JP3752059B2 - 偏光板の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置、光通信、偏光サングラスなどに用いられる偏光板に関し、特に、性能および信頼性が極めて高く、しかも、ある範囲の波長に対して万遍なく優れた消光比を示す偏向板に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信に用いられている偏光板の一例として、特開昭56−169140号公報に開示されている偏光板がある。このものは、棒状のハロゲン化銀および銀微粒子をガラスに分散させてなる偏光ガラスであって、この発明におけるガラス中の分散成分のうち、主として銀微粒子が高い2色性を示し偏光作用に寄与しているものものと考えられる。
【0003】
また、技術文献であるProc. SPIE Int. Soc.Opt. Eng.,Vol.1166,P446-453 には、棒状の銀微粒子の長軸長を長くすることにより、高い消光比が得られる波長が長波長側にシフトする旨の開示がなされている。つまり、高い消光比が得られる波長を、粒子のアスペクト比により制御できることが示唆されている。
【0004】
上記特開昭56−169140号公報に示される棒状の銀微粒子は、ガラスを伸長させる際および還元を行う際の圧力や熱処理条件で棒状の形状となりアスペクト比が決まってくると考えられるが、その制御は非常に難しく、含有されるアスペクト比の分布を任意に調整することはできず、通常、アスペクト比の分布は、正規分布に従うかたちになる。
【0005】
これとの関連技術で特許第2578377号公報には、同じくハロゲン化銀または銀微粒子を用いて、比較的広いバンドで高消光比を示す偏光ガラスの開示がなされている。これによれば、従来大気圧下で行っていた焼成工程を加圧還元雰囲気中で行うことにより、ガラスの偏光作用が機能する有効なバンド幅を広げることができるというものである。このような偏光ガラスは、上述したように比較的広いバンドで高消光比を示すものの、その作製に多くの工程を要するという問題がある。さらには、上記特開昭56−169140号公報に示される偏光ガラスと同様に、ガラスを伸長させる際および還元を行う際の圧力や熱処理条件の制御が非常に難しく、安価にしかも大量に均一な偏光ガラスを作製することは困難である。
【0006】
一方、特公平8−27409号公報には、偏光層中で磁性微粒子を磁場により一定方向に配列させるとともに、これらを連結させて多数の棒状素子を形成させた偏光板が提案されている。この棒状素子は、複数の略球状素子が磁場配向により連結されて棒状に形成されたものである。従って、棒状を構成する磁性微粒子の数を制御することは極めて困難であるといえる。そのため、棒状素子の形状が均一にならず、アスペクト比およびその分布の状態を制御することは極めて困難である。また、連結により形成された棒状素子は、素子を構成する各磁性微粒子が連結部分で自由に方向を替え得るため、全ての棒状素子を磁場配向方向にきちんと直線上に配列させることが困難である。従って、この提案において、広い波長領域で万遍なく高い消光比を確保することは難しい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような実状のもとに、本発明は創案されたものであって、その目的は、安価、かつ大量生産が可能であることはもとより、実用的な使用の観点から広い波長領域で万遍なく高い消光比、透過率が得られる偏光板を提供することにある。
【0008】
しかも用いる光の波長に応じて、偏光特性の最適化が容易に図られる偏光板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明は、光を制御し偏光を取り出すための偏光層を備える偏光板の製造方法であって、該方法は、予備データとして光の種々の波長に対して最適な消光比が得られるアスペクト比が正規分布を有する棒状偏光粒子の平均アスペクト比を求める工程と、使用する波長帯域に応じて、前記の予備データから使用する波長帯域の短波長側(λ1)で消光比に優れる平均アスペクト比R1を持つ第1の棒状偏光粒子を選定するとともに、さらに前記の予備データから使用する波長帯域の長波長側(λ2)で消光比に優れる平均アスペクト比R2をもつ第2の棒状偏光粒子を選定する工程と、透光性のある微粒子分散媒体に、前記選定された棒状偏光粒子を分散させて塗料を作製する工程と、前記塗料を基板上に塗設した後、棒状偏光粒子を磁場配向により一定方向に配列させて偏光層を形成する工程と、を有するように構成される。
また、本発明の好適な態様として、前記棒状偏光粒子は、それぞれ、棒状の酸化物強磁性体粒子と、その表面に被覆された導電性膜を有してなるように構成される。
【0010】
また、本発明の好適な態様として、前記酸化物強磁性体粒子は、二酸化クロムとして構成される。
【0011】
また、本発明の好適な態様として、前記酸化物強磁性体粒子は、酸化鉄として構成される。
