JP3757163B2 - 高周波スイッチ、2帯域型の高周波スイッチ、3帯域型の高周波スイッチ及び無線通信機器 - Google Patents

高周波スイッチ、2帯域型の高周波スイッチ、3帯域型の高周波スイッチ及び無線通信機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,携帯電話等の無線通信機器の無線回路において高周波信号を切り換えることを主目的とする高周波スイッチ等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高周波スイッチ回路はTDMA方式を用いた携帯電話機などの無線通信機器において送受信信号を切り替えるためによく用いられている。
【0003】
以下に図面を参照しながら,上記した従来の高周波スイッチ回路の一例について説明する。
【0004】
図13は従来例における高周波スイッチ回路の等価回路図を示すものである。図13において,送信端子1301には第1のコンデンサ素子C1301を介して第1のダイオードD1301のアノードが接続されている。さらに,第1のダイオードD1301のアノード側にはインダクタ素子L1301と抵抗素子R1301を介してコントロール端子1302が接続されている。また,受信端子1303には第2のコンデンサ素子C1302を介して第2のダイオードD1302のアノードが接続されアース側にカソードが接続されている,第2のダイオードD1302の,アノード側には使用周波数での電気長が1/4波長の第1の伝送線路TL1301の一端が接続され,他端が第1のダイオードD1301のカソード及び,第3のコンデンサ素子C1303を介しアンテナ端子1304に接続されている。ここで使用部品の品種を減らし,低コスト化を行うため通常は,第1のダイオードD1301,第2のダイオードD1302は同一特性のものを用いる。
【0005】
以上のように構成された高周波スイッチ回路について,その動作を説明する。
【0006】
送信する場合,コントロール端子1302に正の電圧を印加すると,第1のダイオードD1301,第2のダイオードD1302がONとなる。このときコンデンサ素子C1301,C1302,C1303は直流成分をカットしている。送信信号は送信端子1301からコンデンサ素子C1301を通り、第1のダイオードD1301,コンデンサ素子C1303を経てアンテナ端子1304に伝送される。ここで伝送線路TL1301は第2のダイオードD1302がONになっているため,一端接地の1/4波長共振器となる。したがってアンテナ端子1304側の線路のインピーダンスは無限大になり、受信側に送信信号が伝送されることはない。
【0007】
受信する場合にはコントロール端子1302に電圧を印加していないため,第1のダイオードD1301,第2のダイオードD1302が共にOFF状態となっており,受信信号はアンテナ端子1304からコンデンサ素子C1303,伝送線路TL1301,コンデンサ素子C1302を介して受信端子1303へと伝送される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここでスイッチング用ダイオードである第1のダイオードD1301,第2のダイオードD1302には主にPINダイオードが用いられている。しかしながら一般にダイオードにはON抵抗が小さいものは、カソード−アノードの端子間容量が大きく,OFF時の端子間容量が小さいものはON抵抗が高いというトレードオフの関係がある。
【0009】
したがって、受信時のアイソレーションを重視して、高いアイソレーションを得るために端子間容量の小さいダイオードを選択した場合は、ON抵抗が大きくなるため送信時の信号経路における損失が大きくなる。
【0010】
また一方、送信時の挿入損失を重視して、ON抵抗が小さくなるダイオードを選択した場合は、端子間容量が大きくなってアイソレーションが低下し、受信時の信号経路における損失が大きくなるという問題があった。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、送信時、受信時のいずれの場合でも信号経路における損失を良好に低減する高周波スイッチを得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の本発明(請求項1に対応)は、第1の周波数帯用の第1の高周波スイッチと、
第1の周波数帯より高い第2の周波数帯用の第2の高周波スイッチと、
前記第1の高周波スイッチのアンテナ端子と、前記第2の高周波スイッチのアンテナ端子とが電気的に接続され、前記第1の周波数帯と第2の周波数帯とを分波,合波して、前記第1の高周波スイッチと前記第2の高周波スイッチとで同一のアンテナを共用するための分波器とを備え、
前記第1の高周波スイッチ及び第2の高周波スイッチは、
送信端子と
受信端子と
前記アンテナ端子と、
前記送信端子にアノードが電気的に接続されカソードが前記アンテナ端子に電気的に接続された第1のダイオードと
前記受信端子に電気的に接続されたアンテナ端子に、1/4波長の伝送線路を介しアノードが接続されカソード側が接地された第2のダイオードと、
前記送信端子と、前記第1のダイオードのアノードとの間の接続点に設けられたコントロール端子とをそれぞれ有し、
前記第1および第2のダイオードは、ON抵抗と、前記アノードと前記カソードとの間の容量とがトレードオフの関係にあり、
前記第1のダイオードのON抵抗が前記第2のダイオードのON抵抗より低く、前記第2のダイオードのOFF時の容量が前記第1のダイオードのOFF時の容量より小さく、
前記第1の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗より、前記第2の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗を低くし、前記第1の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量より、前記第2の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量を小さくした、2帯域型の高周波スイッチである。
【0013】
また、第2の本発明(請求項2に対応)は、前記第1のダイオードにはON抵抗が1Ω以下のダイオードを用い前記第2のダイオードはOFF時の端子間容量が0.8pF以下を用いた第1の本発明の2帯域型の高周波スイッチである。
【0014】
また、第3の本発明(請求項3に対応)は、前記第1のダイオードにはON抵抗が0.8Ω以下のダイオードを用い前記第2のダイオードはOFF時の端子間容量が0.5pF以下を用いた第1の本発明の2帯域型の高周波スイッチである。
【0015】
また、第4の本発明(請求項4に対応)は、前記第1のダイオードに並列に設けられた、LCの直列回路を備えた第1から第3のいずれかの本発明の2帯域型の高周波スイッチである。
【0016】
また、第5の本発明(請求項5に対応)は、前記第2のダイオードに直列に接続されたLCの並列回路を設けた第1から第3のいずれかの本発明の2帯域型の高周波スイッチである。
【0017】
また、第の本発明(請求項に対応)は、積層体を用いて構成した第1から第5のいずれかの本発明の2帯域型の高周波スイッチである。
【0018】
また、第の本発明(請求項に対応)は、前記第1の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗が1Ω以下前記第2の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗が0.8Ω以下で
