JP3746656B2 - 永久磁石形回転子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石を回転子鉄心表面に張り付けた表面型、及び永久磁石を回転子鉄心内部に埋設した埋込型の永久磁石形回転子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、同期回転機に装着する永久磁石形回転子として、永久磁石を回転子鉄心表面に張り付けた表面型のものや、永久磁石を回転子鉄心内部に埋設した埋込型のものがある。これらの永久磁石形回転子を装着した同期回転機は、励磁損失がなく高効率で動作範囲が広いので、電動機、発電機等に広く利用されている。しかし、近年の増大する電力需要に対する省エネルギー型の回転機の要求は高く、さらなる低価格化、小型化、高効率化が望まれている。
【0003】
従来より、大量生産用の回転機に使用される永久磁石形回転子の着磁工程は、回転子表面又は内部に磁石用磁性体を装着した後、専用の着磁装置でこの回転子全体に強磁界を印加して着磁する方法が採られてきた。これは、回転子鉄心が着磁後の磁石の減磁を防止する効果を持つからである。
【0004】
一方、大型回転機や少量生産用の回転機に使用される永久磁石形回転子の場合は、専用の着磁装置を製作するとコストが上がるため、汎用の着磁装置を使用して磁石用磁性体を単体にて着磁した後、その磁石を永久磁石形回転子に装着する方法が採られてきた。この場合、着磁後の減磁作用が大きく働くために磁力の大きな磁石をつくるのが難しく、減磁作用による保磁力の低下を補うために、磁石用磁性体を厚くして減磁作用を弱めたり、耐減磁性の高い磁石用磁性体を使用するなどして必要な磁力を得ていた。しかし、磁石用磁性体は高価なため、その厚みを広げることはコストの増加につながり、また、耐減磁性の高い磁石用磁性体は、その耐減磁作用が保磁力と相反する性質があるため、着磁後の磁石の磁力を大きくするのには限界があった。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、安価、小型で効率の高い永久磁石形回転子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の永久磁石形回転子は、磁石用磁性体の少なくとも一方の磁極面に、高透磁率材からなる保磁部材を接合して着磁された磁極体を回転子鉄心に設けるようにしたことを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、磁石用磁性体の少なくとも一方の磁極面に、高透磁率材からなる保磁部材を接合して磁極体を構成し、この磁極体の磁極面間の距離を長くすることにより、磁極体を単体で着磁する際の減磁作用を減少させて、磁力の大きな磁石を作ることができ、この磁石を装着した永久磁石形回転子から発生する磁力を大きくすることができる。従って、この永久磁石形回転子を装着して同期回転機を構成することにより、永久磁石形回転子から発生する磁束と、電機子コイルに電流を流すことによって発生する磁束との間に生ずるマグネットトルクを大きくすることができ、高効率な回転特性が得られる。また、このように磁極体を構成することで、従来よりも磁力の大きな磁石を作ることができるので、永久磁石形回転子の大きさを小型にすることができ、しかも、磁石用磁性体の使用量を減らすことができるので、永久磁石形回転子の製造コストを下げることもできる。
【0008】
請求項2記載の永久磁石形回転子は、磁石用磁性体と保磁部材とが接着剤により接合されていることを特徴とする。
このような構成によれば、磁石用磁性体と保磁部材との接合を強固にすることができるので、着磁の際に磁石用磁性体と保磁部材とを剥離させるように働く電磁力に耐えることができる。しかも、磁極体は剥離しにくいので、磁極体の製造時の運搬工程や、磁極体を回転子鉄心に装着する作業工程を円滑に進めることができる。
【0009】
請求項3記載の永久磁石形回転子は、磁石用磁性体と保磁部材とが狭着部材により接合されていることを特徴とする。
このような構成によれば、狭着部材を着脱可能なように構成することができるので、作業工程が簡単になり、廃棄時の処理も容易に行える。
【0010】
請求項4記載の永久磁石形回転子は、磁石用磁性体が保磁部材に挿入されて固定されていることを特徴とする。
このような構成によれば、磁石用磁性体を保磁部材に挿入する際に、正確な位置決め精度を必要としないので、作業工程が簡単になる。
【0011】
請求項5記載の永久磁石形回転子は、保磁部材が磁石用磁性体を囲む形状を為し、且つ分割可能に構成されていることを特徴とする。
このような構成によっても、請求項4と同様の効果が得られる。
【0012】
請求項6記載の永久磁石形回転子は、保磁部材の少なくとも一部が回転子鉄心の外部まで突出して装着されていることを特徴とする。
このような構成によれば、保磁部材の突出部に、磁極体が着磁された磁石から発生する磁界のバイパス磁気回路が形成されるので、この突出部先端に磁気センサを付設して、突出部先端からの漏れ磁束を検出することで、回転子の磁極位置を検出することができる。
【0013】
