JP3752823B2 - 誘電体フィルタ、誘電体デュプレクサ、誘電体フィルタの実装構造、誘電体デュプレクサの実装構造及び通信機装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体フィルタ、誘電体デュプレクサ、誘電体フィルタの実装構造、誘電体デュプレクサの実装構造及び通信機装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、単一の誘電体ブロックに誘電体共振器を設けた誘電体フィルタとしては、例えば図9に示すものが知られている。この誘電体フィルタは、誘電体ブロック1の互いに対向する端面1a,1bを貫通して2つの共振器孔2a,2bを設けたものである。誘電体ブロック1の外面の略全面には、外導体5が形成されている。1対の入出力電極6,6は、この外導体5に対して所定のギャップを確保して、外導体5に非導通の状態で誘電体ブロック1の外面に形成されている。共振器孔2a,2bの略内周全面には内導体7が形成されており、共振器孔2a,2bの手前側の開口部に非導体形成部8を設けている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の誘電体フィルタにおいて、誘電体フィルタと外部回路を電気的に接続する際に重要なパラメータとなる外部結合Qeの調整は、誘電体フィルタを製造する過程で回路定数を変更することによって行っていた。すなわち、誘電体フィルタを製造する過程で、外導体5と入出力電極6のギャップ寸法や入出力電極6の形状等を種々変更することにより、回路定数を変更していた。しかしながら、既に外導体5や入出力電極6が形成された誘電体フィルタに対して、外部結合Qeを調整する方法はなく、設計変更の柔軟性に欠けるばかりでなく、誘電体フィルタの製造コストも高くなるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明の目的は、外導体や入出力電極が形成された後に外部結合Qeを容易に調整することができる誘電体フィルタ、誘電体デュプレクサ、誘電体フィルタの実装構造及び誘電体デュプレクサの実装構造、並びにこれら誘電体フィルタ、誘電体デュプレクサ、誘電体フィルタの実装構造及び誘電体デュプレクサの実装構造を備えた通信機装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】
前記目的を達成するため、本発明に係る誘電体フィルタや誘電体デュプレクサは、誘電体ブロックと、前記誘電体ブロック内に構成された誘電体共振器と、前記誘電体ブロックの外面に設けられた外導体と、前記誘電体ブロックの外面に設けられ、前記外導体との間に所定のギャップを有して前記外導体と分離されている入出力電極と、前記ギャップの近傍部分の前記外導体表面に設けられた絶縁材とを備えたことを特徴とする。
【0006】
以上の構成からなる誘電体フィルタや誘電体デュプレクサを回路基板に実装すると、ギャップの近傍部分の外導体が、絶縁材により回路基板のグランドパターンから絶縁され、グランド電流は絶縁材を迂回して外導体を流れる。つまり、入出力電極の周囲のグランド電流の経路は、絶縁材が配設されている分だけ長くなる。ところで、グランド電流の経路が長くなるにつれて、インダクタンスは大きくなる。従って、ギャップの近傍部分の外導体表面に絶縁材を設けることは、入出力電極に直列にインダクタンスを接続することと電気的に等価である。外部結合Qeは、絶縁材の寸法及び形状を適当に設定することにより調整される。さらに、絶縁材を導電性膜で被覆することにより、外界から絶縁材が保護される。
【0007】
また、本発明に係る誘電体フィルタの実装構造や誘電体デュプレクサの実装構造は、
(a)誘電体ブロックと、前記誘電体ブロック内に構成された誘電体共振器と、前記誘電体ブロックの外面に設けられた外導体と、前記誘電体ブロックの外面に設けられ、前記外導体との間に所定のギャップを有して前記外導体と分離されている入力電極及び出力電極とを有した誘電体フィルタや誘電体デュプレクサと、
(b)信号パターン及びグランドパターンを表面に設けると共に、該グランドパターンの表面の、前記誘電体フィルタのギャップ近傍の外導体部分に対応する位置に絶縁材や凹部を設けた回路基板とを備え、
