JP3750659B2 - コンピュータ用バックアップ電池パック - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、商用交流電源が正常な時には、電源装置内の駆動回路を駆動して、負荷(コンピュータボードなど)を駆動し、停電等の不測の事態が発生した時には、商用交流電源からの電力により充電された二次電池からの放電エネルギーにより前記負荷を駆動することができるようにバックアップ機能付電源装置に備えさせたコンピュータ用バックアップ電池パックに関する。尚、前記停電とは、電力(電流)供給が断たれることを指し、例えば電力会社からの供給電力が断たれる場合や、ブレーカが落ちたり、コンセントが抜ける、あるいは断線等により供給電力が断たれる場合を指すことにする。
【0002】
【従来の技術】
上記コンピュータ用バックアップ電池パックとしては、例えばコンピュータ用5.5インチハードディスクスペースに、24V又は12Vの出力電圧が得られるように12Vの鉛蓄電池を2個直列又は並列に接続した状態で収納している電池パックが知られている。
前記鉛蓄電池は、他の二次電池に比べてコスト面において有利であるため、根強い需要があるが、近年、環境問題などの点から二次電池に鉛蓄電池を使用しない地球環境に優しいコンピュータ用バックアップ電池パックが要望されている。
そこで、環境に優しい電池の種類により必要となる充電回路などを二次電池と共にパック化して、コンピュータ用バックアップ電池パックを構成したものが提案されている(例えば特開平8−182325号公報)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−182325号公報(図2(b)、図3(b)参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、二次電池の種類によって充電電圧や放電電圧が異なることが知られており、それらの電圧を二次電池毎に合致させなければ充電や放電が行えないことになるが、そのことについての記載が上記特許文献1に全く記載されていないため、実際には同一の電源装置に対して種類の異なる二次電池を接続して停電時に負荷を駆動することができないものであった。その点について具体的に説明する。
例えば、2V/セル×12セル=24Vの鉛蓄電池を充電する場合には、鉛蓄電池の両端電圧を2.3V/セル(1.15倍)×12セル=27.6Vの定電圧にしなければ充電できない。このため、鉛蓄電池を充電するための充電器出力は、27.6Vが最大となっている。
これに対してニッケル水素電池の場合には、鉛蓄電池と同じ電圧である24Vにするためには、1.2V/セル×20セル=24Vとなる。これを充電する場合には、ニッケル水素電池の両端電圧を1.5V/セル(1.25倍)×20セル=30Vにしなければ充電できない。しかも、ニッケル水素電池の場合には、定電流充電回路の最低入出力電圧降下が2V以上有るため、実際には30V+2V=32Vの充電器出力が必要になる。このことから、鉛蓄電池での充電器出力である27.6Vではニッケル水素電池を充電することができない。
そこで、前記ニッケル水素電池を充電することができるように、ニッケル水素電池のセル数を例えば18セルにすれば、1.5V/セル×18セル=27Vであるため、充電は可能であるが、放電時の出力が1.2V/セル×18セル=21.6V(鉛蓄電池の場合には24Vである)になる。このため、放電が開始すると、内部インピーダンス及びダイオードの順方向電圧のため、すぐに放電終止電圧まで電圧が下がってしまい、バックアップ時間が極端に短くなる結果、高価なニッケル水素電池を十分に活用することができず、ニッケル水素電池を単にパック化するだけでは鉛蓄電池と同等なバックアップを行うことができないものであった。
