JP3753689B2 - 接木苗製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナス、トマト等の接木用の接木苗製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の接木苗の製造に際しては、台木苗の先端を手作業で切断していた(特許文献1参照。)。しかしながら、これは手作業であるため能率が悪く、しかも又作業者の個人差により切断面にもバラツキが生じ、接ぎ木の活着率にも影響するという品質上の問題があった。
【0003】
本発明者は、長年、野菜生産用の接木苗の生産の自動化について鋭意研究開発を行ってきたが、すでに先行する発明として、複数の台木苗から一括して接木苗を製造する接木苗の製造装置を実現した(特許文献2参照。)。
【0004】
この先行発明は、育苗した複数の台木苗をマトリクス状に収容して成る台木苗トレイ、あるいはトレイ内でマトリクス状に育苗して成る台木苗トレイを、そのままの状態で装置内に載置して一度で複数の台木苗を一括して切断し、大量に、しかも品質の揃った接木苗を製造する接木苗製造装置及びその製造方法を実現しようとするものである。
【0005】
【特許文献1】
特公昭53−46735号公報(図4〜7)
【特許文献2】
特開2002−75号公報(段落0026〜0033、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記先行発明に係る接木苗の製造装置は、右側及び後ろ側から、夫々複数の片持ちシャフトを備えた摺動台を、シャフトが互いに交叉するように移動して、交叉するシャフトで接木苗を挟持し刃物で切断するものであるが、加工すべき台木苗の数を増やすために大きな台木苗トレーを適用すると、台木苗を挟持するシャフトを長くしなくてはならないので、その先端部ではシャフトによる台木苗を十分挟持できない等の問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記のような先行する接木苗製造装置の問題を解決することを目的とするものであり、育苗した台木苗トレー内にマトリクス状に収容して成る複数の台木苗を、整然かつしっかりと挟持し、確実に切断可能とすることを課題とするものである。
【0008】
そのために、台木苗トレイに対して、左右両方側から延びる複数のシャフトを台木苗の茎の上下に出没自在に移動可能とさせ、さらにこの複数のシャフトに直交するように前方側から複数のシャフトを出没自在に移動可能とし、これらのシャフトを上方にずらしながら台木苗を整列させて、トレイの左右両方側から延びるシャフトで台木苗の茎の上下を挟持することで、整然かつしっかりと台木苗を挟持し、さらに切断の際にローラでシャフトをよりしっかりと挟持し、確実に切断可能とする接木苗製造装置を実現するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、左右方向に延びるように配置された架台と、該架台の左右方向の中央部の前側に配置された補助架台と、上記架台の中央部に配置された昇降台と、複数の台木苗をマトリクス状に収容する台木苗トレーを載置し上記昇降台上に上記補助架台の反対側から前方に移動してセット可能な載置台を有する台木苗載置装置と、上記架台の中央部より左側にあって上記中央部に向けて水平に延びる複数の上部シャフトを有する左右方向に移動可能な左側シャフト装置と、上記架台の中央部より右側にあって上記中央部に向けて水平に延びる複数の下部シャフトを有する左右方向に移動可能な右側シャフト装置と、上記補助架台上にあって上記架台の中央部の方向に水平に延びる複数の直交シャフトを有する前後方向に移動可能な前側シャフト装置と、上記架台の中央部より右側にあって上記中央部に向けて移動しながら上記複数の台木苗を斜めに切断する複数の刃物を備え左右方向に移動可能な切断装置と、上記昇降台、左側シャフト装置、右側シャフト装置、前側シャフト装置及び切断装置を夫々駆動する複数のアクチュエータと、を備えており、上記切断装置は、上記架台上を左右移動可能な刃物可動枠と、該刃物可動枠に固定された刃物取付板と、ローラ取付板とを有し、上記刃物取付板は、その前後方向に上記複数の刃物を隔設して設けており、上記ローラ取付板は、その前後方向に上記下部シャフトに当接して上記台木苗を挟持する二つのローラから成る組が複数隔設されており、上記複数の台木苗を切断し複数の接木苗を製造することを特徴とする接木苗製造装置を提供する。