【0012】
また、本発明の好適な態様として、前記導電性膜は、金、銀、銅、ニッケル、またはスズから構成される。
また、本発明の好適な態様として、前記棒状偏光粒子の平均アスペクト比は、1.5〜30の範囲内にあるように構成される。
【0013】
また、本発明の好適な態様として、さらに平均アスペクト比Rxの棒状偏光粒子(ただしRxは、R1<Rx<R2の範囲内のなかから選定された少なくとも1種以上のもの)が添加され混合されてなるように構成される。
また、本発明の好適な態様として、前記棒状の酸化物強磁性体粒子の表面に被覆された導電性膜は無電解メッキにより形成されてなるように構成される。
【0014】
また、本発明の好適な態様として、前記透光性のある微粒子分散媒体は、熱硬化性樹脂、反応性硬化性樹脂、紫外線ないし電子線硬化樹脂を含有してなるように構成される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1には、本発明の偏光板1の好適な実施の形態を示す断面図が示されている。
【0016】
図1に示されるように本発明の偏光板1は、基板2の上に、偏光層10が塗設されて形成されている。
【0017】
偏光層10は、透光性のある微粒子分散媒体20と、この微粒子分散媒体20中に分散されるとともに磁場配向により一定方向に配列された複数の棒状偏光粒子30を有している。
【0018】
棒状偏光粒子30は、図2の粒子概念図に示されるように棒状の酸化物強磁性体粒子31と、その表面に被覆された導電性膜35を有して構成される。
【0019】
棒状の酸化物強磁性体粒子31としては、単一の一体的な形状であって、かつ針状等の棒状形状が容易に得られる二酸化クロム(CrO2 );γ−Fe2 O3 ,Fe3 O4 などの酸化鉄等が好適に用いられる。酸化鉄にあっては、Co等の遷移金属が含有されたものであってもよい。
【0020】
このような酸化物強磁性体粒子31は、棒状形状を安価かつ容易につくることができ、しかも、長軸長と短軸長の比であるアスペクト比を種々かえたものが容易にできるという特徴を有している。これらの中でも、特に、針状形態の均一性および表面性に優れ(例えば、表面凹凸が少なく針状先端での枝分かれがない)、アスペクト比をかなりの範囲まで自由に変えて作ることができる二酸化クロム(CrO2 )を用いるのがよい。
【0021】
さらに本発明では、偏光層10に含有される棒状偏光粒子30は、平均アスペクト比の異なる2種以上の棒状偏光粒子が混在した状態で存在する。広い波長領域で万遍なく高い消光比、透過率を備える偏光板とするためである。なお、棒状偏光粒子は、同一材質あるいは異種材質いずれであってもよいが、通常は同一材質であって平均アスペクト比の異なる2種以上のものを用いるのが一般的である。使用する光の波長帯域に対応して、具体的に平均アスペクト比の異なる2種以上の棒状偏光粒子を選定する好適例を以下に説明する。
【0022】
まず最初に、予備データとして光の種々の波長に対して最適な消光比(高い消光比)が得られる棒状偏光粒子30の平均アスペクト比を求めておく。なお、波長との関係で最適な平均アスペクト比は、用いる棒状偏光粒子30の材質によっても変わってくるから、波長と最適平均アスペクトとの関係は上記の材質ごとに求めておくことが好ましい。そして、偏光層10の設計に際して、使用対象として考えている波長帯域をλ1〜λ2とする。上記の予備データから使用する波長帯域の短波長側(λ1)で消光比に優れる平均アスペクト比R1を持つ第1の棒状偏光粒子を選定し、次に、上記の予備データから使用する波長帯域の長波長側(λ2)で消光比に優れる平均アスペクト比R2をもつ第2の棒状偏光粒子を選定する。これらの第1および第2の棒状偏光粒子は後述するように偏光層10に均一に分散され、磁場配向により一定方向に配列される。このように本発明では目標とする波長帯域λ1〜λ2に対応して偏光特性の最適化が容易に得られる。
【0023】
第1および第2の棒状偏光粒子のアスペクト比分布は一般には、それぞれ正規分布をとり、各々の粒子群のアスペクト比の平均がそれぞれ平均アスペクト比R1および平均アスペクト比R2となる。従って、偏光層10中に存在する棒状偏光粒子のアスペクト比分布を調べると、平均アスペクト比の異なる2種以上の棒状偏光粒子を混在させてなる本発明のものは、1種のみの棒状偏光粒子を含有させたものとはそのアスペクト比分布が異なり、両者の判別は容易にできる。
【0024】
使用対象として考えている光の波長帯域λ1〜λ2が比較的狭い場合には、上記の平均アスペクト比が異なる2種(平均アスペクト比R1およびR2の2種)だけを用いてもよいが、波長帯域が広くなるにつれ、さらに平均アスペクト比Rxの棒状偏光粒子を加えることが実用上好ましい。ここで、Rxは、R1<Rx<R2の範囲内のなかから選定された少なくとも1種以上のものであり、例えば、R1=8、R2=16とすると、Rx=10,12,14の3種を選定して加えることなどが例示できる。これにより、広い波長領域で万遍なく高い消光比を確実に確保することができる。
