JP3756777B2 - モジュラージャック - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モジュラープラグが挿着されるモジュラージャックに関し、特に、所定の極数以外の極数のモジュラープラグの挿着を防止する誤挿着防止機構を備えたモジュラージャックに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電話設備やLAN(ローカルエリアネットワーク)において使用されるコネクタ部材として、モジュラージャックとモジュラープラグがよく知られており、このようなモジュラージャック及びモジュラープラグには、設置される端子数の違いから、6極用のタイプ、又は8極用のタイプ等がある。ところが、いずれのタイプも各端子の取付ピッチが同一であるため、例えば、8極モジュラージャックに誤って6極モジュラープラグを挿着するおそれがあり、この場合には、電気的トラブルを発生させる危険性があった。そのため、従来から、特公平6−3750号公報に開示されているような、異極プラグの挿着を防止するための機構を備えたモジュラージャックが案出されている。
【0003】
図14〜18は、その特開平2−258435号公報に開示された8極モジュラージャック1を示しており、該8極モジュラージャック1には、図19に示すような8極モジュラープラグ2が挿着される。
【0004】
前記モジュラージャック1は、図14及び15によく示されているように、ハウジング3と、該ハウジング3内に突出するように並列に配設された8個の端子4と、前記ハウジング3の上部に設けられた誤挿着防止機構5とで概略構成されている。
【0005】
前記ハウジング3には前面側から凹部6が形成されており、該凹部6の高さは中央部分7が両側部分8より高くなっている。また、前記ハウジング3の天板9には孔10が穿設され、該孔10は前記凹部6の中央部分7に沿って形成された幹部11と、該幹部11の前端部から両側に延びる枝部12とを有している。さらに、前記凹部6の両側部分8上方の前記ハウジング3には、鉛直方向にガイド溝13が形成されている。
【0006】
前記誤挿着防止機構5は、図15から18によく示されているように、後端部14が前記ハウジング3に片持ち梁状に支持され、前記幹部11に遊嵌可能に設けられた板バネ15と、該板バネ15の前端部16に固定され、前記枝部12に遊嵌可能に設けられたストッパー付カム17とで構成されている。前記ストッパー付カム17は、中央部分が前記板バネ15の前端部16の下面側に固着され、左右側方に延設された腕部18と、該腕部18の両端部から下方に延びるストッパー部19と、該各ストッパー部19の外側に形成されたカム部20とから構成されている。そして、前記ストッパー付カム17は、前記板バネ15が前記孔10内で弾性変形することにより、前記後端部14を支点として前記ガイド溝13に沿って上下方向に移動可能となっている。また、前記カム部20の前端部21は、前記ストッパー部19より前方に突出し、その前端面22は前方下側に面するように傾斜している。さらに、前記ストッパー付カム17は、前記カム部20の外側面間の距離(図17中のW1)が前記8極モジュラープラグ2の幅寸法にほぼ等しく、且つ、前記カム部20の内側面間の距離(図17中のW2)が、図20に示すような6極モジュラープラグ2'の幅寸法より僅かに大きくなるように形成されている。
【0007】
また、前記モジュラープラグ2,2'の各先端部23,23'には、それぞれ図19又は20に示されているように、8個(図19)又は6個(図20)の端子24,24'と、該端子24,24'の上方で基端側斜め上方に延出するロック部25,25'とが設けられ、該ロック部25,25'の左右両側には、それぞれ垂直端面26,26'が形成されている。
【0008】
このような構成において、前記8極モジュラージャック1に前記8極モジュラープラグ2を挿入すると、該モジュラープラグ2の先端部23の角部27は前記カム部20の前端面22に当接する。該前端面22は前方下側に面するように傾斜しているので、前記角部27は前記前端面22に沿って摺動し、前記カム部20には上方に押圧力が作用する。これにより、前記板バネ15が弾性変形すると共に前記ストッパー付カム17が前記ガイド溝13に沿って押し上げられ、前記8極モジュラープラグ2は前記8極モジュラージャック1に挿着可能となる。
【0009】
一方、前記8極モジュラージャック1に前記6極モジュラープラグ2’を挿入すると、該モジュラープラグ2’の垂直端面26’が前記ストッパー部19の前端面28に当接し、前記モジュラープラグ2’のさらなる進入が阻止されるので、前記6極モジュラープラグ2’が前記8極モジュラージャック1に挿着されることはない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した従来のモジュラージャックでは、前記ストッパー付カム17の板バネ15が前記凹部6の最も高い中央部分7のさらに上方に設けられており、また、前記ストッパー部19が前記板バネ15の下面側に設けられた前記腕部18のさらに下方に延出して形成されているため、高さ方向の寸法が嵩み、小型化が図り難いといった問題があった。