前記第1の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量が0.8pF以下で前記第2の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量が0.5pF以下である第1の本発明の2帯域型の高周波スイッチである。
【0019】
また、第の本発明(請求項に対応)は、前記第1の高周波スイッチの送信端子受信端子およびコントロール端子と、前記第2の高周波スイッチの送信端子受信端子およびコントロール端子と、前記第1の高周波スイッチおよび前記第2の高周波スイッチ共通のアンテナ端子とは、接地端子とともに部品接続用の電極パターンとして複数の誘電体を積層した積層体表面に設けられており、
前記積層体の内部には第1の高周波スイッチ、前記第2の高周波スイッチおよび前記分波器を構成するための電極パターンが設けられており、
前記第1のダイオードおよび前記第2のダイオードは、前記積層体表面上に実装されている第または第のいずれかの本発明の2帯域型の高周波スイッチである。
【0020】
また、第の本発明(請求項9に対応)は、第1の周波数帯用の第1の高周波スイッチと
第1の周波数帯より高い第2の周波数帯用の第2の高周波スイッチと
第1の周波数帯より高い第3の周波数帯用の第3の高周波スイッチと、
前記第1の高周波スイッチのアンテナ端子と、前記第2の高周波スイッチのアンテナ端子とが電気的に接続され、前記第1の周波数帯、第2の周波数帯および第の周波数帯を分波,合波して、前記第1の高周波スイッチと、前記第2の高周波スイッチと、前記第3の高周波スイッチとで同一のアンテナを共用するための分波器とを備え、
前記第1の高周波スイッチ及び第2の高周波スイッチは、
送信端子と、
受信端子と、
前記アンテナ端子と、
前記送信端子にアノードが電気的に接続され、カソードが前記アンテナ端子に電気的に接続された第1のダイオードと、
前記受信端子に電気的に接続されたアンテナ端子に、1/4波長の伝送線路を介しアノードが接続され、カソード側が接地された第2のダイオードと、
前記送信端子と、前記第1のダイオードのアノードとの間の接続点に設けられたコントロール端子とをそれぞれ有し、
前記第1および第2のダイオードは、ON抵抗と、前記アノードと前記カソードとの間の容量とがトレードオフの関係にあり、
前記第1のダイオードのON抵抗が前記第2のダイオードのON抵抗より低く、前記第2のダイオードのOFF時の容量が前記第1のダイオードのOFF時の容量より小さく、
前記第3の高周波スイッチは、
前記第2の高周波スイッチの、前記アンテナ端子と、前記第1のダイオードのカソードおよび前記伝送線路の接続点との間にカソードが接続され、アノードが第2の受信端子に接続された第3のダイオードと、前記第3のダイオードと第2の前記受信端子との間に接続された第2のコントロール端子とを有するとともに、前記第1の高周波スイッチの送信端子を第2の送信端子として用い、受信側において前記第2の高周波スイッチの前記第2のダイオードを用いて動作し、
前記第1の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗より、前記第2の高周波スイッチの前記第1のダイオードおよび前記第3の高周波スイッチの前記第3のダイオードのON抵抗を低くし、
前記第1の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量より、前記第2の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量を小さくした3帯域型の高周波スイッチである。
【0021】
また、第10の本発明(請求項10に対応)は、前記第1のダイオードにはON抵抗が1Ω以下のダイオードを用い前記第2のダイオードはOFF時の端子間容量が0.8pF以下を用いた第9の本発明の3帯域型の高周波スイッチである。
【0022】
また、第11の本発明(請求項11に対応)は、前記第1のダイオードにはON抵抗が0.8Ω以下のダイオードを用い前記第2のダイオードはOFF時の端子間容量が0.5pF以下を用いた第9の本発明の3帯域型の高周波スイッチである。
【0023】
また、第12の本発明(請求項12に対応)は、前記第1のダイオードに並列に設けられた、LCの直列回路を備えた第9から第11の本発明のいずれかに記載の3帯域型の高周波スイッチ。
【0024】
また、第13の本発明(請求項13に対応)は、前記第2のダイオードに直列に接続されたLCの並列回路を設けた第9から第11のいずれかに記載の3帯域型の高周波スイッチ。
【0025】
また、第14の本発明(請求項14に対応)は、前記第3の高周波スイッチの前記第3のダイオードのON抵抗は、前記第2の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗よりも低い第9の本発明の3帯域型の高周波スイッチ。
【0026】
また、第15の本発明(請求項15に対応)は、前記第1の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗が1Ω以下で前記第2の高周波スイッチの前記第1のダイオードと前記第3の高周波スイッチの前記第3のダイオードのON抵抗は0.8Ω以下であって、
前記第1の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量は0.8pF以下で前記第2の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量が0.5pF以下である第の本発明の3帯域型の高周波スイッチである。
【0027】
また、第16の本発明(請求項16に対応)は、前記第3の高周波スイッチの前記第3のダイオードのON抵抗を0.5Ω以下にした第10の本発明の3帯域型高周波スイッチである。
【0028】
また、第17の本発明(請求項17に対応)は、前記第1の高周波スイッチの送信端子受信端子コントロール端子と、前記第2の高周波スイッチの送信端子受信端子コントロール端子と、前記第3の高周波スイッチの受信端子コントロール端子と、前記第1の高周波スイッチ、前記第2の高周波スイッチおよび前記第3の高周波スイッチ共通のアンテナ端子とは、接地端子とともに部品接続用の電極パターンとして複数の誘電体を積層した積層体表面に設けられており、
前記積層体の内部には第1の高周波スイッチ、前記第2の高周波スイッチ、前記第3の高周波スイッチおよび前記分波器を構成するための電極パターンが設けられており、
前記第1のダイオード、前記第2のダイオードおよび前記第3のダイオードは、前記積層体表面上に実装されている第から11のいずれかの本発明の3帯域型の高周波スイッチである。
【0029】
また、第18の本発明(請求項18に対応)は、アンテナと、
前記アンテナから信号を送信するための送信手段と、
前記アンテナから信号を受信するための受信手段と、
前記アンテナと前記送信手段または前記受信手段との接続を切り替えるスイッチ手段とを備え、
前記スイッチ手段は、
第1の周波数帯用の第1の高周波スイッチと、
第1の周波数帯より高い第2の周波数帯用の第2の高周波スイッチと、
前記第1の高周波スイッチのアンテナ端子と、前記第2の高周波スイッチのアンテナ端子とが電気的に接続され、前記第1の周波数帯と第2の周波数帯とを分波,合波して、前記第1の高周波スイッチと前記第2の高周波スイッチとで同一のアンテナを共用するための分波器とを有し、
