JP3742048B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の排気系に設けられた排ガスセンサの出力に基づいて空燃比を制御する内燃機関の制御装置に関し、より詳細には
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の排気系には、一般に触媒装置が設けられている。触媒装置は、内燃機関に供給される混合気の空燃比がリーンのとき、排気ガス中に存在する過剰の酸素でHCおよびCOを酸化し、空燃比がリッチのとき、HCおよびCOによってNOxを還元する。空燃比が理論空燃比領域にあるとき、HC、COおよびNOxは同時にかつ効果的に浄化される。
【0003】
触媒装置に供給される空燃比を理論空燃比とするために、空燃比のフィードバック制御が行われる。空燃比のフィードバック制御は、一般に排ガスセンサの出力に基づいて実施される。排ガスセンサには、触媒装置の上流に設けられリーンからリッチにわたる広範囲の空燃比を検出する広域空燃比(LAF)センサや、触媒装置の下流に設けられ、空燃比が理論空燃比よりもリッチであるとき高レベルの信号を出力し、空燃比が理論空燃比よりもリーンであるとき低レベルの信号を出力する2値型の酸素(O2)センサ等がある。
【0004】
空燃比のフィードバック制御の一例として、特開2000−234550公報には、切換関数を用いる応答指定型制御が提案されている。この制御は、該切換関数の値をゼロに収束することによって、排ガスセンサの出力を所定の目標値に収束させる。具体的には、切換関数を用いて、排ガスセンサの出力を所定の目標値に収束させるための目標空燃比(操作量)が算出される。この目標空燃比に応じて内燃機関への燃料供給量が制御されることによって、空燃比が安定的に制御される。
【0005】
上記の応答指定型制御を実施するシステムには、同定器が設けられている。同定器とは、応答指定型制御の制御対象に関連するモデルパラメータを適宜算出するものである。そして、上記の目標空燃比は、同定器により算出されたモデルパラメータを用いて算出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の同定器では、むだ時間前のLAFセンサ出力(KACT)と現在のO2センサ出力(VO2)の相関関係から、制御対象である排気系のモデルパラメータの同定を行っている。ところが、エンジンの失火等によって過度に触媒が劣化すると、O2ストレージ効果が極端に低下すること等によりむだ時間が予め設定されている値より小さくなるために、LAFセンサ出力とO2センサ出力のタイミングのずれが大きくなってしまう。そうすると、モデルパラメータを適切な組合せに同定できないことがある。
【0007】
このため、LAFセンサ出力やO2センサ出力がリーン/リッチの反転したときに、モデルパラメータが不適正な組合せに同定され、その誤同定されたモデルパラメータに基づいて算出される目標空燃比も不適正な値となり、結果としてO2センサ出力が目標値に対して停滞してしまう(つまり、リーンまたはリッチの何れかに固定されてしまう)ことがあった(図14(a)参照)。
【0008】
なお、このようにO2センサ出力が停滞状態になったとしても、すでに触媒は過度の劣化により浄化率が非常に低くなっているため、触媒浄化率がさらに低下することはない。しかし、O2センサ出力の停滞は、触媒の劣化状態を判定する触媒劣化検知パラメータの算出に影響を与えるので、触媒劣化検知の判定を安定化するためにはO2センサ出力の停滞を防止することが好ましい。
【0009】
この状態を解決する一手法として、触媒劣化検知処理によって判定された触媒劣化状態に応じて同定器のむだ時間を変更するという考え方もある。しかし、このようにすると、「モデルパラメータの誤同定→触媒劣化検知パラメータへの悪影響→むだ時間の変更→モデルパラメータの同定精度のさらなる低下」という悪循環が発生する可能性がある。
【0010】
従って、同定器のむだ時間を変更することなく、モデルパラメータの誤同定状態を速やかに判定し、これを解消する方法が必要とされている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の一実施形態は、触媒装置および排気管に配置された排ガスセンサを含む系をモデル化した制御対象モデルのモデルパラメータを算出する同定器と、同定器によって算出されたモデルパラメータを用いて、排ガスセンサの出力を所定の目標値に収束するよう空燃比を制御する制御手段と、モデルパラメータが誤同定状態にあると判定される期間が所定期間を超えたとき、同定器をリセットする同定器リセット手段と、を備える内燃機関の空燃比制御装置である。
【0012】
この発明によれば、同定器により算出されるモデルパラメータの誤同定状態を速やかに検出して、同定器をリセットすることによって誤同定状態を解消することができる。
【0013】
ここで、誤同定状態とは、触媒装置の劣化により制御対象モデルのモデルパラメータの組合せが不適切となり、その結果、前記制御手段による制御量、つまり応答指定型制御による制御量(目標空燃比KCMD)がリーンまたはリッチの何れかに固定される状態のことをいう。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る内燃機関(以下、「エンジン」という)1および電子制御ユニット(以下、「ECU」という)5の概略的な構成図である。