請求項7記載の永久磁石形回転子は、保磁部材が方向性珪素鋼板を積層して構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、方向性珪素鋼板の積層面方向を変えることにより、電機子コイルのd軸、q軸インダクタンス成分比を調整して、リラクタンストルクの増減を制御することができる。これにより、リラクタンストルクとマグネットトルクとの総合トルクを増加させて回転効率を高めたり、トルク脈動による振動、騒音を抑制させることができる。
【0014】
請求項8記載の永久磁石形回転子は、磁極体がスキュー着磁により磁極体の磁極面の一部に逆性磁極が付帯されていることを特徴とする。
このような構成によれば、磁極体を単体で着磁することにより精密なスキュー着磁が可能となる。これにより、このスキュー着磁された磁石を装着した永久磁石形回転子から発生する磁界の分布にスキュー特性をもたせることができる。従って、この永久磁石形回転子を装着した同期回転機は、トルク脈動による振動、騒音を抑制することができる。
【0015】
請求項9記載の永久磁石形回転子は、保磁部材端部の形状が回転子鉄心の軸心から回転子鉄心外周方向に向かって前記軸心と平行な方向に段階的又は連続的に変化していることを特徴とする。
このような構成によれば、保磁部材端部の形状を段階的又は連続的に変化させて磁極体を構成し、この磁極体が磁化された磁石を永久磁石形回転子に装着するようにして、永久磁石形回転子から発生する磁界の分布に、スキュー特性をもたせることができる。従って、この永久磁石形回転子を装着した同期回転機は、トルク脈動による振動、騒音を抑制することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
[第1の実施例]
以下、本発明の第1の実施例について、図1乃至図4を参照して説明する。
まず、図2は、埋込型の永久磁石形回転子(以下、単に回転子と称す)1を装着した三相同期回転機(以下、単に回転機と称す)2の断面構造を示したものである。
【0017】
円筒形状の回転機収容部3の内周部には、電機子4が装着されている。電機子4は、電機子鉄心5と、電機子コイル6とで形成されている。電機子鉄心5は、リング状の珪素鋼板の内周部にスロット7群が形成されたものを積層して形成されており、スロット7群の内周部には回転子1を装着するための界磁空間8が形成されている。電機子コイル6は、スロット7群に銅条線が巻回されて形成されている。そして、界磁空間8内に回転子1が装着されており、このようにして回転機2が構成されている。
【0018】
図1は、回転子1の構成を示している。回転子鉄心9は、円形状の珪素鋼板が積層されて形成されている。この回転子鉄心9の中央部には、円柱形状の挿入孔10が開けられており、シャフト11が挿入されて装着されている。また、この回転子鉄心9の中心から外周方向に向かって対称な90°をなす4方向には、直方体形状の4つの挿入孔12が開けられており、夫々の挿入孔12には、後述する磁石13’が埋設されている。
【0019】
磁極体13は、次のようにして構成されている。磁石用磁性体14及び保磁部材15は、強磁性材料で形成されており、保磁部材15の強磁性材料は、磁石用磁性体14に比べて透磁率の高いものが使用されている。磁石用磁性体14及び保磁部材15は、直方体形状をなしており、一対の対向面間の長さは、回転子鉄心9の圧延鋼板の積層方向の長さと同等になるように形成されている。
ここで、磁石用磁性体14及び保磁部材15の面のうち、後述するような着磁装置16(図3)にて印加される磁界の方向に垂直な一対の面を、磁極面と呼ぶこととすると、磁石用磁性体14及び保磁部材15の磁極面の面積は、同等になるように形成されている。
【0020】
そして、磁石用磁性体14は、その両側の磁極面が2つの保磁部材15の夫々一方側の磁極面で挟まれるようにして接合されており、このようにして磁極体13が構成されている。この磁極体13は、後述するような着磁装置16(図3)によって着磁されることにより磁化されて、磁石13’(磁極体13を磁石13’と読み替える)となる。そして、この磁石13’が挿入孔12に埋設されて、回転子1が構成されている。
【0021】
このようにして構成された回転機2において、電機子コイル6に三相交流電流を流してスロット7群から回転磁界を発生させることにより、この回転磁界と回転子1の内部に埋設された磁石13’から発生する磁界との間にマグネットトルクが発生し、回転子1の回転動作が行われる。
【0022】
<磁極体13の着磁方法の説明>
ここで、磁極体13の着磁方法について説明する。図3は、磁極体13が着磁装置16に装着された状態を示す断面図である。着磁装置16は、電磁石ヨーク部17に電磁石コイル18が巻回された2組の電磁石19で構成されている。この2組の電磁石19間に磁極体13を挟み、それぞれの電磁石コイル18に同じ向きの電流を流して電磁石19間に強磁界を発生させることにより、磁極体13が着磁され、磁石13’が生成される。
【0023】
次に、生成された磁石13’から発生する磁力について、磁極面の面積が等しく構成の異なる直方体形状の3種類の磁性物体20乃至22を例に挙げ、図4(a)乃至(c)を参照して説明する。
【0024】
