JP3746668B2 - 電子制御燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プランジャにより加圧される高圧燃料をプランジャ室から燃料噴射弁に圧送するとともに、電磁弁装置に直結駆動される開閉弁によりプランジャ室と給油室との間の戻り通路を閉じる時期を変化させて燃料噴射タイミングを制御するように構成された内燃機関用電子制御燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
デイーゼル機関においては、NOx(窒素酸化物)低減のための有効な手段として、燃料噴射過程における噴射初期の燃料噴射率を低減して予混合燃焼を抑制することにより、燃焼室内の燃焼温度の上昇を抑制する技術が種々提案されている。
かかる技術の一つとして、特許公報第2600873号にて開示された発明がある。かかる発明にあっては、ソレノイド式電磁弁に直結駆動される開閉弁によりプランジャ室に接続される戻り通路を閉じる時期を変化させて燃料噴射タイミングを制御する電子制御燃料噴射装置を用いたユニットインジェクタにおいて、前記電磁弁の全開位置と全閉位置との間の中間位置で該電磁弁を一時的に停止させることにより、燃料噴射初期の噴射率の上昇を抑え、NOxの発生量を低減している。
【0003】
即ち、かかる発明においては、電磁弁装置のソレノイドを第1の電流値で励磁させると該電磁弁のアーマチュアが第1のスプリングの付勢力に抗して吸引され電磁弁の弁体がリフトされ、前記ソレノイドの電磁力と第1のスプリングの付勢力とが均衡した時点での中間開度位置で弁体のリフトが一端停止される。これにより、燃料通路が半密閉状態に移行することとなり、燃料噴射初期においてプランジャにより圧送される燃料の噴射率が抑制され燃料噴射圧力の上昇が緩やかとなり、NOxの発生が抑制される。
次いで、前記電磁弁のソレノイドを前記第1の電流値よりも大きな第2の電流値で励磁させると、該電磁弁のアーマチュアが前記第1のスプリングと第2のスプリングとの合成付勢力に抗して吸引され、前記電磁弁の弁体が前記中間開度位置から全閉位置までリフトされる。これにより、燃料噴射の後半において前記プランジャによって圧送される燃料の噴射率が増大し燃料噴射圧力の上昇が増大され、高効率の燃焼がなされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来技術にあっては、燃料噴射率の異なる2段階噴射を実現するため、電磁弁装置に加えて、セット荷重が異なる第1、第2の2種類のスプリング、第1のスプリングと電磁力との均衡時におけるアーマチュアのストッパ機構、第2のスプリングの圧縮度を変化させそのセット荷重を調整する調整機構等の電磁弁装置周り部品の装備が必要となる。
このため、かかる従来技術にあっては、電磁弁装置に附帯する部品点数が増大するとともに、構造も複雑化して装置コストが高くなる。また、電磁弁の附帯装置における調整箇所が多く、機関の運転状態に適応して燃料噴射モードの制御精度を高く維持するのは困難となる。
【0005】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、電磁弁装置周りの構造を簡単化して部品点数を減少し、装置コストを低減するとともに、機関の運転状態に適応して燃料噴射モードを高精度で以って制御可能として、NOxの発生量が低減されかつ高効率の燃焼を実現できる内燃機関用電子制御燃料噴射装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するもので、燃料噴射ポンプの給油室からプランジャバレルに穿孔された給油孔を経てプランジャ室に供給される燃料をプランジャの往復動により加圧し、この高圧燃料を該プランジャ室から燃料通路を経て燃料噴射弁に圧送するとともに、前記プランジャ室から給油側に接続される戻り通路を電磁弁装置に直結駆動される開閉弁により開閉し、該開閉弁が前記戻り通路を閉じる時期を変化させて前記燃料噴射弁から燃焼室内への燃料噴射タイミングを制御するように構成された内燃機関用電子制御燃料噴射装置において、前記開閉弁は、前記電磁弁装置の出力端に直結駆動されてケース内を往復動せしめられ、前記プランジャ室と戻り通路との間に往復動方向に複数設けられた戻り孔を開閉するスプール弁にて構成され、該スプール弁は、スプリング付勢力に抗する方向に前記電磁弁装置のソレノイドの作用によってリフトし、該リフト過程において前記ソレノイドへの通電の遮断状態では前記複数の戻り孔の全てを開き、次いで前記ソレノイドへの電流量の増加に従って前記戻り孔の何れか1つを閉じ、最後に戻り孔の全てを閉じるように構成された円周方向溝を軸方向に沿って複数設けてなり、前記ソレノイドへの電流量を機関の運転状態に基づいて制御して前記スプール弁の作動速度を変化させて前記スプール弁による前記複数の戻り孔を閉じる時期を変化させることにより、燃料噴射率及び燃料噴射圧力を制御可能に構成したことを特徴とする。
【0007】
【0008】
【0009】
