JP3740719B2 - 5−アルキルチオ−4−アリールオキシニトロアニリン化合物 - Google Patents

5−アルキルチオ−4−アリールオキシニトロアニリン化合物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、サイトカイン類のインターロイキン−1(IL−1)及びインターロイキン−6(IL−6)産生阻害作用を有し、これらサイトカインに起因する疾患の治療剤、例えば、抗炎症剤、慢性関節リウマチなどに対する自己免疫疾患治療剤及び骨粗鬆症などに対する骨疾患治療剤として有用な5−アルキルチオ−4−アリールオキシニトロアニリン化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)はシクロオキシゲナーゼ阻害作用によるプロスタグランジン(PG)生合成阻害作用を作用機序とするものであり、解熱・鎮痛・抗炎症作用を主たる薬理作用として各種の炎症性・疼痛性疾患に繁用されてきた。
【0003】
また、慢性関節リウマチなどに対しては対症療法的な目的でNSAID、原因療法的な目的で免疫調節剤(DMARD)が使用されている。
【0004】
さらに、骨粗鬆症は閉経後骨粗鬆症と老人性骨粗鬆症に分類されるが、閉経後骨粗鬆症の原因は、閉経後のエストロジェン喪失が骨吸収を過度に促進することにあることから、閉経後骨粗鬆症に対する第一選択治療剤としてはカルシトニンやエストロジェンなどの骨吸収抑制剤が使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のNSAIDはその作用機序から胃潰瘍などの消化管障害を惹起し、長期の連続使用において問題点を有している。また、DMARDは未だ薬効と副作用の分離が十分ではない。さらに、カルシトニンは筋肉注射による投与に限られることや耐性化しやすいという問題が上げられ、エストロジェンは乳ガン、子宮内膜ガンの発生率が増加するという問題がある。このように、現在まで満足できる薬剤は開発されていない。
【0006】
近年、免疫担当細胞が産生するサイトカインと総称される活性物質が見い出されてきている。その中でIL−1、IL−6、腫瘍壊死因子などは炎症性サイトカインと呼ばれ、PGの代謝産生系であるアラキドン酸代謝系の活性化、白血球の遊走、急性期蛋白の誘導など炎症メディエーターとしての多彩な働きが解明されてきおり、これら炎症性サイトカインの産生阻害剤は従来とは異なった作用機序による新世代の抗炎症剤、慢性関節リウマチなどに対する自己免疫疾患治療剤として期待されている。更にIL−1やIL−6は、破骨細胞形成促進因子としても知られており、その産生抑制剤は閉経後骨粗鬆症治療剤として期待されている。しかしながら、IL−1及びIL−6産生阻害作用を有する、有用な抗炎症剤、慢性関節リウマチなどに対する自己免疫疾患治療剤及び骨粗鬆症などに対する骨疾患治療剤は見いだされていない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、IL−1及びIL−6産生阻害作用を有する、有用な抗炎症剤、慢性関節リウマチなどに対する自己免疫疾患治療剤及び骨粗鬆症などに対する骨疾患治療剤を提供することを目的に鋭意検討した結果、下記の5−アルキルチオ−4−アリールオキシニトロアニリン化合物がその目的を達成できることを見いだし、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、式(I)
【0009】
【化2】
Figure 0003740719
【0010】
[式中、R1は未置換もしくはハロゲン原子、炭素原子数1〜8個のアルキル基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、ベンゾイル基、炭素原子数2〜6個のアルコキシカルボニル基またはカルボキシル基から選ばれる置換基により1箇所または2箇所を置換された、フェニル基またはテトラヒドロナフチル基である。R2は炭素原子数1〜8個のアルキル基または炭素原子数5〜8個のシクロアルキル基である。Xは−S−、−SO−または−SO2−で示される基である。]で表される5−アルキルチオ−4−アリールオキシニトロアニリン化合物またはその塩である。
【0011】
本発明においてハロゲン原子とはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。炭素原子数1〜8個のアルキル基とは、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基などである。炭素原子数2〜6個のアルコキシカルボニル基とは、直鎖状または分岐鎖状のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基などである。テトラヒドロナフチル基とは、1−テトラヒドロナフチル基または2−テトラヒドロナフチル基である。炭素原子数5〜8個のシクロアルキル基とは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基またはシクロオクチル基である。
【0012】
また、本発明において塩とは生体内で無害の無機酸または有機酸との塩である。
【0013】
本発明の化合物(I)は、以下に示す方法によって製造することができる。
【0014】
