JP3740452B2 - 液晶表示パネル用対向基板および液晶表示パネル並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶プロジェクタ等にライトバルブとして用いられる液晶表示パネル(以下、液晶表示パネルと記載する。)と液晶表示パネル用対向基板並びにそれらの製造方法に関し、更に詳しくは、液晶表示パネル用対向基板に形成されている遮光性膜関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶プロジェクタ等にライトバルブとして用いられる液晶表示パネルにおいては、一般に、電気光学物質である液晶相を挟んで駆動基板(TFTアレイ基板)に対向配置される対向基板の側から強力な投射光が入射される。
【0003】
駆動基板上にあるTFTのアモルファスシリコン(以下、a−Siと記載する。)膜やポリシリコン(以下、p−Siと記載する。)膜から構成されたチャネル形成用の領域に強力な投射光が入射すると、この領域において光電変換効果により光電流が発生してしまいTFTのトランジスタ特性を劣化させる。そこで、この現象を抑止するため、各TFTに夫々対向する位置の対向基板上に、複数のブラックマトリックスと呼ばれるマトリックス状に設けられた遮光性膜を形成することが一般的である。
【0004】
このようなブラックマトリックスは、クロム(以下、Crと記載する。)などの金属材料や、カーボンをフォトレジストに分散した樹脂ブラックなどの材料が用いられ、上述のTFTのa−Si膜やp−Si膜に対する遮光効果に加えて、コントラストの向上、および色材の混色防止などの機能を有する。
【0005】
しかし、液晶表示パネルに、Crや樹脂ブラックをブラックマトリックスとして使用した場合は、それ自体の光の反射率が低いため、強力な投射光を吸収し液晶表示パネル自体が高温となるため好ましくない。
このため、液晶プロジェクタ等に用いられる液晶表示パネルのブラックマトリックスには、Al、Ag等の高反射率を有する金属薄膜が一般に使用されている。
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術には、以下の問題点がある。
すなわち、ブラックマトリックスにAl薄膜等の高反射率膜を使用した場合、液晶セル内に入射した投射光の一部が迷光となって前記高反射率膜に反射されて光コンタミネーションが発生し、この光がTFTに入射する結果、液晶表示パネルが誤作動を起こし、スクリ−ン等へ投影される画像のコントラストが低下してしまうのである。
また、ブラックマトリックスにAg薄膜を用いた場合は、Al薄膜より反射率は高いのだが、反射光が黄色を帯びているため、スクリーン等へ投影される画像の色純度が悪くなるという問題点があった。
さらにブラックマトリックスにAg薄膜を用いた場合は、微細なパターンが形成できない等の問題点もある。
【0007】
このため、例えば特許文献1では、まず対向基板であるガラス基板上に高反射率層(高反射膜)を設け、その層の上に、黒色樹脂やCr酸化物からなる低い反射率を有する部材の層(低反射膜)を設けることが開示されている。
当該発明は、セル内に入射した迷光による誤作動を、低い反射率を有する部材の層で防止し、かつ液晶表示パネル自体の温度上昇を高反射率層で防止する方法である。
しかし、高反射率層の上に低反射率の層を設けているため、例えばプロジェクターランプからの強力な光が入射する際には、高反射率層と低反射率層との界面において、高反射率層を有する部材と低反射率の層を有する部材との熱膨張率の差により発生する応力のため、剥離が発生するという問題点があった。
さらに、高反射率層にAlまたはAlを主成分とする物質を用いた場合、Alの酸化による層間の剥離が発生するという問題点があった。
【0008】
さらに加えて、高反射率層と低反射率層の2層構成では、高反射率層と低反射率層との間に界面が形成されるため、ブラックマトリックスの製造工程において、高反射率層をパターニングする工程と低反射率層をパターニングする工程との2度の工程が必要であり、低反射率層にアンダーカットが形成されてパターン形状に段差が生じ、ブラックマトリックスの寸法精度が悪いという問題点があった。
【特許文献1】
