JP3747557B2 - カラー受像管装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー受像管装置に関し、特に、3本の電子ビームを蛍光面に集束させるための主レンズを構成する電極に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にカラー受像管装置は、パネルおよびこのパネルに一体に接合されたファンネルからなる外囲器を有し、ファンネルのネック内に配置された電子銃から放出される3本の電子ビームが、ファンネルの外側に装着された偏向装置の発生する水平および垂直偏向磁界により偏向され、水平、垂直走査しながらパネル内面にシャドウマスクに対向して形成された蛍光体スクリーンに射突することにより、カラー画像を表示するように形成されている。
【0003】
このようなカラー受像管装置において、蛍光体スクリーン上に解像度の高い画像を描くためには、電子銃の主レンズ部において球面収差の影響を少なくして蛍光体スクリーン上のスポット径を小さくする必要がある。
【0004】
一般にカラー受像管装置における蛍光体スクリーン上のスポット径は、電子銃の主レンズでの球面収差の影響が少ないほど小さくすることができる。電子ビームの主レンズへの入射角度をαとすると、主レンズの収差の中で最も優勢な球面収差が寄与するスポット径δは、
δ=(M・Csp・α3)/2
と表わされる。ここで、Mはレンズ倍率、Cspは球面収差係数である。主レンズのレンズ集束作用を弱めると、レンズ倍率、球面収差が低減されるので、蛍光体スクリーン上のスポット径を小さくすることができる。主レンズのレンズ集束作用を弱める方法の一つは、主レンズを形成する電極の電子ビーム通過孔径を拡大することである。
【0005】
特開昭59−215640号公報に開示されている従来のカラー受像管装置の電子銃では、図8に断面図で示すように、主レンズを構成する2つの電極25,26が、互いに間隔を隔てて設けられている。電極25,26はそれぞれ水平方向に並んだ3本の電子ビーム8a,8b,8cを取り囲む外周電極27,28と、外周電極27,28の互いの対向端面から後退した位置に配置された電極板29,30とからなる。図9は電極25の正面図を示しており、電極26の正面図も同様である。電極板29,30はそれぞれ単一の開孔31b,32bを有しており、中央の電子ビーム8bがその単一の開孔31b,32bを通過するように形成されている。電子ビーム8aは、電極板29,30の端部と外周電極27,28との間に形成される開孔31a,32aを通過し、電子ビーム8cは、電極板29,30の端部と外周電極27,28との間に形成される開孔31c,32cを通過する。このように、主レンズを形成する電極25,26の電子ビーム通過孔径を大きくすることで、センターの電子ビーム8bが通過する主レンズ電界と、サイドの電子ビーム8a,8cが通過する主レンズ電界を重畳させて主レンズ口径を大きくし、蛍光体スクリーン上のスポット径を縮小している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のカラー受像管装置の電子銃では、前記電極板の水平方向が前記外周電極に接していないため、電極板を正確に外周電極内の所定の位置に溶接することができず、特に水平方向で組み立ての際にばらつきが発生して、主レンズで形成される電界が歪んで、蛍光体スクリーン上のスポットが大きくなったり、歪んだり、非対称が発生したりするという問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のカラー受像管装置は、蛍光体スクリーンに向けて一方向にほぼ平行に並んだ3本の電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、前記3本の電子ビームを前記蛍光体スクリーンに集束させる主レンズを構成する、管軸方向に間隙を挟んで前記3本の電子ビームを取り囲むように対向し、少なくとも一方の周縁部に対向面から内側に突出するリム部を有する外周電極と、前記外周電極のそれぞれに内蔵され、前記3本の電子ビームの通過する3個の開孔が前記一方向に沿って形成された電極板とを有し、前記外周電極のうち低圧側の外周電極に内蔵された電極板において、前記3個の開孔のうち両サイドの開孔の外側端間を結ぶ水平方向の距離が、前記低圧側の外周電極の前記リム部の水平方向内径より大きく、前記低圧側の外周電極のリム部の水平方向内径が前記高圧側の外周電極のリム部の水平方向径と同一であり、前記低圧側の外周電極又は前記高圧側の外周電極の少なくともいずれか一方に内蔵された前記電極板において、前記電極板の水平方向が前記外周電極に接し、前記3個の開孔のうち両サイドの開孔の外側半分が半円形状であり、かつ、前記両サイドの開孔の内側半分が2を越える次数の高次の曲線形状を有するように構成する。この構成により、主レンズのレンズ口径を大きくして傾向面上のスポット径を小さくできるとともに、電子銃の組立の際のばらつきを小さくすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0009】