前記第1の高周波スイッチ及び第2の高周波スイッチは、
送信端子と、
受信端子と、
前記アンテナ端子と、
前記送信端子にアノードが電気的に接続され、カソードが前記アンテナ端子に電気的に接続された第1のダイオードと、
前記受信端子に電気的に接続されたアンテナ端子に、1/4波長の伝送線路を介しアノードが接続され、カソード側が接地された第2のダイオードと、
前記送信端子と、前記第1のダイオードのアノードとの間の接続点に設けられたコントロール端子とをそれぞれ有し、
前記第1および第2のダイオードは、ON抵抗と、前記アノードと前記カソードとの間の容量とがトレードオフの関係にあり、
前記第1のダイオードのON抵抗が前記第2のダイオードのON抵抗より低く、前記第2のダイオードのOFF時の容量が前記第1のダイオードのOFF時の容量より小さく、
前記第1の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗より、前記第2の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗を低くし、前記第1の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量より、前記第2の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量が小さい無線通信機器である。
また、第19の本発明(請求項19に対応)は、アンテナと、
前記アンテナから信号を送信するための送信手段と、
前記アンテナから信号を受信するための受信手段と、
前記アンテナと前記送信手段または前記受信手段との接続を切り替えるスイッチ手段とを備え、
前記スイッチ手段は、
第1の周波数帯用の第1の高周波スイッチと、
第1の周波数帯より高い第2の周波数帯用の第2の高周波スイッチと、
第1の周波数帯より高い第3の周波数帯用の第3の高周波スイッチと、
前記第1の高周波スイッチのアンテナ端子と、前記第2の高周波スイッチのアンテナ端子とが電気的に接続され、前記第1の周波数帯、第2の周波数帯および第3の周波数帯を分波,合波して、前記第1の高周波スイッチと、前記第2の高周波スイッチと、前記第3の高周波スイッチとで同一のアンテナを共用するための分波器とを有し、
前記第1の高周波スイッチ及び第2の高周波スイッチは、
送信端子と、
受信端子と、
前記アンテナ端子と、
前記送信端子にアノードが電気的に接続され、カソードが前記アンテナ端子に電気的に接続された第1のダイオードと、
前記受信端子に電気的に接続されたアンテナ端子に、1/4波長の伝送線路を介しアノードが接続され、カソード側が接地された第2のダイオードと、
前記送信端子と、前記第1のダイオードのアノードとの間の接続点に設けられたコントロール端子とをそれぞれ有し、
前記第1および第2のダイオードは、ON抵抗と、前記アノードと前記カソードとの間の容量とがトレードオフの関係にあり、
前記第1のダイオードのON抵抗が前記第2のダイオードのON抵抗より低く、前記第2のダイオードのOFF時の容量が前記第1のダイオードのOFF時の容量より小さく、
前記第3の高周波スイッチは、
前記第2の高周波スイッチの、前記アンテナ端子と、前記第1のダイオードのカソードおよび前記伝送線路の接続点との間にカソードが接続され、アノードが第2の受信端子に接続された第3のダイオードと、前記第3のダイオードと第2の前記受信端子との間に接続された第2のコントロール端子とを有するとともに、前記第1の高周波スイッチの送信端子を第2の送信端子として用い、受信側において前記第2の高周波スイッチの前記第2のダイオードを用いて動作し、
前記第1の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗より、前記第2の高周波スイッチの前記第1のダイオードおよび前記第3の高周波スイッチの前記第3のダイオードのON抵抗を低くし、
前記第1の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量より、前記第2の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量を小さくした無線通信機器である。
【0030】
以上のような本発明の高周波スイッチ回路は,送信側のダイオードに受信側に用いられているダイオードよりON時の高周波抵抗の低いものを用い,受信側には送信側のダイオードよりOFF時の高周波域での端子間容量の小さい特性の異なるダイオードを用い,低損失かつ高アイソレーション特性を実現する。
【0031】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下,本発明の実施の形態1の高周波スイッチ回路についてここではTDMA方式で通信を行う場合によく用いられるアンテナ切替え用の回路を用いて説明する。図1は実施の形態1における高周波スイッチ回路の等価回路を示すものである。図1において,送信端子101に第1のコンデンサ素子C101を介して第1のダイオードD101のアノードが接続されている。また第1のダイオードD101のアノード側にはインダクタ素子L101と抵抗素子R101を介してコントロール端子102が接続されている。受信端子103には第2のコンデンサ素子C102を介して第2のダイオードD102のアノードが接続され、アース側にカソードが接続されている。
【0032】
第2のダイオードD102のアノード側の一方には、使用周波数において電気長が1/4波長の伝送線路TL101が接続され、他端が第1のダイオードD101のカソード及び,第3のコンデンサ素子C103を介しアンテナ端子104に接続されている。ここで第1のダイオードD101のON抵抗は、第2のダイオードD102のON抵抗より低く,第2のダイオードD102のOFF時の容量が、第1のダイオードD101OFF時の容量より小さいものとなっている。
【0033】
以上のように構成された高周波スイッチ回路について,その動作を説明する。
【0034】
送信する場合,コントロール端子102に正の電圧を印加すると、第1のダイオードD101,第2のダイオードD102がONとなる。この時コンデンサ素子C101,C102,C103は直流成分をカットし,それぞれの端子に電流が流れることはない。またインダクタ素子L101は高周波チョークとして用いており、高周波がコントロール端子102に流れることを阻止している。また抵抗素子R101はダイオードD101およびD102にバイアス電流を流すために用いている。
【0035】
送信端子101から送られてきた送信信号は、コンデンサ素子C101,第1のダイオードD101を通り,コンデンサ素子C103を経てアンテナ端子104に伝送される。このとき伝送線路TL101は第2のダイオードD102がONとなり接地しているため一端接地型の共振器となっている。したがって、アンテナ側のインピーダンスは無限大に近くなり受信側は高周波的に切り離され送信信号は伝送されない。第1のダイオードD101はON抵抗の低いものを用いているため、送信信号が流れる信号経路は低損失な経路となる。
【0036】
次に、受信時にはコントロール端子102に電圧を印加していないため,第1のダイオードD101,第2のダイオードD102がOFFとなっている。受信信号はアンテナ端子104からコンデンサ素子C103を通り,伝送線路TL101,コンデンサ素子C102を経て受信端子103へと伝送される。ここで第2のダイオードD102にはOFF時の端子間容量が小さいものを用いているため高いアイソレーションを有し、受信信号は、第2のダイオードD102が接続されたグランド側に漏れることなく受信端子103側へ伝送される。したがって、受信信号が流れる信号経路は低損失な経路となる。