【0025】
このように平均アスペクト比の異なる2種以上の棒状偏光粒子を適宜混在させて構成できるのは、本発明の棒状偏光粒子が棒状の酸化物強磁性体粒子と、その表面に被覆された導電性膜を有してなる構成を採択していることに起因し、従来開示されている技術からは到底実現できるものではない。
【0026】
本発明で用いられる棒状偏光粒子30(棒状の酸化物強磁性体粒子31)のアスペクト比は特に限定されるものではないが、通常、アスペクト比1.5〜30の範囲内が好ましい。上述したように、均一のアスペクト比(1種類の平均アスペクト比)を持つ酸化物強磁性体粒子31を用いた場合、高い消光比を示す波長はかなり狭い範囲に限定される。しかしながら本発明では、ある範囲を持った波長帯ですべて高い消光比が得られるように、複数種類のアスペクト比を持つ棒状偏光粒子30(棒状の酸化物強磁性体粒子31)を用いている。なお、棒状の酸化物強磁性体粒子31の長軸長は、通常、0.01〜1μm程度のものが用いられる。
【0027】
このような酸化物強磁性体粒子31の表面には、上述したように導電性膜35が被膜されて棒状偏光粒子30が形成される。導電性膜35としては、導電性の良い金、銀、銅、ニッケル、スズなどの金属材料が用いられる。本発明ではこのような導電性膜35を形成させることによって、棒状偏光粒子30表面に自由電子を存在せしめ、この自由電子の振動により、所定方向の光の振動を吸収させて偏光をとりだすように作用させている。
【0028】
すなわち、図2において、棒状偏光粒子30の長軸方向と光の電界の振動する方向が平行な場合、その光は導電性膜35の自由電子が振動することにより吸収される。これとは反対に、棒状偏光粒子30の長軸方向と光の電界の振動する方向が垂直な場合、その光は棒状偏光粒子30の影響を受けずに通過する。
【0029】
導電性膜35の形成は、例えば、無電解メッキ法や、真空蒸着法、真空スパッタ法等の手法を用いて行えばよい。また、棒状偏光粒子30を一定方向に配列させる磁場配向処理は、微粒子分散媒体未乾燥の間に永久磁石、電磁石、ソレノイド等の磁界発生手段を用いて行えばよい。配向方向は、通常、基板の搬送方向に沿って行われるのが一般的であるが、特別な仕様もあり、特に限定されない。
【0030】
透光性のある微粒子分散媒体20としては、例えば、各種透明の樹脂微粒子分散媒体を用いればよい。偏光層10は、塗設により形成されるため、樹脂微粒子分散媒体としては、最終的に硬化処理できる熱硬化性樹脂、反応性硬化性樹脂、紫外線ないし電子線硬化樹脂等を含有させることが望ましい。
【0031】
微粒子分散媒体20に対する上記棒状偏光粒子30の含有率は、偏光層10の偏光特性が損なわれない範囲で適宜選定すればよい。棒状偏光粒子30の含有率が小さ過ぎると、十分な偏光特性が得られず、また、棒状偏光粒子30の含有率が大き過ぎると棒状偏光粒子30間同士の干渉が起こり、偏光特性に変化が生じる場合がある。
【0032】
上述したような偏光層10が形成される基板2としては、透光性のあるガラス、プラスチック等を用いればよい。その形状は、目的、用途に応じて種々の形態ものを選定すればよい。
【0033】
また、本発明においては、基板2の存在は必須の要件ではなく、偏光層10を形成した後に、除去するようにしてもよい。たとえば、基板2をポリビニルアルコールで作製しておき、この基板2の上に、偏光層10を塗布、配向、乾燥・硬化させた後、基板2ごと水に浸漬させる。そして、基板2の構成材料であるポリビニルアルコールを水または熱水に溶かすことにより、偏光層10のみからなる偏光板が得られる。基板2を除去することにより、光の透過率が向上するという効果が発現する。なお、このような製造方法においては、偏光層10を塗設する際の塗料中の微粒子分散媒体等は、耐水性に優れるものを用いる必要がある。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0035】
(実施例1)
棒状偏光粒子30の作製
棒状の酸化物強磁性体粒子31として、針状の二酸化クロム(CrO2 )を用意した。この二酸化クロムは、平均アスペクト比(長軸長/短軸長)11,13,および15からなる3種類の二酸化クロム粒子を混合して調整したものである。混合割合は、重量で約1:1:1とした。二酸化クロムの長軸の長さは、0.2〜0.3μmであり、極めて形状の均一性に優れていた。この針状の二酸化クロムの表面に、銀からなる導電性膜35を無電解メッキにより被膜形成し、棒状偏光粒子30を作製した。銀被膜がされた後の棒状偏光粒子30は、被膜前の状態と比べて大きさが若干大きくなったが、長軸と短軸の比に大きな変化は見られなかった。
【0036】
偏光板サンプルの作製
まず、ポリビニルアルコールを純水に溶かし、濃度10%の溶液を500ml作製した。次に、この溶液に上記棒状偏光粒子30を0.05g分散させて偏光層形成のための塗料を作製した。
【0037】