図1に本発明の一実施の形態であるカラー受像管装置を、図2にカラー受像管装置に用いる電子銃の代表的な構成を示す。このカラー受像管装置は、パネル1およびこのパネル1に一体に接合された漏斗状のファンネル2からなる外囲器を有している。パネル1の内面には、青色、緑色、赤色に発光する三色の蛍光体層からなる蛍光体スクリーン3が形成され、この蛍光体スクリーン3に対向して、多数の電子ビーム通過孔の形成されたシャドウマスク4が配置されている。ファンネル2のネック部5内には、電子銃6が配置されている。また、偏向ヨーク7はファンネル2の径大部とネック部5との境界部に装着され、電子銃6から放出される電子ビーム8を水平方向および垂直方向に偏向する。
【0010】
電子銃6は図2に示すように、水平方向にインライン配列された3つの陰極9a,9b,9c、制御格子電極10、加速電極11、集束電極12、および最終加速電極13が順次に配設されて構成される。
【0011】
陰極9a,9b,9cと制御格子電極10と加速電極11とで形成されるカソードレンズ14によって陰極9a,9b,9cから電子ビーム8a,8b,8cを取り出して、加速電極11と集束電極12とで形成されるプリフォーカスレンズ15と、集束電極12と最終加速電極13とで形成される主レンズ16とによって、電子ビーム8a,8b,8cを蛍光体スクリーン3上に集束させる。
【0012】
集束電極12は最終加速電極13と対向する端面から内側へ突出したリム部17が設けられた外周電極18と、電極板19とを有している。電極板19には電子ビーム8a,8b,8cが通過する3つの開孔20a,20b,20cが形成されている。
【0013】
図3は集束電極12を最終加速電極13側から見たときの正面図であり、電極板19に設けられた3つの開孔20a,20b,20cのうち、両サイドの開孔20aと20cの外側端間の水平方向の距離をLfとし、リム部17の水平方向の内径をLmとしたとき、Lf>Lmとなるように構成されている。
【0014】
最終加速電極13は集束電極12と対向する端面から内側へ突出したリム部21が設けられた外周電極22と、電極板23とを有している。電極板23には電子ビーム8a,8b,8cが通過する3つの開孔24a,24b,24cが形成されている。最終加速電極13を集束電極12側から見たときの正面図は図3と同様であり、電極板23に設けられた3つの開孔24a,24b,24cのうち、両サイドの開孔24aと24cの外側端間の水平方向の距離Lfよりも、リム部21の水平方向の内径Lmのほうが小さくなるように構成されている。
【0015】
リム部17,21を設けることによって、ネック部5に帯電した電荷が主レンズ電界を乱すことがないように、電荷の影響を遮蔽している。リム部17,21が大きいほどこの遮蔽効果が上がるが、互いに対向しているリム部17,21の面の面積が大きいほどリム部17とリム部21との間で放電を引き起こすため、リム部17,21の大きさは遮蔽効果と放電の影響を考慮して決められる。
【0016】
このように構成すると、次の効果が得られる。
すなわち、集束電極12と最終加速電極13との間に形成される3つの主レンズ16電界を、外周電極のリム部17または21と電極板19または23によって重畳させることで、主レンズ16のレンズ口径を大きくすることができるので、蛍光体スクリーン上のスポット径を小さくすることができる。また、電子ビーム8a,8b,8cそれぞれのジャストフォーカス電圧や球面収差の影響等、3つの電子ビーム間のスポット特性をほとんど同じにすることができる。さらに、電極板19,23はそれぞれ外周電極18,22にほぼ接しているので、外周電極と電極板とを溶接するときの組み立てばらつきを低減することができる。
【0017】
例えば、集束電極12、最終加速電極13においてLf=19.42mm、Lm=18.5mmとすることにより、主レンズ口径を8.6mmという大きな口径にすることができた。また、集束電極12、最終加速電極13においてLf=19.0〜20.0mm、Lm=18.5mmとしたとき、外周電極と電極板とを溶接するときの組み立てばらつきの公差は従来の構成のものに比べて半減させることができた。
【0018】
図4に示すように、電極板19の3個の開孔のうち中央の開孔20bを垂直方向に長手の形状とすることにより、主レンズのレンズ口径を大きくするとともに、3つの電子ビーム間のスポット特性を調整することができる。開孔20bは外周電極18と電極板19との溶接時または電子銃組み立て時に組み立て治具の規制を受けないので、組み立てばらつきは図3に示した電極板の場合と変わらない。