(1)本発明の化合物(I)において、R1が無置換またはハロゲン原子、炭素原子数1〜8個のアルキル基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、ベンゾイル基または炭素原子数2〜6個のアルコキシカルボニル基により、1箇所または2箇所置換されたフェニル基またはテトラヒドロナフチル基であり、Xが−S−で示される基である化合物(Ia)は、例えば、下記の反応式で示す方法によって得ることができる。
【0015】
[反応式]
【0016】
【化3】
Figure 0003740719
【0017】
[反応式中、R2は前記と同意義であり、R3は無置換またはハロゲン原子、炭素原子数1〜8個のアルキル基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、ベンゾイル基または炭素原子数2〜6個のアルコキシカルボニル基から選ばれる置換基により1箇所または2箇所置換されたフェニル基またはテトラヒドロナフチル基であり、Zはハロゲン原子である。]
以下に前記反応式の詳細な説明を反応順に示す。
【0018】
(a)3,4−ジハロニトロベンゼン(II)を出発原料として塩基存在下アルコール化合物(III)を反応させることにより、4−ニトロフェニルエーテル化合物(IV)を得ることができる。
【0019】
本反応に使用する塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物、金属ナトリウム、金属カリウム、ナトリウムアミドなどの無機塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジンなどの有機塩基などがあげられる。
【0020】
本反応は、適当な溶媒中で行うことができる。使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、石油エーテル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ピリジン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、水などがあげられる。
【0021】
本反応においては、銅、酸化銅、ハロゲン化銅、ヨウ化カリウム、トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、トリカプチルメチルアンモニウムクロリドなどの4級アンモニウム塩、18−クラウン−6 エーテルなどのクラウンエーテルなどを任意に加えることにより反応を加速することもできる。
【0022】
(b)4−ニトロフェニルエーテル化合物(IV)のニトロ基を還元してアミノ基とすることにより、4−アミノフェニルエーテル化合物(V)を得ることができる。引続き、化合物(V)は単離精製することなくアミノ基をアセチル化することにより、アセトアニリド化合物(VI)を得ることができる。
【0023】
還元はニトロ基を還元してアミノ基とする通常の還元方法でよく、例えば、パラジウム−炭素、ラネーニッケル、白金などを触媒として使用する接触還元、鉄や錫を使用する還元、硫化ナトリウム−塩化アンモニウムを使用する還元、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウムなどを使用する還元などがあげられる。
【0024】
本反応に使用する溶媒としては、還元方法により任意に選択すればよく、一般的にはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール、水、酢酸、酢酸エチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなどがあげられる。
【0025】
アセチル化はアニリンをアセチル化する通常の方法でよく、アセチル化剤としては酢酸、アセチルクロリド、アセチルブロミド、無水酢酸などがあげられる。
【0026】
本反応に使用する溶媒としては、還元反応に使用した溶媒またはエチルエーテル、石油エーテル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、水、酢酸、硫酸などがあげられる。
【0027】
(c)アセトアニリド化合物(VI)をニトロ化することにより、2−ニトロアセトアニリド化合物(VII)を得ることができる。
【0028】
本反応に使用するニトロ化剤としては、硝酸、発煙硝酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸鉄、硝酸ウレアなどがあげられる。
【0029】
使用する溶媒は、ニトロ化剤に応じて任意に選択するが、好ましくは酢酸、無水酢酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどがあげられる。
【0030】
(d)2−ニトロアセトアニリド化合物(VII)に塩基存在下チオール化合物(VIII)を反応させることにより、化合物(IX)を得ることができる。化合物(IX)は、反応系内で引続き、もしくは単離後加水分解することにより、本発明の化合物(Ia)を得ることができる。
【0031】
本反応に使用する塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物、金属ナトリウム、金属カリウム、ナトリウムアミドなどの無機塩基またはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジンなどの有機塩基などがあげられる。
【0032】
本反応は、適当な溶媒中で行うことができる。使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、石油エーテル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ピリジン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、水などがあげられる。