特開平9−211439号公報(第3−5頁、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した問題点に鑑みなされたものであり、液晶表示パネルに用いられる対向基板上のブラックマトリックスを構成する高い反射率を有する部材で構成された部分と、前記低い反射率を有する部材とが、発生する応力により膜剥れすることなく、加えて、ブラックマトリックスのパターン形状に段差がなく寸法精度が良好な液晶表示パネル用対向基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)複数の画素電極と、前記複数の画素電極を個々にスイッチング駆動する複数のスイッチング素子を有する駆動基板と、前記駆動基板より所定の間隙を介して対向設置された対向基板と、前記所定の間隙に保持された液晶とを有する液晶表示パネルに用いられる前記対向基板であって、
前記対向基板は、透光性を有する基板上に、少なくとも前記スイッチング素子に対応した領域、前記液晶表示パネルを駆動する駆動回路に対応した領域の何れか一方又は両方に遮光性膜が形成されており、
前記遮光性膜は、前記透光性を有する基板側が高い反射率を有する部材で構成され、前記駆動基板側が前記高い反射率を有する部材よりも低い反射率を有する部材で構成されている液晶表示パネル用対向基板であって、
前記高い反射率を有する部材で構成された部分と、前記低い反射率を有する部材で構成された部分との間に、前記高い反射率を有する部材と、前記低い反射率を有する部材とが混在する部分を有することを特徴とする液晶表示パネル用対向基板である。
【0011】
この構成をとることにより、前記高い反射率を有する部材と、前記低い反射率を有する部材とが異なる材料であることにより発生する応力を、高い反射率を有する部材と低い反射率を有する部材とが混在する部分によって低減されることで、高い反射率を有する部材と、低い反射率を有する部材との界面で剥離が発生するのを抑えることができる。
さらに、遮光性膜をパターニングしてブラックマトリックスとする際には、高い反射率を有する部材と低い反射率を有する部材とのエッチングレートの格差を、高い反射率を有する部材と低い反射率を有する部材とが混在する部分により小さくすることができるのでパターンエッジ部分のぎざぎざ状の段差の発生を抑えるられ、寸法精度が向上する。
この結果、液晶表示パネルの誤作動がおきない信頼性の高い液晶表示パネル用対向基板を得ることができる。
【0012】
ここで、遮光性膜は、少なくとも前記スイッチング素子に対応した領域、前記液晶表示パネルを駆動する駆動回路に対応した領域の何れか一方又は両方に形成される。駆動基板には複数のスイッチング素子と、複数のスイッチング素子を接続するための碁盤の目のように形成された配線(データ線、走査線等)を有するが、複数のスイッチング素子と配線に対し光が入射されないようにマトリックス状に遮光性膜を形成してもよいし、また、複数のスイッチング素子と一方向の配線に対し、光が入射されないようにストライプ状に遮光性膜を形成してもよいし、スイッチング素子が形成されている領域に対向するように島状に遮光性膜を形成してもよい。または、これらの領域以外に液晶表示パネルを駆動する駆動回路に対応した領域に遮光性膜を形成してもよい。もちろん、駆動回路に対応した領域にのみ遮光性膜を形成しても良い。
ここで、高い反射率を有する部材は、液晶表示パネルに光が入射されたときに、遮光性膜の吸収により液晶表示パネル温度の上昇を抑制でき誤作動を防ぐことができる反射率を有するものとし、低い反射率を有する部材は、液晶表示パネル内へ光が入射した後、発生した迷光が、スイッチング素子を照射することにより発生する誤作動を防ぐことができる反射率を有するものとする。
【0013】
(構成2)前記高い反射率を有する部材と、前記低い反射率を有する部材とが混在する部分において、前記透光性を有する基板側より前記駆動基板側へ向けて、
前記高い反射率を有する部材の成分が、段階的および/または連続的に減少するか、または前記低い反射率を有する部材の成分が、段階的および/または連続的に増加するか、または前記高い反射率を有する部材の成分が、段階的および/または連続的に減少し、且つ前記低い反射率を有する部材の成分が、段階的および/または連続的に増加することを特徴とする構成1に記載の液晶表示パネル用対向基板である。
【0014】
この構成をとることで、前記高い反射率を有する部材と前記低い反射率を有する部材とが混在する部分において、両部材は、段階的および/または連続的にその混在割合を変えているので、前記高い反射率を有する部材と前記低い反射率を有する部材とが異なる材料であることにより発生する応力は、さらに低減される。