また本発明は、燃料噴射ポンプの給油室からプランジャバレルに穿孔された給油孔を経てプランジャ室に供給される燃料をプランジャの往復動により加圧し、この高圧燃料を該プランジャ室から燃料通路を経て燃料噴射弁に圧送するとともに、前記プランジャ室から給油側に接続される戻り通路を電磁弁装置に直結駆動される開閉弁により開閉し、該開閉弁が前記戻り通路を閉じる時期を変化させて前記燃料噴射弁から燃焼室内への燃料噴射タイミングを制御するように構成された内燃機関用電子制御燃料噴射装置において、前記開閉弁は、前記電磁弁装置の出力端に直結駆動されてケース内を往復動せしめられ、前記プランジャ室と戻り通路との間にスプール弁の往復動方向に1個設けられた戻り孔を開閉する前記スプール弁にて構成され、該スプール弁には該スプール弁の軸方向に深さが異なる複数の連続した円周方向溝を設け、さらに、該スプール弁は、スプリング付勢力に抗する方向に前記電磁弁装置のソレノイドの作用によってリフトし、該リフト過程において前記ソレノイドへの通電の遮断状態では前記複数の溝の全てが前記戻り孔と連通し、次いで前記ソレノイドへの電流量の増加に従って深さの小さい側の溝が前記戻り孔と連通し、最後に前記複数の溝の全てが前記戻り孔を閉じるように構成され、前記ソレノイドへの電流量を機関の運転状態に基づいて制御して前記スプール弁の作動速度を変化させて前記スプール弁による前記戻り孔を閉じる時期を変化させることにより、燃料噴射率及び燃料噴射圧力を制御可能に構成したことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、燃料噴射ポンプの給油室からプランジャバレルに穿孔された給油孔を経てプランジャ室に供給される燃料をプランジャの往復動により加圧し、この高圧燃料を該プランジャ室から燃料通路を経て燃料噴射弁に圧送するとともに、前記プランジャ室から給油側に接続される戻り通路を電磁弁装置に直結駆動される開閉弁により開閉し、該開閉弁が前記戻り通路を閉じる時期を変化させて前記燃料噴射弁から燃焼室内への燃料噴射タイミングを制御するように構成された内燃機関用電子制御燃料噴射装置において、前記開閉弁は、前記電磁弁装置の出力端に直結駆動されてケース内を往復動せしめられ、前記プランジャ室と戻り通路との間にスプール弁の往復動方向に1個設けられた戻り孔を開閉する前記スプール弁にて構成され、該スプール弁には該スプール弁の軸方向にリフトが増加するに従い深さが小さくなるような勾配を有する円周方向溝を設け、さらに、該スプール弁は、スプリング付勢力に抗する方向に前記電磁弁装置のソレノイドの作用によってリフトし、該リフト過程において前記ソレノイドへの通電の遮断状態では前記スプール弁の溝の全体が前記戻り孔と連通し、次いで前記ソレノイドへの電流量の増加に従って深さの小さい側が前記戻り孔と連通し、最後に前記溝が前記戻り孔を閉じるように構成され、前記ソレノイドへの電流量を機関の運転状態に基づいて制御して前記スプール弁の作動速度を変化させて前記スプール弁による前記戻り孔を閉じる時期を変化させることにより、燃料噴射率及び燃料噴射圧力を制御可能に構成したことを特徴とする。
【0011】
また好ましくは、前記電子制御燃料噴射装置が、燃料噴射ポンプの給油室からプランジャバレルに穿孔された給油孔を経てプランジャ室に供給される燃料をプランジャの往復動により加圧し、該プランジャ室から高圧燃料噴射管を経て機関のシリンダに固着された燃料噴射弁に圧送するとともに、前記プランジャ室から分岐されて給油側に接続される戻り通路をソレノイド型電磁弁装置のアーマチュアに直結駆動される開閉弁により開閉し、該開閉弁が前記戻り通路を閉じる時期を変化させて前記燃料噴射弁から燃焼室内への燃料噴射タイミングを制御するように構成された内燃機関用電子制御燃料噴射装置で構成されてなる。
【0012】
かかる発明によれば、燃料噴射過程における噴射初期においては、スプール弁により通路面積が縮小された燃料戻り路が形成され、プランジャの上動により押し退けられたプランジャ室内の燃料の一部が、前記燃料戻り路を通り給油室側に戻される。このため、プランジャの上動による単位時間当たりの燃料噴射量即ち燃料噴射率及び燃料噴射圧力の上昇が緩やかとなる。
これにより、噴射初期における予混合燃焼を抑制することができ、燃焼室内の燃焼温度の上昇が抑制されて、NOx(窒素酸化物)の発生量が低減される。
また、前記スプール弁が戻り孔を閉じて燃料の戻りを遮断し、プランジャ室を密閉状態とすることにより、燃料噴射率及び燃料噴射圧力の上昇が増大し、高圧、大噴射量の噴射モードによる高効率の燃焼をなすことができる。
【0013】
従って、かかる発明によれば、電磁弁装置のソレノイドにより作動するアーマチュアに一端が固定された溝付きのスプール弁と戻り孔とを組み合わせるという、きわめて簡単な構造で部品点数が少なくかつ低コストの装置で以って、噴射初期における燃料噴射率及び燃料噴射圧力の上昇の緩和による予混合燃焼の抑制に伴うNOxの発生量の低減と、噴射後期における燃料噴射率及び燃料噴射圧力の上昇による高圧、大噴射量の噴射モードでの高効率燃焼との、2段階の燃料噴射制御をなすことができる。
また、かかる発明によれば、前記電磁弁装置のアーマチュア及びスプール弁の作動速度を機関の運転状態に適応した速度に制御することができ、これにより、スプール弁の作動速度を変化させて、該スプール弁の溝が戻り孔を閉じる時期を変化させることにより、燃料噴射率及び燃料噴射圧力を機関の運転状態に適応したモードに制御できる。