この塗料を透明ガラス基板2の上に、ドクターブレード法により塗設した。基板2の上に塗料を塗設した後、上記の微粒子分散媒体溶液が完全に硬化してポリビニルアルコール膜になる前に、図3に示されるように基板2を挟むように配置された一対の配向磁石50,50により磁場を一定方向に印加し、棒状偏光粒子30を磁場の印加方向に整列させ、しかる後、微粒子分散媒体を完全に硬化させ(ポリビニルアルコール膜の形成)、偏光板サンプルを作製した。なお、微粒子分散媒体であるポリビニルアルコール膜の硬化は、120℃、10分の加熱条件により行った。
【0038】
偏光板サンプルの評価
このようにして作製した偏光板サンプルについて、波長800nm〜1000nmの波長可変光源を用いて消光比の測定を行ったところ、いずれの波長でも消光比が20dB以上という高い値が得られた。
【0039】
これとの比較のため、二酸化クロムの平均アスペクト比が11単独のものを用い、それ以外は上記実施例の偏光サンプルと全く同じ方法で比較サンプルを作製し、同様にして消光比の測定を行ったところ、波長800nmでは消光比22dBが得られたものの、波長1000nmでは消光比は7dBであった。
【0040】
また、同様に二酸化クロムの平均アスペクト比が15単独のものを用い、それ以外は上記実施例の偏光サンプルと全く同じ方法で比較サンプルを作製し、同様にして消光比の測定を行ったところ、波長1000nmでは消光比23dBが得られたものの、波長800nmでは消光比は10dBであった。
【0041】
これにより、本発明のごとく平均アスペクト比の異なる2種以上の棒状偏光粒子を混在させて偏光板を作製することにより、ある幅をもった波長に対して万遍なく高い消光比が得られることが確認できた。
【0042】
なお、銀被膜を行わない棒状偏光粒子を用い、それ以外は上記の本発明の偏光板サンプルと全く同じ方法で比較サンプルを作製し、同様にして消光比の測定を行ったところ偏光面による消光はほとんど起こらなかった。
【0043】
【発明の効果】
上記の結果より本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明は、光を制御し偏光を取り出すための偏光層を備える偏光板の製造方法であって、該方法は、予備データとして光の種々の波長に対して最適な消光比が得られるアスペクト比が正規分布を有する棒状偏光粒子の平均アスペクト比を求める工程と、使用する波長帯域に応じて、前記の予備データから使用する波長帯域の短波長側(λ1)で消光比に優れる平均アスペクト比R1を持つ第1の棒状偏光粒子を選定するとともに、さらに前記の予備データから使用する波長帯域の長波長側(λ2)で消光比に優れる平均アスペクト比R2をもつ第2の棒状偏光粒子を選定する工程と、透光性のある微粒子分散媒体に、前記選定された棒状偏光粒子を分散させて塗料を作製する工程と、前記塗料を基板上に塗設した後、棒状偏光粒子を磁場配向により一定方向に配列させて偏光層を形成する工程と、を有するように構成されているので、安価、かつ大量生産が可能であることはもとより、実用的な使用の観点から広い波長領域で高い消光比、透過率を持つ偏光板が得られる。しかも用いる光の波長に応じて、偏光特性の最適化が容易に図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偏光板の好適な実施の形態を示す断面図である。
【図2】棒状偏光粒子の構造を分かりやすく説明するための断面図である。
【図3】磁場配向の状態の一例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1…偏光板
2…基板
10…偏光層
20…微粒子分散媒体
30…棒状偏光粒子
31…棒状の酸化物強磁性体粒子
35…導電性膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置、光通信、偏光サングラスなどに用いられる偏光板に関し、特に、性能および信頼性が極めて高く、しかも、ある範囲の波長に対して万遍なく優れた消光比を示す偏向板に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信に用いられている偏光板の一例として、特開昭56−169140号公報に開示されている偏光板がある。このものは、棒状のハロゲン化銀および銀微粒子をガラスに分散させてなる偏光ガラスであって、この発明におけるガラス中の分散成分のうち、主として銀微粒子が高い2色性を示し偏光作用に寄与しているものものと考えられる。
【0003】
また、技術文献であるProc. SPIE Int. Soc.Opt. Eng.,Vol.1166,P446-453 には、棒状の銀微粒子の長軸長を長くすることにより、高い消光比が得られる波長が長波長側にシフトする旨の開示がなされている。つまり、高い消光比が得られる波長を、粒子のアスペクト比により制御できることが示唆されている。
【0004】