【0037】
図2は図1の回路をプリント基板上に構成した一例を示した上視図である。プリント基板P201はガラスエポキシ等で作製されており,図示していないが裏面にはグランド電極が設けてある。伝送線路TL201〜L205はプリント基板P201上に構成されたマイクロストリップラインである。空心コイル等により実現されるインダクタ素子L201、チップコンデンサ等により実現されるコンデンサ素子C201〜C203,チップ抵抗等により実現される抵抗素子R201,第1のダイオードD201,第2のD202はいずれも半田付け等でプリント基板P201に実装されている。G200は第2のダイオードD202のカソード側を接地するために設けた電極で、スルーホールによってプリント基板P201の裏面のグランド電極と電気的に接続されている。プリント基板P201には送信端子201,コントロール端子202,受信端子203,アンテナ端子204が設けられている。
【0038】
以上のように本実施の形態においては,送信側のダイオードにはON抵抗が低いものを用い,受信側にはOFF時の端子間容量の小さいダイオードを用いることにより,送受信いずれの場合においても、送信信号または受信信号の通過する信号経路が低損失な高周波スイッチ回路を実現することが可能となる。
【0039】
(実施の形態2)
つぎに本発明の実施の形態2について図面を参照しながら説明する。図3,4,5はそれぞれ,本発明の実施の形態2における高周波スイッチ回路を構成する積層体の斜視図,分解斜視図及び回路図である。図3において複数の誘電体シートを積層した積層体300の側面及び側面近傍の上下面には,送信端子301,接地端子302,受信端子303,接地端子304,アンテナ端子305,コントロール端子306の端子電極が設けられている。電極307,308,309,310,311,312は積層体300の表面に設けた電極である。
【0040】
第1のダイオードD301は電極310,312に,第2のダイオードD302は電極302と311に半田等で接続されている。同様にインダクタ素子L301は電極307,308に,抵抗素子R301は電極308,309に接続されている。
【0041】
図4は図3の高周波スイッチの分解斜視図である。誘電体シート400A,400B,400C,400Dの側面及び側面近傍の上下面には送信端子401,接地端子402,受信端子403,接地端子404,アンテナ端子405,コントロール端子406の端子電極が備わっている。誘電体シート400Aの上面には電極パターン407,408,409,410,411,412が備わっている。誘電体シート400Bには送信端子401から伸びた伝送線路TL401が備わっており,コントロール電圧供給用のビアV401によって電極パターン407に電気的に接続されている。伝送線路TL401は、さらにビアV402によって電極パターン410に接続されている。
【0042】
誘電体シート400Cには、TL402が設けられており、アンテナ端子405から受信端子403に接続しており,さらにビアV403,V404を通じて電極パターン411,412にそれぞれ電気的に接続されている。400Dにはグランド電極G401が備わっており、接地端子402,コントロール端子406を通じて接地されている。
【0043】
図4における積層体の構成例においては、図5の回路図における点線で囲まれた回路素子がその内部に実現されている。さらにこの積層体を実装する配線基板上に直流電流を阻止するコンデンサ素子C501,C502,C503を設けることにより、高周波スイッチ回路モジュールが構成される。
【0044】
なお図3に示す実施の形態ではコントロール用の抵抗R301,インダクタ素子L301を積層体300表面に実装した個別の部品として説明したが,抵抗素子は印刷抵抗として,インダクタ素子は高インピーダンスの伝送線路として積層体300内に内蔵しても同様の効果を得ることもできる。
【0045】
さらには,図5において積層体300の外付け素子としてコンデンサ素子C501,C502,C503を送信端子501、受信端子503およびアンテナ端子504のそれぞれに設けていたが,これも積層体300内に内蔵しても同様の効果を得ることができる。このように積層体の中に高周波スイッチを構成する各素子を構成することにより小型化ができ,さらには高信頼性が得られる。
【0046】
(実施の形態3)
つぎに本発明の実施の形態3について図面を参照しながら説明する。図6は,本発明の実施の形態3における高周波スイッチ回路の等価回路図である。実施の形態1との違いは,第1のダイオードD601に並列にコンデンサ素子C604とインダクタ素子L602による直列回路が設けられていることである。これは第1のダイオードD601がOFF時にもつ端子間容量とインダクタ素子L602とによって,受信時のアンテナ端子604と送信端子601との間のアイソレーションを高くするためである。
【0047】
ここでコンデンサ素子C604はコントロール端子602からの直流成分を阻止するために設けられており,第1のダイオードがON時に使用する周波数帯域で共振をおこさないよう十分に大きな値の容量を持ったものである。
【0048】
これにより,本実施の形態の高周波スイッチ回路では、送信時の送信信号の経路の低損失化と,受信時における送信側の信号経路の高アイソレーション化とを実現することができ,さらに高性能なスイッチ回路を提供できる。
【0049】
なお、上記の実施の形態では、コンデンサ素子C604とインダクタ素子L602による直列回路を設けるものとして説明を行ったが、インダクタ素子単体を用いるものとしてもよい。
【0050】
(実施の形態4)
つぎに本発明の実施の形態4について図面を参照しながら説明する。図7は,本発明の実施の形態4における高周波スイッチ回路の等価回路図である。実施の形態3との違いは,第2のダイオードD702に直列にインダクタ素子L703とコンデンサ素子C705による並列回路がさらに設けられていることである。これは第2のダイオードD702がON時にもつ端子間のインダクタ成分とコンデンサ素子C705によって,送信時に直列共振をおこして接地抵抗を低減することを目的に設けられている。
【0051】
これにより実施の形態3よりさらに、送信時の信号経路が低損失で高アイソレーションの高周波スイッチ回路を提供できる。
【0052】
図8はPINダイオードのON抵抗と端子間容量の関係を示した特性例である。ここで示すように,ON抵抗の低いものは端子間容量が大きく,端子間容量が小さいものはON抵抗が高い。第1のダイオードにはON抵抗が1Ω以下のダイオード,望ましくは0.8Ω以下がよく,第2のダイオードはOFF時の端子間容量が0.8pF以下,望ましくは0.5pF以下がよい。なお、この第1のダイオードと第2のダイオードとの関係は、実施の形態1〜3においても同様である。
【0053】
なお、上記の実施の形態においては、コンデンサ素子C705とインダクタ素子L703による並列回路を設けるものとして説明を行ったが、コンデンサ素子単体を用いるものとしてもよい。
【0054】
また、上記の実施の形態はコンデンサ素子C705とインダクタ素子L703による並列回路を実施の形態3の構成に付加するものとして説明を行ったが、実施の形態1の構成に付加するものとしてもよい。
【0055】
(実施の形態5)