【0005】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、同一の電源装置に鉛蓄電池を除いた他の環境に優しい二次電池、特にニッケル水素電池を有効に活用することができるコンピュータ用バックアップ電池パックを提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のコンピュータ用バックアップ電池パックは、前述の課題解決のために、商用交流電源から供給される電力によりコンピュータを作動させるための駆動回路を備えた電源装置に、前記商用交流電源からの電力により充電可能で、かつ、停電時において放電してコンピュータのバックアップを行うための二次電池を備えてなるコンピュータ用バックアップ電池パックであって、前記二次電池を鉛蓄電池を除いた他の二次電池から構成し、前記二次電池からの放電電圧を昇圧させるための昇圧チョッパー回路を備えさせ、前記昇圧チョッパー回路からの出力電圧を、前記二次電池が放電することにより電圧降下して描かれる電圧波形にほぼ比例した状態で該二次電池の放電開始時から放電終止電圧に達するまで電圧降下させるための出力電圧制御回路を設けたことを特徴としている。
従って、鉛蓄電池の充電器出力と同じ又はそれよりも低い出力電圧になるように鉛蓄電池を除いた他の二次電池(例えばニッケル水素電池)セル数を設定し、その設定されたセル数により出力される値が鉛蓄電池の出力電圧と同一の値又はほぼ同じ値になるように昇圧チョッパー回路にて昇圧するのである。
又、前記昇圧チョッパー回路からの出力電圧を、前記二次電池が放電することにより電圧降下して描かれる電圧波形にほぼ比例した状態で該二次電池の放電開始時から放電終止電圧に達するまで電圧降下させるための出力電圧制御回路を設けることによって、昇圧チョッパー回路からの出力電圧を二次電池の放電による電圧降下に比例した状態で徐々に降下させることができる。これにより二次電池電圧低下信号と二次電池の放電終止点との間にコンピュータの終了処理を行わせるだけの時間差を持たせることができる。
【0007】
又、商用交流電源から供給される電力によりコンピュータを作動させるための駆動回路を備えた電源装置に、前記商用交流電源からの電力により充電可能で、かつ、停電時において放電してコンピュータのバックアップを行うための二次電池を備えてなるコンピュータ用バックアップ電池パックであって、前記二次電池を鉛蓄電池を除いた他の二次電池から構成し、前記二次電池からの放電電圧を昇圧させるための昇圧チョッパー回路を備えさせ、前記二次電池が、ニッケル水素電池である場合には、前記昇圧チョッパー回路を構成する電子部品を実装するためのプリント基板の一方の面に加熱素子、該加熱素子用駆動回路、該二次電池に備えてなる温度検出手段からの温度が設定温度以上になった場合に該加熱素子用駆動回路を停止する停止回路を設け、該プリント基板の他方の面に前記加熱素子からの熱を伝達するための薄板状の熱伝導層を備えさせると共に該熱伝導層の上面に間隔保持部材を介して前記ニッケル水素電池を配置してもよい。
請求項1と同様に、鉛蓄電池の充電器出力と同じ又はそれよりも低い出力電圧になるように鉛蓄電池を除いた他の二次電池(例えばニッケル水素電池)セル数を設定し、その設定されたセル数により出力される値が鉛蓄電池の出力電圧と同一の値又はほぼ同じ値になるように昇圧チョッパー回路にて昇圧するのである。
又、二次電池がニッケル水素電池の場合には、特に低温時(ほぼ10℃以下)に急速に内部インピーダンスが高くなるため、停電バックアップ時に負荷電流による電圧降下が大きくなり、バックアップ時間が極端に短くなったり、バックアップそのものができなくなる場合がある。このため、上記のように加熱素子にてニッケル水素電池を加熱することにより低温による不具合の発生を防止することができる。そして、ニッケル水素電池の加熱を直接行ってニッケル水素電池が部分的に不均一な温度になることがないように熱伝導層を介して間接的に行うことによりニッケル水素電池を均一に加熱することができるようにしている。しかも、熱伝導層の上面に間隔保持部材を介してニッケル水素電池を配置することによって、熱伝導層とニッケル水素電池との間に空間を設けることができ、その空間に空気熱の対流を発生させる事が可能になり、電池の温度分布を一層均一にすることができる。