【0010】
上記複数の上部シャフトは、互いに隣接する2本のシャフトから成る組を複数備え、各組の2本のシャフトは、上記台木苗トレーに収容された各列の台木苗の上部を挟むことが可能であり、上記複数の下部シャフトは、互いに隣接する2本のシャフトから成る組を複数備え、各組の2本のシャフトは、上記台木苗トレーに収容された各列の台木苗の下部を挟むことが可能であり、上記複数の直交シャフトは、互いに隣接する2本のシャフトから成る組を複数備え、各組の2本のシャフトは、上記台木苗トレーに収容された各行の台木苗の上記上部シャフトと下部シャフトの間を挟むことが可能であることを特徴とする。
【0011】
上記左側シャフト装置は、上記架台上で左右方向に摺動する左側摺動台と、該左側摺動台上を前後方向であって互いに逆方向に摺動可能な二枚の上部シャフト固定板保持盤と、該二枚の上部シャフト固定板保持盤の夫々に前後方向に隔設され、上記上部シャフトの基端を夫々固定する複数のシャフト固定板とを備えており、上記右側シャフト装置は、上記架台上で左右方向に摺動する右側摺動台と、該右側摺動台上を前後方向であって互いに逆方向に摺動可能な二枚の下部シャフト固定板保持盤と、該二枚の下部シャフト固定板保持盤の夫々には前後方向に隔設され、上記下部シャフトの基端を夫々固定する複数の下部シャフト固定板とを備えており、上記前側シャフト装置は、上記補助架台上で前後方向に摺動する前側摺動台と、該前側摺動台上を左右方向であって互いに逆方向に摺動可能な二枚の直交シャフト固定板保持盤と、該二枚の直交シャフト固定板保持盤の夫々には左右方向に隔設され、上記直交シャフトの基端を夫々固定する複数の直交シャフト固定板とを備えていることを特徴とする。
【0012】
上記二枚の上部シャフト固定板保持盤は、上記左側摺動台に対して昇降可能な左側昇降盤上に設けられており、上記二枚の直交シャフト固定板保持盤は、上記前側摺動台に対して昇降可能な前側昇降盤上に設けられていることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る接木苗製造装置の実施の形態を実施例に基づいて図面を参照して以下説明する。図1〜23は、本発明に係る接木苗製造装置及び製造方法の実施例を示す図である。
【0015】
なお、説明の都合上、本明細書では、「左右」及び「前後」という語句を使用するが、図1では「左右」は図中の「左下と右上」を示し、「前後」は図中の左上と右下を示し、図2〜9では「左右」は図中の「下と上」を示し、「前後」は図中の「左と右」を示すものとする。要するに、図1において、作業者が後述する載置台移動用のハンドル41側から架台6を見て「左右」が決められ、前方を「前」とし手前側を「後」とする。
【0016】
(全体構成)
接木苗製造装置1は、互いに固定されて成る架台6及び補助架台9を備えている。架台6は、補助架台9に対して主架台となるものであり、支持枠6’で支持されており、上方から見た平面で矩形状であり、左右方向に縦長に配設されている。補助架台9は、主架台6に対して補助となるものであり、支持枠9’で支持され、上方から見て矩形状であり、前後方向に縦長に配設されている。
【0017】
架台6には、大きく分けて、台木苗載置装置A、左側シャフト装置B、右側シャフト装置C及び刃物装置Dが設けられており、そして補助架台9には前側シャフト装置Eが設けられている。さらに、この接木苗製造装置1を駆動するアクチュエータとして機能するエアシリンダを有するエアシリンダ装置F(アクチュエータ装置)が設けられている。
【0018】
(台木苗載置装置)
架台6の左右方向の中央部に、左右の軌道杆15が左右方向に所定の間隔をおいて前後方向に平行に延びるように設けられている。この軌道杆15に案内されて、例えばリニアベアリング(図示しない。)を介して、載置台4が前後方向に移動可能に設けられている。載置台4には、複数の台木苗8がマトリクス状に収納され、或いは育苗した複数の台木苗8をマトリクス状に収容して成る台木苗トレイ7を載置するものであり、その手前側に、手動操するための載置台移動用ハンドル41が取り付けられている。