【0015】
エンジン1は、たとえば4気筒を備えるエンジンであり、吸気管2がエンジン1に連結されている。吸気管2の上流側にはスロットル弁3が設けられている。スロットル弁3に連結されたスロットル弁開度センサ(θTH)4は、スロットル弁3の開度に応じた電気信号をECU5に送る。
【0016】
燃料噴射弁6は、エンジン1とスロットル弁3の間であって、吸気管2の吸気弁(図示せず)の少し上流側に各気筒毎に設けられている。燃料噴射弁6は燃料ポンプ(図示せず)に接続されており、この燃料ポンプによって燃料タンク(図示せず)から燃料の供給を受ける。燃料噴射弁6は、ECU5からの制御信号に従って駆動される。
【0017】
吸気管圧力(PB)センサ8および吸気温(TA)センサ9は、吸気管2のスロットル弁3の下流側に設けられている。PBセンサ8およびTAセンサ9によって検出された吸気管圧力および吸気温は、それぞれECU5に送られる。
【0018】
エンジン水温(TW)センサ10は、エンジン1のシリンダブロックの冷却水が充満した気筒周壁(図示せず)に取り付けられる。検出されたエンジン冷却水の温度は、ECU5に送られる。
【0019】
回転数(NE)センサ13は、エンジン1のカム軸またはクランク軸(共に図示せず)周辺に取り付けられる。NEセンサ13は、たとえばピストンのTDC位置に関連したクランク角度で出力されるTDC信号パルスの周期よりも短いクランク角度(たとえば、30度)の周期で、CRK信号パルスを出力する。CRK信号パルスは、ECU5によってカウントされ、エンジン回転数が検出される。
【0020】
エンジン1の下流側には排気管14が連結されている。排気管14の途中に設けられた触媒装置15は、排気管14を通る排気ガス中のHC、CO、NOxなどの有害成分を浄化する。触媒装置15には、2つの触媒が設けられている。上流側に設けられた触媒を上流触媒と呼び、下流側に設けられた触媒を下流触媒と呼ぶ。
【0021】
広域空燃比センサ(LAF)センサ16は、触媒装置15の上流に設けられている。LAFセンサ16は、リーンからリッチにわたる広範囲の空燃比を検出して電気信号に変換し、ECU5に送る。
【0022】
O2(排ガス)センサ17は、上流触媒と下流触媒の間に設けられている。O2センサ17は2値型の排気ガス濃度センサであり、空燃比が理論空燃比よりもリッチであるとき高レベルの信号を出力し、空燃比が理論空燃比よりもリーンであるとき低レベルの信号を出力する。出力された電気信号は、ECU5に送られる。
【0023】
ECU5は、車両の各部から送られてくるデータを受け取りアナログ−デジタル変換を行う入力インターフェース5a、変換されたデジタル信号をROM5cに格納されているプログラムに従って処理し、車両各部のアクチュエータに送るための制御信号を作り出すCPU5b、この発明に従う空燃比制御を実現するためのプログラムと、プログラムの実行の際に用いるデータが格納されている読み取り専用メモリ(ROM)5c、CPU5bによる演算のための作業領域が設けられ、車両の各部から送られてくるデータおよび車両の各部に送り出す制御信号が一時的に記憶されるランダムアクセスメモリ(RAM)5d、および車両の各部に制御信号を送る出力インターフェース5eを備えている。
【0024】
図2は、触媒装置15の構造を示す。排気管14に流入した排気ガスは、上流触媒25を通過し、その後下流触媒26を通過する。上流および下流触媒の間に設けられたO2センサの出力に基づく空燃比制御の方が、下流触媒の下流に設けられたO2センサの出力に基づく空燃比制御よりも、NOxの浄化率を最適に維持しやすいことがわかっている。そのため、本発明による実施形態では、O2センサ17を上流および下流触媒の間に設ける。O2センサ17は、上流触媒25を通過した後の排気ガスの酸素濃度を検出する。
【0025】
代替的に、O2センサを下流触媒26の下流に設けてもよい。また、1つの触媒によって触媒装置15が実現されている場合には、O2センサはこの触媒装置15の下流に設けられる。
【0026】
図3は、上流触媒および下流触媒における排気ガス浄化の様子を示す。ウィンドウ27は、CO、HCおよびNOxが最適に浄化される空燃比領域を示す。上流触媒25において、排気ガス中の酸素が浄化作用に消費されるため、下流触媒26に供給される排気ガスは、ウィンドウ28によって示すような還元雰囲気(すなわち、リッチ状態)を有している。このような還元雰囲気において、さらなる量のNOxが浄化される。
【0027】
本発明の実施形態に係る空燃比の適応制御は、触媒15の浄化性能を最適に維持するために、O2センサ17の出力を目標値に収束させることによって、空燃比をウィンドウ27内に収めるようにする。
【0028】
図4は、LAFセンサ16からO2センサ17までの排気系を示すブロック図である。LAFセンサ16は、上流触媒25に供給される排ガスの空燃比KACTを検出する。O2センサ17は、上流触媒25によって浄化された排ガスの酸素濃度を、電圧VO2/OUTとして出力する。LAFセンサ16からO2センサ17までの排気系19が、上記適応空燃比制御の制御対象(プラント)となる。
