JP3748833B2 - ワークブーツ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防水や抗菌などの防護を目的とするワークブーツに関し、着脱の容易性および運動性の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、防水や抗菌などの防護を目的とするワークブーツとして、一般に、長靴、つまりゴムまたはビニール製で膝のあたりまで筒部を有する深靴が知られている。従来の長靴は、筒部を介して足を着脱するため、その着脱を容易に行えるように、通常、筒部および靴のサイズ、特に足首から踵が通る部分のサイズが大き目のものが用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の長靴は防水性があるが、大き目であることから足にフィットせずかつ重く、運動性に欠けるために、機敏な動作を妨げて安全性が低いという問題があった。
この場合、靴のサイズを足のサイズに合わせるとともに、筒部にチャックを着けて足の着脱を容易にすることも考えられるが、チャック部分は防水性に欠ける。また、チャックを逐一開閉する必要があって着脱が面倒であり、作業中にチャックに泥などがつまると、チャックの開閉に支障をきたす場合もある。
また、靴がゴム製でその上に革製の筒部を縫い付けた、いわゆるビーンブーツも知られているが、運動性にやや欠け、やはり着脱が面倒であって、筒部は防水機能を有しないものである。
【0004】
なお、ワークブーツではないが、同様の機能を持つものとして、足首から下の部分を入れる短靴を履いた状態で別の防護カバーを巻いて、脚部分を防護することも知られているが、その都度防護カバーを着脱する手間がかかる。
【0005】
すなわち、防水などの防護機能を有し、着脱が容易でかつ運動性に優れたワークブーツが従来から求められていたが、このようなワークブーツは、今まで存在していなかった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決して、防護機能を有しながら、着脱が容易で、かつ運動性に優れたワークブーツを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の一構成にかかるワークブーツは、甲被がゴムまたは皮、合皮製で足を収納する靴部と、靴部の上方に設けられて目的に応じて選択される防護用の筒部とを備え、靴部と筒部が第1連結部で連結されたものであって、前記靴部は、靴部の甲部にその履き口の周端から外方へ延びる柔軟性を持つ舌布を有して、足首から下の部分を入れる短靴からなり、前記舌布の先端部が前記筒部の内面と第2連結部で連結して、筒部を経て靴部の履き口から挿入される足を前記舌布でガイドするガイド部が形成されている。
【0008】
この構成によれば、靴部の甲被がゴムまたは皮、合皮製で筒部が防護用であり、この靴部と筒部が連結されているので、ワークブーツ全体で防護性を有する。また、舌布の先端部が筒部内面で連結したガイド部が形成されているので、筒部を経て履き口から挿入される足がガイドされて着脱が容易となる。したがって、着脱性を損なうことなく、短靴からなる靴部として、足にフィットする、つまり足とほぼ同じ大きさのものを選ぶことができるのに加えて、甲部の舌布が柔軟性を持つので、靴部が足にフィットして運動性がよくなる。しかも、靴部が共用で、筒部が防護目的に応じて選択されるので筒部を取り替えるだけで製造できるため、工程数が減少し材料数も減少するから、製造コストを低下させることができる。
【0009】
好ましくは、前記靴部の甲部に、その履き口から足が出し入れされる時に足の幅方向に伸び、足が靴部に入った時に足の幅方向に縮む伸縮部が設けられている。したがって、さらに着脱が容易となり、靴部が足にフィットして運動性がよくなる。前記舌布と伸縮部を一体形成するようにしてもよい。また、前記靴部が安全靴であってもよい。
【0010】
本発明の他の構成にかかるワークブーツは、甲被がゴムまたは皮、合皮製で足を収納する靴部と、靴部の上方に設けられて目的に応じて選択される防護用の筒部とを備え、靴部と筒部が第1連結部で連結されたものであって、前記靴部は、靴部の甲部にその履き口から足が出し入れされる時に足の幅方向に伸び、足が靴部に入った時に足の幅方向に縮む伸縮部が設けられて、足首から下の部分を入れる短靴からなり、前記甲部の先端部が前記筒部の内面と第2連結部で連結して、筒部を経て靴部の履き口から挿入される足を前記甲部でガイドするガイド部が形成されている。
