JP3740877B2 - 車載用空気清浄器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両後部座席の後方に空気の吸込口および吹出口を有する車載用空気清浄器に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の車載用空気清浄器として、例えば特開平7−164870号公報に開示されたものや図6に示すものが知られている。図6の空気清浄器は、車両後部座席1の後方に位置するリアパーセル2の下部に設けられ、リアパーセル2の車両幅方向一端側に空気の吸込口3が、同他端側に吹出口4がそれぞれ配設される。不図示のファンによって車室内空気が吸込口3から吸い込まれ、集塵フィルタ(不図示)を通過して浄化された空気が吹出口4から車室内に吹き出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような車載用空気清浄器では、一般に吸込口3および吹出口4の双方にルーバーが設けられるが、従来の吹出口4側ルーバーは、吹出口4からの空気が上方あるいは前方(車両進行方向)に吹き出されるようその向きが設定されており、ここからの吹出空気は、図示の如く後席側乗員の頭部が位置する空間を遊動しながら吸込口3に吸い込まれるようになっている。このため後席側の乗員が煙草を吸うと、浄化しきれなかった煙が吹出口4から図示右側の乗員頭部に向けて吹き出され、しかもその煙が後席側空間に充満し易く、快適性を損ねることがあった。
【0004】
本発明の目的は、空気の流通経路を変えることで、煙草の煙による乗員への悪影響を抑制した車載用空気清浄器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
一実施の形態を示す図1に対応づけて説明すると、本発明は、車室内における後部座席の後方に設けられ、吸込口3から吸い込んだ車室内の空気を清浄して吹出口4から吹き出すようにした車載用空気清浄器に適用される。各請求項の特徴は次のとおりである。
(1)請求項 1 の車載用空気清浄器は、吹出口4と吸込口3を車両の車幅方向の中心線に対して対称に配置し、吹出口4から吹き出される空気が後部座席の左右の乗員占有空間SL,SRの間の空間に向けて吹き出すようにしたスリット状の複数の開口を有する吹出口ルーバー6と、車幅中心線に対して、吹出口4に設けられたスリット状の複数の開口と対称のスリット状の複数の開口を有する吸込口ルーバー5とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の車載用空気清浄器において、吹出口4から吹き出される空気が、左右乗員占有空間SL,SRの間の空間を通過した後、一方の乗員と車室側壁との間の空間を通って吸込口3から吸い込まれるよう吹出口ルーバー6による空気吹出方向を設定したことを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1または2に記載の車載用空気清浄器において、吹出口4から吹き出される空気が上昇しつつ左右乗員占有空間SL,SRの間の空間を進むよう吹出口ルーバー6による空気吹出方向を設定したことを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車載用空気清浄器において、吹出口ルーバー6および吸込口ルーバー5は、吹出口4および吸込口3を覆うように設けられ、複数のスリット状の開口を規定する複数の板部材を有することを特徴とする。
【0006】
なお、本発明の構成を説明する上記課題を解決するための手段の項では、本発明を分かり易くするために実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、吹出口からの吹出空気が後部座席の左右の乗員占有空間の間の空間に向けて吹き出されるようにしたので、浄化しきれなかった煙草の煙が乗員に向けて吹き出されることがなく、不快感を低減できる。また、吹出口に設けたルーバーにて空気の吹出方向を設定するとともに、吸込口側にも同様のルーバーを吹出口と左右対称になるように設けたので、見栄えの向上が図れる。
請求項2の発明のように、上記空間を通過した空気が一方の乗員占有空間と車室側壁との間の空間を通って吸込口に向かうようにすれば、左右の乗員占有空間の通過空気(煙)を最小限に低減できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1〜図5により本発明の一実施の形態を説明する。
図1は一実施の形態における車載用空気清浄器の特徴部分を示す車両平面図であり、図6と同様の構成要素には同一の符号を付してある。なお以下の説明において、「左」および「右」は車両進行方向対する方向ではなく、図1に基づく方向である。
【0009】
