JP3744809B2 - 男性用尿とりパッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、男性用尿とりパッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平9−38127号公報は、透液性内面シートと、不透液性外面シートと、それらシートの間に介在する吸液性コアとから構成され、上端縁から下端縁へ向かって縦方向へ延びるペニス挿入用の凹欠部を有する男性用尿とりパッドを開示している。このパッドをペニスに装着する手順は、以下のとおりである。
【0003】
パッドの使用者は、ペニスを凹欠部からパッド内部に納めた後、凹欠部の両側に位置して縦方向へ延びる左右上部をペニスに巻き付けるように斜めに折曲して重ね合わせ、粘着テープで左右上部をペニスの周囲に固定する。次に、横方向へ延びる折曲部でパッドの下部を左右上部の側へ折曲するとともに、その折曲によって生じた左右隅部を左右上部の上となるように折曲してそれら隅部を重ね合わせる。このパッドでは、それらの折曲状態を維持するため、左隅部に形成された粘着域に右隅部を固着する。このパッドは、左右上部をペニスに巻き付けることによってそれをペニスに固定しているので、パッドがペニスから簡単に外れてしまうことがないという効果を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
同号公報に開示のパッドでは、それを装着した使用者がパッドの内部ではなく便器に排尿しようとする場合、パッドをペニスから取り外さなければならず、さらに、排尿後に再びパッドをペニスに取り付けなければならないので、手間を要する。
【0005】
本発明の課題は、パッドをペニスから取り外すことなく、着用者が便器に排尿することができる男性用尿とりパッドを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の前提は、透液性内面シートと、不透液性外面シートと、それらシートの間に介在する吸液性コアとから構成され、互いに重なり合う縦長の第1および第2側壁と、前記第1および第2側壁の間に形成されたペニス収容部と、前記第1側壁の横方向へ延びる上端縁近傍に形成されたペニス挿入部とを有して男性用パンツの内側に着脱可能に装着される男性用尿とりパッドである。
【0007】
かかる前提における本発明の特徴は、前記挿入部から前記収容部に収容されたペニスを前記パッドの外側へ出すための開口部が、前記第1および第2側壁の上端縁と前記第1および第2側壁の縦方向へ延びる一側縁上部とにかけての範囲に形成され、前記男性用パンツの前開き打合わせ部の間に挿入する翼部が、前記第1側壁の前記一側縁上部と前記第2側壁の前記一側縁上部とのうちの少なくとも一方に連接されて横方向外方へ延び、前記前開き打合わせ部に対する止着手段が、前記翼部の外面に形成され、前記パッドが前記パンツに止着された状態で、前記ペニスを前記パッドの前記開口部からその外側に出し、さらに、前記パンツの前開きから前記パンツの外側に露出させて排尿することにある。
【0008】
本発明の実施の態様の一例としては、前記男性用パンツの股間部に対する止着手段が、前記第2側壁の外面に形成されている。
【0009】
本発明の実施の態様の他の一例としては、前記翼部と前記第2側壁とに形成された前記止着手段が、それらの外面に塗布された粘着剤であり、前記粘着剤が、剥離紙に被覆保護されている。
【0010】
本発明の実施の態様の他の一例としては、前記ペニス挿入部が、前記第1側壁の上端縁近傍から下方へ向かって前記縦方向へ延びるスリットである。
【0011】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照し、本発明にかかる男性用尿とりパッドの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0012】
図1,2は、第1および第2翼部14,15を左右へ開いた状態で示すパッド1Aの部分破断斜視図と、開口部9の側から示すパッド1Aの斜視図とであり、図3,4は、図2のA−A線断面図と、パッド1Aに成形する以前の状態で示す展開平面図とである。図1,2および図4では、横方向を矢印Xで示し、縦方向を矢印Yで示す。図4では、右側壁5の側縁上部12aと左側壁6の側縁上部12bとを二点鎖線で示す。パッド1Aは、男性用パンツ23(図5参照)の内側に装着して使用するものである。