【0029】
図5は、適応空燃比制御の制御ブロック図である。制御対象である排気系19のO2センサ17の出力VO2/OUTは、目標値VO2/TARGETと比較される。この比較結果に基づいて、制御器31は、目標空燃比偏差kcmdを求める。目標空燃比偏差kcmdは、空燃比の基準値FLAF/BASEに加算され、目標空燃比KCMDが求められる。この目標空燃比KCMDによって補正された燃料噴射量が燃料噴射弁6によりエンジン1に供給される。そして、エンジン1からの排気ガスが排気系19に流れ込み、O2センサ17はVO2/OUTを再び出力する。
【0030】
このように、制御器31は、O2センサ17の出力VO2/OUTを目標値VO2/TARGETに収束させるように目標空燃比KCMDを求めるフィードバック制御を実行する。制御対象である排気系19は、入力をLAFセンサの出力KACT、出力をVO2/OUTとして、式(1)のように離散時間系でモデル化することができる。
【0031】
【数1】
Figure 0003742048
【0032】
ここで、kはサイクル数を表す。
【0033】
VO2は、式(1)に示すように、O2センサ17の出力値VO2/OUTの目標値VO2/TARGETに対する偏差(以下、センサ出力偏差と呼ぶ)である。実空燃比偏差KACTは、基準値FLAF/BASEに対するLAFセンサの出力KACTの偏差である(KACT=KACT-FLAF/BASE)。空燃比の基準値FLAF/BASEは、目標空燃比の中心的な値になるように設定され、たとえば理論空燃比を示す値(すなわち、1)に設定される。基準値FLAF/BASEは、一定値でもよいし、または運転状態に応じて決めるようにしてもよい。
【0034】
d1は、排気系19が有するむだ時間を表す。むだ時間d1は、LAFセンサ16によって検出された空燃比がO2センサ17の出力に反映されるのに要する時間である。a1、a2およびb1はモデルパラメータであり、後述する同定器によって求められる。
【0035】
一方、エンジン1およびECU5からなる空燃比を操作する系は、次式のようにモデル化することができる。
【0036】
【数2】
Figure 0003742048
【0037】
目標空燃比偏差kcmdは、基準値FLAF/BASEに対する目標空燃比KCMDの偏差である(kcmd=KCMD-FLAF/BASE)。d2は、この空燃比操作系におけるむだ時間を表しており、算出された目標空燃比KCMDがLAFセンサ16の出力KACTに反映されるのに要する時間に相当する。
【0038】
図6は、図5に示した制御器31のさらに詳細なブロック図である。制御器31は、同定器32、推定器33、スライディングモード制御器34およびリミッタ35を備える。
【0039】
同定器32は、式(1)におけるモデルパラメータa1、a2およびb1を、モデル化誤差をなくすように同定する。同定器32によって実施される同定方法を以下に述べる。
【0040】
まず、前回の制御サイクルで算出されたモデルパラメータa1(k−1)、a2(k−1)およびb1(k−1)を用いて(以下、これらのパラメータをa1(k−1)ハット、a2(k−1)ハットおよびb1(k−1)ハットと呼ぶ)、今回のサイクルのセンサ出力偏差VO2(k)(以下、これをセンサ出力偏差VO2(k)ハットと呼ぶ)を次式に従って計算する。
【0041】
【数3】
Figure 0003742048
【0042】
式(3)で算出されたセンサ出力偏差VO2(k)ハットと、今回の制御サイクルで実際に検出されたセンサ出力偏差VO2(k)との同定誤差id/e(k)は、次式に従って求められる。
【0043】
【数4】
Figure 0003742048
【0044】
同定器32は、同定誤差id/e(k)を最小にするように、今回のサイクルにおけるa1(k)ハット、a2(k)ハットおよびb1(k)ハットを算出する。ここで、ベクトルΘを以下のように定義する。
【0045】
【数5】
Figure 0003742048
【0046】
同定器32は、以下に示す式(6)のように、前回の制御サイクルで決定されたa1(k−1)ハット、a2(k−1)ハットおよびb1(k−1)ハットを同定誤差id/e(k)に比例する量だけ変化させることにより、今回の制御サイクルにおけるa1(k)ハット、a2(k)ハットおよびb1(k)ハットを求める。
【0047】
【数6】
Figure 0003742048
【0048】
ここで、ベクトルKθは次式に従って算出される。
【0049】
【数7】
Figure 0003742048
【0050】
また、行列Pは次式に従って算出される。
【0051】
【数8】
Figure 0003742048
【0052】
行列Pの初期値P(0)は、各対角成分を正の数とする対角行列である。
【0053】
推定器33は、排気系19のむだ時間d1および空燃比を操作する系のむだ時間d2を補償するため、むだ時間d(=d1+d2)後のセンサ出力偏差VO2を推定する。
【0054】
まず、排気系のモデル式(1)に、空燃比を操作する系のモデル式(2)を代入すると、次式が導かれる。
【0055】
【数9】
Figure 0003742048
【0056】
