JP3759927B2 - 医薬的に利用可能なエチドロン酸2ナトリウムを単離するための方法 - Google Patents

医薬的に利用可能なエチドロン酸2ナトリウムを単離するための方法 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、水性有機相およびエチドロン酸2ナトリウム塩の水相からなる液液分散液における沈降によって、医薬的に利用可能なエチドロン酸2ナトリウムを単離するための方法、および本方法によって得ることができるエチドロン酸2ナトリウムの新奇な固相形態に関する。
【0002】
水の存在下、水酸化ナトリウム溶液での中和によってヒドロキシエタン−1,1−2リン酸(HEDP)の2ナトリウム塩を調製することは、技術および特許文献から公知である(DE−A−1148551)。
【0003】
固形物を得るためのこれまでに知られた単離方法の不利は、
−無水塩を与えるための最大級の範囲での水の蒸発は比較的高い温度でしか実施できないこと、
−このために用いられる噴霧乾燥法は極めて低いかさ密度、高ダスト量および不良流動性を有する含水製品を生じるだけであり、従って、医薬的処理に適していないこと、
−代わりに用いようとする高温での薄層乾燥法は、実際、追加の研磨処理を必要としてしまうぎっしり詰まったしかしクラスト様の構造物を生成すること、および
−最終的な製品において、リン酸および酢酸などのHEDPの揮発性の低い不純物の集積が起こり、従って、医薬目的のためにHEDPの追加前処理を必要とすること(DD275462)、
において存する。
【0004】
さらに、濃縮溶液からの結晶体を冷却することによってHEDPの2ナトリウム塩を調製することは公知である。
【0005】
この手法に関して、
−かさばった針状の結晶体は母液から分離するのが困難であること、
−フェルト様濾過ケーキが生じること、
−乾燥すると湿った生成物が固まり、水が凝集物の内部から除去されるのは極めて困難なことであり得ること、および
−ナトリウム塩の良好な水溶解性の結果として大量の母液の損失が記録されてしまうであろうこと、
が不利である。
【0006】
加えて、特許明細書DE−A1148551には、アルコールまたはアセトンなどの有機溶媒の塩水溶液への添加による沈降によって、酸およびリン酸のアシル化の間に得られる結晶形態の塩を対応するアルカリ金属塩に変換することが記載されている。この手法の不利は、
−多かれ少なかれ微細結晶性または針状であり、それらが乾燥処理の間に同様に凝集し固まり合う傾向にあるので、同じように乾燥することが極めて困難である製品が得られること、
−例えば溶媒和物のような最終製品中に固く結合した溶媒残留物の高含量、および
−製品の追加研磨処理の必要性、
に存する。
【0007】
さらに、塩水溶液の有機溶媒への添加は、一般に、油性で粘着性の水相の沈降をもたらし、次第に固形化して粗い塊を生じることは技術文献から公知である。これはナトリウム塩がすべての有機溶媒中に殆ど溶解しないという事実により立証される。医薬的な利用を保証する技術的パラメータを有するエチドロン酸2ナトリウムの調製または単離のための方法は、技術および特許文献において開示されていない。
【0008】
本発明は、医薬的に利用可能なエチドロン酸2ナトリウムの製造を可能とする方法、すなわち、0.2〜1mm範囲の粒径、0.4〜0.6g/cm3のかさ密度および良好な流動性、および従って高い医薬的利用度を有する高純度の製品を高収率で生成する方法を開発する目的に基づく。
【0009】
この目的は、
a)水性有機相およびエチドロン酸2ナトリウム塩を含む水相からなる液液分散液を、温度0℃〜30℃に調整すると共に激しく攪拌し、
b)次に、粗粒子留分を液液分散液から沈降させ、
c)第二の遅延段階において、微細粒子留分を有機相から沈降させる、
エチドロン酸2ナトリウムを単離するための方法により本発明によって達成される。
【0010】
好ましくは、微細粒子留分は粗粒子留分の分級による段階d)において分離され、本方法中に戻される。
【0011】
さらなる段階e)において、段階d)による粗粒子留分は、濾過され、最終温度85℃〜100℃まで移動床中で乾燥させることによって乾燥することができる。
【0012】
好ましくは、液液分散液は25〜35体積%の全水含量および10〜100gの全エチドロン酸2ナトリウム塩含量/分散液kgを有する。
【0013】
液液分散液は、好ましくは、5℃〜10℃間に調整される。
【0014】
水性有機相は、好ましくは、イソプロパノール/水相である。
【0015】
加えて、液液分散液のために、エチドロン酸2ナトリウムの水溶液がイソプロパノール/水からなる溶媒に添加されることは本発明により好ましい。
【0016】
本発明のさらなる主題は、本発明による方法によって得ることができるエチドロン酸2ナトリウムである。本発明によるエチドロン酸2ナトリウムは結晶水なしの形態として得られ、主として非晶質であり、図1に示される粉末X線ダイアグラムおよび図2に示されるIRスペクトルにより特徴付けられる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態は一例として以下に記載される。
【0018】
