JP3747775B2 - インクジェットプリンタのヘッドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電式のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタに用いられているインクジェットプリンタヘッドにおいて、キャビティの圧力室に隣接して設けられた圧電素子を用いて、この圧電素子に電圧を印加することで圧力室の容積を小さくしてインクをオリフィスから噴射させて印刷を行う圧電式インクジェットプリンタヘッドが知られている。
【0003】
この圧電式インクジェットプリンタヘッドでは、シート状の圧電セラミック層上に、スクリーン印刷により内部電極層を印刷すると共に、各圧電セラミック層及び電極層を設けていないセラミックス層等を交互に積層してプレスして焼成し、焼成後、別途接着剤等を用いて変形拘束材を接着して製造していた。
【0004】
更に、以上のようにして製造したアクチュエータとしての圧電素子と、圧力室を形成するキャビティとを接着することにより、圧電式インクジェットプリンタヘッドを製造していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の方法では、前記焼成後に圧電素子の前記キャビティとの接着面に凹凸が形成されてしまうため、そのままではキャビティとの接着の際に接着不良を起こすという問題があった。
【0006】
従って、従来においては、焼成後に、圧電素子の前記接着面に対して研磨等を行う処理を行う工程が不可欠であり、作業効率及びコストの点から問題になっていた。
【0007】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、焼成後の研磨工程を省略することのできるインクジェットプリンタのヘッドの製造方法を提供することを課題としている。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法は、前記課題を解決するために、複数の圧力室を有するキャビティプレートと、当該キャビティプレートに接着取り付けされた圧電素子とからなるインクジェットプリンタのヘッドの製造方法であって、前記キャビティプレートに、一つの表面に前記複数の圧力室を開口して形成し、前記圧電素子は、前記複数の圧力室にわたる大きさの、圧電材料からなる複数のシート状部材を形成する工程と、前記シート状部材に電極パターンを形成する工程と、前記電極パターンが形成されたシート状部材を積層する工程と、前記積層されたシート状部材を、表面が平面状の支持部材に、前記キャビティプレートの前記表面と接着される前記シート状部材の表面を当接させて載置する工程と、前記載置されたシート状部材を焼結する工程とを経て製作され、前記載置する工程の前後から、前記焼結する工程の前には、前記焼結後における前記シート状部材の前記表面における凹凸の高低差が30μm以下となるように、前記支持部材表面及び前記シート状部材表面における異物の付着を防止する工程が設けられており、前記圧電素子を前記キャビティプレートに、前記シート状部材の前記表面を前記キャビティプレートの前記前面に接触させて接着したことを特徴とする。
請求項1記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法によれば、まず、圧電材料からなるシート状部材を形成する。次に、このシート状部材に電極パターンを形成する。そして、この電極パターンが形成されたシート状部材を積層し、更に、この積層されたシート状部材を、表面が平面状の支持部材に、前記キャビティプレートの前記表面と接着される前記シート状部材の表面を当接させて載置する。次に、このように載置されたシート状部材を焼結する。このような製造工程において、前記載置する工程の前後から、前記焼結する工程の前には、前記焼結後における前記シート状部材の前記表面における凹凸の高低差が30μm以下となるように、前記支持部材表面及び前記シート状部材表面における異物の付着を防止する処理が行われる。そして、前記圧電素子を前記キャビティプレートに、前記シート状部材の前記表面を前記キャビティプレートの前記前面に接触させて接着する。従って、前記焼結後においても、前記シート状部材の前記表面における凹凸の高低差は30μm以下となり、圧電素子と圧力室を形成するキャビティプレートとを接着取り付けする場合でも、圧電素子を研磨する必要がなく、そのまま接着取り付けすることが出来る。このように、凹凸の高低差が極めて微小であるため、研磨工程を省略することが出来る。その結果、作業効率を向上させ、また、製造コストを低減する。
