JP3749331B2 - 溶着強度に優れた熱可塑性樹脂組成物、および溶着した成形品 - Google Patents

溶着強度に優れた熱可塑性樹脂組成物、および溶着した成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、熱可塑性芳香族ポリカーボネート樹脂および熱可塑性ポリエステル樹脂を主成分とし樹脂組成物、および、この熱可塑性樹脂組成物よりなる成形品と他の熱可塑性樹脂組成物よりなる成形品とを、熱溶着法で溶着された成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に熱可塑性樹脂は、熱板溶着法、振動溶着法、超音波溶着法などの溶着方法により接合できることが知られており、接着剤を使用するのに較べて、操作が簡単であるので、広く用いられるようになった。特に、車両、電機・電子、OA、雑貨などの接着強度を必要とする成形品を製造する場合は、熱溶着法で溶着する方法が採用されている。例えば、自動車部品の用途におけるコンビネーションランプは、ポリカーボネート樹脂/ポリエステル樹脂のハウジング部とアクリル材レンズ部とを、熱板溶着(以下、単に「溶着」ということがある。)により溶着する方法が採用されている。
【0003】
しかし、同種類の熱可塑性樹脂よりなる成形品(部品)同士を熱溶着した場合には溶着強度は上がるものの、異なる熱可塑性樹脂よりなる成形品(部品)同士を熱溶着した場合には、熱溶着強度は原料熱可塑性樹脂の熱特性の違いやソリビリティパラメータ(SP)値の相違などにより低くなることがある。前記コンビネーションランプでは、溶着強度を一層向上させることが求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来の課題を解決すべく鋭意検討した結果完成されたものである。本発明の目的は、次の通りである。
1.表面外観性、耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性などに優れ、かつ、溶着強度にも優れた成形品を提供すること。
2.熱溶着させる2つの成形品が、同種または異なる熱可塑性樹脂であっても、優れた溶着強度を発揮する成形品を提供すること。

【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記課題を解決するため、第一発明では、(A)熱可塑性芳香族ポリカーボネート樹脂5〜90重量%、(B)熱可塑性ポリエステル樹脂90〜5重量%、および、(C)架橋アクリル酸エステル弾性体に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体をグラフト重合して得られるメタクリル酸エステル系樹脂1〜10重量%が配合された、溶着強度に優れた熱可塑性樹脂組成物(α)より成形された成形品と、これと同種の熱可塑性樹脂組成物(α)より成形された成形品、または、熱可塑性ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブダジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブダジエン−スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−ブダジエン−スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体、MBS樹脂、アクリロニトリル−EPDM−スチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体よりなる群から選ばれた、異なる熱可塑性樹脂組成物(β)より成形された成形品とを、熱溶着法によって溶着されてなることを特徴とする成形品を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における(A)熱可塑性芳香族ポリカーボネート樹脂{以下、「(A)成分」と言うこともある。}は、芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンまたは炭酸ジエステルと反応させることによって製造したもの、または、上記原料を反応させる際に少量の分岐化剤を存在させて製造した分岐した熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体をいう。芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−P−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルなどが挙げられる。中でも好ましいのは、ビスフェノールAである。
【0008】
分岐化剤としては、クロログリシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのポリヒドロキシ化合物類、および、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロロイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、5−ブロモイサチンビスフェノールなどが挙げられる。分岐化剤を使用する場合は、上記の原料芳香族ジヒドロキシ化合物の一部、例えば、0.1〜2モル%を分岐化剤によって置換して重合系に存在させればよい。
【0009】
(A)熱可塑性芳香族ポリカーボネート樹脂は、分子量調節剤を使用して分子量を成形材料として好適な範囲に調節するのが好ましい。使用できる分子量調節剤としては、一価の芳香族ヒドロキシ化合物が好ましく、具体的には、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−ブロモフェノール、p−tert−ブチルフェノール、およびp−長鎖アルキル置換フェノールなどが挙げられる。