図4(a)に示す磁性物体20は、磁極面間の距離がd1の磁石用磁性体で構成されている。図4(b)に示す磁性物体21は、磁極面間の距離が(d1+2×d2)の磁石用磁性体で構成されている。図4(c)に示す磁性物体22は、磁極面間の距離がd1の磁石用磁性体22aと磁極面間の距離がd2の2つの保磁部材22bとが、磁石用磁性体22aの両側の磁極面を2つの保磁部材22bの夫々一方側の磁極面で挟むようにして接合されており、磁性物体22の磁極面間の距離が磁性物体21の磁極面間の距離と同等になるように構成されている。但し、これらの磁性物体20乃至22の磁石用磁性体の磁性材料には、同材質の強磁性材料が使用されているものとする。
【0025】
まず、磁性物体20に外部から強磁界を印加して着磁を行った場合の磁石20’(磁性物体20を磁石20’と読み替える)の生成過程について説明する。磁性物体20を着磁装置16に装着し、着磁装置16のスイッチをオンして磁性物体20の磁極面間に、外部から垂直に強磁界を与えると、磁性物体20は磁化されて、磁極面間に磁気分極が生じ、一方側の磁極面にN極、もう一方側の磁極面にS極の磁極が生成される。
【0026】
そして、着磁装置16のスイッチをオフして磁性物体20に印加されている外部磁界を無くすと、磁性物体20の磁極面の外部には、磁性物体20の磁極面に生成された磁極によってN極からS極へ向かう磁界が発生する。また、このとき、磁性物体20の内部にも、N極からS極へ向かう磁界が発生し、この磁界は外部の磁界と向きが反対なので外部の磁界を弱めるように働く反磁界となる。そして、磁性物体20は、外部に発生した磁界と、内部に発生した反磁界とが均衡がとれた状態で磁気分極が安定し、一定磁力を外部に発生する磁石20’となる。
【0027】
この磁石20’内部に発生する反磁界の強度は、磁極間の距離が短いほど大きくなる特性があるので、磁力の大きな磁石をつくるためには、磁性物体20の磁極面間の距離を長くしたほうがよい。従って、磁性物体20の場合と同様にして、磁性物体21に着磁を行った場合には、磁性物体21の磁極面間の距離が、磁性物体20と比べて(2×d2)だけ長いため、生成される磁極間の距離も長くなり、着磁後の磁性物体21の内部に発生する反磁界の強度は小さくなる。それ故に、磁性物体21は、磁性物体20と比べて非常に大きな磁力を外部に発生する磁石21’(磁性物体21を磁石21’と読み替える)となる。
【0028】
次に、磁性物体22に着磁を行った場合について説明する。磁性物体22は、磁石用磁性体22aと2つの保磁部材22bとが接合されて形成されているため、着磁後に生成される磁極は、両保磁部材22bの磁石用磁性体22aと接しない側の端面に発生する。このとき、磁極間の距離は磁性体21と同等の(d1+2×d2)となるため、磁性物体22の内部に発生する反磁界は磁極間の距離が等しい磁性物体21と同等の強さとなる。但し、磁性物体22は磁石用磁性体22aと保磁部材22bとの接合面間の隙間及び周囲に漏れ磁束が発生し、若干の減磁作用も働くため、生成される磁石22’(磁性物体22を磁石22’と読み替える)から発生する磁力は、磁石20’と比べると非常に大きく、磁石21’と比べると若干小さいがほぼ同等の大きさのものとなる。
【0029】
本実施例では、磁性物体22と同様にして、磁石用磁性体14の両磁極面に2つの保磁部材15を接合させて磁極体13を構成し、この磁極体13を着磁することによって磁石13’を生成するようにした。従って、磁石13’から発生する磁力は、磁極体13の磁石用磁性体14及び2つの保磁部材15の磁極面間の距離を合わせ持つ磁石用磁性体を着磁した場合に生成される磁石から発生する磁力と、ほぼ同等の大きさをもつことになる。
【0030】
このように本実施例によれば、磁石用磁性体14の両磁極面に2つの保磁部材15を接合させて磁極体13を構成し、この磁極体13が磁化された磁石13’を回転子鉄心9に埋設することにより回転子1を構成するようにした。
このように磁極体13を構成することにより、磁極体13を着磁することによって生成される磁石13’の磁極間の距離を長くして、減磁作用を減少させることができるので、磁極体13を単体で着磁しても磁力の大きな磁石13’を作ることができる。また、磁石用磁性体14として、耐減磁性能が低く保磁力の大きな強磁性材料を使用すれば、このような磁極体13を構成することによって、減磁作用を減少させることができるので、効率よく磁力の大きな磁石13’を作ることができる。
【0031】
これにより、回転子1から発生する磁力を大きくすることができるので、この回転子1を装着した回転機2は、マグネットトルクを大きくすることができ、高効率な回転特性が得られる。また、電機子コイル6の電流位相を最適な進み角に制御することにより、リラクタンストルクをマグネットトルクに加算させて総合トルクを大きくして、回転機2の回転効率を更に上げることもできる。
【0032】
更に、このような磁極体13を構成することで、磁石用磁性体14の使用量を減らしても、磁力の大きな磁石13’を生成することができるので、製造コストを下げることができる。しかも、磁極体13は形状が単純なため、着磁をする際に、専用の着磁装置16を製作する必要がなく、その分の製造コストを下げることもできる。また、保磁部材15の形状は任意に加工できるので、回転子鉄心2の挿入孔9の大きさに合わせた適正な大きさの磁極体13を作ることができ、嵌合性を高めることができる。
