JP3757113B2 - 磁気抵抗効果型素子を用いた磁気ヘッドの磁気記録装置への適用方法 - Google Patents
磁気抵抗効果型素子を用いた磁気ヘッドの磁気記録装置への適用方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気記録に係り、特に磁気抵抗効果型電磁変換素子を用いて情報を再生する磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気テープ装置や磁気ディスク装置では、情報の再生素子として、磁気抵抗効果型素子が採用されつつある。磁気抵抗効果型素子は、記録媒体からの漏洩磁界に対応した抵抗率変化(磁気抵抗効果)を利用するものである。磁気抵抗効果型素子は、従来の誘導型素子に比べると再生感度が高く、かつ、磁気テープの走行速度や磁気ディスク媒体の回転速度に対する依存性(周速依存性)がない。このような特性は、磁気テープ装置の小形化や磁気ディスク装置の大容量化、テープ媒体の高記録密度化又はディスク媒体の小径化に極めて有効であり、現在、磁気抵抗効果型素子を搭載した磁気ヘッドが急速に普及しつつある。
【0003】
図2は、一般的に使用されている記録媒体(磁気テープ又は磁気ディスク)と、磁気ヘッドの磁気抵抗型素子部の構成を模式的に示したものである。磁気抵抗効果型素子1の電極2に挟まれた領域は、ほぼ単一磁区を形成し、かつ、記録媒体4からの漏洩磁界が無い場合に、所定の向きに磁化されるようにバイアス磁界が印加されている。この領域は感磁部と呼ばれ、記録媒体4から発生する漏洩磁界6が重畳することで磁化がバイアス状態から回転しやすく、この回転角に応じて磁気抵抗効果型素子1の抵抗率が変化する。
【0004】
従って、この領域が情報再生に有効に働き、この領域の幅が磁気ヘッドの再生トラック幅に相当する。磁気抵抗効果型素子1の両側にあるシールド膜3は空間分解能を向上して、記録媒体4に高密度に情報が記録された場合にも、各々の情報に対応する漏洩磁界6が干渉することを防ぎ、各々の情報を区別できるようにするためのものである。
【0005】
記録媒体4からの漏洩磁界6に対応した磁気抵抗効果型素子1の抵抗率変化は、磁気抵抗効果型素子1にセンス電流5と呼ばれる一定電流を流した場合の素子両端の電圧降下、又は、磁気抵抗効果型素子1に一定電圧を印加した場合に流れるセンス電流5の変化を抽出することで電気信号に変換できる。
【0006】
磁気抵抗効果型素子用の再生回路として一般的に使用されている回路構成の一例を、図3に示す。この構成では、センス電流設定用の外部抵抗素子7で決定される値の電流が、磁気抵抗効果型素子1に流れるように、素子両端の印加電圧を帰還制御する。ローパスフィルターLPF8により、低い周波数応答に対してのみ帰還が行われる。これにより、磁気抵抗効果型素子1には、その抵抗値に依らずに一定のセンス電流5が流れる。また、漏洩磁界による磁気抵抗効果型素子1の抵抗変化に対しては、磁気抵抗効果型素子1は定電圧駆動されることにより、抵抗変化に対応してセンス電流が変化する。このセンス電流変化を負荷抵抗9で電圧変化に変換し、再生信号として取り出す。
【0007】
このため、再生素子として磁気抵抗効果型素子を用いた、例えば、磁気ディスク装置の再生チャネルは、一般的に図4のブロック図に示すような構成となる。再生素子が磁気抵抗効果型素子であることによる再生チャネルの特徴として、R/Wアンプ10には、センス電流設定用の抵抗素子7が接続される。この抵抗素子7により設定されたセンス電流5が磁気抵抗効果型素子1に供給されることにより、上記の原理により再生信号を得ている。他の再生チャネル構成は、磁気抵抗効果型素子以外の誘導型素子を用いた場合と同様である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術では、磁気抵抗効果型素子の抵抗率変化を一定電流に対する電圧降下の変化、又は、一定電圧に対する素子電流の変化として検知するため、磁気抵抗効果型素子の寸法ばらつき(分散)に起因する素子抵抗値のばらつきがあると、再生信号振幅が大きく分散してしまう。例えば、特開平5−325110号は磁気ディスク装置の技術を開示しているが、MRヘッドの再生レベルが最大になるようにセンス電流を制御している。そして、図15に示すように、MRヘッドの個体差により最大の再生出力を与えるセンス電流が異なっている。 センス電流を大きくすると、磁気抵抗効果型素子の寿命が短くなるので、センス電流は必要以上には大きくできない。このため所定のセンス電流の上限を設定して、当該上限値以下で使用せざるをえない。
【0009】
以下の説明のため、図5に示すように磁気抵抗効果型素子の寸法を定義する。
【0010】