また、前記二次電池が、ニッケル水素電池である場合には、前記昇圧チョッパー回路を構成する電子部品を実装するためのプリント基板の一方の面に加熱素子、該加熱素子用駆動回路、該二次電池に備えてなる温度検出手段からの温度が設定温度以下の場合には、前記電源装置からの電力により該加熱素子用駆動回路を駆動し、該温度検出手段からの温度が設定温度以上になった場合に該二次電池の充電を行うための切替手段を設けてもよい。つまり、電源装置からの電力を、充電時の電池温度が高放電可能な温度(例えば10℃以上)になるまでは二次電池の充電電力を加熱素子用駆動回路を駆動する電力として利用し、二次電池の温度が前記温度以上になってから充電に切り替えるのである。この場合、充電開始が遅れることになるが、用途によっては前回の放電量が少なく充電残量が充分に残っている場合がほとんどであり、多少充電開始が遅れても問題はない。また、充電に切り替わった時、加熱素子用駆動回路への電力が止まるため、二次電池の温度が下がってくることも考えられるが、この時は再度加熱素子への電力を下げることにより充電と加熱を並行して行うことも可能である。以上の加熱と充電の繰り返し、又は充電と低電力による加熱を同時に並行して行うことにより、二次電池の放電適正温度を維持しつつ充電が可能となるのである。
【0009】
前記加熱素子への電力供給をコンピュータ用の電源装置に本来的に備えられているペリフェラルコネクタを介して行うように該加熱素子と該ペリフェラルコネクタとを接続可能に構成している。
電源装置には、ファクシミリやプリンタなどの周辺装置に電力を供給することができるように複数のペリフェラルコネクタ(+5V、+12Vなど)を備えており、このうちの余分なペリフェラルコネクタを加熱素子への電力供給用に利用することによって、電源装置に特別な出力コネクタを別途設けることを不要にすることができるだけでなく、加熱素子用に電池パック内に特別な電源部を用意することも不要になる。また、このペリフェラルコネクタからの2つの出力である+5Vと+12Vを使い分けることによって、各出力のダミーロードにすることができ、電源装置自体の特性改善を行うことも可能である。尚、電池パック内の二次電池から加熱素子の電源を取ることも考えられるが、この場合、加熱素子に二次電池の充電パワーを取られてしまい、二次電池の充電が行えなくなることもあり、実施し難い。前記加熱素子としては、加熱のみを行うためのチップ抵抗素子などを使用することが一般的であるが、ペルチェ素子を使用することによって、低温時に温めるだけでなく、高温時に冷却することもでき産業用途のあらゆる要求に応えることもできる。
【0010】
停電状態でかつ前記二次電池が非放電状態であることを判別するための制御回路を設け、前記制御回路からの判別結果に基づいて、前記二次電池と前記電源装置との接続を遮断するための半導体スイッチ回路を設けることによって、電池パックが電源装置に電気的に接続されたままの状態で倉庫などで長期間無通電状態で保管される時や商用交流電源からの電力が来ていない時、あるいは二次電池の放電終止後において電池が余分に自己放電することがないように半導体スイッチ回路にて二次電池と電源装置との接続を遮断することができる。また、二次電池によるバックアップ中に前記接続が遮断されると、バックアップができなくなるため、二次電池がバックアップ状態であるかを検出し、停電だけでなく、バックアップ中の検出信号も遮断するか否かの判断事項にしている。
【0012】
前記昇圧チョッパー回路を前記基板の特定箇所に備えさせた基板ユニットと、前記基板の残る箇所に前記二次電池を配置した状態で収納可能なケーシングとからなり、前記昇圧チョッパー回路と前記二次電池とを雄雌コネクタを介して接続及び接続解除自在に構成している。
上記のようにケーシングに基板ユニット及び二次電池を取り付けるだけで電池パックを構成することができるだけでなく、メンテナンス面においても有利になる。しかも、昇圧チョッパー回路と二次電池とを雄雌コネクタを介して接続及び接続解除自在に構成することによって、最も消耗する部品である二次電池のみを新しい二次電池に迅速に取り替えることもできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、停電時にコンピュータを駆動するための直流電圧を後述の電源装置Fに出力するためのコンピュータ用バックアップ電池パック(以下において、単に電池パックという)Gを示している。