上記特開昭56−169140号公報に示される棒状の銀微粒子は、ガラスを伸長させる際および還元を行う際の圧力や熱処理条件で棒状の形状となりアスペクト比が決まってくると考えられるが、その制御は非常に難しく、含有されるアスペクト比の分布を任意に調整することはできず、通常、アスペクト比の分布は、正規分布に従うかたちになる。
【0005】
これとの関連技術で特許第2578377号公報には、同じくハロゲン化銀または銀微粒子を用いて、比較的広いバンドで高消光比を示す偏光ガラスの開示がなされている。これによれば、従来大気圧下で行っていた焼成工程を加圧還元雰囲気中で行うことにより、ガラスの偏光作用が機能する有効なバンド幅を広げることができるというものである。このような偏光ガラスは、上述したように比較的広いバンドで高消光比を示すものの、その作製に多くの工程を要するという問題がある。さらには、上記特開昭56−169140号公報に示される偏光ガラスと同様に、ガラスを伸長させる際および還元を行う際の圧力や熱処理条件の制御が非常に難しく、安価にしかも大量に均一な偏光ガラスを作製することは困難である。
【0006】
一方、特公平8−27409号公報には、偏光層中で磁性微粒子を磁場により一定方向に配列させるとともに、これらを連結させて多数の棒状素子を形成させた偏光板が提案されている。この棒状素子は、複数の略球状素子が磁場配向により連結されて棒状に形成されたものである。従って、棒状を構成する磁性微粒子の数を制御することは極めて困難であるといえる。そのため、棒状素子の形状が均一にならず、アスペクト比およびその分布の状態を制御することは極めて困難である。また、連結により形成された棒状素子は、素子を構成する各磁性微粒子が連結部分で自由に方向を替え得るため、全ての棒状素子を磁場配向方向にきちんと直線上に配列させることが困難である。従って、この提案において、広い波長領域で万遍なく高い消光比を確保することは難しい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような実状のもとに、本発明は創案されたものであって、その目的は、安価、かつ大量生産が可能であることはもとより、実用的な使用の観点から広い波長領域で万遍なく高い消光比、透過率が得られる偏光板を提供することにある。
【0008】
しかも用いる光の波長に応じて、偏光特性の最適化が容易に図られる偏光板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明は、光を制御し偏光を取り出すための偏光層を備える偏光板の製造方法であって、該方法は、予備データとして光の種々の波長に対して最適な消光比が得られるアスペクト比が正規分布を有する棒状偏光粒子の平均アスペクト比を求める工程と、使用する波長帯域に応じて、前記の予備データから使用する波長帯域の短波長側(λ1)で消光比に優れる平均アスペクト比R1を持つ第1の棒状偏光粒子を選定するとともに、さらに前記の予備データから使用する波長帯域の長波長側(λ2)で消光比に優れる平均アスペクト比R2をもつ第2の棒状偏光粒子を選定する工程と、透光性のある微粒子分散媒体に、前記選定された棒状偏光粒子を分散させて塗料を作製する工程と、前記塗料を基板上に塗設した後、棒状偏光粒子を磁場配向により一定方向に配列させて偏光層を形成する工程と、を有するように構成される。
また、本発明の好適な態様として、前記棒状偏光粒子は、それぞれ、棒状の酸化物強磁性体粒子と、その表面に被覆された導電性膜を有してなるように構成される。
【0010】
また、本発明の好適な態様として、前記酸化物強磁性体粒子は、二酸化クロムとして構成される。
【0011】
また、本発明の好適な態様として、前記酸化物強磁性体粒子は、酸化鉄として構成される。
【0012】
また、本発明の好適な態様として、前記導電性膜は、金、銀、銅、ニッケル、またはスズから構成される。
また、本発明の好適な態様として、前記棒状偏光粒子の平均アスペクト比は、1.5〜30の範囲内にあるように構成される。
【0013】
また、本発明の好適な態様として、さらに平均アスペクト比Rxの棒状偏光粒子(ただしRxは、R1<Rx<R2の範囲内のなかから選定された少なくとも1種以上のもの)が添加され混合されてなるように構成される。
また、本発明の好適な態様として、前記棒状の酸化物強磁性体粒子の表面に被覆された導電性膜は無電解メッキにより形成されてなるように構成される。
【0014】
また、本発明の好適な態様として、前記透光性のある微粒子分散媒体は、熱硬化性樹脂、反応性硬化性樹脂、紫外線ないし電子線硬化樹脂を含有してなるように構成される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1には、本発明の偏光板1の好適な実施の形態を示す断面図が示されている。
【0016】
図1に示されるように本発明の偏光板1は、基板2の上に、偏光層10が塗設されて形成されている。
【0017】
