JP3743753B2 - ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩、その製造方法、分散剤及び合成高分子用帯電防止剤 - Google Patents

ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩、その製造方法、分散剤及び合成高分子用帯電防止剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規のペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩、その製造方法、該ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩から成る分散剤及び合成高分子用帯電防止剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、顔料、染料、農薬、更には乳化重合用の分散剤として、各種のアニオン性界面活性剤が使用されている。かかるアニオン性界面活性剤としては、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルナフタレンスルホン酸塩等の置換芳香族スルホン酸塩も知られている(特開平13−151604、特開平12−313824、特開平5−15762)。しかし、これら従来の置換芳香族スルホン酸塩には、これらのいずれもその置換基が炭化水素基であって親油性であるため、これらを分散剤として用いた塗料組成物、農薬組成物、更には乳化重合物に、分散性と同時に撥油性、防汚性、溶剤耐久性等の疎油性が要求される場合には、かかる要求に応えられないという問題がある。合成高分子用の帯電防止剤としても、炭化水素基を置換基とする置換芳香族スルホン酸塩が知られているが(特開平11−35777、特開平10−81830)、これらを帯電防止剤として用いた合成高分子材料に、帯電防止性と同時に撥油性、防汚性、非密着防止性等の疎油性が要求される場合には、前記の場合と同様、かかる要求に応えられないという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、疎油性が要求される場合でも、かかる要求に応える分散剤や帯電防止剤等として使用できる、新規のペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩及びその製造方法を提供する処にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決する本発明は、下記の式1で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩に係る。
【0005】
【式1】
Figure 0003743753
【0006】
式1において、
n:1〜7の整数
M:リチウム原子、ナトリウム原子又はカリウム原子
【0007】
また本発明は、前記のようなペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩の製造方法、該ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩から成る分散剤及び合成高分子用帯電防止剤に係る。
【0008】
式1で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩には、1)式1中のMがリチウムである場合の、リチウム=5−(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)−2−ナフタレンスルホナート、リチウム=5−(2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル)−2−ナフタレンスルホナート、リチウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)−2−ナフタレンスルホナート、リチウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロヘキシル)−2−ナフタレンスルホナート、リチウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル)−2−ナフタレンスルホナート、リチウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−テトラデカフルオロオクチル)−2−ナフタレンスルホナート、リチウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロノニル)−2−ナフタレンスルホナート、2)式1中のMがナトリウムである場合の、ナトリウム=5−(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)−2−ナフタレンスルホナート、ナトリウム=5−(2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル)−2−ナフタレンスルホナート、ナトリウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)−2−ナフタレンスルホナート、ナトリウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロヘキシル)−2−ナフタレンスルホナート、ナトリウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル)−2−ナフタレンスルホナート、ナトリウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−テトラデカフルオロオクチル)−2−ナフタレンスルホナート、ナトリウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロノニル)−2−ナフタレンスルホナート、3)式1中のMがカリウムである場合の、カリウム=5−(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