(c)前記信号パターンに前記入力電極及び出力電極が電気的に接続し、前記グランドパターンに前記外導体が電気的に接続し、かつ、前記絶縁材や凹部に前記ギャップ近傍の外導体部分が接したり、あるいは対向したりするように、前記誘電体フィルタや誘電体デュプレクサを前記回路基板に実装したこと、
を特徴とする。
【0008】
以上の構成により、誘電体フィルタや誘電体デュプレクサのギャップの近傍部分の外導体が、回路基板に設けた絶縁材や凹部内の空気により、回路基板のグランドパターンから絶縁される。つまり、入出力電極の周囲のグランド電流の経路は、絶縁材や凹部が配設されている分だけ長くなる。従って、回路基板のグランドパターン表面の、誘電体フィルタのギャップ近傍の外導体部分に対応する位置に絶縁材や凹部を設けることは、入出力電極に直列にインダクタンスを接続することと電気的に等価である。外部結合Qeは、絶縁材や凹部の寸法及び形状を適当に設定することにより調整される。
【0009】
また、本発明に係る通信機装置は、前述の特徴を有する誘電体フィルタや誘電体デュプレクサ、あるいは、誘電体フィルタの実装構造や誘電体デュプレクサの実装構造を少なくとも一つ備えることにより、設計変更に柔軟に対応することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る誘電体フィルタ、誘電体デュプレクサ、誘電体フィルタの実装構造、誘電体デュプレクサの実装構造及びそれを使用した通信機装置の実施の形態について添付の図面を参照して説明する。
【0011】
[第1実施形態、図1〜図3]
本発明に係る誘電体フィルタの第1実施形態を図1に示す。該誘電体フィルタ11は、直方体形状を有する単一の誘電体ブロック12を備えている。誘電体ブロック12は、互いに対向する端面12a,12bを貫通する二つの共振器孔13a,13bを有する。共振器孔13a,13bは、その軸が互いに平行になるように誘電体ブロック12に並置されている。共振器孔13a,13bの内壁面には内導体14が形成されている。誘電体ブロック12には、端面12aを残して、外壁面に外導体15、入力電極17及び出力電極18が形成されている。共振器孔13a,13bのそれぞれの内導体14は、端面12aで外導体15から電気的に開放(分離)され、端面12bで外導体15に電気的に短絡(導通)されている。
【0012】
内導体14が形成された共振器孔13aは、誘電体ブロック12及び外導体15と共に、1/4波長(λ/4)の誘電体共振器16aを構成している。同様に、内導体14が形成された共振器孔13bは、誘電体ブロック12及び外導体15と共に、1/4波長(λ/4)の誘電体共振器16bを構成している。誘電体共振器16a,16bは、それぞれ誘電体ブロック12の端面12aを開放面、端面12bを短絡面としている。
【0013】
入力電極17及び出力電極18は、誘電体ブロック12の端面12a寄りの位置に、外導体15に対して所定のギャップgを確保して、外導体15に非導通の状態で形成されている。そして、第1実施形態では、ギャップgの近傍部分の外導体15表面に、ギャップgを囲むように絶縁材19が設けられている。絶縁材19は、ペースト状の絶縁材を印刷等の方法により塗布、乾燥して形成したり、スパッタリング法や真空蒸着法等の方法により形成される。
【0014】
以上の構成からなる誘電体フィルタ11を、例えば図2に示すように、回路基板62に実装する場合を考える。つまり、誘電体フィルタ11の外導体15は半田61により回路基板62のグランドパターン62aに半田付けされ、誘電体フィルタ11の入力電極17及び出力電極18はそれぞれ半田61により回路基板62の信号パターン62bに半田付けされる。この場合、誘電体フィルタ11のギャップgの近傍部分の外導体15が絶縁材19により、回路基板62のグランドパターン62bから絶縁される。従って、例えば、グランドパターン62aから外導体15に流れるグランド電流は、矢印Aで示すように、絶縁材19を迂回して流れることになる。
【0015】
