JP3749427B2 - 捻れ繊維を具備する液状、ペースト状又は微粉状の製品のアプリケータ及びこれを装備したアプリケータ装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状からペースト状あるいは粒状のコンシステンシーの製品、例えば化粧料又は皮膚用製品を、皮膚及びその表面の成長体(皮膚骨格)のような面に塗布するために多くの剛毛を備えたアプリケータ、及び、前記製品を収容し、かかるアプリケータを具備したアプリケータ装置(アプリケータアセンブリ)に関する。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
本発明が対象とする装置は、製品を含むリザーバを具備し、把持のための部材となるキャップが取外し可能に取付けられた開口端を備えたタイプのものである。キャップは、装置を閉止したときにアプリケータが製品中に絶えず浸漬されるように一般に棒状部材によりアプリケータ部材に固定されている。
【０００３】
リザーバは例えばメークアップ製品又は皮膚科学的製品の何れか、より詳細にはマスカラ、液状口紅、アイライナー、頬紅タイプのパウダー又はネイルラッカー、あるいは毛髪処理用もしくは皮膚科学的製品を収容するためのものである。この製品の一定量が、そのようなアプリケータを使用して取り上げられ、処理されるべき面に塗布される。
【０００４】
過去に多くのこの種のアプリケータが、睫毛にマスカラを、爪にラッカーを、頬にパウダーを、毛髪に染料を、塗布する目的で提案されている。
しかして、本出願人名義の仏国特許出願公開第２６０７３７２号には、それぞれそ全長に沿って直線状に延びる少なくとも１条の毛管溝を表面に有する剛毛からなるマスカラブラシ形態のアプリケータが開示されている。毛管溝は、マスカラの貯留分を保持する部位を構成し、メークアップを均一に塗布するために、塗布時においてマスカラを睫毛に迅速かつ効果的に移動させることができる。
【０００５】
また、本出願人名義の仏国特許出願公開第２７５９８７２号には、取っ手を貫通する面に直交配置されて該取っ手の第１の端部に埋め込まれた多数の剛毛からなる、アプリケータ部材を支承し概略平坦な形状を持つ取っ手を有する、睫毛のマスカラアプリケータが開示されている。剛毛は、十字又は半円あるいはＳ字の形状の面(又は断面)を有しうる。しかして、剛毛は、その表面に、１条又はそれぞれ２条の直線状の溝を有している。
【０００６】
さらに、また本出願人名義の仏国特許出願公開第２６８７０５５号には、２種類の剛毛からなる房を有し、その剛毛が少なくとも１条の長手方向に延びる毛管溝を有するネイルラッカーのアプリケータが開示されている。
【０００７】
他の出典として、国際公開９７／１０３７４号には、断面が回転円筒体ではないモノフィラメントをその中心軸の周りにねじることにより非円形断面の撚り繊維を製造する方法が記載されている。この文献はフィラメントの中心軸に平行に延びる少なくとも１つのリブ部を持つコアを有するモノフィラメント又は楕円もしくは多角形の断面の繊維を開示している。このような繊維は押し出し後にねじられる。この文献は、これらの繊維は、様々な種類の研磨又は洗浄ブラシ、あるいは歯ブラシに使用することができる。
【０００８】
これら従来のアプリケータは総じて満足がいくものではあったが、非常にヘビーでしかも非常に均一なメークアップ効果を達成することができ、公知のアプリケータよりも多くの製品を分配するアプリケータが望まれている。問題は、上述のアプリケータでは、特に塗布前にアプリケータ部材の搾り取り操作をするときに、充填した製品の多くの部分が失われてしまうという欠点があることである。この搾り取り操作の間に剛毛の溝又は毛管溝がその全長にわたってこすり取られる場合に、この影響がいっそう痛切に感じられる。
【０００９】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
従って、本発明の目的は、特に搾り取り後でも多くの製品保留分を有するアプリケータを提供することにある。また、本発明は、処理される支持体に接触せしめられるアプリケータ部材部分に無関係に製品の調節された塗布を可能にすることも目的とする。この種のアプリケータは、睫毛又は眉毛、唇、皮膚又は爪へのメークアップの塗布、あるいは毛髪又は皮膚処理に適している。
【００１０】
本発明の他の目的は、製造が簡単かつ経済的で実用的に使用できるアプリケータを提供することにある。さらに、塗布される製品が比較的流動的なものである場合、本発明の目的は、塗布中に流れる製品の速度をより良好にコントロールすることである。
【００１１】
本発明の他の主題は、睫毛に非常に均一にメークアップを塗布することができる、睫毛へマスカラを塗布するためのアプリケータからなる。より詳細には、本発明の主題の１つは、従来のブラシよりもマスカラがより多く充填される剛毛を持つマスカラ用ブラシからなる。
【００１２】
実際、本出願人会社は、マスカラブラシに備えられた螺旋溝を持つ剛毛を睫毛に交差させると、瞼の睫毛の全ての形状にぴったりとくっつくことを知見した。従来のブラシとは異なり、このようなブラシによれば、各睫毛の全表面を完全にかつより均質に被覆することができる。よって、使用者が睫毛にブラシをあてがうと、瞼の幅全体にわたって、睫毛の基部にマスカラが付与される。その後、ブラシをその中心軸の回りに捻ることにより、各睫毛の表面全体にわたって剛毛の溝に充填されたマスカラが徐々に放出され、睫毛を梳かし、その全長にわたって全ての睫毛を分離させていく。このようなブラシにより、ヘビーで均質であり、睫毛を長くしカールさせるメークアップ効果を同時に得ることができる。
【００１３】
また、本発明の他の目的は、非常に大きな製品保有能力を持つと同時に調節されたフロー特性を有する、ラッカーを爪に塗布するためのブラシからなる。
【００１４】
しかして、本発明の第１の側面では、把持部材と該把持部材に取付けられたアプリケータ部材とを具備し、該アプリケータ部材が、剛毛の列を含んでなる、製品、特に化粧品もしくは皮膚用(皮膚科学的)製品のアプリケータにおいて、前記剛毛の少なくとも一部が、少なくとも１つの中空部を有する断面を有し、該剛毛の表面が少なくとも１条の螺旋溝を有することを特徴とするアプリケータを提供する。
【００１５】
一実施態様において、アプリケータ部材は、ほぼ平行に配向された剛毛からなる少なくとも１つの房を有し、該房の一端が棒状部材によって把持部材に固定されている。アプリケータ部材が剛毛の単一の房からなる場合、特にネイルラッカー用ブラシのような、爪にラッカーを塗布するのに適したアプリケータ具を得ることができる。またこのようなアプリケータ部材は、顔にパウダーを塗布することを可能にする頬紅タイプのブラシ、又はアイライナー用ブラシとして形態付けることができる。
【００１６】
本発明の特定の配置の一つでは、アプリケータ部材の自由端が支持体に固定される。この場合、アプリケータ部材は、該支持体の面に配され、支持体の長軸に対して横断方向に配向されている。このような配置は、睫毛にマスカラを塗布するアプリケータに好適に採用される。