)−2−ナフタレンスルホナート、カリウム=5−(2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル)−2−ナフタレンスルホナート、カリウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)−2−ナフタレンスルホナート、カリウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロヘキシル)−2−ナフタレンスルホナート、カリウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル)−2−ナフタレンスルホナート、カリウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−テトラデカフルオロオクチル)−2−ナフタレンスルホナート、カリウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロノニル)−2−ナフタレンスルホナートが含まれる。
【0009】
式1で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩は、各種の方法で製造できるが、好ましい製造方法としては、下記の第1工程、第2工程及び第3工程を経る製造方法が挙げられる。
第1工程:ナフタレンと90〜100%の濃度の硫酸とを、反応温度140〜170℃でスルホン化反応させてナフタレンスルホン酸を生成させる工程。
第2工程:第1工程で生成させたナフタレンスルホン酸と下記の式2で示されるペルフルオロアルキルアルコールとを、酸触媒を用い、0〜150℃の温度下でペルフルオロアルキル化反応させて、下記の式3で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸を生成させる工程。
第3工程:第2工程で生成させたペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸とアルカリとを、アルコール水溶液中で中和反応させて、ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩を生成させる工程。
【0010】
【式2】
Figure 0003743753
【式3】
Figure 0003743753
【0011】
式3において、
n:1〜7の整数
【0012】
第1工程では、ナフタレンと硫酸とをスルホン化反応させてナフタレンスルホン酸を生成させる。ここでは、硫酸として90〜100%の濃度のものを用いる。ナフタレンと硫酸との仕込み割合は、通常はナフタレン/硫酸=25/75〜60/40(モル比)とするが、30/70〜50/50(モル比)とするのが好ましい。またスルホン化反応は140〜170℃の温度下で行なうが、150〜160℃の温度下で行なうのが好ましい。ナフタレンスルホン酸の生成は、高速液体クロマトグラフィーによる分析で確認できる。かかる第1工程では、生成させたナフタレンスルホン酸を含有する反応液が得られるが、これをそのまま第2工程へ供することができる。
【0013】
第2工程では、第1工程で生成させたナフタレンスルホン酸と式2で示されるペルフルオロアルキルアルコールとをペルフルオロアルキル化反応させて式3で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸を生成させる。ナフタレンスルホン酸とペルフルオロアルキルアルコールとの仕込み割合は、通常はナフタレンスルホン酸/ペルフルオロアルキルアルコール=25/75〜60/40(モル比)とするが、30/70〜50/50(モル比)とするのが好ましい。第2工程では、ペルフルオロアルキル化反応に際し、酸触媒を用いる。かかる酸触媒としては、無水塩化アルミニウム、無水塩化亜鉛、三弗化ホウ素、弗化水素酸、硫酸等が挙げられるが、なかでも無水塩化アルミニウムが好ましい。酸触媒の使用量は、通常はペルフルオロアルキルアルコール1モルに対し0.0001〜2モルの割合とする。またペルフルオロアルキル化反応は0〜150℃の温度下で行なうが、25〜80℃の温度下で行なうのが好ましい。ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸の生成は、高速液体クロマトグラフィーによる分析で確認できる。かかる第2工程では、生成させたペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸を含有する反応液が得られるが、これをそのまま第3工程へ供することができる。
【0014】
第3工程では、第2工程で生成させたペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸とアルカリとをアルコール水溶液中で中和反応させてペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩を生成させる。中和反応におけるアルカリの使用量は、通常は第2工程で生成させたペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸を含有する反応液の酸価の1〜1.1当量に相当する量とする。かかるアルカリとしては、式1中のMで示される原子の水酸化物、炭酸塩、アルコラート等が挙げられる。これには例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リチウムエチラート、ナトリウムエチラート、カリウムエチラート等が挙げられる。中和反応は、通常は第2工程で生成させたペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸を含有する反応液を、アルカリを溶解したアルコール水溶液に攪拌下に投入し、0〜90℃の温度下で行なう。かくして式1で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩が生成する。式1で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩の純品は、以上説明した第3工程で得られる反応液から分離し、精製することにより得られる。例えば、先ず反応液から、副生した硫酸ナトリウムを濾別して、ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩を含有する濾液を得る。次に、この濾液から、溶媒を減圧留去して、固形分を得る。最後に、この固形分を再結晶やカラムクロマトで精製することにより、ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩の純品を得る。