【0033】
[第2の実施例]
次に、本発明の第2の実施例について、図5を参照して説明する。尚、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。
磁石用磁性体14は、その両面の磁極面が、2つの保磁部材15の磁極面で挟まれるようにして、接着剤たる紫外線硬化型接着剤23にて接着されており、このようにして磁極体24が構成されている。
【0034】
このように第2の実施例によれば、磁石用磁性体14と保磁部材15とを、紫外線硬化型接着剤23により強固に接合することができるので、磁極体24を着磁する際に、磁石用磁性体14と保磁部材15とを剥離するように働く大きな電磁力に耐えることができる。また、磁石用磁性体14と保磁部材15との接合面の隙間をわずかにして接合することができるので、磁極体24を着磁する際に、磁石用磁性体14と保磁部材15との接合面の間の隙間及び周囲への漏れ磁束による減磁作用を減らして、磁石24’(磁極体24を磁石24’と読み替える)を生成することができる。
【0035】
更に、紫外線硬化型接着剤23は、磁石用磁性体14と保磁部材15とを加圧接着する際に、接合部からはみ出した接着剤へ紫外線を照射することにより、はみ出した接着剤を瞬時に硬化させることができるので、はみ出した接着剤が装置や人間に付着して、作業効率を低下させることを防ぐことができる。しかも、磁石用磁性体14と保磁部材15との接合部は、簡単に剥離することはないので、磁極体24(磁石24’)の運搬工程や、磁石24’の回転子鉄心9への埋込工程等の作業を円滑に進めることができる。また、紫外線硬化型接着剤23は、加熱処理により簡単に剥脱、分離することが可能なため、廃棄時の分別処理工程における作業効率を上げることができ、且つ、加熱消磁との同時処理による廃棄処理工程の時間短縮が可能となる。
【0036】
[第3の実施例]
次に、本発明の第3の実施例について、図6を参照して説明する。尚、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。
回転子1の回転子鉄心9に埋設される磁極体25は、次のようにして構成されている。磁石用磁性体26は、第1の実施例で示した磁石用磁性体14と同様にして形成されている。保磁部材27は、第1の実施例で示した保磁部材15と同様の形状に形成されているが、一方側の磁極面の中央両端部には、狭着部材たるクランプ片28を固定するための直方体形状の溝29が設けられている。
【0037】
そして、磁石用磁性体26は、その両側の磁極面が2つの保磁部材27の夫々一方側の磁極面で挟まれるよにして接合されており、2つのクランプ片28が、磁石用磁性体26及び2つの保磁部材27を挟むようにして、溝29に嵌合されている。このクランプ片28は、保磁部材27と同材質の強磁性材料であり、コの字型形状に形成されている。また、クランプ片28は、クランプ片28による嵌合部分の磁極体25の磁極面間の距離が、嵌合部分以外の磁極体25の磁極面間の距離と同等になるように、厚さが調整されて形成されている。このようにして、磁極体25が構成されている。
【0038】
このような構成によれば、クランプ片28は着脱可能なため、作業工程や廃棄時の処理工程を単純化できる。更に、保磁部材27に溝29を設けることにより、クランプ片28の固定位置がずれることを防止できる。また、磁極体25の磁極面間の距離は、クランプ片28の有る無しにかかわらず、一定になるように構成されているので、磁極体25が着磁された磁石25’(磁極体25を磁石25’と読み替える)と回転子鉄心9との間に隙間をつくることなく、磁石25’を回転子鉄心9の内部に埋設することができる。
【0039】
[第4の実施例]
次に、本発明の第4の実施例について、図7を参照して説明する。尚、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。
【0040】
回転子1の回転子鉄心9に埋設される磁極体30は、次のようにして構成されている。磁石用磁性体31は、第1の実施例で示した磁石用磁性体14と同様にして形成されている。保磁部材32は、直方体形状をなし、一対の対向面間の長さは、回転子鉄心9の圧延鋼板の積層方向の長さと同等になるように形成されており、磁石用磁性体を挿入するための挿入孔33が設けられている。この挿入孔33は、磁石用磁性体31を挿入しやすいように挿入孔端34が丸められている。また、保磁部材32の一方側の磁極面壁の中央部には、その外面から挿入孔33まで貫通させた円筒状のピン孔35が開けられている。
【0041】
そして、磁石用磁性体31は、保磁部材32の挿入孔33に挿入されており、ピン孔35に円柱形状のピン36が打ち込まれることによって、磁石用磁性体31が固定されている。このようにして、磁石用磁性体31と保磁部材32とが
接合されて、磁極体30が構成されている。
【0042】
このような構成によれば、磁極体30を製造する工程において、磁石用磁性体31は単に保磁部材32の挿入孔33に挿入するだけでよく、磁石用磁性体31と保磁部材32との精密な位置合わせが必要ないので、作業が簡単になる。従って、自動化による大量生産も可能となる。
【0043】
[第5の実施例]
