JP3749528B2 - 屋根裏断熱構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽により加熱された屋根材からの熱が、直接、もしくは天井材を介して室内へ伝達することを抑制する構造に関するもので、特に、既築の構造物への適用も可能な、主に放射伝熱による室内への入熱の低減をなす屋根裏断熱構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、省エネルギーの観点から住宅の断熱化が重要となってきている。断熱対象となる部位は、屋根、壁、床などが考えられるが、特に夏季の日中の屋根断熱が冷房負荷の低減には有効であり、以下、主に屋根断熱について詳述する。
【0003】
従来、断熱材に工夫を凝らすことで断熱性能を上げることが、盛んに開発されてきた。
例えば、屋根断熱を目的として、セメント系板材に断熱材と反射材を積層して断熱性に優れた屋根材とした技術がある(特許文献1参照)。
【0004】
また、壁や屋根パネル裏面に断熱材を貼り、前記断熱材を覆うシートを内面に隙間を持たせて設けて鉛直方向に繋がる空間を作り、外部からの断熱と空気温度差による前記空間でのトンネル効果気流による冷却を狙った技術が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
さらに、壁から屋根に連なる高気密のアルミニュウム被覆断熱ボードを、外壁および屋根との間に通気層を形成するように設けて、家屋の外郭を二重壁構造とする高気密高断熱家屋の提案がされている(特許文献3参照)。
【0006】
又、アルミ箔やアルミ蒸着を積層したシートを複数層重ねると共に、起立片でシート間に空間通気層を作り、この空間通気層に空気を流すことで断熱を行うようにした技術が知られている(特許文献4参照)。
【0007】
これらは、いずれも、まず固体の伝導熱抵抗を増すことを主体に、厚みのある断熱性の高いボード状断熱材を主材として単品面材を構成し、この単品面材を連ねたり、重ねたりして全面としての断熱層を形成するもので、部材の柔軟性がないので、敷設に際し、単品面材の寸法がぴったり合う必要があり、施工に時間を要し、特に既築家屋に後施工として適用することは難しい。
また、工場の建屋のように、天井に相当する部材がなく、屋根材が直接家屋内に剥き出しの構造の家屋では、屋根材を支える構造部材との干渉が生じて、変形性に乏しい面材の全面取り付けは施工が困難で、工費がかかり、また、既築家屋への後施工取付は実質的には不可能に近い。
【0008】
【特許文献1】
特許第3030429号公報
【特許文献2】
特開平9−158353号公報
【特許文献3】
登録実用新案第3009512号公報
【特許文献4】
特許第3227140号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、既存の屋根断熱技術は、伝導による入熱抵抗を上げることに主体をおいているので、断熱材板厚が厚くて施工の簡便性に乏しく、部材は所要寸法精度の高いものを必要とするなどの問題点があった。
【0010】
つまり、特許文献1の技術にあっては、セメント系板材に熱伝導係数の高い金属反射板を接触積層して屋根材としているために、これらの境界で接触伝熱により金属反射板の厚み方向に多量の熱量が貫通し、また、既築家屋では屋根材全てを取り替える必要があり、柔軟な適用が困難である等の問題点がある。
【0011】
また、特許文献2の技術にあっては、自然通気による抜熱を行う構造としているため、入熱量の大半を占める放射熱対策がなされておらず、また、本技術においても既築家屋では屋根材そのものを取り替える必要が生じるので、部材の所要寸法精度は高いものが必要であり、柔軟な適用が困難である。
【0012】