図の下方が記録媒体側、奥行き方向が記録トラック幅方向を示している。ここで、磁気抵抗効果型素子の素子高さ(h)は、通常、素子の機械加工により決まるため、加工精度により分散しやすい。他の素子幅(w)や素子厚さ(t)は、通常、薄膜プロセスにより決定される。このため、素子高さ(h)のばらつき比率は、他の素子幅(w)や素子厚さ(t)のばらつき比率に比べて大きく、その影響が現われやすくなる。
【0011】
素子高さが通常よりも低い場合、素子抵抗は大きくなるので、一定の電流を通じたときには、素子の端子電圧に現れる再生信号の振幅は通常より大きくなる。また、通常よりも電流密度が大きくなるため、マイグレーションや発熱による破壊が起こりやすくなり、寿命の観点からは信頼性が劣化する。
【0012】
この関係を図6を用いて説明する。図6は、磁気抵抗効果型素子の素子高さのばらつきに起因して抵抗ばらつきが起こる場合を示している。磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間抵抗に対して、図6上部は再生出力の変化を示し、図6下部は磁気抵抗効果型素子の電流密度変化を示している。
【0013】
磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間抵抗は、磁気抵抗効果型素子自身の有する抵抗と電極及び配線等の抵抗からなる。その結果、図6のような特性を示す。図4に示すような従来の磁気ディスク装置用の再生チャネルでは、磁気抵抗効果型素子の抵抗値に依らずにセンス電流を一定に設定する。そのため、磁気抵抗効果型素子抵抗にばらつきがある場合、磁気抵抗効果型素子内の電流密度もばらついてしまう。再生性能の観点からは、できるだけ再生出力を大きくなるようにセンス電流を大きく設定したい。しかし、図6下部に示すように、磁気抵抗効果型素子の通電寿命の観点から電流密度の上限を超えない範囲にセンス電流を設定する必要があった。その結果、再生出力は図6上部に示す範囲でばらつくことになる。ここで、素子高さの高い素子は抵抗値が小さくなるため(図5)、再生信号振幅は低くなる。
【0014】
このように、素子高さの高い素子は、素子自身の抵抗値が低いので再生出力が小さく、あたかも性能が低いように見えてしまう。しかし、素子高さの高い素子の電流密度は小さいため、電流密度の上限値を超えない範囲でセンス電流を大きくすれば信頼性を確保したまま再生出力を大きくすることが可能である。即ち本願の発明者らは、従来技術では素子高さの高い素子の性能を十分に利用できていないことを発見した。
【0015】
ここまで、素子高さのばらつきに関して述べてきたが、素子厚さに関しても同様のことが言える。
【0016】
本発明の目的は、上記のような素子高さ、素子厚さのばらつきに起因する、見かけ上の性能不足を補償し、磁気抵抗効果型素子が本来持つ性能を十分に引き出すようにした磁気抵抗効果型再生ヘッドへのセンス電流の供給方法を提供することにある。
【0017】
上記課題を達成するために、本発明の磁気抵抗効果型再生ヘッドへのセンス電流の供給方法は、R/Wアンプが磁気抵抗効果型再生ヘッドへ第1のセンス電流を通じ、当該磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間の信号を当該R/Wアンプが増幅し、その直流成分をアナログ/デジタル変換器がデジタル信号に変換し、コントローラが、当該デジタル信号から、予め作成された対応テーブルに基づき、第2のセンス電流を選択することにより1つのセンス電流を定める第1のステップと、前記コントローラが、第1のステップで定めたセンス電流に応じた設定信号を、センス電流設定回路へ送り、当該センス電流設定回路が1つのセンス電流値を、複数のセンス電流の候補値から選択する第2のステップと、第2のステップで選択したセンス電流値を、前記R/Wアンプが、前記磁気抵抗効果型再生ヘッドへ流す第3のステップを有する。
【0018】
また上記課題を達成するために、本発明の磁気抵抗効果型再生ヘッドへのセンス電流の供給方法は、第1のステップの第1のセンス電流と、第2のステップの複数のセンス電流の候補値との対応関係が、磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間の直流電圧の値を、センス電流の値で除した値を横軸とし、磁気抵抗効果型素子自身の両端の電位差が、許容される最大値を越えない範囲となるよう定められたセンス電流値を縦軸とする対応関係であり、プログラムに記載されていることを特徴とする。但し、磁気抵抗効果型素子自身の両端の電位差とは、磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間抵抗から、磁気抵抗効果型素子自身の抵抗以外の抵抗分を差し引いた抵抗値の両端に出現する電位差をいう。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の適用対象である磁気テープ装置を、図16を用いて簡単に説明する。