次に、本発明の第5の実施例について、図8(a),(b)を参照して説明する。尚、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。
【0044】
回転子1の回転子鉄心9に埋設される磁極体37は、次のようにして構成されている。図8(a)に示すように、磁石用磁性体38は、第1の実施例で示した磁石用磁性体14と同様にして形成されている。保磁部材39は、コの字型形状をなし、一対の対向面間の長さは、回転子鉄心9の圧延鋼板の積層方向の長さと同等になるように形成されており、2つの保磁部材39の凹内部で磁石用磁性体38が狭着できるような大きさに形成されている。但し、この保磁部材39の凹内部の磁極面の面積は、磁石用磁性体38の磁極面の面積に比べて、少し大きくなるように形成されている。
【0045】
そして、図8(b)に示すように、磁石用磁性体38は、2つの保磁部材39の凹内部で挟まれるようにして接合されており、2つの保磁部材39のコの字形状の突端部40同志が溶接されて固定されている。このようにして、磁極体37が構成されている。
この磁極体37が磁化された磁石37’(磁極体37を磁石37’と読み替える)は、2つの保磁部材39の接合部が挿入孔の内壁に沿うようにして、回転子鉄心9に埋設されており、このようにして回転子1が構成されている。
【0046】
このような構成によれば、磁極体37を製造する工程において、磁石用磁性体38は単に2つの保磁部材39間に狭着されるように装着するだけでよく、磁石用磁性体38と保磁部材39との精密な位置合わせが必要ないので、作業が簡単になる。
【0047】
[第6の実施例]
次に、本発明の第6の実施例について、図9を参照して説明する。図9は、磁石41’(後述)が埋設された回転子1を装着した回転機2における回転子1の軸心と平行な方向の横断面図の上側半分を示したものである。尚、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。
【0048】
回転機収容部3は、円筒形状の筒42の両端部に皿型の蓋板43が接合されて形成されており、その内周部に電機子4が装着されている。そして、この電機子4の内周部の界磁空間8内には、回転子1が装着されており、このようにして回転機2が構成されている。
【0049】
回転子1には、後述するように、磁極体41が磁化された磁石41’(磁極体41を磁石41’と読み替える)が埋設されているが、この磁石41’の保磁部材44は、回転子鉄心9の圧延鋼板の積層方向の長さよりも長くなるように形成されており、回転子鉄心9の一方側の端面に突出部45が形成されている。
【0050】
そして、この回転子鉄心9の突出部45の形成された側と対向する回転機収容部3の蓋板43の内面壁には、突出部45の先端面に最も近い位置に、円筒形状の3つの間隔調整部材46が装着されており、これらの間隔調整部材46の先端面には、夫々、ホールIC47が装着されている。これらのホールIC47は、後述するように、回転子1の磁極位置センサとして使用されるものであり、3つのホールIC47は、電機子4と回転子1との電気角が夫々120度をなすような位置に装着されている。
【0051】
回転子1の回転子鉄心9に埋設される磁極体41は、次のようにして構成されている。磁石用磁性体48は、第1の実施例で示した磁石用磁性体14と同様にして形成されている。保磁部材44は、第1の実施例で示した保磁部材15と同様の形状に形成されているが、一対の対向面間の長さは、回転子鉄心9の圧延鋼板の積層方向の長さよりも長くなるように形成されている。
【0052】
そして、磁石用磁性体48及び2つの保磁部材44は、磁石41’を回転子鉄心9の挿入孔12へ挿入する方向に対して垂直となる面のうち、夫々の一方側の面を揃えるようにして、磁石用磁性体48の両側の磁極面が2つの保磁部材44の夫々一方側の磁極面で挟まれて、紫外線硬化型接着剤23(図5参照)により接合されており、このようにして磁極体41が構成されている。
【0053】
磁石41’は、回転子鉄心9の挿入孔12に、磁石用磁性体48及び2つの保磁部材44の前記揃えられた面が、回転子鉄心9の一方側の端面に揃えられるようにして埋設されている。そして、この回転子鉄心9のもう一方側の端面には、保磁部材44の端部が突出するようにして突出部45が形成されている。
【0054】
1つの磁石41’の一対の突出部45の先端面には、互いに逆性の磁極が生成されている。磁化された磁石用磁性体48から発生する磁界の一部は、保磁部材44の内部を通って、N極側の磁極が生成された保磁部材44の突出部45の先端面から、外部に向かって、漏れ磁界となって放出されている。そして、この放出された磁界を、S極側の磁極が生成された保磁部材44の突出部45の先端面で受けることによって、これら一対の突出部45間には、バイパス磁気回路が形成されている。そして、これら一対の突出部45の先端面から発生している漏れ磁界をホールIC47で検出することにより、回転子の磁極位置の検出が行われる。
【0055】