【0016】
請求項2記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法は、前記課題を解決するために、請求項1記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法において、前記載置する工程の前後から、前記焼結する工程の前には、焼結後における前記シート状部材の前記表面における凹凸が5mm2の領域で30μm以下となるように、前記支持部材表面及び前記シート状部材表面における異物の付着を防止する工程が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項2記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法によれば、前記シート状部材を、表面が平面状の前記支持部材に載置する工程の前後から、前記載置されたシート状部材を焼結する工程の前には、焼結後における前記シート状部材の前記表面における凹凸が5mm2の領域で30μm以下となるように、前記支持部材表面及び前記シート状部材表面における異物の付着を防止する処理が行われる。従って、5mm2という微小領域において平均をとった場合でも、凹凸の高低差が30μm以下と微小であるため、圧電素子と圧力室を形成するキャビティプレートとを接着取り付けする場合でも、圧電素子を研磨する必要がなく、そのまま接着取り付けすることが出来る。このように、凹凸の高低差が極めて微小であるため、研磨工程を省略することが出来る。その結果、作業効率を向上させ、また、製造コストを低減する。
【0018】
請求項3記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法は、前記課題を解決するために、請求項1または2記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法において、前記シート状部材を形成する工程にて、少なくとも前記キャビティプレートと接着される前記シート状部材の厚さは、30μm以下に設定されていることを特徴とする。
【0019】
請求項3記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法によれば、前記シート状部材を形成する工程にて、少なくとも前記キャビティプレートと接着される前記シート状部の厚さは、30μm以下に設定されている。従って、このようなシート状部材を複数枚積層した場合でも全体の厚さは非常に薄く、研磨することは困難である。しかし、上述したように、シート状部材の接着面における凹凸の高低差は、30μm以下と微小であるため、当該接着面を研磨する必要がなく、そのまま接着取り付けすることが出来る。従って、以上のように薄いシート状部材を焼結する場合でも、接着面の凹凸が極めて小さい圧電素子を容易に製造することが出来る。
請求項4記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法は、前記課題を解決するために、請求項1から3のいずれかに記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法において、前記キャビティプレートは、複数枚の金属プレートのうち、最外層に積層される金属プレートに前記複数の圧力室を穿設し、その複数枚の金属プレートを積層して形成されることを特徴とする。
請求項4記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法によれば、前記キャビティプレートは、複数枚の金属プレートのうち、最外層に積層される金属プレートに前記複数の圧力室を穿設し、その複数枚の金属プレートを積層して形成される。従って、圧電素子と、複数の圧力室が穿設されたキャビティプレートとを接着取り付けする場合でも、圧電素子を研磨する必要がなく、そのまま接着取り付けすることが出来る。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。以下の説明は、圧電式インクジェットヘッドに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0021】
記録媒体に沿って走行する公知のキャリッジ(図示せず)に搭載される本体フレーム1は、図3に示すように、上面開放の略箱状に形成されており、その上方から4つのインクカートリッジ(図示せず)を着脱自在に装着できる搭載部3を有し、該搭載部3の一側部位3aには、各インクカートリッジのインク放出部(図示せず)に接続できるインク供給通路4a、4b、4c、4dが本体フレーム1の底板5の下面まで連通している。なお、この搭載部3の一側部位3aの上面には、各インクカートリッジのインク放出部(図示せず)と密接できるようにしたゴム製等のパッキング(図示せず)が配置されている。