【0013】
パッド1Aは、透液性内面シート2と、不透液性外面シート3と、それらシート2,3の間に介在す吸液性コア4とから構成されている。パッド1Aは、互いに重なり合う右側壁5および左側壁6と、それら側壁5,6の間に形成されたペニス収容部7と、右側壁5に形成されたペニス挿入部8と、挿入部8から収容部7に収容されたペニスをパッド1Aの外側へ出すための開口部9とを有する。パッド1Aでは、外面シート3が内面シート2の外側に重なり、コア4が内面シート2と外面シート3とに接合されている。
【0014】
右側壁5と左側壁6とは、縦方向へ長い略矩形のもので、互いに並行して横方向へ延びる上下端縁10,11と、互いに並行して縦方向へ延びる両側縁12,13とを有する。それら側壁5,6は、下端縁11と側縁下部12cとにおいて固着されている。右側壁5の側縁上部12aには、横方向外方へ延びる第1翼部14が一連につながっている。左側壁6の側縁上部12bには、横方向外方へ延びる第2翼部15が一連につながっている。
【0015】
第1および第2翼部14,15は、右側壁5および左側壁6の側縁上部12a,12bから横方向外方へ延びる内面シート2と外面シート3とから形成されている。それら翼部14,15では、内面シート2と外面シート3とが互いに重なり合った状態で固着されている。
【0016】
左側壁6の外面には、粘着剤16が塗布されている。第1翼部14の外面と第2翼部15の外面とには、粘着剤18,19が塗布されている。それら粘着剤16,18,19は、剥離紙17,20,21に被覆保護されている。
【0017】
挿入部8は、内外面シート2,3を切り裂くことにより形成された所与寸法のスリット22である。挿入部8は、右側壁5の上端縁10近傍から下端縁11へ向かって縦方向へ延びている。
【0018】
開口部9は、右側壁5および左側壁6の上端縁10と上端縁10から続くそれら側壁5,6の側縁上部12a,12bとに形成されている。開口部9では、それら側壁5,6の上端縁10とそれら側壁5,6の側縁上部12a,12bとが互いに非固着の状態にある。開口部9は、第1および第2翼部14,15を互いに離間させる方向へ開くことによって口を開ける。
【0019】
図4の展開平面図からパッド1Aに成形するには、内面シート2が内側になるように、右側壁5および左側壁6の側縁13となる縦中心線Zで折曲し、それら側壁5,6の下端縁11と側縁下部12cとを固着する。
【0020】
図5は、図1のパッド1Aが装着された男性用パンツ23の斜視図であり、パンツ23の前開き24からパンツ23の外側に露出させたペニス28を二点鎖線で示す。このパッド1Aを男性用パンツ23に装着する手順は、以下のとおりである。
【0021】
パッド1Aの使用者は、剥離紙17を左側壁6から剥がして粘着剤16を露出させ、粘着剤16を介して左側壁6の外面をパンツ23の股間部25に貼付する。次に、剥離紙20を第1翼部14から剥がし、第1翼部14をパンツ23の前あき打合わせ部26,27の間に挿入するとともに、粘着剤18を介して第1翼部14の外面をパンツ23の前あき打合わせ部26に止着する。さらに、剥離紙21を第2翼部15から剥がし、第2翼部15をパンツ23の前あき打合わせ部26,27の間に挿入するとともに、粘着剤19を介して第2翼部15の外面をパンツ23の前あき打合わせ部27に止着する。
【0022】
パッド1Aが装着されたパンツ23では、挿入部8と開口部9とがパンツ23の前開き24に対向する。パッド1Aをパンツ23に装着した使用者は、パンツ23を着用するとともに、ペニス28を挿入部8に通した後、それを収容部7に納める。
【0023】
使用者は、ペニス28を開口部からパッド1Aがパンツ23に止着された状態でパッド1Aの外側に出し、さらに、それをパンツ23の前開き24からパンツ23の外側に露出させることにより便器に排尿することができる。排尿後は、ペニス28をパンツ23の前開き24からパンツ23内に納めるとともに、それをパッド1Aの収容部7に納める。
【0024】
このパッド1Aでは、使用者が便器に排尿する場合、パッド1Aをペニス28から取り外す必要はなく、パッド1Aを取り外すための手間を省くことができる。また、排尿後では、ペニス28をパッド1Aの収容部7に納めるだけでよいので、ペニス28に再びパッド1Aを取り付ける必要はなく、パッド1Aを取り付けるための手間を省くことができる。