原則的に、有機相はエタノール、メタノール、アセトンおよびイソプロパノールから成ることが可能であり、最も好ましい技術的および材料パラメータはイソプロパノールを用いて達成される。本発明による方法は、従って、一例として有機相にイソプロパノールを用いて以下に記載される。
【0019】
液液分散液の調製のため、エチドロン酸2ナトリウムの水溶液を、全水含量25〜35体積%のイソプロパノール/水混合物からなる溶媒に添加し、懸濁液の形態において固形物含量10〜100g/分散液kgがこの場合に確定される。こうして、この液液分散液は低水イソプロパノール相および水主体塩相から成る。2相の間に、水およびナトリウム塩に関する特定の分配平衡が確立される。有機相が分散水性相から水を抽出するが、しかしほんの少しばかりの塩しか吸収しないことは、沈降処理にとって重要である。次に、結晶化は高過飽和の結果として約7〜10分後に突然始まる。結晶性液滴の凝集はこの結晶化に重なって起こる。比較的大きな粒子が形成され、これらは攪拌器の剪断場で分割されその結果所期の粒径分布を与える。この機械的粉砕は、静かな液体状態から固体相への移行中における数分間の過程での適切な攪拌エネルギーによってのみ可能である。
【0020】
今記載したばかりの粗粒子の沈降にいくらか遅れて、針状の微細粒子留分が有機相中に少量沈降する。その有意により低い沈降速度のせいで、それは固液分離の前に直ぐに問題なく分級され、本方法に再循環される。次に、砂状の粗粒子留分は濾過され、洗浄される。それは、移動床中の真空接触乾燥および温度を次第に約85〜100℃まで上げることによって乾燥されて無水塩を生成する。
【0021】
本発明による方法適用の重要な効果は、医薬的に利用可能なエチドロン酸2ナトリウムがそれを用いて調製することができることに存する。本手法の利点は、以下の方法が開発されてきたという事実からもたらされる:
−25〜35体積%の全水含量および10〜100gの全エチドロン酸2ナトリウム塩含量/分散液kgを有する液液分散液から殆どダストなしのエチドロン酸2ナトリウムの製造を可能とし、エチドロン酸2ナトリウムは0.2〜1.0mm範囲の粒径を有し、続く錠剤化用に、例えば0.4〜0.6g/cm3のかさ密度などのさらに好ましい固相特性を有すると共に、エチドロン酸2ナトリウムの造粒において全粒子の多くとも10重量%が>1mmであり、全粒子の多くとも5重量%が<0.1mmである。エチドロン酸2ナトリウム錠剤は大部分が活性化合物から成る。従って、錠剤の特性は活性化合物の固相特性により大方の部分が決められる。
−USPによる医薬用純度要求事項に対応するエチドロン酸2ナトリウムを製造する。
−乾燥工程においてその砂状整合性を維持し、問題なく乾燥されて無水形態を生成することができる製品を提供する。
【0022】
乾燥段階において、結晶水の放出、これが均質な乾燥製品にとってとりわけ決定的に重要なものである。さらに、乾燥法は、水和物の乾燥化水蒸気からの大量微細ダストの堆積によって負担とはならない。
【0023】
さらに、本方法およびそれと共に関連する液液分散液系における分配平衡は、HEDP(リン酸および酢酸)の有機相中へのそれぞれ95%および99%までの混入をもたらし、予想したように、好ましくは水相中には取り上げられない。従って、これらの不純物は最終製品中には沈降しない。
【0024】
さらなる利点のために、また、実施例の説明を参照することができる。
【0025】
〔実施例〕
本発明は、以下の好ましい非限定的な実施例の支援により説明される。
【0026】
測定方法:
粉末X線回折法(粉末X線回折;XRPD):
データはCuアノードを備えるシーメンス(Siemens)D5000回折計(0.01°の分解能、5°≦2θ≦50°間)を用いて測定した。
IR分光法:
ATI マットソン(Mattson)、ジェネシス(Genesis)FT−IRを用いた、KBr、8t、90秒。
粒径分析:
RETSCHスクリーン分析システムを用いた。
かさ密度測定:
かさ密度測定を計量用シリンダーによって行った(振らない)。
水含量:
乾燥時の損失をメットラー・トレド(Mettler Toledo)湿度測定装置を用いて測定した、200℃、20分。
酢酸
酢酸含量をガスクロマトグラフィーで測定した(GCヘッドスペース(Headspace)、DB5、30m、FID)。
イソプロパノール
イソプロパノール含量をガスクロマトグラフィーで測定した(GCヘッドスペース(Headspace)、DBワックス、30m、FID)。
亜リン酸塩
亜リン酸塩含量を滴定によってヨード滴定的に測定した。
【0027】
実施例1
水含量25体積%を有し、−7℃に前もって冷却されたイソプロパノール10.5lを、タービン攪拌器および二つの流量断続器を備えた攪拌槽中に導入する。攪拌しながら、350g/l濃度を有するナトリウム塩の水溶液1.7lを急速に添加する。溶液はリン酸0.6重量%および酢酸0.6重量%を含有する。約3〜4分後、速度を650〜700rpmに調節し、攪拌をこの速度で10分間にわたり継続する。次に、速度を約250〜300rpmに低下させ、攪拌を10分間にわたり継続する。攪拌を停止後、粗粒子留分は3分以内に沈殿する。上澄みの微細粒子懸濁液を除去し、粗粒子沈殿物を簡単な攪拌によりイソプロパノール/水混合物7l(25体積%の水または前の沈降サイクルからのきれいな母液)により洗浄すると共に、再度上澄み懸濁液を除去する。このようにして、微細粒子留分を殆ど完全に分離する。微細粒子含量は固形物の約18〜19%である。粗粒子留分を濾過し、部分的に空気流中で乾燥する。