さらに、遮光性膜をパターニングしてブラックマトリックスとする際には、高い反射率を有する部材と低い反射率を有する部材とのエッチングレートの格差をさらに小さくすることができ、パターン段差の殆どない極めて良好なパターン断面が得られるため、誤作動の起きない信頼性の高い液晶表示パネル用対向基板を得ることができるとともに、後述するインライン型スパッタリング法によって、容易に所望の組成傾斜を有する遮光性膜が得られるので製造上のメリットも大である。
【0015】
(構成3)前記遮光性膜は、前記高い反射率を有する部材の成分と前記低い反射率を有する部材の成分とが、連続的に組成変化している膜であることを特徴とする構成1又は2に記載の液晶表示パネル用対向基板である。
【0016】
この構成をとることで、前記高い反射率を有する部材と前記低い反射率を有する部材とにより発生する応力の低減効果は構成2と比較してもさらに良好となり好ましい。
また前記遮光性膜をパターンニングして、ブラックマトリックスとした際のパターン断面特性も、構成2と比較してもさらに良好となり好ましい。
さらに、後述するインライン型スパッタリング法によって、容易に所望の組成傾斜を有する遮光性膜が得られるので製造上のメリットも大である。
【0017】
(構成4)前記高い反射率を有する部材の主成分がAlで、前記低い反射率を有する部材の主成分がCrおよび/またはNiであることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載の液晶表示パネル用対向基板である。
【0018】
この構成をとり、高い反射率を有する部材の主成分をAlとすることにより、可視光の波長域である380〜700nm迄の波長域で光の反射率が高く、また反射率の波長依存性が少なく均一な反射率を有する高反射薄膜を得ることができる。
さらに加えて、前記低い反射率を有する部材の主成分としてCrおよび/またはNiを用いると、主成分をAlとする高い反射率を有する部材との密着性がよく、また微細なパターンのブラックマトリックスが形成できるので好ましい。
この結果、誤作動の起きない信頼性の高い液晶表示パネル用対向基板を得ることができる。
ここで、高い反射率を有する部材と低い反射率を有する部材、高い反射率を有する部材と低い反射率を有する部材とが混在する領域の部分で構成されるブラックマトリックスの光学濃度は3以上、好ましくは4以上とするのが好ましい。
【0019】
(構成5)前記低い反射率を有する部材において、駆動基板側に酸素および/または窒素が含まれていることを特徴とする構成1から4のいずれかに記載の液晶表示パネル用対向基板である。
【0020】
この構成をとることで、前記低い反射率を有する部材の反射防止機能をさらに増大させ、迷光による誤作動の発生を抑え、さらに所望の反射防止機能を有しつつ膜厚を薄くすることができるので、パターニング特性も向上し、好ましい構成である。
この結果、誤作動の起きない信頼性の高い液晶表示パネル用対向基板を得ることができる。
【0021】
(構成6)前記低い反射率を有する部材において、前記酸素および/または窒素が、前記駆動基板側から前記透光性を有する基板側に向かうに従って連続的に減少していることを特徴とする構成5に記載の液晶表示パネル用対向基板である。
【0022】
この構成をとることにより、遮光性膜をパターニングしてブラックマトリックスとする際には、パターンエッジ部分のぎざぎざ状段差のない、パターニング特性良好なブラックマトリックスが形成できるので好ましい構成である。
この結果、誤作動の起きない信頼性の高い液晶表示パネル用対向基板を得ることができる。
【0023】
(構成7)前記高い反射率を有する部材の反射率が70%以上、前記低い反射率を有する部材の反射率が30%以下であることを特徴とする構成1から6のいずれかに記載の液晶表示パネル用対向基板である。
【0024】
この構成をとることにより、基板側より液晶表示パネル内へ入射しようとした光のうち、ブラックマトリックスにあたった光は70%以上が反射される。
この結果、液晶表示パネル温度の上昇を防止でき誤作動を防ぐことができ好ましい。
また、液晶表示パネル内へ入射した後、迷光となった光が、前記高い反射率を有する部材よりも低い反射率を有する部材にあたった際の反射率は30%以下になる。
この結果、液晶表示パネル内の迷光が、TFT(スイッチング素子)を照射することにより発生する誤作動を防ぐことができ好ましい。
尚、上述の反射率は、液晶表示パネルが使用される可視光の波長領域(380〜700nm)での反射率を指す。
【0025】
(構成8)前記透光性を有する基板において、対向基板に光が入射する側、マイクロレンズを形成した基板が設けられており、
前記マイクロレンズは、前記画素電極に前記光が投射されるように形成されていることを特徴とする構成1から7のいずれかに記載の液晶表示パネル用対向基板である。
