JP3745742B2 - 射出成形機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機に係り、特に、二種類の樹脂及び二つの射出ユニットを使用し、サンドイッチ成形及び二材成形のいずれにも使用することが可能な射出成形機のノズルユニット部分の構造に係る。
【0002】
【従来の技術】
サンドイッチ成形及び二材成形では、いずれも二種類の樹脂が使用される。これらの方法に使用される射出成形機は、二つの射出ユニットが必要になるので高価なものになる。そのため、成形品の製造コストに占める装置費用の割合が高く、それが成形品の製造コストを押し上げる要因となっている。しかし、これまで、サンドイッチ成形と二材成形は、それぞれ専用の射出成形機を使用して行われていた。
【0003】
なお、通常、二材成形の目的は、必要な部位に必要な機能を付与するという機能形成にあり、これに対して、サンドイッチ成形の目的は、コアに廃棄プラスチックを使用するような環境対策や、大型部品のコアに発泡樹脂を使用するような軽量化などである。このように、それぞれの方法が使用される目的が互いに異なるので、使用される樹脂の組み合わせも異なる場合が多かった。
【0004】
しかし、近年、サンドイッチ成型が、スキン層とコア部にそれぞれ必要な機能を付与することを目的に行われるケースも増え、同じ組み合わせの樹脂を用いて、サンドイッチ成形及び二材成形の双方が行われることも珍しくなくなって来た。
【0005】
特開平7−227878号公報には、サンドイッチ成形と二材成形の双方に使用することができる「射出ユニット」が記載されている。図3に、その概要を示す。
【0006】
この射出ユニットは、二つのノズル(サンドイッチノズル61及びコア材ノズル62)を備えている。サンドイッチノズル61の内部には、更にサブノズル63が組み込まれている。射出ユニットの内部には、スキン材流路64、コア材流路65、及びコア材流路65の下流側につながる流路を切り替えるための開閉弁66などが設けられている。
【0007】
スキン材は、第一シリンダ67から、スキン材流路64を介してサンドイッチノズル61に導入される。サンドイッチ成形の際、コア材は、第二シリンダ68からコア材流路65及び開閉弁66を通って、サブノズル63の中に導入される。これに対して、二材成形(2色成形)の際には、開閉弁66が切り替えられ、それによって、コア材は、第二シリンダ68からコア材流路65及び開閉弁66を通って、コア材ノズル62に導入される。
【0008】
上記の射出ユニットでは、内部に開閉弁66を組み込む必要があるので、構造が複雑になり、サイズも大きくなると言う問題があった。更に、その結果、当該射出ユニットのノズル部が装着される相手方の部材(即ち、型締装置の固定盤)に、大きな開口部を設けなければならないと言う問題もあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような従来の射出成形機の問題点に鑑み成されたもので、本発明の目的は、サンドイッチ成形と二材成形に兼用することが可能で、且つ従来の装置と比べて簡素な構造を備えた射出成形機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の射出成形機は、
第一ノズル及び第二ノズルを有するノズルユニット、第一射出ユニット、第二射出ユニット、及び第二射出ユニットとノズルユニットの接続部に挿入された流路組換ユニットを備えた射出成形機であって、
前記流路組換ユニットは、第二射出ユニットの吐出口に接続される入口ポート、及び二つの出口ポートを備え、
前記ノズルユニットは、
第一射出ユニットの吐出口に接続される第一ポートと、
前記流路組換ユニットの出口ポートの一方に接続される第二ポートと、
前記流路組換ユニットの出口ポートの他方に接続される第三ポートと、
第一ポートと第一ノズルの間を結ぶ第一流路と、
第二ポートと第一ノズルの間を結び、第一ノズルの直前で第一流路に合流する第二流路と、
第三ポートと第二ノズルの間を結ぶ第三流路とを備え、
第一流路と第二流路の合流点の手前の部分において、第二流路が第一ノズルの中心軸上に設けられるとともに、第一流路が第二流路の周囲を取り囲む環状の流路として形成され、
サンドイッチ成形を行うときは、前記流路組換ユニットを介して第二射出ユニットの吐出口を第二ポートにつなげ、第一の樹脂を、第一射出ユニットから第一ポート、第一流路及び第一ノズルを経て金型内に射出するとともに、第二の樹脂を、第二射出ユニットから第二ポート、第二流路、前記合流点及び第一ノズルを経て金型内に射出し、