磁気テープは、テープ走行系に設置された磁気ヘッドに接触又は僅かな間隙を保って走行することにより、情報の記録又は再生を行う。本装置では、磁気抵抗効果型素子を用いた磁気ヘッドが、テープの幅方向cに沿って複数設けられている。磁気テープは正方向又は逆方向に走行可能であり(方向a又は方向b)、いづれの場合にも情報の記録又は再生を行うことができる。磁気ヘッドはR/Wアンプ11に接続され、磁気テープから検出した微小な信号の増幅、書込みの際の情報信号の増幅、及び本発明の実施に際して所定の選択機能を有している。
【0020】
次に、本発明の別の適用対象である磁気ディスク装置を、図13及び図14を用いて説明する。磁気ディスク装置は、密閉容器40、磁気媒体であるディスク41、ディスク41を支持し、かつ、回転させるスピンドルモータ42、ディスク41からの情報を読み出す磁気ヘッド及びサスペンションアームを持つヘッドアッセンブリ43及びヘッドアッセンブリを支持し、かつ、ディスク上を揺動させるピボットシャフト44を含むスイングアーム、スイングアームを駆動するボイスコイルモータ45、それに、ディスク41への書き込み及びディスク41からの読み出しを磁気ヘッドにさせる回路51やスピンドルモータ42及びボイスコイルモータ45の作動を制御するコントローラに電気的接続を行う印刷配線板46を具備している。ディスク41、スピンドルモータ42、ヘッドアッセンブリ43、印刷配線板46、ボイスコイルモータ45は容器40の内部にあり、容器40によって密閉されている。
【0021】
スピンドルモータ42は、外周にディスク41を固定するハブと、ハブの内部に回転子及び固定子を配置したインハブタイプのモーターであり、容器40を構成するベース部材に設置されている。ただし、インハブタイプのモーターに限定されない。ディスク41は、磁気ディスク装置のデータ格納容量を決める重要部品である。通常は容量に応じて、例えば、1枚から数枚で構成される。本磁気ディスク装置では、ディスク41は、ディスクスペーサ48a(図14)と、交互にスピンドルモータ42のハブに挿入されている。ディスククランプ48bは、ディスクの積層体をスピンドルモータ42の軸方向に押さえることによって、ディスク41をスピンドルモータ42に固定している。
【0022】
スイングアームは、ディスク42の枚数に応じて数本有り、磁気ヘッドを搭載している複数のスライダ49、サスペンションアーム50(図13)から構成される。スイングアームは、ピボットシャフト44により回転自在にベース部材に固定されている。磁気ヘッドは、書き込みのための薄膜ヘッドと読み取りのための磁気抵抗効果型ヘッドとを一体化したデュアルヘッドが搭載されており、スライダ49の各々に取付けられている。
【0023】
次に、本実施の態様である磁気記録装置の再生チャネルのブロックを、図1を用いて説明する。本再生チャネルは、少なくとも、磁気抵抗効果型素子1に接続してセンス電流5を供給するとともに、再生出力端子17に、差動再生信号と、これに磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間電圧を重畳して出力するR/Wアンプ11と、前記差動再生信号を入力する自動利得制御増幅器(AGCアンプ)及びこれに接続された再生チャネル(ローパスフィルタLPF、適応等価器、復号回路)と、記差動再生信号の直流成分を抽出するLPF13と、前記LPF13により抽出された直流成分を入力してディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル変換器14と、前記ディジタル信号とセンス電流設定信号の対応テーブルを予め格納したメモリ16と、前記ディジタル信号を入力し、前記メモリ16内の対応テーブルを参照して、センス電流設定信号18を出力するコントローラー15と、前記センス電流設定信号18を入力し、センス電流5を切り替えるセンス電流設定回路12により構成される。
【0024】
前記メモリ16内の対応テーブルは、コントローラ15を制御するプログラムの中に記載されていても良い。この場合には、メモリ16は不要となる。
【0025】