【００１７】
他の実施態様おいて、前記剛毛は、中心にある又は中心を外れているコア部に対して、アプリケータ部材にほぼ放射状に配向される。この場合、アプリケータは、マスカラ用ブラシ、又は毛髪に毛髪染料を塗布するためのアプリケータとして使用される。
有利には、このようなコア部は、金属製のワイヤの２本の分枝線を捻り合わせることにより形成し、コア部の捻り合わされた分枝線間に剛毛が捉えられるようにする。この場合、得られたブラシは「ボトルブラシ(bottle-brush)」型のものである。好ましくは、コア部はアプリケータの軸と同一の軸を定める。
【００１８】
アプリケータ具は多様な外形を取りうる。しかして、剛毛端部により形成されるその外形は、塗布される製品の種類に応じて、支持体の形態に合うように調整することができる。この外形は、例えばトリマーを使用してブラシをトリミングすることで得ることができる。アプリケータ具は、第１の長さの剛毛と、第１のものよりも長い第２の長さの剛毛との混合体を含む。
【００１９】
本発明に係るアプリケータの剛毛の全て又は一部は、任意のタイプのもの：先細形又は丸み付けされた形、フォーク状又はピン頭部状の端部を持つものであってよく、又は当業者に知られている如何なる種類の処理が施されたものであってもよい。これらの剛毛は一面においてコルゲート状にされていても引き延ばされた渦巻形に形成されていてもよい。
【００２０】
剛毛の横断面に関しては、これは、有利には約６／１００ｍｍと約３０／１００ｍｍの間の範囲の直径の円内に入る。
アプリケータ部材の種類と塗布される製品の種類に応じて、剛毛の長さは約２ｍｍ〜約２５ｍｍの範囲となりうる。「ボトルブラシ」型のブラシの場合、剛毛の長さはその２つの自由端間の距離により定まる。この場合、剛毛の長さは、例えば７ｍｍから１２ｍｍのオーダーである。
【００２１】
剛毛は、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート又は熱可塑性エラストマーから作製することができる。
【００２２】
有利には、前記螺旋溝は、１ｍｍ〜２０ｍｍ、好ましくは１．５ｍｍ〜１０ｍｍ、さらには２ｍｍ〜９ｍｍの範囲のピッチを有している。
有利には、溝は、溝の深さと剛毛の横断面が入る円の直径との比率が１／１０〜９／１０になるような深さを有する。純粋に目安を示すと、溝の深さは２／１００ｍｍ〜８／１００ｍｍの範囲とされうる。
好ましくは、剛毛の断面形状は、十字、三つ葉、四つ葉、中空の卵形、中空の円筒形、中空の矩形、中空の多角形、８字形、Ｃ、Ｓ、Ｅ、Ｆ、Ｈ、Ｉ、Ｌ、Ｎ、Ｗ、Ｖ、星型又は三日月形の形状の断面から選択される。
【００２３】
本発明の第２の側面は、第１の側面のアプリケータ具を使用して取り上げることができる、塗布される製品を収容するためのリザーバを具備するアプリケータ装置(アセンブリ)を提供することにある。
このようなアプリケータ装置には、製品を正しく計測することができ、アプリケータ部材に製品を均質に広げることができるようにするために、いくつかの例では、有利にはリザーバの開口端部の近傍に位置せしめられる絞り出し部材が設けられる。このような絞り出し部材は、アプリケータ部材により取り上げられた製品の量を計測し、製品を均等に展伸させるためのものである。好ましくは、このような絞り出し部材は、エラストマー材料、可能ならば発泡体から作製され、アプリケータ部材と、適切な場合には、把持部材にアプリケータ部材を連結する棒状体の一部が通過可能な通路を有する。前記絞り出し部材の通路は、少なくとも１つの開口した又は隣接した絞り出し唇状部を有する。特に、アプリケータ部材が平坦な棒状体に支承されている場合、この通路は絞り出し部材の横断面の実質的な部位を横切って延びる少なくとも１つのスリットの形態をしている。
【００２４】
【実施例】
これまでに説明したものとは別に、本発明は、添付図面を参照して記述され、発明を何ら限定するものではない幾つかの実施態様に対して以下により詳細に説明する一定数の他の配置からなる。
【００２５】
図１には、アプリケータ３を具備し、円柱状のリザーバ２に収容された製品Ｍを塗布するための、中心軸Ｘを有するアプリケータ装置１が示されている。アプリケータ３は、リザーバの首部２１にねじ込むことにより固定でき、把持部材として作用するキャップ３ａを具備している。首部２１は、キャップ３ａの内面の下方部分に形成された相補的なネジ部３ｂと協働可能な外側のネジ部２２を有する。キャップ３ａの全体的な形状は、手で容易に保持できるように、長い円筒状になっている。キャップ３ａには、キャップ３ａから突出する中央棒状体５が備えられている。この棒状体５は、例えば接着により又はそこに挿入することによりアプリケータ部材４が固定される下方端５ａを有している。
【００２６】
ボトルの首部２１は、開口部１０を形成する円形の自由縁部２３を有している。この開口部には、弾性変形可能な材料により形成された絞り出し部材８が設けられている。絞り出し部材はシンブルの形状をしており、その端部はリザーバ２に対向している。前記端部は、アプリケータ６がリザーバから抜き取られると、先ず棒状体を絞り出し、ついでアプリケータ部材から過剰の製品を除去することが可能な円形の絞り出し唇状部が形成されるように、開口している。収納位置において、絞り出し部材はそれを貫通する棒状体５を有している。
【００２７】
図１に示されたアプリケータ部材４は、Ｕ字型に折曲した金属ワイヤの２本の分枝線を捻り合わせることにより形成された長尺のコア部４ａを有する、睫毛にマスカラを適用するためのブラシである。コア部４ａは、棒状体５の端部５ａに圧入嵌合されて固定されている。剛毛９がコア部４ａのワイヤ間に放射状に植え付けられている。ワイヤの分枝部が捻り合わされるときに、コア部４ａの螺旋状の回旋間に剛毛９が捉えられ、保持される。詳細図Ａには、Ｓ字形の断面Ｓ１３の撚られた剛毛を示している。コア部４ａは中心にある。この場合、コア部はブラシの軸線Ｘと一致する軸線を定める。コア部は、中心からはずれていてもよい。合成及び場合によってはフロック加工された繊維からなる剛毛９は、先に定義され、何ら制限するものではなく、図４ないし１９に図解された剛毛から選択される。ブラシ４は、異なる種類(異なる直径、形状、横断面、弾性、材料)の剛毛の混合体を含んでいてもよい。
ブラシは、例えばトリマーを使用し剛毛９の端部を切断することにより得られる任意の既知の外形を有するものとすることができる。
【００２８】
本発明のブラシには、マスカラを重厚に付与することができる。ブラシと接触すると、今度は睫毛の基部にマスカラが重厚に付与されるようになる。使用者がブラシ１を回すと、睫毛がその全長に沿ってブラシと接触し続け、カールを受けながら、継続して付与される。ブラシの剛毛は睫毛を梳かし始める。使用者がブラシを回し続けると、睫毛は剛毛により溝Ｇに把持され、その方向は、睫毛とブラシが互いにかみ合う度合いに応じて変化し、各睫毛の周囲全体と全長に沿って睫毛を梳きながら製品を広げる。換言すれば、メークアップが塗布されながら、溝が構成する微細なリザーバが、処理される睫毛に対する位置を変え、睫毛を均質に被覆することを可能にする。
