JP3757818B2 - コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コネクタハウジング内のランスにより端子金具を係止するようにしたコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図7に示すように、コネクタハウジング1の側面に設けられたリテーナ取付孔2に、リテーナ3を差し込むことでキャビティ4内に収容されている端子金具(図示せず)を保持するようにしたリテーナ付コネクタが知られている。
【0003】
コネクタハウジング1内には端子金具を収容するための複数のキャビティ4が形成されている。キャビティ4内には、その内壁に沿って片持ち状に形成されたランス5が設けられており、それは、端子金具が前記キャビティ後方の開口部6から挿入される過程で撓み、正規収容位置に到達したとき弾性復帰して端子金具と係合し抜け止めがされるようになっている。この構成と同様なものに、実開平4−127976号公報に記載されているコネクタが挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような構成のコネクタハウジング1では、端子金具の挿入過程では、ランス5は挿入方向と交差する向きに撓もうとする。それを許容するためには、ランス5の撓み側に空間7(以下、撓み変形領域)が必要であった。そのためランス5の撓み方向、つまりコネクタハウジング1の縦方向については前記撓み許容空間7を確保しなければならない分だけ縦方向の寸法が大きくなり、その方向については小型化が難しかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、縦方向の小型化を可能とするコネクタを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、コネクタハウジングに形成されたキャビティ内に端子金具を挿入し、その端子金具を撓み変形可能なランスによって係止するようにしたコネクタにおいて、前記コネクタハウジングの前面には前記キャビティの前面側開口とこの前面側開口に隣接して設けられその奥方には前記ランスの先端が臨んでいる他の開口とが設けられる一方、前記コネクタハウジングにおける前記ランスの撓み側の外壁には前記コネクタハウジングの前面まで開放される開口部が形成されるとともに、この開口部に対応して設けられた側壁は、コネクタハウジングに対し前記ランスの撓み変形領域内に位置する本係止位置と、前記端子金具に係止した状態にあるランスに対し同ランスの撓み側を覆いつつその撓み変形領域から外れた仮係止位置との間を移動可能とされ、また、前記側壁はその前端が前記コネクタハウジング本体の前面にまで延び、前記側壁が前記本係止位置にあるときには前記他の開口の開口縁を構成するようになっており、前記側壁が前記仮係止位置にあるときには前記他の開口を拡開する構成としたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記コネクタハウジング本体には、前記キャビティ内に側方から突入して前記端子金具に係止するリテーナを組み付けるためのリテーナ取付孔が設けられ、このリテーナがキャビティ内への端子金具の挿抜を許容する仮係止位置と、端子金具に係止する本係止位置との間を移動可能とされていて、且つ前記ランスの撓み側の側壁が前記リテーナに一体形成されているところに特徴を有する。
【0009】
【発明の作用及び効果】
請求項1の発明によればコネクタハウジングの外壁のうちランスの撓み側の側壁が分離した状態で、キャビティ内に端子金具が挿入される。このときランスの撓み側は開放されているので、ランスは側壁に干渉されることなく撓み変形し、その後、端子金具が正規位置に達するとランスは弾性復帰して端子金具を係止する。このようにして端子金具が挿入された後、前記側壁は、コネクタハウジングに装着される。端子金具挿入過程では必要であった撓み変形領域は、すでに端子金具が挿入されているコネクタハウジングには無くてもよいので、撓み変形領域内に前記側壁を装着することができる。これにより、コネクタハウジングにおいて、撓み変形領域の縦方向の寸法分だけ小型化が可能である。
また、端子金具を挿入する作業において、前記側壁が、コネクタハウジングの前記ランスの撓み変形領域から外れた仮係止位置に、先に装着されていれば、その状態のままで端子金具の挿入が可能であり、挿入後は前記側壁をコネクタハウジング内に押し込むだけの作業で本係止が完了するので、作業が簡便である。
