JP3741000B2 - インサート成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレスによる曲げ端子を多く有する部品の金型への挿入方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、図6の(a)に示すようなプレスによる曲げ端子を多く有する部品(バズバー152)を4軸スカラ(片腕)ロボットにて金型へ挿入する際に、端子をチャックする機構のみをロボットヘッドに取り付けていた。しかし、折り曲げた端子の先端(折曲先端部)を整列させないと金型へ挿入できないことから、図7に示すように、左スカラロボットのバズバー152取付対応の方に端子先端の位置を整列させる機構を追加した。この端子整列部100は、曲がり過ぎた端子を起こすための端子整列用の板を出し入れする前後用シリンダと、この前後用シリンダを上下させる上下用シリンダとで構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したように、端子先端位置を整列させる機構を備えると質量が大きくなり、ロボットヘッドを高速旋回させる場合、慣性力の増大により停止時の振動が大きくなって停止に時間がかかることから、金型挿入までの所用時間が増加するという問題があった。また、図8に示すように、端子整列動作の完了後に端子チャック動作が開始され、端子整列動作と端子チャック動作を同時並行して作業することができなかったため、同様に金型挿入までの所用時間が増加するという問題があった。
【0004】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、確実に端子の折曲先端部を金型に挿入することができるとともに、金型挿入までの所用時間を短縮することができるインサート成形方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載のインサート成形方法は、プレスにより折曲された端子が所定間隔を置いて連続的に多数並設されたインサート片を取り出す際に、スカラロボットのヘッド部に設けられたチャック用爪を下降させることによって、同じく前記ヘッド部に設けられた複数のパイロットピンが各々の前記端子を挟むようにして支持し、その後前記チャック用爪を前記インサート片側に移動させ、前記インサート片を所定固定部と前記チャック用爪との間に挟んで保持するとともに、前記端子の曲がり具合を矯正するようにし、このインサート片を金型に搬送して、前記端子の折曲先端部を金型に設けた挿入口に挿入するようにしたことを特徴とするものである。
【0006】
請求項2記載のインサート成形方法は、請求項1記載のインサート成形方法において、前記インサート片を搬送する搬送用ジグに設けられた複数のパイロットピンによって、各々の前記端子を挟むようにして支持し、前記搬送用ジグによって搬送された前記インサート片を前記搬送用ジグから取り出す際に、前記搬送用ジグのパイロットピンに代わって前記スカラロボット側のパイロットピンが前記端子を挟むようにして支持することを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態ついて図を参照して説明する。図1は、本発明のインサート成形方法が適用される1次成形ラインの構成を示す概略説明図である。図2は、部品搬送用ジグの上面図である。図3は、本発明のインサート成形方法における要部課程を説明する概略説明図であり、(a)は正面図であり、(b)は拡大説明図である。図4は、部品を取り出して保持しているロボットヘッドの状態説明図であり、(a)は正面図であり、(b)は底面図である。図5は、本発明のインサート成形方法の一部分を示すフローチャートである。
【0008】
本実施形態は、図6に示すようなバズバー152、バズバー2B、バズバー2Aの3部品を金型へ挿入する方法であり、さらに詳しくは、バズバー152のようなプレスによる曲げ端子4を多く有する部品の金型への挿入方法である。図1に示すように、バズバー152とバズバー2Bは左スカラロボットによって所定の部品取出位置P1から同時に取り出されて金型へ挿入される。また、バズバー2Aは右スカラロボットによって所定の部品取出位置P2から取り出されて金型へ挿入される。金型は、部品投入位置P3を2箇所備えており、2個どりであるので、同作業を2回行ったあと成形する。成形後、2個の成形品を金型から取り出して、成形品排出位置P4から排出する。
【0009】