【0026】
この構成をとることにより、液晶表示パネル用対向基板に入射する入射光に対し、まずマイクロレンズを通過させて光束を絞った後、例えば、ブラックマトリックス間の間隙を通過させることができる。
この結果、誤作動が起きない信頼性の高い液晶表示パネル用対向基板が得られるとともに、入射光の利用効率を高めることができるので、明るい良好な画像を得ることができる。
【0027】
(構成9)構成1から8のいずれかに記載の液晶表示パネル用対向基板を用いて製造されことを特徴とする液晶表示パネルである。
【0028】
この構成をとることにより、誤作動が起きない信頼性の高い液晶表示パネルを得ることができる。
【0029】
(構成10)複数の画素電極と、前記複数の画素電極を個々にスイッチング駆動する複数のスイッチング素子を有する駆動基板と、前記駆動基板より所定の間隙を介して対向設置された対向基板と、前記所定の間隙に保持された液晶とを有する液晶表示パネルに用いられる前記対向基板の製造方法であって、
前記対向基板は、透光性を有する基板上に、少なくとも前記スイッチング素子に対応した領域、前記液晶表示パネルを駆動する駆動回路に対応した領域の何れか一方又は両方に遮光性膜が形成されており、
前記遮光性膜は、前記透光性を有する基板側が高い反射率を有する部材で構成され、前記駆動基板側が前記高い反射率を有する部材よりも低い反射率を有する部材で構成され、
前記高い反射率を有する部材と、前記低い反射率を有する部材とをスパッタリング法により、前記透光性を有する基板上に連続して形成し、且つ、前記高い反射率を有する部材と、低い反射率を有する部材との間で、前記高い反射率を有する部材を形成するスパッタリング粒子と、前記低い反射率を有する部材を形成するスパッタリング粒子とが重なり合って(混ぜ合わさって)成膜される部分が形成されるように成膜する遮光膜形成工程を有することを特徴とする液晶表示パネル用対向基板の製造方法である。
【0030】
この構成をとることにより、透光性を有する基板、例えばガラス基板上で、前記高い反射率を有する部材を有するスパッタリング粒子と、前記高い反射率を有する部材よりも低い反射率を有する部材を有するスパッタリング粒子とが重なり合う部分(混ぜ合わさる)を生じさせ連続して成膜させることができる。すると成膜された遮光性膜は、ガラス基板付近では、高い反射率を有する部材の組成であり高い反射率を有するが、駆動基板側の膜面に向かうに従い、高い反射率を有する部材の組成割合が減少し、より低い反射率を有する部材の組成割合が増加する。そして駆動基板に対向する膜面においては、高い反射率を有する部材の組成が存在しないか、または前記高い反射率を有する部材が低い反射率を有する部材の組成に比較して少ない量であるので、膜面の反射率を抑制することができる。この結果、遮光性膜の組成を連続的に変化させることにより、高い反射率を有する部材と、より低い反射率を有する部材との界面での剥離がなく、誤作動が起きない信頼性の高い液晶表示パネル用対向基板が容易に製造できる。
【0031】
(構成11)
前記遮光性膜形成工程の後、前記遮光性膜上に感光性樹脂膜を形成する工程と、
前記感光性樹脂膜をフォトリソによってパターニングして、感光性樹脂膜パターンを形成する工程と、
前記感光性樹脂膜パターンをマスクとして、前記低い反射率を有する部材をパターニングした後、アルカリ性溶媒により、前記感光性樹脂膜と、前記低い反射率を有する部材をマスクとして、高い反射率を有する部材を同時にエッチングにより除去し、遮光性膜パターンを形成する遮光性膜パターン形成工程と、を有することを特徴とする構成10記載の液晶表示パネル用対向基板の製造方法である。
【0032】
この構成をとることにより、液晶表示パネル用対向基板の製造方法において、感光性樹脂膜パターンをマスクとして低い反射率を有する部材をパターニングした後、アルカリ性溶媒によって感光性樹脂膜(レジスト膜)と高い反射率を有する部材を同時にエッチングにより除去できる。
この結果、製造工程を削減でき、液晶表示パネル用対応基板の製造コストを下げることができる。
【0033】
尚、この場合の高い反射率を有する部材、前記低い反射率を有する部材、感光性樹脂膜(レジスト膜)の材料は特に限定されないが、レジスト膜と高い反射率を有する部材とはアルカリ性溶媒によってエッチング除去される材料であって、さらに高い反射率を有する部材は、前記低い反射率を有する部材をエッチング除去するときに、そのエッチング液に対し耐性を有する材料であり、加えてアルカリ性溶媒に対しても耐性を有する材料であれば良い。