この電池パックGは、コンピュータ用5.5インチハードディスクスペースに、鉛蓄電池を2個直列(12V×2個)に収納した電池パックの寸法と同一又はほぼ同一の大きさになるように構成されたものであり、鉛蓄電池と同一箇所に同一の取り付け方法にて取り付けることが可能である。具体的には、金属製(金属とほぼ同等の強度を有するものであればどのような材料であってもよい)のケーシング1に、基板ユニット2を収納してから、前記基板ユニット2の上面のうちの空きスペースに二次電池3を収納し、図示していない蓋体を上方から覆って密閉型に構成している。前記電池パックGは、開放型に構成してもよい。図1に示すようにユニット化することによって、電池パックの組み立て作業を容易迅速に行うことができる利点があるが、ユニット化しなくてもよく、電池パックの具体的構成は自由に変更可能である。
【0014】
前記ケーシング1は、ほぼ長方形状の下板部(底板部)1Aとこの下板部1Aの4つの外周辺のうちの3つの辺部から上方に立ち上げられた3枚の側板部1B,1C,1Dと仕切り板1Eとからなり、上面と1つの側面(背面)が開放された構成になっているが、他の構成であってもよい。
【0015】
前記基板ユニット2は、後述する昇圧チョッパー回路4などを構成する回路部品がほぼ長方形状のプリント基板5の上面のうちの特定箇所(図では全体のほぼ1/3を占める後方側箇所)に取り付けられ、かつ、後端にケーシング1の開放面である背面を閉じるための蓋部6を取り付けて構成されているが、他の構成であってもよい。また、前記プリント基板5に雄(又は雌)型のコネクタ7を備えており、このコネクタ7に抜き差し自在な雌(又は雄)型のコネクタ8を前記二次電池3に備えさせており、消耗品である二次電池3のみを容易迅速に取り替えることができるように構成しているが、抜き差しできないように半田付けなどにより二次電池3の出力端を回路に完全に固定して実施することもできる。図1に示す9は、後述する充電器出力部12に接続するためのコネクタであり、又、10は、後述のチップ抵抗素子28を駆動するための回路に接続されているコネクタである。
【0016】
図2に、商用交流電源11からの電力を利用して図示していない駆動回路を駆動することによって、マザーボードなどの負荷33を駆動するためのバックアップ機能付電源装置Fを示している。この電源装置Fへの商用交流電源からの電力が何らかの原因で断たれることにより停電状態(負荷を駆動できない状態)になることにより、駆動回路に電力を供給するために前記二次電池3を備えた前記電池パックGが充電器出力部(ここでは、商用交流電源からの電力が供給されている時には常時27.6Vの定電圧が出力されるようになっている)12に電気的に接続されている。
【0017】
図2に示すように、前記電池パックGは、二次電池3、二次電池3を充電するための充電回路13、二次電池3からの放電電圧を昇圧させるための前記昇圧チョッパー回路4から構成している。図2に示す14は、ダイオードである。
【0018】
ここでは、前記二次電池3として、ニッケル水素電池を用いているが、リチウム電池やニッケルカドミウム電池の他、各種の二次電池を用いてもよい。
前記ニッケル水素電池を、具体的に説明すれば、例えばセル数を16とした場合、1.2V/セル×16セル=19.2Vとなる。これを充電するためには、1.5V/セル×16セル=24Vであり、これに充電回路の電圧降下分の2Vを加えた26Vが充電器出力部12の端子間電圧V1が前述した鉛蓄電池の場合の27.6Vであるため、ニッケル水素電池を充電することができる。そして、停電時におけるニッケル水素電池の放電の際には前記昇圧チョッパー回路4にて鉛蓄電池と同じ電圧まで昇圧することによって、バックアップ時間が短くなることがないようにしている。
【0019】