【００２９】
このように、各睫毛には、その全長に沿いかつその周囲全体の周りに均一に付与される。瞼の端部の睫毛と中間部の睫毛との間に、メークアップの有意の差はない。睫毛は互いに完全に分離し、長くなりカールされている。
【００３０】
図２には、全体が符号１０１で示され、対称の長軸Ｘを有するリザーバ１０２と、把持カラー部１０３を備えたアプリケータ１０６を具備するアプリケータ装置(アセンブリ)が示されている。有利にはガラス製のリザーバ１０２は、液体又は粘性のある塗布される製品Ｖで、例えばネイルラッカー組成物でありうるものを収容している。
リザーバ１０２は開口部１１０を形成する首部１２１を有している。首部１２１は、カラー部１０３の内側に形成された相補的なネジ部と協働可能なネジ部１２２を有している。
【００３１】
また、カラー部１０３は、この特定の例においては、棒状体１０５の自由端１０５ａに固定されたほぼ平行な剛毛１０９の房からなるブラシから形成されているアプリケータ部材１０４を有している。棒状体の他端はカラー部１０３に固定されている。
アプリケータ装置が、リザーバ１０２上にカラー部１０３を螺合させることにより閉塞されると、剛毛１０９の房１０４が製品Ｖ中に浸漬する。これらの剛毛１０９は先に定義したようなものであり、より詳細には図４ないし１９に示される剛毛から選択される。
【００３２】
使用者が製品３を適用しようとする場合、キャップのネジを緩めて開け、リザーバからブラシを取り出す。そのとき、通常は、ブラシには過剰の製品が保持されている。ブラシを絞り出すために、使用者は首部１２１の自由縁部に対してブラシを拭き取る。
【００３３】
ブラシは、良好に充填がなされたままで、液滴を形成することなく、数回の絞り出しを行った後でもラッカーを保持する良好な能力を有していることは特筆すべきことである。ラッカーは、低くほぼ一定である流速で爪に付与される。得られたラッカーのコートはより均一で、ラッカーはかなり素早く乾燥する。
【００３４】
図３は、その棒状体２０５がほぼ平坦である点が、図１に示したものとは異なるマスカラ用アプリケータ２０６を示す。その自由端２０５ａにおいて、それは、アプリケータ２０６の軸線に対してほぼ直角で、棒状体２０５の面に形成された剛毛２０９の集合体２０４と同様の幅を有する。使用された剛毛２０９は図１及び２に対して記載されたものと同じ種類のものである。棒状体２０５の他端は把持カラー部２０３内に固定されている。
【００３５】
マスカラ用アプリケータ２０６は、絞り出し具を支承する部材２２２が上部に設けられた、製品Ｍを収容するリザーバ２０２を具備するメークアップ装置(アセンブリ)２０１の一部を形成している。絞り出し具を支承する部材は、カラー部２０３が固定され得る首部２１０を有している。また絞り出し具を支承する部材は、絞り出し部材２０８が上部に設けられた肩部２２３も有する。この特定の例において、絞り出し部材は、アプリケータ２０６が引き出されるときに、少なくとも棒状体２０５の一部と剛毛２０９の集合体２０４が貫通可能なスリット２１１を有するエラストマー又は発泡体の膜から形成されている。剛毛２０９が埋め込まれる面は、棒状体２０５を貫通する面に対して傾斜していてもよい。
【００３６】
アプリケータ２０６をリザーバから抜き取ると、マスカラが充填されたブラシが絞り出し具(スリット)２１１を通過する。後者が剛毛の外面を絞り出し、剛毛の螺旋溝が有意な量の製品を保持する。
【００３７】
本発明が目的としているアプリケータが、製品の塗布前に絞り出し操作を受けるとき、絞り出しはランダムに行われる。すなわち、螺旋形状による製品の分布は、各剛毛のその長さ方向の異なった位置に製品の微細保留分が存在するようなものである。これらの微細保留分により、処理される支持体に沿って製品を非常に均一に広げることが確実にできる。
【００３８】
図４ないし１９は、上に記載したアプリケータ６、１０６、２０６を製作するために、特に好ましい剛毛の形状を例証するものである。
【００３９】
しかして、図４は、その横断面Ｓ４が、剛毛に２つの螺旋溝Ｇを形成するように２つの切り欠きＥを持つＩ字形状である剛毛の斜視図を示す。
図５は、その横断面Ｓ５が、剛毛に１つの螺旋溝Ｇを形成するように１つの切り欠きＥを持つＣ字形状である剛毛の斜視図を示す。
図６は、その横断面Ｓ６が、剛毛に１つの螺旋溝Ｇを形成するように１つの切り欠きＥを持つＬ字形状である剛毛の斜視図を示す。
図７は、その横断面Ｓ７が、剛毛に２つの螺旋溝Ｇを形成するように２つの切り欠きＥを持つＨ字形状である剛毛の斜視図を示す。
図８は、その横断面Ｓ８が、剛毛に３つの螺旋溝Ｇを形成するように３つの切り欠きＥを持つＷ字形状である剛毛の斜視図を示す。
図９は、その横断面Ｓ９が、剛毛に２つの螺旋溝Ｇを形成するように２つの切り欠きＥを持つＥ字形状である剛毛の斜視図を示す。
図１０は、その横断面Ｓ１０が、剛毛に１つの螺旋溝Ｇを形成するように１つの切り欠きＥを持つ三日月形状である剛毛の斜視図を示す。
図１１は、その横断面Ｓ１１が、撚り操作後に剛毛に浅い螺旋溝Ｇを形成するように中央の切り欠きＥを持つ卵形状である剛毛の斜視図を示す。
図１２は、その横断面Ｓ１２が、撚り操作後に剛毛の面に２つの浅い螺旋溝Ｇを形成するように中央の切り欠きＥを持つ矩形状である剛毛の斜視図を示す。
図１３は、その横断面Ｓ１３が、剛毛に２つの螺旋溝Ｇを形成するように２つの切り欠きＥを持つＳ字状である剛毛の斜視図を示す。
図１４は、その横断面Ｓ１４が、剛毛に２つの螺旋溝Ｇを形成するように２つの切り欠きＥを持つ扁平な矩形状である剛毛の斜視図を示す。
図１５は、その横断面Ｓ１５が、剛毛に４つの螺旋溝Ｇを形成するようにその面の各々に１つの切り欠きＥを持つ正方形状である剛毛の斜視図を示す。
図１６は、その横断面Ｓ１６が、剛毛に４つの螺旋溝Ｇを形成するように４つの切り欠きＥを持つ四つ葉状である剛毛の斜視図を示す。
図１７は、その横断面Ｓ１７が、剛毛に４つの螺旋溝Ｇを形成するように４つの切り欠きＥを持つ十字状である剛毛の斜視図を示す。
図１８は、その横断面Ｓ１８が、剛毛に２つの螺旋溝Ｇを形成するように２つの切り欠きＥを持つ８字状である剛毛の斜視図を示す。
図１９は、その横断面Ｓ１９が、剛毛に多数の螺旋溝Ｇを形成するように多数の切り欠きＥを持つ星型である剛毛の斜視図を示す。
【００４０】
螺旋溝は、左回りであってもよく、これは、剛毛の軸線に沿って見たときに、溝が反時計回りの方向に進むことを意味する。
螺旋溝は、右回りであってもよく、これは、剛毛の軸線に沿って見たときに、溝が時計回りの方向に進むことを意味する。
【００４１】
よって、各溝が同じ方向に進む繊維だけからなるか、幾つかの繊維が右回りで他のものが左回りの繊維の混合体からなるアプリケータを製作することができる。従って、製品が例えば睫毛に塗布される特性を変更することが可能になる。
【００４２】