これにより、入力電極17及び出力電極18の周囲のグランド電流の経路は、絶縁材19が配設されている分だけ長くなる。グランド電流の経路が長くなるにつれて、インダクタンスは大きくなるので、ギャップgの近傍部分の外導体15表面に絶縁材19を設けることは、入出力電極17,18に直列にインダクタンスLeを接続することと電気的に等価である。図3は、図1に示した誘電体フィルタ11の電気等価回路図である。なお、図3において、Ceは、入力電極17と誘電体共振器16aとの間、並びに、出力電極18と誘電体共振器16bとの間に形成される外部結合容量であリ、63は誘電体共振器16aと16bとの間に形成される電磁気的結合である。
【0016】
従って、絶縁材19の寸法及び形状を適当に設定することにより、入出力電極17,18に直列に接続されるインダクタンスLeの大きさを変更し、外部結合Qeを調整することができる。この調整は、誘電体ブロック12に、共振器孔13a,13b、導体14,15及び入出力電極17,18等を設けた後の誘電体フィルタ11に対して、絶縁材19を形成することにより行うことができる。
【0017】
[第2実施形態、図4]
本発明に係る誘電体フィルタの第2実施形態を図4に示す。該誘電体フィルタ11aは、図1〜図3において説明した第1実施形態の誘電体フィルタ11の絶縁材19をさらに導電性膜15aで覆ったものである。導電性膜15aは、導電性ペーストを印刷等の方法により塗布、乾燥して形成したり、スパッタリング法や真空蒸着法等の方法により形成したり、あるいは、導電性シートを導電性接着剤等により固着することにより形成される。このようにすれば、絶縁材19が導電性膜15aにより、外界から保護されるので、インダクタンスLeの経時的な変化が少なく、信頼性が向上する。ただし、第2実施形態では、導電性膜15aが外導体15の表面も含めて絶縁材19を覆っているが、絶縁材19の表面のみを覆うものであってもよい。
【0018】
[第3実施形態、図5]
図5に示すように、第3実施形態は、誘電体フィルタ11bの実装構造について説明する。誘電体フィルタ11bは、図1〜図3で説明した第1実施形態の誘電体フィルタ11において、絶縁材19を設けないものと同様のものである。一方、誘電体フィルタ11bが実装される回路基板62は、その上面に広面積のグランドパターン62aと、信号パターン65,66と、絶縁材19が設けられている。絶縁材19は、グランドパターン62aの表面の、誘電体フィルタ11bのギャップg近傍の外導体15部分に対応する位置に、印刷等の方法により形成されている。
【0019】
誘電体フィルタ11bを、導電性接着剤や半田等を利用して回路基板62に実装すると、誘電体フィルタ11bの入力電極17が信号パターン65に電気的に接続され、出力電極18が信号パターン66に接続され、外導体15がグランドパターン62aに電気的に接続される。そして、誘電体フィルタ11bのギャップg近傍の外導体15部分が、絶縁材19に接する。
【0020】
以上の構成からなる誘電体フィルタ11bの実装構造は、誘電体フィルタ11bのギャップgの近傍部分の外導体15が絶縁材19により、回路基板62のグランドパターン62aから絶縁される。従って、グランドパターン62aから外導体15に流れるグランド電流は、絶縁材19を迂回して流れることになる。これにより、入力電極17及び出力電極18の周囲のグランド電流の経路は、絶縁材19が配設されている分だけ長くなる。つまり、回路基板62のグランドパターン62a表面に絶縁材19を設けることは、誘電体フィルタ11bの入出力電極17,18に直列にインダクタンスLeを接続することと電気的に等価となる。
【0021】
従って、第3実施形態は、前記第1実施形態の誘電体フィルタ11と略同じ作用効果を奏することができる。それに加えて、絶縁材19が回路基板62側に配置されているので、標準化された誘電体フィルタ11bを製作しておき、誘電体フィルタ11bを回路基板62に実装する際に、回路基板62側で外部結合Qeを自由に調整することができる利点がある。また、この標準化により、誘電体フィルタ11bのコストが大幅に削減される。
【0022】
[第4実施形態、図6]