前記ニッケル水素電池3の充電及び放電を図3に示すグラフに基づいて説明する。尚、図3において、2点鎖線で示す電圧の軌跡がニッケル水素電池の電圧を示し、実線で示す電圧の軌跡が昇圧チョッパー回路4からの出力電圧を示し、破線で示す電圧の軌跡が鉛蓄電池の充電特性及び放電特性を示している。まず、ACが投入され、商用交流電源からの電力が電源装置F内に伝達されると、図示していないタイマー回路によりニッケル水素電池3が急速に充電されると同時に昇圧チョッパー回路4によりニッケル水素電池3からの電圧を所定電圧の27.6Vまで昇圧し、昇圧後はその電圧を維持させる(図3に示すAの領域参照)。前記充電が完了すると、パルス充電又はトルクル充電を行いながら満充電電圧を維持させる(図3に示すBの領域参照)。充電完了後、停電が発生すると、二次電池3が放電を開始してバックアップを開始することにより二次電池3の充電電圧が降下し、それに伴って昇圧チョッパー回路4からの出力電圧も同様に降下し、バックアップが終了する放電終止電圧に至ることになる(図3に示すDの領域参照)。図3のCで示す領域は、鉛蓄電池の放電時間を示し、容量の大きなニッケル水素電池の放電時間Dの方が長くなっている。又、図3では、放電終止電圧に達する手前においてバッテリ電圧低下信号BLを検出することによって、コンピュータに終了処理を行わせるようにしている。そして、前記昇圧チョッパー回路4からの出力電圧を図3の1点鎖線に示すように27.6Vを維持させるようにすると、電圧が急激に降下するため、図3に示すバッテリ電圧低下信号BLが出てから放電終止電圧に達するまでの時間t2が非常に短くなり、コンピュータの終了処理を十分に行わせることができず、ハードディスクやOSを破壊してしまうことがあり、本願発明では、昇圧チョッパー回路4からの出力電圧を、二次電池3が放電することにより電圧降下して描かれる電圧波形にほぼ比例した状態で二次電池3の放電開始時から放電終止電圧に達するまで電圧降下させるための出力電圧制御回路15(図4参照)を設けている。
【0020】
図4に示すように、前記出力電圧制御回路15は、直列に接続された2つの比較器16,17と出力側に配置された比較器17の逆相入力端子に接続される三角波発生器18を主要構成部品として構成されている。従って、ニッケル水素電池3からの放電電圧(S2点の電圧)が下がったことを検出すると、比較器16により反転増幅されることから、S1点の電圧が上昇する。このときの電圧が三角波発生器18からの三角波と比較され、電界効果トランジスタ(FET)などからなるスイッチング素子19のゲートへ入力されるパルス幅がコントロールされ、昇圧チョッパー回路4の出力電圧が低下するように構成されている。つまり、図5(a)に示すように、ニッケル水素電池3からの放電電圧(S2点の電圧)が下がっていない状態では、スイッチング素子19のゲート電圧D1のパルス幅が図のH1となり、ニッケル水素電池3からの放電電圧(S2点の電圧)が下がると、図5(b)に示すように、S1点の電圧が上昇することから三角波電圧V1の上回った部分が非常に幅の狭い部分になり、スイッチング素子19のゲート電圧D1のパルス幅が幅の狭いH2になり、昇圧チョッパー回路4の出力電圧が低下することになる。
【0021】
前記昇圧チョッパー回路4は、昇圧用チョークコイル20とこの昇圧用チョークコイル20を駆動するための前記スイッチング素子19とこのスイッチング素子19のON−OFF制御するための前記出力電圧制御回路15とからなっているが、更に図6に示すように、停電状態でかつ二次電池3が非放電状態である場合に、二次電池3から電源装置Fの出力部への接続を遮断するための半導体スイッチ回路21を設けて実施してもよい。このように半導体スイッチ回路21を設けることによって、電池パックGが電源装置Fに電気的に接続されたままの状態で倉庫などで長期間無通電状態で保管される時や商用交流電源11からの電力が来ていない時、あるいは二次電池3の放電終止後において二次電池3が余分に自己放電することがないように半導体スイッチ回路21にて二次電池3から電源装置Fの出力部への接続を遮断することができる。また、二次電池3によるバックアップ中に前記接続が遮断されると、バックアップができなくなるため、二次電池3がバックアップ状態であるかを検出し、停電だけでなく、バックアップ中の検出信号も遮断するか否かの判断事項にしている。
【0022】
つまり、図6に示すように、前記半導体スイッチ回路21は、商用交流電源11からの電力が入力されているか否かを判定したり、バックアップ中であるか否かを判定するための制御回路22と、この制御回路22からの遮断信号により回路を完全に遮断するために設けられた2つのトランジスタ23,24とからなり、制御回路22からの信号に基づいてトランジスタ23,24をON−OFF制御することができるようになっている。