図7に、前記R/Wアンプの一構成例を示す。磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間電圧は、バッファを介してLPFに入力された後に、該LPFにより高周波を除去した端子間電圧となる。この高周波が除去された端子間電圧を基準にして、出力差動信号が出力される。ここで、磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間抵抗のうち、磁気抵抗効果型素子自身の抵抗値以外は、おおむね一定であり、事前に測定し評価できる。この素子以外の抵抗値とセンス電流に対応するセンス電流設定信号との変換テーブルが、メモリ16(図1)に格納される。それゆえ設定しているセンス電流値と磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間抵抗から、磁気抵抗効果型素子両端の電位差を算出できる。素子自身の両端の電位差を所定の値にするためのセンス電流値を算出した後、センス電流設定回路12に送る設定信号値を求めることができる。以上により磁気抵抗効果型素子の両端の電位差をほぼ一定の値に設定することが可能となる。
【0026】
次に、本実施の態様の効果を説明する。従来の再生チャネルにより、センス電流を一定値に設定した場合、磁気抵抗効果型再生ヘッド600ユニットの再生出力を、図8に示す。横軸は各磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間抵抗(素子自身の端子間抵抗ではない)であり、最大27Ωまで分散している。ここではセンス電流は11mA ( ミリアンペア)に固定されている。この電流値は、ヘッドに流す最大電流密度(概略、20MA/平方cm)以下に設定するという制約から決められている。
【0027】
この結果、再生出力は400μVppから700μVppの範囲(より図8に則して表現すれば、350μVppから750μVppの範囲)で分散し、このときの磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間電圧は、最大で297mVにまで達する。図8の特性は、図6に示すような直線的な相関を示していないが、これはヘッドの浮上量ばらつきや素子幅ばらつき、素子感度ばらつき等を含むためである。しかしながら、概略右上がりの相関があることを示しており、前述したような、素子高さ及び素子厚さのばらつきの影響が大きいことを示している。
【0028】
一方、本発明により、センス電流を制御した再生出力を、図9に示す。ここでは、図8の例と同様に最大電流密度を20MA(メガアンペア)/平方cmに制限し、また、センス電流の切り替えは8段階とした。
【0029】
制御目標とするセンス電流値の設定方法について、図10を用いて説明する。まず、磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間抵抗のうち、磁気抵抗効果型素子自身の抵抗以外の抵抗分は、ヘッド単品の測定及び評価から、ほぼ5Ωであることが分かっている。このため、センス電流を11mAに固定した上記の従来例では、磁気抵抗効果型素子自身の両端の電位差が、最大242mVに達する。
【0030】
従って、磁気抵抗効果型素子自身の両端の電位差が、242mVを越えない範囲でセンス電流を増加しても、磁気抵抗効果型素子の電流密度は従来例と同程度に抑えられ、通電寿命等の信頼性も従来例と同程度に確保できる。
【0031】
図10に示す×印は、各磁気効果型再生ヘッドにおける磁気抵抗効果型素子自身の両端の電位差が、前記の242mVにほぼ一致すると推定されるセンス電流値をプロットしたものである。横軸は、磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間電圧Vを、端子間電圧測定時のセンス電流Isで規格化して表示した値(V/Is)である。また横軸は、アナログ/ディジタル変換器14(図1)の出力であるディジタル信号と、センス電流設定値とからディスクコントローラー15が評価可能な値に対応している。
【0032】
制御目標とするセンス電流値は、図10の×印を上回らないように実線で示すように決定する。この結果、磁気抵抗効果型素子の通電寿命等の信頼性を維持したまま、再生感度を向上できる。図17に示す変換テーブルは図10から作成され、これに相当するデータがメモリ16(図1)に格納される。ディスクコントローラー15は、センス電流設定信号18を、センス電流設定回路12に送り、図10に示す関係のセンス電流の切り換えを達成する。
【0033】
本発明では、図9に示すように、再生出力は480μVppから800μVppの範囲(より図9に則して表現すれば、420μVppから800μVppの範囲)で分散することが分かる。図8の従来例に比べて、本発明では分散の下限出力を約20%増加できるとともに、再生出力の分散全体を減少できた。この結果、磁気ディスク装置、磁気テープ装置その他磁気記録装置の完成品を輩出する割合が向上できた。
【0034】
以上のように、本実施の態様によれば、磁気抵抗効果型素子のセンス電流を、従来のセンス電流の最大電流密度と同等レベルに保つことができ、素子の通電寿命等の信頼性を低下することなく、再生出力を約20%増加することができる。これにより磁気記録再生の信号のS/N比を向上できるので、磁気記録装置の全体の性能を向上できる。
