JP3758765B2 - 内視鏡用異物回収具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡を介して体腔内等から異物を回収するための内視鏡用異物回収具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の内視鏡用異物回収具は、例えば実公昭62−14811号等に示されるように、複数の可撓性ワイヤをかご状に曲げて形成されたバスケットが、外套管の先端から出し入れされることによって膨縮するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、複数のワイヤをかご状に形成するのは加工が難しくて、特殊な治工具を準備したり製造に時間がかかってコスト高になる。
【0004】
また、可撓性ワイヤをかご状に膨らませて形成されるバスケットは膨らむ力が弱いので、体腔内の細い管腔内等では広がりにくく、胆汁などのように粘度の高い液に触れた場合にはくっつき合って広がりにくい。
【0005】
また、バスケットを形成する複数の可撓性ワイヤの後端部は一まとめに結束されるので、その部分が太くなることによって外套管の外径が太くなってしまい、細い処置具挿通チャンネルに挿通して使用することができない。
【0006】
そこで本発明は、製造が容易で、使用時には広がりやすく、しかも外套管の外径を細く形成することができて細い処置具挿通チャンネルに挿通して使用することができる内視鏡用異物回収具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用異物回収具は、少なくとも先側付近が可撓性を有していて先端近傍の側壁部に軸線方向に平行に複数の切れ目が形成された外套管と、上記外套管内に軸線方向に進退自在に挿通されて手元側から進退操作される操作ワイヤと、上記操作ワイヤを進退操作するための操作部とを有し、上記操作部において上記操作ワイヤを牽引することによって上記外套管先端の切れ目と切れ目との間の帯状部が外方に膨出するようにしたことを特徴とする。
【0008】
なお、上記操作ワイヤを牽引量のあい異なる複数の位置で静止させるためのストッパが上記操作部に設けられていてもよい。また、上記外套管の内腔を介して上記外套管先端の切れ目部分から吸引をするための吸引接続部が上記外套管の基端側に設けられていてもよく、その場合、上記吸引接続部が上記操作部に設けられていてもよい。
【0009】
また、上記帯状部の長手方向の中央より先側に上記操作ワイヤの可撓性部分が存在しないように上記操作ワイヤの先端部分を曲がらないようにするための硬直化手段が設けられていてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の内視鏡用異物回収具を示しており、図示されていない内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性外套管11は、ナイロン、HDPE(ポリエチレン)、ポリウレタン樹脂又は四フッ化エチレン樹脂等を素材としている。なお、外套管11は、少なくとも先端付近が可撓性を有していればよい。
【0011】
外套管11の先端近傍の側壁部には、軸線方向に平行に複数の切れ目15が形成されている。切れ目15は、90°間隔で4箇所に形成されている。ただし、本発明は必ずしもそれに限定されるものではなく、切れ目15は3〜8箇所に形成してもよく、それより多くてもよい。
【0012】
外套管11の先端部分は、切れ目15で切り分けられることによって、各切れ目15と切れ目15との間の部分が、帯状部16に形成され、その部分を軸線方向に圧縮させると、図1に示されるように、各帯状部16が外方に膨出する。
【0013】
ただし、外套管11に圧縮方向に力が加わっていない自然状態では、図2及び III−III 拡大正面断面図である図3に示されるように、帯状部16は膨出していない。なお図3は、切れ目15がハッチング線と紛らわしくならないようにするために、45°回転させた状態で示してある。
【0014】
外套管11内には全長にわたって操作ワイヤ13が挿通されている。外套管11と操作ワイヤ13との間の隙間を吸引通路として用いることができるように、操作ワイヤ13の直径は外套管11の内径に対して隙間ができるように設定されている。
【0015】
操作ワイヤ13の先端は、外套管11の先端に固着された先端チップ14にはんだ付け等によって固着されており、外套管11に対して操作ワイヤ13を基端側に牽引することによって帯状部16が膨出する。
【0016】
外套管11の基端は操作部20の外筒21に接続固定されている。外筒21は注射筒状であり、操作ワイヤ13の基端が固着されたピストン状の操作軸22が軸線方向に進退自在に内挿されている。その嵌合部にはシール用のOリング23が取り付けられている。
【0017】
外筒21から突出した操作軸22の基端には、操作者の手の親指を係止させるためのリング状の第1の指掛け24が形成されており、外筒21の外周部には、人指し指と中指を係止させるために二つの鍔を間隔をあけて突設した第2の指掛け25が形成されている。
【0018】
操作軸22の外周面には、図1中に併示された輪郭図にも示されるようなL字状の溝27が形成されていて、外筒21から内方に突設されたピン28の先端部分が、その溝27に係合している。
【0019】
したがって、ピン28を溝27の横溝部27aに係合させると、操作軸22を軸線方向に動かすことができない状態になる。この時は、ワイヤ13が先側へ押し出されるので、帯状部16が真っ直ぐに伸ばされた状態になる。
【0020】
図1に示されるように、ピン28を溝27の直線部27bに係合させれば、操作軸22が軸線方向に可動になり、操作ワイヤ13を牽引して帯状部16を外方に膨出させることができる。
【0021】
直線部27bの底面の途中には、小さな突起29(ストッパ)が3箇所に突設されていて、その各部において、ピン28が引っ掛かって操作軸22を静止させることができるようになっている。
【0022】