このように本第6の実施例によれば、保磁部材44の長さを、磁石41’を回転子鉄心9の挿入孔12へ挿入する方向に対して、磁石用磁性体48の長さよりも長くして磁極体41を構成し、この磁極体41が磁化された磁石41’を回転子1の回転子鉄心9に埋設することによって、保磁部材44の突出部45を設け、バイパス磁気回路を形成するようにした。そして、この磁石41’が埋設された回転子1を装着した回転機2において、突出部45の先端面から発生する漏れ磁界をホールIC47で検出することにより、回転子1の磁極位置の検出が行えるようにした。これは、エンコーダ、レゾルバ等の従来の磁極位置センサに比べて安価であり、取り付け空間も狭くて済み、精密な取り付け精度も必要とせずに実現することができる。
【0056】
尚、突出部45は、電機子コイル6の漏れ磁界の影響を避けるため、できるだけ回転子1の軸心の近側に設けた方がよい。また、バイパス磁気回路を形成するための突出部として、磁極体を構成する1つの保磁部材だけを突出させて、単一極性の突出部を設けるようにしてもよい。
【0057】
[第7の実施例]
次に、本発明の第7の実施例について、図10を参照して説明する。尚、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。
【0058】
回転子1の回転子鉄心9に埋設される磁極体49は、次のようにして構成されている。磁石用磁性体50は、第1の実施例で示した磁石用磁性体14と同様にして形成されている。保磁部材51は、方向性珪素鋼板が積層されて、磁石用磁性体50の磁極面と同面積の磁極面を有する直方体形状に形成されている。このとき、方向性珪素鋼板は、その圧延された鋼板面方向が、磁石用磁性体50の磁極面に垂直になるようにして、磁極体49が磁化された磁石49’(磁極体49を磁石49’と読み替える)を回転子鉄心9の挿入孔12へ挿入する方向と平行になるように積層されている。
【0059】
そして、磁石用磁性体50は、その両側の磁極面が2つの保磁部材51の夫々一方側の磁極面で挟まれるようにして、紫外線硬化型接着剤23(図5参照)で接合されており、このようにして磁極体49が構成されている。
【0060】
このような構成によれば、積層された方向性珪素鋼板には、圧延された鋼板面方向には磁界を通し易くし、圧延鋼板の積層方向には磁界を通しにくくする性質があるので、図示は省略するが、この磁石49’が埋設された回転子1を装着した回転機2の電機子4のq軸インダクタンス成分を低減し、d軸インダクタンス成分を増加させることができる。これにより、q軸インダクタンス成分が大きいときに発生するトルク脈動による振動、騒音を抑制することができる。
【0061】
[第8の実施例]
次に、本発明の第8の実施例について、図11を参照して説明する。尚、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。
【0062】
回転子1の回転子鉄心9に埋設される磁極体52は、次のようにして構成されている。磁石用磁性体53は、第1の実施例で示した磁石用磁性体14と同様にして形成されているが、磁極体52が磁化された磁石52’(磁極体52を磁石52’と読み替える)を回転子鉄心9の挿入孔12へ挿入する方向と垂直な方向の磁極面の幅は、挿入孔12の幅よりも狭くなるように形成されている。保磁部材54は、回転子鉄心9の圧延鋼板の積層方向の長さと同等の幅をもつ方向性珪素鋼板が、磁石用磁性体53の磁極面を覆うように巻回されて形成されている。このようにして、磁極体52が構成されている。
【0063】
このような構成によれば、図示は省略するが、磁石52’が埋設された回転子1を装着した回転機2の電機子4のd軸インダクタンス成分を低減し、q軸インダクタンス成分を増加させることができる。これにより、リラクタンストルクが大きくなるので、電機子コイル6に流す電流の位相を最適な進み角に制御することによって、リラクタンストルクとマグネットトルクとの総合トルクを大きくして、回転効率を上げることができる。また、この巻回型の磁極体52は、製造が容易であり、方向性珪素鋼板の巻回時に積層面間の間隔を広げるように調整することにより、d軸インダクタンスをさらに低減させて、リラクタンストルクを増大させることができる。
【0064】
[第9の実施例]
次に、本発明の第9の実施例について、図12(a),(b)を参照して説明する。尚、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。
【0065】
回転子1の回転子鉄心9に埋設される磁極体55は、次のようにして構成されている。磁石用磁性体56及び保磁部材57は、第1の実施例で示した磁石用磁性体14及び保磁部材15と同様にして形成されているが、夫々の磁極面間の距離は、磁石用磁性体14及び保磁部材15よりも長くなるように形成されている。そして、1つの磁石用磁性体56と1つの保磁部材57との磁極面同志が、紫外線硬化型接着剤23(図5参照)で接合されて、磁極体55が構成されている。
【0066】
この磁極体55には、次のようにしてスキュー着磁が施されている。
まず、磁極体55は、着磁装置16の電磁石ヨーク部17の2つの対向する端面間の中央部に、電磁石ヨーク部17の端面に対して、磁極体55の磁極面が斜めに挟み込まれるようにして装着され、この状態で着磁が行われることにより、図12(b)に示すように、磁極体55の磁極面上の中央部に平行四辺形形状の磁極が生成される。
【0067】