【0028】
湿っぽい製品を回転式蒸発器中において真空で乾燥する。2kPaの真空が達成された後に、加熱浴温度を3時間かけて次第に80℃まで上げる。この段階において、遊離水分は2〜3kPa真空下、連続移動床から本質的に乾燥分離される。蒸気は凝縮する。結晶水の脱水は、2kPa未満の真空、加熱浴温度100℃下において、移動床で、継続的に3時間にわたって行われる。
【0029】
以下の粒度スペクトルを有する最終製品を得る:
0.1 mm 0.07%
0.1〜0.2 mm 23.8%
0.2〜0.5 mm 27.3%
0.5〜0.8 mm 46.2%
0.8〜1.0 mm 2.16%
1.0 mm 0.47%
かさ密度は0.48g/cm3である。
さらに達成された品質パラメータは以下であった:
含量: 100%
乾燥時損失 3.5%
亜リン酸塩: 0.06%
イソプロパノール: 0.01%
酢酸: 0.01%
【0030】
沈殿法および蒸留による除去によって、微細粒子懸濁液から母液を分離し、最後には再度沈降用に用いることができる水溶液を得る。透明な母液、洗浄用混合物および分級化混合物は、一部の場合において、再度分級用に用いられるか、または簡単な蒸留によりイソプロパノール/水混合物およびHEDP不純物を含有する水性底留分に分離される。微細粒子再循環を考慮に入れた固形物収率は理論値の97%である。
【0031】
実施例2
用いるイソプロパノール中の水含量が22体積%であることが異なる実施例1による方法。分級化された微細粒子含量は固形物の約14〜15%である。以下の粒度スペクトルを有する最終製品を得る:
0.1 mm 0.0%
0.1〜0.2 mm 0.07%
0.2〜0.5 mm 19.7%
0.5〜0.8 mm 54.9%
0.8〜1.0 mm 15.6%
1.0 mm 9.71%
かさ密度は0.51g/cm3である。
【0032】
実施例3
リン酸3重量%を含有するナトリウム塩溶液を用いることが異なる実施例1による方法。
【0033】
以下の品質を有する最終製品が達成される:
含量: 100%
乾燥時損失: 3.5%
亜リン酸塩: 0.61%
イソプロパノール: 0.01%
酢酸: 0.01%
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による方法によって得ることができるエチドロン酸2ナトリウムの粉末X線ダイアグラムを示す。
【図2】 本発明による方法によって得ることができるエチドロン酸2ナトリウムのIRスペクトルを示す。

Claims (11)

  1. )水性有機相およびエチドロン酸2ナトリウム塩を含む水相からなる液液分散液を、温度0℃〜30℃に調整すると共に激しく攪拌し、
    )次に、粗粒子留分を液液分散液から沈降させ、
    )第二の遅延段階において、微細粒子留分を有機相から沈降させる、
    ことを特徴とするエチドロン酸2ナトリウムを単離するための方法。
  2. 液液分散液が25〜35体積%の全水含量を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 液液分散液が10〜100gの全エチドロン酸2ナトリウム塩含量/分散液kgを有することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. )微細粒子留分が分級により粗粒子留分から分離され、本方法中に戻されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
  5. )段階d)による粗粒子留分が、濾過され、最終温度85℃〜100℃まで移動床中で乾燥させることによって乾燥されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 液液分散液が、好ましくは、5℃〜10℃間に調整されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
  7. 水性有機相がイソプロパノール/水相であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
  8. 液液分散液のために、エチドロン酸2ナトリウムの水溶液がイソプロパノール/水からなる溶媒に添加されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法により得ることができる、非晶質で固形形状のエチドロン酸2ナトリウム。
  10. 0.2〜1mm範囲の粒径を有する、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法により得ることができるエチドロン酸2ナトリウム
  11. 0.4〜0.6 g /cm 3 のかさ密度を有する、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法により得ることができるエチドロン酸2ナトリウム
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