JP3741845B2 - ガスタービン燃焼器の全缶火炎失火検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービンと蒸気タービンとを一軸で結合した一軸型複合サイクル発電設備のガスタービン燃焼器の全缶火炎失火を検出するためのガスタービン燃焼器の全缶火炎失火検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、一軸型複合サイクル発電設備は、ガスタービンと蒸気タービンを一軸に結合し、ガスタービンの排熱を排熱回収ボイラに導きその排熱回収ボイラで発生した蒸気により蒸気タービンを駆動するようにしたものである。
【0003】
図2は、そのような一軸型複合サイクル発電設備の構成図である。ガスタービン1は燃料器2での燃焼ガスにより駆動される。燃焼器2には空気圧縮機3からの空気と燃料が供給され、燃焼器2で燃料と空気とが混合され点火されて燃焼しガスタービン1を駆動する。ガスタービンを駆動した排ガスは排熱回収ボイラ4に導かれ蒸気を発生する。
【0004】
排熱回収ボイラ4で発生した蒸気は蒸気タービン5の高圧タービン5aに導かれ、高圧タービン5aを駆動した後、再び排熱回収ボイラ4に戻される。そして、再熱されて再熱蒸気加減弁6を介して蒸気タービン5の中圧タービン5bに供給される。この場合の蒸気タービン5の入口圧力(再熱蒸気加減弁6の入口圧力)は圧力検出器7で検出される。また、蒸気タービン5には発電機8が結合されており、発電機8での発電量は電力計9で検出される。
【0005】
ガスタービン1の燃焼器2は多缶の燃焼器であり、その失火検出は以下のように行われている。
(1)多缶の燃焼器2の2〜3缶に取り付けた火炎検知器により検出する。
(2)再熱蒸気加減弁6の入口圧力を圧力検出器7で検出し蒸気タービン5の出力に関わる状態値として計測し、発電機8の発電量を電力計9で検出し、蒸気タービン5の出力値と発電機8の発電量とを比較して多缶の燃焼器2の全缶火炎失火を検出する。
(3)発電機逆電力リレーを設け、発電機8の発電量が負になっていること(逆電力)の発生を検知する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、燃焼器2に取り付けた火炎検知器により全缶火炎失火を検出するものでは、ガスタービン1の下部側の燃焼器2においては火炎検知器が上方を向くためゴミや水分の付着等により誤動作が起こり易い。これにより、不必要なガスタービン1のトリップが懸念され、燃焼器2の全缶に火炎検知器を設置しても、誤動作の可能性があるため、燃焼器2の全缶に火炎検知器が設置できないことから火炎検知器での全缶火炎失火の検知は難しい。
【0007】
また、再熱蒸気弁6の入口圧力を蒸気タービン5の出力に関わる状態値として計測した場合、一軸型複合サイクル発電設備の場合においては、負荷しゃ断時および所内単独運転に、ガスタービン1のみで無負荷状態あるいは所内負荷を維持するため、蒸気タービン5のオーバースピード抑制の観点から再熱蒸気加減弁6を急閉することから、確実に蒸気タービン5に流入する蒸気の状態を把握するのは難しく誤検出の可能性があった。
【0008】
さらに、逆電力の発生を検知するものにおいては、ガスタービン1単体の発電設備と異なり、蒸気タービン5の出力寄与分があるため、ガスタービン1の全缶失火前の蒸気タービン5の出力状態によっては、蒸気タービン5の出力によってパワートレインの負荷を負担することができ逆電力が発生しない場合がある。
【0009】
本発明の目的は、ガスタービンの燃料器の全缶火炎失火を確実に検出できるガスタービン燃焼器の全缶火炎失火検出装置を得ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係わるガスタービン燃焼器の全缶火炎失火検出装置は、多缶の燃焼器を有するガスタービンと、ガスタービンと一軸で結合された蒸気タービンおよび発電機と、ガスタービンの排気ガスにより蒸気を発生し蒸気タービンに供給するする排熱回収ボイラとからなる一軸型複合サイクル発電設備のガスタービンの燃焼器の失火を検出するガスタービン燃焼器の全缶火炎失火検出装置において、蒸気タービンの再熱蒸気加減弁の下流側に設けられ蒸気タービン入口圧力を検出する圧力検出器と、圧力検出器からの検出信号に基づいて蒸気タービンの出力値を演算する演算器と、発電機の発電量を計測する電力計と、電力計からの発電量と演算器からの蒸気タービン出力値とを比較する比較器と、比較器からの比較結果に基づいてガスタービン燃焼器の全缶火炎失火を判定する判定器とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項1の発明に係わるガスタービン燃焼器の全缶火炎失火検出装置では、蒸気タービンの再熱蒸気加減弁の下流側に設けられた圧力検出器で蒸気タービン入口圧力を検出し、その圧力検出器で検出された蒸気タービン入口圧力は演算器に入力され、蒸気タービンの出力値が演算される。比較器では、電力計からの発電量と演算器からの蒸気タービン出力値とを比較し、判定器はその比較結果に基づいてガスタービン燃焼器の全缶火炎失火を判定する。
【0012】