【0011】
また、前記板バネ15とストッパー付カム17とが別個に設けられているため、部品点数及び製造コストの低減化を図るのが困難であった。
【0012】
さらに、前記誤挿着防止機構5は前記孔10に遊嵌し、前記板バネ15が自由に撓曲可能となっているため、該板バネ15に外力が作用した場合には、該板バネ15が弾性限界を超えて過度に撓み、破損等するおそれがあるといった問題もあった。
【0013】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、小型化、製造コストの低減化、破損等の防止を図ることのできるモジュラージャックを提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、所定の極数以外の極数のモジュラープラグの挿着を防止する誤挿着防止機構を備えたモジュラージャックであって、前記誤挿着防止機構は、弾性部と、該弾性部の前端部に形成された当接部と、前記弾性部の後端部に形成された固定部とを備え、前記弾性部と前記当接部と前記固定部は金属板を折曲げ加工して一体成形されており、前記当接部は、傾斜面を有するカム部と、該カム部より内側且つ後端側に形成されたストッパー部とから成り、前記所定の極数のモジュラープラグを挿入すると、該モジュラープラグの先端部が前記カム部の傾斜面に当接し、前記当接部が外側に移動することにより、前記モジュラープラグの挿着を許容し、前記所定の極数より少ない極数のモジュラープラグを挿入すると、該モジュラープラグの先端部が前記ストッパー部に当接し、前記モジュラープラグの挿着を防止するように構成されており、前記モジュラージャックのハウジングの外面の両側部分にはそれぞれ前記モジュラープラグの挿入方向に溝が形成されており、前記弾性部は、前記溝の底面に沿って且つ該溝の底面から離れる方向に弾性変形可能な状態で設けられており、前記固定部は、前記ハウジングに圧入固定されており、前記当接部は、前記溝の前端部に設けられ且つ前記モジュラープラグを挿入する部分に連通した、孔に遊嵌されており、前記当接部の前記ストッパー部は、前記孔の後端面に沿って且つ該後端面から離れる方向に弾性変形可能な状態で設けられていることを特徴とする。
【0016】
また、前記弾性部は、前記モジュラジャックのハウジングの外面に沿って設けられている。
【0018】
さらにまた、前記モジュラジャックのハウジングに前記当接部が遊嵌可能な孔を設け、前記当接部は前記孔の後端面に沿って移動可能となっている。
【0019】
また、前記モジュラジャックのハウジングの外面にシールド板を設け、前記誤挿着防止機構は、前記シールド板から延出されている。
【0020】
このような構成において、前記モジュラージャックに所定の極数のモジュラープラグを挿入すると、該モジュラープラグの先端部は、前記カム部の傾斜面に当接し、前記当接部が押し上げられ、前記モジュラープラグは前記モジュラージャックに挿着可能となる。
【0021】
一方、前記モジュラージャックに所定の極数より少ない極数のモジュラープラグを挿入すると、該モジュラープラグが前記ストッパー部に当接し、前記モジュラープラグのさらなる進入が阻止されるので、前記所定の極数より少ない極数のモジュラープラグが前記モジュラージャックに挿着されることはない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図1〜図6は、本発明の実施の形態に係るモジュラージャックの一例として8極モジュラージャック31を示しており、該モジュラージャック31は、絶縁体製で箱状に成形されたハウジング32と、該ハウジング32内に設けられた8個の端子33と、前記ハウジング32の上部に設けられた誤挿着防止機構34とから概略構成され、前記端子33にはケーブル59が接続されている。
【0024】
前記ハウジング32には前面側から凹部35が形成され、該凹部35の高さは中央部分36が両側部分37より高くなっている。また、前記ハウジング32の天板58の両側部分にはそれぞれ前後方向に溝38が形成され、該溝38の前端部には前記凹部35の両側部分37に連通するように孔39が穿設されている。
【0025】