式(9)で示されるモデル式は、排気系19および上記の空燃比を操作する系を合わせた系を表現している。式(9)を用いることによって、むだ時間d後のセンサ出力偏差VO2(k+d)の推定値VO2(k+d)バーが次式のようにして求められる。
【0057】
【数10】
Figure 0003742048
【0058】
係数α1、α2およびβjは、同定器32で算出されたモデルパラメータを用いて算出される。目標空燃比偏差の過去の時系列データkcmd(k−j)(ただし、j=1、2、…、d)は、むだ時間dの長さの間に取得された目標空燃比偏差を含む。
【0059】
むだ時間d2以前の空燃比偏差kcmdの過去の値kcmd(k−d2)、kcmd(k−d2−1)、…、kcmd(k−d)の値は、上記の式(2)を用いてLAFセンサ16の偏差出力kact(k)、kact(k−1)、…、kact(k−d+d2)で置き換えることができる。その結果、次式が得られる。
【0060】
【数11】
Figure 0003742048
【0061】
スライディングモード制御器34は、スライディングモード制御を実行するために、切換関数σを次式のように設定する。
【0062】
【数12】
Figure 0003742048
【0063】
ここで、VO2(k−1)は、前述したように前回のサイクルで検出されたセンサ出力偏差であり、VO2(k)は、今回のサイクルで検出されたセンサ出力偏差である。sは、切換関数σの設定パラメータであり、−1<s<1となるよう設定される。
【0064】
切換関数σ(k)=0とした式は等価入力系と呼ばれ、制御量であるセンサ出力偏差VO2の収束特性を規定する。σ(k)=0とすると、式(12)は以下のように変形することができる。
【0065】
【数13】
Figure 0003742048
【0066】
ここで、図7および式(13)を参照して、切換関数σの特性を説明する。図7は、縦軸がVO2(k)および横軸がVO2(k−1)の位相平面上に、式(13)を線41で表現したものである。この線41を切換直線と呼ぶ。VO2(k−1)およびVO2(k)の組合せからなる状態量(VO2(k−1), VO2(k))の初期値が、点42で表されているとする。スライディングモード制御は、点42で表される状態量を、切換直線41上に載せて該直線41上に拘束するよう動作する。スライディングモード制御によると、状態量を切換直線41上に保持することにより、該状態量を外乱等に影響されることなく極めて安定的に位相平面上の原点0に収束させることができる。言い換えると、状態量(VO2(k−1), VO2(k))を、式(13)に示される入力の無い安定系に拘束することにより、外乱およびモデル化誤差に対してロバストに、センサ出力VO2/OUTを目標値VO2/TARGETに収束させることができる。
【0067】
切換関数設定パラメータsは、可変に設定することができるパラメータである。設定パラメータsを調整することにより、センサ出力偏差VO2の減衰(収束)特性を指定することができる。
【0068】
図8は、スライディングモード制御の応答指定特性の一例を示すグラフである。グラフ43は、sの値が「−1」である場合を示し、グラフ44はsの値が「0.8」である場合を示し、グラフ45はsの値が「−0.5」である場合を示す。グラフ43〜45から明らかなように、sの値に従って、センサ出力偏差VO2の収束速度が変化する。sの絶対値を小さくするほど、収束速度が速くなる。
【0069】
切換関数σの値をゼロにするよう、3つの制御入力が決定される。すなわち、状態量を切換直線上に拘束するための制御入力Ueq、状態量を切換直線上に載せるための制御入力Urch、およびモデル化誤差および外乱を抑制しつつ、状態量を切換直線に載せるための制御入力Uadpが算出される。これら3つの制御入力Ueq、UrchおよびUadpの和を算出して、空燃比偏差kcmdを算出するための要求偏差Uslが求められる。
【0070】
等価制御入力Ueqは、状態量を切換直線上に拘束するための入力であるので、次式を満たすことが条件となる。
【0071】
【数14】
Figure 0003742048
【0072】
したがって、σ(k+1)=σ(k)とするための等価制御入力Ueqは、式(9)および(12)から、次式のように算出される。
【0073】
【数15】
Figure 0003742048
【0074】
切換関数σの値に応じた値を持つ到達則入力Urchは、式(16)に従って算出される。
【0075】
【数16】
Figure 0003742048
【0076】
本実施形態では、到達則入力Urchは切換関数σの値に比例した値を持つ。また、式(16)のKrchは到達則のフィードバックゲインを示している。この値は、切換直線σ=0への収束の安定性および速応性等を考慮して、シミュレーション等に基づいて予め定められる。
【0077】
切換関数σの積算値に応じた値を持つ適応則入力Uadpは、式(17)に従って算出される。ここで、ΔTは、制御サイクルの周期を示す。
【0078】
【数17】
Figure 0003742048
【0079】
本実施形態では、適応則入力Uadpは切換関数σの積算値に比例した値を持つ。また、式(17)のKadpは適応則のフィードバックゲインを示している。この値は、切換直線σ=0への収束の安定性および速応性等を考慮して、シミュレーション等に基づいて予め定められる。