【0022】
底板5は、搭載部3から一段下に突出するようにして水平状に形成され、図1及び図2並びに図4に示すように、該底板5の下面側には、後述するフロントヘッドユニット6を2つ並列させて配置するための2つの支持部8を段付き状に形成する。該各支持部8には、UV接着剤にて固定するための複数の空所9a、9bが上下に貫通するように形成されている。
【0023】
図5は、フロントヘッドユニット6の斜視図を示すものである。図6は、フロントヘッドユニットの断面図を示すものである。フロントヘッドユニット6は、図5及び図6に示すように、複数枚の積層型のキャビティプレート10と、該キャビティプレート10に対して接着剤または接着シートを介して接着・積層されるプレート型の圧電アクチュエータ20と、その上面に外部機器との電気的接続のために、フレキシブルフラットケーブル40が接着剤にて重ね接合されて構成されており、最下層のキャビティプレート10の下面側に開口されたノズル15から下向きにインクが吐出する。
【0024】
図7は、キャビティプレート10の分解斜視図を示すものである。図8は、キャビティプレート10の分解拡大斜視図を示すものである。キャビティプレート10は、図8に示すように、ノズルプレート11、2枚のマニホールドプレート12、スペーサプレート13、ペースプレート14の5枚の薄い金属板をそれぞれ接着剤にて重ね接合して積層した構造である。本実施形態では、これらの各プレート11〜14は、42%ニッケル合金鋼板(42合金)製で、50μm〜150μm程度の厚さを有している。なお、これらの各プレート11〜14は、金属に限らず、例えば、樹脂により形成してもよい。
【0025】
ノズルプレート11には、微小径(本実施形態では、25μm程度)の複数のインク吐出用のノズル15が、当該ノズルプレート11における長手方向の中心線11a、11bに沿って、微小ピッチPの間隔で千鳥状配列で穿設されている。2枚のマニホールドプレート12に対するノズルプレート11及びスペーサプレート13の積層により密閉される構造になっている。
【0026】
また、ベースプレート14には、図8に示すように、長手方向の中心線14a、14bに対して直交する方向に延びる細幅の複数の圧力室16が千鳥状配列で穿設されている。また、ベースプレート14には、各圧力室16と接続される絞り部16dが穿設されている。さらに当該絞り部16dと接続されるインク供給孔16bが穿設されている。各インク供給孔16bは、スペーサプレート13における左右両側部位に穿設されたインク供給孔18を介して、マニホールドプレート12における共通圧力室12aに連通している。ここで、各絞り部16dにおけるインクが流れる方向と直交する断面積は、各圧力室16における当該断面積より小さい構造となっている。これは、絞り部16dの断面積を小さくすることにより、流路抵抗を増すためである。
【0027】
各圧力室16の一端部16aは、ノズルプレート11における千鳥状配列のノズル15に、スペーサプレート13及び2枚のマニホールドプレート12に同じく千鳥状配列で穿設されている微小径の貫通孔17を通って、各圧力室16に対応するノズル15に至ることとなる。
【0028】
図9は、圧電アクチュエータ20の分解拡大斜視図を示すものである。圧電アクチュエータ20は、図9に示すように、3枚のセラミックスシート21、22、23とを積層した構造である。最下段のシート21の上面には、キャビティプレート10における各圧力室16毎に対応した細幅の複数の駆動電極24が、千鳥状配列で設けられている。また、各駆動電極24の一端部24aは、圧電アクチュエータ20の表裏面20a、20bと直交する左右側面20cに露出するように形成されている。
【0029】
次段のシート22の上面には、複数の圧力室16に対して共通のコモン電極25が、設けられている。コモン電極25の一端部25aも、各駆動電極24の一端部24aと同様、左右側面20cに露出するように形成されている。
【0030】
最上段のシート23の上面には、各駆動電極24の各々に対する表面電極26と、コモン電極25に対する表面電極27とが、左右側面20cに沿って並ぶように設けられている。
【0031】