図9は本発明の高周波スイッチ回路を用いた2帯域型の高周波スイッチ回路の等価回路図である。本実施の形態の2帯域型の高周波スイッチ回路は、第1の周波数帯f1用の第1の高周波スイッチ900Aと,第1の周波数より高い第2の周波数帯f2用の第2の高周波スイッチ900Bの二つを有し,さらにそれぞれのアンテナ端子904、アンテナ端子914同士を分波器920を用い一つにまとめることにより、アンテナ端子930に接続される、図示しない同一のアンテナを共用している。
【0056】
以下,本発明の実施の形態5の2帯域型高周波スイッチについて,具体例として欧州の移動体通信で使用されているGSMとDCS方式を例に,f1をGSM方式の送受信の周波数帯域である880−960MHz,f2をDCS方式の送受信の周波数帯域である1710−1880MHzとして説明する。またここでは分波器920を図10に示すような特性を持つ低域通過フィルタと高域通過フィルタで構成した例を用いて説明を行う。なお、分波器920は、このほか互いに異なる通過帯域を有する2種類の帯域通過フィルタを組み合わせることにより構成することもできる。
【0057】
送信する場合,GSM帯の送信信号は第1の高周波スイッチ900Aのコントロール端子902に電圧を印加することにより,ダイオードD901,902がONとなり送信端子901からコンデンサ素子C901,ダイオードD901,コンデンサ素子C903をとおり,分波器920の低域フィルタ(LPF)側の端子904へと入力される。
【0058】
DCS帯の送信信号は、第2の高周波スイッチ900Bのコントロール端子912に電圧を印加することにより,ダイオードD911,912がONとなり送信端子911からコンデンサ素子C911,ダイオードD911,コンデンサ素子C913をとおり,分波器920の高域フィルタ(HPF)側の端子914へと入力される。それぞれ分波器920に入力された送信信号は図9に示すようにクロスバンドではアイソレーションがあるため、いずれも他方の高周波スイッチ側へは出力されず、アンテナ端子930に出力される。
【0059】
受信する場合は,コントロール端子をOFFにすると、アンテナで受信され、アンテナ端子930から入力された信号は,分波器920によってGSM帯の場合は、LPF側のアンテナ端子904へ,DCS帯の場合はHPF側のアンテナ端子914へそれぞれ出力される。
【0060】
GSM帯の信号はアンテナ端子904からコンデンサ素子C903,伝送線路TL901,コンデンサ素子C902を通りGSM帯用の受信端子903に出力される。またDCS帯の信号はアンテナ端子914からコンデンサ素子C913,伝送線路TL911,コンデンサ素子C912を通りDCS帯用の受信端子913に出力される。
【0061】
このような構成において,第1の高周波スイッチ900A、第2の高周波スイッチ900Bのいずれも、送信端子901,911側にある第1のダイオードD901,D911は受信端子903,913側にある第2のダイオードD902,D912よりON抵抗の低いものを用い,受信端子903,913側にあるダイオードD902,D912はOFF時において送信端子側にあるダイオードD901,D911より端子間容量の小さいものを用いているため、実施の形態1と同様低損失な高周波スイッチとなり、したがって本実施の形態は低損失な2帯域高周波スイッチとなる。このときダイオードD901はON抵抗が1Ω以下,ダイオードD911は0.8Ω以下で,ダイオードD902の端子間容量は0.8pF以下さらにはダイオードD912は0.5pF以下が望ましい。
【0062】
以上のような構成にすることにより,より低い周波数の側では送信側の損失は若干大きいが受信時のアイソレーションは増し,送信端子側に漏れる信号は少なくなる。また一般に、より高い周波数側の方が送信時,低損失を望まれるためON抵抗を低くしている。このような2帯域型高周波スイッチを使用することにより無線通信機器の消費電力を低減できる。
【0063】
またこの構成では分波器920を用いていることにより同時に2波の送信,受信または片側で送信時にも受信を行うなど、通信システムの要求によって多様な動作ができる。
【0064】
(実施の形態6)
図11は本発明の高周波スイッチ回路を用いた3帯域型の高周波スイッチ回路である。本実施の形態の3帯域型の高周波スイッチ回路は、第1の周波数帯f1用の第1の高周波スイッチ1100Aと,第1の周波数より高い第2の周波数帯f2用の第2の高周波スイッチ1100Bと、第1の周波数より高い第3の周波数帯f3用の第3の高周波スイッチ1100Cとの3つを有し,それぞれのアンテナ端子404、アンテナ端子1114同士を分波器1120を用い一つにまとめることにより、アンテナ端子1130に接続される、図示しない同一のアンテナを共用している。
【0065】
また、第1の高周波スイッチ1100Aおよび第2の高周波スイッチ1100Bはそれぞれ実施の形態1の高周波スイッチと同様の構成を有する。
【0066】
また、第3の高周波スイッチ1100Cは、送信側の構成として、送信端子1111,コンデンサ素子C1111,インダクタ素子L1111,抵抗素子R1111、コントロール端子1112、第1のダイオードD1111を第2の高周波スイッチ1100Bと共有し、さらに送信信号、受信信号のいずれの信号経路ともなるアンテナ端子1114およびコンデンサ1113も第2の高周波スイッチ1100Bと共有し、受信側の構成の一部として、伝送線路TL1111および第2のダイオードD1112も第2の高周波スイッチ1110Bと共有している。
【0067】
また、第3の高周波スイッチ1100Cの受信側は、コンデンサ素子C1113と、第1のダイオードD1111と伝送線路TL1111との接続点との間にアノードが接続された、カソードがコンデンサ素子C1122を介して受信端子1123と接続された第3のダイオードD1121と、第3のダイオードD1121のアノードとコンデンサ素子C1122との間の接続点に、抵抗素子R1121およびインダクタ素子L1122の直列回路を介して接続されたコントロール端子1122と、第3のダイオードD1121に並列に接続されたコンデンサ素子C1121およびインダクタ素子L1121の直列回路とをさらに備えている。
【0068】
すなわち、第3の高周波スイッチ1100Cは、第3のダイオードD1121と、周辺回路を含む受信側回路と、第1のダイオードD1111と周辺回路を含み第2の高周波スイッチ1100Bと高周波的に共有される送信側回路と、第2のダイオードD1112と伝送線路TL111を含み、第2の高周波スイッチ1100Bと直流的に共有される回路とから構成されている。
【0069】
以下,本発明の実施の形態6の3帯域型高周波スイッチについて,具体例として欧州の移動体通信で使用されているGSM,DCS方式と米国で使用されているPCS方式を例にf1をGSM方式の送受信の周波数帯域である880−960MHz,f2をDCS方式の送受信の周波数帯域である1711−1880MHz,f3をPCS方式の送受信の周波数帯域である1860−1990MHzとして説明する。
【0070】
送信する場合,GSM帯の送信信号は第1の高周波スイッチ1100Aのコントロール端子1102に電圧を印加することにより,第1のダイオードD1101,第2のダイオード1102がONとなり送信端子1101に入力された信号はコンデンサ素子C1101,第1のダイオードD1101,コンデンサ素子C1103を介し,分波器1120の低域フィルタ(LPF)側のアンテナ端子1104へと入力される。
【0071】
