JP3748594B2 - 高圧多回路開閉器 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、短絡保護装置内蔵型の高圧多回路開閉器に関し、詳しくは、密閉ケ−ス内で開閉器部の回路(配線)が短絡した際の開閉器部及びケ−スの破損を極力無くすようにした短絡保護装置を設置(内蔵)した高圧多回路開閉に関する。
【0002】
【従来の技術】
開閉器内で三相短絡が発生すると、電源が遮断されるまで三相間のアークが持続するため、開閉器内圧が上昇する。そのため、従来内部圧力やア−クをケ−ス外に放出し、開閉器本体の変形を防止したり、内部からの飛散物の放出を防止するために放圧弁を設けたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の放圧弁のみで対応するものにおいては、上記の如く圧力やア−クの放出を依然として伴うため、特に、埋設又は路上で使用する多回路開閉器にあっては圧力やア−クが路上に放出される問題がある。更に、電路(回路)が遮断されていないため開閉器内でアークが持続し、開閉器内の破損が増大する問題もある。
【0004】
そこで本発明は上記の問題を解決する高圧多回路開閉器を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願発明は内部短絡が発生した初期の段階において高速遮断により開閉器を回路から切り離し、圧力やア−クの増大を防止して上記の課題を解決したもので、第1の発明は、母線ブスバ−より分岐した回路の途中に開閉器部を直列接続して介設した2つの幹線回路と、同じく母線ブスバ−より分岐した回路途中に開閉器部を直列接続して介設した負荷回路からなる複数の回路を密閉ケ−ス内に収納し、さらに上記幹線回路への送電方向(電源方向)が順送から逆送、逆送から順送へと切り替えられ、更に、埋設或いは路上に配置される高圧多回路開閉器において、開閉器部に対して送電方向(電源方向)側となる上記2つの幹線回路の途中には、常時は閉路状態が保持され、内部短絡発生時には短絡発生信号により開放するスイッチ部を直列に接続すると共にさらに限流ヒュ−ズを上記スイッチ部に対し並列に接続してなる保護装置を設置したことを特徴とする高圧多回路開閉器である。
【0006】
また、第2の発明は、上記短絡発生信号が短絡発生時におけるケ−ス内の圧力上昇を検出した信号であることを特徴とするものである。
また、第3の発明は、上記短絡発生信号が短絡発生時に幹線回路を流れる短絡電流を検出した信号であることを特徴とするものである。
【0007】
また、第4の発明は、上記短絡発生信号が短絡時に発生するア−クを検出した信号であることを特徴とするものである。
また、第5の発明は、上記短絡発生信号が短絡発生時の温度上昇を検出した信号であることを特徴とするものである。
【0009】
【作用】
内部短絡が発生すると、短絡発生信号により、内部短絡の初期段階において、スイッチ部(9)が開作動し、幹線回路(4、5)の電流が限流ヒュ−ズ(10)に移行し、この限流ヒューズ(10)が直ちに遮断する。そのため密閉ケース3内の圧力やア−クが増大せず、これらがケ−ス外へ放出されない。
【0010】
【実施例】
以下、本願発明を図に示す実施例に基づき説明する。
図1は路上設置型の高圧多回路開閉器に本発明を適用した場合を示す。
【0011】
図1において、1は高圧多回路開閉器であり、3相の回路構成であるが説明の便宜上単相回路で表示されている。該高圧多回路開閉器1の外面はキャビネット2で囲まれているとともにそのキャビネット2の内側には密閉ケ−ス3が組み込まれており、その密閉ケ−ス3内には4回路分以上の開閉器部が収納されている。
【0012】
高圧多回路開閉器は一般に少なくても3回路以上の開閉器部から構成されており、4、5はその内の2回路を構成する幹線回路を示す。母線ブスバ−17から分岐した各幹線回路4、5の途中には同回路に直列に開閉器部6、7がそれぞれ接続されている。
【0013】
8は上記開閉器部6、7に夫々直列に接続した高速遮断機能を有する保護装置であり、この保護装置8は、スイッチ部9と、同スイッチ部9に並列接続する限流ヒュ−ズ10と、ラッチ11から構成されている。
【0014】
各幹線回路4、5の夫々の保護装置8は同一構成であるので、一方の幹線回路4の保護装置8について、図2により詳述する。図2において、スイッチ部9は幹線回路4(5)に直列接続されており、常時はこのスイッチ部9を経て開閉器部6(7)への通電が行われるようになっている。
【0015】