【0010】
上記の(A)成分としての熱可塑性芳香族ポリカーボネート樹脂の中で代表的なものとしては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物、特にビスフェノールAを主原料とするポリカーボネートが挙げられ、この他に、2種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物を併用して得られるポリカーボネート共重合体、3価のフェノール系化合物を少量併用して得られる分岐化ポリカーボネートなども挙げることができる。芳香族ポリカーボネート樹脂は、2種以上の混合物であってもよい。
【0011】
本発明における(B)熱可塑性ポリエステル樹脂{以下、「(B)成分」と言うこともある。}は、芳香族ジカルボン酸類またはそのジエステル類と、グリコールまたはアルキレンオキサイドとを、公知の方法で反応させて得られる重合体をいう。具体的には、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、ナフタレンジカルボン酸、または、ナフタレンジカルボン酸ジメチルなどの芳香族ジカルボン酸類を主成分とし、これらとエチレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノールまたはエチレノキサイドなどを反応させて得られるポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラメチレンテレフタレート(ポリブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリテトラメチレンナフタレート(ポリブチレンナフタレート)(PBN)などを挙げることができる。また(B)熱可塑性ポリエステル樹脂は、共重合体であってもよく、共重合体としては、例えば、シクロへキサンジメタノールとテレフタル酸およびイソフタル酸との共重合体、シクロヘキサンジメタノールおよびエチレングリコールとテレフタル酸との共重合体などを挙げることができる。
【0012】
(B)成分としての熱可塑性ポリエステル樹脂は、固有粘度(極限粘度)が0.4以上のものが好ましい。固有粘度が0.4未満であると耐衝撃性や耐薬品性の改良が不十分となり好ましくない。ここで、固有粘度とは、フェノールとテトラクロロエチレンとを6対4の重量比で混合した混合溶媒中で、30℃で測定した固有粘度(極限粘度)を意味する。(B)成分の固有粘度の好ましい範囲は、0.5〜1.5である。
【0013】
本発明における(C)架橋アクリル酸エステル系弾性体(c1)に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体をグラフト重合して得られるメタクリル酸エステル系樹脂{以下、「(C)成分」と言うこともある。}は、架橋アクリル酸エステル系弾性体(c1)を10〜50重量部(固形分)含む乳濁液の存在下に、メタクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数が1〜4)60〜100重量%と、アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数が1〜8)0〜40重量%とからなる単量体混合物(c2)に、さらにこの単量体混合物(c2)に対して0.01〜10重量%の連鎖移動剤(c3)を加えた混合物50〜90重量部を添加し、グラフト部分とマトリックス部分の組成が均一になるように乳化重合法によって重合させて得られた樹脂組成物をいう。かかる樹脂組成物としては、鐘淵化学社製のサンデュレンXS−21−9Nが挙げられる。
【0014】
(C)成分における架橋アクリル酸エステル系弾性体(c1)は、アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数が1〜8)60〜100重量%と、メタクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数が1〜4)0〜40重量%とからなる単量体混合物(c4)に、これらと共重合し得る1分子当たり2個以上の非共役2重結合を有する多官能性単量体(c5)を、前記単量体混合物(c4)に対して0.1〜20重量%加え、乳化重合法によって重合させて製造することができる。
【0015】
アルキル基の炭素数が1〜8のアクリル酸アルキルエステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ー2ーエチルヘキシル、アクリル酸ーnーオクチルなどが挙げられる。アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。これらは単独でも、2種以上を併用してもよい。
【0016】
アルキル基の炭素数が1〜4のメタクリル酸アルキルエステルの代表例はメタクリル酸メチルであるが、その他に、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルなどが挙げられる。メタクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。これらは単独でもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
連鎖移動剤(c3)は、通常ラジカル重合性単量体を重合する際に用いられる従来から知られているものが、得に制限なしに用いることができる。連鎖移動剤(c3)の具体例としては、炭素数が2〜20のアルキルメルカプタン類、メルカプト酸類、チオフェノール、四塩化炭素またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0018】