二材成形を行うときは、前記流路組換ユニットを介して第二射出ユニットの吐出口を第三ポートにつなげ、第一の樹脂を、第一射出ユニットから第一ポート、第一流路及び第一ノズルを経て金型内に射出するとともに、第二の樹脂を、第二射出ユニットから第三ポート、第三流路及び第二ノズルを経て金型内に射出するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の射出成形機によれば、上記のように、第二射出ユニットとノズルユニットの接続部に流路組換ユニットを挿入し、第二射出ユニットの吐出口の接続先を第二ポートと第三ポートの間で切り替えることによって、サンドイッチ成形及び二材成形の双方を行うことができる。
【0012】
例えば、前記流路組換ユニットを、ユニット本体と二つのプラグを用いて構成することができる。その場合、ユニット本体には、一方の側面から他方の側面に到る貫通孔状のプラグ室、並びに、このプラグ室につながる入口ポート及び二つの出口ポートが形成され、二つのプラグは、ユニット本体の両側面からプラグ室内にそれぞれ挿入される。プラグ室の中で二つのプラグの位置を変えることにより一方のプラグの側面で一方の出口ポートを塞ぎ、それによって、内部の流路を切り替える。流路組換ユニットをこのように構成することによって、その構造を簡素化することができる。
【0013】
好ましくは、前記流路組換ユニットを、内部で樹脂の滞留が生じにくいように構成する。例えば、前記流路組換ユニットを、前記プラグ室の中で前記二つのプラグの挿入深さ及び回転角度を変えることにより内部の流路を切り替えるように構成するとともに、前記二つのプラグの先端面を適切な曲面で形成することによって、内部の流路内に入隅部が形成されることを避けることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明に基づく射出成形機の一例を示す。
【0015】
図中、10はノズルユニット、30は第一の射出ユニット、40は第二の射出ユニット、11は第一ノズル、12は第二ノズル、13は第一ポート、14は第二ポート、15は第三ポート、16は第一流路、17は第二流路、18は第三流路、19は合流点、50は流路組換ユニット、53は入口ポート、54は第一の出口ポート、55は第二の出口ポートである。
【0016】
ノズルユニット10は、先端側に第一ノズル11及び第二ノズル12を備え、後端側に、第一ポート13、第二ポート14及び第三ポート15を備えている。ノズルユニット10の内部には、3本の流路16〜18が形成されている。第一流路16は、第一ポート13と第一ノズル11の間を結んでいる。第二流路17は、第二ポート14と第一ノズル11の間を結び、第一ノズル11の直前で第一流路16に合流している。第三流路18は、第三ポート15と第二ノズル12の間を結んでいる。
【0017】
更に具体的には、第一ノズル11の後方に、第一ノズル11の中心軸と同軸上に、大径の孔23が形成され、この孔23の中にサブノズル24が収容されている。孔23の内周面とサブノズル24の外周面の間には環状の空間が形成され、この環状の空間によって第一流路16が構成されている。サブノズル24の内部には、第一ノズル11の中心軸と同軸の孔が形成され、この孔によって第二流路17の下流部分が構成されている。孔23及びサブノズル24は、先端側で円錐状に径が絞られ、第一ノズル11の直前で、第二流路17が第一流路16に合流している(合流点19)。第二流路17は、サブノズル23の途中で折れ曲がってその側面から抜け出し、ノズルボディ21の中につながっている。第二流路17の上流部分は、ノズルボディ21の中を通り、第二ポート14につながっている。
【0018】
第一射出ユニット30の吐出口31は、第一ポート13に接続される。第二射出ユニット40とノズルユニット10の接続部には、流路組換ユニット50が挿入されている。この流路組換ユニット50の入口ポート53は、第二射出ユニット40の吐出口41に接続され、第一の出口ポート54は、ノズルユニット10の第二ポート14に接続され、第二の出口ポート55は、ノズルユニット10の第三ポート15に接続される。
【0019】
図2に、流路組換ユニット50の構造の詳細を示す。
【0020】
この流路組換ユニット50の主要部は、ユニット本体51と二つのプラグ57、58から構成されている。
【0021】
ユニット本体51には、一方の側面から他方の側面に到る貫通孔が形成され、この貫通孔がプラグ室52を構成している。入口ポート53及び二つの出口ポート54、55は、それぞれ、このプラグ室52につながっている。具体的には、入口ポート53は、ユニット本体51の背面側(図では上面側)に設けられ、プラグ室52(貫通孔)に対して垂直に形成されている。二つの出口ポート54、55は、ユニット本体51の前面側(図では下面側)に設けられ、プラグ室52(貫通孔)に対して垂直に形成されている。二つの出口ポート54、55は、入口ポート53を間に挟んで入口ポート53から等距離の位置に配置されている。