また、左右側面20cには、各駆動電極24の一端部24aに第1の凹み溝30が、コモン電極25の一端部25aに第2の凹み溝31が、それぞれ積層方向に延びるように設けられている。各第1の凹み溝30内には、図6に示すように、各駆動電極24と各表面電極26とを電気的に接続する側面電極32が、第2の凹み溝31内には、コモン電極25と表面電極27とを電気的に接続する側面電極33が、それぞれ形成されている。なお、符号28及び29の電極は、捨てパターンの電極である。
【0032】
各駆動電極24に対応する位置とコモン電極25とに挟まれた圧電シート22の各領域は、分極処理されて圧電特性が付与され、各圧力室16に対応した圧力発生部となる。
【0033】
以上のような構成のキャビティプレート10と圧電アクチュエータ20とは、キャビティプレート10における各圧力室16と、圧電アクチュエータ20における駆動電極24とが対応するように積層される。また、圧電アクチュエータ20における上側の表面20aには、フレキシブルフラットケーブル40が重ね押圧されることにより、このフレキシブルフラットケーブル40における各種の配線パターン(図示せず)が、各表面電極26、27に電気的に接合される。
【0034】
このような構成において、圧電アクチュエータ20における各駆動電極24のうち任意の駆動電極24と、コモン電極25との間に電圧を印加することにより、圧電シート22のうち電圧を印加した駆動電極24の部分、即ち、圧力発生部に、圧電効果による積層方向の歪みが発生する。そして、この歪みによる圧力にて、各駆動電極24に対応する圧力室16の内容積が縮小されることにより、この圧力室16内のインクが、ノズル15から液滴状に吐出して、所定の印字が行われる。
【0035】
ここで、前記圧電アクチュエータ20の製造方法について説明する。まず、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT(PbTiO3・PbZrO3))系のセラミック粉末、バインダ、溶剤を混合する。
【0036】
次に、前記混合液を、プラスチックフィルム上に、ドクターブレード法を用いて所定の厚さに塗布し、3枚のセラミックスシート21、22、23からなるグリーンシートを形成する。
【0037】
さらに、前記グリーンシートの駆動電極24等の電極となる部分に、金属材料をスクリーン印刷により印刷する。
【0038】
そして、このようにして形成したグリーンシートを積層し、加熱プレスし、グリーンシートの積層ブロックを得る。
【0039】
次に、積層ブロックを所定の温度で加熱することにより、バインダーを焼き飛ばした後、焼成炉により所定の温度で焼成する。
【0040】
そして、ブロックを所定の大きさに切断し、個々の圧電アクチュエータ20を得る。
【0041】
次に、個々の圧電アクチュエータ20に側面電極32、33を印刷し、焼成炉を用いて前記側面電極32、33の焼付を行う。
【0042】
そして、電極24、25に高電圧を印加することで、両電極間のセラミックスシート21の分極処理を行う。
【0043】
このようにして、本実施形態の圧電式インクジェットヘッドに用いられる圧電アクチュエータ20が製造される。
【0044】
以上のような製造方法によれば、250μm以下という微細な電極幅を有する圧電アクチュエータ20を得ることが出来る。
【0045】
特に、本実施形態においては、圧電アクチュエータ20のキャビティプレート10との接着面は、当該接着面に形成される凹凸の高低差が、5mm2の領域で30μm以下とする平面度に設定されている。
【0046】
従って、本実施形態の圧電アクチュエータ20と、キャビティプレート10とを接着する際には、従来行っていた前記接着面の研磨工程を省略することが出来、焼成体である圧電アクチュエータ20をそのまま用いてキャビティプレート10との接着処理を行うことが出来るので、圧電アクチュエータ20の製造工程における作業効率を向上させることが出来、また、コストを低減することが出来る。
【0047】
本実施形態では、グリーンシートを形成するプラスチックフィルムの面、加熱プレス装置のプレス面、及び脱バインダー・焼成工程の際に積層ブロックを載せる台の面は、凹凸の高低差が5mm2の領域で30μm以下とする平面度に設定されている。具体的には、それらの面に材料を載せる前に、異物を除去する作業を行う。
【0048】
このように各工程において異物除去処理を行った結果、異物が前記ブロックに付着した状態で焼成されることがなく、ブロックには、凹凸が殆ど存在しない。
【0049】
より詳細には、当該接着面に形成される凹凸は、凸の高さが10μm以下、凹の深さが20μm以下であり、高低差は、5mm2の領域で30μm以下となっている。
【0050】