DCS帯およびPCS帯の送信信号は、第2の高周波スイッチ1100B(第3の高周波スイッチ1100C)のコントロール端子1112に電圧を印加することによりダイオードD1111,1112がONとなり,送信端子1111からコンデンサ素子C1111,第1のダイオードD1111,コンデンサ素子C1113を介し,分波器1130の高域フィルタ(HPF)の端子1114へと入力される。
【0072】
実施の形態5で引用した図9に示すように、分波記1120はクロスバンドではアイソレーションがあるため、それぞれ分波器1120に入力された送信信号は、異なる高周波スイッチ側へは出力されず、アンテナ端子1130に出力される。
【0073】
受信する場合は,コントロール端子1102、1112,1122をOFFにするとアンテナで受信され、アンテナ端子930から入力されたGSM帯の信号は,分波器1120によってLPF側のアンテナ端子1104へ,DCS,PCS帯の信号はHPF側のアンテナ端子1114へ出力される。
【0074】
GSM帯の信号はアンテナ端子1104からコンデンサ素子C1103,伝送線路TL1101,コンデンサ素子C1102を通りGSM帯用の受信端子1103に出力される。
【0075】
またDCS帯の信号は端子1114からコンデンサ素子C1113,伝送線路TL1111,コンデンサ素子C1112を通りDCS帯用の受信端子1113に出力される。
【0076】
さらにPCS帯域を受信する場合は,コントロール端子1122に電圧を印加することにより、第3の高周波スイッチ1100Cの動作として、第3のダイオードD1121,第2のダイオードD1112がONとなり、受信信号は、アンテナ端子1114からコンデンサ素子C1113,第3のダイオードD1121,コンデンサ素子C1122を介しPCSの受信端子1123に出力される。
【0077】
なお第3のダイオードD1121がOFFとなる場合、すなわち第2の高周波スイッチ1110Bとして動作してDCS帯の信号を受信する場合は、第3のダイオードD1121の端子間容量とインダクタ素子L1121とが並列共振し,DCSとPCSとの帯域間でのアイソレーションを確保し,信号がPCSの受信端子1123側に流れないようにしている。
【0078】
このような構成において,送信端子1101、1111側にそれぞれある第1のダイオードD1101,D1111とPCS帯受信用の第3のダイオードD1121は受信端子1103,1113側にそれぞれある第2のダイオードD1102,D1112よりON抵抗の低いものを用い,受信端子1103,1113側にある第2のダイオードD1102,D1112はOFF時の端子間容量が送信端子1101、1111側のダイオードD1101,D1111の端子間容量より小さいものを用いているため低損失の高周波スイッチとなる。
【0079】
またより高い周波数側の第2の高周波スイッチ1100B、第3の高周波スイッチ1100Cに用いるダイオードはより低い周波数側の第1の高周波スイッチ1100Aより低損失なスイッチとなるように選択することが望ましい。さらには第3のダイオードD1121のON抵抗は、第1の高周波スイッチ1100A側の送信端子1101側の第1のダイオードD1101のON抵抗より低いことが望ましい。
【0080】
例えばこのとき第1のダイオードD1101はON抵抗が1Ω以下,第1のダイオードD1111は0.8Ω以下,さらには第3のダイオードD1121のON抵抗は0.5Ω以下で,第2のダイオードD1102,D1112はOFF時の端子間容量がそれぞれ0.8pF以下であることが望ましい。
【0081】
以上のような構成を用いた3帯域型高周波スイッチを用いることによりPCS側の受信時にはON抵抗の低いダイオードを使用するため低損失になり,かつダイオードD1121に並列にインダクタ素子を接続することによって十分なアイソレーションも得ることができる。
【0082】
またその他の回路部分においては,2帯域型高周波スイッチと同様に低損失かつ高アイソレーションの特性が得られる。このような構成の3帯域型高周波スイッチを使用すると送信側の損失が少ないため無線通信機器の消費電力を低減することが出来る。また分波器を用いているため2帯域型高周波スイッチと同様にGSM側とDCS,PCS側で同時に送信,受信などの個別に動作をすることができる。またさらには積層構造で構成することにより3帯域型高周波スイッチの小型化が実現でき無線通信機器の小型化もできる。
【0083】
なお、第3のダイオードD1121に並列接続されたコンデンサ素子C1121およびインダクタ素子L1121の直列回路は省いた構成としてもよい。
【0084】
(実施の形態7)
図12は本発明の高周波スイッチ回路を搭載した無線通信機器の無線部のブロック図である。発振器OSC、ミキサMIX、バンドパスフィルタBPFとともに本発明の手段を構成するパワーアンプPAからの送信信号はコントロール端子1201に電圧を印加すると第1のダイオードD1201,第2のダイオードD1202がONとなり、送信端子1211から、コンデンサ素子C1201,ダイオードD1201,コンデンサ素子C1203を介しアンテナ1210から送信される。
【0085】
また受信信号はコントロール端子1201にコントロール電圧を印加しないとき第1のダイオードD1201,第2のダイオードD1202がOFFとなりアンテナ1210からコンデンサ素子C1203,伝送線路TL1201,コンデンサ素子C1202を経て受信端子1212を介し、受信側の、発振器OSC、ミキサMIX、バンドパスフィルタBPFとともに本発明の受信手段を構成する低雑音増幅器LNAに入力される。
【0086】
送信時は第1のダイオードD1201はON抵抗が低いためパワーアンプPAからの送信信号を損失が少なく伝送でき,伝送線路TL1201は一端が接地されているため受信端子には送信信号が伝送されない。受信時は第2のダイオードD1202はOFF時の端子間容量が小さいため受信信号を減衰することなく低雑音増幅器LNAへ伝送できる。
【0087】
実施の形態2においては積層体を用いた回路は実施の形態1の回路を用いたが,もちろん実施の形態3,4,5,6の回路でも実現することができる。また積層体中の伝送線路をそれぞれ1層としたが2層以上の複数構造としても同様の効果が得られる。
【0088】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば,低損失かつアイソレーションの高い高周波スイッチを提供することができる。また積層構造を用いることにより小型化と高信頼性ができさらにはこれを用いる無線通信機器の小型化,低消費電力化がはかれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における高周波スイッチ回路の回路図
【図2】本発明の実施の形態1の実装図
【図3】本発明の実施の形態2の積層型高周波スイッチの斜視図
【図4】本発明の実施の形態2の積層型高周波スイッチの分解斜視図
【図5】本発明の実施の形態2の回路図
【図6】本発明の実施の形態3の回路図
【図7】本発明の実施の形態4の回路図
【図8】PINダイオードの特性例を示す図
【図9】本発明の実施の形態5の回路図
【図10】分波器の伝送特性例を示す図
【図11】本発明の実施の形態6の回路図
【図12】本発明の高周波スイッチ回路を用いた無線通信機器のブロック回路図
【図13】従来例の高周波スイッチ回路の回路図
【符号の説明】
111,201,301,401,501,601,701,801,811,1101,1111,1301 送信端子
112,202,302,402,502,602,702,802,812,1102,1112,1302 コントロール端子