請求項2の発明に係わるガスタービン燃焼器の全缶火炎失火検出装置は、請求項1の発明において、判定器は、発電機の発電量から蒸気タービン出力値を減算した結果が負値となったときにガスタービン燃焼器の全缶火炎失火と判定するようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明に係わるガスタービン燃焼器の全缶火炎失火検出装置では、請求項1の発明の作用に加え、判定器では、発電機の発電量から蒸気タービン出力値を減算した結果が負値となったときにガスタービン燃焼器の全缶火炎失火と判定する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係わるガスタービン燃焼器の全缶火炎失火検出装置の説明図である。
【0015】
蒸気タービン5はガスタービン1と同軸に結合され、さらに発電機8も同軸に結合されている。排熱回収ボイラ4はガスタービン1の排気ガスにより熱交換し蒸気を発生させる。排熱回収ボイラ4からの蒸気は蒸気タービン5の高圧タービン5aに導かれ、高圧タービン5aで仕事を終えた蒸気は再度排熱回収ボイラ4に導かれ、排熱回収ボイラ4で再熱し再熱蒸気加減弁6を介して中圧タービン5bに導かれる。
【0016】
圧力検出器7は蒸気タービン5の軸出力に関わる中圧タービンの入口圧力を計測し、その計測した圧力に基づいて演算器10は蒸気タービン5の出力を換算演算する。発電機8の発電量(発電電力)は電力計9で計測され、比較器11において蒸気タービン5の出力と比較される。そして、判定部12はその比較結果に基づきガスタービン1の燃焼器2の火炎が喪失したことを検出する。
【0017】
ここで、圧力検出器7は蒸気加減弁6の下流に設けられている。その理由は以下の通りである。プラント出力と電力負荷の大きな偏差が生じると、軸の過速度を防止する観点から蒸気タービン5への流入蒸気は遮断され、このため蒸気タービン5の出力は0となり、圧力検出器7の検出信号も負圧となり換算出力も0となる。ところが、従来のように圧力検出器7を蒸気加減弁6の上流に設けていると、蒸気タービン5への蒸気遮断は、0.数秒で行われるので、過渡的に蒸気加減弁6の上流の圧力は上昇し、蒸気タービン5の出力を確実にとらえることが出来ない場合があるからである。
【0018】
一方、蒸気タービン5の出力は、蒸気タービン5の入口圧力の関数で表現できることが知られており、ガスタービン1と蒸気タービン5とが一軸で結合される一軸型複合サイクル発電設備においては、発電機8の出力はガスタービン1の出力と蒸気タービン5の出力との和となることから、発電機8の発電量から蒸気タービン5の出力を引けば、ガスタービン1の出力が得られることになる。これが、負の値となれば、ガスタービン1の燃焼器2が運転中に失火したことが判る。
【0019】
このように、本発明の実施の形態では、正常状態においてはガスタービン1の出力と蒸気タービン5の出力との和が発電機8の出力となるが、全缶火炎失火時においては、ガスタービン1の出力がなくなる。蒸気タービン5の出力はガスタービン1並びに空気圧縮機3の駆動のために一部あるいは全部が使われるため、蒸気タービン5の出力に係わる状態値と、発電機8の出力に係わる状態値との間にはアンバランスが生じる。
【0020】
従って、蒸気タービン5の出力に係わる状態値と、発電機8の出力に係わる状態値を計測し、両出力のアンバランスを検出してガスタービン1の燃焼器2の全缶火炎失火を検知する。また、所内単独運転を含めた負荷遮断時の誤検出を防止する観点から、蒸気タービン5の出力に関わる状態値として再熱蒸気加減弁6の下流つまり中圧タービン5bの入口圧力を圧力検出器7にて検出し、確実に蒸気タービン5へ流入する蒸気の圧力を検出する。
【0021】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、ガスタービンの燃焼器の火炎が喪失したことを確実に検知することが可能となり、未燃焼の燃料の系外への排出を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の形態に係わるガスタービン燃焼器の全缶火炎失火検出装置の説明図。
【図2】従来例の説明図。
【符号の説明】
1 ガスタービン
2 燃焼器
3 蒸気タービン
4 排熱回収ボイラ
5 蒸気タービン
6 再熱蒸気加減弁
7 圧力検出器
8 発電機
9 電力計
10 演算器
11 比較器
12 判定器

Claims (2)

  1. 多缶の燃焼器を有するガスタービンと、前記ガスタービンと一軸で結合された蒸気タービンおよび発電機と、前記ガスタービンの排気ガスにより蒸気を発生し前記蒸気タービンに供給するする排熱回収ボイラとからなる一軸型複合サイクル発電設備の前記ガスタービンの燃焼器の失火を検出するガスタービン燃焼器の全缶火炎失火検出装置において、前記蒸気タービンの再熱蒸気加減弁の下流側に設けられ前記蒸気タービン入口圧力を検出する圧力検出器と、前記圧力検出器からの検出信号に基づいて前記蒸気タービンの出力値を演算する演算器と、前記発電機の発電量を計測する電力計と、前記電力計からの発電量と前記演算器からの蒸気タービン出力値とを比較する比較器と、前記比較器からの比較結果に基づいて前記ガスタービン燃焼器の全缶火炎失火を判定する判定器とを備えたことを特徴とするガスタービン燃焼器の全缶火炎失火検出装置。
  2. 前記判定器は、前記発電機の発電量から前記蒸気タービン出力値を減算した結果が負値となったときに前記ガスタービン燃焼器の全缶火炎失火と判定するようにしたことを特徴とするガスタービン燃焼器の全缶火炎失火検出装置。
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