【0019】
架台6の矩形枠と左右の軌道杆15で囲まれる内側の部分(「載置部G」という。)に、昇降可能な昇降台5が配設されており、この昇降台5上に、軌道杆15により載置部Gに案内されてくる載置台4を載置することが可能である。この昇降台5は、その四隅において昇降駆動用のエアシリンダ64aにより昇降可能に構成されている。
【0020】
(左側シャフト装置)
図1〜9において、架台6上の中央部より左側に左側摺動台10aが、架台6上を図示しないリニアベアリング等により左右方向に往復動可能に設けられている。左側摺動台10aの外端面に取付片17が固着されている。架台6の中央部に、左側摺動台10aを駆動するエアシリンダ64bが取り付けられている。このエアシリンダ64bのピストンロッド64b’は取付片17に固定されている。従って、エアシリンダ64bによりピストンロッド64b’を伸縮することで、左側摺動台10aが、架台6上を左右方向に往復動可能である。
【0021】
左側摺動台10a上に昇降用のエアシリンダ64dが設けられ、このエアシリンダ64dにより昇降可能な左側昇降盤1aが設けられている。この左側昇降盤1aには、その後側及び前側に夫々エアシリンダ64m及びエアシリンダ64l(lはエルである。)が取り付けられている。後側のエアシリンダ64mは、そのピストンロッドが後側シャフト固定板保持盤14aに取り付けられ、前側のエアシリンダ64lは、そのピストンロッドが前側シャフト固定板保持盤14bに取り付けられている。
【0022】
後側シャフト固定板保持盤14aの上面には、複数の後側シャフト固定板12aが前後方向に隔設されており、前側シャフト固定板保持盤14bの上面には、複数の前側シャフト固定板12bが前後方向に隔設されている。
【0023】
各後側シャフト固定板12aには上部後側シャフト11aの基端が取り付けられている。各前側シャフト固定板12bには上部前側シャフト11bの基端が取り付けられている。複数の上部後側シャフト11aと複数の上部前側シャフト11bは、架台6の中央部に向けて右方に水平に延びている。複数の上部後側シャフト11aと複数の上部前側シャフト11bは、夫々1本づつの2本が前後一対の組となり、複数組設けられている。
【0024】
これらの構成により、後側のエアシリンダ64m及び前側のエアシリンダ64lが、伸縮動作すると、後側シャフト固定板保持盤14aと前側のエアシリンダ64lは、互いに前後逆方向に移動するように構成されている。この結果、前後一対づつ組み合わされた上部後側シャフト11aと上部前側シャフト11bは、互いに近づく方向(台木苗8を挟持する方向)及び離れる方向(挟持を開放する方向)に移動することができる。
【0025】
(右側シャフト装置)
図1〜9において、架台6上の中央部より右側に右側摺動台10bが、架台6上を図示しないリニアベアリング等により左右方向に往復動可能に設けられている。右側摺動台10bの外端面に取付片25が固着されている。架台6の中央部に右側摺動台10bを駆動するエアシリンダ64cが取り付けられている。このエアシリンダ64cのピストンロッド64c’は取付片18に固定されている。従って、エアシリンダ64cによりピストンロッド64c’を伸縮することにより、右側摺動台10bが、架台6上を左右方向に往復動する。
【0026】
右側摺動台10b上に支持盤1bが取り付けられている。この支持盤1bには後側及び前側に夫々エアシリンダ64j及びエアシリンダ64iが取り付けられている。後側のエアシリンダ64jは、そのピストンロッドが後側シャフト固定板保持盤14cに取り付けられ、前側のエアシリンダ64iは、そのピストンロッドが前側シャフト固定板保持盤14dに取り付けられている。
【0027】
後側シャフト固定板保持盤14cの上面には、複数の後側シャフト固定板12cが前後方向に隔設されており、前側シャフト固定板保持盤14dの上面には、複数の前側シャフト固定板12dが前後方向に隔設されている。
【0028】
各後側シャフト固定板12cには下部後側シャフト11cの基端が取り付けられている。各前側シャフト固定板12dには下部前側シャフト11dの基端が取り付けられている。複数の下部後側シャフト11cと複数の下部前側シャフト11dは、架台6の中央部に向けて左方に水平に延びている。複数の下部後側シャフト11cと複数の下部前側シャフト11dは、夫々一本づつ2本が前後一対づつ組となり、複数組設けられている。