偏光層10は、透光性のある微粒子分散媒体20と、この微粒子分散媒体20中に分散されるとともに磁場配向により一定方向に配列された複数の棒状偏光粒子30を有している。
【0018】
棒状偏光粒子30は、図2の粒子概念図に示されるように棒状の酸化物強磁性体粒子31と、その表面に被覆された導電性膜35を有して構成される。
【0019】
棒状の酸化物強磁性体粒子31としては、単一の一体的な形状であって、かつ針状等の棒状形状が容易に得られる二酸化クロム(CrO2 );γ−Fe2 O3 ,Fe3 O4 などの酸化鉄等が好適に用いられる。酸化鉄にあっては、Co等の遷移金属が含有されたものであってもよい。
【0020】
このような酸化物強磁性体粒子31は、棒状形状を安価かつ容易につくることができ、しかも、長軸長と短軸長の比であるアスペクト比を種々かえたものが容易にできるという特徴を有している。これらの中でも、特に、針状形態の均一性および表面性に優れ(例えば、表面凹凸が少なく針状先端での枝分かれがない)、アスペクト比をかなりの範囲まで自由に変えて作ることができる二酸化クロム(CrO2 )を用いるのがよい。
【0021】
さらに本発明では、偏光層10に含有される棒状偏光粒子30は、平均アスペクト比の異なる2種以上の棒状偏光粒子が混在した状態で存在する。広い波長領域で万遍なく高い消光比、透過率を備える偏光板とするためである。なお、棒状偏光粒子は、同一材質あるいは異種材質いずれであってもよいが、通常は同一材質であって平均アスペクト比の異なる2種以上のものを用いるのが一般的である。使用する光の波長帯域に対応して、具体的に平均アスペクト比の異なる2種以上の棒状偏光粒子を選定する好適例を以下に説明する。
【0022】
まず最初に、予備データとして光の種々の波長に対して最適な消光比(高い消光比)が得られる棒状偏光粒子30の平均アスペクト比を求めておく。なお、波長との関係で最適な平均アスペクト比は、用いる棒状偏光粒子30の材質によっても変わってくるから、波長と最適平均アスペクトとの関係は上記の材質ごとに求めておくことが好ましい。そして、偏光層10の設計に際して、使用対象として考えている波長帯域をλ1〜λ2とする。上記の予備データから使用する波長帯域の短波長側(λ1)で消光比に優れる平均アスペクト比R1を持つ第1の棒状偏光粒子を選定し、次に、上記の予備データから使用する波長帯域の長波長側(λ2)で消光比に優れる平均アスペクト比R2をもつ第2の棒状偏光粒子を選定する。これらの第1および第2の棒状偏光粒子は後述するように偏光層10に均一に分散され、磁場配向により一定方向に配列される。このように本発明では目標とする波長帯域λ1〜λ2に対応して偏光特性の最適化が容易に得られる。
【0023】
第1および第2の棒状偏光粒子のアスペクト比分布は一般には、それぞれ正規分布をとり、各々の粒子群のアスペクト比の平均がそれぞれ平均アスペクト比R1および平均アスペクト比R2となる。従って、偏光層10中に存在する棒状偏光粒子のアスペクト比分布を調べると、平均アスペクト比の異なる2種以上の棒状偏光粒子を混在させてなる本発明のものは、1種のみの棒状偏光粒子を含有させたものとはそのアスペクト比分布が異なり、両者の判別は容易にできる。
【0024】
使用対象として考えている光の波長帯域λ1〜λ2が比較的狭い場合には、上記の平均アスペクト比が異なる2種(平均アスペクト比R1およびR2の2種)だけを用いてもよいが、波長帯域が広くなるにつれ、さらに平均アスペクト比Rxの棒状偏光粒子を加えることが実用上好ましい。ここで、Rxは、R1<Rx<R2の範囲内のなかから選定された少なくとも1種以上のものであり、例えば、R1=8、R2=16とすると、Rx=10,12,14の3種を選定して加えることなどが例示できる。これにより、広い波長領域で万遍なく高い消光比を確実に確保することができる。
【0025】
このように平均アスペクト比の異なる2種以上の棒状偏光粒子を適宜混在させて構成できるのは、本発明の棒状偏光粒子が棒状の酸化物強磁性体粒子と、その表面に被覆された導電性膜を有してなる構成を採択していることに起因し、従来開示されている技術からは到底実現できるものではない。
【0026】
本発明で用いられる棒状偏光粒子30(棒状の酸化物強磁性体粒子31)のアスペクト比は特に限定されるものではないが、通常、アスペクト比1.5〜30の範囲内が好ましい。上述したように、均一のアスペクト比(1種類の平均アスペクト比)を持つ酸化物強磁性体粒子31を用いた場合、高い消光比を示す波長はかなり狭い範囲に限定される。しかしながら本発明では、ある範囲を持った波長帯ですべて高い消光比が得られるように、複数種類のアスペクト比を持つ棒状偏光粒子30(棒状の酸化物強磁性体粒子31)を用いている。なお、棒状の酸化物強磁性体粒子31の長軸長は、通常、0.01〜1μm程度のものが用いられる。
【0027】