さらに、特許文献3の技術にあっては、気密性を目的としたアルミニュウム被覆断熱ボードであり、アルミニュウム被覆を硬質ウレタンフォーム室内面側に接触させて貼っているために、外部からの放射入熱と接触伝熱の入熱は殆んど遮断できず、また、特に部材の所要寸法精度は高いものが必要で、可撓性が乏しく、施工に技術と時間を要し、また、既築家屋や、工場や倉庫建物への適用はできない等の問題点がある。
【0013】
又、特許文献4記載の先行技術にあっては、起立片の折り目のみ(左右で逆折り)が必要で、かつ、表裏シートと同時位置決めをしないから接着が必要になり、生産性が悪いし、熱溶着法の適用が困難であり、高価になる。
さらに、板状には吊るせるが、自由に折り畳めないため、既設家屋では天井裏へ点検口から持ち込むことができず、天井施工ができない。
【0014】
屋根裏断熱においては、屋根材直下に空気流を作ることが最も好ましい。つまり、屋根材と断熱パネル最上面の間に空間を設け、屋根材直下に空気流が生じることが最良で、熱慣性も最小にできるもので、本発明は、上記の点に鑑み、効果の高い簡易な屋根断熱工法で、安価に迅速に施工できる屋根裏断熱構造を提供することを課題としている。
【0015】
本発明者らの調査・研究の結果では、瓦などの屋根材は、太陽放射熱で数十℃を超える温度に加熱されており、この裏面から発する放射熱も大変大きくなる。
つまり、瓦等の不透明屋根材を介しても、屋根材から室内に流入する太陽入熱は放射入熱が圧倒的に大きく、例えば、1時間当り10回の強制屋根裏換気を行っても、空気層流動による伝熱量と放射伝熱量の比は、夏期の正午では、約1対4である。
【0016】
このことから、放射率の低いパネル材又はシート(断熱パネル)を屋根材下面に非接触で敷設することで、接触熱伝導がなく、かつ、入熱の大半の遮断を可能にしたものである。すなわち、入熱側固体である屋根材と直接接触しないように空気層(空隙)を介在させるように、表面の放射率の低い断熱パネルを敷設して放射熱の遮断を効果的に行う。
屋根材と断熱パネルの直接接触を避けるのは、低放射率材の殆んどは金属系の材料であり、金属系材は熱伝導率が高いので、接触すると接触伝熱で多くの熱量が断熱パネルを貫通するためである。
さらに、断熱パネルの上面だけでなく、下面も空隙を持つ状態で断熱パネルを敷設する。つまり、天井材と断熱パネルの直接接触も避けたほうが、こちらの面の接触伝熱もなくなるので、より遮熱性能が高くできる。
これの容易な施工法としては、例えば、架構材(例えば、垂木)に断熱パネルを取り付けて敷設すれば、容易に本構成とすることができる。
【0017】
以上の構成で、屋根からの入熱の方向特性が、鉛直上方向からの入熱であり、空気層があればこれが上層から温められるので、温度上昇して軽くなった空気は上部に滞留し、熱伝導としては空気層さえ設ければ、これが非常に高い伝導熱抵抗を持ち、発泡剤などでの断熱を行わなくても高い断熱が可能である。
しかし、放射伝熱は空気層では抑えられないので、放射を跳ね返す表面低放射率の断熱パネルを敷設する。
【0018】
前記表面低放射率のシートは、これが複数層になるほどその効果は高くなる。さらに、遮熱性能低下の要因として、これらのシートは室内設置なので太陽光や風雨による劣化は殆ど無いが、気中の埃がシート上面に堆積すると、放射率が低下して性能が落ちるので、シートを複数層にして、シート間の端部を閉じ、シート層間に埃が入らないようにすれば、2層目以降のシート表面は埃堆積による経時劣化が殆ど生じず、シート全体の遮熱性能が維持できる。
【0019】
特に、天井板を設けない、室内で屋根材が剥き出しになる工場や倉庫などの夏場の室温上昇対策は、労働環境対策として重要であるが、安価にこれを行う断熱構造が実現できていなかった。この対策として、屋根からの入熱抑制、それも放射熱の抑制が最も有効であり、屋根直下での低放射率シートによる簡易遮熱で、安価に、かつ、容易に工場建屋内の夏場の室温上昇対策が実施可能である。