第4実施形態は、誘電体フィルタの別の実装構造について説明する。図7に示すように、誘電体フィルタ11cは、図1〜図3で説明した第1実施形態の誘電体フィルタ11において、絶縁材19を設けないものと同様のものである。一方、誘電体フィルタ11cが実装される回路基板68は、その上面に広面積のグランドパターン68aと、信号パターン65,66と、凹部69が設けられている。凹部69は、誘電体フィルタ11cのギャップg近傍の外導体15部分に対応する位置に形成されている。
【0023】
誘電体フィルタ11cを、導電性接着剤や半田等を利用して回路基板68に実装すると、誘電体フィルタ11cの入力電極17が信号パターン65に電気的に接続され、出力電極18が信号パターン66に接続され、外導体15がグランドパターン68aに電気的に接続される。そして、誘電体フィルタ11cのギャップg近傍の外導体15部分が、凹部69に対向する。
【0024】
以上の構成からなる誘電体フィルタ11cの実装構造は、誘電体フィルタ11cのギャップgの近傍部分の外導体15が凹部69内の空気により、回路基板68のグランドパターン68aから絶縁される。従って、グランドパターン68aから外導体15に流れるグランド電流は、凹部69を迂回して流れることになる。これにより、入力電極17及び出力電極18の周囲のグランド電流の経路は、凹部69が配設されている分だけ長くなる。つまり、回路基板68表面に凹部69を設けることは、誘電体フィルタ11cの入出力電極17,18に直列にインダクタンスLeを接続することと電気的に等価となる。従って、第4実施形態は、前記第3実施形態の誘電体フィルタ11bの実装構造と同様の作用効果を奏することができる。
【0025】
[第5実施形態、図7]
第5実施形態は、自動車電話や携帯電話等の移動体通信機装置等に使用される誘電体デュプレクサについて説明する。
図7に示すように、誘電体デュプレクサ31は、略直方体形状の誘電体ブロック41の対向する一対の端面41a,41bを貫通して、4個の横断面円形の共振器孔33a〜33dが形成されている。
【0026】
誘電体ブロック41の外面の略全面には外導体35が形成されている。送信側電極Tx,受信側電極Rx及びアンテナ側電極ANTは、この外導体35に対して所定のギャップgを確保して、外導体35に非導通の状態で誘電体ブロック41の外面に形成されている。ギャップgの近傍部分の外導体35表面には、ギャップgを囲むように絶縁材39が設けられている。
【0027】
各共振器孔33a〜33dの略内周全面には内導体34が形成されており、一方の開口側に非導体形成部38を設けている。この非導体形成部38が設けられている開口側の端面41aが開放側端面であり、端面41aに対向する端面41bが短絡側端面である。内導体34は開放側端面41aでは外導体35から電気的に解放(分離)され、短絡側端面41bでは外導体35に電気的に短絡(導通)されている。さらに、各共振器孔33a〜33dの軸方向の長さはλ/4(λは共振器孔33a〜33d毎に形成される共振器の中心波長)に設定されている。
【0028】
内導体34を設けた共振器孔33aは、誘電体ブロック41及び外導体35と共に1/4波長の誘電体共振器36aを構成している。共振器孔33bは、誘電体ブロック41及び外導体35と共に、誘電体共振器36bを構成している。これら二つの誘電体共振器36a,36bは、送信フィルタ50Aを構成している。同様に、共振器孔33cは、誘電体ブロック41及び外導体35と共に、誘電体共振器36cを構成している。共振器孔33dは、誘電体ブロック41及び外導体35と共に、誘電体共振器36dを構成している。これら二つの誘電体共振器36c,36dは、受信フィルタ50Bを構成している。そして、このフィルタ50A,50Bと送信側電極Tx,受信側電極Rx及びアンテナ側電極ANTとの間は電磁気的に結合されている。
【0029】
この誘電体デュプレクサ31は、図示しない送信回路系から送信側電極Txに入った送信信号を送信フィルタ50Aを介してアンテナ側電極ANTから出力すると共に、アンテナ側電極ANTから入った受信信号を受信フィルタ50Bを介して受信側電極Rxから図示しない受信回路系に出力する。
【0030】
