JP3750686B2 - 改質ふっ素樹脂成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、架橋ふっ素樹脂成形体の表面に官能基を有する有機化合物をグラフトさせた改質ふっ素樹脂成形体に関し、より詳細には、架橋ふっ素樹脂の主鎖ポリマーに特定の側鎖モノマーをグラフト共重合させて、イオン交換性、親水性、接着性又は耐摩耗性等の特性を改善した改質ふっ素樹脂成形体に関するものである。
ふっ素樹脂の中でもテトラフルオロエチレン系重合体(以下「PTFE」という)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体(以下「PFA」という)及びテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体(以下「FEP」という)は、放射線崩壊型の樹脂として知られており、ごく少量の電離性放射線の照射によって樹脂の機械的強度が著しく低下し、材料として使用に耐えないことが知られている。例えば、PTFEは、空気中のγ線照射では5kGyの照射でその破断時の機械的強度は10MPa以下、伸びは100%以下となり、真空中照射でも15kGyの照射で15MPa以下、100%以下となる。
通常樹脂のグラフト体は、ベースとなる樹脂の機械的強度が低ければ実用に供することができない。従って、上記のようなふっ素樹脂に電離性放射線を用いて官能基を有する放射線グラフト可能な有機化合物(官能性単量体)をグラフトするには、10kGy程度のごく少ない照射線量でグラフト反応を起こさせないと、機械的強度の低下を招くことになる。このように、従来のふっ素樹脂の放射線グラフトにおいては、樹脂の機械的強度と官能性有機化合物のグラフト量とは相反する関係にあり、照射線量を少なくするとグラフト反応が不十分であるため官能基の特性を十分に発揮できず、照射線量を多くしてグラフト反応を十分に起こさせると、ベースとなるふっ素樹脂の機械的強度や伸びが低下し、実用に供し得ないものとなる。
本発明の目的は、十分な機械的強度を有し、しかも、イオン交換性、親水性、接着性あるいは耐摩耗性等の特性を十分に付与できる改質ふっ素樹脂成形体を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、ふっ素樹脂にその融点以上の温度で電離性放射線を照射して架橋させてなる架橋ふっ素成形体の主鎖ポリマーに、官能基を有する有機化合物からなる側鎖モノマーがグラフト共重合されてなる改質ふっ素樹脂を提供する。本発明によれば、ふっ素樹脂成形体の機械的特性を損なうことなく種々の特性を付与することが可能となり、引張破断強度が10MPa以上、伸びが50%以上の改質ふっ素樹脂成形体を実現できる。なお、ここにおける引張破断強度及び伸びは、JISK7161に準拠し、JISK7162のIA型の試験片を用い、引張速度200mm/min で測定したものである。
以上説明してきた本発明によれば、実施例と比較例との対比からも明らかなように、十分な機械的強度を有し、しかも、十分なイオン交換性、親水性、接着性あるいは耐摩耗性等の特性を付与した改質ふっ素樹脂を実現できるものであり、ふっ素樹脂の応用範囲を広げる上で大きく貢献するものである。
本発明に使用されるふっ素樹脂としては、前述したPTFE、PFA、FEPといったものをあげることができ、ふっ素樹脂成形体の形状は特に限定されるものではないが、シート状、フィルム状、ブロック状、繊維状のいずれでもよく、また、これら材料同士あるいはこれら材料と他の材料との積層体や複合体であってもよい。
上記PTFEの中には、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロピレン、(パーフルオロアルキル)エチレン、あるいはクロロトリフルオロエチレン等の共重合性モノマーに基づく重合単位を1モル%以下含有するものも含まれる。また、上記共重合体形式のふっ素樹脂の場合、その分子構造の中に少量の第3成分を含むことは有り得る。