また、軽くて柔軟性のあるシートを張る工法であれば、既存の家屋にシート放射断熱を後施工することも容易である。
屋根裏断熱工事は狭いうえに障害物が多くあり、時としては高所作業となるので、施工する素材が軽く、寸法許容精度が大きいもの、折りたたんだり皺を生じさせて施工できるなど施工自由度が高く、狭い空間への搬入と広い面積への取り付けが容易で、低い寸法精度で施工しても遮熱性能が低下しないものであることが、非常に重要で、さらに、畜舎などの、気中の埃が多い環境での長期遮熱性能維持も重要であり、本発明はこれを可能にしたものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の屋根裏断熱構造(請求項1)は、
少なくとも片面を低放射率素材で構成したシート、又は少なくとも片面を低放射率加工したシートを、このシートと着脱可能な補強材により補強して断熱パネルを形成し、この断熱パネルを屋根裏面に、該屋根裏面との間に空隙を保持して屋根裏面とほぼ平行に屋根架構材に取り付けて敷設した構成とした。
なお、シートとしては、剛性があるもの、柔軟性があるものを使用できるが、柔軟性があるものが好ましい。
【0021】
又、本発明の屋根裏断熱構造(請求項2)は、
少なくとも片面を低放射率素材で構成したシート、又は少なくとも片面を低放射率加工したシートを、2層以上で周辺の一部を接合すると共に、各シート間に支持材を着脱可能に介在させてシート間に空隙を形成させることでシート同士の面接触を防止させた断熱パネルを形成し、この断熱パネルを屋根裏面との間に空隙を保持して屋根裏面とほぼ平行に屋根架構材に取り付けて敷設した構成とした。
又、シートとしては、剛性があるもの、柔軟性があるものを使用できるが、柔軟性があるものが好ましい。この柔軟性のあるシートを用いた場合には、各シート間に支持材を介在させて各シート間に空隙を形成させるようにする。
【0022】
また、本発明の屋根裏断熱構造(請求項3)は、
前記請求項2記載の屋根裏断熱構造において、断熱パネルの一端部にオス金具を設けると共に他端部にメス金具を設け、このオス金具又はメス金具の一方を屋根架構材に留め付けると共に、隣り合う断熱パネルのオス金具とメス金具を係合させた態様とした。
【0023】
また、本発明の屋根裏断熱構造(請求項4)は、
前記請求項2記載の屋根裏断熱構造において、断熱パネルの端部にシートの張出部を形成し、隣り合う断熱パネルの張出部同士を、その張出部の間にスペーサを挟んで重合させた状態で屋根架構材に留め付けるようにした態様とした。
【0024】
なお、本発明において、屋根架構材としては、垂木等を指す。
【0025】
【発明の実施の形態】
断熱パネルを構成するパネル材又はシートの低放射率面の加工は、放射熱遮断の効果が期待できるものであればなんでも良く、アルミニュウム、銅などの金属系のフィルムや、これらの片を混入した塗装面でも良いし、光沢を持たせた面とすることが最も好ましい。
また、放射率は好ましくは0.5以下、さらには0.3以下で小さいほど好ましく、さらに、前記パネル材又はシートの屋根に対向する側の面の放射率が、該パネル材又はシートの裏面より等しいか、もしくは低い放射率とすることが最も好ましい。
前記パネル材又はシートを単層で設置すると、設置構造が簡単になり、コストも安価になる。
【0026】
また、前記シートを単層でなく、複数層に該シート間同士に空隙を設けて挿入するほど断熱効果は高くなるし、かつ、複数層にしたシートの少なくとも片側(埃堆積から考えればシート敷設における上端側)端部を閉じて、シート間への空気の流入を無くせば、気中の埃の内部堆積、つまり、その層の放射率低下が防止でき、埃の多い環境においてもシート全体の遮熱性能として、ほぼ初期性能の維持が可能となる。
【0027】
【実施例】