このような酸化物強磁性体粒子31の表面には、上述したように導電性膜35が被膜されて棒状偏光粒子30が形成される。導電性膜35としては、導電性の良い金、銀、銅、ニッケル、スズなどの金属材料が用いられる。本発明ではこのような導電性膜35を形成させることによって、棒状偏光粒子30表面に自由電子を存在せしめ、この自由電子の振動により、所定方向の光の振動を吸収させて偏光をとりだすように作用させている。
【0028】
すなわち、図2において、棒状偏光粒子30の長軸方向と光の電界の振動する方向が平行な場合、その光は導電性膜35の自由電子が振動することにより吸収される。これとは反対に、棒状偏光粒子30の長軸方向と光の電界の振動する方向が垂直な場合、その光は棒状偏光粒子30の影響を受けずに通過する。
【0029】
導電性膜35の形成は、例えば、無電解メッキ法や、真空蒸着法、真空スパッタ法等の手法を用いて行えばよい。また、棒状偏光粒子30を一定方向に配列させる磁場配向処理は、微粒子分散媒体未乾燥の間に永久磁石、電磁石、ソレノイド等の磁界発生手段を用いて行えばよい。配向方向は、通常、基板の搬送方向に沿って行われるのが一般的であるが、特別な仕様もあり、特に限定されない。
【0030】
透光性のある微粒子分散媒体20としては、例えば、各種透明の樹脂微粒子分散媒体を用いればよい。偏光層10は、塗設により形成されるため、樹脂微粒子分散媒体としては、最終的に硬化処理できる熱硬化性樹脂、反応性硬化性樹脂、紫外線ないし電子線硬化樹脂等を含有させることが望ましい。
【0031】
微粒子分散媒体20に対する上記棒状偏光粒子30の含有率は、偏光層10の偏光特性が損なわれない範囲で適宜選定すればよい。棒状偏光粒子30の含有率が小さ過ぎると、十分な偏光特性が得られず、また、棒状偏光粒子30の含有率が大き過ぎると棒状偏光粒子30間同士の干渉が起こり、偏光特性に変化が生じる場合がある。
【0032】
上述したような偏光層10が形成される基板2としては、透光性のあるガラス、プラスチック等を用いればよい。その形状は、目的、用途に応じて種々の形態ものを選定すればよい。
【0033】
また、本発明においては、基板2の存在は必須の要件ではなく、偏光層10を形成した後に、除去するようにしてもよい。たとえば、基板2をポリビニルアルコールで作製しておき、この基板2の上に、偏光層10を塗布、配向、乾燥・硬化させた後、基板2ごと水に浸漬させる。そして、基板2の構成材料であるポリビニルアルコールを水または熱水に溶かすことにより、偏光層10のみからなる偏光板が得られる。基板2を除去することにより、光の透過率が向上するという効果が発現する。なお、このような製造方法においては、偏光層10を塗設する際の塗料中の微粒子分散媒体等は、耐水性に優れるものを用いる必要がある。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0035】
(実施例1)
棒状偏光粒子30の作製
棒状の酸化物強磁性体粒子31として、針状の二酸化クロム(CrO2 )を用意した。この二酸化クロムは、平均アスペクト比(長軸長/短軸長)11,13,および15からなる3種類の二酸化クロム粒子を混合して調整したものである。混合割合は、重量で約1:1:1とした。二酸化クロムの長軸の長さは、0.2〜0.3μmであり、極めて形状の均一性に優れていた。この針状の二酸化クロムの表面に、銀からなる導電性膜35を無電解メッキにより被膜形成し、棒状偏光粒子30を作製した。銀被膜がされた後の棒状偏光粒子30は、被膜前の状態と比べて大きさが若干大きくなったが、長軸と短軸の比に大きな変化は見られなかった。
【0036】
偏光板サンプルの作製
まず、ポリビニルアルコールを純水に溶かし、濃度10%の溶液を500ml作製した。次に、この溶液に上記棒状偏光粒子30を0.05g分散させて偏光層形成のための塗料を作製した。
【0037】
この塗料を透明ガラス基板2の上に、ドクターブレード法により塗設した。基板2の上に塗料を塗設した後、上記の微粒子分散媒体溶液が完全に硬化してポリビニルアルコール膜になる前に、図3に示されるように基板2を挟むように配置された一対の配向磁石50,50により磁場を一定方向に印加し、棒状偏光粒子30を磁場の印加方向に整列させ、しかる後、微粒子分散媒体を完全に硬化させ(ポリビニルアルコール膜の形成)、偏光板サンプルを作製した。なお、微粒子分散媒体であるポリビニルアルコール膜の硬化は、120℃、10分の加熱条件により行った。
【0038】
偏光板サンプルの評価
このようにして作製した偏光板サンプルについて、波長800nm〜1000nmの波長可変光源を用いて消光比の測定を行ったところ、いずれの波長でも消光比が20dB以上という高い値が得られた。
【0039】
これとの比較のため、二酸化クロムの平均アスペクト比が11単独のものを用い、それ以外は上記実施例の偏光サンプルと全く同じ方法で比較サンプルを作製し、同様にして消光比の測定を行ったところ、波長800nmでは消光比22dBが得られたものの、波長1000nmでは消光比は7dBであった。
【0040】