【0011】
この構成によれば、靴部の甲被がゴムまたは皮、合皮製で筒部が防護用であり、この靴部と筒部が連結されているので、ワークブーツ全体で防護性を有する。また、甲部の先端部が筒部内面で連結したガイド部が形成されているので、筒部を経て履き口から挿入される足がガイドされて着脱が容易となる。したがって、着脱性を損なうことなく、短靴からなる靴部として、足にフィットする、つまり足とほぼ同じ大きさのものを選ぶことができるのに加えて、甲部の伸縮部が足の幅方向に縮むので、靴部が足にフィットして運動性がよくなる。しかも、靴部が共用で、筒部が防護目的に応じて選択されるので筒部を取り替えるだけで製造できるため、工程数が減少し材料数も減少するから、製造コストを低下させることができる。
【0012】
好ましくは、前記筒部が防水用、抗菌用または防寒用である。したがって、目的に応じて防護用の筒部を選択できる。前記筒部が防水用である場合、前記靴部の甲被がゴム製であり、シーリング材を用いて靴部と筒部が連結される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係るワークブーツを示す一部破断させた側面図、図1(b)はその下部の靴部のみを示す平面図である。図1(b)に示すように、このワークブーツ1は、足を収納する靴部2を備えており、この靴部2は、足首から下の部分を入れる短靴からなり、この短靴は、市販されている一般的な形態の短靴と同一である。
【0014】
図1(a)に示すように、この靴部2は、靴底と中底と、その上部に取り付けられた甲被(アッパー)15とを備えている。靴底は、例えばミッドソール16およびアウトソール18を備えており、中底は、上記ミッドソール16の上面に接合される中底ボード14およびその上面のインソール13(図1(b))を備えている。
【0015】
靴部2は、甲被(アッパー)15がゴム製、例えば、クロロプレンゴム(商品名、ネオプレン)に薄いゴムを貼った軽量の材料で形成されており、防水などの防護用になっている。アウトソール18には、例えば発泡ラバー、発泡ポリウレタンまたは発泡ポリブタジエン等の軽量の材料が用いられる。インソール13、中底ボード14およびミッドソール16の材質は、特に限定されないが、高強度で軽量の材料が用いられる。したがって、この靴部2は、従来のゴム長靴の足収納部分が大き目でその全体がゴム製であるのと比べて、足にフィットする短靴からなり、かつ軽量になっているので、運動性が向上する。
【0016】
図1(b)のように、靴部2は、その甲部7の前面に設けられた舌布8と伸縮部9を有する。この舌布8は、靴部2の履き口6の周端から外方へ延びる柔軟性を有するものである。舌布8は柔軟性を有するので、歩行の際、曲がりやすく、運動性が高くなる。また、足の甲部分に当接する甲部7にこの舌布8が設けられていることにより、足に対する甲部7の押えにもなり足が靴部2によりフィットする。したがって、前記靴部2の構成と相まって運動性が向上する。
【0017】
また、前記舌布8の上に重ねて設けられた伸縮部9は、靴部2の履き口6から足が出し入れされる時に足の幅方向に伸び、足が靴部2に入った時に足の幅方向に縮むものである。したがって、足の出し入れの際、伸縮部9により靴部2の幅が伸びて、靴部2への足の着脱が容易となる。また、足が入った時に靴部2の幅が縮んで、足が靴部2にフィットするので、運動性も向上する。
伸縮部9は平面視で三角形の形状を有しているが、靴部2の幅方向に伸縮することができればどのような形状でもよく、長方形など種々の形状が採用される。
【0018】
なお、この実施形態では、甲部7の前面に伸縮部9を配置しているが、甲部7の側面に設けてもよい。
【0019】
この実施形態では、舌布8と伸縮部9を別体に形成しているが、一体に形成してもよい。この場合、ワークブーツ1の製造において、工程数が減少するから、製造コストを低下させることができる。
【0020】
また、ワークブーツ1は、図1(a)のように、前記靴部2の上方に設けられた筒部3を備えている。このワークブーツ1において、靴部2は共用になっており、筒部3は、目的に応じて選択される防護用のものである。例えば、防水用、抗菌用または防寒用に選択される。筒部3が防水用の場合、例えばナイロン系の材料が用いられ、表面が撥水処理される。抗菌用の場合には、例えばナイロン生地や、合成皮革、人口皮革などの材料が用いられ、その表面に有機窒素系硫黄化合物などの抗菌処理が施される。防寒用の場合には、例えばナイロン生地や、合成皮革、人口皮革などの材料が用いられ、筒部3内側に発泡ウレタン、ウールボアなどの防寒材料が貼り付けられる。この実施形態では、筒部3は例えば防水用である。