【0014】
また、例えば、前記戻り孔を3個設けるとともに、前記スプール弁の溝を前記戻り孔に対応させて3個設けて構成すれば、スプール弁に設けた3個の溝により対応する3個の戻り孔を順次閉じて行くので、燃料噴射率及び燃料噴射圧力の上昇モードを3段階に変化させることができ、さらにきめ細かい燃料噴射制御をなすことができる。これにより、予混合燃焼の抑制に伴うNOx発生量の低減と、燃料噴射率及び燃料噴射圧力の上昇による高圧、大噴射量の噴射モードでの高効率燃焼とをバランス良く実現できる。
尚、前記スプール弁の溝を4個以上設け、これに対応して戻り孔を4個以上設けて、さらにきめ細かい燃料噴射制御をなすようにすることもできる。
【0015】
また、請求項2のように構成し、好ましくは、前記スプール弁の円周方向溝を、該スプール弁の軸方向に2個設けて構成すれば、プランジャ室に連通される戻り孔を1個設け、かつ、スプール弁には軸方向に深さが異なる2個の連続した円周方向の溝を設ければよいので、構造がより簡単となって加工コストが低減されるとともに、スプール弁には深さの異なる連続した溝を実質的に1個設ければ済むので、スプール弁のストロークが短くなり、該スプール弁の短縮化による燃料噴射ポンプの小型化及びソレノイド式電磁弁装置の小型化が実現できる。
【0016】
また、請求項3のように構成すれば、プランジャ室に連通される戻り孔を1個設け、かつ、スプール弁にはリフトが増加するに従い深さが小さくなるような勾配を有する円周方向溝を設ければよいので、構造がより簡単となって加工コストが低減されるとともに、スプール弁には円周方向の溝を1個設ければ済むので、スプール弁のストロークが短くなり、該スプール弁の短縮化による燃料噴射ポンプの小型化及びソレノイド式電磁弁装置の小型化が実現できる。
さらに、スプール弁に軸方向に勾配を有する円周方向溝を設けて戻り孔の開度を変化させているので、燃料戻り通路面積をスプール弁のストロークに従い連続的に変化させることができ、噴射初期における噴射モードをさらにきめ細かく制御することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0018】
図1は本発明の第1実施例に係るデイーゼル機関用電子制御燃料噴射装置のプランジャ中心線に沿う断面図を含む構成図である。図2ないし図4は前記第1実施例における電磁弁装置及びスリーブ弁近傍の拡大断面図で、図2はスプール弁全開時、図3はスプール弁半開時、図4はスプール弁全閉時を示す。図5は前記第1実施例の変形例を示す図2対応図である。図6ないし図9は第2実施例における電磁弁装置及びスプール弁近傍の拡大断面図で、図6はスプール弁全開時、図7はスプール弁半開時、図8はスプール弁全閉時、図9はスプール弁溝部近傍を拡大した作用説明図を示す。図10ないし図11は第3実施例における電磁弁装置及びスプール弁近傍の拡大断面図で、図10はスプール弁全開時、図11はスプール弁溝部近傍を拡大した作用説明図を示す。図12は前記各実施例における燃料噴射モード線図である。
【0019】
図1に示される第1実施例において、100は燃料噴射ポンプで次のように構成されている。
3はポンプケース、2は該ポンプケース3内に固定されたプランジャバレル、1は該プランジャバレル2の内周に往復摺動自在に嵌合されたプランジャである。25は該プランジャ1上面に臨んで形成されたプランジャ室、4は前記プランジャバレル2に穿孔された給油孔である。5は前記給油孔4に連通される給油室で、給油通路24から燃料が供給されるようになっている。024は漏油路である。
【0020】
9は前記プランジャ室25の出口側に設けられた吸い戻し機能付きの燃料吐出弁、10は吐出弁ばね、11は図示しない燃料噴射弁への高圧燃料噴射管011に接続される吐出口である。
6は前記プランジャ1の下端にばね受08及びプランジャスプリング8を介して取り付けられたタペット、7は該タペット6に回転自在に支持されたローラで、図示しない燃料カムの回転により前記ローラ7及びタペット6を介して前記プランジャ1を往復動せしめるようになっている。
【0021】
20は詳細を後述する電磁弁装置、21及び22は前記ポンプケース3の上部に固定されたケース、23は該ケース22内に往復摺動自在に嵌合されたスプール弁、12は燃料の戻り通路、33及び34は前記プランジャ室25と戻り通路12とを前記スプール弁23を介して接続する戻り孔である。
45は前記電磁弁装置20のソレノイド28を作動制御する電磁弁制御装置で、該電磁弁制御装置45には回転数検出器46から機関回転数の検出信号が、負荷検出器47から機関負荷(機関出力)の検出信号が夫々入力されている。
【0022】
前記第1実施例における電磁弁装置及びスプール弁近傍の詳細を示す図2ない し図4において、20は電磁弁装置で、次のように構成されている。
31は弁ケース、031は該弁ケース31内に形成されたソレノイド室、28は該ソレノイド室031内に収納されたソレノイド、32は前記電磁弁制御装置45(図1参照)からの電気信号を前記ソレノイド28に伝送するためのコネクタである。27は前記ソレノイド28に空間30を存して配され後述するスプール弁23の上端にボルト29により固定されたアーマチュアである。
以上に示す電磁弁装置20の基本構成は従来のソレノイド式電磁弁と同様である。
