JP3752006B2 - キネマティック測量の方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、座標が既知地点に設置される固定局用GPS受信機と、座標が未知地点に設置される移動局用GPS受信機とを用い、前記移動局用GPS受信機を順次測定対象地点に移動させて測量を行なうキネマティック測量に関し、特に、初期アンビギュイティ解を簡単に求めることができるキネマティック測量に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
GPSシステムを利用する測量が知られており、この種の測量では、複数(4個以上)の衛星から発信される電波を同一時刻に複数のGPS受信機で受信して、GPS受信機間で受信された電波の位相差を演算処理することにより求め、地球上の地点間の距離や方位を測定する。
【0003】
ところで、この種の測量には、一方のGPS受信機を座標の既知地点に固定し、他方のGPS受信機を未知地点に固定して行うスタティック測量と、他方のGPS受信機を順次未知地点(測定対象地点)に移動させるキネマテッイク測量とがある。
このような2つの測量において、特に、後者のキネマテッイク測量では、未知地点の位置座標を求める際に、未知数として解く必要があるのは、未知地点の座標値以外に、GPS衛星の搬送波位相の二重差に含まれる初期アンビギュイティ解があり、これを何らかの方法により決定しなければならない。
【0004】
そこで、従来は、▲1▼既知地点と未知地点とにそれぞれGPS受信機を設置し、30分から1時間程度衛星からの電波信号を受信し、この受信により得られた情報から初期アンビギュイティ解を決定するスタティックスタート法、▲2▼GPS受信機のGPSアンテナと受信機をそっくりそのまま交換して、衛星からの電波信号を受信し、この受信によって得られた情報から初期アンビギュイティ解を決定するアンテナスワップスタート法、▲3▼一方のGPS受信機が設置される既知地点以外の別の既知地点に他方のGPS受信機を設置して、初期アンビギュイティ解を決定する既知点スタート法のいずれかが採用されていた。
【0005】
しかしながら、このような従来のアンビギュイティ解の決定方法には、以下に説明する技術的な課題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、まず、スタティックスタート法では、キネマティック測量の開始前に、1時間程度のスタティック測量を行なう必要があるので、非常に時間がかかる。また、アンテナスワップスタート法では、アンテナをそっくり取り替えるといった面倒な操作を行う必要があって、一人でこの作業を行なうことは、無理がある。さらに、既知点スタート法では、前もって2つの既知地点を設定しなければならないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、長時間のデータ収集や面倒な操作を行うことなく、しかも、1つの既知地点の設定によりアンビギュイティ解を決定することができるキネマティック測量の方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、座標が既知地点に設置される固定局用GPS受信機と、座標が未知地点に設置される移動局用GPS受信機とを用い、前記移動局用GPS受信機を順次測定対象地点に移動させて測量を行うキネマティック測量に際して、前記移動局用GPS受信機を移動させて測定を行う前に、前記固定局用GPS受信機のアンテナの直下に前記移動局用GPS受信機のアンテナを設置して、初期アンビギュイティ解を求める測定を行うようにした。 このように構成されたキネマティック測量の方法では、移動局用GPS受信機のアンテナを設置する地点は、固定局用GPS受信機のアンテナが設置されている直下なので、移動局用GPS受信機のアンテナの位置は、固定局用GPS受信機のアンテナと二次元方向において同一となる。従って、移動局用GPS受信機のアンテナの高さが判ると、移動局用GPS受信機のアンテナの三次元座標が特定され、結果的には、移動局側のアンテナを既知地点に設置した場合と同じことになり、これにより初期アンビギュイティ解を求めることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1および図2は、本発明にかかるキネマティック測量の方法一実施例を示している。同図に示すキネマティック測量の方法では、座標が既知地点P(x1 ,y1 ,z1 )に設置される固定局用GPS受信機10と、座標が未知地点に設置される移動局用GPS受信機12とが用いられる。
【0010】
固定局用GPS受信機10は、三脚14に支持され、地上からの高さがhの位置に設置されたアンテナ10aを有している。移動局用GPS受信機12は、固定局用のものと同様にアンテナ12aが接続されている。本実施例のキネマティック測量では、まず、固定局用GPS受信機10のアンテナ10aを既知地点P(x1 ,y1 ,z1 )の直上に固定しておき、衛星からのGPS電波を受信する。
【0011】
固定局用GPS受信機10は、移動局GPS受信機12が作動を開始してもそのままGPS電波を受信し続ける。次に、移動局用GPS受信機12のアンテナ12aが、固定局用GPS受信機10のアンテナ10aの直下に設置され、同様に衛星からのGPS電波を受信する。このとき受信する衛星は、最低4個必要とする。
【0012】
この場合、移動局側のアンテナ12aは、固定局側のアンテナ10aよりも低い位置に設置しており、初期アンビギュイティ解を求める測定状態から、キネマティック測量に移行するときに、衛星からの受信が途切れる可能性があるので、移動局用GPS受信機12では、4個よりも多い衛星からの電波を受信しておくことが望ましい。
【0013】
そして、このような状態で初期アンビギュイティ解を求めるためにあるエポック分のデータを取得した後に、移動局側のアンテナ12aとGPS受信機12とを、測定対象地点(未知地点)に移動するキネマティック測量に移行する。
ここで、初期アンビュギュイティ解を求めるための測定時の条件は、移動局側のアンテナ12aの座標をQ(x2 ,y2 ,z2 )とすると、アンテナ12aを固定局側のアンテナ10aの直下に設置しているので、
x1 ≒x2
y1 ≒y2
z1 =z2 +Δh
となる。
【0014】
従って、これらの地点P,Qにおける座標差は、Δx≒0,Δy≒0,Δz=Δhである。つまり、Δhが既知であれば、移動局側のアンテナ12aを既知地点に設置した場合と同じことになり、これにより初期アンビギュイティ解を求めことができる。