【0033】
本反応においては、銅、酸化銅、ハロゲン化銅、ヨウ化カリウム、トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、トリカプチルメチルアンモニウムクロリドなどの4級アンモニウム塩、18−クラウン−6 エーテルなどのクラウンエーテルなどを任意に加えることにより反応を加速することもできる。
【0034】
また、加水分解は塩基性条件または酸性条件における通常のアミドの加水分解方法であり、反応系内で引続き加水分解する場合は、塩基性条件が好ましく、塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、t−ブトキシカリウムなどがあげられる。また、酸性条件の場合は、塩酸、臭化水素酸、硫酸などの酸を使用する方法があげられる。
【0035】
本反応で使用する溶媒は、加水分解条件により任意に選択すればよく、水、メタノール、エタノール、プロパノール、t−ブタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、蟻酸、酢酸などが好ましい。
【0036】
(2)化合物(I)において、R1がカルボキシル基の置換したフェニル基であり、Xが−S−で示される基である化合物(Ib)は、化合物(Ia)のR1が炭素原子数2〜6個のアルコキシカルボニル基により1箇所または2箇所置換されたフェニル基である本発明の化合物を加水分解して得ることができる。
【0037】
加水分解は、塩基性条件あるいは酸性条件における通常のアミドの加水分解方法であり、反応系内で引続き加水分解する場合は、塩基性条件が好ましく、塩基としては水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、t−ブトキシカリウムなどがあげられる。また、酸性条件の場合は、塩酸、臭化水素酸、硫酸などの酸を使用する方法があげられる。
【0038】
本反応で使用する溶媒は、加水分解条件により任意に選択すればよく、水、メタノール、エタノール、プロパノール、t−ブタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、蟻酸、酢酸などの溶媒があげられる。
【0039】
(3)本発明の化合物(I)において、Xが−SO−または−SO2−で示される基である化合物は、例えば、前記(1)または(2)の方法で得ることができる化合物(1a)または(Ib)を酸化することにより得ることができる。
【0040】
酸化は、スルフィドを酸化してスルホキシドまたはスルホンとする通常の酸化反応もしくはスルホキシドを酸化してスルホンとする通常の酸化反応であり、例えば、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキシド、メタクロロ過安息香酸、過酢酸、メタ過ヨウ素酸ナトリウム、亜臭素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、過ヨードベンゼンなどを使用する方法などがあげられる。
【0041】
本反応で使用する溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、エチルエーテル、石油エーテル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、水などがあげられる。
【0042】
本発明の化合物は、経口または非経口的に慣用の投与剤型で投与することができる。これらは、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、液剤、乳剤、懸濁剤、注射剤などであり、いずれも通常の方法により製造することができる。人に対して抗炎症剤、慢性関節リウマチなどに対する自己免疫疾患治療剤及び骨粗鬆症などに対する骨疾患治療剤として使用する場合、その投与量は、年齢、体重、症状、投与経路、投与回数などによって異なるが、通常1日当り1〜1000mgである。
【0043】
【発明の効果】
本発明の化合物は、後述の試験例から明らかなようにIL−1、IL−6産生阻害作用を有するので、IL−1、IL−6に起因する疾患の治療剤、例えば、抗炎症剤、慢性関節リウマチなどに対する自己免疫疾患治療剤及び骨粗鬆症などに対する骨疾患治療剤として有用である。
【0044】
試験例
IL−1β及びIL−6産生阻害作用
[試験方法]
ヘパリン処理した正常人末梢血を無菌条件下でリンホプレップ(商品名、第一製薬)に重層して赤血球を除去後、細胞を牛胎児血清10%、ペニシリン100U/ml、ストレプトマイシン100U/ml、ヘペス緩衝液10mM及びL−グルタミン2mMを加えたRPMI−1640培地(商品名、ギブコ社)に浮遊させて細胞数を2×106cells/mlに調製した。
【0045】
調製した細胞浮遊液500μl、ConA(シグマ社)2.0μg及び被験化合物(本発明化合物)の上記培地溶液250μlをマイクロプレート(平底24穴、イワキガラス社製)に添加し、5%CO2インキュベーターで48時間培養した。検体の培地溶液は検体をエタノールで溶解後、エタノールの最終濃度が0.05%になるように上記培地溶液で希釈することにより調製した。培養後、細胞上清液中でIL−1β及びIL−6量(pg/ml)をELISAキット(アマシャム社)で測定し、その産生阻害率(%)を求めた。なお、被験化合物の濃度は1あるいは3μg/mlの濃度とし、被験化合物の濃度を0に調製したものをコントロールとした[阻害率(%)=(1−T/C)×100:Tは被験化合物の各濃度におけるIL−1βあるいは6産生量、CはコントロールのIL−1βあるいはIL−6産生量]。