【0023】
23はスプール弁で、下部側のケース22内に往復摺動自在に嵌合されている。26は弁スプリングで、上部側のケース21内に形成されたスプリング室021内に収納され前記スプール弁23を下方即ち前記アーマチュア27に作用するソレノイド28の吸引力と逆方向に付勢するように設定されている。
231及び232は前記スプール弁23の外周に、円周方向に沿って刻設された溝で、上側の溝231は前記上側の戻り孔33を開閉し、下側の溝232は前記下側の戻り孔34を開閉するようにその軸方向位置を設定されている。
【0024】
即ち、前記上側及び下側の溝231及び232の軸方向位置は、次のように設定される。
図2に示されるようにスプール弁23の下端面23aがプランジャバレル2の上端面2aに当接してd1=0となるスプール弁23の最下部位置においては、双方の溝231及び232が戻り孔33及び34の夫々に連通して前記2つの戻り孔33及び34と前記戻り通路12が連通される。
図3に示されるようにスプール弁23の下端面23aがプランジャバレル2の上端面2aから一定量d2だけ上昇したスプール弁23の中間位置においては、上側の溝231が上側の戻り孔33を閉じて下側の溝232のみが下側の戻り孔34に連通し、前記下側の戻り孔34のみが前記戻り通路12に連通される。
図4に示されるようにスプール弁23の下端面23aがプランジャバレル2の上端面2aから前記中間位置よりもさらに上昇したスプール弁23の最上部位置d3においては、上側及び下側の溝231及び232の双方が、上側及び下側の戻り孔33及び34の双方を閉じて、前記双方の戻り孔33、34と前記戻り通路12とが遮断される。
【0025】
かかる構成からなる電子制御燃料噴射装置を備えたデイーゼル機関の運転時において、図示しない燃料カムの回転によりローラ7及びタペット6を介して前記プランジャ1が、前記プランジャスプリング8の弾力に抗して上方に押し上げられ、該プランジャ1の上端面が給油孔4を閉じると、前記給油室5から給油孔4を経てプランジャ室25内に供給されている燃料の圧縮が始まる。
かかる圧縮時において、図2に示すように、前記電磁弁制御装置45により電磁弁装置20のソレノイド28への通電が遮断されている状態では、前記スプール弁23は、弁スプリング26の弾力によって下方に押され、前記アーマチュア27と前記ソレノイド28の下端面28aとの間にS1なる空間30が形成され、スプール弁23の下端面23aがプランジャバレル2の上端面2aに当接してd1=0となり、該スプール弁23は最下部位置となる。
【0026】
かかる最下部位置(d1=0)においては、一端側が前記プランジャ室25に連通されている上側及び下側の溝231及び232の双方が戻り孔33及び34の夫々に連通して、該戻り孔33及び34が溝231及び232を介して戻り通路12に連通される。その結果、前記プランジャ室25は前記2つの戻り孔33、34及び前記溝231、232を介して前記戻り通路12に連通されることとなり、前記プランジャ1の上動により押し退けられたプランジャ室25内の燃料は、前記戻り孔33、34及び前記溝231、232を通り前記戻り通路12から給油室5に戻され、燃料噴射は行われない(図12の時間t0まで)。
【0027】
次に、図3に示すように、前記電磁弁制御装置45によるソレノイド28への通電が始まり、電流量が増加してアーマチュア27及びこれに固定されたスプール弁23が、弁スプリング26の弾力に抗して、該アーマチュア27とソレノイド28の下端面28aとの間の空間30の隙間S2まで上方に吸引せしめられ、スプール弁23の下端面23aとプランジャバレル2の上端面2aとの間に隙間d2が形成され、該スプール弁23は中間位置となる。
【0028】
かかる中間位置(隙間d2)においては、上側の溝231が上側の戻り孔33を閉じて下側の溝232のみが下側の戻り孔34に連通し、前記下側の戻り孔34のみが前記戻り通路12に連通される。
その結果、前記プランジャ室25は前記下側の戻り孔34及び下側の溝232のみを介して前記戻り通路12に連通されることとなって、該戻り通路12側への燃料の戻り通路面積が縮小されて、前記プランジャ1の上動によりプランジャ室25内の圧力が上昇し、プランジャ室25内の燃料は吐出弁9を押し開いて吐出通路11から高圧燃料噴射管011を経て燃料噴射弁に送られ、該燃料噴射弁から燃焼室内に噴射せしめられる。
一方、前記プランジャ1の上動により押し退けられたプランジャ室25内の燃料の一部は、前記下側の戻り孔34及び下側の溝232を通り前記戻り通路12から給油室5に戻される。このため、前記プランジャ1の上動による単位時間当たりの燃料噴射量即ち燃料噴射率の上昇は緩やかとなり、図12のt1〜t2間のように、燃料噴射圧力の上昇も緩やかとなる。
【0029】
前記プランジャ1がさらに上動するとともに、前記電磁弁制御装置45によるソレノイド28への電流量が増加し、アーマチュア27及びこれに固定されたスプール弁23が上昇して、下側の溝232と下側の戻り孔34との間の燃料戻り通路面積が縮小され燃料戻り量が少なくなるに従い、燃料噴射圧力の上昇度が増大する(図12のt2〜t4間)。
【0030】