【0025】
図6,7は、第1および第2翼部14,15を左右へ開いた状態で示す他の実施の形態のパッド1Bの部分破断斜視図と、開口部9の側から示すパッド1Bの斜視図とであり、図8は、図6のパッド1Bが装着された男性用パンツ23の斜視図である。このパッド1Bが図1のそれと異なる点は、以下のとおりである。
【0026】
パッド1Bでは、所与寸法のスリット22からなるペニス挿入部8が左側壁6に形成され、剥離紙17に被覆保護された粘着剤16が右側壁5の外面に塗布されている。
【0027】
このパッド1Bを男性用パンツ23に装着する手順は、以下のとおりである。パッド1Bの使用者は、剥離紙17を右側壁5から剥がして粘着剤16を露出させ、粘着剤16を介して右側壁5の外面をパンツ23の股間部25に貼付する。次に、右側壁5と第1翼部14とが互いに当接するように、第1および第2翼部14,15を右側壁5および左側壁6の側縁上部12a,12bにおいて折り曲げる。
【0028】
使用者は、剥離紙20を第1翼部14から剥がし、第1翼部14をパンツ23の前あき打合わせ部26,27の間に挿入するとともに、粘着剤18を介して第1翼部14の外面をパンツ23の前あき打合わせ部26に止着する。さらに、剥離紙21を第2翼部15から剥がし、第2翼部15をパンツ23の前あき打合わせ部26,27の間に挿入するとともに、粘着剤19を介して第2翼部15の外面をパンツ23の前あき打合わせ部27に止着する。パッド1Aをパンツ23に装着した使用者は、パンツ23を着用するとともに、ペニス28を挿入部8に通した後、それを収容部7に納める。
【0029】
使用者がペニス28にパッド1Bを装着した状態で便器に排尿する手順は、図5のそれと同一であるので、その説明は省略する。このパッド1Bでは、それをパンツ23に装着するときに、第1および第2翼部14,15を側縁上部12a,12bにおいて折り曲げるので、翼部14,15から側縁13までのパッド1Bの幅寸法を図1のパッド1Aのそれよりも小さくすることができ、パッド1Bの右側壁5および左側壁6の幅寸法を図1のパッド1Aのそれよりも大きくすることができる。
【0030】
それら図示例のパッド1A,1Bでは、右側壁5および左側壁6の側縁上部12a,12bに第1および第2翼部14,15が連接されているが、翼部が右側壁5の側縁上部12aと左側壁6の側縁上部12bとのいずれか一方に連接されていればよい。パッド1A,1Bでは、第1および第2翼部14,15がそれら側壁5,6に一連につながっているが、別部材からなる翼部をそれら側壁5,6の側縁上部12a,12bに取り付けることもできる。また、パッド1A,1Bでは、側壁5,6の外面に塗布された粘着剤16を省くこともできる。
【0031】
それらパッド1A,1Bでは、挿入部8を形成するスリット22の両側に帯状の伸縮性弾性部材を縦方向へ伸長状態で取り付けることもできる。スリット22の両側に弾性部材を取り付けたパッド1A,1Bでは、弾性部材の弾性を利用してペニス28を締め付けることができるので、パッド1A,1Bがペニス28から外れてしまうことを防ぐことができる。
【0032】
それらパッド1A,1Bでは、コア4が右側壁5および左側壁6の上端縁10近傍を除くそれら側壁5,6の残余領域に配置されているが、コア4がそれら側壁5,6の略全域と第1および第2翼部14,15とに配置されていてもよい。
【0033】
内面シート2には、親水性繊維不織布、または、微細な多数の開孔を有するプラスチックフィルムを使用することができる。外面シート3には、疎水性繊維不織布、不透液性のプラスチックフィルム、疎水性繊維不織布を重ね合わせた2層の不織布、疎水性繊維不織布にプラスチックフィルムを固着した複合シートのいずれかを使用することができる。
【0034】
外面シート3には、高い耐水性を有するメルトブローン法による繊維不織布を、高い強度を有しかつ柔軟性に富んだスパンボンド法による繊維不織布で挟んだ複合不織布を使用することもできる。
【0035】
不織布としては、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、スパンボンド、ケミカルボンド、エアースルー、の各製法により製造されたものを使用することができる。不織布の構成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、の各繊維、ポリエチレン/ポリプロピレン、または、ポリエチレン/ポリエステルからなる芯鞘型複合繊維または並列型複合繊維を使用することができる。
