JP3759230B2 - 排気ガス浄化用触媒コンバータおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の排気系において、エキゾーストパイプの途中やエキゾーストマニホールドに設けて、排気ガスの浄化をはかる触媒コンバータの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、排気ガス浄化用触媒コンバータ(以下、触媒コンバータと示す)としては、白金等の触媒が保持された触媒担体とこの触媒担体の外側を覆う筒状の金属シェルとの間に断熱材を設けた構造のものが知られている。なお、触媒担体には、その断面をハニカム状に成形したコージェライト担体が一般に用いられている。
【0003】
この種の触媒コンバータは、触媒担体にシート状のセラミックファイバーを巻き付けてから、触媒担体を分割された金属シェルで挟んで組み付ける、いわゆるクラムシェル方式にて製造するのが、一般的である。例えば、特開平7−189678号公報には、シート状のセラミックファイバーで覆われた触媒担体を、気密性フィルムからなる気密袋に入れて、この気密袋を減圧することによって、収縮した気密袋がセラミックファイバー層の厚みを減少し、触媒担体の金属シェルへの組み付けを容易にする方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の手法は、減圧することによりセラミックファイバー層の厚みを減少しているが、その圧縮力は制限され、つまり大気圧以上の圧縮力を与えることができないから、セラミックファイバー層の嵩密度を0.1 〜0.25g/cm3 以上にすることは難しい。そのために、触媒担体を金属シェルに圧入して組み付けする際に、セラミックファイバー層の先端部が擦れたり、ずれたりして、組み付け作業性が阻害される。なお、セラミックファイバー層の充填密度を0.3 g/cm3 以上にできたとしても、減圧する気密袋の嵩密度を高めることが難しいため、結果として、触媒担体を筒状のシェルに挿入することはできない。従って、触媒コンバータの製造はクラムシェル方式に限られて、コンバータの種類も制約を受けることになる。
【0005】
そこで、この発明は、触媒担体の金属シェル内への挿入を容易にする方法について提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、触媒が保持された触媒担体と、この触媒担体の外側を覆う金属シェルと、両者の間に配置した断熱材と、から成り、該断熱材で覆われた触媒担体の金属シェルに対する挿入先端部の外径を、有機質シートの巻き付け圧縮によって、金属シェルの内径よりも小さく保持し、かつ有機質シートの巻き付け部分を除く部分の嵩密度が、 0.10 〜 0.40 g/ cm 3 であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒コンバータである。
また、この発明は、触媒が保持された触媒担体の外側を断熱材で覆った後、この触媒担体を筒状の金属シェルの内側に挿入するに当たり、該断熱材で覆われた触媒担体の金属シェルに対する挿入先端部の外径を、有機質シートの巻き付け圧縮によって、金属シェルの内径よりも小さく保持し、かつ有機質シートの巻き付け部分を除く部分の嵩密度を 0.10 〜 0.40 g/ cm 3 とし、その後触媒担体を金属シェル内に挿入することを特徴とする触媒コンバータの製造方法である。
【0007】
ここで、金属シェルに挿入前の触媒担体を覆った断熱材の嵩密度は、有機質フィルムシートの巻き付け部分が残りの部分の1.5 倍であることが、実施に当たり有利である。
【0008】
また、断熱材には、アルミナファイバーを45重量%以上含有しているセラミックファイバーマットが、そして有機質フィルムシートには、熱収縮性の有機合成樹脂が、それぞれ有利に適合する。
【0009】
なお、触媒担体には、例えばコージェライト、アルミナまたはクロム系ステンレス等から成るハニカム状構造が、そして金属シェルには、ステンレス鋼例えばSUS 409 ステンレス鋼から成る円筒が、それぞれ推奨される。
【0010】
【発明の実施の形態】
さて、この発明の方法に従って得られる触媒コンバータは、図1に示すように、白金などの触媒が保持された触媒担体1と、この触媒担体1の外側を覆う金属シェル2と、両者の間に配置した断熱材3と、から成り、さらに断熱材3の一端には熱収縮性の有機質フィルムシートによるリング4が嵌められている。
【0011】