これらの剛毛は、適切な形のノズルを通して熱可塑性材料を押し出し、ついで、その軸線の回りに、所望の螺旋溝のピッチでもって熱間捻り加工(hot twisting)を施すことにより、得ることができる。本発明において使用される剛毛は、上において参照した国際公開第９７／１０３７４号に記載されたものと同様な方法により得ることができる。
有利には、上述した剛毛の横断面は、直径が６／１００ｍｍと３０／１００ｍｍの間の範囲の円の内部に入る。
【００４３】
剛毛は、ポリアミド(PA-6、PA-6,6、PA-11、PA-6,10、PA-6,12)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン／プロピレンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート又は熱可塑性エラストマーから製造され得る。適切ならば、スリップ強化剤(slip enhancers)、例えばグラファイト、二硫化モリブデン又はポリテトラフルオロエチレンを、このような材料中に導入してもよい。
【００４４】
螺旋形のこれらの剛毛は、従来からよく知られている横断面の無撚剛毛を所定量含有することができることも明瞭に理解されなければならない。例として、それらは、平坦な糸状であるか、円形の三つ葉、四つ葉、Ｌ、Ｃ、Ｕ形等の多角形である横断面を有するものでもよい。これらの無撚剛毛は中実でも中空でもよく、例えば中空円筒状のものでもよい。
【００４５】
螺旋形を有していても有していなくてもよい剛毛に対して、１つの同じアプリケータにおいて、剛毛が入る円の断面の径が異なった直径を有するようにすることもできる。同様に、それらは異なった材料からなるものでもよい。
【００４６】
上述の説明では、本発明のいくつかの好ましい実施態様を参照した。特許請求の範囲に記載された発明の精神から逸脱しないでこれに変更を加えることができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第１の実施態様のマスカラ用アプリケータ装置の縦断面図を表す。
【図２】 本発明の第２の実施態様のネイルラッカー用アプリケータ装置の縦断面図を表す。
【図３】 本発明の第３の実施態様のマスカラ用アプリケータ装置の縦断面図を表す。
【図４】 図１ないし図３のアプリケータ装置の製作に使用可能な剛毛の一例を示す斜視図である。
【図５】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図６】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図７】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図８】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図９】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１０】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１１】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１２】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１３】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１４】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１５】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１６】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１７】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１８】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１９】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
１、１０１、２０１…アプリケータ装置
２、１０２、２０２…リザーバ
３、１０３、２０３…把持部材
４、１０４、２０４…アプリケータ部材
４ａ…コア部
６、１０６、２０６…アプリケータ
８、２０８…絞り出し部材
９、１０９、２０９…剛毛
１０、２１０…開口部
２１１…スリット
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状からペースト状あるいは粒状のコンシステンシーの製品、例えば化粧料又は皮膚用製品を、皮膚及びその表面の成長体(皮膚骨格)のような面に塗布するために多くの剛毛を備えたアプリケータ、及び、前記製品を収容し、かかるアプリケータを具備したアプリケータ装置(アプリケータアセンブリ)に関する。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
本発明が対象とする装置は、製品を含むリザーバを具備し、把持のための部材となるキャップが取外し可能に取付けられた開口端を備えたタイプのものである。キャップは、装置を閉止したときにアプリケータが製品中に絶えず浸漬されるように一般に棒状部材によりアプリケータ部材に固定されている。
【０００３】
リザーバは例えばメークアップ製品又は皮膚科学的製品の何れか、より詳細にはマスカラ、液状口紅、アイライナー、頬紅タイプのパウダー又はネイルラッカー、あるいは毛髪処理用もしくは皮膚科学的製品を収容するためのものである。この製品の一定量が、そのようなアプリケータを使用して取り上げられ、処理されるべき面に塗布される。
【０００４】
過去に多くのこの種のアプリケータが、睫毛にマスカラを、爪にラッカーを、頬にパウダーを、毛髪に染料を、塗布する目的で提案されている。
しかして、本出願人名義の仏国特許出願公開第２６０７３７２号には、それぞれそ全長に沿って直線状に延びる少なくとも１条の毛管溝を表面に有する剛毛からなるマスカラブラシ形態のアプリケータが開示されている。毛管溝は、マスカラの貯留分を保持する部位を構成し、メークアップを均一に塗布するために、塗布時においてマスカラを睫毛に迅速かつ効果的に移動させることができる。
【０００５】
また、本出願人名義の仏国特許出願公開第２７５９８７２号には、取っ手を貫通する面に直交配置されて該取っ手の第１の端部に埋め込まれた多数の剛毛からなる、アプリケータ部材を支承し概略平坦な形状を持つ取っ手を有する、睫毛のマスカラアプリケータが開示されている。剛毛は、十字又は半円あるいはＳ字の形状の面(又は断面)を有しうる。しかして、剛毛は、その表面に、１条又はそれぞれ２条の直線状の溝を有している。
【０００６】
さらに、また本出願人名義の仏国特許出願公開第２６８７０５５号には、２種類の剛毛からなる房を有し、その剛毛が少なくとも１条の長手方向に延びる毛管溝を有するネイルラッカーのアプリケータが開示されている。
【０００７】