【0029】
これらの構成により、後側のエアシリンダ64j及び前側のエアシリンダ64iが、伸縮動作すると、後側シャフト固定板保持盤14cと前側シャフト固定板保持盤14dは、互いに前後逆方向に移動するように構成されている。この結果、前後一対づつ組み合わされた下部後側シャフト11cと下部前側シャフト11dは、互いに近づく方向(台木苗8を挟持する方向)及び離れる方向(挟持を開放する方向)に移動することができる。
【0030】
(前側シャフト装置)
図1〜9において、補助架台9には、前後方向に移動可能な前側摺動台10cが設けられている。前側摺動台10cの右端部には、摺動装架部材19が設けられている。補助架台9の右側面に案内軌道部20が付設され、この案内軌道部20に摺動装架部材19が摺動可能に装架されている。
【0031】
補助架台9又は摺動装架部材19にエアシリンダ64eが付設されており、このエアシリンダ64eのピストンロッドの先端は摺動装架部材19に固定されている。従って、エアシリンダ64eによりピストンロッドを伸縮することにより、前側摺動台10cが、補助架台9上を前後方向に往復動する。
【0032】
前側摺動台10c上に昇降用のエアシリンダ64fが設けられており、このエアシリンダ64fにより昇降可能な前側昇降盤1cが設けられている。この前側昇降盤1cには、後ろと前にずれて、左側のエアシリンダ64gと右側のエアシリンダ64hが取り付けられている。左側のエアシリンダ64gは、そのピストンロッドが左側直交シャフト固定板保持盤14eに取り付けられ、右側のエアシリンダ64hは、そのピストンロッドが右側シャフト固定板保持盤14fに取り付けられている。
【0033】
左側直交シャフト固定板保持盤14eの上面には、複数の左側直交シャフト固定板12eが左右方向に隔設されており、右側シャフト固定板保持盤14fの上面には、複数の右側シャフト固定板12fが左右方向に隔設されている。
【0034】
各左側直交シャフト固定板12eには左側直交シャフト11eの基端が取り付けられている。各右側シャフト固定板12fには右側直交シャフト11fの基端が取り付けられている。複数の左側直交シャフト11eと複数の右側直交シャフト11fは、夫々一本づつ、要するに左右一対づつ組み合わされ、後方に(載置部G側に)水平に延びている。
【0035】
これらの構成により、左側のエアシリンダ64g及び右側のエアシリンダ64hが、伸縮動作すると、左側直交シャフト固定板保持盤14eと右側シャフト固定板保持盤14fは、互いに左右逆方向に移動するように構成されている。この結果、左右一対づつ組み合わされた左側直交シャフト11eと右側直交シャフト11fは、互いに近づく方向(台木苗8を挟持する方向)及び離れる方向(挟持を開放する方向)に移動することができる。
【0036】
(切断装置)
図1〜9において、架台6の右側に左右方向に移動可能な刃物可動枠22が設けられている。刃物可動枠22を構成する前後枠の左端の上面間に前後方向に伸びるローラ取付板2が架設されている。さらに前後枠の左端の下面間に前後方向に伸びる刃物取付板3が架設されている。架台6にエアシリンダ64kが固定されている。エアシリンダ64kのピストンロッドは、刃物可動枠22に取り付けられている。
【0037】
ローラ取付板2には、図19に示すように、二つのローラ21、21の組が、前後方向に複数隔設されている。刃物取付板3には、図19に示すように、複数の刃物31が台木苗トレイ7にマトリクス状(行と列)で配列された台木苗8の各行の夫々に対応して前後方向に隔設されている。刃物31は、台木苗8の茎をその軸心に対して斜めに切断できるように取り付けられている。
【0038】
互いに隣接するローラ21、21の2組は、前後一対の下部後側シャフト11cと下部前側シャフト11dの側面に転動可能に当接している。このような構成なので、エアシリンダ64kが伸縮すると、互いに隣接するローラ21、21の2組が、下部後側シャフト11cと下部前側シャフト11dの側面に転動し、刃物可動枠22が左右に往復動し、刃物取付板3も左右方向に往復動する。
【0039】
(エアシリンダ)