以下説明を容易にするために、図を用いて実施例を示す。
【0028】
図1は本発明の屋根裏断熱構造に使用する断熱パネルの実施例を示す斜視図、図2はこの断熱パネルを使用した第1実施例の屋根裏断熱構造を示す全体概略図、図3はその屋根裏断熱構造の断面図、図4はその屋根裏断熱構造の底面図である。
【0029】
断熱パネル1は、低放射率シートによる1枚のシート10を、補強材12により補強したもので、この補強材12は、4本の角材を方形に枠組み体に形成され、シート10の片面に四方の端部に張出部13を形成するように雄雌止め具や吸盤等によって着脱可能に取り付けられている。
なお、補強材12としては、1本又は複数本の棒材を並設したもの、十字状の枠組み体等にしたものを用いることができる。
【0030】
シート10は合成繊維やガラス繊維で織られた丈夫なシートに、両面アルミペイントが塗布されており、表面・裏面ともに放射率が0.3程度のシートとなっている。もし、片面にのみアルミペイントが塗布されたシートであれば、太陽熱の入熱側の放射率を低くすることが肝要なので、放射率が0.9に近い合成繊維の剥き出し面でなく、アルミペイントが塗布された側を屋根面方向(上面)にする。この場合のシートとしては、剛性を有するもの、又、柔軟性を有するものを使用できる。
また、本発明では、屋根裏での150℃以下の遠赤外線域の波長での放射遮蔽が主目的であり、太陽光における可視光線領域での反射のような色の効果は殆んど無いので、低放射率化のために、シートを白色にする意味は殆んどない。
【0031】
そして、前記断熱パネル1を多数個用意し、図3、図4に示すように、これらを屋根架構材としての垂木9に取り付けることで、屋根裏面90間に空隙S1を保持すると共に、天井91間にも空隙S2を保持して屋根裏面90とほぼ平行に敷設している。
この場合、図3及び図4に示すように、隣り合う各断熱パネル1,1を、張出部13,13同士を重合させた状態で垂木9に釘やビスで留め付けるようにしている。
このように、張出部13を形成して、この張出部13を垂木9に釘やビスで留め付けるようにしているため、留め付け箇所を減少させることができるし、施工が容易になる。また、垂木間の間隔にバラツキがあるような場合でも、そのバラツキを張出部13によって吸収でき、そのバラツキに対応することができる。
仮に、張出部が形成されていないと、補強材12を貫通させるように、釘やビスをで留め付ける必要が生じ、施工に手間がかかるし、外観的に見た目が悪くなる。
なお、断熱パネル1は、屋根裏面90のほぼ全面積に敷設されて室内への入熱遮断を行っている。
【0032】
なお、図4では、多数の断熱パネル1を垂木に対してほぼ平行になるように並設した例を示したが、屋根構造によっては、例えば、図5に示したように、断熱パネル1を垂木9に対して斜めになるように並設することもできる。
又、図4では、張出部13,13同士を重合させた状態で垂木9に釘やビスで留め付けた例を示したが、張出部13,13同士を重合させずに、それぞれを垂木9に釘やビスで留め付けるようにしてもよい。この場合には、隣り合う断熱パネル1,1の間に隙間が生じるため、隣り合う断熱パネル1,1の張出部13,13間に短冊状の低放射率シートを渡して、隙間を覆うようにするのが好ましい。
【0033】
次に、図6に前記断熱パネルを敷設したときの遮熱効果を示す。
スレート屋根の通常の住宅で、夏期の正午における遮熱効果を示したもので、1時間に10回の天井換気を行っている時のデータである。
屋根材がスレート7mm厚みの家屋で、断熱パネルの有り無しでの室内の天井温度を比較している。
断熱パネル無しでは45℃であったものが、放射率(以下εで示す)が、上面・下面とも0.1で厚み0.2mmの低放射率シートを用いた断熱パネルを敷設すると、室内の天井温度が26℃まで低下した。また、厚み1.0mmの低放射率シートを用いた断熱パネルでも殆ど同じ天井温度であった。