【0046】
[結果]
試験結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0003740719
【0048】
【実施例】
以下に製造例を示して本発明をより具体的に説明する。
【0049】
製造例1
5−メチルチオ−2−ニトロ−4−フェノキシアニリン
a)3−フルオロ−4−フェノキシニトロベンゼン
フェノール110.6gに水酸化ナトリウム45gを含む水425ml溶液、次いで3、4−ジフルオロニトロベンゼン85gを順に加え、1.5時間加熱還流した。反応液を室温に戻し、3規定塩酸を加え中和後トルエンで抽出した。有機層を洗浄(水、5%水酸化ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水の順)、乾燥(無水硫酸マグネシウム)後、有機層を減圧下濃縮し、黄色結晶の3−フルオロ−4−フェノキシニトロベンゼン118.8g(95%)を得た。
m.p.67.5〜68.5℃。
【0050】
b)3−フルオロ−4−フェノキシアセトアニリド
3−フルオロ−4−フェノキシニトロベンゼン118.7g、鉄粉179.9gおよび塩化アンモニウム8.2gを含む水溶液150mlの混合物を85℃で3時間加熱撹拌した。反応液を室温に戻した後、イソプロパノール500mlを加え、不溶物をセライト濾去した。濾液に無水酢酸62.5gを徐々に加えた後、室温で10分間撹拌した。反応液に水500mlを加え、析出物を濾取、洗浄(水、n−ヘキサンの順)し、無色結晶の3−フルオロ−4−フェノキシアセトアニリド107.8g(86%)を得た。
m.p.110〜111℃(一部をジエチルエーテル−n−ヘキサンから再結晶)。
【0051】
c)5−フルオロ−2−ニトロ−4−フェノキシアセトアニリド
3−フルオロ−4−フェノキシアセトアニリド87.2gを含む酢酸360ml溶液に60℃で加熱撹拌下発煙硝酸23.6gを徐々に加え、1時間撹拌した。反応液を室温に戻し、水750mlを加え、析出物を濾取、水洗した。得られた結晶を酢酸エチル−n−ヘキサンから再結晶することにより、黄色結晶の5−フルオロ−2−ニトロ−4−フェノキシアセトアニリド89.3g(86%)を得た。
m.p.116.5 〜117.5℃。
【0052】
d)5−メチルチオ−2−ニトロ−4−フェノキシアニリン(本発明の化合物)5−フルオロ−2−ニトロ−4−フェニキシアセトアニリド3.0gを含むイソプロピルアルコール30ml懸濁液に15%メチルメルカプタンナトリウム水溶液6.8mlを加え、60℃で3時間加熱撹拌した。反応液を室温に戻し、水を加え析出物を濾取した。得られた結晶をイソプロパノールで再結晶することにより、橙色結晶の5−メチルチオ−2−ニトロ−4−フェノキシアニリン2.7g(96%)を得た。
m.p.160.5〜161℃。
【0053】
製造例2〜16
a)エーテル化合物
製造例1−a)で用いたフェノールの代わりに2−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、4−クロロフェノール、4−ブロモフェノール、4−メチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2−ベンジルフェノール、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、4−フェノキシフェノール、2,4−ジフルオロフェノール、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトールあるいは5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフトールを用い、製造例1−a)の方法に準拠してエーテル化することにより、表2に示したエーテル化合物[製造例2−a)〜16−a)の化合物]を得た。
【0054】
【表2】
Figure 0003740719
【0055】
(注)表2中のNMR1)〜NMR6)を以下に示した。
【0056】
NMR1)(200MHz,CDCl3)δ:6.87(1H,m),7.10〜7.40(4H,m),7.97(1H,m),8.08(1H,dd,J=2,10Hz)。
【0057】
NMR2)(200MHz,CDCl3)δ:2.37(3H,s),6.93(1H,dd,J=8,8Hz),6.98(2H,m),7.23(2H,m),7.95(1H,m),8.07(1H,dd,J=2,10Hz)。
【0058】
NMR3)(200MHz,CDCl3)δ:1.21(6H,d,J=6Hz),3.15(1H,m),6.83(1H,dd,J=10,10Hz),6.90〜7.00(1H,m),7.18〜7.30(2H,m),7.40(1H,m),7.94(1H,m),8.10(1H,dd,J=2,10Hz)。
【0059】
NMR4)(200MHz,CDCl3)δ:1.26(6H,d,J=6Hz),2.95(1H,m),6.94(1H,t,J=10Hz),7.00(2H,m),7.28(2H,m),7.95(1H,m),8.08(1H,dd,J=2,10Hz)。
【0060】
NMR5)(200MHz,CDCl3)δ:3.95(2H,s),6.60(1H,dd,J=8,10Hz),6.96(1H,dd,J=2,8Hz),7.07〜7.40(8H,m),7.80(1H,m),8.04(1H,dd,J=2,10Hz)。
