JP3758790B2 - 紙パックの識別方法および選別方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミ箔等の金属を含まない紙40と、プラスチックからなる紙パック50との識別方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来は、機械が自動的に、アルミ箔等の金属を含まない紙(例えば、牛乳紙パック)40と、プラスチックからなる紙パック50とを、完全に識別することは不可能であった。
【0003】
そのため、従来の技術としては、、人による識別および選別を行なう方法が行われていた。
なお、図8に示すような機械により、1部自動的に行なう方法すなわち、アルミ箔等の金属を含まない紙、例えば、牛乳紙パック3についているバーコードを読むことにより識別する方法もあるが、その精度は悪い。
【0004】
その上、この場合、牛乳紙パック3のバーコードの記入してある箇所を、バーコードリーダ101が読めるように、1個1個、バーコードリーダ101に、人が手で近づけることが必要である。
【0005】
従って、1時間に処理できる個数も、500〜1000(1分間に、8〜17個)と限られており、人件費も高くつく。
そのため、例えば、牛乳紙パック40を選別する場合には、人が目で見て、牛乳紙パック3であると判断して、手選別を行ない、牛乳紙パック3と判断した容器包装物は、牛乳紙パック回収箱102に入れ、その他の容器包装物は、コンベア104で運び、包装廃棄物箱103に落としていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術には、次のような問題がある。
(1)機械が自動的に、紙パックの種類を完全に識別することができない。
(2)紙パックのバーコードの記入してある箇所を、バーコードリーダ101が読めるように、1個1個、バーコードリーダ101に、人が手で近づけることが必要である。
(3)1時間に処理できる個数も、500〜1000と限られており、人件費も高くつく。
(4)その上、精度も悪い。
本発明は、これらの問題を解決することができる識別方法、および選別方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(第1の手段)
本発明に係る紙パックの識別方法は、少なくとも、ポリエチレンからなる物品と、紙からなる物品と、内側がポリエチレンで、外側が紙からなる牛乳紙パック3とのなかから前記牛乳紙パックを識別する方法において、
(A)近赤外線2を紙パックに照射し、
(B)前記紙パックで反射した近赤外線2を、ポリクロ型分光器14で分光し、
(C)前記ポリクロ型分光器14で分光された光を、受光素子15により各々の波長ごとに、反射光量を測定し、
(D)反射光量と全反射光量から、式(1)により、吸光度Aを計算し、
A=log(R1/R2) 式(1)
ただし
A : 吸光度
R1 : 全反射光量
R2 : 紙パックがある時の反射光量
(E)近赤外線の波長の吸収ピークが、
ポリエチレンの吸収ピークである1214nmおよび1732nmと、紙の吸収ピークである1474nm
に現れることを識別することにより、
(F)前記紙パックが前記牛乳紙パック3であることを識別することを特徴とする。
(第2の手段)
本発明に係る紙パックの選別方法は、
(A)請求項1の識別方法により紙パックが前記牛乳紙パック3であるか、否かを識別し、
(B)前記牛乳紙パック3であることを識別した場合には、高圧エアにより、前記牛乳紙パック3を吹き飛ばして、前記牛乳紙パック3を選別することを特徴とする。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)一般に、プラスチックについては、特願平5−005042号に記載されているように、材質の種類により特定の波長の光の吸収ピークがある事が判っていること、
(2)紙や、ポリエチレン(PE)についても、プラスチックとは異なる吸収ピークがあることを利用し、それを紙パックの種類の識別に用いる。
(3)牛乳紙パック3は、容器の内側にコーティングしてあるポリエチレン(PE)と、紙の両方の材質から出来ているので、各々ポリエチレン(PE)と紙が吸収する波長の近赤外線を照射し、その反射光量から吸収量を測定し、ポリエチレン(PE)と紙が2層になっていることから、牛乳紙パック3であることを判定する事により、