【0035】
なお本実施の態様においては、磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間電圧の違いを評価した結果に基づいてセンス電流を切り替え、再生感度ばらつきを低減することが本質であり、必ずしも最大電流密度が同等レベルになるようにセンス電流を切り替える必要はない。
【0036】
本実施の態様のセンス電流設定回路12は、R/Wアンプ11に内蔵されていてもよい。また、LPF13やADC14が他の機能ブロックとともにR/WチャネルIC若しくはコントローラー15に内蔵されていてもよい。
【0037】
また、本実施の態様のR/Wアンプ11は、磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間電圧を再生出力端子17に重畳せずに、別の端子を設けて出力し、直接、ADC14に入力しても良い。この場合にはLPF13は不要となる。
【0038】
磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間電圧は、常時監視する必要は無く、ヘッド毎又はシリンダ位置毎の評価を装置起動の際に実施し、メモリ16に格納しておいてもよい。更には、磁気ディスク装置の出荷前に係る評価を実施し、磁気ディスク媒体上に記録しておき、装置起動の際に読み出してメモリ16に格納してもよい。
【0039】
次に、本発明の第2の実施の態様について説明する。図8に示したように、センス電流が一定の場合、再生出力は磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間抵抗と相関がある。このように相関があることから、ヘッド端子間抵抗値のモニタとして、再生出力を用いることが可能となる。再生出力に基づきセンス電流を制御した第2の実施の態様を、図11を用いて説明する。再生チャネルは、少なくとも磁気抵抗効果型素子1に接続してセンス電流5を供給するとともに、再生出力端子17に差動再生信号を出力するR/Wアンプ10と、前記の差動再生信号を入力するAGCアンプとこれに接続された通常の再生チャネル(ローパスフィルタ、適応等価回路及び復号回路)と、前記の差動再生信号17とサーボゲート信号及びサーボAGCホールド信号21を入力して、サーボ基準振幅信号の振幅又は実効値の評価値を出力する振幅評価回路19と、前記の振幅評価回路19により抽出されたサーボ信号基準振幅評価値を入力して、ディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル変換器ADC14と、前記ディジタル信号とセンス電流設定信号の対応テーブルを予め格納したメモリ16と、前記ディジタル信号を入力して、前記対応テーブルを参照して、センス電流設定信号18を出力するディスクコントローラー20と、前記センス電流設定信号18を入力してセンス電流を切り替えるセンス電流設定回路12により構成される。
【0040】
第1の実施の態様と同様に、前記メモリ16内の対応テーブルは、コントローラ20を制御するプログラムの中に記載されていても良い。この場合には、メモリ16は不要となる。
【0041】
磁気記録媒体には、予めサーボトラックのようなトラッキング情報が記録されており、前記のトラッキング情報には、少なくとも基準振幅信号を含んでいる。図11の構成により、前記の基準振幅信号の振幅又は実効値が、振幅評価回路19により評価される。ここで、振幅評価回路19をピークホールド回路により構成すれば、振幅評価回路19は前記基準振幅信号の振幅を評価することができる。また、振幅評価回路19を全波整流と積分回路で構成すれば、その実効値を予め定めた基準値と比較することで、実効値的な評価をすることができる。
【0042】
ピークホールド回路により構成された振幅評価回路19の構成及びタイミングの一例を、図12に示す。サーボ部の再生信号(図12-(a))には、基準振幅信号が含まれており、振幅評価回路19に含まれる全波整流回路22に入力されて、全波整流波形(図12-(b))に変換され、ピークホールド回路23に送られる。ピークホールド回路23は、サーボゲート信号とサーボAGCホールド信号21(図12-(c))のタイミングを利用して基準振幅信号区間のピークホールド波形(図12-(d))を生成して出力する。このピークホールド波形はADC14を介して、前記サーボAGCホールド信号の立ち上がりタイミングでサンプリングされてディスクコントローラー20(図11)に取り込まれる。これ以降の処理は、前記第1の実施の態様と同様である。
【0043】