また、同様に二酸化クロムの平均アスペクト比が15単独のものを用い、それ以外は上記実施例の偏光サンプルと全く同じ方法で比較サンプルを作製し、同様にして消光比の測定を行ったところ、波長1000nmでは消光比23dBが得られたものの、波長800nmでは消光比は10dBであった。
【0041】
これにより、本発明のごとく平均アスペクト比の異なる2種以上の棒状偏光粒子を混在させて偏光板を作製することにより、ある幅をもった波長に対して万遍なく高い消光比が得られることが確認できた。
【0042】
なお、銀被膜を行わない棒状偏光粒子を用い、それ以外は上記の本発明の偏光板サンプルと全く同じ方法で比較サンプルを作製し、同様にして消光比の測定を行ったところ偏光面による消光はほとんど起こらなかった。
【0043】
【発明の効果】
上記の結果より本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明は、光を制御し偏光を取り出すための偏光層を備える偏光板の製造方法であって、該方法は、予備データとして光の種々の波長に対して最適な消光比が得られるアスペクト比が正規分布を有する棒状偏光粒子の平均アスペクト比を求める工程と、使用する波長帯域に応じて、前記の予備データから使用する波長帯域の短波長側(λ1)で消光比に優れる平均アスペクト比R1を持つ第1の棒状偏光粒子を選定するとともに、さらに前記の予備データから使用する波長帯域の長波長側(λ2)で消光比に優れる平均アスペクト比R2をもつ第2の棒状偏光粒子を選定する工程と、透光性のある微粒子分散媒体に、前記選定された棒状偏光粒子を分散させて塗料を作製する工程と、前記塗料を基板上に塗設した後、棒状偏光粒子を磁場配向により一定方向に配列させて偏光層を形成する工程と、を有するように構成されているので、安価、かつ大量生産が可能であることはもとより、実用的な使用の観点から広い波長領域で高い消光比、透過率を持つ偏光板が得られる。しかも用いる光の波長に応じて、偏光特性の最適化が容易に図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偏光板の好適な実施の形態を示す断面図である。
【図2】棒状偏光粒子の構造を分かりやすく説明するための断面図である。
【図3】磁場配向の状態の一例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1…偏光板
2…基板
10…偏光層
20…微粒子分散媒体
30…棒状偏光粒子
31…棒状の酸化物強磁性体粒子
35…導電性膜
Claims (9)
- 光を制御し偏光を取り出すための偏光層を備える偏光板の製造方法であって、
該方法は、予備データとして光の種々の波長に対して最適な消光比が得られるアスペクト比が正規分布を有する棒状偏光粒子の平均アスペクト比を求める工程と、
使用する波長帯域に応じて、前記の予備データから使用する波長帯域の短波長側(λ1)で消光比に優れる平均アスペクト比R1を持つ第1の棒状偏光粒子を選定するとともに、さらに前記の予備データから使用する波長帯域の長波長側(λ2)で消光比に優れる平均アスペクト比R2をもつ第2の棒状偏光粒子を選定する工程と、
透光性のある微粒子分散媒体に、前記選定された棒状偏光粒子を分散させて塗料を作製する工程と、
前記塗料を基板上に塗設した後、棒状偏光粒子を磁場配向により一定方向に配列させて偏光層を形成する工程と、を有することを特徴とする偏光板の製造方法。 - 前記棒状偏光粒子は、それぞれ、棒状の酸化物強磁性体粒子と、その表面に被覆された導電性膜を有してなる請求項1に記載の偏光板の製造方法。
- 前記酸化物強磁性体粒子は、二酸化クロムである請求項2記載の偏光板の製造方法。
- 前記酸化物強磁性体粒子は、酸化鉄である請求項2記載の偏光板の製造方法。
- 前記導電性膜は、金、銀、銅、ニッケル、またはスズである請求項2記載の偏光板の製造方法。
- 前記棒状偏光粒子の平均アスペクト比は、1.5〜30の範囲内にある請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
- さらに平均アスペクト比Rxの棒状偏光粒子(ただしRxは、R1<Rx<R2の範囲内のなかから選定された少なくとも1種以上のもの)が添加され混合されてなる請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
- 前記棒状の酸化物強磁性体粒子の表面に被覆された導電性膜は無電解メッキにより形成されてなる請求項2ないし請求項7のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
- 前記透光性のある微粒子分散媒体は、熱硬化性樹脂、反応性硬化性樹脂、紫外線ないし電子線硬化樹脂を含有してなる請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
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