【0019】
また、図5に示すように、電極板19の3個の開孔のうち両サイドの開孔20aと20cの内側半分が、2を越える次数の高次の曲線形状とすることにより、主レンズのレンズ口径を大きくするとともに、3つの電子ビーム間のスポット特性を調整することができる。外周電極18と電極板19との溶接時または電子銃組み立て時に、両サイドの開孔20a,20cの内側部分は組み立て治具の規制を受けないので、組み立てばらつきは図3に示した電極板の場合と変わらない。
【0020】
外周電極18と電極板19との溶接時には、電極板19の3個の開孔のうち両サイドの開孔20a,20cの外側半分を規制する場合が多いため、組み立て治具の加工性を良くするために、図6に示すように、両サイドの開孔20a,20cの外側半分を半円形状としてもよい。
【0021】
もちろん、図7に示すように、図4、図5、図6に示した電極板19の開孔の形状を組み合わせて、中央の開孔20bは水平方向の径を垂直方向の径より小さく形成し、両サイドの開孔20a,20cの内側半分は2を越える次数の高次の曲線形状に形成し、外側半分は半円形状に形成した電極板としてもよい。
【0022】
図4から図7では集束電極12に設けられた電極板19について説明したが、最終加速電極13に設けた電極板23についても同様である。
【0023】
また、以上説明した発明は、主レンズを形成する電子銃を用いたカラー受像管装置に適用することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、電極板の3個の開孔のうち両サイドの開孔の外側端間を結ぶ水平方向の距離を、リム部の水平方向内径より大きくすることにより、主レンズのレンズ口径を大きくして球面収差の影響を少なくし、蛍光体スクリーン上のスポットを小さくすることができるとともに、電子銃の組み立てばらつきを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラー受像管装置の断面図
【図2】本発明のカラー受像管装置に搭載した電子銃の断面図
【図3】本発明の集束電極の正面図
【図4】本発明の電極板の正面図
【図5】本発明の他の例の電極板の正面図
【図6】本発明の他の例の電極板の正面図
【図7】本発明の他の例の電極板の正面図
【図8】従来の主レンズ形成電極の断面図
【図9】従来の主レンズ形成電極の正面図
【符号の説明】
1 パネル
2 ファンネル
3 蛍光体スクリーン
4 シャドウマスク
5 ネック部
6 電子銃
7 偏向ヨーク
8、8a、8b、8c 電子ビーム
9a、9b、9c 陰極
10 制御格子電極
11 加速電極
12 集束電極
13 最終加速電極
16 主レンズ
17、21 リム部
18、22 外周電極
19、23 電極板
20a、20b、20c、24a、24b、24c 開孔
Claims (2)
- 蛍光体スクリーンに向けて一方向にほぼ平行に並んだ3本の電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、前記3本の電子ビームを前記蛍光体スクリーンに集束させる主レンズを構成する、管軸方向に間隙を挟んで前記3本の電子ビームを取り囲むように対向し、少なくとも一方の周縁部に対向面から内側に突出するリム部を有する外周電極と、前記外周電極のそれぞれに内蔵され、前記3本の電子ビームの通過する3個の開孔が前記一方向に沿って形成された電極板とを有し、
前記外周電極のうち低圧側の外周電極に内蔵された電極板において、前記3個の開孔のうち両サイドの開孔の外側端間を結ぶ水平方向の距離が、前記低圧側の外周電極の前記リム部の水平方向内径より大きく、
前記低圧側の外周電極のリム部の水平方向内径が前記高圧側の外周電極のリム部の水平方向径と同一であり、
前記低圧側の外周電極又は前記高圧側の外周電極の少なくともいずれか一方に内蔵された前記電極板において、前記電極板の水平方向が前記外周電極に接し、前記3個の開孔のうち両サイドの開孔の外側半分が半円形状であり、かつ、前記両サイドの開孔の内側半分が2を越える次数の高次の曲線形状を有することを特徴とするカラー受像管装置。 - 前記電極板の3個の開孔のうち中央の開孔の径は、前記一方向で小さく、前記一方向に垂直な方向で大きく形成されていることを特徴とする請求項1記載のカラー受像管装置。
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- 1997-03-31 JP JP07944997A patent/JP3747557B2/ja not_active Expired - Fee Related
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