【0061】
NMR6)(200MHz,CDCl3)δ:7.00〜7.70(10H,m),8.00(1H,m),8.11(1H,dd,J=2,8Hz)。
【0062】
b)アセトアニリド化合物
エーテル化合物[製造例2−a)〜16−a)の化合物]を製造例1−b)の方法に準拠して還元、アセチル化することにより、表3に示したアセトアニリド化合物[製造例2−b)〜16−b)の化合物]を得た。
【0063】
【表3】
Figure 0003740719
【0064】
c)ニトロ化合物
アセトアニリド化合物[製造例2−b)〜16−b)の化合物]を製造例1−c)の方法に準拠してニトロ化することにより、表4に示したニトロ化合物[製造例2−c)〜16−c)の化合物]を得た。
【0065】
【表4】
Figure 0003740719
【0066】
(注)表4中のNMR7)を以下に示した。
NMR7)(200MHz,CDCl3)δ:1.25(6H,d,J=6Hz),2.30(3H,s),3.26(1H,m),6.81(1H,m),7.19(2H,m),7.38(1H,m),7.74(1H,d,J=6Hz),8.77(1H,d,J=12Hz)。
【0067】
d)チオーテル化合物(本発明の化合物)
ニトロ化合物[製造例2−c)〜16−c)の化合物]を製造例1−d)の方法に準拠してチオエーテル化することにより、表5に示した本発明のチオエーテル化合物[製造例2)〜16)の化合物]を得た。
【0068】
【表5】
Figure 0003740719
【0069】
製造例17
4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)−5−メチルチオ−2−ニトロアニリン
a)4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)−3−フルオロニトロベンゼン60%水素化ナトリウム4.3gを含むテトラヒドロフラン160ml懸濁液に2,4−ジ−t−アミルフェノール25gを加え、30分間撹拌後、3,4−ジフルオロニトロベンゼン11.3gを加え、3時間撹拌した。反応液を室温に戻し、水を加えトルエンで抽出した。有機層を洗浄(5%水酸化ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水の順)、乾燥(無水硫酸マグネシウム)後、有機層を減圧下濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=30:1)で精製することにより、黄色油状の4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)−3−フルオロニトロベンゼン21.7g(82%)を得た。
【0070】
NMR(200MHz,CDCl3)δ:0.68(6H,dd,J=8,15Hz),1.30(6H,s),1.33(6H,s),1.55〜1.80(4H,m),6.79(1H,d,J=8Hz),6.91(1H,dd,J=8,10Hz),7.17(1H,dd,J=2,8Hz),7.35(1H,d,J=2Hz),7.97(1H,m),8.09(1H,dd,J=2,10Hz)。
【0071】
b)4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)−3−フルオロアセトアニリド4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)−3−フルオロニトロベンゼン21.3g、鉄粉29.9g及び塩化アンモニウム0.9gを含む水溶液17mlの混合物を85℃20分間加熱撹拌した。反応液を室温に戻した後、イソプロパノール90mlを加え、不溶物をセライト濾去した。濾液に無水酢酸6.4gを徐々に加えた後、室温で10分間撹拌した。反応液に水200mlを加え、イソプロパノールを減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=4:1〜1:2)で精製することにより、黄色油状の4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)−3−フルオロアセトアニリド20.9g(95%)を得た。
【0072】
NMR(200MHz,CDCl3)δ:0.68(6H,dt,J=1,6Hz),1.26(6H,s),1.39(6H,s),1.60(2H,q,J=1,6Hz),1.85(2H,q,J=6Hz),2.17(3H,s),6.60(1H,d,J=10Hz),6.88(1H,dd,J=10,10Hz),7.03(1H,dd,J=2,10Hz),7.08(1H,m),7.26(1H,d,J=2Hz),7.55(1H,dd,J=2,12Hz),7.60(1H,broad)。
【0073】
c)4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)−5−フルオロ−2−ニトロアセトアニリド
4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)−3−フルオロアセトアニリド19.2gを用い、製造例1−c)の方法に準拠してニトロ化することにより、黄色油状の4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)−5−フルオロ−2−ニトロアセトアニリド15.4g(72%)を得た[シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=15:1)で精製]。