【0015】
式1で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩の他の好ましい製造方法としては、下記のA工程、B工程及びC工程を経る製造方法が挙げられる。
A工程:ナフタレンと式2で示されるペルフルオロアルキルアルコールとを、酸触媒を用い、0〜150℃の温度下でペルフルオロアルキル化反応させて、ペルフルオロアルキルナフタレンを生成させる工程
B工程:A工程で生成させたペルフルオロアルキルナフタレンと発煙硫酸とを、140〜170℃の温度下でスルホン化反応させて、式3で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸を生成させる工程
C工程:B工程で生成させたペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸とアルカリとを、アルコール水溶液中で中和反応させて、ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩を生成させる工程
【0016】
A工程では、ナフタレンと式2で示されるペルフルオロアルキルアルコールとをペルフルオロアルキル化反応させてペルフルオロアルキルナフタレンを生成させる。ナフタレンとペルフルオロアルキルアルコールとの仕込み割合は、通常はナフタレン/ペルフルオロアルキルアルコール=25/75〜70/30(モル比)とするが、30/70〜50/50(モル比)とするのが好ましい。A工程では、ペルフルオロアルキル化反応に際し、酸触媒を用いる。かかる酸触媒としては、無水塩化アルミニウム、無水塩化亜鉛、三弗化ホウ素、弗化水素酸、硫酸等が挙げられるが、なかでも無水塩化アルミニウムが好ましい。酸触媒の使用量は、通常はペルフルオロアルキルアルコール1モルに対し0.0001〜2モルの割合とする。またペルフルオロアルキル化反応は、0〜150℃の温度下で行なうが、25〜80℃の温度下で行なうのが好ましい。ペルフルオロアルキルナフタレンの生成は、高速液体クロマトグラフィーによる分析で確認できる。A工程では、生成させたペルフルオロアルキルナフタレンを含有する反応液が得られるので、該反応液から生成物としてのペルフルオロアルキルナフタレンを分離し、これをB工程へ供する。例えば、反応液にこれを10℃以下に冷却しながら水を加えて、酸触媒を失活させると共に水層と油層とに成層分離させ、次いで水層を除き、油層を水洗した後、該油層を脱水処理してB工程へ供する。
【0017】
B工程では、A工程で生成させたペルフルオロアルキルナフタレンと発煙硫酸とをスルホン化反応させてペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸を生成させる。ペルフルオロアルキルナフタレンと発煙硫酸との仕込み割合は、通常はペルフルオロアルキルナフタレン/発煙硫酸=25/75〜60/40(モル比)とするが、30/70〜50/50(モル比)とするのが好ましい。またスルホン化反応は140〜170℃の温度下で行なうが、150〜160℃の温度下で行なうのが好ましい。ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸の生成は、高速液体クロマトグラフィーによる分析で確認できる。B工程では、生成させたペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸を含有する反応液が得られるが、これをそのままC工程へ供することができる。
【0018】
C工程では、B工程で生成させたペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸とアルカリとをアルコール水溶液中で中和反応させてペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩を生成させる。中和反応におけるアルカリの使用量は、通常はB工程で生成させたペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸を含有する反応液の酸価の1〜1.1当量に相当する量とする。かかるアルカリの種類及び中和反応の操作については、第3工程について前記したことと同じである。かくして式1で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩が生成する。式1で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩の純品は、以上説明したC工程で得られる反応液から分離し、精製することにより得られる。かかる分離及び精製操作については前記したことと同じである。
【0019】
式1で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩は、顔料、染料、農薬、乳化重合用の分散剤として、また熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の合成高分子用の帯電防止剤等として広く利用できるが、特に顔料用分散剤、合成高分子用帯電防止剤として有用である。
【0020】