【0034】
このように、断熱パネル1のシートが低放射率であることが重要で、シートの厚みは殆んど遮熱効果に影響を及ぼさず、屋根材に面したシート上面側の放射率を低くしておけば、室内への入熱を大きく低減できる。
【0035】
次に、図7は本発明の屋根裏断熱構造に使用する断熱パネルの他の実施例を示す斜視図、図8はこの断熱パネルを使用した第2実施例の屋根裏断熱構造を示す断面図である。
【0036】
断熱パネル3は、柔軟性を有する2枚のシート30,30を両端に張出部31,31を形成させるように接合32すると共に、各シート30,30間に補強材を兼ねた棒状の支持材4を着脱可能に介在させたもので、この支持材4によりシート10,10間に空隙Sを形成させることでシート10,10同士の面接触を防止させるようにしている。
なお、支持材4としては、棒状、枠状、十字状等に形成できるし、支持材自体を組み立て構造や折り畳み構造に形成してもよい。
なお、前記シート30,30として、適当な剛性と適当な厚みを有するものを使用すれば、支持材4を介在させることなく、シート10,10間に空隙Sを形成させて、シート10,10同士の面接触を防止させることができる。
【0037】
そして、前記断熱パネル3を多数個用意し、図8に示すように、これらを屋根架構材としての垂木9に取り付けることで、屋根裏面90との間に空隙S1を保持すると共に、天井91との間にも空隙S2を保持して屋根裏面90とほぼ平行に敷設している。
【0038】
この場合、図8に示すように、隣り合う各断熱パネル3,3を、その張出部31,31の間にスペーサ5を挟んで重合させた状態で垂木9に釘等で留め付けるようにしている。
この断熱パネル3では、2枚のシート30,30を用いているため、より高い断熱効果を得ることができる。
又、断熱パネル3は、実施例では2枚のシートを用いた2層シート構造としたが、3枚以上のシートを用いた多層シート構造に形成してもよい。
【0039】
次に、図9は前記断熱パネルの留め付け構造の他例を示す断面図である。
この場合、断熱パネル3の一端部において、方形枠状に形成した支持材4にオス金具6を設けると共に他端部において張出部31にメス金具7を設け、このメス金具7を垂木9に釘等で留め付けている。この場合、メス金具7を予め張出部31に取り付けておいて垂木9に留め付けてもよいし、別体のメス金具7を張出部31の上に置いて垂木9に留め付けてもよい。
【0040】
このようにして、メス金具7を設けた側の断熱パネル3の一端を垂木9に留め付け、そして、図9に示すように、このメス金具7に、隣り合う各断熱パネル3のオス金具6を差し込んで係合させることで、断熱パネル3の他端を留め付けるもので、これにより、断熱パネル3の留め付けが簡単になり、容易に施工することができる。
【0041】
なお、前記断熱パネル3の留め付け構造において、又、前記図4で示したものと同様に、張出部31,31同士を重合させた状態で垂木9に釘やビスで留め付けることもできる。
【0042】
以上のように、本発明は、一般家屋の屋根裏断熱に適用できるだけでなく、工場や倉庫や畜舎などにみられる屋根が剥き出しの建物の屋根裏断熱にも適用可能であり、コンクリート構造の建築物での屋根裏断熱にも適用可能である。
また、断熱パネルに用いる低放射率シートの母材は特に材質の制限はないが、合成樹脂や紙を用いることができる。ただ、条件によっては100℃近くまで温度が上がるので、この場合は耐熱性に配慮した材質の選定が必要である。シートの低放射率化はアルミペイント塗布による方法が最も簡単であるが、より低放射率化を狙って、アルミの箔を表層に貼っても良いし、亜鉛や銅、チタンなどいろいろな金属によっても用途に応じた低放射率化が可能である。