上記限流ヒュ−ズ10は、図6に示すように、絶縁筒32、巻芯33、ヒューズエレメント34、消弧剤37、キャップ金具35、36等から構成されており、短絡電流が流れると巻芯33にスパイラル状に巻かれ消弧剤36と共に絶縁筒32内に埋設されたヒューズエレメント34が溶融気化し、その気化した金属蒸気が周囲の消弧剤36中に拡散して限流されるものである。このような消弧原理からなる大きな遮断容量を有する限流ヒューズ10は、幹線回路4(5)を流れる短絡電流を無音、無アーク、高速(0.5サイクル以下)で遮断できるため、極めて安全性が高い。なお、使用する限流ヒューズ10は幹線回路4(5)に流れる短絡電流がクリヤ(遮断)できる短絡容量(性能)を備えたものなら広域型或いは全領域型に限定されることなくバックアップ(短絡保護)型のようなコスト的に安価のものも使用でき、さらに常時通電時におけるヒューズへの分流値が比較的小さい場合は小定格電流のものを使用することが可能である。
【0016】
また、上記スイッチ部9は図2において昇降可能に備えられているとともにバネ12により常時上方へ付勢されており、通常時は、ラッチ11が図2の実線の如くスイッチ部9の上面に係止してスイッチ部9の上動を阻止し、そのスイッチ部9の両端子部9a、9bが限流ヒューズ10の両キャップ金属35、36に接触して、スイッチ部9を通じて幹線回路4(5)の電流が流れるようになっている。また、ラッチ11が図2の鎖線の如くスイッチ部9から外れると、バネ12の引っ張り力によってスイッチ部9が矢印A方向に急速に上動し、その両端子部9a、9bが限流ヒューズ10の両キャップ金具35、36から外れ、スイッチ部9を通じて幹線回路4(5)を流れる電流の回路を速やかに開放するようになっている。
【0017】
図1において、17は母線ブスバ−で、上記の幹線回路4、5並びに負荷回路13、14nに直列に接続した各開閉器部6、7、15、16nの一端側がそれぞれ並列的に接続されている。18、19は密閉ケ−ス3の下面3a側からブッシング(特に図示しない)を介して下方に導出された幹線用ケ−ブルであり、ケ−ス3内の幹線回路4、5に接続されている。20、21nは同じくブッシング(特に図示しない)を介して下方に導出された負荷用ケ−ブルであり、ケ−ス3内の負荷回路13、14nに接続されている。
【0018】
次に上記保護装置8におけるラッチ11を作動する機構について図3のブロック図により説明する。
該機構は、センサ−部23、動作回路24、電源部25から構成されている。
【0019】
センサ−部23は密閉ケース3内に設置されており、内部短絡が発生するとその内部短絡を検出し、この検出信号を、ケース下方のマンホール28内に設置したラッチ動作回路部22の動作回路24に送り、この受信により動作回路24がラッチ11を、図2の鎖線の如く退避移動させ、スイッチ部9を上述のように開放作動するようになっている。図3において25は電源部を示す。
【0020】
尚、内部短絡発生を検出するセンサ−部23としては、圧力上昇を検出するベローズや半導体素子等の圧力検出センサ−からなる圧力検出方式や内部短絡によるア−クの発生を検出する光センサ−からなる光センサ−方式や或いはア−クに伴う急激な温度上昇を検出するサ−マルセンサ−からなる温度検出方式やさらには短絡電流をCT(変流器)により検出するようにした電流検出方式等からなるものを使用することができる。なお、電源部25は変圧器(特に図示せず)を介して低圧配電線路26から供給を受けるようになっている。
【0021】
27、27aはキヤビネット2及びケース3の側面2b、3bに備えた安全弁であり、上記保護装置8が何らかの原因により不動作に陥った場合に同弁27、27aを開作動させてケース3内の上昇圧力をキヤビネット2外へ放出するためのものである。28はマンホ−ル、29は路面、30は密閉ケ−ス3内に充填したSF6ガス等の消弧性ガスを示す。
【0022】
次に上記保護装置8の動作について説明する。
上記回路構成からなる高圧多回路開閉器1にあって常時、幹線回路4(5)に流れる電流は大半が抵抗値の小さいスイッチ部9に流れていて限流ヒュ−ズ10側には分流した僅かの電流が流れている。
【0023】
この状態で内部短絡が発生すると、この発生状況をケ−ス3内に設置したセンサ−部23が直ちに検出し、この検出信号をラッチ動作回路部22における動作回路24に送る。送られたきた信号により動作回路24は直ちに動作し、ラッチ11を解除作動する。ラッチ11の解除作動によりスイッチ部9はバネ12の力により直ちに図2の鎖線のように上動して幹線回路4(5)から開放される。開放されると短絡電流は限流ヒュ−ズ10に移行し、同ヒュ−ズ10が直ちに遮断するため開閉器部は幹線(主回路)から切り離される。したがってア−クの継続発生と圧力上昇が抑制され、圧力やア−クのケ−ス外への放出が阻止される。
【0024】