前記単量体と共重合しうる1分子当たり2個以上の非共役2重結合を有する多官能性単量体(c5)は、主として弾性体成分を架橋させ、架橋弾性体とするために用いられるものである。その具体例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、または、これらのメタクリレートをアクリレートにしたもの、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、ジビニルアジペート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどが挙げられる。
【0019】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、(A)成分が5〜90重量%、(B)成分が90〜5重量%、(C)成分が1〜10重量%よりなり全体で100重量%となる。(A)成分が5重量%未満であるとアイゾット(Izod)衝撃強度の低下や荷重たわみ温度が低下し、90重量%を超えると耐溶剤性の低下を招く。(B)成分は(A)成分の欠点である耐溶剤性を改良するばかりでなく、引張強度、曲げ強度などを向上させる。これら二成分の混合物に(C)成分を配合すると同種の樹脂組成物よりなる成形品同士の溶着強度を向上させ、かつ、異なる樹脂組成物よりなる成形品同士の溶着強度をも向上させるが、(C)成分の配合量は1〜10重量%の範囲で選ぶものとする。配合量が1重量%以下であると、成形品の溶着強度の向上が認められず、10重量%以上では衝撃強度や熱変形温度が低下し、成形品表面が真珠光沢を呈することがあり、好ましくない。
【0020】
以上の如く、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分の三成分を必須とするが、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の特性を損なわない種類の各種樹脂添加剤を、特性を損なわない範囲で配合することができる。樹脂添加剤としては、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、滑剤、充填材、衝撃改良材などが挙げられる。充填材の具体例としては、無機ガラス繊維、タルク、珪酸カルシウム、マイカなどの無機フィラー、有機の繊維物質などが挙げられる。
【0021】
衝撃改良材の具体例としては、ポリエステルエラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、SEBS(スチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重合体)、SBR(スチレン−ブタジエン共重合体ゴム)、MBS樹脂(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)、MAS樹脂(メチルメタクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重合体)、アクリル酸エステルコアーシェルグラフト共重合体、スチレン系コアーシェルグラフト共重合体などが挙げられる。更には、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の特性を害さない範囲で、他の熱可塑性樹脂成分を配合することもできる。
【0022】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を調製するには、(A)熱可塑性芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)熱可塑性ポリエステル樹脂、および、(C)架橋アクリル酸エステル系弾性体に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体をグラフト重合して得られるメタクリル酸エステル系樹脂の三種類の原料を所定量秤量し、要すれば樹脂添加剤をも秤量し、従来から知られている熱可塑性樹脂の混練機、例えば、押出機、バンバリーミキサー、ロールなどで混練する方法によることができる。
【0023】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物から目的の成形品を製造するには、従来から知られている熱可塑性樹脂の成形法、例えば、押出成形法、射出成形法、ブロー成形法、射出ブロー成形法、圧縮成形法、回転成形法などによることができる。成形品の種類、大きさ、特性などに応じて、適宜成形法を選択すればよい。
【0024】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物から得られた成形品は、同じ種類の樹脂よりなる成形品(部品)同士を熱溶着する場合のみでなく、異なる種類の樹脂よりなる成形品(部品)同士を熱溶着する場合にも適用できる。熱溶着可能な成形品を構成する異種類の樹脂としては、熱可塑性芳香族ポリカーボネート樹脂、PET、PBT、PEN、PBN、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−α−メチルスチレン共重合体(耐熱ABS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体(超耐熱ABS樹脂)、MBS樹脂、アクリロニトリル−EPDM−スチレン共重合体(AES樹脂)、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA樹脂)などが挙げられる。
【0025】