【0080】
センサ出力偏差VO2(k+d)およびVO2(k+d−1)と、切換関数の値σ(k+d)は、むだ時間dが考慮された予測値であるので、これらを直接求めることはできない。そこで、推定器33によって求められた推定偏差VO2(k+d)バーおよびVO2(k+d−1)バーを用いて、等価制御入力Ueqを求める。
【0081】
【数18】
Figure 0003742048
【0082】
また、推定器33によって算出された推定偏差を用いて、次式のように切換関数σバーが算出される。
【0083】
【数19】
Figure 0003742048
【0084】
切換関数σバーを用いて、到達則入力Urchおよび適応則入力Uadpが算出される。
【0085】
【数20】
Figure 0003742048
【0086】
【数21】
Figure 0003742048
【0087】
そして、等価制御入力Ueq、到達則入力Urchおよび適応則入力Uadpを加算して、要求偏差Uslが算出される。
【0088】
【数22】
Figure 0003742048
【0089】
リミッタ35は、要求偏差Uslに対してリミット処理を行い、空燃比偏差kcmdを求める。具体的には、リミッタ35は、要求偏差Uslが許容範囲内にあれば、該要求偏差Uslを空燃比偏差kcmdとする。要求偏差Uslが許容範囲から逸脱している場合は、該許容範囲の上限値または下限値を空燃比偏差kcmdに設定する。
【0090】
リミッタ35で使用される許容範囲は、図3の範囲29に示すように、ウィンドウ27を略中心として、これを含むさらに広い範囲に設定される。この許容範囲は、要求偏差Uslおよび運転状態等に応じてアクティブに移動する。また、この許容範囲は、空燃比の変動によるエンジンの燃焼変動を抑制しつつ、触媒の浄化能力がウィンドウ27の最適な状態から外れた際に速やかに該最適な状態に復帰させるのに十分な幅を持つ。よって、過渡状態での触媒浄化率を高く保つことができ、有害な排ガス成分を低減することができる。
【0091】
具体的には、許容範囲は、算出された要求偏差Uslに応じて可変に更新される。たとえば、要求偏差Uslの許容範囲からの逸脱量に応じて、許容範囲を拡大する。または、要求偏差Uslが許容範囲内にあるとき、この許容範囲を縮小する。こうして、O2センサ17の出力を目標値に収束させるのに必要な空燃比を規定する要求偏差Uslに適した許容範囲が設定される。
【0092】
さらに、許容範囲は、O2センサ17の出力の不安定さが高いほど狭く設定される。また、許容範囲は、始動時、アイドリング運転状態および燃料カットが解除された時等を含め、運転状態に応じて設定されるようにしてもよい。
【0093】
リミッタ35によって求められた空燃比偏差kcmdは基準値FLAF/BASEに加算され、目標空燃比KCMDが求められる。この目標空燃比KCMDを制御対象である排気系19に与えることにより、O2センサの出力VO2/OUTを目標値VO2/TARGETに収束させることができる。
【0094】
代替の実施形態においては、空燃比の基準値FLAF/BASEは、リミッタ35によるリミット処理が終了した後、スライディングモード制御器34によって算出される適応則入力Uadpに応じて設定される。具体的には、基準値FLAF/BASEには、初期値として理論空燃比が設定される。適応則Uadpが予め決められた上限値を超えているならば、基準値FLAF/BASEは所定量だけ増やされる。適応則Uadpが予め決められた下限値を下回っているならば、基準値FLAF/BASEは所定量だけ減らされる。適応則Uadpが上限値および下限値の間にあれば、基準値FLAF/BASEは維持される。設定されたFLAF/BASEは、次回のサイクルにおいて用いられる。こうして、基準値FLAF/BASEは、目標空燃比KCMDの中心的な値になるよう調整される。
【0095】
基準値FLAF/BASEの設定処理を上記のリミット処理と組み合わせることにより、要求偏差Uslの許容範囲が正負にバランスされる。基準値FLAF/BASEの設定処理は、O2センサ出力VO2/OUTが目標値VO2/TARGETにほぼ収束し、スライディングモード制御が安定状態にあると判断されたときに行われるのが好ましい。
【0096】
図9は、本発明の一実施形態に係る空燃比制御のフローチャートである。
【0097】
まず、ステップS101において、同定器によるモデルパラメータの算出を許可するか否かが判定される。
【0098】
次に、ステップS102において、同定器による演算が許可されたときに「1」がセットされるフラグF_IDCALの値を調べる。燃料カット中などのために同定器による演算が許可されていない場合は、ステップS106に進む。演算が許可されている場合は、ステップS103において、「1」でモデルパラメータの誤同定状態を示す誤同定状態判定フラグF_IDINCRの値を調べる。この値が「0」である場合は、ステップS105に進む。この値が「1」である場合は、ステップS104において、同定器をリセットするべきときに「1」にセットされる同定器リセットフラグF_IDRSETに「1」をセットする。