【0023】
前記バックアップ中であるか否かを判定する場合について詳述すれば、昇圧チョッパー回路4を駆動するためのスイッチング素子19のドライブ用ICのパルス幅を検出する検出手段25と、その検出手段25からのパルス幅の大きさに基づいて二次電池3の放電状態を判別する判別手段26を前記制御回路22に備えさせている。
具体的には、バックアップ時にはドライブ出力(S3点)のパルス幅H3が図5(a)で示したように広くなっている。このときの図6で示したRCフィルター27を通じたS4の電圧は、図7(a)の波形で示すように、一定以上の電圧D2が保たれ、この電圧を制御回路22が検出してバックアップ中であると判定し、また、停電中でかつバックアップしていない場合には、図5(b)で示したように狭くなっている。この場合には、図7(b)の波形で示すように、電圧D2が非常に低い電圧となり、この低電圧を制御回路22が検出して停電中でかつバックアップ中ではない(非バックアップ中)と判定するのである。
【0024】
前記基板ユニット2について詳述すれば、図1及び図8に示すように、昇圧チョッパー回路4を構成する電子部品を実装するためのプリント基板5の一方の面に加熱素子としてのチップ抵抗素子28の多数、チップ抵抗素子用駆動回路29(昇圧チョッパー回路4内に設けているが、一般的であるため、具体的な構成は省略している)、二次電池3の内部に備えてなるサーミスタからなる温度検出手段34(図9参照)からの温度が設定温度以上になった場合にチップ抵抗素子用駆動回路29を停止する停止回路30(昇圧チョッパー回路4内に設けているが、一般的であるため、具体的な構成は省略している)を設け、プリント基板5の他方の面にチップ抵抗素子28からの熱を伝達するための薄板状の熱伝導層31を備えさせると共に熱伝導層31の上面にゴムや合成樹脂等でなる複数の間隔保持部材32を取り付けている。そして、前記間隔保持部材32を介してニッケル水素電池3を載置支持している。
【0025】
前記熱伝導層31は、銅箔により薄板状に構成されたものや薄い銅板などから構成してもよい。また、前記チップ抵抗素子28に代えて、ペルチェ素子を用いることによって、二次電池3の温度を上昇させるだけでなく、冷却して温度を下げることもできる利点がある。
又、前記チップ抵抗素子28への電力供給を前記電源装置Fに備えられているペリフェラルコネクタ(図示せず)を介して行うようにチップ抵抗素子28とペリフェラルコネクタとを接続可能に構成してもよい。具体的には、図1で示したコネクタ10にペリフェラルコネクタを差し込んで接続することになる。
【0026】
図9に示すように、前記制御回路22内に、二次電池3の内部に備えてなるサーミスタからなる温度検出手段34からの温度が設定温度以下の場合には、前記電源装置Fの充電器出力部12からの電力(充電電力)により前記チップ抵抗素子用駆動回路(加熱素子用駆動回路)29を駆動し、温度検出手段34からの温度が設定温度以上になった場合に二次電池3の充電を充電回路13を介して行うための切替手段35を設けて実施してもよい。この場合、二次電池3の加熱と充電を繰り返すだけの制御を行う他、二次電池3の充電と低電力による加熱を同時に並行して行えるように低電力回路(図示せず)を設けて、二次電池3の放電適正温度を維持しつつ充電が可能になるように構成してもよい。尚、前記電池パックGの構成は、図1及び図8に示したものから構成してもよいし、他の構成であってもよい。
【0027】
【発明の効果】
鉛蓄電池の充電器出力と同じ又はそれよりも小さな出力になるように蓄電池を除いた他の二次電池(例えばニッケル水素電池)のセル数を設定し、その設定されたセル数により出力される値が蓄電池の出力と同一の値又はほぼ同じ値になるように昇圧するための昇圧チョッパー回路を設けることによって、どのような二次電池であっても、電源装置側になんら改良を加えることなく、鉛蓄電池から他の二次電池に容易に取り替えることができ、コストの高騰を抑制しながら鉛蓄電池と同等又は特にニッケル水素電池においてはそれ以上の放電時間を確保することができるコンピュータ用バックアップ電池パックを提供することができる。しかも、二次電池の外形サイズを鉛蓄電池の外形サイズに合わせることによって、鉛蓄電池と同じ箇所への取り付けが可能になり、鉛蓄電池から他の二次電池への切り替えがスムーズに行える利点がある。