式1で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩から成る本発明の顔料用分散剤は、これを用いた塗料組成物に優れた分散性を付与すると同時にその塗布面に対して撥油性、防汚性、溶剤耐久性等の優れた疎油性を付与する。かかる顔料用分散剤を適用する顔料としては、二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、クロム酸鉛、カーボンブラック等の無機顔料、アゾ、チオインジゴ、アントラキノン等の染料系顔料、銅フタロシアニン、その核ハロゲン化誘導体、銅テトラフェニルフタロシアニン、オクタフェニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料、ジアントラキノニルレッド、インダントロンブルー等のスレン系顔料、チオインジゴコバルト等のインジゴ系顔料、ペリノンオレンジ等のペリノン系顔料、ペリレンマルーン、ペリレンレッド、ペリレンバイオレット等のペリレン系顔料、キノフタロイエロー等のフタロン系顔料、カルバゾールバイオレット等のジオキサジン系顔料、無置換キナクリドン、キナクリドンマゼンタ、ジクロロキナクリドン、キナクリドンスカーレット等のキナクリドン系顔料、イソインドリノンイエローR等のイソインドリノン系顔料、銅アゾメチンイエロー等の金属錯体顔料、DPPレッド等のジケトピロロピロール系顔料、メチン・アゾメチン系顔料等の有機顔料が挙げられる。
【0021】
本発明の顔料用分散剤を顔料に適用する方法としては、公知の方法が適用できる。例えば顔料の粒状固体を用いて塗料組成物を作製する場合には、1)本発明の顔料用分散剤を顔料に加えてペイントコンディショナーやボールミル等の分散機で分散させた後、更に樹脂を加えて同様の分散機で分散させる方法、2)本発明の顔料用分散剤と顔料と樹脂との混合物を一度にペイントコンディショナーやボールミル等の分散機で分散させる方法等が挙げられる。本発明の顔料用分散剤の使用量は、通常は顔料100重量部に対して0.1〜5重量部とする。
【0022】
本発明の顔料用分散剤は、単独で使用することもできるし、公知の顔料用分散剤と併用することもできる。また本発明の顔料用分散剤は、湿潤剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、シランカップリング剤等の添加剤と同時に使用することもできる。
【0023】
式1で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩から成る本発明の合成高分子用帯電防止剤は、これを用いた合成高分子材料に優れた帯電防止性を付与すると同時に、撥油性、防汚性、非粘着性等の優れた疎油性を付与する。かかる合成高分子用帯電防止剤を適用した合成高分子材料としては、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリカプロラクトン、アクリル樹脂等の合成高分子から形成された合成高分子フィルムやシート、フィラメントヤーンやステープルファイバー等の合成繊維が挙げられる。
【0024】
本発明の合成高分子用帯電防止剤を合成高分子フィルムやシートに適用する方法としては、1)本発明の合成高分子用帯電防止剤を合成高分子に含有させた後、フィルムやシートに成形する方法、2)合成高分子フィルムやシートに本発明の合成高分子用帯電防止剤を塗布する方法が挙げられる。前記1)の方法では、本発明の合成高分子用帯電防止剤を、フィルムやシートに成形する合成高分子100重量部当たり、通常は0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部となるよう含有させる。本発明の合成高分子用帯電防止剤を合成高分子に含有させる方法、含有させた合成高分子を溶融製膜してフィルムやシートに成形する方法それ自体は公知の方法を適用できる。また前記2)の方法では、例えば、本発明の合成高分子用帯電防止剤の水性液を調製し、これをローラータッチ法、スプレー法等の公知の方法で合成高分子フィルムやシートの表面に塗布する。塗布する工程は、合成高分子フィルムやシートの製造工程において、これらの溶融押出し直後における延伸配向前の工程、一軸延伸配向後における二軸延伸配向前の工程、二軸延伸配向後の工程のいずれでもよいが、一軸延伸配向後における二軸延伸配向前の工程が好ましく、いずれの工程で塗布する場合でも、本発明の合成高分子用帯電防止剤として、合成高分子フィルムやシート1m当たり、通常は0.01〜0.2gとなるよう塗布する。
【0025】
本発明の合成高分子用帯電防止剤を合成繊維に適用する方法としては、1)本発明の合成高分子用帯電防止剤を合成高分子に含有させた後、合成繊維とする方法、2)合成繊維に紡糸油剤や紡績油剤等の帯電防止剤成分として本発明の合成高分子用帯電防止剤を配合したものを付着させる方法等が挙げられるが、前記1)の方法が好適である。前記1)の方法では、本発明の合成高分子用帯電防止剤を、合成繊維とする合成高分子100重量部当たり、通常は0.01〜2重量部、好ましくは0.05〜1重量部となるように含有させる。本発明の合成高分子用帯電防止剤を合成高分子に含有させる方法、含有させた合成高分子を合成繊維とする方法それ自体は公知の方法を適用できる。また前記2)の方法では、例えば、本発明の合成高分子用帯電防止剤を配合した紡糸油剤の水性液を調製し、これをローラー給油法、ガイド給油法、浸漬給油法等の公知の方法で合成繊維の表面に付着させる。付着させる工程は、紡糸工程、延伸工程、更には延伸後の各工程等、いずれでもよいが、いずれの工程で付着させる場合でも、本発明の合成高分子用帯電防止剤として、合成繊維に対し0.01〜5重量%となるよう付着させる。
【0026】
【発明の実施の形態】
式1で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩及びその製造方法の実施形態としては、次の1)〜3)が挙げられる。
1)下記のA工程、B工程及びC工程を経て、詳しくは後述するような分析値のリチウム=5−(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)−2−ナフタレンスルホナートを製造する方法。
A工程:ナフタレン12.8gと2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール13.2gとを、無水塩化アルミニウム17.6gを用い、90℃の温度下でペルフルオロアルキル化反応させて、5−(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)ナフタレンを生成させる工程。