【0099】
続いて、ステップS105において、同定器により前述のモデルパラメータa1、a2およびb1が算出される。この処理については、図10を参照して後述する。
【0100】
次に、ステップS106において、算出されたモデルパラメータを用いて、推定器により、推定偏差VO2バーが前述した式(11)に従って求められる。
【0101】
ステップS107において、切換関数σバー、等価制御入力Ueq、適応側入力Uadp、および到達側入力Urchが、前述した式(18)〜(21)に従って求められ、さらに式(22)に従って制御入力Uslが求められる。そして求められた制御入力Uslに対し、ステップS107において、リミッタ35によりリミット処理が実行される。
【0102】
続いて、ステップS109において、誤同定状態判定フラグF_IDINCRを設定するためのモデルパラメータ誤同定状態判定処理が実行される。この処理については、図13を参照して後述する。
【0103】
最後に、ステップS110において、制御入力Uslに基準値FLAF/BASEを加えて目標空燃比KCMDが算出されて、このルーチンを終了する。
【0104】
図10は、同定器によるモデルパラメータを算出する処理のフローチャートである。
【0105】
ステップS121において、リセットフラグF_IDRSETの値を調べる。リセットフラグF_IDRSETは、同定器の初期化を行うよう判断されたときに値「1」がセットされるフラグである。たとえば、O2センサまたは広域空燃比センサが活性化していないときや、エンジンの始動直後の触媒の早期活性化を図るためにエンジンの点火時期を遅角側に制御する運転状態にあるとき、リセットフラグF_IDRSETは「1」にセットされる。
【0106】
F_IDRSET=1ならば、ステップS122において同定器を初期化する。具体的には、前述したa1ハット、a2ハットおよびb1ハットのそれぞれの値が予め定められた初期値に設定される。また、式(8)に示した行列Pの各成分が予め定められた初期値に設定される。さらに、リセ)トフラグF_IDRSETは「0」にセットされる。
【0107】
F_IDRSET≠1ならば、ステップS123に進み、式(3)に従って、今回のサイクルにおけるVO2ハット(k)を算出する。続いてステップS124において、今回のサイクルにおけるa1ハット、a2ハットおよびb1ハットを求めるため、ベクトルKθ(k)を式(7)に従って求める。
【0108】
次にステップS125において、同定誤差id/e(k)を式(4)に従って求める。好ましくは、式(4)によって得られた値(=VO2−VO2ハット)にローパスフィルタを適用して、同定誤差id/eを求める。これは、排気系は一般にローパス特性を有するので、排気系の低周波領域における挙動を考慮してモデルパラメータa1、a2およびb1を同定するのが好ましいからである。代替的に、センサ出力偏差VO2およびセンサ出力偏差VO2ハットのそれぞれにローパスフィルタを適用した後に、同定誤差id/eを求めてもよい。
【0109】
ステップS126において、ステップS124で得られたベクトルKθおよびステップS125で得られた同定誤差id/eを用いて、前述した式(6)に従って、ベクトルΘ(k)を算出する。これにより、今回のサイクルにおけるモデルパラメータa1(k)ハット、a2(k)ハットおよびb1(k)ハットが得られる。
【0110】
ステップS127において、ステップS126で得られたモデルパラメータの値を制限する処理を行う。そして、ステップS128において、次の制御サイクルで使用される行列P(k)を式(8)に従って算出する。
【0111】
次に、図10のステップS127におけるモデルパラメータの値を制限する処理について、詳細に説明する。この処理を行うのは、モデルパラメータの値を特に制限しない場合には、スライディングモード制御器34により求められる要求偏差空燃比Usl、ひいては目標空燃比KCMDが、高周波振動的な時間変化を呈する場合があるからである。このような状態は、エンジンの円滑な運転を行う上で好ましくない。そこで、本実施形態では、この高周波振動を排除するために、以下に述べるような制限を課している。
【0112】
具体的には、同定器32により同定するモデルパラメータa1ハット、a2ハットの値の組合せについて、これらの値により定まる係数値α1、α2(式(10))をそれぞれ成分とする座標平面を設定したときに、係数値α1、α2の組により定まる座標平面上の点が図11の斜線を付した領域(三角形Q1Q2Q3で囲まれた領域。以下、この領域を推定係数安定領域という)にあるように制限する。
【0113】
なお、図11において、上記推定係数安定領域を含む三角形領域Q1Q4Q3は、次式により定義される系が理論上安定となるような係数値α1、α2の組合せを規定する領域である。
【0114】
【数23】
Figure 0003742048
【0115】
従って、推定係数安定領域は、前記式(23)により表される系が安定となるような係数値α1、α2の組合せのうち、α1≧0となる領域である。
【0116】