そして、図4に示すように、ソレノイド28への電流量がさらに増加して前記アーマチュア27及びスプール弁23が、該アーマチュア27とソレノイド28の下端面28aとが当接する(空間30の隙間S3=0)まで上方に吸引せしめられ、スプール弁23の下端面23aとプランジャバレル2の上端面2aとの間の隙間がd3まで拡大され、該スプール弁23は最上部位置となる。
かかる最上部位置(隙間d3)においては、上側及び下側の溝231及び232の双方が、上側及び下側の戻り孔33及び34の双方を閉じて、前記双方の戻り孔33、34と前記戻り通路12とが遮断され燃料の戻り量が0(ゼロ)となる。
【0031】
その結果、前記プランジャ室25は密閉状態となり、前記プランジャ1の上動によるプランジャ室25内の圧力上昇が増大し、プランジャ1により吐出された燃料のほぼ全量が高圧燃料噴射管011を経て燃料噴射弁に送られ、該燃料噴射弁から燃焼室内に噴射せしめられる。このため、前記プランジャ1の上動による前記燃料噴射率の上昇が増大し、図12のt4〜t5間のように、燃料噴射圧力の上昇が増大し、高圧、大噴射量の噴射がなされる。
【0032】
かかる実施例によれば、前記電磁弁制御装置45によるソレノイド28への電流量の制御は、回転数検出器46から入力される機関回転数の検出信号、負荷検出器47から入力される機関負荷(機関出力)の検出信号、等の機関の運転状態の検出信号に基づき行い、従って、図12に示すように、アーマチュア27及びこれに固定されたスプール弁23の作動速度を機関の運転状態に適応した速度に制御することができる。
これにより、スプール弁23の作動速度を変化させて、該スプール弁23の溝231及び232が戻り孔33及び34を閉じる時期を変化させることにより、燃料噴射率及び燃料噴射圧力を機関の運転状態に適応したモードに制御できる。
【0033】
また、かかる実施例によれば、燃料噴射過程における噴射初期においては、スプール弁23の2つの溝のうちの1つ(溝231)と戻り孔33とを遮断して、他の1つの溝(溝232)のみを戻り孔34に連通することにより、通路面積が縮小された燃料戻り路が形成され、プランジャ1の上動により押し退けられたプランジャ室25内の燃料の一部が、前記燃料戻り路を通り給油室5に戻される。このため、プランジャ1の上動による単位時間当たりの燃料噴射量即ち燃料噴射率及び燃料噴射圧力の上昇が緩やかとなる。
これにより、噴射初期における予混合燃焼を抑制することができ、燃焼室内の燃焼温度の上昇が抑制されて、NOx(窒素酸化物)の発生量が低減される。
【0034】
また、前記スプール弁23の2つの溝231、232の双方が戻り孔33及び34の双方を閉じて燃料の戻りを遮断しプランジャ室25を密閉状態とすることにより、燃料噴射率及び燃料噴射圧力の上昇が増大し、高圧、大噴射量の噴射モードによる高効率の燃焼をなすことができる。
【0035】
従って、かかる実施例によれば、電磁弁装置20のソレノイド28により作動するアーマチュア27に一端が固定された溝付きのスプール弁23と戻り孔33、34とを組み合わせるという、きわめて簡単な構造かつ低コストの装置で以って、噴射初期における燃料噴射率及び燃料噴射圧力の上昇の緩和による予混合燃焼の抑制に伴うNOxの発生量の低減と、噴射後期における燃料噴射率及び燃料噴射圧力の上昇による高圧、大噴射量の噴射モードでの高効率燃焼との、2段階の燃料噴射制御をなすことができる。
【0036】
図5に示す前記第1実施例の変形例においては、前記プランジャ室25に連通される戻り孔41、42、43を前記スプール弁23の往復動方向に3個設けるとともに、該スプール弁23の外周に、円周方向に沿って刻設された溝235、236、237を軸方向に沿って3個設けている。
そして、上側の溝235は上側の戻り孔41を開閉し、中側の溝236は中側の戻り孔42を開閉し、下側の溝237は下側の戻り孔43を開閉するようにその軸方向位置を設定され、前記スプール弁23のリフト過程において、図5に示す最下部位置で前記3個の溝235、236、237が対応する戻り孔41、42、43を夫々開き、次いで上側の溝235が上側の戻り孔41を閉じ、次いで中側の溝236が中側の戻り孔42を閉じ、最後に下側の溝237が下側の戻り孔43を閉じて全ての戻り孔41、42、43が閉じるようになっている。
【0037】
かかる変形例においては、スプール弁23に設けた3個の溝235、236、237により対応する3個の戻り孔41、42、43を順次閉じて行くので、燃料噴射率及び燃料噴射圧力の上昇モードを3段階に変化させることができ、さらにきめ細かい燃料噴射制御をなすことができる。これにより、予混合燃焼の抑制に伴うNOx発生量の低減と、燃料噴射率及び燃料噴射圧力の上昇による高圧、大噴射量の噴射モードでの高効率燃焼とをバランス良く実現できる。
尚、前記スプール弁23の溝を4個以上設け、これに対応して戻り孔を4個以上設けて、さらにきめ細かい燃料噴射制御をなすようにしてもよい。
その他の構成は図1〜図4に示す実施例と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
【0038】
図6ないし図9に示す第2実施例においては、前記プランジャ室25に連通される戻り孔033を1個設けるとともに、前記スプール弁23には該スプール弁の軸方向に深さが異なる2個の連続した円周方向溝233を設けている。
