からの出力を増幅するプリアンプ101と、位相補償器102と、フィードバッグフィルタ103と、ソレノイドコイル43を駆動するフィードバックコイル駆動部104とを備えている。
【0029】
次に、磁気浮上機構30及びX型ヒンジ23を用いて長周期の振り子を実現している点について詳述する。すなわち、振り子を支持するために用いられる弾性部材のバネ定数の変動はバネの弾性定数に対する比率で決まることから、バネ定数の変動の絶対値を小さくするには弱い(柔らかい)金属バネを用いることが好ましい。しかし弱い金属バネで支えられる錘は軽いものに限られる。そこで、バネ系とは独立に錘を支え、無定位な状態を作るとともに、錘に金属または別の方法で弱いバネ機構を付加して、長周期振り子を作ることが求められる。
【0030】
したがって、水平振り子24を磁気浮上機構30で支持するとともに、弱いバネ機構としてX型ヒンジ23を用いた。このように、X型ヒンジ23に対する錘26の負荷をごく僅かとすることができることから、X型ヒンジ23を弱い板バネで構成でき長周期化が可能となる。さらに、振り子の自然周期を固定して考えたときには、軽い錘の使用で地震計の軽量化も期待できる。
【0031】
なお、重力に対する錘の支持と振り子の機能を分離して構造を単純にすることで、設置誤差等で生じる傾きに起因した相互干渉による悪影響も除くことが可能となる。
【0032】
永久磁石で浮上できる錘26の重量は、水平振り子24の自然周期を決めるパラメータである。ここでは、簡略化した例として対向する永久磁石による浮上重量の計算結果を述べる。但し、NS交互着磁の浮上用磁石でもほぼ同じ結果が得られる。対向する磁石の吸引力Fは、
【数1】
で表される。ここでBg は対向する磁極問の磁束密度、μは透磁率、Sは磁極間の対向面積である。反発力も同様に成り立つ。この式(1)を使って磁力を変えたときの水平振り子24に使う錘26の浮上力を計算した結果を図6中実線に示す。また、図6中のポイントPは実験値を示す。NS交互着磁の浮上用磁石は磁力線が帯と帯の間に閉じるので、強い磁場の範囲は近傍のみである。その範囲は大きく見ても表面から数十mmの程度である。そのために浮上用磁場の漏れによるX型ヒンジ23等に対する影響も少なくできる。
【0033】
しかし範囲が狭くても、上側磁石部27,28を下側磁石部32,33に対向して近づければ、磁石近傍では0.5T程度の磁場強度が期待できる。図6のグラフから磁石の面積Sにもよるが、1000mm2 程度の面積で2kg程度の重量の錘26を浮上させることができ、実験値は計算値に合致している。
【0034】
次に、水平振り子24の動作特性について説明する。水平振り子24の動作特性は、主にX型ヒンジ23の板バネの復元力fres で決まる。ここで、磁気バネ機構42の力をfmag とする。また本体が傾斜することにより、重力fg によるX型ヒンジ23の復元力を打ち消すような負の力fgsinが錘26に対して働く。この錘26に働く力の関係を模式的に示したのが図7である。
【0035】
図7中の力でY−Z平面(Y軸の傾き)に沿った本体の傾き(回転成分)は、水平振り子24の平衡点のシフトにつながり、この検出器は原理的に水平動の外力とこの成分を区別できない。X−Z平面(X軸の傾き)に沿った本体の傾き(回転成分)はバネ定数の変化につながる。水平振り子24に働く外力とそれぞれの力の関係は、
【数2】
で表され、この式(2)ではY−Z平面に沿った傾きは無いものとする。錘26に働く重力fg は、磁気浮上力flevel で打ち消され式(2)に表れない。ここでfext は外力、mは参照質量、εは減衰係数、kはX型ヒンジ23のバネ定数、gは重力加速度、φは水平振り子24の倒立の具合を決める角度、θは水平振り子24の振れ角、Mgspは磁気バネ機構42の内部棒磁石の磁荷、nは磁気バネ機構42のソレノイドコイル43の巻き数、Iはソレノイドコイル43の電流、αはソレノイドコイル43の半径、xd は水平振り子24の変位である。また右辺の括弧内の第1項はX型ヒンジ23の復元力fres で、第2項は水平振り子24の錘26に働く重力による倒立力fgsin、第3項は磁気バネ機構42による力fmag である。
【0036】
地震計のノイズにつながる外力は、上記の傾斜成分のほかに音や気圧変化等多様なものがある。この式(2)を使って磁気バネ機構42でX型ヒンジ23と逆方向の負の復元力を加え、水平振り子24の自然周期が長くなる方向に変化させたときの計算値を図8の(a)中実線で示す。なお、ソレノイドコイル43に流す電流値と自然周期との関係で示されている。また、図中のポイントは、試作機によって得られた実験値である。図8の(a)からわかるように、計算値と実験値はほぼ一致している。
【0037】
一方、X−Z平面(X軸の傾き)でベース11を傾け、水平振り子24の復元力を変化させたときの傾き角に依存した自然周期の変化の計算値を図8の(b)に示す。なお、試作機の参照質量は2kg程度である。
【0038】