一方、係数値α1、α2は、モデルパラメータa1、a2の組合せにより定まるので、逆算的に、図11の推定係数安定領域は、モデルパラメータa1、a2を座標成分とする座標平面上に変換することができる。この領域を図12に表す。この変換により、推定係数安定領域は、例えば図12の仮想線で囲まれた領域(下部に凹凸を有するほぼ三角形状の領域。以下、同定係数安定領域という)に変換される。すなわち、モデルパラメータa1、a2の組により定まる座標平面上の点が同定係数安定領域にあるとき、係数値α1、α2の組に対応する点は図11の推定係数安定領域にあることになる。従って、同定器32により求められる同定モデルパラメータa1ハット、a2ハットは、基本的には、これらの座標上の点が同定係数安定領域にあるように制限することが好ましい。
【0117】
但し、図12に仮想線で示した同定係数安定領域の境界の一部(図の下部)は凹凸を有する複雑な形状を呈しているため、実用上の理由から、本実施形態では同定係数安定領域を図12の実線で囲まれた四角形Q5Q6Q7Q8の領域(境界を直線上に形成した領域。以下、同定係数制限領域という)により近似する。この場合、この領域は、式|a1|+a2=1により表される折れ線(線分Q5Q6および線分Q5Q8)と、a1=A1L(A1Lは定数)により表される直線(線分Q6Q7)と、a2=A2L(A2Lは定数)により表される直線(線分Q7Q8)とにより囲まれた領域となる。この場合、同定係数制限領域の下辺部の一部は同定係数安定領域を逸脱しているものの、現実には同定器32が求める同定モデルパラメータa1ハット、a2ハットの値により定まる点は上記の逸脱領域には入らないことを実験的に確認しており、実用上は支障がない。
【0118】
また、モデルパラメータb1ハットを制限するための条件は、実験やシミュレーションを通じて、b1ハットの値の上限値B1Hおよび下限値B1Lを定めておくことである。
【0119】
このような制限によって、目標空燃比KCMDが高周波振動的になものとなるような状況が排除される。
【0120】
図13は、図9のステップS109におけるモデルパラメータ誤同定状態判定処理のフローチャートである。
【0121】
まず、ステップS141において、同定器により求められるモデルパラメータa1、a2が所定の状態、すなわち|a1|+a2が所定値INCRAより小さいか否かを判定する。|a1|+a2≧INCRAであれば、ステップS142においてカウンタcidincrに0をセットする。|a1|+a2<INCRAであれば、ステップS143においてカウンタcidincrを1だけインクリメントする。
【0122】
続いてステップS144において、カウンタcidincrが所定値IDINCRCより小さいか否かを判定する。この判定がYESであれば、ステップS145において、「1」でモデルパラメータが誤同定状態であることを表す誤同定状態判定フラグF_IDINCRに「0」をセットし、ステップS146において現在のカウンタの値をCDINCRにセットして、本処理を終了する。
【0123】
ステップS144における判定がNOであれば、|a1|+a2<INCRAとなる状態が所定の期間以上継続しているので、ステップS147で誤同定状態判定フラグF_IDINCRに「1」をセットし、ステップS148においてカウンタをリセットして、本処理を終了する。
【0124】
本処理において誤同定状態判定フラグF_IDINCRに「1」がセットされると、図9のS103における判定がYESとなり、S104においてリセットフラグF_IDRSETに「1」がセットされ、これによって図10のS122において同定器が初期化される。従って、誤同定状態が速やかに解消されることになる。
【0125】
図13において、モデルパラメータの誤同定状態を、|a1|+a2<INCRA(S141)なる状態が所定期間IDINCRC(S144)だけ継続したときとしたのは、以下の理由による。
【0126】
すなわち、VO2が停滞するのは、スライディングモードの制御入力Uslを構成するUeq、UrchおよびUadpのバランスが|Ueq|>>|Urch+Uadp|となった場合に起きる。これは、本来Ueqが状態(VO2(k)とVO2(k−1)の組合せ)をホールドさせる特性があるために起きる現象である。
【0127】
この減少は、触媒が過度に劣化した際に、状態が切換直線の近傍に到達し、次式で示す関係が成立したときに起こりやすい。
【0128】
【数24】
Figure 0003742048
【0129】
しかし、上記式(15)のUeqの算出式におけるVO2(k)およびVO2(k−1)に、停滞中のVO2として値VO2_stを共に代入すると、式(15)は次式のようになる。
【0130】
【数25】
Figure 0003742048
【0131】
前述したように、Uslのリミット処理において、モデルパラメータa1とa2の組合せは|a1|+a2<1となるように同定されているので、a1+a2−1<0が成り立つ。従って、式(24)において、VO2_stにかかる係数は必ず正になる。これによってUeqも正となり、従ってKCMDも正の値をとり続けることになる(図14(a)を参照)。
【0132】
また|a1|+a2<<1となるほど、式(25)のVO2_stにかかる係数は大きくなる。このとき、UeqひいてはKCMDも大きくなるため、VO2の停滞値が目標値から次第に離れていくことになる。
【0133】