図10は、エアシリンダ64a〜64mの配管及び制御を説明する図である。エアシリンダ64a〜64mは、夫々電磁弁62を介してエアポンプ61に接続されている。エアポンプ61及びエアシリンダ64a〜64mは、夫々コントローラ(制御装置)63により制御されるように構成されている。
【0040】
コントローラ63のスイッチは、載置台4を載置部Gに押し込むと載置台4の前端が押圧して動作するリミットスイッチとして設けられている。このリミットスイッチは、図示はしないが、架台1の前縁近くに設けられている。
【0041】
(作用)
以上の構成の本発明に係る接木苗製造装置1の作用及び接木苗の製造方法について、台木苗8を切断する工程を説明するフロートチャートを記載した図23において順を追って説明する。
【0042】
(イ)図1、2に示すように、載置台4は、作業者が載置台移動用ハンドル41を操作して手前側(後方)に引いた位置にしておき、左側摺動台10a及び右側摺動台10bは、左側端及び右側端の退避した位置にしておく。
【0043】
この状態で、複数本の台木苗8をマトリクス状に収容した台木苗トレー7、あるいはトレイ内で台木苗をマトリクス状に育苗して成る台木苗トレイ7を、載置台4上に載せてセットする(図1及び図2参照。)。
【0044】
(ロ)作業者が載置台移動用ハンドル41を前方に手動で押して、載置台4を軌道杆15上で案内して載置部G(架台6の中央部であって、昇降台5の上)に移動する(図1、3参照。)。
【0045】
(ハ)載置台4を載置部Gに移動すると、架台6上に配設された図示しないリミットスイッチ(コントローラ63のスイッチ)を、載置台4の前端部分で押してコントローラ63を動作状態にする。
【0046】
(ニ)エアシリンダ64aが動作して昇降台5を上昇させて載置台4を所定の高さまで押し上げる。これにより、台木苗トレー7内の台木苗8を載置部Gにおいて上昇させる(図11参照。)。
【0047】
(ホ)エアシリンダ64bにより左側摺動台10aを載置部Gに向けて右方に移動させ、上部後側シャフト11a及び上部前側シャフト11bの各組で、各列の台木苗8の茎の上部の両側の位置(台木苗8を挟むためのスタンバイ位置)に移動する。同様に、エアシリンダ64cにより右側摺動台10bを載置部Gに向けて右方に移動させ、下部後側シャフト11c及び下部前側シャフト11dの各組で、各列の台木苗8の茎の下部の両側の位置(台木苗8を挟むためのスタンバイ位置)に移動する(図4、12参照。)。
【0048】
(へ)エアシリンダ64dが動作して左側昇降盤1aを上昇させ、上部後側シャフト11a及び上部前側シャフト11bを、台木苗8の茎の上部に対応する位置まで上昇させる(図13参照。)。これにより前後方向に倒れているような台木苗8を整列させる。
【0049】
(ト)エアシリンダ64eにより前側摺動台10cを載置部G(架台6の中央部)に向けて後方に移動させ、左側直交シャフト11e及び右側直交シャフト11fの各組で、上部後側シャフト11a及び上部前側シャフト11bと下部後側シャフト11c及び下部前側シャフト11dとの間の高さにおいて、各列の台木苗8を挟むためのスタンバイ位置に移動する(図5、14参照)。
【0050】
(チ)エアシリンダ64fが動作して前側昇降盤1cを上昇させ、シャフト左側直交シャフト11e及び右側直交シャフト11fを、上部後側シャフト11a及び上部前側シャフト11bに接するようにする(図15参照。)。この動作により、左右方向に倒れているような台木苗8をさらに整列させる。
【0051】
(リ)エアシリンダ64g及びエアシリンダ64jにより左側直交シャフト固定板保持盤14eと右側シャフト固定板保持盤14fを互いに反対方向に移動させ、左側直交シャフト11eと右側直交シャフト11fで台木苗8の茎を左右方向に軽く挟む(図6、16参照。)。
【0052】
(ヌ)エアシリンダ64j及びエアシリンダ64iにより、後側シャフト固定保持盤14c及び前側シャフト固定板保持盤14dを夫々互いに近づく方向に移動させ、後側シャフト11cと前側シャフトシャフト11dで台木苗8の茎の下部を軽く挟む(図7、17参照。)。
【0053】
さらに、エアシリンダ64m及びエアシリンダ64lにより、後側シャフト固定保持盤14a及び前側シャフト固定板保持盤14bを夫々反対方向に移動させ、後側シャフト11aと前側シャフトシャフト11bで台木苗8の茎の上部を軽く挟む(図7、17参照。)。