B工程:A工程で生成させた5−(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)ナフタレン33.6gと25%発煙硫酸14.2gとを、160℃の温度下でスルホン化反応させて、5−(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)−2−ナフタレンスルホン酸を生成させる工程。
C工程:B工程で生成させた5−(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)−2−ナフタレンスルホン酸と水酸化リチウム11gとを、アルコール水溶液中で中和反応させて、リチウム=5−(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)−2−ナフタレンスルホナートを生成させる工程。
【0027】
2)下記の第1工程、第2工程及び第3工程を経て、詳しくは後述するような分析値のナトリウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)−2−ナフタレンスルホナートを製造する方法。
第1工程:ナフタレン12.8gと96%硫酸10.2gとを、160℃の温度下でスルホン化反応させて、ナフタレンスルホン酸を生成させる工程。
第2工程:第1工程で生成させたナフタレンスルホン酸と2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール23.2gとを、96%硫酸5.6gを用い、100℃の温度下でペルフルオロアルキル化反応させて、5−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)−2−ナフタレンスルホン酸を生成させる工程。
第3工程:第2工程で生成させた5−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)−2−ナフタレンスルホン酸と水酸化ナトリウム4.5gとを、アルコール水溶液中で中和反応させて、ナトリウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)−2−ナフタレンスルホナートを生成させる工程。
【0028】
3)下記のA工程、B工程及びC工程を経て、詳しくは後述するような分析値のカリウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデシルフルオロノニル)−2−ナフタレンスルホナートを製造する方法。
A工程:ナフタレン12.8gと2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデシルフルオロ−1−ノニルアルコール43.2gとを、96%硫酸12.3gを用い、70℃の温度下でペルフルオロアルキル化反応させて、5−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデシルフルオロノニルナフタレンを生成させる工程。
B工程:A工程で生成させた5−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデシルフルオロノニルナフタレン33.6gと25%発煙硫酸14.2gとを、160℃の温度下でスルホン化反応させて、5−(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)−2−ナフタレンスルホン酸を生成させる工程。
C工程:B工程で生成させた5−(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)−2−ナフタレンスルホン酸と水酸化カリウム27gとを、アルコール水溶液中で中和反応させて、カリウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデシルフルオロノニル)−2−ナフタレンスルホナートを生成させる工程。
【0029】
また本発明の分散剤の実施形態としては、次の4)が挙げられる。
4)前記1)〜3)のいずれかのペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩から成る顔料用分散剤。
【0030】
更に本発明の合成高分子用帯電防止剤の実施形態としては、次の5)が挙げられる。
5)前記1)〜3)のいずれかのペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩から成る合成高分子用帯電防止剤。
【0031】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は重量部を、また%は重量%を意味する。
【0032】
【実施例】
試験区分1(ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩の合成)
・ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩(P−1)の合成
先ず、温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコにナフタレン12.8g(0.1モル)と2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール13.2g(0.1モル)と無水塩化アルミニウム17.6gとを仕込み、90℃の温度下で攪拌しつつ5時間ペルフルオロアルキル化反応を行なった。反応液を10℃に冷却し、水洗操作を2回行なった後、成層分離して水層を除去し、得られた油層に無水硫酸ナトリウムを加え、濾過して、褐色液の生成物33.6gを得た。次に、この生成物33.6gを前記と同様の四つ口フラスコに仕込み、内溶液を40℃以下に保持して25%発煙硫酸14.2gを加えた後、160℃に加温した温度下で2時間スルホン化反応を行なった。更に、スルホン化反応液を、別に調製しておいた水酸化リチウム11gと水49gとメタノール73gとから成る混合溶液に、10℃以下の温度下で滴下して中和反応を行なった。中和反応液を濾過し、その濾液から溶媒を減圧留去した後、真空乾燥した。真空乾燥物を以下に記載の分取型高速液体クロマトグラフィーに供し、リテンションタイム7.3〜8.3分の溶出液を分画した。分画液を40℃以下で減圧濃縮し、更に真空乾燥して、白色固体のペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩(P−1)を得た。この白色固体は以下に記載の分析により、リチウム=5−(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)−2−ナフタレンスルホナートであった。