前記誤挿着防止機構34は、金属板を折曲加工して形成され、前記溝38の後端部に垂直に圧入される固定部40と、前記溝38の底面41に沿って設けられる弾性部42と、該弾性部42の前端部に形成され、前記孔39に遊嵌可能な当接部43とから構成されている。該当接部43は、内側のストッパー部44と、外側のカム部45とに分割され、前記ストッパー部44は前記孔39の後端面46に沿って下方に折曲されている。また、前記カム部45は前記後端面46に沿って下方に折曲された後、さらに上方に折曲され、前方下側に面するように傾斜面47が形成され、該傾斜面47は前記ストッパー部44より前方に突出している。さらに、前記当接部43は、前記カム部45の外側間の距離(図1中のW1)が、図19に示されている8極モジュラープラグ2の幅寸法にほぼ等しく、且つ、前記カム部45の内側間の距離(図1中のW2)が、図20に示されている6極モジュラープラグ2'の幅寸法より僅かに大きくなるように形成されている。
【0026】
次に、図7及び8により、前記8極モジュラージャック31の作用を説明する。
【0027】
図7(a)に示すように、前記8極モジュラージャック31に8極モジュラープラグ2を挿入すると、該モジュラープラグ2の先端部23の角部27は、図7(b)に示すように、前記カム部45の傾斜面47に当接する。該傾斜面47は前方下側に面するように傾斜しているので、前記角部27は前記傾斜面47に沿って摺動し、前記カム部45には上方に押圧力が作用する。これにより、図7(c)に示すように、前記弾性部42が弾性変形すると共に前記当接部43が前記孔39の後端面46に沿って押し上げられ、前記8極モジュラープラグ2は前記8極モジュラージャック31に挿着され、前記モジュラープラグ2側の各端子(図示せず)は前記モジュラージャック31側の各端子33と電気的に接触する。
【0028】
一方、図8(a)に示すように、前記8極モジュラージャック31に前記6極モジュラープラグ2’を挿入すると、図8(b)に示すように、該モジュラープラグ2’の垂直端面26’が前記ストッパー部44に当接する。これにより、前記モジュラープラグ2’のさらなる進入が阻止されるので、前記6極モジュラープラグ2’が前記8極モジュラージャック31に挿着されることはなく、前記モジュラープラグ2側の各端子(図示せず)は前記モジュラージャック31側の各端子33と電気的に接触しない。
【0029】
なお、誤挿着防止機構34は上記した形状及び材質に限定されるものではなく、例えば、図9に示すように、水平金属板48の前端面49をストッパー部50として利用すると共に鉛直金属板51の前端に傾斜面52を形成させてカム部53としてもよく、また、図10に示すように、前端部を下方に折曲し、傾斜面54を形成させてカム部55を形成させてもよい。さらに、誤挿着防止機構は、図11に示すように、前記ハウジング32を切欠し、該ハウジング32と一体に形成させてもよく、さらにまた、図12に示すように、弾性部56と当接部57とを別個に設け、弾性部56を金属板製とし、当接部57を樹脂製としてもよい。また、前記傾斜面47,52,54は必ずしも平面である必要はなく、例えば、湾曲状を成していてもよい。
【0030】
また、図13に示すように、前記ハウジング32の外面にシールド板60を設け、前記誤挿着防止機構34を前記シールド板60から延出させ、該シールド板60と一体的に形成してもよく、或いは、前記誤挿着防止機構34を前記シールド板60とは別体に設け、該シールド板60に固定してもよい。
【0031】
さらに、前記ストッパー部44の内側間の距離(図1中のW3)を、4極モジュラープラグ(図示せず)の幅寸法より大きくすれば、前記8極モジュラージャック31への4極モジュラープラグの挿着を防止することもできる。
【0032】
さらに、本発明は、8極モジュラージャック31での使用に限定されるものではなく、6極等他の極数用のモジュラージャックについても実施可能であることは言う迄もない。
【0033】
さらにまた、誤挿着防止機構の当接部は、前記8極モジュラープラグ2が前記8極モジュラージャック31に挿入された時に、上方ではなく、側方外側へ移動するように構成してもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上述べた如く本発明によれば、当接部が弾性部の前端部に形成されているため、高さ方向の寸法を短縮化でき、小型化を図ることができる。また、別の効果として、弾性部がハウジングの天板の両側部分に沿って設けられている場合には、凹部の両側部分の上方部分を利用して当接部を設けることができるため、高さ方向の寸法をさらに短縮させることができる。
【0035】
さらに、別の効果として、弾性部と当接部が一体成形されている場合には、部品点数及び製造コストの低減化が可能となる。また、別の効果として、弾性部がハウジングの外面に沿って設けられている場合には、外側から弾性部に力が作用したとしても、その下方への撓みを規制することができるので、弾性部が弾性限界を超えて過度に撓み、破損等することがなく、誤挿着防止機構の耐久性を向上させることが可能となる。さらにまた、別の効果として、前記モジュラジャックのハウジングに前記当接部が遊嵌可能な孔を設け、前記当接部が前記孔の後端面に沿って移動可能となっている場合には、前記誤挿着防止機構の動作の円滑化が図れ、また、モジュラープラグを抉ったり、強く押し込んでも、前記誤挿着防止機構34を円滑に動作させることができる等種々の優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示す正面図である。