【0021】
前記靴部2と筒部3は第1連結部5で連結されている。この第1連結部5は、縫製のほか、接着剤、粘着剤を用いた接着、接合などの手段からなる。なお、筒部3が抗菌用または防寒用の場合にはファスナー部材による係合手段でもよい。また、本実施形態では、筒部3が防水用であるので、靴部2と筒部3は、樹脂やろうなどのシーリング材を用いて例えば縫製により連結される。ワークブーツ1の筒部3上部の履き口4において足が出し入れされる。
【0022】
ワークブーツ1は、前記靴部2の舌布8の先端部8aが筒部3の内面と第2連結部10で連結して、筒部3を経て靴部2の履き口6から挿入される足をガイドするガイド部12が形成されている。
この第2連結部10は、縫製や、接着剤、粘着剤を用いた接着、接合などの手段のほか、ファスナー部材による係合手段からなる。この実施形態では、例えば縫製からなる。
【0023】
図2のワークブーツ1の平面図に示すように、足をワークブーツ1の履き口4から筒部3を介して靴部2に挿入する際、ガイド部12により足をスムーズに靴部2の履き口6から靴部2内へガイドする。仮に、舌布8が筒部3に連結していないとすると、靴部2のみの場合、手で舌布8を上方に引張りながら靴を履くが、靴部2と連結された筒部3を介した場合、これができず、靴部2に挿入する際、履き口6で舌布8に足先が引っ掛かってしまい、スムーズに靴を履くことができない。このワークブーツ1においては、舌布8が足をガイドするのでスムーズに靴を履くことができる。
したがって、ガイド部12を設けることにより、前記伸縮部9と相まって、足の着脱が容易になる。
【0024】
このように、ワークブーツ1は、靴部2の甲被15がゴム製で筒部3が防護用であり、この靴部2と筒部3が連結されているので、ワークブーツ1全体で防水のような防護性を有する。また、舌布8の先端部8aが筒部3内面で連結したガイド部12が形成されているので、筒部3を経て履き口6から挿入される足がガイドされて着脱が容易となる。したがって、着脱性を損なうことなく、短靴からなる靴部2として、足にフィットする、つまり足とほぼ同じ大きさのものを選ぶことができるのに加えて、甲部7の舌布8が柔軟性を持つので、靴部2が足にフィットして運動性が向上し、その結果、機敏な動作が可能となって、安全性が高くなる。また、靴部2は短靴からなるので、従来の短靴の製造ラインで容易に製造できる。
【0025】
すなわち、本発明のワークブーツ1は、靴部2に短靴を用いて筒部3と連結させ、足にフィットする短靴の機能をそのまま活用して運動性を向上させながら、この靴部2の舌布8と筒部3の内面で連結したガイド部12により足の着脱を容易にし、筒部3により選択可能な防護機能を持たせた、今までにない構成と効果を有するワークブーツである。
【0026】
しかも、ワークブーツ1の製造においては、靴部2が共用で、目的に応じて選択された筒部3を取り替えるだけで製造できるので、工程数が減少し材料数も減少するから、製造コストを低下させることができる。
【0027】
図3(a)は、本発明の第2実施形態に係るワークブーツを示す一部破断させた側面図、図3(b)はその靴部のみを示す平面図である。
図3(b)に示すように、第2実施形態は、第1実施形態と異なり、靴部2の甲部7に舌布8が設けられておらず、伸縮部9Aが例えば甲部7の両側の側面に設けられている。また、図3(a)に示すように、甲部7の先端部7aが筒部3の内面と第2連結部10Aで連結して、筒部3を経て靴部2の履き口6から挿入される足をガイドするガイド部12Aが形成されている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0028】
第2実施形態は、上記と同様に、靴部2の甲被15がゴム製で筒部3が防護用であり、この靴部2と筒部3が連結されているので、ワークブーツ1全体で防護性を有する。また、甲部7の先端部7aが筒部3内面で連結したガイド部12Aが形成されているので、足先で甲部7の先端部7aを引っ掛けることなく、筒部3を経て履き口6から挿入される足がガイドされて着脱が容易となる。したがって、着脱性を損なうことなく、短靴からなる靴部2として、足にフィットする、つまり足とほぼ同じ大きさのものを選ぶことができるのに加えて、甲部7の伸縮部9Aが足の幅方向に縮むので、靴部2が足にフィットして運動性が向上し、その結果、機敏な動作が可能となって、安全性が高くなる。しかも、靴部2が共用で、筒部3が目的に応じて選択されるので筒部3を取り替えるだけで製造できるため、工程数が減少し材料数も減少するから、製造コストを低下させることができる。