次に、磁極体55の着磁されていない両側端部の三角形形状部分の磁極面が、片側づつ、2つの電磁石ヨーク部17に挟み込まれて装着され、この状態で磁極体55の中央部に着磁された磁極とは逆性磁極の着磁が行われることにより、磁極体55の磁極面の両側端部には、磁極面中央部とは逆性磁極の三角形形状の磁極が生成される。このようにして、スキュー着磁が施された磁石55’(磁極体55を磁石55’と読み替える)が生成される。
【0068】
このような構成によれば、磁石55’が埋設された回転子1から発生する磁界の分布にスキュー特性を持たせることができるので、この回転子1を装着した回転機2(図示せず)は、トルク脈動による振動、騒音を抑制することができる。また、磁極体55は形状が単純なため、スキュー着磁を簡単に行うことができる。
【0069】
[第10の実施例]
次に、本発明の第10の実施例について、図13を参照して説明する。尚、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。
【0070】
回転子1の回転子鉄心9に埋設される磁極体58は、次のようにして構成されている。磁石用磁性体59は、第8の実施例で示した磁石用磁性体53と同様にして形成されている。保磁部材60は、長方形状の方向性珪素鋼板が積層されて形成されている。この長方形状の方向性珪素鋼板には、磁極体58が磁化された磁石58’(磁極体58を磁石58’と読み替える)を回転子鉄心9の挿入孔12へ挿入する方向に垂直な磁石用磁性体59の面と同形の長方形状の穴が開けられており、この方向性珪素鋼板が、回転子鉄心9の圧延鋼板の積層方向の長さと同等になるように積層されている。そして、保磁部材60の穴に磁石用磁性体59が挿入されて、磁極体58が構成されている。
【0071】
この磁極体58に、第9の実施例と同様にしてスキュー着磁が施されることにより、磁石58’が生成される。そして、この磁石58’は、保磁部材60の方向性珪素鋼板の積層方向が、磁石58’を回転子鉄心9の挿入孔12へ挿入する方向と同じになるようにして、回転子鉄心2に埋設されており、このようにして回転子1が構成されている。
【0072】
このような構成によれば、方向性珪素鋼板を積層させて保磁部材59を形成するようにして磁極体58を構成しても、スキュー着磁を行うことができる。従って、図示は省略するが、この回転子1を装着した回転機2は、スキュー特性による効果と、リラクタンストルク成分の調整による効果が得られ、非常に安定した回転特性を得ることができる。
【0073】
[第11の実施例]
次に、本発明の第11の実施例について、図14を参照して説明する。尚、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。
回転子1の回転子鉄心9に埋設される磁極体61は、次のようにして構成されている。磁石用磁性体62は、第8の実施例で示した磁石用磁性体53と同様にして形成されている。
【0074】
保磁部材63は、以下のような菱形形状をなしている。磁極体61が磁化された磁石61’(磁極体61を磁石61’と読み替える)を回転子鉄心9の挿入孔12へ挿入する方向に対して垂直な面は、平行四辺形状に形成されており、同方向に対して垂直な方向の磁極面の幅は、磁石用磁性体62の磁極面の幅と同等に形成されている。また、磁石61’を挿入孔12へ挿入する方向に対する保磁部材63の長さは、回転子鉄心9の圧延鋼板の積層方向の長さの半分になるように形成されている。そして、同形状の2つの保磁部材63が、夫々の平行四辺形状の面の鋭角部と鈍角部が接するようにして、磁石用磁性体62の一方側の磁極面に、紫外線硬化型接着剤23(図5参照)で接合されている。
【0075】
磁石用磁性体62のもう一方側の磁極面に装着する保磁部材64は、第1の実施例で示した保磁部材15と同様にして形成されており、磁石用磁性体62のもう一方側の磁極面に、紫外線硬化型接着剤23(図5参照)で接合されている。このようにして、磁極体61が構成されている。
この磁極体61が磁化された磁石61’は、菱形形状の保磁部材63に生成された磁極が回転子鉄心9の外周方向に向けられるようにして、回転子鉄心9の挿入孔12に埋設されており、このようにして回転子1が構成されている。
【0076】
このとき、菱形形状の2つの保磁部材63は、それぞれの平行四辺形の面の鋭角部と鈍角部とが接するようにして磁石用磁性体62に接合されているので、夫々の磁極が生成された磁極面は、回転子1軸心と平行な方向に対して、回転子1の円周方向にずれるように配置されている。従って、この磁石61’が埋設された回転子1から発生する磁界の分布は、回転子1軸心と平行な方向に対して、回転子1軸心の円周方向に偏りのある磁界分布となり、これによってスキュー効果を得ることができる。
【0077】
尚、菱形形状の保磁部材を3つ以上の複数にして、保磁部材によって形成される磁石の磁極面を回転子1軸心と平行な方向に対して、段階的にずらすようにして磁極体を構成してもよく、その場合には、回転子1から発生する磁界の強度分布を、回転子1軸心と平行な方向に対して、回転子1軸心の円周方向になだらかに変化させることができ、スキュー効果を高めることができる。また、菱形形状の複数の保磁部材の代わりに、保磁部材を1つにして、保磁部材の磁極が発生する側の磁極面が、回転子1軸心と平行な方向に対して、連続的にずれるように形成して磁極体を構成してもよく、その場合も、同様のスキュー効果を得ることができる。