他の出典として、国際公開９７／１０３７４号には、断面が回転円筒体ではないモノフィラメントをその中心軸の周りにねじることにより非円形断面の撚り繊維を製造する方法が記載されている。この文献はフィラメントの中心軸に平行に延びる少なくとも１つのリブ部を持つコアを有するモノフィラメント又は楕円もしくは多角形の断面の繊維を開示している。このような繊維は押し出し後にねじられる。この文献は、これらの繊維は、様々な種類の研磨又は洗浄ブラシ、あるいは歯ブラシに使用することができる。
【０００８】
これら従来のアプリケータは総じて満足がいくものではあったが、非常にヘビーでしかも非常に均一なメークアップ効果を達成することができ、公知のアプリケータよりも多くの製品を分配するアプリケータが望まれている。問題は、上述のアプリケータでは、特に塗布前にアプリケータ部材の搾り取り操作をするときに、充填した製品の多くの部分が失われてしまうという欠点があることである。この搾り取り操作の間に剛毛の溝又は毛管溝がその全長にわたってこすり取られる場合に、この影響がいっそう痛切に感じられる。
【０００９】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
従って、本発明の目的は、特に搾り取り後でも多くの製品保留分を有するアプリケータを提供することにある。また、本発明は、処理される支持体に接触せしめられるアプリケータ部材部分に無関係に製品の調節された塗布を可能にすることも目的とする。この種のアプリケータは、睫毛又は眉毛、唇、皮膚又は爪へのメークアップの塗布、あるいは毛髪又は皮膚処理に適している。
【００１０】
本発明の他の目的は、製造が簡単かつ経済的で実用的に使用できるアプリケータを提供することにある。さらに、塗布される製品が比較的流動的なものである場合、本発明の目的は、塗布中に流れる製品の速度をより良好にコントロールすることである。
【００１１】
本発明の他の主題は、睫毛に非常に均一にメークアップを塗布することができる、睫毛へマスカラを塗布するためのアプリケータからなる。より詳細には、本発明の主題の１つは、従来のブラシよりもマスカラがより多く充填される剛毛を持つマスカラ用ブラシからなる。
【００１２】
実際、本出願人会社は、マスカラブラシに備えられた螺旋溝を持つ剛毛を睫毛に交差させると、瞼の睫毛の全ての形状にぴったりとくっつくことを知見した。従来のブラシとは異なり、このようなブラシによれば、各睫毛の全表面を完全にかつより均質に被覆することができる。よって、使用者が睫毛にブラシをあてがうと、瞼の幅全体にわたって、睫毛の基部にマスカラが付与される。その後、ブラシをその中心軸の回りに捻ることにより、各睫毛の表面全体にわたって剛毛の溝に充填されたマスカラが徐々に放出され、睫毛を梳かし、その全長にわたって全ての睫毛を分離させていく。このようなブラシにより、ヘビーで均質であり、睫毛を長くしカールさせるメークアップ効果を同時に得ることができる。
【００１３】
また、本発明の他の目的は、非常に大きな製品保有能力を持つと同時に調節されたフロー特性を有する、ラッカーを爪に塗布するためのブラシからなる。
【００１４】
しかして、本発明の第１の側面では、把持部材と該把持部材に取付けられたアプリケータ部材とを具備し、該アプリケータ部材が、剛毛の列を含んでなる、製品、特に化粧品もしくは皮膚用(皮膚科学的)製品のアプリケータにおいて、前記剛毛の少なくとも一部が、少なくとも１つの中空部を有する断面を有し、該剛毛の表面が少なくとも１条の螺旋溝を有することを特徴とするアプリケータを提供する。
【００１５】
一実施態様において、アプリケータ部材は、ほぼ平行に配向された剛毛からなる少なくとも１つの房を有し、該房の一端が棒状部材によって把持部材に固定されている。アプリケータ部材が剛毛の単一の房からなる場合、特にネイルラッカー用ブラシのような、爪にラッカーを塗布するのに適したアプリケータ具を得ることができる。またこのようなアプリケータ部材は、顔にパウダーを塗布することを可能にする頬紅タイプのブラシ、又はアイライナー用ブラシとして形態付けることができる。
【００１６】
本発明の特定の配置の一つでは、アプリケータ部材の自由端が支持体に固定される。この場合、アプリケータ部材は、該支持体の面に配され、支持体の長軸に対して横断方向に配向されている。このような配置は、睫毛にマスカラを塗布するアプリケータに好適に採用される。
【００１７】
他の実施態様おいて、前記剛毛は、中心にある又は中心を外れているコア部に対して、アプリケータ部材にほぼ放射状に配向される。この場合、アプリケータは、マスカラ用ブラシ、又は毛髪に毛髪染料を塗布するためのアプリケータとして使用される。
有利には、このようなコア部は、金属製のワイヤの２本の分枝線を捻り合わせることにより形成し、コア部の捻り合わされた分枝線間に剛毛が捉えられるようにする。この場合、得られたブラシは「ボトルブラシ(bottle-brush)」型のものである。好ましくは、コア部はアプリケータの軸と同一の軸を定める。
【００１８】
アプリケータ具は多様な外形を取りうる。しかして、剛毛端部により形成されるその外形は、塗布される製品の種類に応じて、支持体の形態に合うように調整することができる。この外形は、例えばトリマーを使用してブラシをトリミングすることで得ることができる。アプリケータ具は、第１の長さの剛毛と、第１のものよりも長い第２の長さの剛毛との混合体を含む。
【００１９】
本発明に係るアプリケータの剛毛の全て又は一部は、任意のタイプのもの：先細形又は丸み付けされた形、フォーク状又はピン頭部状の端部を持つものであってよく、又は当業者に知られている如何なる種類の処理が施されたものであってもよい。これらの剛毛は一面においてコルゲート状にされていても引き延ばされた渦巻形に形成されていてもよい。
【００２０】
剛毛の横断面に関しては、これは、有利には約６／１００ｍｍと約３０／１００ｍｍの間の範囲の直径の円内に入る。
アプリケータ部材の種類と塗布される製品の種類に応じて、剛毛の長さは約２ｍｍ〜約２５ｍｍの範囲となりうる。「ボトルブラシ」型のブラシの場合、剛毛の長さはその２つの自由端間の距離により定まる。この場合、剛毛の長さは、例えば７ｍｍから１２ｍｍのオーダーである。
【００２１】
剛毛は、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート又は熱可塑性エラストマーから作製することができる。
【００２２】
有利には、前記螺旋溝は、１ｍｍ〜２０ｍｍ、好ましくは１．５ｍｍ〜１０ｍｍ、さらには２ｍｍ〜９ｍｍの範囲のピッチを有している。
有利には、溝は、溝の深さと剛毛の横断面が入る円の直径との比率が１／１０〜９／１０になるような深さを有する。純粋に目安を示すと、溝の深さは２／１００ｍｍ〜８／１００ｍｍの範囲とされうる。
好ましくは、剛毛の断面形状は、十字、三つ葉、四つ葉、中空の卵形、中空の円筒形、中空の矩形、中空の多角形、８字形、Ｃ、Ｓ、Ｅ、Ｆ、Ｈ、Ｉ、Ｌ、Ｎ、Ｗ、Ｖ、星型又は三日月形の形状の断面から選択される。
【００２３】