本発明における架橋ふっ素樹脂成形体は、ふっ素樹脂に酸素濃度10torr以下の不活性ガス雰囲気下で、且つふっ素樹脂の融点以上に加熱された状態で電離性放射線を照射線量0.1kGy〜10MGyの範囲で照射することにより得ることができる。酸素濃度が10torrを越える雰囲気下では、十分な架橋効果を達成できず、また、電離性放射線の照射線量が0.1kGy未満では十分な架橋効果を達成できず、10MGyを越えると伸び等の著しい低下を招く。なお、架橋ふっ素樹脂成形体は、シート又はブロック等の形状のふっ素樹脂成形体に電離性放射線を照射して製造してもよく、また、電離性放射線を照射したふっ素樹脂粉末を圧縮成形等によりシート又はブロック等の形状に成形してもよい。
ふっ素樹脂を架橋するときの電離性放射線としては、γ線、電子線、X線、中性子線、あるいは高エネルギーイオン等が使用される。電離性放射線を照射するに際しては、ふっ素樹脂をその結晶融点以上に加熱しておく必要がある。例えば、ふっ素樹脂としてPTFEを使用する場合には、この材料の結晶融点である327℃よりも高い温度にふっ素樹脂を加熱した状態で電離性放射線を照射する必要があり、また、PFAやFEPを使用する場合には、前者が310℃、後者が275℃に特定される融点よりも高い温度に加熱して照射する。ふっ素樹脂をその融点以上に加熱することは、ふっ素樹脂を構成する主鎖の分子運動を活発化させることになり、その結果、分子間の架橋反応を効率良く促進させることが可能となる。但し、過度の加熱は、逆に分子主鎖の切断と分解を招くようになるので、このような解重合現象の発生を抑制する意味合いから、加熱温度はふっ素樹脂の融点よりも10〜30℃高い範囲内に抑えるべきである。
本発明の改質ふっ素樹脂成形体は、上記のようにして得た架橋ふっ素樹脂成形体の表面に官能基を有する有機化合物を電離性放射線の照射によりグラフトさせることにより得ることができる。放射線を用いるグラフト法には、ふっ素樹脂の主鎖ポリマーにあらかじめ放射線を照射してグラフトの起点となるラジカルを生成させた後、ふっ素樹脂を官能基を有する有機化合物と接触させる前照射法、官能基を有する有機化合物とふっ素樹脂の共存下に電離性放射線を照射する同時照射法とがあるが、本発明においてはいずれの方法をも採用できる。
電離性放射線としては、γ線、電子線、X線、陽子線などの100keV以上の放射線やイオンであって、ふっ素樹脂中を10〜100μm以上透過できるものをあげることができ、高エネルギーのプラズマなども用いることができる。電離性放射線の照射線量は10kGy〜5MGyが好ましく、10kGy未満では官能基の特性が有効に作用する程度のグラフト反応効果が達成されにくい傾向にあり、5MGyを越えると伸び等の著しい低下を招く傾向にある。また、電離性放射線を照射するときの温度が高くなると、ラジカルの消滅が起こるので、照射時の温度は室温ないしそれ以下が好ましい。更に、電離性放射線の照射は、不活性ガス雰囲気で行ってもよく、また、酸素の存在下で行ってもよい。
架橋ふっ素樹脂成形体にグラフト重合する官能基を有する有機化合物は、付与する特性に応じて適宜選択され、例えばイオン交換性を付与するときは、フェノール性水酸基、カルノン酸基、アミノ基、スルホン酸基などを有するものが使用され、また、アシルオキシ基、エステル基、酸イミド基はそのグラフト体を加水分解することによって定量的にフェノール性水酸基、スルホン酸基などに変え得るので、これらの官能基を含むものも同様にイオン交換性として使用可能である。イオン交換性の官能基を有する有機化合物の具体例としては、ヒドロオキシスチレン、アシルオキシスチレン、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、ビニルエステル、ビニルアミン化合物、ビニルピリジン、ビニルコハク酸イミド、ビニルスルホン酸エステル等のイオン交換性の官能基を有する有機化合物が使用される。
アシルオキシスチレンでは、置換基の位置がオルソ、メタ又はパラであり、アシル基に含まれる炭化水素基が炭素数1〜15の直鎖、あるいは分岐状の脂肪族、脂環式あるいは芳香族の炭化水素が好ましく、最も一般的には、パラアセロキシスチレンが用いられる。アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルなどのエステル類では、エステル基に含まれる炭化水素基は炭素数1〜20の直鎖、あるいは分岐状の脂肪族、脂環式あるいは芳香族の炭化水素基であることが好ましい。