【0033】
・分取型高速液体クロマトグラフィー
カラム充填剤:日立ゲル3053(日立製作所社製の商品名)
カラム径:50mm
カラム長:150mm
溶離液:アセトニトリル/0.05M過塩素酸ナトリウム水溶液=10/90(容量比)
流速:156ml/分
カラム温度:40℃
測定波長:254nm
【0034】
・分析法及び分析値
フラスコ燃焼法によるフッ素含有量:23.15%
IPC発行分光法によるイオウ含有量:9.77%
原子吸光法によるリチウム含有量:2.11%
FT−IRの主なピーク(単位はcm−1)(透過率):3428(78%),3053(89%),3011(78%),2960(79%),2925(80%),2853(79%),1952(92%),1842(95%),1624(93%),1595(93%),1506(87%),1435(96%),1348(91%),1213(62%),1146(70%),1116(74%),1084(73%),976(93%),912(96%),864(96%),823(89%),796(82%),769(80%),742(91%),690(79%),619(80%),575(91%),526(88%),476(88%),445(89%)
UVのλmax:317nm,284nm,232nm
H−NMRによるケミカルシフトδ(単位はppm):8.2,8.0,7.9,7.7,7.5,7.5,6.4,4.3
13C−NMRによるケミカルシフト(単位はppm):145.1,132.5,131.9,128.2,127.3,127.1,126.3,126.1,123.9,123.7,119.9,119.5,119.2,116.5,116.2,115.9,113.3,112.9,112.4,110.0,109.6,109.2,106.7,106.3,105.9,62.2,61.8,61.5
【0035】
・ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩(P−2)〜(P−9)及び(P−11)〜(P−20)の合成
ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩(P−1)と同様にして、ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩(P−2)〜(P−9)及び(P−11)〜(P−20)を合成した。
【0036】
・ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩(P−10)の合成
先ず、温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコにナフタレン12.8g(0.1モル)と96%硫酸10.2gを仕込み、160℃の温度下で攪拌しつつ1時間スルホン化反応を行なった。次に、反応液を30℃まで冷却し、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール23.2g(0.1モル)を加え、引き続き内溶液を40℃以下に保持して攪拌しつつ96%硫酸5.9gを加えた後、100℃に加温した温度下で12時間ペルフルオロアルキル化反応を行なった。そして反応液を、別に調製しておいた水酸化ナトリウム4.5gと水20gとメタノール30gとから成る混合溶液に、10℃以下の温度下で滴下して中和反応を行なった。中和反応液を濾過し、その濾液から溶媒を減圧留去した後、真空乾燥した。真空乾燥物を前記と同様の分取型高速液体クロマトグラフィーに供し、リテンションタイム7.3〜8.3分の溶出液を分画した。分画液を40℃以下で減圧濃縮し、更に真空乾燥して、白色固体のペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩(P−10)を得た。この白色固体は以下に記載の分析により、ナトリウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)−2−ナフタレンスルホナートであった。
【0037】
・分析法及び分析値
フラスコ燃焼法によるフッ素含有量:34.21%
IPC発行分光法によるイオウ含有量:7.22%
原子吸光法によるナトリウム含有量:5.17%
FT−IRの主なピーク(単位はcm−1)(透過率):3378(68%),3059(80%),3013(75%),2964(82%),2928(83%),2853(78%),1949(90%),1842(92%),1625(90%),1598(92%),1508(88%),1435(95%),1349(91%),1213(59%),1144(77%),1119(75%),1086(78%),976(92%),911(95%),864(93%),822(90%),797(83%),770(82%),742(90%),690(75%),620(85%),570(90%),522(82%),475(85%),444(91%)
UVのλmax:317nm,284nm,229nm
H−NMRによるケミカルシフトδ(単位はppm):8.2,8.0,7.9,7.8,7.5,7.5,7.1,4.3
13C−NMRによるケミカルシフト(単位はppm):145.0,133.0,132.2,128.6,127.6,127.6,126.8,126.6,124.3,124.0,119.0,118.6,116.9,115.2,114.8,114.5,114.1,113.7,113.7,113.3,112.2,111.8,111.4,110.9,110.6,110.3,110.2,109.9,109.8,109.7,109.5,108.4,108.0,107.6,107.5,107.0,106.7,106.6,106.3,106.2,105.0,104.0,104.3,62.3,62.0,61.7