【0078】
尚、本発明は、上記し、且つ図面に示す実施例にのみ限定されるものではなく、次のような変形、拡張が可能である。
本発明の第4の実施例では、保磁部材32にピン孔35を設け、ピン36で磁石用磁性体31と保磁部材32とを固定するようにしたが、ピン孔35の代わりにネジ穴を設け、ボス等のネジで磁石用磁性体31を保磁部材32に固定するようにしてもよく、また、保磁部材32にピン孔35を設けないで、挿入孔33の内側の磁極面壁に突起部を設け、磁石用磁性体31を保磁部材32の挿入孔33に圧入して、この突起部で磁石用磁性体31を押圧して固定するようにしてもよい。
【0079】
本発明の第5の実施例では、2つの保磁部材39の突端部40は、溶接により接合するようにしたが、ろう付けによる接合でもよい。更に、図示はしないが、磁石用磁性体38と保磁部材39との接合は、紫外線硬化型接着剤により接合するようにしてもよく、また、保磁部材39に溝を設けて、クランプ片等の狭着部材によって接合するようにしてもよい。
本発明の第2、6、7、9及び11の実施例では、磁石用磁性体と保磁部材とを接合させるときに紫外線硬化型接着剤23を使用したが、接着強度の強い接着材を使用してもよい。
【0080】
本発明の実施例では、磁石を回転子鉄心の内部に埋設する埋込型の永久磁石形回転子について説明したが、磁石を回転子鉄心の表面に張り付ける表面型の永久磁石形回転子に適用してもよい。
本発明の実施例では、磁極体の形状を直方体形状に形成するようにしたが、磁極体の形状は任意に形成すればよく、例えば、円弧状に形成してもよい。
本発明の実施例では、4極形の永久磁石形回転子について説明したが、任意の極数の永久磁石形回転子に適用してよい。
本発明の実施例では、三相同期回転機について説明したが、単相同期回転機に適用してもよい。
【0081】
【発明の効果】
以上の記述で明らかなように、本発明の永久磁石形回転子は、磁石用磁性体の少なくとも一方の磁極面に保磁部材を接合して磁極体を構成し、この磁極体の磁極面間の距離を長くすることにより、磁極体を単体で着磁する際の減磁作用を減少させて、磁力の大きな磁石を作ることができ、この磁石を装着した永久磁石形回転子から発生する磁力を大きくすることができるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す永久磁石形回転子の斜視図
【図2】回転機の断面図
【図3】着磁装置の断面図
【図4】磁性物体の構成図
【図5】本発明の第2の実施例を示す図1相当図
【図6】本発明の第3の実施例を示す図1相当図
【図7】本発明の第4の実施例を示す図1相当図
【図8】本発明の第5の実施例を示す図1相当図
【図9】本発明の第6の実施例を示す回転機の横断面図
【図10】本発明の第7の実施例を示す図1相当図
【図11】本発明の第8の実施例を示す図1相当図
【図12】本発明の第9の実施例を示す磁極体の斜視図及びその着磁方法を示す図
【図13】本発明の第10の実施例を示す図1相当図
【図14】本発明の第11の実施例を示す図1相当図
【符号の説明】
図面中、1は回転子(永久磁石形回転子)、2は回転機(三相同期回転機)、4は電機子、9は回転子鉄心、11はシャフト、13,24,25,30,37,41,49,52,55,58は磁極体(磁石)、14,26,31,38,48,50,53,56,59,62は磁石用磁性体、15,27,32,39,43,51,54,57,60,63,64は保磁部材、23は紫外線硬化型接着剤、28はクランプ片(狭着部材)、33は挿入孔、35はピン孔、36はピン、46は間隔調整部材、47はホールICを示す。
Claims (9)
- 磁石用磁性体の少なくとも一方の磁極面に、高透磁率材からなる保磁部材を接合して着磁された磁極体を回転子鉄心に設けるようにしたことを特徴とする永久磁石形回転子。
- 磁石用磁性体と保磁部材とが接着剤により接合されていることを特徴とする請求項1記載の永久磁石形回転子。
- 磁石用磁性体と保磁部材とが狭着部材により接合されていることを特徴とする請求項1記載の永久磁石形回転子。
- 磁石用磁性体は、保磁部材に挿入されて固定されていることを特徴とする請求項1記載の永久磁石形回転子。
- 保磁部材は、磁石用磁性体を囲む形状を為し、且つ分割可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の永久磁石形回転子。
- 保磁部材の少なくとも一部が回転子鉄心の外部まで突出して装着されていることを特徴とする請求項1記載の永久磁石形回転子。
- 保磁部材は、方向性珪素鋼板を積層して構成されていることを特徴とする請求項1記載の永久磁石形回転子。
- 磁極体は、スキュー着磁により磁極体の磁極面の一部に逆性磁極が付帯されていることを特徴とする請求項1記載の永久磁石形回転子。
- 保磁部材端部の形状は、回転子鉄心の軸心から回転子鉄心外周方向に向かって前記軸心と平行な方向に段階的又は連続的に変化していることを特徴とする請求項1記載の永久磁石形回転子。
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