【0054】
(ル)エアシリンダ64eにより、前側摺動台10cを元の退避位置(補助架台9の前端の位置)まで戻し、エアシリンダ64fにより前側昇降盤1cを元の位置まで下げる(図8、18参照。)。
【0055】
(ヲ)エアシリンダ64kにより、刃物可動枠22に付設されたローラ取付板2及び刃物取付板3が載置部Gに向かって左方に移動する(図9参照。)。
【0056】
(ワ)この移動の際に、互いに隣接するローラ21、21から成る組の複数は、夫々対応する前後一対の下部後側シャフト11cと下部前側シャフト11dの側面に当接して転動し、両シャフト11c、11dにより互いに台木苗8を挟持しながら、刃物31は、挟持された台木苗8の茎を切断しながら左方に進む(図9、19参照。)。台木苗8は、図22に示すように、その茎において斜めに切断され、一括して接木苗が製造される。
【0057】
(カ)複数の台木苗8を切断終了後、エアシリンダ64j及びエアシリンダ64iにより、後側シャフト固定保持盤14c及び前側シャフト固定板保持盤14dを、互いに離れる方向に移動させ、台木苗8の茎の下部を軽く挟んでいた状態を開放する(図20参照。)。
【0058】
(ヨ)エアシリンダ64aにより昇降台5を降下させて、載置台4を元の高さ(軌道杆15以下の高さ)まで下げる(図21)。これにより、刃物31で切断された個所から、台木苗8の茎を下部と葉を有する上部とに分離する(図21参照。)。
【0059】
(タ)エアシリンダ64kにより、ローラ取付板2及び刃物取付板3が載置部Gから右方に移動し後退し、元の位置に戻る。
【0060】
(レ)エアシリンダ64b及びエアシリンダ64cにより、左側摺動台10a及び右側摺動台10bを後退させて、元に位置(架台6の左端及び右端の退避位置)に戻す。
【0061】
(ソ)エアシリンダ64dにより、左側昇降盤1aを降下させて元の高さに戻す。
【0062】
(ツ)載置台移動用ハンドル41で載置台4を、図1、2に示す元の位置に引き戻し、全ての工程を完了する。
【0063】
以上、本発明に係る接木苗製造装置の実施の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲記載の技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【0064】
【発明の効果】
本発明は以上のような構成であるから、次のような効果が生じる。
(1)育苗した複数の台木苗をマトリクス状に収容して成る台木苗トレイ、あるいはトレイ内でマトリクス状に育苗して成る台木苗トレイを、そのままの状態で装置内に載置して一度で複数の台木苗を一括して切断し、大量に、作業者の個人差に依らない、品質の揃った接木苗を製造することができる。
【0065】
(2)特に、台木苗を切断する際に、左右から延びるシャフトに挟持され、しかも刃物の進行と同時にローラをシャフトに当接しながら転動させることで、シャフトによる挟持をさらに確実にすることで、確実な切断を可能とすることができる。
【0066】
(3)トレイの左右両方側から延びるシャフトを台木苗の茎の両側に位置させ、さらにこのシャフトに直交するように前方側から台木苗の左右両方側から挟持して上方にずらしながら台木苗を整列させて、トレイの左右両方側から延びるシャフトを台木苗の茎の上下を挟持することで、整然かつしっかりと台木苗を挟持し、確実に切断可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る接木苗製造装置の実施例の全体の斜視図である。
【図2】本発明に係る接木苗製造装置で処理される台木苗を収容した台木苗トレーを載置台上に載置した状態を示す平面図である。
【図3】本発明に係る接木苗製造装置に台木苗トレーをセットした状態の平面図である。
【図4】本発明に係る接木苗製造装置の左右側シャフト装置の左右側摺動台を架台の中央部に向けて摺動した状態を示す平面図である。
【図5】本発明に係る接木苗製造装置の前側シャフト装置の前側摺動台を架台の中央部に向けて摺動した状態を示す平面図である。
【図6】本発明に係る接木苗製造装置の前側シャフト装置の前側摺動台のシャフトにより台木苗を軽く挟持した状態を示す平面図である。