【0074】
NMR(200MHz,CDCl3)δ:0.68(3H,t,J=6Hz),0.69(3H,t,J=6Hz),1.29(6H,s),1.35(6H,s),1.63(2H,q,J=6Hz),1.80(2H,q,J=6Hz),2.30(3H,s),6.67(1H,d,J=8Hz),7.10(1H,dd,J=2,8Hz),7.32(1H,d,J=2Hz),7.80(1H,m,J=8Hz),8.75(1H,d,J=12Hz),10.38(1H,broad)。
【0075】
d)4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)−5−メチルチオ−2−ニトロアニリン(本発明の化合物)
4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)−5−フルオロ−2−ニトロアセトアニリド3.0gを用い、製造例1−d)の方法に準拠してチオエーテル化することにより、橙色結晶の4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)−5−メチルチオ−2−ニトロアニリン2.1g(72.5%)を得た。
m.p.146〜147.5℃(再結晶溶媒:ジエチルエーテル−n−ヘキサン)。
【0076】
製造例18
4−(2−ベンゾイルフェノキシ)−5−メチルチオ−2−ニトロアニリン
a)4−(2−ベンゾイルフェノキシ)−3−フルオロニトロベンゼン
60%水素化ナトリウム5.0gを含むテトラヒドロフラン130ml懸濁液に2−ベンゾイルフェノール25gを加え、20分間撹拌後、3,4−ジフルオロニトロベンゼン13.4gを加えた後、減圧下濃縮した。得られた残渣にトリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン1.3gを加え、110℃で1.5時間加熱撹拌した。反応液を室温に戻し、3規定塩酸35mlを加えトルエンで抽出した。有機層を洗浄(水、飽和食塩水の順)、乾燥(無水硫酸マグネシウム)後、有機層を減圧下濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン)で精製することにより、黄色油状の4−(2−ベンゾイルフェノキシ)−3−フルオロニトロベンゼン26.2g(92.5%)を得た。
【0077】
NMR(200MHz,CDCl3)δ:6.92(1H,dd,J=8,10Hz),7.12(1H,dd,J=1,8Hz),7.35〜7.50(3H,m),7.51〜7.67(3H,m),7.72〜7.82(2H,m),7.88〜8.00(2H,m)。
【0078】
b)4−(2−ベンゾイルフェノキシ)−3−フルオロアセトアニリド
4−(2−ベンゾイルフェノキシ)−3−フルオロニトロベンゼン20.6gを用い、製造例1−b)の方法に準拠して還元、アセチル化することにより、無色結晶の4−(2−ベンゾイルフェノキシ)−3−フルオロアセトアニリド26.2g(92.5%)を得た。
m.p.111〜112.5℃(一部を酢酸エチル−n−ヘキサンで再結晶)。
【0079】
c)4−(2−ベンゾイルフェノキシ)−5−フルオロ−2−ニトロアセトアニリド
4−(2−ベンゾイルフェノキシ)−3−フルオロアセトアニリド19.1gを用い、製造例1−c)の方法に準拠してニトロ化することにより、4−(2−ベンゾイルフェノキシ)−5−フルオロ−2−ニトロアセトアニリド11.5g(53%)を得た。
m.p.100〜101.5℃(再結晶溶媒:イソプロパノール−n−ヘキサン)。
【0080】
d)4−(2−ベンゾイルフェノキシ)−5−メチルチオ−2−ニトロアニリン(本発明の化合物)
4−(2−ベンゾイルフェノキシ)−5−フルオロ−2−ニトロアセトアニリド2.5gを用い、製造例1−d)の方法に準拠してチオエーテル化することにより、橙色結晶の4−(2−ベンゾイルフェノキシ)−5−メチルチオ−2−ニトロアニリン2.4g(98%)を得た。
m.p.193.5〜194.5℃(再結晶溶媒:イソプロパノール−n−ヘキサン)。
【0081】
製造例19
5−(n−ヘキシルチオ)−2−ニトロ−4−フェノキシアニリン
製造例1−a)〜c)の方法で得た5−フルオロ−2−ニトロ−4−フェノキシアセトアニリド3.0gを含むイソプロパノール30ml懸濁液に20%水酸化ナトリウム水溶液4.6ml及びn−ヘキサンチオール1.4gを加え、60℃で2時間加熱撹拌した。反応液を室温に戻し、水を加え析出物を濾取、洗浄(水、n−ヘキサンの順)した。得られた粗結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=6:1)で精製、ジエチルエーテル−n−ヘキサンで再結晶することにより、赤橙色結晶の5−(n−ヘキシルチオ)−2−ニトロ−4−フェノキシアニリン1.1g(31%)を得た。
m.p.108.5〜110℃。
【0082】
製造例20〜22
製造例19で用いた製造例1−c)の化合物の代わりに製造例7−c)、10−c)あるいは14−c)の化合物を用い、製造例19の方法に準拠してチオエーテル化することにより、表6に示した本発明の化合物(製造例20〜22の化合物)を得た。
【0083】
【表6】
Figure 0003740719
【0084】
製造例23
5−シクロヘキシルチオ−2−ニトロ−4−フェノキシアニリン