成形品(部品)同士を熱溶着するには、従来から知られている溶着方法、例えば、熱板溶着法、振動溶着法、超音波溶着法などが挙げられる。溶着方法は、成形品の種類、形状、大きさなどに応じてこれらの中から選べばよい。熱溶着する際の温度は、成形品(部品)を構成する樹脂組成物の組成によって適温を選べばよい。成形品(部品)としては、車両、電機・電子、OA機器、雑貨などの高い接着強度が要求されるものが挙げられる。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて更に詳細にに説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下の記載例にに限定されるものではない。
【0027】
[実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例6]
下記の(A)成分ないし(G)成分を、表−1に記載した割合(重量%)で秤量し、タンブラーにて混合し、各々一軸のベント式押出機で押し出し、ペレットとした。得られたペレットを、熱風乾燥器中で120℃の温度で5時間以上乾燥した後、射出成形機で、シリンダー温度260℃、金型温度80℃として、アイゾット衝撃強度用と荷重たわみ温度測定用試験片を成形した。
【0028】
さらに、同じ射出成形機を使用し、25mm×60mm×4mmの溶着引張強度試験用の試験片を成形した。なお、溶着引張強度試験は、表−1に記載した組成成分よりなる成形品と、(i)同一材料よりなる成形品同士を組合せて試験したほか、(ii)PMMA樹脂{以下の(E)成分を参照}、および、(iii) PC{以下の(A)成分を参照}の単独材料よりなる成形品などと組合せて試験した。
【0029】
【表1】
Figure 0003749331
【0030】
アイゾット衝撃強度と荷重たわみ温度の測定、溶着引張強度の測定は、射出成形法によって成形した試験片につき、次の方法によって測定したものである。
(a) Izod衝撃強度:ASTM D256に準拠した。
(b) 荷重たわみ温度:ASTM D−648に準拠した。
【0031】
(c) 溶着引張強度:上記試験片の二枚の先端部(25mm×4mm)に、温度260℃に加熱された熱板を10秒間接触させ、この先端部を溶融させた。先端部から熱板を剥離して2秒間待機させたあと、溶融させた先端部同士を突合わせた状態で10秒間保持し、両先端部を熱溶着させた。この試験片を、温度25℃、湿度50%の条件下で24時間以上静置し、引張試験機によって熱溶着面が剥離する際の強度を測定し、溶着引張強度(kg/cm2)として表示した。
【0032】
【表2】
Figure 0003749331
【0033】
表−1から、次のことが明らかになる。
(1) (A)成分、(B)成分および(C)成分の三成分を含む樹脂組成物は、Izod衝撃強度、荷重たわみ温度に優れているほか、同一材料の成形品との溶着強度、異なる樹脂の成形品との溶着強度にも優れている(実施例1〜実施例4参照)。
(2) これに対し、(A)成分と(B)成分の二成分よらなる樹脂組成物は、Izod衝撃強度、荷重たわみ温度に優れ、同一材料の成形品との溶着強度にも優れているが、異なる樹脂の成形品との溶着強度において劣る(比較例1参照)。
(3) また、(C)成分を含んでいても本発明で必須とする範囲外であると、Izod衝撃強度が極端に低下する(比較例2参照)。
(4) さらに、(C)成分を他の成分{(D)成分ないし(G)成分}に替えた場合は、Izod衝撃強度において劣ったり(比較例4参照)、異なる樹脂の成形品との溶着強度において劣る(比較例3〜比較例6参照)。
【0034】
【発明の効果】
本発明は以上詳細に説明したとおりであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係る成形品は、(A)成分、(B)成分、および(C)成分が適当な範囲内で配合されているので、表面外観性、耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性などに優れた成形品である。
2.本発明に係る成形品は、熱溶着させる2つの成形品が、同種または異なる熱可塑性樹脂であっても、優れた溶着強度を発揮する。
3.本発明に係る成形品は、優れた溶着強度を必要とする車両、電機・電子、OA、雑貨向けなどの部品として好適である。

Claims (2)

  1. (A)熱可塑性芳香族ポリカーボネート樹脂5〜90重量%、(B)熱可塑性ポリエステル樹脂90〜5重量%、および、(C)架橋アクリル酸エステル弾性体に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体をグラフト重合して得られるメタクリル酸エステル系樹脂1〜10重量%が配合された、溶着強度に優れた熱可塑性樹脂組成物(α)より成形された成形品と、これと同種の熱可塑性樹脂組成物(α)より成形された成形品、または、熱可塑性ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブダジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブダジエン−スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−ブダジエン−スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体、MBS樹脂、アクリロニトリル−EPDM−スチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体よりなる群から選ばれた、異なる熱可塑性樹脂組成物(β)より成形された成形品とを、熱溶着法によって溶着されてなることを特徴とする成形品。
  2. 異なる熱可塑性樹脂組成物(β)が、熱可塑性ポリカーボネート樹脂、またはポリメチルメタクリレートである、請求項1に記載の成形品。
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