(4)コンベア11上を流れる飲料パック、ペットボトル(PETボトル)8、あるいは、他のボトル類、フィルム類等の包装廃棄物から、牛乳紙パック3を識別し、選別する。
【0009】
したがって、次のように作用する。
近赤外線を牛乳紙パック3に照射すると、図1に示すように、牛乳紙パック3あるいはペットボトル(PETボトル8)等で反射した近赤外線が、ポリクロ型分光器14で分光される。
【0010】
ポリクロ型分光器14で分光された光は、アレイ型受光素子15で各々の波長ごとに反射光量を測定する。
反射光量と全反射光量(紙パックの代わりに鏡で全ての光を反射させた光量)から、式(1)により、吸光度Aを計算する。
【0011】
A =log(R1 /R2 ) 式(1)
ただし
A : 吸光度
R1 : 全反射光量
R2 : 紙パックがある時の反射光量
赤外線および近赤外線は、特願平5−005042号に記載されているように、その振動数(振動周期)と照射されたサンプル(ここでは紙パック)の原子団(官能基)の振動数(振動周期)が一致しない場合には、赤外線および近赤外線は、紙パックの分子に影響を与えないで、そのまま反射するにすぎない。
【0012】
しかし、もし振動数(振動周期)が一致する場合には、サンプル(ここでは紙パック)の原子団(官能基)は、夫々の振動数(振動周期)に応じて、そのエネルギーを吸収して、振動は基底状態から励起状態に変化するので、紙パックの振動数(振動周期)をもつ赤外線および近赤外線の波長の光は吸収される。
そのため、紙パックの材質を判定することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を図1〜図2に示す。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る方法の識別部の説明図。
【0014】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る方法による、牛乳紙パック、コピー用紙、PP試薬ビン、PEマヨネーズボトルの、1.100μm〜2.500μmの近赤外線スペクトル図。
【0015】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る方法による、牛乳紙パック、PVCボトル、PSボトル、PETボトル、の1.100μm〜2.500μmの近赤外線スペクトル図。
【0016】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る方法の選別部の説明図。
図5は、図2に示す牛乳紙パック、コピー用紙、PP試薬ビン、PEマヨネーズボトルの1.100〜1.600μmの波長範囲について、各スペクトルの吸収ピークを明確にするために正規化したものである。上記の各波長についてこの範囲で最も高い吸光度(A max )を1.00,最も低い吸光度(A min) を0.00として、各波長の吸光度(A)を、次式によって求めた変換後の吸光度(A´)を示した図である。
A´=(A−A min )/(A max −A min ) ……(2)
【0017】
図6は、水分が付着したPEボトル(マヨネーズボトル)、牛乳紙パック、コピー用紙の1.600〜1.800μmの波長範囲について、図5と同じようにして、各波長の吸光度を上記(2)式を用いて変換し示した図である。
図7は、図3に示す牛乳紙パック、コピー用紙、PVCボトル、PSボトル、PETボトル(ペットボトル)の1.600〜1.800μmの波長範囲について、図5と同じようにして、各波長の吸光度を上記(2)式を用いて変換して示した図である。
【0018】
図1に基づいて、牛乳紙パック3の選別方法の実施例を説明する。
選別部コンベア11A上には、
牛乳紙パック3、
ジュース紙パック4、
PSボトル(ポリスチレンボトル)5、
PEボトル(ポリエチレンボトル、マヨネーズボトル)6、
PPビン(ポリプロピレンビン、試薬ビン)7、
PETボトル(ペットボトル)8、
コピー用紙9、
PVCボトル(ポリ塩化ビニールボトル)10
等が流れてきた。
【0019】
近赤外線(0.8μm〜2.5μm)2は、ハロゲンランプ1から、牛乳紙パック3、ジュース紙パック4、PSボトル5、PEボトル6、PPビン7、PETボトル8、コピー用紙9、PVCボトル10などに照射された。
【0020】
照射された近赤外線2は、識別部コンベア11B上にある牛乳紙パック3に反射され、反射光12となった。
コンベア11の速度は、3m/sであり、かつ、1mに3個のサンプル(牛乳紙パック3の大きさは、70mm×70mm×235mmであった)を設置した。