本発明の第２の側面は、第１の側面のアプリケータ具を使用して取り上げることができる、塗布される製品を収容するためのリザーバを具備するアプリケータ装置(アセンブリ)を提供することにある。
このようなアプリケータ装置には、製品を正しく計測することができ、アプリケータ部材に製品を均質に広げることができるようにするために、いくつかの例では、有利にはリザーバの開口端部の近傍に位置せしめられる絞り出し部材が設けられる。このような絞り出し部材は、アプリケータ部材により取り上げられた製品の量を計測し、製品を均等に展伸させるためのものである。好ましくは、このような絞り出し部材は、エラストマー材料、可能ならば発泡体から作製され、アプリケータ部材と、適切な場合には、把持部材にアプリケータ部材を連結する棒状体の一部が通過可能な通路を有する。前記絞り出し部材の通路は、少なくとも１つの開口した又は隣接した絞り出し唇状部を有する。特に、アプリケータ部材が平坦な棒状体に支承されている場合、この通路は絞り出し部材の横断面の実質的な部位を横切って延びる少なくとも１つのスリットの形態をしている。
【００２４】
【実施例】
これまでに説明したものとは別に、本発明は、添付図面を参照して記述され、発明を何ら限定するものではない幾つかの実施態様に対して以下により詳細に説明する一定数の他の配置からなる。
【００２５】
図１には、アプリケータ３を具備し、円柱状のリザーバ２に収容された製品Ｍを塗布するための、中心軸Ｘを有するアプリケータ装置１が示されている。アプリケータ３は、リザーバの首部２１にねじ込むことにより固定でき、把持部材として作用するキャップ３ａを具備している。首部２１は、キャップ３ａの内面の下方部分に形成された相補的なネジ部３ｂと協働可能な外側のネジ部２２を有する。キャップ３ａの全体的な形状は、手で容易に保持できるように、長い円筒状になっている。キャップ３ａには、キャップ３ａから突出する中央棒状体５が備えられている。この棒状体５は、例えば接着により又はそこに挿入することによりアプリケータ部材４が固定される下方端５ａを有している。
【００２６】
ボトルの首部２１は、開口部１０を形成する円形の自由縁部２３を有している。この開口部には、弾性変形可能な材料により形成された絞り出し部材８が設けられている。絞り出し部材はシンブルの形状をしており、その端部はリザーバ２に対向している。前記端部は、アプリケータ６がリザーバから抜き取られると、先ず棒状体を絞り出し、ついでアプリケータ部材から過剰の製品を除去することが可能な円形の絞り出し唇状部が形成されるように、開口している。収納位置において、絞り出し部材はそれを貫通する棒状体５を有している。
【００２７】
図１に示されたアプリケータ部材４は、Ｕ字型に折曲した金属ワイヤの２本の分枝線を捻り合わせることにより形成された長尺のコア部４ａを有する、睫毛にマスカラを適用するためのブラシである。コア部４ａは、棒状体５の端部５ａに圧入嵌合されて固定されている。剛毛９がコア部４ａのワイヤ間に放射状に植え付けられている。ワイヤの分枝部が捻り合わされるときに、コア部４ａの螺旋状の回旋間に剛毛９が捉えられ、保持される。詳細図Ａには、Ｓ字形の断面Ｓ１３の撚られた剛毛を示している。コア部４ａは中心にある。この場合、コア部はブラシの軸線Ｘと一致する軸線を定める。コア部は、中心からはずれていてもよい。合成及び場合によってはフロック加工された繊維からなる剛毛９は、先に定義され、何ら制限するものではなく、図４ないし１９に図解された剛毛から選択される。ブラシ４は、異なる種類(異なる直径、形状、横断面、弾性、材料)の剛毛の混合体を含んでいてもよい。
ブラシは、例えばトリマーを使用し剛毛９の端部を切断することにより得られる任意の既知の外形を有するものとすることができる。
【００２８】
本発明のブラシには、マスカラを重厚に付与することができる。ブラシと接触すると、今度は睫毛の基部にマスカラが重厚に付与されるようになる。使用者がブラシ１を回すと、睫毛がその全長に沿ってブラシと接触し続け、カールを受けながら、継続して付与される。ブラシの剛毛は睫毛を梳かし始める。使用者がブラシを回し続けると、睫毛は剛毛により溝Ｇに把持され、その方向は、睫毛とブラシが互いにかみ合う度合いに応じて変化し、各睫毛の周囲全体と全長に沿って睫毛を梳きながら製品を広げる。換言すれば、メークアップが塗布されながら、溝が構成する微細なリザーバが、処理される睫毛に対する位置を変え、睫毛を均質に被覆することを可能にする。
【００２９】
このように、各睫毛には、その全長に沿いかつその周囲全体の周りに均一に付与される。瞼の端部の睫毛と中間部の睫毛との間に、メークアップの有意の差はない。睫毛は互いに完全に分離し、長くなりカールされている。
【００３０】
図２には、全体が符号１０１で示され、対称の長軸Ｘを有するリザーバ１０２と、把持カラー部１０３を備えたアプリケータ１０６を具備するアプリケータ装置(アセンブリ)が示されている。有利にはガラス製のリザーバ１０２は、液体又は粘性のある塗布される製品Ｖで、例えばネイルラッカー組成物でありうるものを収容している。
リザーバ１０２は開口部１１０を形成する首部１２１を有している。首部１２１は、カラー部１０３の内側に形成された相補的なネジ部と協働可能なネジ部１２２を有している。
【００３１】
また、カラー部１０３は、この特定の例においては、棒状体１０５の自由端１０５ａに固定されたほぼ平行な剛毛１０９の房からなるブラシから形成されているアプリケータ部材１０４を有している。棒状体の他端はカラー部１０３に固定されている。
アプリケータ装置が、リザーバ１０２上にカラー部１０３を螺合させることにより閉塞されると、剛毛１０９の房１０４が製品Ｖ中に浸漬する。これらの剛毛１０９は先に定義したようなものであり、より詳細には図４ないし１９に示される剛毛から選択される。
【００３２】
使用者が製品３を適用しようとする場合、キャップのネジを緩めて開け、リザーバからブラシを取り出す。そのとき、通常は、ブラシには過剰の製品が保持されている。ブラシを絞り出すために、使用者は首部１２１の自由縁部に対してブラシを拭き取る。
【００３３】
ブラシは、良好に充填がなされたままで、液滴を形成することなく、数回の絞り出しを行った後でもラッカーを保持する良好な能力を有していることは特筆すべきことである。ラッカーは、低くほぼ一定である流速で爪に付与される。得られたラッカーのコートはより均一で、ラッカーはかなり素早く乾燥する。
【００３４】
図３は、その棒状体２０５がほぼ平坦である点が、図１に示したものとは異なるマスカラ用アプリケータ２０６を示す。その自由端２０５ａにおいて、それは、アプリケータ２０６の軸線に対してほぼ直角で、棒状体２０５の面に形成された剛毛２０９の集合体２０４と同様の幅を有する。使用された剛毛２０９は図１及び２に対して記載されたものと同じ種類のものである。棒状体２０５の他端は把持カラー部２０３内に固定されている。
【００３５】