図10及び図11に、上述した工程に従って焼結した後、個々の圧電アクチュエータ20毎にカットし、端面電極を印刷する前の製品について、表面形状を測定したデータについて説明する。
【0051】
図10(A)は、圧電アクチュエータ20の1サンプルの表面を、8×26=208のメッシュに区切り、各メッシュの傾きを3次元的に表した図である。図10(B)は、図10(A)に示すODD側から3次元の表面形状データを見た図である。
【0052】
また、図11(A)は、図10(A)における短辺側の8メッシュの傾きを、図10(A)における手前側から奥側へに向かって8メッシュ毎に折れ線グラフとして表した図である。また、図11(B)は、図10(A)における長編側の26メッシュの傾きを、図10(A)におけるEVEN側からODD側へに向かって26メッシュ毎に折れ線グラフとして表した図である。
【0053】
図10及び図11から明らかなように、本実施形態の方法により製造した圧電アクチュエータ20は、5mm2の領域で、凸の高さ及びが10μm以下、凹の深さも10μm以下であり、その高低差は、20μm以下となっている。
【0054】
従って、このような圧電アクチュエータ20と、キャビティプレート10とを接着する際には、圧電アクチュエータ20の接着面を研磨することなく、そのまま焼成体である圧電アクチュエータ20をキャビティプレート10に接着することが出来るので、圧電アクチュエータ20の製造工程における作業効率を向上させることが出来、また、コストを低減することが出来る。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【発明の効果】
請求項1記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法によれば、積層されたシート状部材を、表面が平面状の支持部材に、前記キャビティプレートの前記表面と接着される前記シート状部材の表面を当接させて載置する工程の前後から、前記載置されたシート状部材を焼結する工程の前には、前記焼結後における前記シート状部材の前記キャビティプレートとの接着面における凹凸の高低差が30μm以下となるように、前記支持部材表面及び前記シート状部材表面における異物の付着を防止する工程が設けられている。そして、前記圧電素子を前記キャビティプレートに、前記シート状部材の前記表面を前記キャビティプレートの前記前面に接触させて接着する。その結果、焼結後においても、前記シート状部材の前記キャビティプレートとの接着面における凹凸の高低差は30μm以下となり、圧電素子と圧力室を形成するキャビティプレートとを接着取り付けする場合でも、圧電素子を研磨する必要がなく、そのまま接着取り付けすることが出来る。このように、凹凸の高低差が極めて微小であるため、研磨工程を省略することが出来る。その結果、作業効率を向上させ、また、製造コストを低減することが出来る。
【0059】
請求項2記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法によれば、前記載置する工程の前後から、前記焼結する工程の前には、焼結後における前記シート状部材の前記表面における凹凸が5mm2の領域で30μm以下となるように、前記支持部材表面及び前記シート状部材表面における異物の付着を防止する工程が設けられているので、5mm2という微小領域において平均をとった場合でも、凹凸の高低差が30μm以下と微小であるため、圧電素子と圧力室を形成するキャビティプレートとを接着取り付けする場合でも、圧電素子を研磨する必要がなく、そのまま接着取り付けすることが出来る。このように、凹凸の高低差が極めて微小であるため、研磨工程を省略することが出来る。その結果、作業効率を向上させ、また、製造コストを低減することが出来る。
【0060】
請求項3記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法によれば、前記シート状部材を形成する工程にて、少なくとも前記キャビティプレートと接着される前記シート状部材の厚さは、30μm以下に設定されているので、このようなシート状部材を複数枚積層した場合でも全体の厚さは非常に薄く、研磨することは困難である。しかし、上述したように、シート状部材の接着面における凹凸の高低差は、30μm以下と微小であるため、当該接着面を研磨する必要がなく、そのまま接着取り付けすることが出来る。従って、以上のように薄いシート状部材を焼結する場合でも、接着面の凹凸が極めて小さい圧電素子を容易に製造することが出来る。