このように構成された水平高感度地震計10は、次のように動作する。すなわち、地震等により水平高感度地震計10に水平方向の振動が伝わると、錘26によって水平振り子24が水平方向に振れる方向に力が働く。この水平振り子24の微小な移動量を静電容量位置検出器34が検出する。静電容量位置検出器34で検出された移動量は振れ角に対応し、この振れ角の信号は、制御回路100に入力され、ソレノイドコイル51への通電量が算出され、フィードバックコイル駆動部104によりソレノイドコイル51が駆動される。そして、円形棒磁石52により水平振り子24の動きが規制される。同時に、フィードバックコイル駆動部104の出力信号や位相補償器102の出力信号を取り出すことにより、振動検出出力とすることができる。
【0039】
上述したように本発明の一実施の形態に係る水平高感度地震計10によれば、次のような効果が得られる。すなわち、サーボ型地震計において、重い錘を用いた水平振り子を弱いバネで支持することにより、振り子の長周期化を図ることができる。このため、地震計の高ダイナミックレンジ化及び安定化が図ることが可能となる。また、強い板バネを用いた場合の温度変化に依存したドリフトや複雑なバネによる重力の打ち消し機構に起因する設置の困難性を排除することが可能である。
【0040】
また、水平高感度地震計10では、錘26の浮上を永久磁石を用いた磁気浮上によって実現しているので、電力消費を小さくでき、地震計のように野外で設置する機器に適している。
【0041】
なお、静電容量位置検出器34の代わりにレーザスケール(最大相対分解能35pm)を用いても良い。レーザスケールでは、石英の物差しに刻んであるホログラム回折格子の動きをレーザ干渉計により測定する方法である。この方法では、格子で作られる干渉縞をフリンジカウントし絶対測定するか、縞の変化により得られる2つのサインとコサイン関数の干渉波形の位相関係を求めて変位情報とするかである。位相測定は数十pmの相対分解能がある。なお、この場合、制御回路としてはデジタルフィードバック回路を用いる。
【0042】
変位情報を計測するとほぼ同時にソレノイドコイル51を駆動する必要があることから、リアルタイム処理が必要である。したがって、処理は高速に行う必要がある。このような高速の非線形データ処理には高速のDSP(DigitalSignal Processor)を使ったデジタルフィードバックが最適である。デジタルフィードバックでは、フィードバック回路とデータ処理・通信回路を一体化して低価格にしたり、振り子の非線形特性を補正し広いダイナミックレンジを得たり、温度による検出器の特性変化を補正するアダプティブ制御が使用できる等の利点がある。
【0043】
なお、地震計にデジタルフィードバックを採用する場合に問題であった信号入力・出力のためのADC・DACのダイナミックレンジの不足は、必要な範囲をカバーするビット幅を上位と下位ビット群に分け、それぞれに対応する各2つのADCやDACで高ビット化して対応するか、デルタ・シグマ方式の24ビットDACを使用することも可能である。
【0044】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、振り子の長周期化を図る場合であっても、弾性部材のバネ定数の変化に伴うドリフト・ノイズの発生を防止し、かつ、調整や観測時の設置を容易にすることで、高ダイナミックレンジ化及び安定化が図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る水平地動検出器を示す斜視図。
【図2】同水平地動検出器を示す平面図。
【図3】同水平地動検出器を示す側面図。
【図4】同水平地動検出器を示す背面図。
【図5】同水平地動検出器に組み込まれた制御回路を示すブロック図。
【図6】磁場強度と浮上力と磁石面積との関係を示すグラフ。
【図7】錘にかかる力を模式的に示す説明図。
【図8】(a)はソレノイドコイルへの電流と自然周期との関係を示すグラフ、(b)はベースの傾きと自然周期との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
10…水平高感度地震計、20…水平振り子機構、23…X型ヒンジ、24…水平振り子、26…錘、27,28…上側磁石部、30…磁気浮上機構、32,33…下側磁石部、34…静電容量位置検出器、40…振り子復元機構、42…磁気バネ機構、43…ソレノイドコイル、100…制御回路、104…フィードバックコイル駆動部。
Claims (1)
- 先端側に錘部が設けられるとともに、基端側が板バネで支持され、上記基端側を中心として水平面内で揺動する水平振り子と、
この水平振り子の下方に対向配置され上記錘部を磁気浮上させて上記水平振り子の揺動方向を水平面内に維持する浮上磁石部と、
前記水平振り子の水平方向の振れ角を測定する測定部と、
この測定部による上記水平振り子の振れ角に基づいて上記水平振り子の復元量を算出する演算部と、
この演算部による算出結果に基づいて上記水平振り子を復元する復元部とを備えていることを特徴とする水平地動検出器。
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