又、実施例では、断熱パネルを、屋根裏面のほぼ全面積に対応して敷設するとしたが、屋根裏面の一部分、例えば、居間や寝室の屋根裏面等、部分的に対応して敷設させるものについても本発明に含まれる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明の屋根裏断熱構造によれば、低放射率シートを用いて断熱パネルを形成し、これを屋根裏面に、該屋根裏面との間に空隙を保持して屋根裏面とほぼ平行に取り付けて敷設しているため、障害物が多くあり、時としては高所作業となる屋根裏断熱工事の安全性や作業性が向上し、簡単に施工できるので、施工自由度が高く、狭い空間への搬入と広い面積への容易な取り付けが可能で、迅速で効果の高い屋根断熱が実施できる。
特に、天井板を設けない、室内で屋根材が剥き出しになる工場や倉庫、畜舎などの夏場の室温上昇対策が安価に、かつ、容易に実施可能で、また、既存の家屋に断熱パネルを後施工することも可能になる等の利点もある。
【0044】
従って、本発明によれば、特に冷房負荷の低減に非常に有効な夏季の日中の屋根裏断熱が、簡易、かつ安全で安価に達成でき、工場の熱的労働環境を改善し、畜舎などの夏季の猛暑環境回避ができ、また、地球環境を守るために重要テーマとなっている住宅の高断熱化による省エネルギーに大きく貢献できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の屋根裏断熱構造に使用する断熱パネルの実施例を示す斜視図である。
【図2】この断熱パネルを使用した第1実施例の屋根裏断熱構造を示す全体概略図である。
【図3】その屋根裏断熱構造の断面図である。
【図4】その屋根裏断熱構造の底面図である。
【図5】屋根裏断熱構造の他例を示す底面図である。
【図6】断熱パネルを敷設したときの遮熱効果データを示す図である。
【図7】本発明の屋根裏断熱構造に使用する断熱パネルの他の実施例を示す斜視図である。
【図8】この断熱パネルを使用した第2実施例の屋根裏断熱構造の断面図である。
【図9】断熱パネルの留め付け構造の他例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 断熱パネル
10 シート
12 補強材
13 張出部
3 断熱パネル
30 シート
31 張出部
32 接合部
4 支持材
5 スペーサ
6 オス金具
7 メス金具
9 垂木
90 屋根裏面
91 天井
S 空隙
S1 空隙
S2 空隙

Claims (4)

  1. 少なくとも片面を低放射率素材で構成したシート、又は少なくとも片面を低放射率加工したシートを、このシートと着脱可能な補強材により補強して断熱パネルを形成し、この断熱パネルを屋根裏面に、該屋根裏面との間に空隙を保持して屋根裏面とほぼ平行に屋根架構材に取り付けて敷設したことを特徴とする屋根裏断熱構造。
  2. 少なくとも片面を低放射率素材で構成したシート、又は少なくとも片面を低放射率加工したシートを、2層以上で周辺の一部を接合すると共に、各シート間に支持材を着脱可能に介在させてシート間に空隙を形成させることでシート同士の面接触を防止させた断熱パネルを形成し、この断熱パネルを屋根裏面との間に空隙を保持して屋根裏面とほぼ平行に屋根架構材に取り付けて敷設したことを特徴とする屋根裏断熱構造。
  3. 請求項2記載の屋根裏断熱構造において、断熱パネルの一端部にオス金具を設けると共に他端部にメス金具を設け、このオス金具又はメス金具の一方を屋根架構材に留め付けると共に、隣り合う断熱パネルのオス金具とメス金具を係合させた屋根裏断熱構造。
  4. 請求項2記載の屋根裏断熱構造において、断熱パネルの端部にシートの張出部を形成し、隣り合う断熱パネルの張出部同士を、その張出部の間にスペーサを挟んで重合させた状態で屋根架構材に留め付けるようにした屋根裏断熱構造。
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