【0038】
・ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩(P−21)の合成
先ず、温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコにナフタレン12.8g(0.1モル)と2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデシルフルオロ−1−ノニルアルコール43.2g(0.1モル)と96%硫酸12.3gとを70℃以下で仕込み、70℃の温度下で攪拌しつつ2時間スルホン化反応とペルフルオロアルキル化反応とを行なった。次に、反応液を40℃以下に冷却し、発煙硫酸15.2gを加え、160℃に加温した温度下で2時間反応を行なった後、室温まで冷却した。そして、反応液を、別に調製しておいた水酸化カリウム27gと水103gとメタノール155gとから成る混合溶液に、10℃以下の温度下で滴下して中和反応を行なった。中和反応液を濾過し、その濾液から溶媒を減圧留去した後、真空乾燥した。真空乾燥物を前記と同様の分取型高速液体クロマトグラフィーに供し、リテンションタイム7.3〜8.3分の溶出液を分画した。分画液を40℃以下で減圧濃縮し、更に真空乾燥して、白色固体のペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩(P−21)を得た。この白色固体は以下に記載の分析により、カリウム=5−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデシルフルオロノニル)−2−ナフタレンスルホナートであった。
【0039】
・分析法及び分析値
フラスコ燃焼法によるフッ素含有量:46.03%
IPC発行分光法によるイオウ含有量:4.85%
原子吸光法によるカリウム含有量:5.92%
FT−IRの主なピーク(単位はcm−1)(透過率):3378(66%),3060(85%),3015(74%),2960(89%),2927(87%),2852(89%),1950(92%),1840(93%),1646(80%),1598(89%),1508(86%),1441(94%),1349(82%),1210(48%),1144(67%),1115(71%),1071(66%),996(78%),912(93%),863(90%),824(86%),796(80%),770(78%),742(86%),690(71%),618(76%),570(86%),521(77%),477(85%),441(89%)
UVのλmax:316nm,283nm,231nm
H−NMRによるケミカルシフトδ(単位はppm):8.2,8.0,7.9,7.7,7.5,7.4,7.1,4.3
13C−NMRによるケミカルシフト(単位はppm):145.0,132.7,132.0,128.4,127.4,127.4,126.5,126.3,124.1,123.8,119.9,119.5,119.1,117.1,116.6,116.2,115.8,114.9,114.6,114.4,114.1,114.0,113.9,113.5,113.2,112.8,112.4,111.7,111.2,110.8,110.5,110.1,109.6,109.3,108.3,107.9,107.5,106.9,106.6,105.0,104.6,104.1,62.3,62.0,61.6
以上で合成した各ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩の内容を表1にまとめて示した。
【0040】
【表1】
Figure 0003743753
【0041】
試験区分2(顔料用分散剤としての評価)
・塗料組成物の調製
顔料用分散剤として試験区分1で合成した式1で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩等3部、キシレン/ブタノール=3/1(重量比)の混合溶剤35部、ベッコゾールEY−3002(大日本インキ化学工業社製の樹脂の商品名、キシレン/ブタノール混合溶剤を35%含有する)25部、酸化チタン顔料15部及びガラスビーズ(3mmφ)150部を分散用容器で混合した後、ペイントコンディショナーで2時間分散させてミルベースを調製した。次に、このミルベース87部(但し、ガラスビーズを除く)、ベッコゾール57−1362(大日本インキ化学工業社製の樹脂の商品名、溶剤を35%含有する)68部及びスーパーベッカミンL−117(大日本インキ化学工業社製の樹脂の商品名、キシレン/ブタノール混合溶剤を40%含有する)45部を、更に5分間ペイントコンディショナーで5分間分散させて、塗料組成物を調製した。
【0042】
・分散性の評価
前記の塗料組成物に、ソルベッソ100(エクソン化学社製の商品名)/キシレン/ブタノール/セロソルブアセテート=40/30/20/10(重量比)の混合溶剤を加えて、イワタ粘度カップによる粘度で15秒に調整した。これを80度の角度に傾けた10cm×10cmの正方形のテストパネル板上に塗布し、空気中で30分間放置した後、140℃で20分間加熱乾燥して、硬化塗膜板を得た。この硬化塗膜板の硬化塗膜の光沢をデジタル変換光沢計による20度グロスで測定して、下記の基準で評価した。結果を表2にまとめて示した。
◎:20度グロスが80以上であり、分散性が優れている。
○:20度グロスが70以上80未満であり、分散性が良好である。
△:20度グロスが70未満であり、分散性がやや劣る。
【0043】
・防汚性の評価
前記の硬化塗膜板を、カ−ボンブラック2部、畑土90部及び鉱物油8部からなるコンパウンド中に入れ、充分に攪拌した後、取り出して乾いた布で拭き取り、硬化塗膜の表面の汚染状態をミノルタCR−200色差計によるL値で測定した。試験前の硬化塗膜板のL値(L)と試験後の硬化塗膜板のL値(L)を測定し、{(L−L)/L}×100の計算式からΔLを求め、下記の基準で評価した。結果を表2にまとめて示した。
評価基準
◎:ΔLが90以上であり、防汚性が優れている。