即ち、前記溝233及び戻り孔033の詳細を示す図9において、該溝233は、深さの深い上部溝233a(深さa)と該上部溝233aよりも浅い下部溝233b(深さb)とをスプール弁23の軸方向に連続して形成されてなり、かかる溝233a及び233bがスプール弁23の軸方向移動に伴い順次前記戻り孔033に掛かるようになっている。
【0039】
かかる実施例において、図6及び図9(A)に示されるようにスプール弁23の下端面23aがプランジャバレル2の上端面2aに当接してd1=0となるスプール弁23の最下部位置においては、上部溝233a及び下部溝233bの双方が戻り孔033に連通される。その結果、前記プランジャ室25は前記上部溝233a及び下部溝233bの双方を介し、燃料の戻り通路面積が最大となって前記戻り通路12に連通されることとなり、前記プランジャ1の上動により押し退けられたプランジャ室25内の燃料は、前記戻り孔033及び前記上部溝233a、下部溝233bを通り前記戻り通路12から給油室5に戻され、燃料噴射は行われない。
【0040】
次に、図7及び図9(B)に示されるようにスプール弁23の下端面23aがプランジャバレル2の上端面2aから一定量d2だけ上昇したスプール弁23の中間位置においては、前記上部溝233aが閉じられ、深さの浅い下部溝233bのみが戻り孔033に連通される。その結果、前記プランジャ1の上動により押し退けられたプランジャ室25内の燃料の一部は、深さが浅く通路面積が絞られた下部溝233bを通り前記戻り通路12から給油室5に戻される。これにより、前記燃料噴射率及び燃料噴射圧力の上昇は緩やかとなり、噴射初期における予混合燃焼を抑制することができ、燃焼室内の燃焼温度の上昇が抑制されて、NOx(窒素酸化物)の発生量が低減される。
【0041】
さらに、図8及び図9(C)に示されるように、スプール弁23の下端面23aがプランジャバレル2の上端面2aから前記中間位置よりもさらに上昇したスプール弁23の最上部位置d3においては、上部溝233a及び下部溝233bの双方が閉じられ、前記プランジャ室25と前記戻り通路12とが遮断され、燃料の戻り量はゼロ(0)となる。
その結果、前記プランジャ室25は密閉状態となって圧力上昇が増大し、プランジャ1により吐出された燃料のほぼ全量が高圧燃料噴射管011を経て燃料噴射弁に送られ、該燃料噴射弁から燃焼室内に噴射せしめられ、前記燃料噴射率及び噴射圧力の上昇が増大し、高圧、大噴射量の噴射がなされる。
【0042】
かかる実施例によれば、プランジャ室25に連通される戻り孔033を1個設け、かつ、スプール弁23には軸方向に深さが異なる2個の連続した円周方向溝233を設ければよいので、前記第1実施例よりも構造がより簡単となって加工コストが低減されるとともに、スプール弁23には深さの異なる連続した溝を実質的に1個設ければ済むので、スプール弁23のストロークが短くなり、該スプール弁23の短縮化による燃料噴射ポンプの小型化及びソレノイド式電磁弁装置の小型化が実現できる。
その他の構成は前記第1実施例と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
【0043】
図10ないし図11に示す第3実施例においては、前記プランジャ室25に連通される戻り孔034を1個設けるとともに、前記スプール弁23には軸方向にリフトが増加するに従い深さが小さくなるような勾配を有する円周方向溝234を設けている。
即ち、前記溝234及び戻り孔034の詳細を示す図11において、前記溝234は、上部が一定深さに形成され、該一定深さ部分に、スプール弁23のリフトが増加するに従い深さが小さくなるような勾配部分234aが軸方向に連設されている。
【0044】
かかる実施例において、図10及び図11(A)に示されるようにスプール弁23の下端面23aがプランジャバレル2の上端面2aに当接してd1=0となるスプール弁23の最下部位置においては、前記溝234全体が戻り孔034に連通される。
その結果、前記プランジャ室25は前記溝234全体を介し、燃料の戻り通路面積が最大となって前記戻り通路12に連通されることとなり、前記プランジャ1の上動により押し退けられたプランジャ室25内の燃料は、前記戻り孔034及び前記溝234を通り前記戻り通路12から給油室5に戻され、燃料噴射は行われない。
【0045】
次に、図11(B)に示されるように、スプール弁23の中間位置(図3に示すように、スプール弁23の下端面23aがプランジャバレル2の上端面2aから一定量d2だけ上昇した位置)においては、前記溝234の勾配部分234aが戻り孔034に連通される。その結果、前記プランジャ1の上動により押し退けられたプランジャ室25内の燃料の一部は、勾配の形成により通路面積が絞られた勾配部分234aの連通部を通り、前記戻り通路12から給油室5に戻される。これにより、前記燃料噴射率及び燃料噴射圧力の上昇は緩やかとなり、噴射初期における予混合燃焼を抑制することができ、燃焼室内の燃焼温度の上昇が抑制されて、NOx(窒素酸化物)の発生量が低減される。
【0046】
