JP3749463B2 - 製紙用の円錐型パルプ離解装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
従来、特に、製紙業界において、円錐型パルプ離解装置が広く知られている。このような円錐型パルプ離解装置は、基本的に、複数の円錐状離解面によって形成されることから、そのような名称で呼ばれている。上記複数の円錐状離解面は相対的に回転可能とするために適当な方法で組立てられ、該円錐状離解面における内方の一端部に、離解しようとする材料が装入され、次いで、それらの円錐状離解面間の空間部に遠心力によって輸送され、適当に離解してから円錐状離解面の側面部から搬出される。
【0002】
上記公知の円錐状離解装置は、一対の離解面のみから構成され、一般に、その一方が回転軸に固定されたロータ要素に設けられ、他方がユニットフレームに固定されたステータ要素に設けられる。
【0003】
上記従来形式の範疇のものにおいて、単一型円錐状離解装置は、軸方向に沿って固定された回転離解ヘッドにより構成される。該回転離解ヘッドは、また、軸方向に沿って調節可能に装着された回転ヘッドと協働するように操作される。もう1つの型式のものは、軸方向に沿って固定された回転ヘッドと、離解円錐面間の空間部の大きさを可変とするために軸方向位置調節手段を介して配置された非回転ヘッドとにより構成される。
【0004】
上記公知の円錐状離解装置は、製紙工業界で汎用されてはいるが、いくらかの制約及び不都合点が指摘されている。即ち、より詳しくは、上記ユニットの形状寸法を考慮しても、離解処理能率が不満足なものである。また、離解処理量を増大する目的で、離解面の大きさを大きくするにしても、離解操作によって生じる推力が非常に大きく、非常に高い原動力を必要とすることから、これは得策で無いと考えられる。
【0005】
【本発明の解決しようとする課題】
上記状況に鑑みて、本発明は、上記問題点を克服するため、前述したような製紙用の円錐型パルプ離解装置を改良設計した、特に、二重回転浮遊円錐体を有する、高速の二重離解装置を提供することを目的とする。
【0006】
つまり、本発明の改良型装置は、基本的に二重離解器から成り、一対の静止円錐体、即ち、非回転円錐体を有し、これらの離解器間で長手軸に沿った位置に固定されている。この構成は、離解面自体が対応する静止及び回転円錐体に組み込まれている限りにおいて新規なものであり、これらの離解面は、それらの離解面間を通過する材料に摩擦作用を生起させるべく、従来方法と同様、適当に組合せて操作される。
【0007】
回転ヘッドは、回転軸の一端部に組み込まれ、離解チャンバの内部で浮遊する状態とされる。上記一対の離解器は、また、離解器の蓋体に組込まれた調節器を含み、該調節器により各回転ヘッドに生じる力が等しくされる。
【0008】
従って、本発明の主な目的は、紙又はそれと同類のものを製作するにあたり、パルプの離解に用いられる、改良型の高速二重円錐離解装置を提供することにある。この離解装置は、離解器軸を介して伝達される推力を最小限のものとし、よって、材料の離解容量の増大化によりエネルギーの低減化を可能とする、回転浮遊円錐体により構成される。
【0009】
本発明のもう1つの目的は、従来形式の円錐離解装置と比べて、組立及び保守が容易であり、実用的かつ製作コストが安価である、改良型二重円錐離解装置を提供することにある。
【0010】
【発明の実施の形態】
添付の図面とともに本発明を説明する。
【0011】
添付図面に示されるように、本発明の改良された製紙用の円錐パルプ離解装置は、基本的に、支持構造体1(図4)により構成される。支持構造体1は、水平に配置された、前蓋体3を具備する枠体2を支持している。枠体2と前蓋体3との組合せ体は、内部に円錐形の離解チャンバ4を画定している。離解チャンバ4は、前蓋体3と同心状に、軸方向に沿って離解しようとする材料を装入するための単一の入口5を有するとともに、半径方向側面部に、離解済の材料を取出すための出口6を有する。また、上記離解器対は、支持構造体1に支持されるとともに枠体2の内方に進行可能とされた回転軸7を含み、該回転軸7は、上記円錐状離解チャンバ4の内部に同心の自由端部を有する。