マスカラ用アプリケータ２０６は、絞り出し具を支承する部材２２２が上部に設けられた、製品Ｍを収容するリザーバ２０２を具備するメークアップ装置(アセンブリ)２０１の一部を形成している。絞り出し具を支承する部材は、カラー部２０３が固定され得る首部２１０を有している。また絞り出し具を支承する部材は、絞り出し部材２０８が上部に設けられた肩部２２３も有する。この特定の例において、絞り出し部材は、アプリケータ２０６が引き出されるときに、少なくとも棒状体２０５の一部と剛毛２０９の集合体２０４が貫通可能なスリット２１１を有するエラストマー又は発泡体の膜から形成されている。剛毛２０９が埋め込まれる面は、棒状体２０５を貫通する面に対して傾斜していてもよい。
【００３６】
アプリケータ２０６をリザーバから抜き取ると、マスカラが充填されたブラシが絞り出し具(スリット)２１１を通過する。後者が剛毛の外面を絞り出し、剛毛の螺旋溝が有意な量の製品を保持する。
【００３７】
本発明が目的としているアプリケータが、製品の塗布前に絞り出し操作を受けるとき、絞り出しはランダムに行われる。すなわち、螺旋形状による製品の分布は、各剛毛のその長さ方向の異なった位置に製品の微細保留分が存在するようなものである。これらの微細保留分により、処理される支持体に沿って製品を非常に均一に広げることが確実にできる。
【００３８】
図４ないし１９は、上に記載したアプリケータ６、１０６、２０６を製作するために、特に好ましい剛毛の形状を例証するものである。
【００３９】
しかして、図４は、その横断面Ｓ４が、剛毛に２つの螺旋溝Ｇを形成するように２つの切り欠きＥを持つＩ字形状である剛毛の斜視図を示す。
図５は、その横断面Ｓ５が、剛毛に１つの螺旋溝Ｇを形成するように１つの切り欠きＥを持つＣ字形状である剛毛の斜視図を示す。
図６は、その横断面Ｓ６が、剛毛に１つの螺旋溝Ｇを形成するように１つの切り欠きＥを持つＬ字形状である剛毛の斜視図を示す。
図７は、その横断面Ｓ７が、剛毛に２つの螺旋溝Ｇを形成するように２つの切り欠きＥを持つＨ字形状である剛毛の斜視図を示す。
図８は、その横断面Ｓ８が、剛毛に３つの螺旋溝Ｇを形成するように３つの切り欠きＥを持つＷ字形状である剛毛の斜視図を示す。
図９は、その横断面Ｓ９が、剛毛に２つの螺旋溝Ｇを形成するように２つの切り欠きＥを持つＥ字形状である剛毛の斜視図を示す。
図１０は、その横断面Ｓ１０が、剛毛に１つの螺旋溝Ｇを形成するように１つの切り欠きＥを持つ三日月形状である剛毛の斜視図を示す。
図１１は、その横断面Ｓ１１が、撚り操作後に剛毛に浅い螺旋溝Ｇを形成するように中央の切り欠きＥを持つ卵形状である剛毛の斜視図を示す。
図１２は、その横断面Ｓ１２が、撚り操作後に剛毛の面に２つの浅い螺旋溝Ｇを形成するように中央の切り欠きＥを持つ矩形状である剛毛の斜視図を示す。
図１３は、その横断面Ｓ１３が、剛毛に２つの螺旋溝Ｇを形成するように２つの切り欠きＥを持つＳ字状である剛毛の斜視図を示す。
図１４は、その横断面Ｓ１４が、剛毛に２つの螺旋溝Ｇを形成するように２つの切り欠きＥを持つ扁平な矩形状である剛毛の斜視図を示す。
図１５は、その横断面Ｓ１５が、剛毛に４つの螺旋溝Ｇを形成するようにその面の各々に１つの切り欠きＥを持つ正方形状である剛毛の斜視図を示す。
図１６は、その横断面Ｓ１６が、剛毛に４つの螺旋溝Ｇを形成するように４つの切り欠きＥを持つ四つ葉状である剛毛の斜視図を示す。
図１７は、その横断面Ｓ１７が、剛毛に４つの螺旋溝Ｇを形成するように４つの切り欠きＥを持つ十字状である剛毛の斜視図を示す。
図１８は、その横断面Ｓ１８が、剛毛に２つの螺旋溝Ｇを形成するように２つの切り欠きＥを持つ８字状である剛毛の斜視図を示す。
図１９は、その横断面Ｓ１９が、剛毛に多数の螺旋溝Ｇを形成するように多数の切り欠きＥを持つ星型である剛毛の斜視図を示す。
【００４０】
螺旋溝は、左回りであってもよく、これは、剛毛の軸線に沿って見たときに、溝が反時計回りの方向に進むことを意味する。
螺旋溝は、右回りであってもよく、これは、剛毛の軸線に沿って見たときに、溝が時計回りの方向に進むことを意味する。
【００４１】
よって、各溝が同じ方向に進む繊維だけからなるか、幾つかの繊維が右回りで他のものが左回りの繊維の混合体からなるアプリケータを製作することができる。従って、製品が例えば睫毛に塗布される特性を変更することが可能になる。
【００４２】
これらの剛毛は、適切な形のノズルを通して熱可塑性材料を押し出し、ついで、その軸線の回りに、所望の螺旋溝のピッチでもって熱間捻り加工(hot twisting)を施すことにより、得ることができる。本発明において使用される剛毛は、上において参照した国際公開第９７／１０３７４号に記載されたものと同様な方法により得ることができる。
有利には、上述した剛毛の横断面は、直径が６／１００ｍｍと３０／１００ｍｍの間の範囲の円の内部に入る。
【００４３】
剛毛は、ポリアミド(PA-6、PA-6,6、PA-11、PA-6,10、PA-6,12)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン／プロピレンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート又は熱可塑性エラストマーから製造され得る。適切ならば、スリップ強化剤(slip enhancers)、例えばグラファイト、二硫化モリブデン又はポリテトラフルオロエチレンを、このような材料中に導入してもよい。
【００４４】
螺旋形のこれらの剛毛は、従来からよく知られている横断面の無撚剛毛を所定量含有することができることも明瞭に理解されなければならない。例として、それらは、平坦な糸状であるか、円形の三つ葉、四つ葉、Ｌ、Ｃ、Ｕ形等の多角形である横断面を有するものでもよい。これらの無撚剛毛は中実でも中空でもよく、例えば中空円筒状のものでもよい。
【００４５】
螺旋形を有していても有していなくてもよい剛毛に対して、１つの同じアプリケータにおいて、剛毛が入る円の断面の径が異なった直径を有するようにすることもできる。同様に、それらは異なった材料からなるものでもよい。
【００４６】
上述の説明では、本発明のいくつかの好ましい実施態様を参照した。特許請求の範囲に記載された発明の精神から逸脱しないでこれに変更を加えることができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第１の実施態様のマスカラ用アプリケータ装置の縦断面図を表す。
【図２】 本発明の第２の実施態様のネイルラッカー用アプリケータ装置の縦断面図を表す。
【図３】 本発明の第３の実施態様のマスカラ用アプリケータ装置の縦断面図を表す。
【図４】 図１ないし図３のアプリケータ装置の製作に使用可能な剛毛の一例を示す斜視図である。