次に、本実施形態の要部となる課程について図2、図3、図4を参照して説明する。ここでは、説明の便宜上、左スカラロボットのバズバー152取り出し作業のみについて述べる。図2に示すように、バズバー152は部品搬送用ジグ10に設けられた複数のジグパイロットピン5によって、それぞれの端子を左右両方から2本で挟んで支持している。バズバー152を部品取出位置P1において部品搬送用ジグ10から取り出す際に、まず、図3に示すように、バズバー152取出部1を移動させることによって、バズバー152取出部1が有する複数のチャック爪2をバズバー152の折り曲げられた端子4の外周側面41に対して平行に下降させる。このとき、ジグパイロットピン5は、ロボットヘッド部に設けられたジグパイロットピン逃がし部6におさまるようになっている。スカラロボットのヘッド部に設けられた複数のヘッド部パイロットピン7は、部品搬送用ジグ10のヘッド部パイロットピン逃がし部8におさまるとともに、ジグパイロットピン5に入れ替わる形でそれぞれの端子を左右両方から2本で支持する。そして、バズバー152取出部1の移動にともない、チャック爪2が外周側面41に対して垂直方向に移動することによって、バズバー152を固定部3との間に挟んでチャックすると同時に、外向き曲がりのバズバー152の端子4を曲がり角が90°になるように矯正するのである。なお、予めプレスによる曲げは外曲がり傾向になるように設定してある。その後、図4に示すように、左スカラロボットによって各端子をヘッド部パイロットピン7で支持し、チャック爪2と固定部3とでチャックしたまま金型に搬送し、金型の挿入口に挿入する。
【0010】
従って、端子4の曲がり具合をチャック爪2によって矯正するとともに、2種類のパイロットピンによって各端子の間隔を金型の挿入口の間隔になるように一定にすることができるので、金型の挿入口に端子先端部を確実に精度よく挿入することができる。また、図7に示したような端子整列部100をスカラロボットに追加する必要がなくなるので、ロボットヘッド部を軽量化でき、高速旋回中のロボットヘッドの停止時にかかる振動を抑えることによって、金型挿入までの所用時間を短縮することができる。さらに、端子を整列させるために、端子整列部100を大きく移動させていたのに対して、端子整列のための移動量がチャック爪2の微小な移動だけで済むので、より金型挿入までの所用時間を短縮することができる。
【0011】
さらに、本実施形態における製造工程の流れについて図5を参照して説明する。
まず、図5の(a)に従って、バズバー152およびバズバー2Bの部品取出動作について説明する。バズバー152およびバズバー2Bを取り出すためにロボットが部品取出位置P1に移動し(ステップS1)、バズバー152取出部1が下降することでチャック爪2が下降する(ステップS2)。そして、バズバー152取出部1を固定部3側に移動させることによってバズバー152をチャック爪2でチャックする(ステップS3)。このとき、前述したように、同時に外向き曲がりのバズバー152の端子先端部を矯正している。また、この作業の進行中に一方で、バズバー2Bをチャックする(ステップS4)。その後、ロボットが部品取出位置P1から移動する(ステップS5)。
【0012】
次に、図5の(b)に従って、バズバー152およびバズバー2Bの部品投入動作について説明する。バズバー152およびバズバー2Bを保持しているロボットが金型の左側の部品投入位置P3へ移動しバズバー152を金型上へ移動させる(ステップS6)。コンプライアンスモジュールをOFFしてロボットヘッド部を支えている軸の固定を解除する(ステップS7)。ここで、コンプライアンスモジュールとは、エアの入り切りによってロボットヘッド部を支えている軸の固定状態を制御するものである。そして、バズバー152取出部1を上昇させチャック爪2を引き上げておいてから(ステップS8)、バズバー152取出部1を金型上面に対して平行に移動させてチャックを開く(ステップS9)。再び、コンプライアンスモジュールをONしてロボットヘッド部を固定させてから(ステップS10)、ロボットヘッド部でバスバー152を上から金型へ押し込み後、バズバー2Bを置く位置の上空へロボットを移動させる(ステップS11)。次に、コンプライアンスモジュールをOFFし(ステップS12)、バズバー2B取出部(不図示)を下降させてから(ステップS13)、ロボットを移動させて金型上にバズバー2Bを載せる(ステップS14)。そして、バズバー2Bのチャックを開いて(ステップS15)、バズバー2B取出部(不図示)を上昇させ(ステップS16)、再びコンプライアンスモジュールをONしてロボットヘッド部を固定させてから(ステップS17)、ロボットを元の位置に移動させる(ステップS18)。