【0012】
上記装置の内部、更に詳しくは、離解円錐チャンバ4の内部は、つぎのようにして形成される。即ち、当該離解器対は、内離解円錐体13及び外離解円錐体14から成る一対の静止円錐体と、内離解円錐体11及び外離解円錐体12から成る一対の回転円錐体とにより構成される。上記一対の静止円錐体13、14間に、上記一対の回転円錐体11、12を挿入して配置され、このようにして、2つの円錐状離解面が形成される。
【0013】
前述した回転円錐体11、12対は円錐状回転体8(図1及び図2)を用いて形成され、該円錐状回転体8の小径端基部に、円周方向に配列された装入材料通過用の複数の開口9と内部に軸方向に延びる円筒管部10とが設けられる。円筒管部10は、回転軸7の自由端部に軸方向における位置を調節可能に取付けられる。円錐状回転体8の内周面及び外周面に、それぞれ、対応する内離解円錐体11及び外離解円錐体12が収容され、このようにして、重ね合せ円錐ロータ(図3)が形成される。
【0014】
明らかなように、変形例(図示せず)において、重ね合せ円錐ロータは、上記実施例におけると同様、離解回転自由端部に固定するようにした円錐状回転体を用いて形成される。該円錐状回転体自体の内周面及び外周面に、それぞれ、離解ブレード又はウィングを取付けて二重離解面部を形成したものとしてもよい。
【0015】
さて、上記実施例において、静止円錐体対、即ち、内離解円錐体13と外離解円錐体14は、それぞれ、枠体2における離解チャンバ4の底面部と該離解チャンバ4における前蓋体3の内面部に固定され、軸方向における位置が調節可能にかつ重ね合せ円錐ロータの内円錐離解面11と外円錐離解面12に直接対向するように配置することにより、上記離解チャンバ4の底部と前蓋体3の内面部間に、2つの中間円錐面又は離解面領域(図4)が画定される。
【0016】
従って、離解対象の材料が、前蓋体3の中央開口5(図4)から本発明の改良型離解装置内方の円錐状回転体8の小径端基部に向けて直接装入され、該小径端基部で材料流体流は2つの流体流に分割される。一方の材料流体流は、当該装置の前蓋体3の内部に装着された外静止離解円錐体14と円錐状回転体8の外面における回転離解円錐体12間に画定された空間を貫通し、他方の材料流体流は、円錐状回転体8の小径端基部における開口9を通過して離解チャンバ4の底部に装着された円錐状回転体8の内離解円錐体11と、内静止離解円錐体13間に画定された空間を流通する。
【0017】
2つの材料流体流は、上記2つの離解領域を通過し、最終的に、適当に離解処理がなされた後、離解チャンバ4の底部に形成されたリング状空間部に流入し、次いで、周壁部に設けられた出口6に向けて半径方向に流動する。
【0018】
本発明の改良型二重離解装置の主要特徴事項の1つは、離解しようとする材料装入用の軸上に形成された唯一の入口5と、離解済材料取出用の単一の出口6とを有する、独特の重ね合せ円錐ロータを用いて構成したことにある。
【0019】
換言すれば、単一の軸上に設けられた入口5を介して装入された離解処理材料は、それぞれ、回転離解円錐体11、12及び静止離解円錐体13、14間の隙間を通って各離解領域に流入するようにした、2つの離解器対が単一の機械に組込まれたことにある。
【0020】
重ね合せ円錐ロータは、一方の半割パルプ量が第1円錐体対(1つの静止円錐体と1つの回転円錐体とから形成される)間部を通過可能とされ、もう1つの半割パルプ量が第2円錐体対(もう1つの回転円錐体と、もう1つの静止円錐体とにより形成される)の先頭部の開口から当該円錐体対間部を通過可能とされ、このようにして、互いに平行な2つの材料流体流は、各円錐対における離解面間部を通過し、その後、統合されて単一の周面部に設けられた出口6を介して半径方向に搬出されることを特徴とする。