【0028】
昇圧チョッパー回路からの出力電圧を二次電池の放電による電圧降下に比例した状態で徐々に降下させる構成とすることによって、放電時間が短くなることがないだけでなく、二次電池電圧低下信号と二次電池の放電終止点との間にコンピュータの終了処理を行わせるだけの時間差を持たせることができ、ハードディスクやOSの破壊を確実に阻止することができる信頼性の高いものにすることができる。
【0029】
加熱素子にてニッケル水素電池を加熱することにより、ニッケル水素電池の場合のように低温環境による不具合の発生を防止することができ、環境に左右されることのない信頼性の高いコンピュータ用バックアップ電池パックを提供することができる。しかも、二次電池への加熱を熱伝導層を介して間接的に行うことや熱伝導層の上面に間隔保持部材を介してニッケル水素電池を配置することによって、ニッケル水素電池を均一に加熱することができ、ニッケル水素電池の性能を十分に引き出すことができる利点がある。また、充電時の電池温度が高放電可能な温度(例えば10℃以上)になるまでは電源装置からの電力(充電電力)を加熱素子用駆動回路を駆動する電力として利用し、二次電池の温度が前記温度以上になってから二次電池の充電に切り替える構成とすることによって、二次電池の加熱と充電の繰り返しを行う、又は充電と低電力による加熱を同時に並行して行って、二次電池の放電適正温度を維持しつつ充電が可能となるのである。
【0030】
加熱素子への電力供給をコンピュータ用の電源装置に本来的に備えられているペリフェラルコネクタを介して行うことによって、加熱素子用に電池パック内に特別な電源部を用意するものに比べてコストの低減を図ることができるだけでなく、ペリフェラルコネクタからの2つの出力である+5Vと+12Vを使い分けることで、電源装置自体の特性改善を行うこともでき、コスト面及び電源装置側のいずれにおいても有利になる。
【0031】
電池パックが電源装置に電気的に接続されたままの状態で倉庫などで長期間無通電状態で保管される時や商用交流電源からの電力が来ていない時、あるいは二次電池の放電終止後において電池が余分に自己放電することがないように半導体スイッチ回路にて二次電池と電源装置との接続を遮断することによって、電源装置の再起動時の直後の停電発生にも二次電池からの放電が十分に行える状態にすることができるだけでなく、完全に放電してしまい再充電不能といったトラブル発生も阻止することができる。
【0033】
電池パックをユニット化することによって、ケーシングに対して基板ユニットと二次電池とを取り付けるだけで済むだけでなく、メンテナンス面においても有利になる。しかも、昇圧チョッパー回路と二次電池とを雄雌コネクタを介して接続及び接続解除自在に構成することによって、最も消耗する部品である二次電池のみを新しい二次電池に迅速に取り替えることもでき、コスト面において有利になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電池パックの分解斜視図である。
【図2】電池パックの概略の回路図である。
【図3】二次電池の放電電圧及び昇圧チョッパー回路の出力電圧の電圧波形を示すグラフである。
【図4】電池パック内の出力電圧制御回路図である。
【図5】スイッチング素子のドライブ出力波形とS1点の電圧波形と三角波電圧波形の関係を示す説明図であり、(a)は二次電池の放電していない状態を示し、(b)は二次電池の放電中の状態を示している。
【図6】電池パック内の半導体スイッチ回路図である。
【図7】スイッチング素子のドライブ出力波形とS4点の電圧波形の関係を示す説明図であり、(a)は二次電池が放電していない状態を示し、(b)は二次電池が放電中の状態を示している。
【図8】電池パックの縦断面図である。
【図9】加熱素子の駆動と二次電池の充電の切替手段を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 ケーシング 1A 下板部