次に、このような座標値に基づいて、初期アンビュイティ解を求める手順について、図2に基づいて説明する。なお、この手順を実行するコンピュータは、固定局及び移動局用GPS受信機10,12のデータを読み込んで処理するオフラインのパーソナルコンピュータ、あるいは両受信機10,12またはいずれか一方の受信機のデータを無線機などで伝送されてくるものを受信するオフラインのパーソナルコンピュータに行なわせることができる。
【0015】
図2に示す手順がスタートすると、まず、ステップs1で、固定局側のアンテナ10aが設置されている点K1 の座標値(x1 ,y1 ,z1 +h)を計算する。次いで、ステップs2で、移動局側のアンテナ12aが設置されている点R1 の座標値(x1 ,y1 ,z1 +h−Δh)を計算し、ステップs3で、得られた座標値K1 (x1 ,y1 ,z1 +h),R1 (x1 ,y1 ,z1 +h−Δh)をBessel(楕円体)座標系に変換する(K1 →K2 , R1 →R2 )。
続くステップs4では、Bessel座標系の座標値K2 , R2 をWGS84系の座標値に変換する。
【0016】
そして、ステップs5で、K2 , R2 を初期アンビギュイティ解を求める式に代入して、解を求めて、手順が終了する。ここで、初期アンビギュイティ解を求める式は、{(測定位相のDouble Difference)−(疑似距離のDouble Difference)}/λ=N(初期アンビギュイティ解)である。
【0017】
この場合、測定位相のDouble Differenceや疑似距離のDouble Differenceは、受信している衛星の座標値およびK2 , R2 を用いて演算する。また、λは、C(光速)/1575.42×106 とする。
ところで、地点P,Qにおける座標差Δhは、何らかの方法で測定することになるが、この場合に、図3に示すような手段が推奨される。同図(A)に示した手段は、固定局側のアンテナ10aが設置される三脚14の定心桿14aに、長さ(l)が既知の合成樹脂製の棒状補助具20を垂設している。
【0018】
この棒状補助具20の下端には、移動局側のアンテナ12aの上面に摺接する湾曲面を備えた拡径部200が設けられていて、この拡径部200がアンテナ12aの頂部に設けられた当マーク12cに当接するようにして、アンテナ12aを設置する。
図3(B)に示した手段では、三脚14の定心桿14aの下端に、目盛り付き補助具20aを取り付けている。この補助具20aの下端には、アンテナ12aの載置台200aが設けられている。載置台200aは、目盛付き補助具20aをスライドまたは固定する。すなわち、上側のアンテナと下側のアンテナの距離を定数として得られるようにしている。
【0019】
図3(C)に示した手段では、高さ位置が既知の小三脚20bを用意し、この小三脚20b上にアンテナ12aを設置し、この状態で、アンテナ12aを固定局側のアンテナ10aの直下に設置する。
図3(D)に示した手段は、高さ位置が既知の小ポール20cを準備し、この小ポール20c上にアンテナ12aを設置して、アンテナ12aを固定局側のアンテナ10aの直下に設置する。このような補助具を使用してアンテン12aを固定局側のアンテナ10aの直下に設置すると、移動局側のアンテナ12aを正確にアンテナ10aと同軸上に位置決めした状態で設置することが可能になり、初期アンビギュイティを求めるための測定が簡単に行える。
【0020】
以上のようにして、初期アンビギュイティ解が求められると、移動局用GPS受信機12とともにアンテナ12aを順次未知地点に移動させて測定が行なわれる。さて、以上のように構成されたキネマティック測量では、移動局用GPS受信機12のアンテナ12aを設置する地点は、固定局用GPS受信機10のアンテナ10aが設置されている直下なので、移動局用GPS受信機12のアンテナ12aの位置は、固定局用GPS受信機10のアンテナ10aと二次元方向において同一となる。
【0021】
従って、移動局用GPS受信機12のアンテナ12aの高さが判ると、移動局用GPS受信機12のアンテナ12aの三次元座標が特定され、長時間のスタティック測量を行なうことなく、また、アンテナを取り替えるといった面倒な操作を行うことなく、さらには、前もって2つの既知地点を設定することなく、初期アンビギュイティ解を求めことができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るキネマティック測量の方法によれば、長時間のスタッティック測量やアンテナの取替え作業および2つの既知地点の設定を行うことなく、初期アンビギュイティ解が求められるので、測量の迅速性を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるキネマティック測量における初期アンビギュィティ解を求めるための測定状態の説明図である。
【図2】本発明にかかるキネマティック測量で初期アンビギュイティ解を求める際の手順の一例を示すフローチャート図である。
【図3】本発明にかかるキネマティック測量で移動局側のアンテナを固定局側のアンテナの直下に設置する際の4つの手段を示す説明図である。
【符号の説明】
10 固定局用GPS受信機
10a アンテナ
12 移動局用GPS受信機
12a アンテナ
Claims (1)
- 座標が既知地点に設置される固定局用GPS受信機と、座標が未知地点に設置される移動局用GPS受信機とを用い、前記移動局用GPS受信機を順次測定対象地点に移動させて測量を行うキネマティック測量に際して、
前記移動局用GPS受信機を移動させて測定を行う前に、前記固定局用GPS受信機のアンテナの直下に前記移動局用GPS受信機のアンテナを設置して、初期アンビギュイティ解を求める測定を行うことを特徴とするキネマティック測量の方法。
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JP495796A JP3752006B2 (ja) | 1996-01-16 | 1996-01-16 | キネマティック測量の方法 |
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JPH09196670A JPH09196670A (ja) | 1997-07-31 |
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1996
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