以上の構成からなる誘電体デュプレクサ31を回路基板に実装する場合を考える。誘電体デュプレクサ31の外導体35は回路基板のグランドパターンに半田付けされ、誘電体デュプレクサ31の送信側電極Tx,受信側電極Rx及びアンテナ側電極ANTはそれぞれ回路基板の信号パターンに半田付けされる。この場合、誘電体デュプレクサ31のギャップgの近傍部分の外導体35が絶縁材39により、回路基板のグランドパターンから絶縁される。従って、例えば、回路基板のグランドパターンから誘電体デュプレクサ31の外導体35に流れるグランド電流は、絶縁材39を迂回して流れることになる。
【0031】
これにより、送信側電極Tx,受信側電極Rx及びアンテナ側電極ANTの周囲のグランド電流の経路は、絶縁材39が配設されている分だけ長くなる。つまり、ギャップgの近傍部分の外導体35表面に絶縁材39を設けることは、送信側電極Tx,受信側電極Rx及びアンテナ側電極ANTにそれぞれ直列にインダクタンスLeを接続することと電気的に等価である。従って、絶縁材39の寸法及び形状を適当に設定することにより、電極Tx,Rx,ANTに直列に接続されるインダクタンスLeの大きさを変更し、外部結合Qeを調整することができる。この調整は、誘電体ブロック41に、共振器孔33a〜33d、導体34,35及び電極Tx,Rx,ANT等を設けた後の誘電体デュプレクサ31に対して、絶縁材39を形成することにより行うことができる。
【0032】
また、この誘電体デュプレクサ31において、前記第2実施形態のように、絶縁材39を導電性膜で被覆してもよい。また、前記第3、第4実施形態のように、誘電体デュプレクサ31に絶縁材39を設けないで、回路基板側に絶縁材39を設けたり、さらには、絶縁材39に代えて回路基板側に凹部を設けた誘電体デュプレクサの実装構造を採用することができる。
【0033】
[第6実施形態、図8]
第6実施形態は、本発明に係る通信機装置の一実施形態を示すもので、携帯電話を例にして説明する。
【0034】
図8は携帯電話120のRF部分の電気回路ブロック図である。図8において、122はアンテナ素子、123はアンテナ共用フィルタ(デュプレクサ)、131は送信側アイソレータ、132は送信側増幅器、133は送信側段間用バンドパスフィルタ、134は送信側ミキサ、135は受信側増幅器、136は受信側段間用バンドパスフィルタ、137は受信側ミキサ、138は電圧制御発振器(VCO)、139はローカル用バンドパスフィルタである。
【0035】
ここに、アンテナ共用フィルタ(デュプレクサ)123として、例えば前記第5実施形態のデュプレクサ32を使用することができる。また、送信側及び受信側段間用バンドパスフィルタ133、136並びにローカル用バンドパスフィルタ139として、例えば前記第1及び第2実施形態の誘電体フィルタ11,11aを使用したり、あるいは、第3及び第4実施形態の誘電体フィルタ11b,11cの実装構造を使用することにより、携帯電話120の設計変更が容易になる。
【0036】
[他の実施形態]
なお、本発明に係る誘電体フィルタ、誘電体デュプレクサ、誘電体フィルタの実装構造、誘電体デュプレクサの実装構造及び通信機装置は前記実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。例えば、誘電体フィルタは、共振器孔を設けない誘電体ブロックと、この誘電体ブロックを略覆うように設けた外導体と、この外導体との間に所定のギャップを有して外導体と分離されている入出力電極とを備えた、いわゆるTEモード誘電体フィルタであってもよい。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、誘電体フィルタや誘電体デュプレクサが、外導体と入出力電極を分離するギャップの近傍部分の前記外導体表面に、絶縁材を設けているので、誘電体フィルタや誘電体デュプレクサを回路基板に実装すると、ギャップの近傍部分の外導体が、絶縁材により回路基板のグランドパターンから絶縁され、グランド電流は絶縁材を迂回して外導体を流れる。つまり、入出力電極の周囲のグランド電流の経路は、絶縁材が配設されている分だけ長くなる。従って、ギャップの近傍部分の外導体表面に絶縁材を設けることは、入出力電極に直列にインダクタンスを接続することと電気的に等価になり、外部結合Qeは絶縁材の寸法及び形状を適当に設定することにより調整することができる。