【図2】 本発明の実施の形態を示す平面図である。
【図3】 図1のA−A断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態における誤挿着防止機構を示す側面図である。
【図5】 本発明の実施の形態における誤挿着防止機構を示す平面図である。
【図6】 本発明の実施の形態における誤挿着防止機構を示す正面図である。
【図7】 (a)は、8極モジュラープラグを8極モジュラージャックに挿入しようとしている状態を示し、(b)は、8極モジュラープラグの先端部が誤挿着防止機構の当接部に当接している状態を示し、(c)は、8極モジュラープラグを8極モジュラージャックに挿着した状態を示している。
【図8】 (a)は、6極モジュラープラグを8極モジュラージャックに挿入しようとしている状態を示し、(b)は、6極モジュラープラグの先端部が誤挿着防止機構のストッパー部44に当接している状態を示している。
【図9】 本発明の実施の形態における誤挿着防止機構の別の例を示す斜視図である。
【図10】 本発明の実施の形態における誤挿着防止機構の別の例を示す斜視図である。
【図11】 本発明の実施の形態における誤挿着防止機構の別の例を示す斜視図である。
【図12】 本発明の実施の形態における誤挿着防止機構の別の例を示す斜視図である。
【図13】 本発明の実施の形態における誤挿着防止機構のさらに別の例を示す断面図である。
【図14】 従来例を示す斜視図である。
【図15】 従来例を示す断面図である。
【図16】 従来例における誤挿着防止機構を示す斜視図である。
【図17】 従来例における誤挿着防止機構を示す正面図である。
【図18】 従来例における誤挿着防止機構を示す側面図である。
【図19】 8極モジュラープラグを示す斜視図である。
【図20】 6極モジュラープラグを示す斜視図である。
【符号の説明】
2 8極モジュラープラグ
2' 6極モジュラープラグ
31 モジュラージャック
32 ハウジング
33 端子
34 誤挿着防止機構
42 弾性部
43 当接部
44 ストッパー部
45 カム部
46 後端面

Claims (4)

  1. 所定の極数以外の極数のモジュラープラグの挿着を防止する誤挿着防止機構を備えたモジュラージャックであって、
    前記誤挿着防止機構は、弾性部と、該弾性部の前端部に形成された当接部と、前記弾性部の後端部に形成された固定部とを備え、前記弾性部と前記当接部と前記固定部は金属板を折曲げ加工して一体成形されており、前記当接部は、傾斜面を有するカム部と、該カム部より内側且つ後端側に形成されたストッパー部とから成り、
    前記所定の極数のモジュラープラグを挿入すると、該モジュラープラグの先端部が前記カム部の傾斜面に当接し、前記当接部が外側に移動することにより、前記モジュラープラグの挿着を許容し、
    前記所定の極数より少ない極数のモジュラープラグを挿入すると、該モジュラープラグの先端部が前記ストッパー部に当接し、前記モジュラープラグの挿着を防止するように構成されており、
    前記モジュラージャックのハウジングの外面の両側部分にはそれぞれ前記モジュラープラグの挿入方向に溝が形成されており、
    前記弾性部は、前記溝の底面に沿って且つ該溝の底面から離れる方向に弾性変形可能な状態で設けられており、
    前記固定部は、前記ハウジングに圧入固定されており、
    前記当接部は、前記溝の前端部に設けられ且つ前記モジュラープラグを挿入する部分に連通した、孔に遊嵌されており、
    前記当接部の前記ストッパー部は、前記孔の後端面に沿って且つ該後端面から離れる方向に弾性変形可能な状態で設けられていることを特徴とするモジュラージャック。
  2. 前記弾性部は、前記モジュラージャックのハウジングの外面に沿って設けられている請求項1に記載のモジュラージャック。
  3. 前記モジュラージャックのハウジングに前記当接部が遊嵌可能な孔を設け、前記当接部は前記孔の後端面に沿って移動可能となっている請求項1又は2に記載のモジュラージャック。
  4. 前記モジュラージャックのハウジングの外面にシールド板を設け、前記誤挿着防止機構は、前記シールド板から延出されている請求項1から3のいずれか1の請求項に記載のモジュラージャック。
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