【0022】
プラグ室52の中には、二つのプラグ56、57がユニット本体51の両側面からそれぞれ挿入されている。各プラグ56、57の後端部は、それぞれ、アタッチメント58、59を介してユニット本体51に固定されている。アタッチメント58、59を取り替えることによって、各プラグ56、57の挿入深さ及び回転角度を調整することができる。プラグ室52の中で二つのプラグ56、57の挿入深さ及び回転角度を変えることにより、一方のプラグ(56、57)の側面で一方の出口ポート(54、55)を塞ぎ、それによって、内部の流路が切り替えられる。
【0023】
更にこの例では、二つのプラグ56、57の先端面を曲面で形成することにより、内部の流路内に入隅部が形成されないようにしている。二つのプラグ56、57の先端面の形状をこのように設計することによって、流路組換ユニット50の内部での樹脂の滞留を防止することができる。
【0024】
サンドイッチ成形を行うときは、図1に示すように、流路組換ユニット50を介して第二射出ユニット40の吐出口41を第二ポート14に接続する。この状態で、第一の樹脂(スキン材)を、第一射出ユニット30から第一ポート13、第一流路16及び第一ノズル11を経て金型(図示せず)内に射出するとともに、第二の樹脂(コア材)を、第二射出ユニット40から第二ポート14、第二流路17、前記合流点19及び第一ノズル11を経て金型内に射出する。
【0025】
二材成形を行うときは、流路組換ユニット50を介して、第二射出ユニット40の吐出口41を第三ポート15に接続する。その状態で、第一の樹脂を、第一射出ユニット30から第一ポート13、第一流路16及び第一ノズル11を経て金型内に射出する。これと並行させて、第二の樹脂を、第二射出ユニット40から第三ポート15、第三流路18及び第二ノズル12を経て金型内に射出する。
【0026】
次に、サンドイッチ成形の具体的な手順について説明する。
【0027】
先ず、流路組換ユニット50を操作して入口ポート53と第一の出口ポート54をつなぎ、これによって、第二射出ユニット40の吐出口41を第二ポート14につなげる。なお、このとき、第三ポート15は、流路組換ユニット50で塞がれることになる。その状態で、第一射出ユニット30のみを作動させ、第一の樹脂(スキン材)を、第一ポート13、第一流路16、合流点19を経て、第一ノズル11から金型内に送り込む。これによって、スキン層の形成が開始される。
【0028】
スキン層を形成するのに十分な量の第一の樹脂が金型内に貯えられた後、第一の樹脂の射出を継続したまま(または中断して)、第二射出ユニット40を作動させ、第二の樹脂を、第二ポート14、第二流路17、合流点19を経て、第一ノズル11の中心部から金型内に送り込む。これによって、コア部の形成が開始される。
【0029】
金型内への樹脂の充填が完了する直前に、第二射出ユニット40の作動を停止させ、第一射出ユニット30のみを作動させて、第一の樹脂を金型内に送り込む。これによって、全表面がスキン層で覆われたサンドイッチ成形体が製造される。
【0030】
【発明の効果】
本発明の射出成形機によれば、サンドイッチ成形及び二材成形を一つの装置を用いて実施することができる。本発明の射出成形機の主要部を構成するノズルユニットは、流路を切り換えるための弁を内部に組み込む必要がないので、構造が比較的シンプルであり、外形寸法を小さく抑えることができる。また、その結果、型締装置の固定盤のノズルユニットが装着される部分に、大きな開口部を設ける必要がなくなるので、標準的な固定盤(単一樹脂の射出成形の際に使用されるもの)を使用してサンドイッチ成形及び二材成形を行うことできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の射出成形機の一例を示す図。
【図2】 本発明の射出成形機で使用される流路組換ユニットの構造を示す図。
【図3】 従来の射出成形機の一例を示す図。
【符号の説明】
10…ノズルユニット、11…第一ノズル、12…第二ノズル、13…第一ポート、14…第二ポート、15…第三ポート、16…第一流路、17…第二流路、18…第三流路、19…合流点、21…ノズルブロック、23…孔、24…サブノズル、30…第一射出ユニット、31…吐出口、40…第二射出ユニット、41…吐出口、50…流路組換ユニット、51…ユニット本体、52…プラグ室(貫通孔)、53…入口ポート、54…第一の出口ポート、55…第二の出口ポート、56…第一のプラグ、57…第二のプラグ、58、59…アタッチメント、61…サンドイッチノズル、62…コア材ノズル、63…サブノズル、64…スキン材流路、65…コア材流路、66…開閉弁、67…第一シリンダ、68…第二シリンダ。