【0038】
この結果、絶縁材の寸法及び形状を調整することにより、外部結合Qeを最適な値に調整することができ、同一の誘電体フィルタや誘電体デュプレクサで、種々の外部結合値を得ることができる。これにより、誘電体フィルタや誘電体デュプレクサの標準化を図ることができ、誘電体フィルタや誘電体デュプレクサのコストを引き下げることができる。
【0039】
また、本発明に係る誘電体フィルタの実装構造や誘電体デュプレクサの実装構造は、回路基板のグランドパターン表面の、誘電体フィルタや誘電体デュプレクサの外導体と入出力電極を分離するギャップの近傍の外導体部分に対応する位置に絶縁材や凹部を設け、前記絶縁材や凹部に前記ギャップ近傍の外導体部分が接したり、あるいは対向したりするように、前記誘電体フィルタや誘電体デュプレクサを前記回路基板に実装したので、誘電体フィルタや誘電体デュプレクサのギャップの近傍部分の外導体が、回路基板に設けた絶縁材や凹部内の空気により、回路基板のグランドパターンから絶縁される。つまり、入出力電極の周囲のグランド電流の経路は、絶縁材や凹部が配設されている分だけ長くなる。
【0040】
従って、回路基板のグランドパターン表面の、誘電体フィルタや誘電体デュプレクサのギャップ近傍の外導体部分に対応する位置に絶縁材や凹部を設けることは、入出力電極に直列にインダクタンスを接続することと電気的に等価になり、外部結合Qeを絶縁材や凹部の寸法及び形状を適当に設定することにより調整することができる。そして、誘電体フィルタや誘電体デュプレクサを標準化しておけば、実装の際に、回路基板側で外部結合Qeを自由に調整することができ、誘電体フィルタや誘電体デュプレクサのコストを大幅に削減することができる。
【0041】
また、本発明に係る通信機装置は、前述の特徴を有する誘電体フィルタや誘電体デュプレクサ、あるいは、誘電体フィルタの実装構造や誘電体デュプレクサの実装構造を少なくとも一つ備えることにより、設計変更に柔軟に対応することができると共に、通信機装置の部品及び製造コストが大幅に削減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る誘電体フィルタの第1実施形態を示す斜視図。
【図2】図1に示した誘電体フィルタを回路基板に実装した状態を示す一部断面図。
【図3】図1に示した誘電体フィルタの電気等価回路図。
【図4】本発明に係る誘電体フィルタの第2実施形態を示す斜視図。
【図5】本発明に係る誘電体フィルタの実装構造を示す分解斜視図。
【図6】本発明に係る誘電体フィルタの別の実装構造を示す分解斜視図。
【図7】本発明に係る誘電体デュプレクサの斜視図。
【図8】本発明に係る通信機装置の一つの実施形態を示す電気回路ブロック図。
【図9】従来の誘電体フィルタを示す斜視図。
【符号の説明】
11,11a,11b,11c…誘電体フィルタ
12,41…誘電体ブロック
12a,12b,41a,41b…端面
13a,13b,33a〜33d…共振器孔
14,34…内導体
15,35…外導体
15a…導電性膜
16a,16b,36a〜36d…誘電体共振器
17…入力電極
18…出力電極
19,39…絶縁材
31…誘電体デュプレクサ
50A…送信側フィルタ
50B…受信側フィルタ
62,68…回路基板
62a,68a…グランドパターン
65,66…信号パターン
69…凹部
120…携帯電話
123…誘電体デュプレクサ
g…ギャップ
ANT…アンテナ側電極
Tx…送信側電極
Rx…受信側電極
Claims (9)
- 誘電体ブロックと、
前記誘電体ブロック内に構成された誘電体共振器と、
前記誘電体ブロックの外面に設けられた外導体と、
前記誘電体ブロックの外面に設けられ、前記外導体との間に所定のギャップを有して前記外導体と分離されている入出力電極と、
前記ギャップの近傍部分の前記外導体表面に設けられた絶縁材と、
を備えたことを特徴とする誘電体フィルタ。 - 前記絶縁材を導電性膜でさらに被覆したことを特徴とする請求項1記載の誘電体フィルタ。
- 誘電体ブロックと、
前記誘電体ブロック内に構成された、送信側フィルタ及び受信側フィルタを形成する複数の誘電体共振器と、
前記誘電体ブロックの外面に設けられた外導体と、