代表的な材料としては構成12にあるように、高い反射率を有する部材としてはAlまたはAl合金が、前記低い反射率を有する部材としてはCrまたはCr合金が挙げられる。
また、この本構成の製造方法で遮光性膜をパターン化してブラックマトリックスを形成するときに、高い反射率を有する部材の好ましい膜厚は、100〜800Å、前記低い反射率を有する部材の好ましい膜厚は、80〜2000Åである。
【0034】
(構成13)構成12記載の液晶表示パネル用対向基板の製造方法によって得られた液晶表示パネル用対向基板を用いて液晶表示パネルを製造することを特徴とする液晶表示パネルの製造方法である。
【0035】
この構成をとることにより、誤作動が起きない信頼性の高い液晶表示パネルを製造することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る対向基板の断面の模式図であり、図2、3は、本発明の異なる実施の形態に係るマイクロレンズ基板付き対向基板の断面の模式図であり、図4は、本発明の実施例1に係る対向基板のブラックマトリックスをオージェ分析法により分析した結果である。尚、各図において、相当する部分には同一の番号を付して示した。
【0037】
(対向基板)
まず、図1に示す対向基板について説明する。
対向基板100は、ガラス基板10、ブラックマトリックス20を有し、さらにブラックマトリックス20は、高い反射率を有する部材(以下、高反射膜21と記載する。)、前記高い反射率を有する高反射膜21よりも低い反射率を有する部材(以下、低反射膜25と記載する。)、高反射膜の成分と低反射膜の成分が混在する領域23より構成されている。
尚、通常、ブラックマトリックスを覆うように透明導電膜を形成して対向基板とする。以下、透明導電膜についての説明は省略する。
【0038】
そして、透光性基板としての透明なガラス基板10上に、駆動基板(図示せず)のスイッチング素子と、各スイッチング素子を結ぶ配線に対応した領域にブラックマトリックス20がマトリックス状に形成されている。ガラス基板10には、透明な石英基板、無アルカリガラス基板等が好適に用いられる。ブラックマトリックス20のガラス基板10面側には、高反射膜21が形成され、一方、図示されていない駆動基板側には、低反射膜25が形成されている。この高反射膜21と低反射膜25との間には、高反射膜の成分と低反射膜の成分が混在する領域23が有り、この領域では、高反射膜の成分と低反射膜の成分が、段階的および/または連続的に組成変化する様に形成されている。ここで少なくとも、高反射膜21と高反射膜の成分と低反射膜の成分が混在する領域23、低反射膜25とで構成されるブラックマトリックス20の光学濃度は3以上、好ましくは4以上である。
以下、高反射膜21、低反射膜25、高反射膜の成分と低反射膜の成分が混在する領域23、これらの膜の好ましい成膜方法の例、ブラックマトリックスの形成、およびマイクロレンズ基板付き対向基板について説明する。
【0039】
(高反射膜)
高反射膜21の反射率は、高い方がパネルの温度上昇が少ないことから、可視光の波長領域(300〜700nm)において70%以上が好ましく、さらに好ましくは80%以上、さらに加えて好ましくは90%以上である。
【0040】
高反射膜21にはNi、Ag、Pt、Al等の金属、およびPd等の添加金属を少量含んだAl合金、Ag合金が好ましく用いられる。
特に、高反射膜21にAlやAl合金を用いることにより、可視光の波長域である380nmから700nm迄の波長域で光の反射率が高く、また反射率の波長依存性が少なく均一な反射率を得ることができる。さらに、後述する低反射膜25との密着性がよく、また微細なパターンのブラックマトリックス20が形成でき好ましい。
高反射膜21の膜厚は、100Å以上800Å以下が好ましい。100Å未満だと反射率70%以上の高い反射率が得られ難く、製造時の成膜条件によって反射率の変動が大きくなるので好ましくなく、一方、800Åを超えると低反射膜25との剥離が発生することがあるからである。
【0041】
(低反射膜)
低反射膜25の反射率は、低い方が液晶セル内における迷光の反射を少なくすることができることから30%以下が好ましく、さらに好ましくは20%以下、さらにくわえて好ましくは10%以下である。
低反射膜25にはCr、Ni、Si、Ge等の金属やこれら金属の金属酸化物、金属窒化物、金属酸化窒化物、あるいはTi、Cr、W、Ta、MoおよびPd等の高融点金属シリサイド、たとえばWSi(タングステンシリサイド)やMoSi(モリブデンシリサイド)の酸化物、窒化物、酸化窒化物、あるいはカーボン、あるいは黒色の有機色素が好適に用いられる。そして、ガラス基板10に高反射膜21を形成後、高反射膜21上にスパッタリングや蒸着により均一な薄膜として形成するのが好適である。