113,203,303,403,503,603,703,803,813,1103,1113,1123,1303 受信端子
114,204,304,404,504,604,704,804,814,1104,1114,1304 アンテナ端子
C コンデンサ素子
D ダイオード
G グランド電極
L インダクタ素子
R 抵抗素子
TL 伝送線路
V ビア電極
300,400 積層体
400A,400B,400C,400D 誘電体シート

Claims (19)

  1. 第1の周波数帯用の第1の高周波スイッチと、
    第1の周波数帯より高い第2の周波数帯用の第2の高周波スイッチと、
    前記第1の高周波スイッチのアンテナ端子と、前記第2の高周波スイッチのアンテナ端子とが電気的に接続され、前記第1の周波数帯と第2の周波数帯とを分波,合波して、前記第1の高周波スイッチと前記第2の高周波スイッチとで同一のアンテナを共用するための分波器とを備え、
    前記第1の高周波スイッチ及び第2の高周波スイッチは、
    送信端子と
    受信端子と
    前記アンテナ端子と、
    前記送信端子にアノードが電気的に接続されカソードが前記アンテナ端子に電気的に接続された第1のダイオードと
    前記受信端子に電気的に接続されたアンテナ端子に、1/4波長の伝送線路を介しアノードが接続されカソード側が接地された第2のダイオードと、
    前記送信端子と、前記第1のダイオードのアノードとの間の接続点に設けられたコントロール端子とをそれぞれ有し、
    前記第1および第2のダイオードは、ON抵抗と、前記アノードと前記カソードとの間の容量とがトレードオフの関係にあり、
    前記第1のダイオードのON抵抗が前記第2のダイオードのON抵抗より低く、前記第2のダイオードのOFF時の容量が前記第1のダイオードのOFF時の容量より小さく、
    前記第1の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗より、前記第2の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗を低くし、前記第1の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量より、前記第2の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量を小さくした、2帯域型の高周波スイッチ。
  2. 前記第1のダイオードにはON抵抗が1Ω以下のダイオードを用い前記第2のダイオードはOFF時の端子間容量が0.8pF以下を用いた請求項1に記載の2帯域型の高周波スイッチ。
  3. 前記第1のダイオードにはON抵抗が0.8Ω以下のダイオードを用い前記第2のダイオードはOFF時の端子間容量が0.5pF以下を用いた請求項1に記載の2帯域型の高周波スイッチ。
  4. 前記第1のダイオードに並列に設けられた、LCの直列回路を備えた請求項1から3のいずれかに記載の2帯域型の高周波スイッチ。
  5. 前記第2のダイオードに直列に接続されたLCの並列回路を設けた請求項1から3のいずれかに記載の2帯域型の高周波スイッチ。
  6. 積層体を用いて構成した請求項1から5のいずれかに記載の2帯域型の高周波スイッチ。
  7. 前記第1の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗が1Ω以下前記第2の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗が0.8Ω以下で
    前記第1の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量が0.8pF以下で前記第2の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量が0.5pF以下である請求項に記載の2帯域型の高周波スイッチ。
  8. 前記第1の高周波スイッチの送信端子受信端子およびコントロール端子と、前記第2の高周波スイッチの送信端子受信端子およびコントロール端子と、前記第1の高周波スイッチおよび前記第2の高周波スイッチ共通のアンテナ端子とは、接地端子とともに部品接続用の電極パターンとして複数の誘電体を積層した積層体表面に設けられており、
    前記積層体の内部には第1の高周波スイッチ、前記第2の高周波スイッチおよび前記分波器を構成するための電極パターンが設けられており、
    前記第1のダイオードおよび前記第2のダイオードは、前記積層体表面上に実装されている請求項1または7のいずれかに記載の2帯域型の高周波スイッチ。
  9. 第1の周波数帯用の第1の高周波スイッチと
    第1の周波数帯より高い第2の周波数帯用の第2の高周波スイッチと
    第1の周波数帯より高い第3の周波数帯用の第3の高周波スイッチと、
    前記第1の高周波スイッチのアンテナ端子と、前記第2の高周波スイッチのアンテナ端子とが電気的に接続され、前記第1の周波数帯、第2の周波数帯および第の周波数帯を分波,合波して、前記第1の高周波スイッチと、前記第2の高周波スイッチと、前記第3の高周波スイッチとで同一のアンテナを共用するための分波器とを備え、
    前記第1の高周波スイッチ及び第2の高周波スイッチは、
    送信端子と、
    受信端子と、
    前記アンテナ端子と、
    前記送信端子にアノードが電気的に接続され、カソードが前記アンテナ端子に電気的に接続された第1のダイオードと、
    前記受信端子に電気的に接続されたアンテナ端子に、1/4波長の伝送線路を介しアノードが接続され、カソード側が接地された第2のダイオードと、
    前記送信端子と、前記第1のダイオードのアノードとの間の接続点に設けられたコントロール端子とをそれぞれ有し、
    前記第1および第2のダイオードは、ON抵抗と、前記アノードと前記カソードとの間の容量とがトレードオフの関係にあり、
    前記第1のダイオードのON抵抗が前記第2のダイオードのON抵抗より低く、前記第2のダイオードのOFF時の容量が前記第1のダイオードのOFF時の容量より小さく、
    前記第3の高周波スイッチは、
    前記第2の高周波スイッチの、前記アンテナ端子と、前記第1のダイオードのカソードおよび前記伝送線路の接続点との間にカソードが接続され、アノードが第2の受信端子に接続された第3のダイオードと、前記第3のダイオードと第2の前記受信端子との間に接続された第2のコントロール端子とを有するとともに、前記第1の高周波スイッチの送信端子を第2の送信端子として用い、受信側において前記第2の高周波スイッチの前記第2のダイオードを用いて動作し、
    前記第1の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗より、前記第2の高周波スイッチの前記第1のダイオードおよび前記第3の高周波スイッチの前記第3のダイオードのON抵抗を低くし、
    前記第1の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量より、前記第2の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量を小さくした3帯域型の高周波スイッチ。
  10. 前記第1のダイオードにはON抵抗が1Ω以下のダイオードを用い前記第2のダイオードはOFF時の端子間容量が0.8pF以下を用いた請求項9に記載の3帯域型の高周波スイッチ。