また、触媒担体1の周面を覆う断熱材3は、その周面を例えばポリエチレン製の気密シート5で覆うことが、圧入組付けをする際に、シェルと断熱材とのこすれによる組付作業悪化の防止および剪断力による断熱材の損傷を阻止する点で好ましいが、気密シート5は、例えば有機質フィルムを触媒担体1の全周に巻いてしまえば機密シートとして同様の効果がある為、省略することも可能である。
【0012】
次に、上記した触媒コンバータの製造手順について、図面を参照して説明する。
図2は、触媒担体1を金属シェル2に挿入するに先立って触媒担体1に取り付ける各部品などを示したものであり、同図(A) に断熱材3、同図(B) に2枚の気密シート5a,5b および同図(C) にリング4をそれぞれ示す。断熱材3は、端部に凹状係合部31およびこれと噛み合う凸状係合部32を有する。そして、リング4は、有機質シートを金属シェル2の外径よりも小さい径に加工したものである。
【0013】
以上の各部品類を使用して、まず、図3(A) に示すように、触媒担体1を断熱材3上に載置し、その後同図(B) に示すように、断熱材3を触媒担体1の周囲に巻き回して断熱材3の凹状係合部31内に凸状係合部32を嵌めて断熱材3で触媒担体1を被覆する。なお、33は断熱材3の凹状係合部31と凸状係合部32との嵌め合わせによって生じた綱ぎ目である。さらに、同図(c) に示すように、触媒担体1を覆う断熱材3の外側に、2枚の気密シート5a,5b を挟む如く巻き付けるとともに、両端部をテープ等で仮止めしておくことによって気密シート5a,5b の内部を減圧してから、断熱材3の周囲に密着させた、気密シート5a,5b をホットメルトにより貼り合わせて接合し、断熱材3を被覆した触媒担体1を所定の外径に保持する。なお、50は気密シート5a,5b の接合部である。
【0014】
かくして得られた触媒担体1は、図4(A) に示すように、周囲の断熱材3の先端部に熱収縮性の有機質シートからなるリング4を嵌めて、その後加圧雰囲気下で上記気密シート5a,5b の軟化温度よりも低い温度に加熱することにより、リング4を熱収縮させて、断熱材3の先端部分の嵩密度を増加して厚みを減少することによって、この先端部の外径のみを金属シェル2の内径より小さくする。
【0015】
ここで、断熱材3のリング4を嵌めた先端部分の嵩密度は、触媒担体の金属シェルへの挿入組み付け作業を容易に行うために、残りの部分の嵩密度より大きく、具体的には1.5 倍程度にすることが好ましい。とりわけ、断熱材3の先端部分で0.15〜0.45g/cm3 および残りの部分で0.10〜0.40g/cm3 の嵩密度とするとよい。なぜなら、断熱材3の先端部分の嵩密度が0.15g/cm3 未満であると、断熱材層の復元力が弱く、自動車のエンジン振動または走行振動によって触媒担体ががたついて、断熱材が粉化したり摩滅するばかりでなく、排気ガスが断熱材を貫通する可能性がある。一方、嵩密度が0.45g/cm3 をこえると、断熱材自体が圧壊したり、触媒担体が、破損または変形してしまうからである。
【0016】
なお、先端部分以外の嵩密度を0.10〜0.40g/cm 3 とするのは、熱収縮リングを嵌めた後に嵩密度が1.5 倍程度大きくなることを想定したためであり、熱収縮リングを嵌める前に、上記嵩密度にしておくことによって、嵩密度が0.15g/cm3 未満及び0.45g/cm3 を越えることにより起こる、上記不具合を防止している。
【0017】
次に、先端部の外径が金属シェル2の内径より小さくなった触媒担体1を、図5に示すように、金属シェル2の内部に挿入する。このとき、触媒担体1の先端部が金属シェル2の内径より小さいため、断熱材3に損傷を与えることなく、触媒担体1および断熱材3を容易に金属シェル2内に案内できる。そして、この先端部さえ金属シェル2内に挿入されれば、触媒担体1および断熱材3の径が、触媒担体1金属シェル2内に圧入する過程で縮小可能であるから、残る部分の挿入は容易である。
【0018】
すなわち、触媒担体1および断熱材3を金属シェル2内に圧入組み付けすることが容易であり、かつ圧入組み付け時に、断熱材と触媒担体との間にずれが生じることもない。また、かくして得られた触媒コンバータは、その取り扱い輸送時においても触媒担体が金属シェル内で動いたり、破損したりすることがない。従って、金属シェルと触媒担体とのクリアランスに影響されず、どのような構造のコンバータに対しても組み付けることができる。
【0019】
ここで、触媒担体1の周囲に設ける断熱材3の厚みを、触媒担体1および金属シェル2のクリアランスの1.0 〜2.5 倍にすることが好ましい。なぜなら、断熱材3の厚みが、クリアランスの1.0 倍未満になると、組立てられた触媒コンバータの取り扱い輸送時に、触媒担体の位置がずれてしまったり、とりわけセラミック製の触媒担体では破損する場合があるからである。一方、2.5 倍をこえると、組立て作業性が極めて悪くなるのに加えて、断熱材が崩れてしまうからである。