製造例19で用いたn−ヘキサンチオールの代わりにシクロヘキサンチオールを用い、製造例19の方法に準拠してチオエーテル化することにより、5−シクロヘキシルチオ−2−ニトロ−4−フェノキシアニリン(本発明の化合物)を得た。
m.p.148.5〜149.5℃(再結晶溶媒:エタノール)。
【0085】
製造例24
5−シクロヘキシルチオ−4−(2−フルオロフェノキシ)−4−ニトロアニリン
製造例23で用いた製造例1−c)の化合物の代わりに製造例2−c)の化合物を用いて製造例23の方法に準拠してチオエーテル化することにより、表7に示した5−シクロヘキシルチオ−4−(2−フルオロフェノキシ)−4−ニトロアニリン(製造例24の化合物)を得た。
【0086】
製造例25
4−(2−クロロフェノキシ)−5−シクロヘキシルチオ−2−ニトロアニリンa)4−(2−クロロフェノキシ)−3−フルオロニトロベンゼン
製造例1−a)で用いたフェノールの代わりに2−クロロフェノールを用い、製造例1−a)の方法に準拠してエーテル化することにより、黄色油状のクロロフェノキシ)−3−フルオロニトロベンゼンを得た。
【0087】
NMR(200MHz,CDCl3)δ:6.80(1H,dd,J=8,10Hz),7.16(1H,dd,J=2,8Hz),7.25(3H,m),7.35(3H,m),7.53(1H,dd,J=2,8Hz),7.98(1H,m),8.10(1H,m)。
【0088】
b)4−(2−クロロフェノキシ)−5−フルオロアセトアニリド
4−(2−クロロフェノキシ)−3−フルオロニトロベンゼンを製造例1−b)の方法に準拠して還元、アセチル化することにより、4−(2−クロロフェノキシ)−5−フルオロ−2−アセトアニリドを得た。
m.p.135〜136℃(再結晶溶媒:酢酸エチル−n−ヘキサン)。
【0089】
)4−(2−クロロフェノキシ)−5−フルオロ−2−ニトロアセトアニリド
4−(2−クロロフェノキシ)−3−フルオアセトアニリドを製造例1−c)の方法に準拠してニトロ化することにより、4−(2−クロロフェノキシ)−5−フルオロ−2−ニトロアセトアニリドを得た。
m.p.121〜122.5℃(再結晶溶媒:ジクロロメタン−n−ヘキサン)。
【0090】
)4−(2−クロロフェノキシ)−5−シクロヘキシルチオ−2−ニトロアニリン
4−(2−クロロフェノキシ)−5−フルオロ−2−ニトロアセトアニリドを製造例23の方法に準拠してチオエーテル化することにより、表7に示した4−(2−クロロフェノキシ)−5−シクロヘキシルチオ−2−ニトロアニリン(製造例25の化合物)を得た。
【0091】
製造例26〜32
製造例23で用いた製造例1−c)の化合物の代わりに製造例7−c)、9−c)、10−c)、14−c)、16−c)17−c)あるいは18−c)の化合物を用いて製造例23の方法に準拠してチオエーテル化することにより、表7に示した本発明の化合物(製造例26〜32の化合物)を得た。
【0092】
【表7】
Figure 0003740719
【0093】
製造例33
5−シクロヘキシルチオ−4−(2−イソプロポキシカルボニルフェノキシ)−2−ニトロアニリン
a)3−フルオロ−4−(2−イソプロポキシカルボニルフェノキシ)ニトロベンゼン
製造例18−a)で用いた2−ベンゾイルフェノールの代わりにサリチル酸イソプロピル27.3gを用い、製造例18−a)の方法に準拠してエーテル化することにより、黄色油状の3−フルオロ−4−(2−イソプロポキシカルボニルフェノキシ)ニトロベンゼン30.4g(94%)を得た[シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン)で精製]。
【0094】
NMR(200MHz,CDCl3)δ:1.15(6H,d,J=6Hz),5.12(1H,m),6.69(1H,dd,J=8,10Hz),7.16(1H,dd,J=2,8Hz),7.40(1H,dt,J=2,8Hz),7.63(1H,dt,J=2,8Hz),7.93(1H,m),8.05(1H,dd,J=2,8Hz),8.10(1H,dd,J=2,10Hz)。
【0095】
b)3−フルオロ−4−(2−イソプロポキシカルボニルフェノキシ)アセトアニリド
3−フルオロ−4−(2−イソプロポキシカルボニルフェノキシ)ニトロベンゼン27.8gを用い、製造例18−b)の方法に準拠して還元、アセチル化することにより、無色結晶の3−フルオロ−4−(2−イソプロポキシカルボニルフェノキシ)アセトアニリド28.4g(98%)を得た。
m.p.63〜64℃(一部をイソプロパノール−n−ヘキサンで再結晶)。
【0096】
c)5−フルオロ−4−(2−イソプロポキシカルボニルフェノキシ)−2−ニトロアセトアニリド
3−フルオロ−4−(2−イソプロポキシカルボニルフェノキシ)アセトアニリド27.7gを用い、製造例1−c)の方法に準拠してニトロ化することにより、5−フルオロ−4−(2−イソプロポキシカルボニルフェノキシ)−2−ニトロアセトアニリド20.9g(66%)を得た。
m.p.101〜102℃(再結晶溶媒:酢酸エチル−n−ヘキサン)。
【0097】
d)5−シクロヘキシルチオ−4−(2−イソプロポキシカルボニルフェノキシ−2−ニトロアセトアニリド
60%水素化ナトリウム0.6gを含むテトラヒドロフラン13.5ml懸濁液に氷冷下シクロヘキサンチオール1.7gを加え、20分間撹拌後、5−フルオロ−4−(2−イソプロポキシカルボニルフェノキシ)−2−ニトロアセトアニリド5.0gを含むテトラヒドロフラン13.5ml懸濁液を加え、室温で12時間撹拌した。反応液に3規定塩酸14.6mlを加え酢酸エチルで抽出した。有機層を洗浄(水、飽和食塩水の順)、乾燥(無水硫酸マグネシウム)後、有機層を減圧下濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=5:1)で精製、イソプロパノール−n−ヘキサンで再結晶することにより、黄色結晶の5−シクロヘキシルチオ−4−(2−イソプロポキシカルボニルフェノキシ)−2−ニトロアセトアニリド5.4g(86%)を得た。