【図５】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図６】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図７】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図８】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図９】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１０】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１１】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１２】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１３】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１４】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１５】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１６】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１７】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１８】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【図１９】 図４と同様の図で、剛毛の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
１、１０１、２０１…アプリケータ装置
２、１０２、２０２…リザーバ
３、１０３、２０３…把持部材
４、１０４、２０４…アプリケータ部材
４ａ…コア部
６、１０６、２０６…アプリケータ
８、２０８…絞り出し部材
９、１０９、２０９…剛毛
１０、２１０…開口部
２１１…スリット
Claims (21)
- 絞り出し部材（８、２０８）を有する睫毛用の化粧品を収容するためのリーザーバ（２、１０２、２０２）を有するアプリケータ装置（１、２０１）に用いるアプリケータであって、
把持部材(３、２０３)と該把持部材に取付けられたアプリケータ部材(４、２０４)とを具備し、該アプリケータ部材が、剛毛(９、２０９)の列を含んでなる、化粧品等の製品(Ｍ)を塗布するためのアプリケータ(６、２０６)において、前記剛毛の少なくとも一部が、剛毛の表面に形成した切り欠き（Ｅ）または剛毛の内側に形成した中空を有する断面 (Ｓ４-Ｓ１９)を有し、該剛毛の表面が少なくとも１条の螺旋溝(Ｇ)を有することを特徴とする絞り出し部材を有する、睫毛に化粧品を塗布するためのアプリケータ。 - 前記アプリケータ部材(２０４)の自由端が支持体(２０５)に固定され、アプリケータ部材(２０４)が、該支持体の面に配され、支持体(２０５)の軸線に対して横断方向に配向されていることを特徴とする請求項１に記載のアプリケータ。
- 前記剛毛が、アプリケータ部材のコア部(４ａ)に対してほぼ放射状に配向せしめられていることを特徴とする請求項１に記載のアプリケータ。
- マスカラ用ブラシを構成することを特徴とする請求項２または３に記載のアプリケータ。
- コア部(４ａ)が、金属製のワイヤ(３)の２本の分枝線を捻り合わせて形成され、コア部の捻り合わせられた分枝線間に剛毛(９)が捕捉されていることを特徴とする請求項２ないし４の何れか１項に記載のアプリケータ。
- コア部(４ａ)が、アプリケータ(４)の中心軸線(Ｘ)と同一の軸線を有することを特徴とする請求項５に記載のアプリケータ。
- 第１の長さの剛毛と、第１の長さよりも長い第２の長さの剛毛との混合体を含んでなることを特徴とする請求項１ないし６のいずれか１項に記載のアプリケータ。
- アプリケータの剛毛の全て又は一部が、丸み付けされた形又は先細状の形、フォーク状又はピン頭部状の端部を有することを特徴とする請求項１ないし７のいずれか１項に記載のアプリケータ。
- 螺旋溝(Ｇ)が、１ｍｍ〜２０ｍｍ、好ましくは１．５ｍｍ〜１０ｍｍ、さらに特定的には２ｍｍ〜９ｍｍの範囲のピッチを有することを特徴とする請求項１ないし８のいずれか１項に記載のアプリケータ。
- 剛毛の横断面が、約６／１００ｍｍと約３０／１００ｍｍの間の範囲の直径の円内に入ることを特徴とする請求項１ないし９のいずれか１項に記載のアプリケータ。
- 溝が、溝の深さと剛毛の横断面が入る円の直径との比率が１／１０〜９／１０になる深さを有することを特徴とする請求項１０に記載のアプリケータ。
- 剛毛の長さが約２ｍｍ〜約２５ｍｍであることを特徴とする請求項１ないし１１のいずれか１項に記載のアプリケータ。
- 剛毛(９、２０９)が、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート又は熱可塑性エラストマーからなることを特徴とする請求項１ないし１２のいずれか１項に記載のアプリケータ。
- 前記中空部が、前記剛毛の表面に形成されていることを特徴とする請求項１ないし１３のいずれか１項に記載のアプリケータ。
- 剛毛が、十字(Ｓ１７)、三つ葉、四つ葉(Ｓ１６)、中空の卵形(Ｓ１１)の断面、中空の円柱形、中空の矩形(Ｓ１２)、中空の多角形、８字形(Ｓ１８)、Ｃ(Ｓ５)、Ｓ(Ｓ１３)、Ｅ(Ｓ９)、Ｆ、Ｈ(Ｓ７)、Ｉ(Ｓ４)、Ｌ(Ｓ６)、Ｎ、Ｗ(Ｓ８)、Ｖ、星型(Ｓ１９)又は三日月形(Ｓ１０)の断面形状から選択される断面を有することを特徴とする請求項１ないし１４のいずれか１項に記載のアプリケータ。
- アプリケータ(６、２０６)を使用して取り上げることができる製品(Ｍ)を収容するためのリザーバ(２、２０２)を具備するアプリケータ装置(１、２０１)において、アプリケータが請求項１ないし１５のいずれか１項に記載のものであることを特徴とするアプリケータ装置。
- リザーバが開口部(１０、２１０)を有し、前記アプリケータ(６、２０６)が通過可能な開口部(１０、２１０)の近傍には、アプリケータを使用して取り上げられる製品(Ｍ)の量を計測し、及び／又は把持部材(３、２０３)にアプリケータ部材(４、２０４)を連結する棒状体(５、２０５)を絞り出す、絞り出し部材(８、２０８)が配設されていることを特徴とする請求項１６に記載のアプリケータ装置(１、２０１)。
- 絞り出し部材(８、２０８)が、発泡体であってもよいエラストマー材料からなり、前記アプリケータ部材(４、２０４)が通過可能な少なくとも１つの通路(１１、２１１)を有していることを特徴とする請求項１７に記載のアプリケータ (１)。
- 絞り出し部材(２０８)が、エラストマー材料からなり、絞り出し部材の横断面の実質的な部位を横切って延びる少なくとも１つのスリット(２１１)を有していることを特徴とする請求項１８に記載のアプリケータ装置(１)。
- 睫毛用のメークアップ製品(Ｍ)を塗布するためのものである請求項１６ないし１９のいずれか１項に記載のアプリケータ装置。
- 前記中空部が、前記剛毛の内側に形成されていることを特徴とする請求項１ないし１３のいずれか１項に記載のアプリケータ。
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