【0020】
なお、図示例では、有機質シートとしてリング状に加工したものを断熱材の先端部に嵌めたが、例えばリボン状の有機質シートを断熱材の先端部に巻き回して取り付けることが可能である。また、断熱材3の先端部に取り付けた有機質シートは、エンジンの運転に伴う高温度の排気ガスによって焼失するか、あるいは触媒コンバータを排気ガスパイプに接続する前に焼失させれば良い。
【0021】
また、図3に示した、触媒担体1に断熱材3および気密シート5a,5b を順に巻き付ける工程に代えて、図6に示すように、断熱材3を2枚の気密シート5a,5b で挟んで内部を減圧した後、気密シートの周囲をホットメルトにより貼り合わせた真空パックマット6を作製しておき、この真空パックマット6を触媒担体1の外周部に巻き付けて、テープ7で固定することも可能である。その後は、図4に示した手順でリング4を先端部に嵌めて、図5に示した手順で触媒担体1を金属シェル2内に挿入すればよい。
【0022】
さらに、図3に示した工程に代えて、図7に示すように、断熱材3で覆った触媒担体1の外側に、1枚の気密シート8を巻いて締め付けることによって、断熱材3の嵩密度を増加して厚みを減少することも可能である。その後、図4に示した手順でリング4を先端部に嵌めて、図5に示した手順で触媒担体1を金属シェル2内に挿入することは、同様である。
【0023】
ここに、断熱材としては、アルミナファイバーマット、とりわけアルミナ繊維またはシリカ−アルミナ繊維の不織布から選ばれる素材によるアルミナファイバーマットが好ましい。これらはいずれも耐熱性に優れた物質であり、排気ガス、特に高温のリーンバーン排気ガスに曝されても、従来のバーミキュライト等による熱膨張性緩衝シール材のように、膨張圧力の低下による変形、品質の劣化を起こすことがないので有利である。さらに、セラミックファイバーマットは、高温になる触媒担体側に高価ではあるがより耐熱性に優れたアルミナ繊維を配し、その外側の低温側に若干耐熱性に劣るが安価なシリカ−アルミナ繊維を配する等の2層構造とすることが、材料コストを低減する上で有利である。
【0024】
次に、有機質シートは、シリコン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンまたはイオノマー樹脂等の熱収縮性の有機合成樹脂を用いることが、好ましい。特に、金属シェル内への挿入をより容易にするためには、有機質シートの表面が良好な潤滑性を有すること、すなわち有機質シートに表面の摩擦係数の低い材料を用いることが好ましい。かかる点から、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンおよびイオノマー樹脂が推奨されるのである。さらに、有機質シートの外面や金属シェルの内面に潤滑油等をコーティングし、潤滑性を増加させることも有効な手段である。
【0025】
【実施例】
実施例1
図3に示したところに従って、コージェライトよりなる、外径:130 mmの円柱状の触媒担体1に、触媒担体内側がアルミナ繊維および外側がシリカ−アルミナ繊維の2層構造のセラミックファイバーマットによる、幅:100 mm、長さ:415 mm、厚み:20mmおよび嵩密度:0.10g/cm3 の断熱材3を巻き付けた後、ポリエチレン製の気密シート5a,5b を挟む如く巻き付けるとともに、気密シート5a,5b の内部を減圧してから、断熱材3の周囲に密着させた、気密シート5a,5b をホットメルトにより貼り合わせて接合し、断熱材3を厚み8mmおよび嵩密度0.25g/cm3 とした。
【0026】
かくして得られた触媒担体1を、図4に示したところに従って、周囲の断熱材3の先端部に、ポリ塩化ビニル製の有機質シートからなるリング4を嵌めて、その後加圧室内に触媒を配置し、4kgf /cm2 の圧縮空気の加圧雰囲気下で上記気密シート5a,5b の軟化温度よりも低い温度(120 ℃)に加熱することにより、リング4を熱収縮させて、断熱材3の先端部分の厚み:5.5 mmおよび嵩密度:0.364 g/cm3 とし、この先端部の外径のみを金属シェル2の内径(142 mm)より小さくした。
【0027】
次に、図5に示したところに従って、触媒担体1を金属シェル2の内部に挿入したところ、触媒担体1と金属シェル2との間の6mmのクリアランスに断熱材3が均等に充填された、触媒コンバータを、断熱材3に損傷を与えることなしに、作製できた。
【0028】
実施例2