【0036】
コア4は、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子との混合物、または、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子と熱可塑性合成樹脂繊維との混合物であり、所要の厚みに圧縮されている。コア4は、ポリマー粒子の脱落や型崩れを防止するためにその全体がティッシュペーパーに被覆接合されていることが好ましい。ポリマー粒子としては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のものを使用することができる。
【0037】
表裏面シート2,3の固着やコア4の接合には、ホットメルト型接着剤、または、ヒートシールや超音波接合等の熱による溶着手段を使用することができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明にかかる男性用尿とりパッドによれば、その使用者がペニスをパッドの開口部からパッドがパンツに止着された状態でパッドの外側に出し、さらに、それをパンツの前開きからパンツの外側に露出させることにより便器に排尿することができるので、便器での排尿時にパッドをペニスから取り外したり、排尿後に再びパッドをペニスに取り付ける必要はなく、それらの手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1および第2翼部を左右へ開いた状態で示すパッドの部分破断斜視図。
【図2】 開口部の側から示す図1のパッドの斜視図。
【図3】 図1のA−A線断面図。
【図4】 パッドに成形する以前の状態で示す展開平面図。
【図5】 図1のパッドが装着された男性用パンツの斜視図。
【図6】 他の実施の形態のパッドの部分破断斜視図。
【図7】 開口部の側から示す図6のパッドの斜視図。
【図8】 図6のパッドが装着された男性用パンツの斜視図。
【符号の説明】
1A,1B 男性用尿とりパッド
2 透液性表面シート
3 不透液性裏面シート
4 吸液性コア
5 右側壁
6 左側壁
7 ペニス収容部
8 ペニス挿入部
9 開口部
10 上端縁
12a,12b 一側縁上部
14 第1翼部
15 第2翼部
16,18,19 粘着剤
17,20,21 剥離紙
22 スリット
23 男性用パンツ
26,27 前開き打合せ部
28 ペニス

Claims (4)

  1. 透液性内面シートと、不透液性外面シートと、それらシートの間に介在する吸液性コアとから構成され、互いに重なり合う縦長の第1および第2側壁と、前記第1および第2側壁の間に形成されたペニス収容部と、前記第1側壁の横方向へ延びる上端縁近傍に形成されたペニス挿入部とを有して男性用パンツの内側に着脱可能に装着される男性用尿とりパッドにおいて、
    前記挿入部から前記収容部に収容されたペニスを前記パッドの外側へ出すための開口部が、前記第1および第2側壁の上端縁と前記第1および第2側壁の縦方向へ延びる一側縁上部とにかけての範囲に形成され、前記男性用パンツの前開き打合わせ部の間に挿入する翼部が、前記第1側壁の前記一側縁上部と前記第2側壁の前記一側縁上部とのうちの少なくとも一方に連接されて横方向外方へ延び、前記前開き打合わせ部に対する止着手段が、前記翼部の外面に形成され、前記パッドが前記パンツに止着された状態で、前記ペニスを前記パッドの前記開口部からその外側に出し、さらに、前記パンツの前開きから前記パンツの外側に露出させて排尿することを特徴とする前記パッド。
  2. 前記男性用パンツの股間部に対する止着手段が、前記第2側壁の外面に形成されている請求項1記載のパッド。
  3. 前記翼部と前記第2側壁とに形成された前記止着手段が、それらの外面に塗布された粘着剤であり、前記粘着剤が、剥離紙に被覆保護されている請求項2に記載のパッド。
  4. 前記ペニス挿入部が、前記第1側壁の上端縁近傍から下方へ向かって前記縦方向へ延びるスリットである請求項1ないし請求項3いずれかに記載のパッド。
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