1B,1C,1C 側板部
1E 仕切板 2 基板ユニット
3 二次電池(ニッケル水素電池)
4 昇圧チョッパー回路 5 プリント基板
6 蓋部
7,8,9,10 コネクタ
11 商用交流電源 12 充電器出力部
13 充電回路 14 ダイオード
15 出力電圧制御回路 16,17 比較器
18 三角波発生器 19 スイッチング素子
20 昇圧用チョークコイル
21 半導体スイッチ回路
22 制御回路 23,24 トランジスタ
25 検出回路 26 判別手段
27 フィルター 28 チップ抵抗素子
29 チップ抵抗素子用駆動回路
30 停止回路 31 熱伝導層
32 間隔保持部材 33 負荷
34 温度検出手段 35 切替手段
F 電源装置 G 電池パック

Claims (6)

  1. 商用交流電源から供給される電力によりコンピュータを作動させるための駆動回路を備えた電源装置に、前記商用交流電源からの電力により充電可能で、かつ、停電時において放電してコンピュータのバックアップを行うための二次電池を備えてなるコンピュータ用バックアップ電池パックであって、前記二次電池を鉛蓄電池を除いた他の二次電池から構成し、前記二次電池からの放電電圧を昇圧させるための昇圧チョッパー回路を備えさせ、前記昇圧チョッパー回路からの出力電圧を、前記二次電池が放電することにより電圧降下して描かれる電圧波形にほぼ比例した状態で該二次電池の放電開始時から放電終止電圧に達するまで電圧降下させるための出力電圧制御回路を設けたことを特徴とするコンピュータ用バックアップ電池パック。
  2. 商用交流電源から供給される電力によりコンピュータを作動させるための駆動回路を備えた電源装置に、前記商用交流電源からの電力により充電可能で、かつ、停電時において放電してコンピュータのバックアップを行うための二次電池を備えてなるコンピュータ用バックアップ電池パックであって、前記二次電池を鉛蓄電池を除いた他の二次電池から構成し、前記二次電池からの放電電圧を昇圧させるための昇圧チョッパー回路を備えさせ、前記二次電池が、ニッケル水素電池である場合には、前記昇圧チョッパー回路を構成する電子部品を実装するためのプリント基板の一方の面に加熱素子、該加熱素子用駆動回路、該二次電池に備えてなる温度検出手段からの温度が設定温度以上になった場合に該加熱素子用駆動回路を停止する停止回路を設け、該プリント基板の他方の面に前記加熱素子からの熱を伝達するための薄板状の熱伝導層を備えさせると共に該熱伝導層の上面に間隔保持部材を介して前記ニッケル水素電池を配置してなるコンピュータ用バックアップ電池パック。
  3. 前記二次電池が、ニッケル水素電池である場合には、前記昇圧チョッパー回路を構成する電子部品を実装するためのプリント基板の一方の面に加熱素子、該加熱素子用駆動回路、該二次電池に備えてなる温度検出手段からの温度が設定温度以下の場合には、前記電源装置からの電力により該加熱素子用駆動回路を駆動し、該温度検出手段からの温度が設定温度以上になった場合に該二次電池の充電を行うための切替手段を設けてなる請求項記載のコンピュータ用バックアップ電池パック。
  4. 前記加熱素子への電力供給をコンピュータ用の電源装置に備えられているペリフェラルコネクタを介して行うように該加熱素子と該ペリフェラルコネクタとを接続可能に構成してなる請求項2又は3記載のコンピュータ用バックアップ電池パック。
  5. 停電状態でかつ前記二次電池が非放電状態であることを判別するための制御回路を設け、前記制御回路からの判別結果に基づいて、前記二次電池と前記電源装置との接続を遮断するための半導体スイッチ回路を設けてなる請求項1〜のいずれか1項に記載のコンピュータ用バックアップ電池パック。
  6. 前記昇圧チョッパー回路を前記基板の特定箇所に備えさせた基板ユニットと、前記基板の残る箇所に前記二次電池を配置した状態で収納可能なケーシングとからなり、前記昇圧チョッパー回路と前記二次電池とを雄雌コネクタを介して接続及び接続解除自在に構成してなる請求項1〜のいずれかに記載のコンピュータ用バックアップ電池パック。
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