親水性を付与するときの有機化合物としては、ヒドロオキシスチレン、2−ヒドロオキシメチルメタアクリレート、2−ヒドロオキシエチルメタアクリレート、ビニルアミン化合物、ビニルコハク酸イミド、ビニルスルホン酸、ビニルアルコールといったものをあげることができる。通常、PTFEの水に対する接触角は、100度であるが、本発明により親水性を付与した改質PTFEの水に対する接触角は10〜80度の範囲にあり、極めて親水性の高いものとなっていることが確認されている。
接着性を付与するときの有機化合物としていは、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニル基を有するカルバミン酸エステル、アクリロニトリルといったものをあげることができる。このように、接着性を付与することにより、金属及び他のプラスチックと容易に接着するようになる。金属としては、ステンレス、鋼、アルミニウム、クロム、ニッケル、鉄、スズ、亜鉛、鉛、マンガンなどが適している。これらの金属は、通常行われている表面処理、例えば、酸溶液による酸化処理などが行われていることが好ましいが、表面処理を行わない場合でも接着可能である。また、プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アセテート、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドなどが適している。
耐摩耗性を付与するときの有機化合物としては、ビニルシロキサン、クロロトリフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニルデン、フルオロスチレン、クロルスチレンといったものをあげることができる。
官能性を有する有機化合物は、有機溶剤に溶解し、溶液として放射線グラフト反応に用いることができる。この有機溶剤としては、有機化合物を均一に溶解するが、ふっ素樹脂は溶解しない有機溶剤が好ましく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族ないし脂環族炭化水素、あるいは混合溶媒が用いられる。これらのなかでも架橋ふっ素樹脂を膨潤させるものが好ましい。
放射線グラフト後の架橋ふっ素樹脂成形体に対しては、必要に応じて有機溶剤、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、あるいはこれらの混合物で洗浄してもよい。
また、イオン交換膜として使用するには、加水分解処理により、官能基であるアシルオキシ基やエステル基などを水酸基や酸基に変換する必要がある。この加水分解処理は、通常実施されているアシル基やエステル基の加水分解と同様に第1級アルコールエステルの加水分解に比して極めて容易であり、温和な条件で容易に実施することができる。すなわち、触媒として酸あるいは塩基を用い、これらの触媒を含有する水溶液、あるいは水と水溶性有機溶剤との混合溶液中にグラフト処理した架橋ふっ素樹脂を入れることにより、加水分解反応が行われる。加水分解反応は、主として不均一系で行われるので、反応基と触媒の親和性を高めるため、及び酸性触媒を用いた場合離脱した有機酸を溶解できるようにするため、アルコール、ケトンなどの水溶性有機溶剤と水との混合物中で行うのが望ましい。加水分解の反応温度は50〜100℃が適当である。
厚さ0.5mmのPTFEフィルム21gに対して酸素濃度0.5torrの窒素(800torr)ガス雰囲気下、340℃の加熱温度のもとで電子線(加速電圧2MeV)を照射線量300kGy照射し、架橋PTFEフィルムを得た。架橋前と架橋後のPTFEフィルムの融点と結晶化温度を走査型示差熱量計を用いて測定したところ、未架橋PTFEフィルムの融点は330℃、結晶化温度は310℃であったのに対し、架橋PTFEフィルムの融点は305℃、結晶化温度は277℃であった。また、架橋PTFEフィルムを電子スピン共鳴装置を用いて残存ラジカル量を測定したところ、残存ラジカルは全く認められなかった。