【0013】
このように、端子先端部を整列させる動作とチャックする動作とを1動作化することによって、図8に示したような端子整列部の100の追加にともなう工程(ステップS100)を省略することができる。従って、スカラロボットの動作数が減少することになるので、金型挿入までの所用時間を短縮することができる。
【0014】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の請求項1記載のインサート成形方法によれば、プレスにより折曲された端子が所定間隔を置いて連続的に多数並設されたインサート片を取り出す際に、スカラロボットのヘッド部に設けられたチャック用爪を下降させることによって、同じく前記ヘッド部に設けられた複数のパイロットピンが各々の前記端子を挟むようにして支持し、その後前記チャック用爪を前記インサート片側に移動させ、前記インサート片を所定固定部と前記チャック用爪との間に挟んで保持するとともに、前記端子の曲がり具合を矯正するようにし、このインサート片を金型に搬送して、前記端子の折曲先端部を金型に設けた挿入口に挿入するようにしたので、端子の曲がり具合をチャック用爪によって矯正するとともに、パイロットピンによって各端子の間隔を金型の挿入口の間隔になるように一定にしているので、金型の挿入口に端子先端部を確実に精度よく挿入することができる。また、金型挿入までの所用時間を短縮させることができる。
【0015】
請求項2記載のインサート成形方法は、請求項1記載のインサート成形方法において、前記インサート片を搬送する搬送用ジグに設けられた複数のパイロットピンによって、各々の前記端子を挟むようにして支持し、前記搬送用ジグによって搬送された前記インサート片を前記搬送用ジグから取り出す際に、前記搬送用ジグのパイロットピンに代わって前記スカラロボット側のパイロットピンが前記端子を挟むようにして支持するので、部品搬送途中の端子間隔のずれを防止することができ、金型の挿入口に端子先端部をより確実に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインサート成形方法が適用される1次成形ラインの構成を示す概略説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る部品搬送用ジグの上面図である。
【図3】本発明のインサート成形方法における要部課程を説明する概略説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る部品を取り出して保持しているロボットヘッドの状態説明図である。
【図5】本発明のインサート成形方法の一部分を示すフローチャートである。
【図6】本発明のインサート成形方法を用いて金型へ挿入される部品を示す概略図である。
【図7】従来のインサート成形方法に用いた左スカラロボットの概略正面図である。
【図8】従来のインサート成形方法の一部分を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 チャック爪
3 固定部
4 端子
5 ジグパイロットピン
7 ヘッド部パイロットピン
10 部品搬送用ジグ
152 バズバー
Claims (2)
- プレスにより折曲された端子が所定間隔を置いて連続的に多数並設されたインサート片を取り出す際に、スカラロボットのヘッド部に設けられたチャック用爪を下降させることによって、同じく前記ヘッド部に設けられた複数のパイロットピンが各々の前記端子を挟むようにして支持し、その後前記チャック用爪を前記インサート片側に移動させ、前記インサート片を所定固定部と前記チャック用爪との間に挟んで保持するとともに、前記端子の曲がり具合を矯正するようにし、このインサート片を金型に搬送して、前記端子の折曲先端部を金型に設けた挿入口に挿入するようにしたことを特徴とするインサート成形方法。
- 前記インサート片を搬送する搬送用ジグに設けられた複数のパイロットピンによって、各々の前記端子を挟むようにして支持し、前記搬送用ジグによって搬送された前記インサート片を前記搬送用ジグから取り出す際に、前記搬送用ジグのパイロットピンに代わって前記スカラロボット側のパイロットピンが前記端子を挟むようにして支持することを特徴とする請求項1記載のインサート成形方法。
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