さらに、図11(C)に示されるように、スプール弁23の最上部位置(図3に示すように、スプール弁23の下端面23aがプランジャバレル2の上端面2aから前記中間位置よりもさらに上昇したd3の位置)においては、前記溝234全体が閉じられて、前記プランジャ室25と前記戻り通路12とが遮断され、燃料の戻り量はゼロ(0)となる。
その結果、前記プランジャ室25は密閉状態となって、前記燃料噴射率及び噴射圧力の上昇が増大し、高圧、大噴射量の噴射がなされる。
【0047】
かかる実施例によれば、プランジャ室25に連通される戻り孔034を1個設け、かつ、スプール弁23にはリフトが増加するに従い深さが小さくなるような勾配を有する円周方向溝234を設ければよいので、前記第2実施例と同様に、構造がより簡単となって加工コストが低減されるとともに、スプール弁23には円周方向溝234を1個設ければ済むので、スプール弁23のストロークが短くなり、該スプール弁23の短縮化による燃料噴射ポンプの小型化及びソレノイド式電磁弁装置の小型化が実現できる。
さらに、かかる実施例によれば、スプール弁23に軸方向に勾配を有する円周方向溝234を設けて戻り孔034の開度を変化させているので、燃料戻り通路面積をスプール弁23のストロークに従い連続的に変化させることができ、噴射初期における噴射モードをさらにきめ細かく制御することができる。
その他の構成は前記第1実施例と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
【0048】
【発明の効果】
以上記載のごとく本発明によれば、電磁弁装置のソレノイドにより作動するアーマチュアに一端が固定された溝付きのスプール弁と戻り孔とを組み合わせるという、きわめて簡単な構造で部品点数が少なくかつ低コストの装置で以って、噴射初期における燃料噴射率及び燃料噴射圧力の上昇の緩和による予混合燃焼の抑制に伴うNOxの発生量の低減と、噴射後期における燃料噴射率及び燃料噴射圧力の上昇による高圧、大噴射量の噴射モードでの高効率燃焼との、2段階の燃料噴射制御をなすことができる。
また、本発明によれば、前記電磁弁装置のアーマチュア及びスプール弁の作動速度を機関の運転状態に適応した速度に制御することができ、これにより、スプール弁の作動速度を変化させて、該スプール弁の溝が戻り孔を閉じる時期を変化させることにより、燃料噴射率及び燃料噴射圧力を機関の運転状態に適応したモードに制御できる。
【0049】
また本発明によれば、プランジャ室に連通される戻り孔を1個設け、かつ、スプール弁には軸方向に深さが異なる2個の連続した円周方向の溝を設ければよいので、構造がより簡単となって加工コストが低減されるとともに、スプール弁には深さの異なる連続した溝を実質的に1個設ければ済むので、スプール弁のストロークが短くなり、該スプール弁の短縮化による燃料噴射ポンプの小型化及びソレノイド式電磁弁装置の小型化が実現できる。
【0050】
さらに本発明によれば、スプール弁に軸方向に勾配を有する円周方向溝を設けて戻り孔の開度を変化させているので、燃料戻り通路面積をスプール弁のストロークに従い連続的に変化させることができ、噴射初期における噴射モードをさらにきめ細かく制御することができる、という効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係るデイーゼル機関用電子制御燃料噴射装置のプランジャ中心線に沿う断面図を含む構成図である。
【図2】 前記第1実施例における電磁弁装置及びスリーブ弁近傍の拡大断面図で、スプール弁全開時を示す。
【図3】 前記第1実施例における電磁弁装置及びスリーブ弁近傍の拡大断面図で、スプール弁半開時を示す。
【図4】 前記第1実施例における電磁弁装置及びスリーブ弁近傍の拡大断面図で、スプール弁全閉時を示す。
【図5】 前記第1実施例の変形例を示す図2対応図である。
【図6】 第2実施例における電磁弁装置及びスプール弁近傍の拡大断面図で、スプール弁全開時を示す。
【図7】 第2実施例における電磁弁装置及びスプール弁近傍の拡大断面図で、スプール弁半開時を示す。
【図8】 第2実施例における電磁弁装置及びスプール弁近傍の拡大断面図で、スプール弁全閉時を示す。
【図9】 第2実施例におけるスプール弁溝部近傍を拡大した作用説明図を示す。
【図10】 第3実施例における電磁弁装置及びスプール弁近傍の拡大断面図で、スプール弁全開時を示す。
【図11】 第3実施例におけるスプール弁溝部近傍を拡大した作用説明図を示す。
【図12】 前記各実施例における燃料噴射モード線図である。
【符号の説明】
1 プランジャ
2 プランジャバレル
3 ポンプケース
4 給油孔
5 給油室
6 タペット
7 ローラ
8 プランジャスプリング
9 燃料吐出弁
10 吐出弁ばね
011 高圧燃料噴射管
12 戻り通路
17 燃料吐出弁
20 電磁弁装置
21、22 ケース
23 スプール弁
25 プランジャ室
26 弁スプリング
27 アーマチュア
28 ソレノイド
30 空間
31 弁ケース
031 ソレノイド室
33、34、41、42、43、033、034 戻り孔
45 電磁弁制御装置
46 回転数検出器
47 負荷検出器
231、232、233、234、235、236、237 溝
233a 上部溝
233b 下部溝
234a 勾配部分
Claims (4)