次に、H型ガラス製アンプルの一方にパラアセトキシスチレン50重量%とベンゼン50重量%の溶液100mlを入れ、真空中で凍結−融解を繰り返して脱気した。一方、架橋PTFEフィルムの7.5gを窒素ガス中、室温で500kGyの電子線(加速電圧2MeV、電流2.8mA)を照射した後、不活性ガス中でガラスアンプルのもう一方に入れ、10-3torr程度の真空にした。この後、パラアセトキシスチレンを含む溶液を融解して架橋PTFEフィルム側に移し、60℃で2時間反応させた。反応後、アンプルを開放してPTFEフィルムを取り出し、ベンゼン、次いでアセトンで洗浄し、減圧乾燥した。PTFEフィルムの反応前後の重量差から求めたグラフト率は30%であった。このフィルムを更にアセトン抽出を繰り返しても重量は変化しなかった。
グラフトした架橋PTFEフィルムを冷却管付フラスコに入れ、混合比が容量比で1:4である濃塩酸−メタノール溶液100ml中に入れ、湯浴中で30分間加熱した。得られた架橋PTFEフィルムの赤外線吸収スペクトルから、エステル基は完全に加水分解され、新たにフェノール性水酸基による吸収が認められた。このイオン交換膜の交換容量は3.5meV/g、40%NaOH水溶液中での電気抵抗は、20Ω・cm2であった。また、グラフト後の架橋PTFEフィルムの引張破断強度は18MPa、伸びは150%であった。
[比較例1]
厚さ0.5mmの未架橋のPTFEフィルムに対して実施例1と同様に電離性放射線を照射してグラフト処理を行った。グラフト処理後のPTFEフィルムの引張破断強度は5MPa以下、伸びは50%以下で非常にもろく、使用不可であった。
厚さ0.5mmのPTFEフィルム21gに対して実施例1と同様に電子線を照射して架橋PTFEフィルムを得た。この架橋PTFEフィルムに、空気中、常温で電子線を30kGy照射し、グラフトの前処理を行った。
次に、H型ガラス製アンプルの一方にパラアセトキシスチレン50重量%とベンゼン50重量%の溶液100mlを入れ、真空中で凍結−融解を繰り返して脱気した。一方、上記のグラフトの前処理を行った架橋PTFEフィルムを窒素ガス中でガラスアンプルのもう一方に入れ、10-3torr程度の真空にした。この後、パラアセトキシスチレンを含む溶液を融解して架橋PTFEフィルム側に移し、100℃で2時間反応させた。反応後、アンプルを開放してPTFEフィルムを取り出し、ベンゼン、次いでアセトンで洗浄し、減圧乾燥した。PTFEフィルムの反応前後の重量差から求めたグラフト率は30%であった。このフィルムを更にアセトン抽出を繰り返しても重量は変化しなかった。
グラフトした架橋PTFEフィルムを冷却管付フラスコに入れ、混合比が容量比で1:4である濃塩酸−メタノール溶液100ml中に入れ、湯浴中で30分間加熱した。得られた架橋PTFEフィルムの赤外線吸収スペクトルから、エステル基は完全に加水分解され、新たにフェノール性水酸基による吸収が認められた。このイオン交換膜の交換容量は3.0meV/g、40%NaOH水溶液中での電気抵抗は、20Ω・cm2であった。また、グラフト後の架橋PTFEフィルムの引張破断強度は13MPa、伸びは200%であった。
厚さ0.5mmのPTFEフィルム21g(大きさ約20cm×10cm)を酸素濃度0.5torrの窒素(800torr)ガス雰囲気下、330℃の加熱温度のもとで電子線(加速電圧2MeV)を照射線量100kGy照射し、架橋PTFEフィルムを得た。この架橋PTFEフィルムを、窒素ガス雰囲気中において、50℃以上の温度で50時間以上加熱して、残存ラジカルがほぼ完全に消滅したことを電子スピン共鳴装置で確認した。