  11. 前記第1のダイオードにはON抵抗が0.8Ω以下のダイオードを用い前記第2のダイオードはOFF時の端子間容量が0.5pF以下を用いた請求項9に記載の3帯域型の高周波スイッチ。
  12. 前記第1のダイオードに並列に設けられた、LCの直列回路を備えた請求項9から11のいずれかに記載の3帯域型の高周波スイッチ。
  13. 前記第2のダイオードに直列に接続されたLCの並列回路を設けた請求項9から11のいずれかに記載の3帯域型の高周波スイッチ。
  14. 前記第3の高周波スイッチの前記第3のダイオードのON抵抗は、前記第2の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗よりも低い請求項に記載の3帯域型の高周波スイッチ。
  15. 前記第1の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗が1Ω以下で前記第2の高周波スイッチの前記第1のダイオードと前記第3の高周波スイッチの前記第3のダイオードのON抵抗は0.8Ω以下であって、
    前記第1の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量は0.8pF以下で前記第2の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量が0.5pF以下である請求項に記載の3帯域型の高周波スイッチ。
  16. 前記第3の高周波スイッチの前記第3のダイオードのON抵抗を0.5Ω以下にした請求項15に記載の3帯域型高周波スイッチ。
  17. 前記第1の高周波スイッチの送信端子受信端子コントロール端子と、前記第2の高周波スイッチの送信端子受信端子コントロール端子と、前記第3の高周波スイッチの受信端子コントロール端子と、前記第1の高周波スイッチ、前記第2の高周波スイッチおよび前記第3の高周波スイッチ共通のアンテナ端子とは、接地端子とともに部品接続用の電極パターンとして複数の誘電体を積層した積層体表面に設けられており、
    前記積層体の内部には第1の高周波スイッチ、前記第2の高周波スイッチ、前記第3の高周波スイッチおよび前記分波器を構成するための電極パターンが設けられており、
    前記第1のダイオード、前記第2のダイオードおよび前記第3のダイオードは、前記積層体表面上に実装されている請求項から16のいずれかに記載の3帯域型の高周波スイッチ。
  18. アンテナと、
    前記アンテナから信号を送信するための送信手段と、
    前記アンテナから信号を受信するための受信手段と、
    前記アンテナと前記送信手段または前記受信手段との接続を切り替えるスイッチ手段とを備え、
    前記スイッチ手段は、
    第1の周波数帯用の第1の高周波スイッチと、
    第1の周波数帯より高い第2の周波数帯用の第2の高周波スイッチと、
    前記第1の高周波スイッチのアンテナ端子と、前記第2の高周波スイッチのアンテナ端子とが電気的に接続され、前記第1の周波数帯と第2の周波数帯とを分波,合波して、前記第1の高周波スイッチと前記第2の高周波スイッチとで同一のアンテナを共用するための分波器とを有し、
    前記第1の高周波スイッチ及び第2の高周波スイッチは、
    送信端子と
    受信端子と
    前記アンテナ端子と、
    前記送信端子にアノードが電気的に接続されカソードが前記アンテナ端子に電気的に接続された第1のダイオードと
    前記受信端子に電気的に接続されたアンテナ端子に、1/4波長の伝送線路を介しアノードが接続されカソード側が接地された第2のダイオードと、
    前記送信端子と、前記第1のダイオードのアノードとの間の接続点に設けられたコントロール端子とをそれぞれ有し、
    前記第1および第2のダイオードは、ON抵抗と、前記アノードと前記カソードとの間の容量とがトレードオフの関係にあり、
    前記第1のダイオードのON抵抗が前記第2のダイオードのON抵抗より低く、前記第2のダイオードのOFF時の容量が前記第1のダイオードのOFF時の容量より小さく、
    前記第1の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗より、前記第2の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗を低くし、前記第1の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量より、前記第2の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量が小さい無線通信機器。
  19. アンテナと、
    前記アンテナから信号を送信するための送信手段と、
    前記アンテナから信号を受信するための受信手段と、
    前記アンテナと前記送信手段または前記受信手段との接続を切り替えるスイッチ手段とを備え、
    前記スイッチ手段は、
    第1の周波数帯用の第1の高周波スイッチと
    第1の周波数帯より高い第2の周波数帯用の第2の高周波スイッチと
    第1の周波数帯より高い第3の周波数帯用の第3の高周波スイッチと、
    前記第1の高周波スイッチのアンテナ端子と、前記第2の高周波スイッチのアンテナ端子とが電気的に接続され、前記第1の周波数帯、第2の周波数帯および第の周波数帯を分波,合波して、前記第1の高周波スイッチと、前記第2の高周波スイッチと、前記第3の高周波スイッチとで同一のアンテナを共用するための分波器とを有し
    前記第1の高周波スイッチ及び第2の高周波スイッチは、
    送信端子と、
    受信端子と、
    前記アンテナ端子と、
    前記送信端子にアノードが電気的に接続され、カソードが前記アンテナ端子に電気的に接続された第1のダイオードと、
    前記受信端子に電気的に接続されたアンテナ端子に、1/4波長の伝送線路を介しアノードが接続され、カソード側が接地された第2のダイオードと、
    前記送信端子と、前記第1のダイオードのアノードとの間の接続点に設けられたコントロール端子とをそれぞれ有し、
    前記第1および第2のダイオードは、ON抵抗と、前記アノードと前記カソードとの間の容量とがトレードオフの関係にあり、
    前記第1のダイオードのON抵抗が前記第2のダイオードのON抵抗より低く、前記第2のダイオードのOFF時の容量が前記第1のダイオードのOFF時の容量より小さく、
    前記第3の高周波スイッチは、
    前記第2の高周波スイッチの、前記アンテナ端子と、前記第1のダイオードのカソードおよび前記伝送線路の接続点との間にカソードが接続され、アノードが第2の受信端子に接続された第3のダイオードと、前記第3のダイオードと第2の前記受信端子との間に接続された第2のコントロール端子とを有するとともに、前記第1の高周波スイッチの送信端子を第2の送信端子として用い、受信側において前記第2の高周波スイッチの前記第2のダイオードを用いて動作し、
    前記第1の高周波スイッチの前記第1のダイオードのON抵抗より、前記第2の高周波スイッチの前記第1のダイオードおよび前記第3の高周波スイッチの前記第3のダイオードのON抵抗を低くし、
    前記第1の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量より、前記第2の高周波スイッチの前記第2のダイオードのOFF時の容量を小さくした無線通信機器。
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