- 燃料噴射ポンプの給油室からプランジャバレルに穿孔された給油孔を経てプランジャ室に供給される燃料をプランジャの往復動により加圧し、この高圧燃料を該プランジャ室から燃料通路を経て燃料噴射弁に圧送するとともに、前記プランジャ室から給油側に接続される戻り通路を電磁弁装置に直結駆動される開閉弁により開閉し、該開閉弁が前記戻り通路を閉じる時期を変化させて前記燃料噴射弁から燃焼室内への燃料噴射タイミングを制御するように構成された内燃機関用電子制御燃料噴射装置において、
前記開閉弁は、前記電磁弁装置の出力端に直結駆動されてケース内を往復動せしめられ、前記プランジャ室と戻り通路との間に往復動方向に複数設けられた戻り孔を開閉するスプール弁にて構成され、該スプール弁は、スプリング付勢力に抗する方向に前記電磁弁装置のソレノイドの作用によってリフトし、該リフト過程において前記ソレノイドへの通電の遮断状態では前記複数の戻り孔の全てを開き、次いで前記ソレノイドへの電流量の増加に従って前記戻り孔の何れか1つを閉じ、最後に戻り孔の全てを閉じるように構成された円周方向溝を軸方向に沿って複数設けてなり、前記ソレノイドへの電流量を機関の運転状態に基づいて制御して前記スプール弁の作動速度を変化させて前記スプール弁による前記複数の戻り孔を閉じる時期を変化させることにより、燃料噴射率及び燃料噴射圧力を制御可能に構成したことを特徴とする電子制御燃料噴射装置。 - 燃料噴射ポンプの給油室からプランジャバレルに穿孔された給油孔を経てプランジャ室に供給される燃料をプランジャの往復動により加圧し、この高圧燃料を該プランジャ室から燃料通路を経て燃料噴射弁に圧送するとともに、前記プランジャ室から給油側に接続される戻り通路を電磁弁装置に直結駆動される開閉弁により開閉し、該開閉弁が前記戻り通路を閉じる時期を変化させて前記燃料噴射弁から燃焼室内への燃料噴射タイミングを制御するように構成された内燃機関用電子制御燃料噴射装置において、
前記開閉弁は、前記電磁弁装置の出力端に直結駆動されてケース内を往復動せしめられ、前記プランジャ室と戻り通路との間にスプール弁の往復動方向に1個設けられた戻り孔を開閉する前記スプール弁にて構成され、該スプール弁には該スプール弁の軸方向に深さが異なる複数の連続した円周方向溝を設け、さらに、該スプール弁は、スプリング付勢力に抗する方向に前記電磁弁装置のソレノイドの作用によってリフトし、該リフト過程において前記ソレノイドへの通電の遮断状態では前記複数の溝の全てが前記戻り孔と連通し、次いで前記ソレノイドへの電流量の増加に従って深さの小さい側の溝が前記戻り孔と連通し、最後に前記複数の溝の全てが前記戻り孔を閉じるように構成され、前記ソレノイドへの電流量を機関の運転状態に基づいて制御して前記スプール弁の作動速度を変化させて前記スプール弁による前記戻り孔を閉じる時期を変化させることにより、燃料噴射率及び燃料噴射圧力を制御可能に構成したことを特徴とする電子制御燃料噴射装置。 - 燃料噴射ポンプの給油室からプランジャバレルに穿孔された給油孔を経てプランジャ室に供給される燃料をプランジャの往復動により加圧し、この高圧燃料を該プランジャ室から燃料通路を経て燃料噴射弁に圧送するとともに、前記プランジャ室から給油側に接続される戻り通路を電磁弁装置に直結駆動される開閉弁により開閉し、該開閉弁が前記戻り通路を閉じる時期を変化させて前記燃料噴射弁から燃焼室内への燃料噴射タイミングを制御するように構成された内燃機関用電子制御燃料噴射装置において、
前記開閉弁は、前記電磁弁装置の出力端に直結駆動されてケース内を往復動せしめられ、前記プランジャ室と戻り通路との間にスプール弁の往復動方向に1個設けられた戻り孔を開閉する前記スプール弁にて構成され、該スプール弁には該スプール弁の軸方向にリフトが増加するに従い深さが小さくなるような勾配を有する円周方向溝を設け、さらに、該スプール弁は、スプリング付勢力に抗する方向に前記電磁弁装置のソレノイドの作用によってリフトし、該リフト過程において前記ソレノイドへの通電の遮断状態では前記スプール弁の溝の全体が前記戻り孔と連通し、次いで前記ソレノイドへの電流量の増加に従って深さの小さい側が前記戻り孔と連通し、最後に前記溝が前記戻り孔を閉じるように構成さ れ、前記ソレノイドへの電流量を機関の運転状態に基づいて制御して前記スプール弁の作動速度を変化させて前記スプール弁による前記戻り孔を閉じる時期を変化させることにより、燃料噴射率及び燃料噴射圧力を制御可能に構成したことを特徴とする電子制御燃料噴射装置。 - 請求項1、2、3に記載の電子制御燃料噴射装置が、燃料噴射ポンプの給油室からプランジャバレルに穿孔された給油孔を経てプランジャ室に供給される燃料をプランジャの往復動により加圧し、該プランジャ室から高圧燃料噴射管を経て機関のシリンダに固着された燃料噴射弁に圧送するとともに、前記プランジャ室から分岐されて給油側に接続される戻り通路をソレノイド型電磁弁装置のアーマチュアに直結駆動される開閉弁により開閉し、該開閉弁が前記戻り通路を閉じる時期を変化させて前記燃料噴射弁から燃焼室内への燃料噴射タイミングを制御するように構成された内燃機関用電子制御燃料噴射装置で構成されてなることを特徴とする電子制御燃料噴射装置。
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