なお、上記実施例では保護装置8を2回路の幹線回路4、5に介設したが、これは送電形態が順送から逆送、逆送から順送と切り替えが行われるために設けられたものであり、この送電方向の切り替えが行われない場合は送電されてくる方向(電源側)の幹線回路にのみ1台の保護装置8を設置すればよいことになる。
【0025】
なお、上記スイッチ部9の開放機構については上記実施例に限定されることなく図4のようにスイッチ部9を側方側に開放するもの、また図5のようにヒンジ部31を中心に他端側を開放するようにしたナイフスイッチのようなものでもよく、要は、幹線回路(主回路)に流れる電流が常時は大半がスイッチ部9に流れ、短絡発生によりそのスイッチ部9が開放して電流を限流ヒュ−ズ10側に移行させ、直ちに短絡電流が同ヒュ−ズ10により遮断されて、開閉器(主回路)が電路から切り離される構成であればこのほかのものでも何ら構わない。
【0026】
さらに、上記実施例においてはスイッチ部9、限流ヒュ−ズ10、センサ−部23を密閉ケ−ス3内に設置すると共にラッチ動作回路部22をケ−ス外へ設置するようにしたが、これらスイッチ部9、限流ヒュ−ズ10、センサ−部23、ラッチ動作回路部22を一体化して高速遮断器となし、これをケ−ス3に内蔵するようにしてもよい。
【0027】
更に、センサ−部23は、図の実施例では両幹線回路4と5に、計2個設けたが、このように2個設けることなく、密閉ケース3内に1個設けて、この1個のセンサ−部23の検出信号により両保護装置8のラッチ11を作動してもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、内部短絡発生時の短絡発生信号を検出し、短絡発生の初期において、スイッチ部を幹線(主)回路より開放して同開閉部と並列接続する限流ヒュ−ズに短絡電流を移行させ、移行した短絡電流を同ヒュ−ズにより速やかに遮断するため、短絡発生に伴う圧力やアークが増大せず、圧力やアークがケース外へ放出されるのを防止できるとともに密閉ケ−ス内の開閉器部及びケ−スに対しても殆どダメ−ジを与えることがなく一段と安全性を高めることができる。
【0029】
また、上記限流ヒュ−ズは常時はスイッチ部と並列接続された状態で使用されるため、電流は主にスイッチ部に流れて限流ヒュ−ズ側には分流した僅かの電流しか流れないため、使用するヒュ−ズを小定格とすることができコストが低減できると同時に長期通電による劣化が防止できるため長寿命化が図れる。また、限流ヒュ−ズは短絡保護を主体に使用するため高価な全領域型のものを使用せずとも比較的価格の安い短絡保護(バックアップ)型のものが使用でき、この点においてもコスト低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例を示すもので、路上設置型の多回路開閉器の構造図。
【図2】図1の保護装置を拡大した状態の構造図。
【図3】保護装置のラッチ動作回路のブロック図。
【図4】保護装置の異なった実施例を示す構造図。
【図5】保護装置のさらに異なった実施例を示す構造図。
【図6】限流ヒューズの断面図。
【符号の説明】
1 高圧多回路開閉器
3 密閉ケ−ス
4、5 幹線回路
6、7 開閉器部
8 保護装置
9 スイッチ部
10 限流ヒュ−ズ
11 ラッチ
12 バネ
13、14n 負荷回路
15、16 開閉器部
17 母線ブスバ−

Claims (5)

  1. 母線ブスバ−より分岐した回路の途中に開閉器部を直列接続して介設した2つの幹線回路と、同じく母線ブスバ−より分岐した回路途中に開閉器部を直列接続して介設した負荷回路からなる複数の回路を密閉ケ−ス内に収納し、さらに上記幹線回路への送電方向(電源方向)が順送から逆送、逆送から順送へと切り替えられ、更に、埋設或いは路上に配置される高圧多回路開閉器において、開閉器部に対して送電方向(電源方向)側となる上記2つの幹線回路の途中には、常時は閉路状態が保持され、内部短絡発生時には短絡発生信号により開放するスイッチ部を直列に接続すると共にさらに限流ヒュ−ズを上記スイッチ部に対し並列に接続してなる保護装置を設置したことを特徴とする高圧多回路開閉器。
  2. 短絡発生信号が短絡発生時におけるケース内の圧力上昇を検出した信号であることを特徴とする請求項1に記載の高圧多回路開閉器。
  3. 短絡発生信号が短絡発生時に幹線回路を流れる短絡電流を検出した信号であることを特徴とする請求項1に記載の高圧多回路開閉器。
  4. 短絡発生信号が短絡時に発生するアークを検出した信号であることを特徴とする請求項1に記載の高圧多回路開閉器。
  5. 短絡発生信号が短絡発生時の温度上昇を検出した信号であることを特徴とする請求項1に記載の高圧多回路開閉器。
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