前記誘電体ブロックの外面に設けられ、前記外導体との間に所定のギャップを有して前記外導体と分離されている入出力電極と、
前記ギャップの近傍部分の前記外導体表面に設けられた絶縁材と、
を備えたことを特徴とする誘電体デュプレクサ。 - 請求項1又は請求項2記載の誘電体フィルタ、又は、請求項3記載の誘電体デュプレクサの少なくともいずれか一つを備えたことを特徴とする通信機装置。
- 誘電体ブロックと、前記誘電体ブロック内に構成された誘電体共振器と、前記誘電体ブロックの外面に設けられた外導体と、前記誘電体ブロックの外面に設けられ、前記外導体との間に所定のギャップを有して前記外導体と分離されている入力電極及び出力電極とを有した誘電体フィルタと、
信号パターン及びグランドパターンを表面に設けると共に、該グランドパターンの表面の、前記誘電体フィルタのギャップ近傍の外導体部分に対応する位置に絶縁材を設けた回路基板とを備え、
前記信号パターンに前記入力電極及び出力電極が電気的に接続し、前記グランドパターンに前記外導体が電気的に接続し、かつ、前記絶縁材に前記ギャップ近傍の外導体部分が接するように、前記誘電体フィルタを前記回路基板に実装したこと、
を特徴とする誘電体フィルタの実装構造。 - 誘電体ブロックと、前記誘電体ブロック内に構成された誘電体共振器と、前記誘電体ブロックの外面に設けられた外導体と、前記誘電体ブロックの外面に設けられ、前記外導体との間に所定のギャップを有して前記外導体と分離されている入力電極及び出力電極とを有した誘電体フィルタと、
信号パターン及びグランドパターンを表面に設けると共に、該グランドパターンの表面の、前記誘電体フィルタのギャップ近傍の外導体部分に対応する位置に凹部を設けた回路基板とを備え、
前記信号パターンに前記入力電極及び出力電極が電気的に接続し、前記グランドパターンに前記外導体が電気的に接続し、かつ、前記凹部に前記ギャップ近傍の外導体部分が対向するように、前記誘電体フィルタを前記回路基板に実装したこと、
を特徴とする誘電体フィルタの実装構造。 - 誘電体ブロックと、前記誘電体ブロック内に構成された、送信側フィルタ及び受信側フィルタを形成する複数の誘電体共振器と、前記誘電体ブロックの外面に設けられた外導体と、前記誘電体ブロックの外面に設けられ、前記外導体との間に所定のギャップを有して前記外導体と分離されている入出力電極と、前記ギャップの近傍部分の前記外導体表面に設けられた絶縁材とを有した誘電体デュプレクサと、
信号パターン及びグランドパターンを表面に設けると共に、該グランドパターンの表面の、前記誘電体デュプレクサのギャップ近傍の外導体部分に対応する位置に絶縁材を設けた回路基板とを備え、
前記信号パターンに前記入力電極及び出力電極が電気的に接続し、前記グランドパターンに前記外導体が電気的に接続し、かつ、前記絶縁材に前記ギャップ近傍の外導体部分が接するように、前記誘電体デュプレクサを前記回路基板に実装したこと、
を特徴とする誘電体デュプレクサの実装構造。 - 誘電体ブロックと、前記誘電体ブロック内に構成された、送信側フィルタ及び受信側フィルタを形成する複数の誘電体共振器と、前記誘電体ブロックの外面に設けられた外導体と、前記誘電体ブロックの外面に設けられ、前記外導体との間に所定のギャップを有して前記外導体と分離されている入出力電極と、前記ギャップの近傍部分の前記外導体表面に設けられた絶縁材とを有した誘電体デュプレクサと、
信号パターン及びグランドパターンを表面に設けると共に、該グランドパターンの表面の、前記誘電体デュプレクサのギャップ近傍の外導体部分に対応する位置に凹部を設けた回路基板とを備え、
前記信号パターンに前記入力電極及び出力電極が電気的に接続し、前記グランドパターンに前記外導体が電気的に接続し、かつ、前記凹部に前記ギャップ近傍の外導体部分が対向するように、前記誘電体デュプレクサを前記回路基板に実装したこと、
を特徴とする誘電体デュプレクサの実装構造。 - 請求項5又は請求項6記載の誘電体フィルタの実装構造、又は、請求項7又は請求項8記載の誘電体デュプレクサの実装構造の少なくともいずれか一つを備えたことを特徴とする通信機装置。
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