【0011】
請求項2の発明によれば、コネクタハウジングの仮係止位置にまで前記リテーナを挿入した状態で、端子金具を挿入していくとランスの弾性復帰によって一次係止される。その後、リテーナが本係止位置にまで押し込まれると端子金具に突設してある端子係合部が、キャビティ内に突出して端子金具の係止片に係合し二次係止される。また、前記側壁をリテーナと一体形成することで、側壁部分を新たな組み付け部品として設ける必要がないので部品点数が少なくて済む。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面の図1〜図6に基づいて説明する。
【0013】
この実施形態では、コネクタハウジング10の側面からリテーナ11が差し込まれるコネクタについて示す。
【0014】
コネクタハウジング10は、合成樹脂材により略直方体状に形成されており、図示しない相手側コネクタハウジングと嵌合可能に形成されている。このコネクタハウジング10の内部には端子金具13を収容するキャビティ14が上下2段、幅方向に5列に並べて設けられている。各キャビティ14内には、片持ち状のランス15が前方を自由端にして突出して形成され、その撓み側下方には撓みを許容する空間G(以下、撓み変形領域)が形成されている。これらのランス15は、キャビティ14後方の開口部16から挿入される端子金具13によって一旦下方に弾性変形した後に、端子金具13が正規の収容位置に達したとき、弾性的に復帰して端子金具13を係止する。そして、コネクタハウジング10の外壁のうち下側の側壁は、後部(図示右側)を残してランス15の下方が開放されて開口部19が形成されている。
【0015】
上下に隣接するキャビティ14、14同士は境界壁20によって分離されている。この境界壁20の中央付近には前記キャビティ14を連通するリテーナ取付孔16が設けられており、このリテーナ取付孔16の左右両端には後述するリテーナ11を係止するための2個の係止突部18が上下に離れて形成されている(図1参照)。この係止突部18のうち下段側のものは、リテーナ取付孔16の後面に位置し、上段側のものは、リテーナ取付孔16の前面に位置する。
【0016】
リテーナ11は合成樹脂材により形成され、リテーナ取付孔16へ嵌合可能に形成されており、前記コネクタハウジング10の開口部19に対応した底壁21を有している。その底壁21には、コネクタハウジング10の左右隣り合うキャビティ14間と同じピッチで仕切り壁22が幅方向に並んで立ち上がっており、リテーナ11をコネクタハウジング10に装着した際に、コネクタハウジング10の左右のキャビティ14を仕切っている隔壁23と整合するような位置に形成されている。
【0017】
各仕切り壁22の上端と基端には、端子係合部24が設けられていて、それらは各々の対向する仕切り壁22に向かって突出しており、前記仕切り壁22と連続して突条に形成されている。リテーナ11が前記リテーナ取付孔16に挿入され、図6に示す本係止位置に装着されたとき、前記端子係合部24の前端が、リテーナ取付孔16のうち前縁の直後に配されるように形成されていて、キャビティ14内に突出して配されることで、キャビティ14内に収容された端子金具13の係止片25に係止するようになっている。
【0018】
また、左右両端の仕切り壁22には、それぞれに前後一対の可撓性の保持アーム26が上方に突出して設けられており、それらの先端部には前記係止壁17に係止が可能な保持突部27が、お互い前後に離れるような向きに突出している。
【0019】
本実施形態は以上のような構造であり、続いてその作用について説明する。上述のような構成のコネクタを製造するには、キャビティ14内に端子金具13を挿入する前に、予めコネクタハウジング10とリテーナ11とが図5に示すような仮係止位置で一体となるように、コネクタハウジング10の開口部19側からリテーナ11を組み付けておく。詳しくは、コネクタハウジング10のリテーナ取付孔16に、リテーナ11のうちの保持アーム26及び仕切り壁22が挿入されていくと、後側の保持アーム26Rの保持突部27が、弾性変形しつつ、後側の係止壁17Rの係止突部18を乗り越えて係止される。このとき、ランス15とリテーナ11の底壁21との間には、撓み変形領域Gが確保されている状態にある。