請求項4記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法によれば、前記キャビティプレートは、複数枚の金属プレートのうち、最外層に積層される金属プレートに前記複数の圧力室を穿設し、その複数枚の金属プレートを積層して形成される。従って、圧電素子と、複数の圧力室が穿設されたキャビティプレートとを接着取り付けする場合でも、圧電素子を研磨する必要がなく、そのまま接着取り付けすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態における圧電式インクジェットヘッドのノズル側を上にした斜視図である。
【図2】 図1の圧電式インクジェットヘッドの部品の分解斜視図である。
【図3】 図1の圧電式インクジェットヘッドを上方から見た部品の分解斜視図である。
【図4】 図1の圧電式インクジェットヘッドの本体フレームの底板を下面側から見た下面図である。
【図5】 図1の圧電式インクジェットヘッドにおけるフロントヘッドユニットの斜視図である。
【図6】 図1の圧電式インクジェットヘッドにおけるフロントヘッドユニットの断面図である。
【図7】 図1の圧電式インクジェットヘッドにおけるキャビティプレートの分解斜視図を示すものである。
【図8】 図1の圧電式インクジェットヘッドにおけるキャビティプレートの分解拡大斜視図を示すものである。
【図9】 図1の圧電式インクジェットヘッドにおける圧電アクチュエータの分解拡大斜視図を示すものである。
【図10】 (A)は、圧電アクチュエータの1サンプルの表面を8×26の208のメッシュに区切り、各メッシュの傾きを3次元的に表した図、(B)は、(A)に示すODD側から3次元の表面形状データを見た図である。
【図11】 (A)は、図10(A)における短辺側の8メッシュの傾きを、図10(A)における手前側から奥側へに向かって8メッシュ毎に折れ線グラフとして表した図、(B)は、図10(A)における長編側の26メッシュの傾きを、図10(A)におけるEVEN側からODD側へに向かって26メッシュ毎に折れ線グラフとして表した図である。
【符号の説明】
20 圧電アクチュエータ
21、22 圧電シート
23 絶縁シート
24 駆動電極
25 コモン電極
26、27 表面電極
30、31 凹み溝
32、33 側面電極
112 プレス機
115 セッター
116 焼成炉
Claims (4)
- 複数の圧力室を有するキャビティプレートと、当該キャビティプレートに接着取り付けされた圧電素子とからなるインクジェットプリンタのヘッドの製造方法であって、
前記キャビティプレートに、一つの表面に前記複数の圧力室を開口して形成し、
前記圧電素子は、
前記複数の圧力室にわたる大きさの、圧電材料からなる複数のシート状部材を形成する工程と、
前記シート状部材に電極パターンを形成する工程と、
前記電極パターンが形成されたシート状部材を積層する工程と、
前記積層されたシート状部材を、表面が平面状の支持部材に、前記キャビティプレートの前記表面と接着される前記シート状部材の表面を当接させて載置する工程と、
前記載置されたシート状部材を焼結する工程とを経て製作され、
前記載置する工程の前後から、前記焼結する工程の前には、前記焼結後における前記シート状部材の前記表面における凹凸の高低差が30μm以下となるように、前記支持部材表面及び前記シート状部材表面における異物の付着を防止する工程が設けられており、
前記圧電素子を前記キャビティプレートに、前記シート状部材の前記表面を前記キャビティプレートの前記前面に接触させて接着したことを特徴とするインクジェットプリンタのヘッドの製造方法。 - 前記載置する工程の前後から、前記焼結する工程の前には、焼結後における前記シート状部材の前記表面における凹凸が5mm2の領域で30μm以下となるように、前記支持部材表面及び前記シート状部材表面における異物の付着を防止する工程が設けられていることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法。
- 前記シート状部材を形成する工程にて、少なくとも前記キャビティプレートと接着される前記シート状部材の厚さは、30μm以下に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法。
- 前記キャビティプレートは、複数枚の金属プレートのうち、最外層に積層される金属プレートに前記複数の圧力室を穿設し、その複数枚の金属プレートを積層して形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法。
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