従って、|a1|+a2<INCRA<<1となる所定値INCRAを実験等により決定し、|a1|+a2<INCRAとなる状態が所定時間以上継続した場合を誤同定状態と判定して、同定器をリセットすることが好ましい。このリセットにより、モデルパラメータa1とa2の組合せが変更される(例えば、初期値にされる)ため、KCMDが適切な値に制御されることになる。
【0134】
図14(a)は、モデルパラメータ誤同定状態となったときのVO2、|a1|+a2およびKCMDの様子を示す図である。図から分るように、時刻αにおけるVO2の反転を機に、モデルパラメータが不正な組合せとなり、これによってVO2が弱リッチ状態にあるにもかかわらず、KCMDはリーン側に算出されず、弱リッチの値を示し続けている。これに対し、本発明による同定器のリセット処理を適用した場合のVO2、|a1|+a2およびKCMDの様子を図14(b)に示す。図14(a)と同様に、時刻αにおいてモデルパラメータ誤同定状態になっても、|a1|+a2<INCRAである状態が所定時間IDINCRだけ継続した時点で同定器がリセットされ、これによってVO2とKCMDのリーン/リッチの関係が適切なものとなっていることが分かる。
【0135】
以上、スライディングモード制御を用いて適応空燃比制御を実施する場合について本発明の一実施形態を説明したが、他の応答指定型制御を用いて適応空燃比制御を実施する場合にも、本発明を適用することができる。
【0136】
本発明は、クランク軸を鉛直方向とした船外機などのような船舶推進器用エンジンの制御にも適用が可能である。
【0137】
【発明の効果】
本発明によれば、同定器により算出されるモデルパラメータの誤同定状態を速やかに検出して、同定器をリセットすることによって誤同定状態を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関とその制御装置を概略的に示す図である。
【図2】図1の触媒をより詳細に説明する図である。
【図3】空燃比制御における排気ガス浄化の概要を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態の制御対称である排気系を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る空燃比制御の制御ブロック図である。
【図6】図5の制御器をより詳細に説明するブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る応答指定型制御における切換直線を概略的に示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る応答指定型制御における応答特性を示す図である。
【図9】空燃比制御のフローチャートである。
【図10】同定器によるモデルパラメータ算出処理のフローチャートである。
【図11】Uslのリミット処理を説明するための図である。
【図12】Uslのリミット処理を説明するための図である。
【図13】モデルパラメータの誤同定状態判定処理のフローチャートである。
【図14】(a)は従来のモデルパラメータの誤同定状態を説明するための図であり、(b)は本発明を適用したときの誤同定状態の解消を説明するための図である。
【符号の説明】
1 エンジン
5 ECU
14 排気管
15 触媒装置
16 LAFセンサ
17 O2センサ
25 上流触媒

Claims (2)

  1. 触媒装置および排気管に配置された排ガスセンサを含む系をモデル化した制御対象モデルのモデルパラメータを算出する同定器と、
    前記同定器によって算出されたモデルパラメータを用いて、前記排ガスセンサの出力を所定の目標値に収束するよう空燃比を制御する制御手段と、
    前記モデルパラメータのとる値が予め定めた関係にある状態が所定期間を越えて継続するとき、該モデルパラメータが誤同定状態にあると判定する手段と
    前記誤同定状態が判定されたとき、前記同定器をリセットする同定器リセット手段と、
    を備え、前記誤同定状態は、前記触媒装置の劣化により前記制御対象モデルのモデルパラメータの組合せが不適切となり、その結果前記制御手段による制御量がリーンまたはリッチの何れかに固定される状態である、
    内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 前記排気系に設けられたO2センサの出力を VO2/OUT 、該出力の目標値を VO2/TARGET 、前記排気系に設けられた広域空燃比センサの出力を kact 、前記排気系が有するむだ時間を d1 で表し、 VO2(k) = VO2/OUT(k) VO2/TARGET とするとき、前記モデル化は、 VO2(k+1) = a1 VO2(k) + a2 VO2(k-1) + b1 kact(k-d1) で表され、前記誤同定状態を判定する手段は、 |a1| + a2 が所定値より小さい状態が所定期間継続するとき、誤同定状態を判定する、請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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