【図7】本発明に係る接木苗製造装置の左右側シャフト装置の上下部シャフトにより台木苗を軽く挟持した状態を示す平面図である。
【図8】本発明に係る接木苗製造装置の前側シャフト装置の前側摺動台を架台中央部から前方の元の位置に摺動し退避した状態を示す平面図である。
【図9】本発明に係る接木苗製造装置の刃物で台木苗の茎を切断する状態の平面図である。
【図10】本発明に係る接木苗製造装置のエアシリンダの全体構成及びその制御に係る構成を説明するブロック図である。
【図11】本発明に係る接木苗製造装置で切断される台木苗が昇降台で上昇されている状態を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る接木苗製造装置の左右側シャフト装置の左右側摺動台を架台の中央部に向けて摺動した際の左側シャフト装置の上部シャフト及び右側シャフト装置の下部シャフトの動作を示す斜視図である。
【図13】本発明に係る接木苗製造装置の左側シャフト装置の上部シャフトを上方に移動する動作を示す斜視図である。
【図14】本発明に係る接木苗製造装置の前側シャフト装置の前側摺動台を架台中央部に向けて摺動した際の前側シャフト装置の直交シャフトの動作を示す平面図である。
【図15】本発明に係る接木苗製造装置の前側シャフト装置の直交シャフトを上方に移動する動作を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る接木苗製造装置の前側シャフト装置の直交シャフトで台木苗を挟持する動作を示す斜視図である。
【図17】本発明に係る接木苗製造装置の左側シャフト装置の上部シャフトで台木苗を挟持する動作を示す斜視図である。
【図18】本発明に係る接木苗製造装置の前側シャフト装置の直交シャフトを元の位置に退避させた後の上下部シャフトで挟持する動作を示す斜視図である。
【図19】本発明に係る接木苗製造装置のローラで下部シャフトの側面を当接し転動して台木苗を挟持しながら刃物で台木苗の茎を切断する状態を示す斜視図である。
【図20】本発明に係る接木苗製造装置において、刃物で台木苗の茎を切断された後で、右側シャフト装置の下部シャフトによる台木苗の挟持を開放する動作を示す斜視図である。
【図21】本発明に係る接木苗製造装置で昇降台を降下することにより、切断された台木苗を下方に移動する状態を示す斜視図である。
【図22】本発明に係る接木苗製造装置で切断されて製造された接木苗を示す斜視図である。
【図23】本発明に係る接木苗製造装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
A 台木苗載置装置
B 左側シャフト装置
C 右側シャフト装置
D 刃物装置
E 前側シャフト装置
F エアシリンダ装置
G 載置部
1 接木苗製造装置
1a 左側昇降盤
1b 支持盤
1c 前側昇降盤
2 ローラ取付板
3 刃物取付板
4 載置台
5 昇降台
6 架台
6’ 架台支持枠
7 台木苗トレイ
8 台木苗
9 補助架台
9’ 補助架台支持枠
10a 左側摺動台
10b 右側摺動台
10c 前側摺動台
11a 上部後側シャフト
11b 上部前側シャフト
11c 下部後側シャフト
11d 下部前側シャフト
11e 左側直交シャフト
11f 右側直交シャフト
12a 後側シャフト固定板
12b 前側シャフト固定板
12c 後側シャフト固定板
12d 前側シャフト固定板
12e 左側直交シャフト固定板
12f 右側直交シャフト固定板
14a 後側シャフト固定板保持盤
14b 前側シャフト固定板保持盤
14c 後側シャフト固定板保持盤
14d 前側シャフト固定板保持盤
14e 左側直交シャフト固定板保持盤
14f 右側直交シャフト固定板保持盤
15 架台が有する軌道杆
16 補助架台が有する案内軌道杆
17 左側摺動台の取付片
18 右側摺動台の取付片
19 摺動装架部材
20 案内軌道
21 ローラ
22 刃物可動枠
31 刃物
41 載置台移動用ハンドル
61 エアポンプ
62 電磁弁
63 コントローラ(制御装置)
64a 昇降駆動用のエアシリンダ
64b 左側摺動台用エアシリンダ
64b’ ピストンロッド
64c 右側摺動台用エアシリンダ