【0020】
次に端子金具13をキャビティ14内に挿入する。端子金具13の挿入過程においては、リテーナ11の底壁21とランス15との間の撓み変形領域G内でランス15が撓み、その後弾性復帰して端子金具13が一次係止される。
【0021】
続いて、リテーナ11を仮係止位置から本係止位置へ移動させる。リテーナ11が仮係止位置から更に上方へ押し込まれると、前側の保持アーム26Fが弾性変形しつつ、保持突部27が前側の係止壁17Fの係止突部を乗り越える。このとき、図6に示すように前記端子係合部24が上下のキャビティ14内に突出し、端子金具13の係止片25に係合し二次係止状態となり、本係止が完了する。
【0022】
本実施形態のコネクタによれば、リテーナ11の底壁21はコネクタハウジング10の下面12とほぼ面一状態となっており、撓み変形領域G内に底壁21が位置している。これにより、コネクタの縦寸法については撓み変形領域G分だけ小型化が可能となる。また、本係止状態では、ランス15は撓みが規制されるため、ランス15の不用意な撓みによる端子金具13の抜けを確実に防止することができる。
【0023】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0024】
(1)上記実施形態では、キャビティ14が縦2段、横5列のコネクタハウジング10に本発明を適用した形態を示したが、キャビティ14の数についてはこれに限定されるものではなく変更が可能である。
【0025】
(2)上記実施形態では、リテーナ11を仮係止位置に保持できる構成としたが、キャビティ14を一段のみ備えるコネクタハウジング10については仮係止位置を省いた構成とし、端子金具13挿入後にリテーナ11を組み付けるようにしてもよい。
【0027】
(4)上記実施形態では、リテーナ11に底壁21を一体に設けたが底壁21は、リテーナ11の有無に関係無く別部品として端子金具13挿入後にコネクタハウジング10に組み付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すコネクタハウジングの側断面図
【図2】同コネクタハウジングの正面図
【図3】同リテーナの側断面図
【図4】同リテーナの正面図
【図5】同仮係止時におけるコネクタハウジング、リテーナ及び端子金具の関係を示す側断面図
【図6】同本係止時におけるコネクタハウジング、リテーナ及び端子金具の関係を示す側断面図
【図7】従来例のコネクタハウジング及びリテーナの側断面図
【符号の説明】
10…コネクタハウジング
11…リテーナ
13…端子金具
14…キャビティ
15…ランス
21…底壁(ランスの撓み側の側壁)
G…撓み変形領域
Claims (2)
- コネクタハウジングに形成されたキャビティ内に端子金具を挿入し、その端子金具を撓み変形可能なランスによって係止するようにしたコネクタにおいて、前記コネクタハウジングの前面には前記キャビティの前面側開口とこの前面側開口に隣接して設けられその奥方には前記ランスの先端が臨んでいる他の開口とが設けられる一方、
前記コネクタハウジングにおける前記ランスの撓み側の外壁には前記コネクタハウジングの前面まで開放される開口部が形成されるとともに、この開口部に対応して設けられた側壁は、コネクタハウジングに対し前記ランスの撓み変形領域内に位置する本係止位置と、前記端子金具に係止した状態にあるランスに対し同ランスの撓み側を覆いつつその撓み変形領域から外れた仮係止位置との間を移動可能とされ、
また、前記側壁はその前端が前記コネクタハウジング本体の前面にまで延び、前記側壁が前記本係止位置にあるときには前記他の開口の開口縁を構成するようになっており、前記側壁が前記仮係止位置にあるときには前記他の開口を拡開する構成であることを特徴とするコネクタ。 - 前記コネクタハウジング本体には、前記キャビティ内に側方から突入して前記端子金具に係止するリテーナを組み付けるためのリテーナ取付孔が設けられ、このリテーナがキャビティ内への端子金具の挿抜を許容する仮係止位置と、端子金具に係止する本係止位置との間を移動可能とされていて、且つ前記ランスの撓み側の側壁が前記リテーナに一体形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
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