ただし、ピン28が突起29に引っ掛かった状態で操作軸22を軸線方向に少し力を入れて押し引きすれば、ピン28が突起29を乗り越えて操作軸22が移動する。
【0023】
したがって、ピン28と突起29は操作軸22の移動に対していわゆるクリックとして作用し、外筒21に対する操作軸22の静止位置を変えることによって、帯状部16の膨出量の大きさを3段階に任意に選択することができる。
【0024】
操作軸22の外筒21から突出した部分には、図示されていない外部の吸引装置に接続される吸引接続口金31が形成されていて、操作軸22の軸線部に貫通して穿設された吸引通路32が、吸引接続口金31に連通している。
【0025】
したがって、吸引接続口金31に吸引チューブを接続することにより、吸引通路32、外筒21の内腔及び外套管11の内腔を通って、外套管11先端の切れ目15部分から吸引を行うことができる。
【0026】
このように構成された内視鏡用異物回収具は、使用時には、図示されていない内視鏡の処置具挿通チャンネルに外套管11を通し、まず、操作ワイヤ13を最大限に牽引して帯状部16を大きく膨出させる。
【0027】
そして、図4及びそのV−V断面である図5に示されるように、帯状部16の膨出によって大きく開いた切れ目15に、体腔内の異物100を挟んでから、帯状部16の膨出を小さくするように操作ワイヤ13を先側に押し込む。
【0028】
すると、切れ目15の広がりが小さくなって、図5に示されるように、隣り合う二つの帯状部16と操作ワイヤ13との間に異物100が挟み付けられて把持された状態になる。
【0029】
帯状部16は円弧状断面を有しているので、異物100を広い面積で内方にしっかりと押しつけ固定して、確実に捕獲することができる。このようにして外套管11の先端に異物100を把持したら、そのまま内視鏡ごと体腔内から抜き出すことによって異物100を回収することができる。
【0030】
また、異物100を把持する際に、吸引接続口金31に吸引チューブを接続して切れ目15から吸引が行われるようにしておけば、切れ目15部分に捕獲された異物100が、吸引力によってその位置から脱落しないので、図6に示されるように、複数の異物100を連続的に捕獲することができる。
【0031】
なお、操作ワイヤ13が最先端部分まで可撓性を有していると、図7に示されるように、操作ワイヤ13が牽引された時に、外套管11の先端部分が一方向に折れ曲がって、首を振ってしまう場合がある。
【0032】
そこで、例えば図8及び図9に示されるように、帯状部16の長手方向の中央より先側に操作ワイヤ13の可撓性部分が存在しないように、操作ワイヤ13の先端部分にパイプ34を被覆したり、はんだ等によって硬化処理35を施してもよい。このようにすることにより、外套管11の先端部分の首振りを防止することができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、操作部において操作ワイヤを牽引することによって外套管先端の切れ目と切れ目との間の帯状部が外方に膨出するようにしたので、操作ワイヤを牽引することによって帯状部を確実に膨出させ、それによって開いた切れ目部分に異物を確実に把持して回収することができる。
【0034】
しかも、そのような把持部は可撓性を有する外套管に切れ目を形成するだけでよいので、製造が容易であり、複数のワイヤを束ねる必要もなくて外形を細く形成することができるので、細い内視鏡の処置具挿通チャンネルにも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の内視鏡用異物回収具の帯状部が膨出した状態の側面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の内視鏡用異物回収具の帯状部が膨出していない状態の先端部分の側面図である。
【図3】図2における III−III 拡大断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の内視鏡用異物回収具の異物を把持した状態の先端部分の側面図である。
【図5】図4におけるV−V断面図である。
【図6】本発明の実施の形態の内視鏡用異物回収具の、吸引を動作させて複数の異物を同時に把持した状態の先端部分の側面図である。
【図7】外套管の先端部分が首を振った状態の内視鏡用異物回収具の先端部分の側面断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態の内視鏡用異物回収具の先端部分の側面断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態の内視鏡用異物回収具の先端部分の側面断面図である。
【符号の説明】
11 外套管
13 操作ワイヤ
15 切れ目
16 帯状部
20 操作部
31 吸引接続口金
Claims (4)
- 少なくとも先側付近が可撓性を有していて先端近傍の側壁部に軸線方向と平行に複数の切れ目が形成された外套管と、上記外套管内に軸線方向に進退自在に挿通されて先端が上記外套管の最先端部に連結された操作ワイヤと、上記切れ目の長手方向の中央より先側位置に上記操作ワイヤの可撓性部分が存在しないように上記外套管の最先端部から上記切れ目の長手方向の中央より後方位置までの全範囲で上記操作ワイヤの先端部分を曲がらないようにするための硬直化手段と、上記操作ワイヤを手元側から上記外套管に対して進退操作するための操作部とを有し、
上記操作部において上記操作ワイヤを牽引することによって上記外套管先端の切れ目と切れ目との間の帯状部が外方に膨出するようにしたことを特徴とする内視鏡用異物回収具。 - 上記操作ワイヤを牽引量のあい異なる複数の位置で静止させるためのストッパが上記操作部に設けられている請求項1記載の内視鏡用異物回収具。
- 上記外套管の内腔を介して上記外套管先端の切れ目部分から吸引をするための吸引接続部が上記外套管の基端側に設けられている請求項1又は2記載の内視鏡用異物回収具。
- 上記吸引接続部が上記操作部に設けられている請求項3記載の内視鏡用異物回収具。
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