【0021】
前述した改良型装置におけるいずれかの離解円錐体が磨耗した場合、磨耗したものが静止円錐体13、14であれば、蓋体3の内面又は離解チャンバ4の底部から、もし回転円錐体11、12であれば、円錐状回転体8の内面又は外面から、何れの場合にも、簡単に取外して取り換えることができるという、重要な特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一部切欠した円錐状回転体と、該円錐状回転体の外及び内側離解円錐体対の分解斜視図である。
【図2】 図1中の矢印“A”から見た円錐状回転体の断面図である。
【図3】 円錐状回転体の内及び外周面に、それぞれ、離解円錐体を固定して形成される、重ね合せ円錐ロータの斜視図である。
【図4】 静止円錐体と回転円錐体から成る、2組の円錐体対を具備した改良型二重円錐離解装置の縦断面図である。
【符号の説明】
1 支持構造体
2 枠体
3 前蓋体
4 離解チャンバ
5 入口
6 出口
7 回転軸
8 円錐状回転体
9 開口
10 円筒管部
11 内回転離解円錐体
12 外回転離解円錐体
13 内静止離解円錐体
14 外静止離解円錐体
Claims (3)
- 支持構造体(1)を用いて形成される、製紙用の円錐型パルプ離解装置であって、
上記支持構造体(1)は、内部に水平状に配置された枠体(2)及び前蓋体(3)を支持するとともに、上記前蓋体(3)の軸心上に設けられた離解しようとする材料装入用の入口(5)と周面部に設けられた離解済材料取出用の出口(6)とを有する、上記入口(5)から出口(6)へと拡開する円錐状の離解チャンバ(4)を画定し、
上記支持構造体(1)に回転軸(7)が設けられ、該回転軸(7)は上記枠体(2)の内方に前進可能にかつその自由端部が上記離解チャンバ(4)と同軸状に配置され、
上記離解チャンバ(4)の内部に、内離解円錐体(13)及び外離解円錐体(14)から成る一対の静止円錐体を配置するとともにこれらの静止円錐体間に上記回転軸(7)の自由端部に上記入口(5)から出口(6)へと拡開する重ね合せ円錐ロータを配置し、この重ね合せ円錐ロータが、小径端基部の周方向に離解しようとする材料を流通する、複数の開口(9)を配列するとともに該小径端基部に軸方向に延びる円筒管部(10)を有する、円錐状回転体(8)であって、回転軸(7)の自由端部に軸方向における位置を調節可能に固定される、円錐状回転体(8)の内周面及び外周面に、それぞれ、対応する内離解円錐体(11)及び外離解円錐体(12)から成る一対の回転円錐体を配置することにより、重ね合せ円錐ロータの内外に2つの離解円錐面部を形成した離解機構部を設けたことを特徴とする、製紙用の円錐型パルプ離解装置。 - 相補的な内離解円錐体(13)と外離解円錐体(14)から成る、静止円錐体対を、それぞれ、枠体(2)における離解チャンバ(4)の底部と前蓋体(3)の内面部に、軸方向における位置を調節可能にかつ重ね合せ円錐ロータにおける内離解円錐体(11)と外離解円錐体(12)にそれぞれ対向するように固定することにより、上記一対の静止円錐体(13、14)と上記重ね合せ円錐ロータ間に、2つの中間円錐面又は離解領域を画定した、請求項1に載の円錐型パルプ離解装置。
- 重ね合せ円錐ロータが、離解回転軸(7)の自由端部の所定位置に固定可能とした円錐状回転体(8)により形成され、該円錐状回転体(8)の内周面及び外周面に、それぞれ、離解ブレード又はウィングを取付けて二重離解面部を形成した、請求項1に記載の円錐型パルプ離解装置。
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JP2001291426A JP3749463B2 (ja) | 2001-09-25 | 2001-09-25 | 製紙用の円錐型パルプ離解装置 |
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