64c’ ピストンロッド
64d 昇降盤用のエアシリンダ
64e 前側摺動台用エアシリンダ
64f 昇降駆動用のエアシリンダ
64g 左側のエアシリンダ
64h 右側のエアシリンダ
64i 前側のエアシリンダ
64j 後側のエアシリンダ
64k 刃物刃物可動枠用エアシリンダ
64l 前側のエアシリンダ
64m 後側のエアシリンダ
Claims (4)
- 左右方向に延びるように配置された架台と、該架台の左右方向の中央部の前側に配置された補助架台と、
上記架台の中央部に配置された昇降台と、
複数の台木苗をマトリクス状に収容する台木苗トレーを載置し上記昇降台上に上記補助架台の反対側から前方に移動してセット可能な載置台を有する台木苗載置装置と、
上記架台の中央部より左側にあって上記中央部に向けて水平に延びる複数の上部シャフトを有する左右方向に移動可能な左側シャフト装置と、
上記架台の中央部より右側にあって上記中央部に向けて水平に延びる複数の下部シャフトを有する左右方向に移動可能な右側シャフト装置と、
上記補助架台上にあって上記架台の中央部の方向に水平に延びる複数の直交シャフトを有する前後方向に移動可能な前側シャフト装置と、
上記架台の中央部より右側にあって上記中央部に向けて移動しながら上記複数の台木苗を斜めに切断する複数の刃物を備え左右方向に移動可能な切断装置と、
上記昇降台、左側シャフト装置、右側シャフト装置、前側シャフト装置及び切断装置を夫々駆動する複数のアクチュエータと、
を備えており、
上記切断装置は、上記架台上を左右移動可能な刃物可動枠と、該刃物可動枠に固定された刃物取付板と、ローラ取付板とを有し、
上記刃物取付板は、その前後方向に上記複数の刃物を隔設して設けており、
上記ローラ取付板は、その前後方向に上記下部シャフトに当接して上記台木苗を挟持する二つのローラから成る組が複数隔設されており、上記複数の台木苗を切断し複数の接木苗を製造することを特徴とする接木苗製造装置。 - 上記複数の上部シャフトは、互いに隣接する2本のシャフトから成る組を複数備え、各組の2本のシャフトは、上記台木苗トレーに収容された各列の台木苗の上部を挟むことが可能であり、
上記複数の下部シャフトは、互いに隣接する2本のシャフトから成る組を複数備え、各組の2本のシャフトは、上記台木苗トレーに収容された各列の台木苗の下部を挟むことが可能であり、
上記複数の直交シャフトは、互いに隣接する2本のシャフトから成る組を複数備え、各組の2本のシャフトは、上記台木苗トレーに収容された各行の台木苗の上記上部シャフトと下部シャフトの間を挟むことが可能であることを特徴とする請求項1記載の接木苗製造装置。 - 上記左側シャフト装置は、上記架台上で左右方向に摺動する左側摺動台と、該左側摺動台上を前後方向であって互いに逆方向に摺動可能な二枚の上部シャフト固定板保持盤と、該二枚の上部シャフト固定板保持盤の夫々に前後方向に隔設され、上記上部シャフトの基端を夫々固定する複数のシャフト固定板とを備えており、
上記右側シャフト装置は、上記架台上で左右方向に摺動する右側摺動台と、該右側摺動台上を前後方向であって互いに逆方向に摺動可能な二枚の下部シャフト固定板保持盤と、該二枚の下部シャフト固定板保持盤の夫々には前後方向に隔設され、上記下部シャフトの基端を夫々固定する複数の下部シャフト固定板とを備えており、
上記前側シャフト装置は、上記補助架台上で前後方向に摺動する前側摺動台と、該前側摺動台上を左右方向であって互いに逆方向に摺動可能な二枚の直交シャフト固定板保持盤と、該二枚の直交シャフト固定板保持盤の夫々には左右方向に隔設され、上記直交シャフトの基端を夫々固定する複数の直交シャフト固定板とを備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の接木苗製造装置。 - 上記二枚の上部シャフト固定板保持盤は、上記左側摺動台に対して昇降可能な左側昇降盤上に設けられており、
上記二枚の直交シャフト固定板保持盤は、上記前側摺動台に対して昇降可能な前側昇降盤上に設けられていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の接木苗製造装置。
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