m.p.118.5〜119.5℃。
【0098】
e)5−シクロヘキシルチオ−4−(2−イソプロポキシカルボニルフェノキシ−2−ニトロアニリン(本発明の化合物)
5−シクロヘキシルチオ−4−(2−イソプロポキシカルボニルフェノキシ)−2−ニトロアセトアニリド2.0gを含むイソプロパノール32ml懸濁液に2%水酸化ナトリウム水溶液12mlを加え、60℃で2時間加熱撹拌した。反応液を室温に戻し、3規定塩酸を加え中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を洗浄(水、飽和食塩水の順)、乾燥(無水硫酸マグネシウム)後、有機層を減圧下濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=5:1)で精製、イソプロパノール−n−ヘキサンで再結晶することにより、橙色結晶の5−シクロヘキシルチオ−4−(2−イソプロポキシカルボニルフェノキシ)−2−ニトロアニリン1.1g(61.5%)を得た。
m.p.123.5〜125℃。
【0099】
製造例34
4−(2−カルボキシフェノキシ)−5−シクロヘキシルチオ−2−ニトロアニリン
製造例34−a)〜d)の方法で得た5−シクロヘキシルチオ−4−(2−イソプロポキシカルボニルフェノキシ)−2−ニトロアセトアニリド1.5gを含むテトラヒドロフラン6ml及びメタノール6mL懸濁液に20%水酸化ナトリウム水溶液1.4mlを加え、60℃で加熱撹拌した。反応液を室温に戻し、3規定塩酸を加え中和した後、酢酸エチルで抽出し、有機層を洗浄(水、飽和食塩水の順)、乾燥(無水硫酸マグネシウム)した。有機層を減圧下濃縮し、残渣を酢酸エチル−n−ヘキサンで再結晶することにより、橙色結晶の4−(2−カルボキシフェノキシ)−5−シクロヘキシルチオ−2−ニトロアニリン1.2g(97%)を得た。
m.p.184.5〜185.5℃。
【0100】
製造例35
5−メチルスルフィニル−2−ニトロ−4−フェノキシアニリン
製造例1の方法で得た5−メチルチオ−2−ニトロ−4−フェノキシアニリン1.7gを含む50ml溶液に氷冷下m−クロロ過安息香酸0.5gを加え、2時間撹拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出後、有機層を洗浄(飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水の順)、乾燥(無水硫酸マグネシウム)した。有機層を減圧下濃縮し、残渣をアセトンで再結晶することにより、5−メチルスルフィニル−2−ニトロ−4−フェノキシアニリン0.95g(53%)を得た。
m.p.222.5〜223℃。
【0101】
製造例36〜59
製造例36で用いたチオエーテル(製造例1の方法で得た本発明の化合物)の代わりに製造例2〜23、28あるいは29の方法で得た本反応のチオエーテル化合物を用い、製造例35と同様に酸化することにより、表8−1及び8−2に示した本発明の化合物(製造例36〜59の化合物)を得た。
【0102】
【表8】
Figure 0003740719
【0103】
【表9】
Figure 0003740719
【0104】
製造例60
5−メチルスルホニル−2−ニトロ−4−フェノキシアニリン
製造例1の方法で得た5−メチルチオ−2−ニトロ−4−フェノキシアニリン1.7gを含む50ml溶液に室温でm−クロロ過安息香酸1.0gを加え、2時間撹拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出後、有機層を洗浄(飽和炭酸水素ナトリウム、水、飽和食塩水の順)、乾燥(無水硫酸マグネシウム)した。有機層を減圧下濃縮し、残渣を酢酸エチル−n−ヘキサンで再結晶することにより、5−メチルスルホニル−2−ニトロ−4−フェノキシアニリン1.7g(89%)を得た。
m.p.152.5〜153.5℃。
【0105】
製造例61〜71
製造例60で用いたチオエーテル(製造例1の方法で得た本発明の化合物)の代わりに製造例3〜6、8、10〜14または21の方法で得たチオエーテル化合物を用い、製造例60の方法に準拠して酸化することにより、表9に示した本発明の化合物(製造例61〜71の化合物)を得た。
【0106】
【表10】
Figure 0003740719

Claims (1)


  1. Figure 0003740719
    [式中、R1は未置換もしくはハロゲン原子、炭素原子数1〜8個のアルキル基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、ベンゾイル基、炭素原子数2〜6個のアルコキシカルボニル基またはカルボキシル基から選ばれる置換基により1箇所または2箇所を置換されたフェニル基またはテトラヒドロナフチル基である。R2は炭素原子数1〜8個のアルキル基または炭素原子数5〜8個のシクロアルキル基である。Xは−S−、−SO−または−SO2−で示される基である。]で表される5−アルキルチオ−4−アリールオキシニトロアニリン化合物またはその塩。
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