架橋PTFEフィルムを2cm×10cmの短冊状に切断し、窒素ガス中、室温で500kGyの電子線(加速電圧2MeV、電流2.9mA)を照射した。この試料を不活性ガス中でガラス製アンプルに入れ真空とし、アンプルの一方からグリースレスコックを通してグリシジルメタアクリレートを80℃に加熱してできた蒸気を入れて約15分反応させることにより、グラフトさせた。反応後、アンプルを開放してPTFEフィルムを取り出し、アセトンで洗浄し、減圧乾燥した。PTFEフィルムの反応前後の重量差から求めたグラフト率は32%であった。このフィルムを更にアセトン抽出を繰り返しても重量は変化しなかった。このグラフト架橋PTFEフィルムの全反射赤外吸収スペクトルを測定した結果、1730cm-1にエステル結合のピークが観測された。また、グラフト後の架橋PTFEフィルムの引張破断強度は17MPa、伸びは180%であった。
グラフトした架橋PTFEフィルムを、脱脂処理のみ及び脱脂処理の後酸処理を行ったステンレス箔(SUS304、厚さ50μm)に、加熱温度280℃、プレス圧力15kg/cm2 でもって5分間加熱加圧して接着させ、複合フィルムを得た。
架橋PTFEフィルムのグラフト処理に際して、電子線の照射を空気中、室温で50kGyとした以外は実施例3と同様にしてグラフト架橋PTFEフィルムを得た。このグラフト架橋PTFEフィルムを実施例3と同様にしてステンレス箔に接着させ、複合フィルムを得た。
[比較例2]
厚さ0.5mmの未架橋のPTFEフィルムに対して実施例3と同様に電離性放射線を照射してグラフト処理を行い、グラフト処理後のPTFEフィルムを実施例2と同様にしてステンレス箔に接着させ、複合フィルムを得た。
[比較例3]
厚さ0.5mmのPTFEフィルムを実施例1と同様にして電離性放射線を照射線量10kGy照射してグラフト処理を行い、グラフト処理後のPTFEフィルムを実施例3と同様にしてステンレス箔に接着させ、複合フィルムを得た。
実施例3、4及び比較例2、3で得た複合フィルムのPTFEフィルムとステンレスとの接着性をしらべるため、角度180度での剥離による接着強度の測定、及び複合フィルムの180度折り曲げ後の目視による観察を行い、その結果を表1に示した。なお、接着強度の測定は、複合フィルムを幅10mmに切断し、引張速度200mm/min 、測定温度20℃で剥離試験により行った。
Figure 0003750686
厚さ0.5mmのPTFEフィルムを酸素濃度0.5torrの窒素(800torr)ガス雰囲気下、340℃の加熱温度のもとで電子線(加速電圧2MeV)を照射線量100kGy照射し、架橋PTFEフィルムを得た。架橋PTFEフィルムの融点は315℃、結晶化温度は290℃であった。
この架橋PTFEフィルムを0.1torrのアルゴンガス下で4kW、100kHzの同調型自動発振方式高圧電源を用い、片面のみを20m/min の処理速度で放電処理し、次いでジグリシジルメタクリレート5g、テトラヒドロフラン95gの溶液に接触させた後、真空乾燥させた。その後、これを窒素ガス雰囲気下、室温で15kGyの電子線(加速電圧2MeV)を照射しグラフト反応させた。グラフト後の架橋PTFEフィルムの引張破断強度は20MPa、伸びは200%であった。
エポキシ系接着剤エコボンド55(日本エイブルスティック(株))と触媒キャタリスト9(日本エイブルスティック(株))を100/12の割合で混合後、架橋PTFEフィルムのグラフト面に10μm厚さで塗布し、次いでアルミ板と貼り合わせ、プレス圧0.1MPaで12時間圧着させた。
[比較例4]
厚さ0.5mmのPTFEフィルムを実施例5と同様にして架橋処理を行い、グラフト反応を行わないで実施例3と同様にしてアルミ板と貼り合わせた。
実施例5及び比較例4で得たサンプルについて、角度180度での剥離による接着強度を測定したところ、実施例5のサンプルの接着強度は3kg/cm、比較例4のサンプルの接着強度は0.5kg/cmであった。なお、接着強度の測定は、複合フィルムを幅10mmに切断し、引張速度200mm/min 、温度20℃で行った。
実施例3と同様にして得た架橋PTFEフィルムを2cm×2cmの四角状に切断し、窒素ガス中、室温で50kGyの電子線(加速電圧2MeV、電流2.9mA)を照射した。H型ガラス製アンプルの一方にヒドロキシエチルメタクリレートとメタノールの等量混合液を100ml入れ、真空中で凍結−融解を繰り返して脱気した。一方、上記の架橋PTFEフィルムを不活性ガス中でガラスアンプルのもう一方に入れ、10-3torr程度の真空にして溶封した。この後、溶液を融解して架橋PTFEフィルム側に移し、60℃で1時間反応させ、反応後、アンプルを開封して架橋PTFEフィルムを取り出し、メタノール、次いでアセトンで洗浄し、減圧乾燥した。フィルムの反応前後の重量差から求めたグラフト率は35%であった。このフィルムを更にアセトン抽出を繰り返しても重量は変化しなかった。