実施例1と同様の触媒担体1、断熱材3および気密シート5a,5b を用いて、図6に示すところに従って、断熱材3を2枚の気密シート5a,5b で挟んで内部を減圧した後、気密シートの周囲をホットメルトにより貼り合わせることによって、厚み:8mmおよび嵩密度:0.25g/cm3 の真空パックマット6を作製し、次いでこの真空パックマット6を触媒担体1の外周部に巻き付けて、テープ7で固定した後、実施例1と同様に、図4に示した手順でリング4を先端部に嵌めて、図5に示した手順で触媒担体1を金属シェル2内に挿入したところ、断熱材3に損傷を与えることなしに、触媒コンバータを作製できた。
【0029】
実施例3
実施例1と同様の触媒担体1および断熱材3を用いて、図7に示すところに従って、断熱材3で覆った触媒担体1の外側に、ポリプロピレン製で厚み:0.050 mmの気密シート8を巻いて締め付けることによって、断熱材3の嵩密度を0.25g/cm3 に増加して厚みを8mmまで減少した後、実施例1と同様に、図4に示した手順でリング4を先端部に嵌めて、図5に示した手順で触媒担体1を金属シェル2内に挿入したところ、断熱材3に損傷を与えることなしに、触媒コンバータを作製できた。
【0030】
【発明の効果】
この発明によれば、触媒担体をその周囲の断熱材を損傷することなしに、金属シェル内へ挿入することができ、高歩留りかつ安価に触媒コンバータを製造し得る。また、触媒担体を金属シェル内へ確実に案内できるから、両者の組み付け時に断熱材と触媒担体との間にずれが生じることもなく、さらに触媒コンバータの取り扱い輸送時においても触媒担体が金属シェル内で動いたり、破損したりすることがない。従って、金属シェルと触媒担体とのクリアランスに影響されず、どのような構造のコンバータに対しても組み付ける手法を提供できるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明により製造される触媒コンバータの一部を断面とした斜視図である。
【図2】触媒コンバータの製造に供する部品類を示す模式図である。
【図3】触媒コンバータの製造手順を示す説明図である。
【図4】触媒コンバータの製造手順を示す説明図である。
【図5】触媒コンバータの製造手順を示す説明図である。
【図6】触媒コンバータの他の製造手順を示す説明図である。
【図7】触媒コンバータの別の製造手順を示す説明図である。
【符号の説明】
1 触媒担体
2 金属シェル
3 断熱材
4 リング
5a,5b 気密シート
6 真空パックマット
7 テープ
8 気密シート
Claims (8)
- 触媒が保持された触媒担体と、この触媒担体の外側を覆う金属シェルと、両者の間に配置した断熱材と、から成り、該断熱材で覆われた触媒担体の金属シェルに対する挿入先端部の外径を、有機質シートの巻き付け圧縮によって、金属シェルの内径よりも小さく保持し、かつ有機質シートの巻き付け部分を除く部分の嵩密度が、 0.10 〜 0.40 g/ cm 3 であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒コンバータ。
- 金属シェルに挿入前の触媒担体を覆った断熱材の嵩密度は、有機質フィルムシートの巻き付け部分が残りの部分の1.5 倍である請求項1に記載の排気ガス浄化用触媒コンバータ。
- 断熱材は、アルミナファイバーを 45 重量%以上含有しているセラミックファイバーマットである請求項1または2に記載の排気ガス浄化用触媒コンバータ。
- 有機質シートは、熱収縮性の有機合成樹脂である請求項1、2または3に記載の排気ガス浄化用触媒コンバータ。
- 触媒が保持された触媒担体の外側を断熱材で覆った後、この触媒担体を筒状の金属シェルの内側に挿入するに当たり、該断熱材で覆われた触媒担体の金属シェルに対する挿入先端部の外径を、有機質シートの巻き付け圧縮によって、金属シェルの内径よりも小さく保持し、かつ有機質シートの巻き付け部分を除く部分の嵩密度を 0.10 〜 0.40 g/ cm 3 とし、その後触媒担体を金属シェル内に挿入することを特徴とする排気ガス浄化用触媒コンバータの製造方法。
- 金属シェルに挿入前の触媒担体を覆った断熱材の嵩密度は、有機質フィルムシートの巻き付け部分が残りの部分の 1.5 倍である請求項5に記載の製造方法。
- 断熱材は、アルミナファイバーを 45 重量%以上含有しているセラミックファイバーマットである請求項5または6に記載の製造方法。
- 有機質シートは、熱収縮性の有機合成樹脂である請求項5、6または7に記載の製造方法。
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1996
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