【0021】
反射光12は、ハロゲンランプ1の中央部にある集光レンズ13により集められ、ポリクロ型分光器14に導かれた。
ポリクロ型分光器14で、近赤外線2は、0.8μm〜2.5μmまでの光に分光された。
【0022】
分光された光は、InGaAsの256素子のアレイ型受光素子15に、各々6.6nm毎に、800nmから2500nmまで256個の反射光量が導かれる。
【0023】
「6.6nm毎に」とした理由は、
(2.5−0.8)μm×1000/256=6.6nm
1μm=1000nm
による。
【0024】
各々の反射光量は、電気回路ユニット16により電気信号に変えられた。
電気信号に変えられたデータは、ケーブル17によりCPU18に送られ、式(1)により、各々256の光度を計算した。
【0025】
また、CPU18には、サンプルの材質により、図2〜図3に示すように、どのような波長に吸収ピークがくるか(吸光度が大きいか)記録されている。
従って、測定したサンプルが、どの波長に吸収ピークを持っているかにより、そのサンプルの材質が、瞬時に判定することができた。
【0026】
そして、その判定結果は、CRT19に表示することが出来た。
本実施例である牛乳紙パック3は、図2、図5、図6に示すように、PE(ポリエチレン)の吸収ピークである1214nm、および1732nmに吸収ピークがあり、かつ、紙(コピー用紙9)の吸収ピーク由来である1474nmに、吸収ピークがあるので、牛乳紙パック3であると判定することができた。
【0027】
次に、図1の選別部コンベア11Aの次につながっている図4の識別部コンベア11Bの識別部のCPU18からの紙パックの材質信号20を、プログラマブルコントローラ21に送った。
【0028】
次に、光電センサ22を設置する識別部コンベア11B上を通過した紙パックの信号23をプログラマブルコントローラ21に送った。
プログラマブルコントローラ21では、紙パックの材質信号20の入力にタイミングをつけて対応する紙パック用電磁弁24に開の信号25を送った。
【0029】
開いた紙パック用電磁弁24からは、ヘッダータンク34からの高圧エア(6kg/cm2 )がノズル35から吹出た。
次に、識別部コンベア11B上の牛乳紙パック3は吹き飛ばされて牛乳紙パック回収箱26に回収された。
【0030】
紙パック用電磁弁24が開いたと言う信号は、プログラマブルコントローラ 21からCPU18にアンサー信号38として送った。
本発明方法によれば、識別および選別は、1時間当たり30000個以上行うことができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明は前述のように構成されているので、以下に記載する効果を有する。
(1)人が介入しなくても、全自動でアルミ箔等の金属を含まない紙(牛乳紙パック)の材質を識別することが出来る。
(2)人が介入しなくても、全自動でアルミ箔等の金属を含まない紙(牛乳紙パック)の材質を選別することが出来る。
(3)識別速度は、1時間当たり30000個以上となり、通常の1人が処理できる個数(1時間当り1000個)の30倍以上となる。
(4)選別速度についても、1時間当たり30000個以上となり、通常の1人が処理できる個数(1時間当り1000個)の30倍以上となる。
(5)人が捨てた廃棄物は不衛生であるので、これを人が処理する作業は好まれないが、本発明によれば、全自動で、人が介入しなくても、識別も、選別もすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る方法の識別部の説明図。
【図2】 本発明の第1の実施の形態に係る方法による、牛乳紙パック、コピー用紙、PP試薬ビン、PEマヨネーズボトルの、1.100μm〜2.500μmの近赤外線スペクトル図。
【図3】 本発明の第1の実施の形態に係る方法による、牛乳紙パック、PVCボトル、PSボトル、PETボトル、の1.100μm〜2.500μmの近赤外線スペクトル図。
【図4】 本発明の第1の実施の形態に係る方法の選別部の説明図。
【図5】 本発明の第1の実施の形態に係る方法による、牛乳紙パック、コピー用紙、PP試薬ビン、PEマヨネーズボトルの、1.100μm〜1.600μmの波長範囲について、各近赤外線スペクトルの吸収ピークを明確にするために、各波長の吸光度を正規化した図。