架橋PTFEフィルムのグラフト処理に際して、電子線の照射を空気中、室温で100kGyとした以外は実施例6と同様にしてグラフト処理を行い、グラフト処理後も同様の処理を行った。
[比較例5]
未架橋のPTFEフィルム(2cm×2cm)に対して実施例6と同様に電離性放射線を照射してグラフト処理を行い、グラフト処理後も同様の処理を行った。
[比較例6]
未架橋のPTFEフィルム(2cm×2cm)に対して実施例4と同様にして電離性放射線を照射線量5kGy照射してグラフト処理を行い、グラフト処理後も同様の処理を行った。
実施例6、7及び比較例5、6で得たグラフトPTFEフィルムの水との接触角を測定した結果を表2に示した。なお、測定は、PTFEフィルムの表面をエタノールで洗浄し、乾燥後25℃の温度の下注射器でイオン交換水を約0.1ml滴下し、滴下5秒後フィルムと水との接触角を10倍の倍率で顕微鏡観察して行った。また、グラフトPTFEフィルムの180度折り曲げ後の目視による観察結果も併せて表2に示した。
Figure 0003750686

Claims (10)

  1. ふっ素樹脂にその融点以上の温度で電離性放射線を照射して架橋させてなる架橋ふっ素樹脂成形体の主鎖ポリマーに、官能基を有する有機化合物からなる側鎖モノマーがグラフト共重合されてなることを特徴とする改質ふっ素樹脂成形体。
  2. 前記官能基を有する有機化合物は、イオン交換性の官能基を有する有機化合物の群から選ばれた1種又は数種である請求項1記載の改質ふっ素樹脂成形体。
  3. 前記イオン交換性の官能基を有する有機化合物は、ヒドロオキシスチレン、アシルオキシスチレン、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、ビニルエステル、ビニルアミン化合物、ビニルピリジン、ビニルコハク酸イミド又はビニルスルホン酸エステルである請求項2記載の改質ふっ素樹脂成形体。
  4. 前記官能基を有する有機化合物は、親水性の官能基を有する有機化合物の群から選ばれた1種又は数種である請求項1記載の改質ふっ素樹脂成形体。
  5. 前記親水性の官能基を有する有機化合物は、ヒドロオキシスチレン、2−ヒドロオキシメチルメタアクリレート、2−ヒドロオキシエチルメタアクリレート、ビニルアミン化合物、ビニルコハク酸イミド、ビニルスルホン酸又はビニルアルコールである請求項4記載の改質ふっ素樹脂成形体。
  6. 前記官能基を有する有機化合物は、接着性の官能基を有する有機化合物の群から選ばれた1種又は数種である請求項1記載の改質ふっ素樹脂成形体。
  7. 前記接着性の官能基を有する有機化合物は、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニル基を有するカルバミン酸エステル又はアクリロニトリルである請求項6記載の改質ふっ素樹脂成形体。
  8. 前記官能基を有する有機化合物は、耐摩耗性の官能基を有する有機化合物の群から選ばれた1種又は複数種である請求項1記載の改質ふっ素樹脂成形体。
  9. 前記耐摩耗性の官能基を有する有機化合物は、ビニルシロキサン、クロロトリフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニルデン、フルオロスチレン又はクロルスチレンである請求項8記載の改質ふっ素樹脂成形体。
  10. ふっ素樹脂が、テトラフルオロエチレン系重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体及びテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の改質ふっ素樹脂成形体。
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