空気清浄器は、従来と同様に車両後部座席1の後方に位置するリアパーセル2の下部に設けられ、リアパーセル2には吸込口3および吹出口4が車両幅方向の中心線Lに対して互いに対称となるよう設けられている。すなわち、吸込口3は左側乗員の頭部が占める空間(以下、左側頭部空間)SLのすぐ後に、吹出口4は右側乗員の頭部が占める空間(以下、右側頭部空間)SRのすぐ後にそれぞれ設けられ、その各々を覆うようにルーバー5,6が設けられる。吸込/吹出口3,4の配置位置およびファンやフィルタを含む集塵構造(不図示)は従来と同様であるが、ルーバー5,6の方向が従来と異なっている。
【0010】
図2は吹出口側のルーバー6を示す平面図、図3はそのIII−III線断面図である。ルーバー6は、複数のスリット状開口(空気吹出用開口)を形成する複数の板部材を有し、各板部材すなわち開口の延在方向は、車両幅方向に対して角度θ1だけ傾斜した方向とされる。また各板部材は、水平方向に対して上方に角度θ2だけ傾斜して配置される。したがってファンを駆動したとき、吹出口4からの空気は車両前後方向に対して左前方、かつ水平方向に対して斜め上方に吹き出されることになる。換言すれば、吹出空気の多くは右側頭部空間SRに進むのではなく、左右頭部空間SL,SRの間の空間を上昇しながら進む。その結果、フィルタで浄化しきれなかった煙草の煙が吹出口4から吹き出されてもその煙が右側乗員を包み込むことはない。また、右側乗員から直接吐き出される煙も上記吹出空気の流れに合流して進むので、右側乗員の周囲に滞留することはない。
【0011】
一方、上述の方向に進んだ空気は、後部座席1の左前部の天井付近に達し、ここからファンの吸引力によって吸込口3に向かう。その際、空気は左側頭部空間SLと車両の左側壁との間の空間を斜め下方に向かって進み、吸込口3から吸い込まれる。したがって、左側頭部空間SLを通る空気(煙)も従来と比べて少なくなる。
【0012】
図4,図5は吸込口側のルーバー5を示している。このルーバー5の開口は、車両幅方向の中心線Lに対して吹出口側ルーバー6の開口と対称の方向に延在しており、これにより見栄えをよくすることができる。
【0013】
上述したように本実施の形態では、吹出方向設定手段としてのルーバー6の角度を変えることにより、空気の流通経路が左右双方の乗員にとって最適となるようにしたが、一方の乗員のみを主に考慮した設定でもよい。すなわち、例えば図3の角度θ1を小さくした場合、上記左右頭部空間SL,SRの間の空間に空気が導かれるのは上述と同様であるが、その後は空気の多くが左側頭部空間SLを通って吸込口3に向かうことになる。これにより左側乗員が不快感を感ずることがあるかも知れないが、右側乗員には影響が少ないので、この構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車載用空気清浄器の特徴を説明する車両平面図。
【図2】吹出口に設けられるルーバーを示す平面図。
【図3】図2のIII−III線断面図。
【図4】吸込口に設けられるルーバーを示す平面図。
【図5】図4のV−V線断面図。
【図6】従来の車載用空気清浄器を説明する車両平面図。
【符号の説明】
1 車両後部座席
2 リアパーセル
3 吹出口
4 吸込口
5,6 ルーバー
SL,SR 左右頭部空間(乗員占有空間)
Claims (4)
- 車室内における後部座席の後方に設けられ、吸込口から吸い込んだ車室内の空気を清浄して吹出口から吹き出すようにした車載用空気清浄器において、
前記吹出口と吸込口を車両の車幅方向の中心線に対して対称に配置し、
前記吹出口から吹き出される空気が後部座席の左右の乗員占有空間の間の空間に向けて吹き出すようにしたスリット状の複数の開口を有する吹出口ルーバーと、
前記車幅中心線に対して、前記吹出口に設けられた前記スリット状の複数の開口と対称のスリット状の複数の開口を有する吸込口ルーバーとを備えることを特徴とする車載用空気清浄器。 - 請求項1に記載の車載用空気清浄器において、
前記吹出口から吹き出される空気が、前記左右乗員占有空間の間の空間を通過した後、一方の乗員と車室側壁との間の空間を通って前記吸込口から吸い込まれるよう前記吹出口ルーバーによる空気吹出方向を設定したことを特徴とする車載用空気清浄器。 - 請求項1または2に記載の車載用空気清浄器において、
前記吹出口から吹き出される空気が上昇しつつ前記左右乗員占有空間の間の空間を進むよう前記吹出口ルーバーによる空気吹出方向を設定したことを特徴とする車載用空気清浄器。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車載用空気清浄器において、
前記吹出口ルーバーおよび吸込口ルーバーは、前記吹出口および吸込口を覆うように設けられ、複数のスリット状の開口を規定する複数の板部材を有することを特徴とする車載用空気清浄器。
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