【図6】 本発明の第1の実施の形態に係る方法による、牛乳紙パック、コピー用紙、マヨネーズボトルの、1.600μm〜1.800μmの波長範囲について、各近赤外線スペクトルの吸収ピークを明確にするために、各波長の吸光度を正規化した図。
【図7】 本発明の第1の実施の形態に係る方法による、牛乳紙パック、コピー用紙、PVCボトル、PSボトル、PETボトル、の1.600μm〜1.800μmの波長範囲について、各近赤外線スペクトルの吸収ピークを明確にするために、各波長の吸光度を正規化した図。
【図8】 従来の、人による識別および選別を行なう方法を示す図。
【符号の説明】
1…ハロゲンランプ
2…近赤外線
3…牛乳紙パック
4…ジュース紙パック
5…PSボトル(ポリスチレンボトル)
6…PEボトル(ポリエチレンボトル、マヨネーズボトル)
7…PPビン(ポリプロピレンビン、試薬ビン)
8…PETボトル(ペットボトル、ポリエチレンテレフタレートボトル)
9…コピー用紙
10…PVCボトル(ポリ塩化ビニールボトル)
11…コンベア
11A…選別部コンベア
11B…識別部コンベア
12…反射光
13…集光レンズ
14…ポリクロ型分光器
15…受光素子
16…電気回路ユニット
17…ケーブル
18…CPU
19…CRT
20…紙パックの材質信号
21…プログラマブルコントローラ
22…光電センサ
23…紙パックの信号
24…紙パック用電磁弁
25…開の信号
26…牛乳紙パック回収箱
34…ヘッダータンク
35…ノズル
38…アンサー信号
40…アルミ箔等の金属を含まない紙(例えば、牛乳紙パック)
50…プラスチックからなる紙パック
101…バーコードリーダ
102…牛乳紙パック回収箱
103…包装廃棄物箱
104…コンベア
Claims (2)
- 紙のリサイクルシステムで、少なくとも、ポリエチレンからなる物品と、紙からなる物品と、内側がポリエチレンで、外側が紙からなる牛乳紙パックとのなかから前記牛乳紙パックを識別する方法において、
(A)近赤外線を紙パックに照射し、
(B)前記紙パックで反射した近赤外線を、ポリクロ型分光器で分光し、
(C)前記ポリクロ型分光器で分光された光を、受光素子により各々の波長ごとに、反射光量を測定し、
(D)反射光量と全反射光量から、式(1)により、吸光度を計算し、
A=log(R1/R2) 式(1)
ただし
A : 吸光度
R1 : 全反射光量
R2 : 紙パックがある時の反射光量
(E)近赤外線の波長の吸収ピークが、
ポリエチレンの吸収ピークである1214nmおよび1732nmと、紙の吸収ピークである1474nm
に現れることを識別することにより、
(F)前記紙パックが前記牛乳紙パックであることを識別することを特徴とする紙パックの識別方法。 - (A)請求項1の識別方法により紙パックが前記牛乳紙パックであるか、否かを識別し、
(B)前記牛乳紙パックであることを識別した場合には、高圧エアにより、前記牛乳紙パックを吹き飛ばして、前記牛乳紙パックを選別することを特徴とする紙パックの選別方法。
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JP03640597A JP3758790B2 (ja) | 1997-02-20 | 1997-02-20 | 紙パックの識別方法および選別方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP03640597A JP3758790B2 (ja) | 1997-02-20 | 1997-02-20 | 紙パックの識別方法および選別方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH10232166A JPH10232166A (ja) | 1998-09-02 |
JP3758790B2 true JP3758790B2 (ja) | 2006-03-22 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002245511A (ja) | 2001-02-15 | 2002-08-30 | Hitachi Ltd | 紙質識別方法 |
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- 1997-02-20 JP JP03640597A patent/JP3758790B2/ja not_active Expired - Fee Related
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