○:ΔLが80以上90未満であり、防汚性が良好である。
△:ΔLが80未満であり、防汚性がやや劣る。
【0044】
【表2】
Figure 0003743753
【0045】
表2において、
R−1:ナトリウム=5−ペンチル−1−ナフタレンスルホナート(以下、同じ)
【0046】
試験区分3(合成高分子用帯電防止剤としての評価)
・シートの作製
合成高分子用帯電防止剤として試験区分1で合成したペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩等3部とポリエチレンテレフタレート樹脂100部とをラボプラストミルに投入し、280℃で5分間混練して、合成高分子材料を調製した。この合成高分子材料をホットプレスにて260℃で成型し、厚さ2mmのシートを作製した。
【0047】
・帯電防止性の評価
前記のシートを20℃×45%RHの恒温恒湿室にて24時間調湿後、同雰囲気にて超絶縁抵抗計(東亜電波工業社製のSM−8210型)を用い、JIS−K6911に準拠して表面固有抵抗率を測定し、下記の基準で評価した。結果を表3にまとめて示した。
評価基準
◎:表面固有抵抗率が5×1012Ω未満であり、優れている。
○:表面固有抵抗率が5×1012Ω以上5×1013Ω未満であり、良好。
△:表面固有抵抗率が5×1013Ω以上であり、やや劣る。
【0048】
・防汚性の評価
前記のシートから10cm×10cmの試料片を採り、カ−ボンブラック2部、畑土90部及び鉱物油8部からなるコンパウンド中に入れ、充分に攪拌した後、取り出して乾いた布で拭き取り、シート表面の汚染状態を、シート裏面に白板を置いた状態にてミノルタCR−200色差計によるL値で測定した。試験前のシート表面のL値(L)と試験後のシート表面のL値(L)を測定し、{(L−L)/L}×100の計算式からΔLを求め、下記の基準で評価した。結果を表3にまとめて示した。
評価基準
◎:ΔLが90以上であり、防汚性が優れている。
○:ΔLが80以上90未満であり、防汚性が良好である。
△:ΔLが80未満であり、防汚性がやや劣る。
【0049】
【表3】
Figure 0003743753
【0050】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、顔料用分散剤や合成高分子用帯電防止剤等として有用な新規のペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩及びその製造方法を提供できるという効果がある。

Claims (6)

  1. 下記の式1で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩。
    【式1】
    Figure 0003743753
    (式1において、
    n:1〜7の整数
    M:リチウム原子、ナトリウム原子又はカリウム原子)
  2. 請求項1記載の式1で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩を製造する方法であって、下記の第1工程、第2工程及び第3工程を経ることを特徴とするペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩の製造方法。
    第1工程:ナフタレンと90〜100%の濃度の硫酸とを、140〜170℃の温度下でスルホン化反応させて、ナフタレンスルホン酸を生成させる工程。
    第2工程:第1工程で生成させたナフタレンスルホン酸と下記の式2で示されるペルフルオロアルキルアルコールとを、酸触媒を用い、0〜150℃の温度下でペルフルオロアルキル化反応させて、下記の式3で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸を生成させる工程。
    第3工程:第2工程で生成させたペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸とアルカリとを、アルコール水溶液中で中和反応させて、ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩を生成させる工程。
    【式2】
    Figure 0003743753
    【式3】
    Figure 0003743753
    (式3において、
    n:1〜7の整数)
  3. 請求項1記載の式1で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩を製造する方法であって、下記のA工程、B工程及びC工程を経ることを特徴とするペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩の製造方法。
    A工程:ナフタレンと請求項2記載の式2で示されるペルフルオロアルキルアルコールとを、酸触媒を用い、0〜150℃の温度下でペルフルオロアルキル化反応させて、ペルフルオロアルキルナフタレンを生成させる工程。
    B工程:A工程で生成させたペルフルオロアルキルナフタレンと発煙硫酸とを、140〜170℃の温度下でスルホン化反応させて、請求項2記載の式3で示されるペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸を生成させる工程。
    C工程:B工程で生成させたペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸とアルカリとを、アルコール水溶液中で中和反応させて、ペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩を生成させる工程。
  4. 請求項1記載のペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩から成ることを特徴とする分散剤。
  5. 顔料用分散剤である請求項4記載の分散剤。
  6. 請求項1記載のペルフルオロアルキルナフタレンスルホン酸塩から成ることを特徴とする合成高分子用帯電防止剤。
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