以上のように、トラッキング情報に含まれる基準振幅信号の振幅又は実効値の評価値を用いることにより、データの再生状態又は磁気ヘッドを移動する際の磁気記録装置の動作状態に依らず、第1の実施の態様と同様の制御を行うことが可能となる。
【0044】
【発明の効果】
磁気記録装置に用いられる磁気抵抗効果型素子において、素子高さその他の素子形状の分散に起因する、見かけの性能劣化(再生出力の低下)を軽減して、磁気抵抗効果型素子が本来持つ性能を引き出すことができるため、磁気記録装置の性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す磁気記録装置の再生チャネルのブロック図である。
【図2】磁気ヘッドにおける磁気抵抗効果型素子部分の構成を示す模式図である。
【図3】従来の磁気抵抗効果型素子用再生回路を示す図である。
【図4】従来の磁気記録装置(磁気ディスク装置)の再生チャネルのブロック図を示す図である。
【図5】磁気抵抗効果型素子の寸法の定義を説明するための図である。
【図6】磁気抵抗効果型素子の素子高さのばらつきに起因する、再生ヘッド端子間抵抗と再生出力、電流密度の関係を示す概念図である。
【図7】本発明に係る磁気抵抗効果型素子用再生回路の一構成例を示す図である。
【図8】従来技術によりセンス電流を一定にした場合の再生出力ばらつきを示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の態様により、センス電流を制御した場合の再生出力ばらつきを示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の態様におけるセンス電流の制御値の決定方法を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の態様における、磁気記録装置の再生チャネルの機能ブロックを示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の態様における振幅評価を説明するための図である。
【図13】本発明の適用対象である磁気ディスク装置の平面図である。
【図14】図13の磁気ディスク装置の側面図である。
【図15】磁気抵抗効果型素子を用いた磁気ヘッドにおいて、ヘッドの出力が最大となるような、従来のセンス電流制御を説明するための図である。
【図16】本発明の適用対象である磁気テープ装置の斜視図である。
【図17】本発明の第1の実施の態様におけるセンス電流設定テーブルである。
【符号の説明】
1…磁気抵抗効果型素子、2…電極、3…シールド膜、
4…記録媒体、5…センス電流、6…漏洩磁界、
7…センス電流設定用抵抗素子、8…LPF、9…負荷抵抗、
10、11…磁気抵抗効果型素子用再生回路、
12…センス電流設定回路、17…再生出力端子、
18…センス電流設定信号、
21…サーボ基準振幅信号のタイミング信号。
Claims (2)
- R/Wアンプが磁気抵抗効果型再生ヘッドへ第1のセンス電流を通じ、当該磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間の信号を当該R/Wアンプが増幅し、その直流成分をアナログ/デジタル変換器がデジタル信号に変換し、コントローラが、当該デジタル信号から、予め作成された対応テーブルに基づき、第2のセンス電流を選択することにより1つのセンス電流を定める第1のステップと、
前記コントローラが、第1のステップで定めたセンス電流に応じた設定信号を、センス電流設定回路へ送り、当該センス電流設定回路が1つのセンス電流値を、複数のセンス電流の候補値から選択する第2のステップと、
第2のステップで選択したセンス電流値を、前記R/Wアンプが、前記磁気抵抗効果型再生ヘッドへ流す第3のステップを有する、磁気抵抗効果型再生ヘッドへのセンス電流の供給方法。 - 請求項1記載のセンス電流の供給方法において、
第1のステップの第1のセンス電流と、第2のステップの複数のセンス電流の候補値との対応関係が、磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間の直流電圧の値を、センス電流の値で除した値を横軸とし、磁気抵抗効果型素子自身の両端の電位差が、許容される最大値を越えない範囲となるよう定められたセンス電流値を縦軸とする対応関係であり、プログラムに記載されていることを特徴とする、磁気抵抗効果型再生ヘッドへのセンス電流の供給方法。
但し、磁気抵抗効果型素子自身の両端の電位差とは、磁気抵抗効果型再生ヘッドの端子間抵抗から、磁気抵抗効果型素子自身の抵抗以外の抵抗分を差し引いた抵抗値の両端に出現する電位差をいう。
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