【0029】
なお、上記各実施形態において、靴部2のつま先に金属やトウキャップを入れて、足部の障害を防止するために着用する安全靴として使用してもよい。
【0030】
なお、上記各実施形態では、筒部3を防水用、抗菌用または防寒用としているが、警備用、その他の防護用としてもよい。また、いずれか2つ以上の防護機能を有するようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、本発明の一構成によれば、靴部の甲被がゴムまたは皮、合皮製で筒部が防護用であり、この靴部と筒部が連結されているので、ワークブーツ全体で防護性を有する。また、舌布の先端部が筒部内面で連結したガイド部が形成されているので、筒部を経て履き口から挿入される足がガイドされて着脱が容易となる。したがって、着脱性を損なうことなく、短靴からなる靴部として、足にフィットするものを選ぶことができるのに加えて、甲部の舌布が柔軟性を持つので、この靴部が足にフィットして運動性がよくなる。しかも、靴部が共用で、筒部が目的に応じて選択されるので、製造コストを低下させることができる。
【0032】
本発明の他の構成によれば、靴部の甲被がゴムまたは皮、合皮製で筒部が防護用であり、この靴部と筒部が連結されているので、ワークブーツ全体で防護性を有する。また、甲部の先端部が筒部内面で連結したガイド部が形成されているので、筒部を経て履き口から挿入される足がガイドされて着脱が容易となる。したがって、着脱性を損なうことなく、短靴からなる靴部として、足にフィットするものを選ぶことができるのに加えて、甲部の伸縮部が足の幅方向に縮むので、靴部が足にフィットして運動性がよくなる。しかも、靴部が共用で、筒部が目的に応じて選択されるので筒部を取り替えるだけで製造できるため、製造コストを低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の第1実施形態に係るワークブーツを示す側面図、(b)は、その靴部を示す平面図である。
【図2】図1(a)のワークブーツを示す平面図である。
【図3】(a)は、本発明の第2実施形態に係るワークブーツを示す側面図、(b)は、その靴部を示す平面図である。
【符号の説明】
1…ワークブーツ、2…靴部、3…筒部、5…第1連結部、8…舌布、9…伸縮部、10…第2連結部、12…ガイド部。
Claims (7)
- 甲被がゴムまたは皮、合皮製で足を収納する靴部と、靴部の上方に設けられて目的に応じて選択される防護用の筒部とを備え、靴部と筒部が第1連結部で連結されたワークブーツであって、
前記靴部は、靴部の甲部にその履き口の周端から外方へ延びる柔軟性を持つ舌布を有して、足首から下の部分を入れる短靴からなり、
前記舌布の先端部が前記筒部の内面と第2連結部で連結して、筒部を経て靴部の履き口から挿入される足を前記舌布でガイドするガイド部が形成されているワークブーツ。 - 請求項1において、さらに、
前記靴部の甲部に、その履き口から足が出し入れされる時に足の幅方向に伸び、足が靴部に入った時に足の幅方向に縮む伸縮部が設けられているワークブーツ。 - 請求項2において、前記舌布と伸縮部とが一体形成されているワークブーツ。
- 甲被がゴムまたは皮、合皮製で足を収納する靴部と、靴部の上方に設けられて目的に応じて選択される防護用の筒部とを備え、靴部と筒部が第1連結部で連結されたワークブーツであって、
前記靴部は、靴部の甲部にその履き口から足が出し入れされる時に足の幅方向に伸び、足が靴部に入った時に足の幅方向に縮む伸縮部が設けられて、足首から下の部分を入れる短靴からなり、
前記甲部の先端部が前記筒部の内面と第2連結部で連結して、筒部を経て靴部の履き口から挿入される足を前記甲部でガイドするガイド部が形成されているワークブーツ。 - 請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記筒部が防水用、抗菌用または防寒用であるワークブーツ。
- 請求項5において、前記筒部が防水用である場合、前記靴部の甲被がゴム製であり、シーリング材を用いて靴部と筒部が連結されているワークブーツ。
- 請求項1ないし6のいずれかにおいて、前記靴部が安全靴であるワークブーツ。
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