Claims (1)
- 第一ノズル及び第二ノズルを有するノズルユニット、第一射出ユニット、第二射出ユニット、及び第二射出ユニットとノズルユニットの接続部に挿入された流路組換ユニットを備え、
前記流路組換ユニットは、第二射出ユニットの吐出口に接続される入口ポート、及び二つの出口ポートを備え、
前記ノズルユニットは、第一射出ユニットの吐出口に接続される第一ポートと;前記流路組換ユニットの出口ポートの一方に接続される第二ポートと;前記流路組換ユニットの出口ポートの他方に接続される第三ポートと;第一ポートと第一ノズルの間を結ぶ第一流路と;第二ポートと第一ノズルの間を結び、第一ノズルの直前で第一流路に合流する第二流路と;第三ポートと第二ノズルの間を結ぶ第三流路と;を備え、
第一流路と第二流路の合流点の手前の部分において、第二流路が第一ノズルの中心軸上に設けられるとともに、第一流路が第二流路の周囲を取り囲む環状の流路として形成され、
サンドイッチ成形を行うときは、前記流路組換ユニットを介して第二射出ユニットの吐出口を第二ポートにつなげ、第一の樹脂を、第一射出ユニットから第一ポート、第一流路及び第一ノズルを経て金型内に射出するとともに、第二の樹脂を、第二射出ユニットから第二ポート、第二流路、前記合流点及び第一ノズルを経て金型内に射出し、
二材成形を行うときは、前記流路組換ユニットを介して第二射出ユニットの吐出口を第三ポートにつなげ、第一の樹脂を、第一射出ユニットから第一ポート、第一流路及び第一ノズルを経て金型内に射出するとともに、第二の樹脂を、第二射出ユニットから第三ポート、第三流路及び第二ノズルを経て金型内に射出するように構成された射出成形機であって、
前記流路組換ユニットは、ユニット本体及び二つのプラグを備え、
ユニット本体には、前記入口ポート及び前記二つの出口ポートが形成されるとともに、前記入口ポート及び前記二つの出口ポートにつながり、一方の側面から他方の側面に到る貫通孔状のプラグ室が形成され、
二つのプラグは、先端面が曲面で形成され、ユニット本体の両側面からプラグ室内にそれぞれ挿入され、プラグ室の中で前記二つのプラグの挿入深さ及び回転角度を変えることにより一方のプラグの側面で前記二つの出口ポートの一方を塞ぎ、それによって、前記流路組換ユニットの内部の流路を、流路内に入隅部が形成されることなく切り替えるように構成されていることを特徴とする射出成形機。
Priority Applications (1)
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JP2003103123A JP3745742B2 (ja) | 2003-04-07 | 2003-04-07 | 射出成形機 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003103123A JP3745742B2 (ja) | 2003-04-07 | 2003-04-07 | 射出成形機 |
Publications (2)
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JP2004306427A JP2004306427A (ja) | 2004-11-04 |
JP3745742B2 true JP3745742B2 (ja) | 2006-02-15 |
Family
ID=33466369
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003103123A Expired - Lifetime JP3745742B2 (ja) | 2003-04-07 | 2003-04-07 | 射出成形機 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3745742B2 (ja) |
-
2003
- 2003-04-07 JP JP2003103123A patent/JP3745742B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
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JP2004306427A (ja) | 2004-11-04 |
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