【0042】
特に、低反射膜25へ、CrやNi、その金属酸化物である酸化クロムや酸化ニッケル、金属酸化窒化物である酸化窒化クロムや酸化窒化ニッケルを用いると、前述した高反射膜21との密着性がよく、また、微細なパターンのブラックマトリックス20が形成できるので好ましい。そして、低反射膜25に含有される金属の酸化物や窒化物、酸化窒化物等は、高反射膜21側から駆動基板側へ向けて、段階的および/または連続的に、酸化度および/または窒化度が増加する構成とすることで、前記密着性を落とすことなく光学的特性を向上させることができ好適である。
【0043】
そして、低反射膜25として前記金属酸化物、前記金属窒化物、前記金属酸化窒化物の薄膜を用いる場合、これら金属化合物の成膜の際に、膜中へ酸素および/または窒素を導入し、所望の組成を有する金属酸化物、金属窒化物、金属酸化窒化物を形成する方法、あるいは金属を成膜後、酸素および/または窒素雰囲気下で加熱して所望の金属酸化物、金属窒化物、金属酸化窒化物を形成する方法、さらには金属酸化物、金属窒化物、金属酸化窒化物のターゲット材を用いて、所望の金属酸化物、金属窒化物、金属酸化窒化物の薄膜をスパッタリングにより形成する方法が好適である。
【0044】
さらに、低反射膜25として、前記金属やこれら金属の金属酸化物や金属窒化物や金属酸化窒化物の薄膜を用いると、膜厚が薄くても遮光性が高く、かつ反射率を低くできるのに加え、液晶表示パネルの駆動を妨害するアルカリ金属を含んでいないので、液晶表示パネル用の遮光性膜として最適である。
低反射膜25の膜厚は、80Å以上2000Å以下が好ましい。80Å未満だと反射率30%以下の低い反射率が得られ難く、一方、2000Åを超えると反射率は一定であることに加え、高反射膜21との剥離が発生することがあるからである。
【0045】
一方、低反射膜25として前記高融点金属シリサイドを用いる場合、高融点金属シリサイド化合物のターゲット材を用いて、所望の高融点金属シリサイド薄膜をスパッタリングにより形成する方法、あるいは高融点金属膜とSi膜を蒸着やスパッタリング法により形成した後、加熱して高融点金属シリサイド化合物薄膜へ形成する方法も好ましい。
【0046】
(高反射膜の成分と低反射膜の成分が混在する領域)
高反射膜21と低反射膜25との間に、両反射膜の成分が混在する領域23が形成されている。この混在する領域23において、ガラス基板10側から駆動基板側(図示していない。)に向かって、高反射膜21の成分が段階的および/または連続的に減少するか、または低反射膜25の成分が段階的および/または連続的に増加するか、または高反射膜21の成分が段階的および/または連続的に減少し、且つ低反射膜25の成分が段階的および/または連続的に増加するように形成することが好ましい。
【0047】
いずれの構成を採っても、ブラックマトリックス20が入射光に照射された際に、高反射膜21と低反射膜25との間の界面で発生する応力を、低減することができる。
さらに、高反射膜21と低反射膜25とを有する遮光性膜をエッチングしてブラックマトリックス20を形成する際も、高反射膜21と低反射膜25との間の明確な界面が存在しないので、エッチング率の差(エッチングレートの格差)に起因するギザギザ状の段差の発生を抑制できる。
また、前記遮光性膜の、ガラス基板10側端および駆動基板側端以外は全て、この混在する領域23としてしまう構成とすることもできる。
さらに、低反射膜25として用いた金属酸化物や金属窒化物や金属酸化窒化物を用いた場合は、この混在する領域23を設けることにより、高反射膜21と低反射膜25との密着性を大きく向上させることができる。
【0048】
(高反射膜、低反射膜、および高反射膜の成分と低反射膜の成分が混在する領域の成膜方法)
(成膜方法1)
この高反射膜21の成分と低反射膜25の成分が混在する領域23における組成が段階的および/または連続的に変化するように形成する成膜方法として、まず、高反射膜21と低反射膜25とを形成した後に高温で熱処理し、高反射膜21と低反射膜25との界面において、高反射膜21を形成する物質と低反射膜25とを形成する物質とを相互に熱拡散させ、段階的および/または連続的な組成変化を実現し、高反射膜の成分と低反射膜の成分が混在する領域23を形成する成膜方法を用いることができる。
【0049】
(成膜方法2)
あるいは、高反射膜21と低反射膜25とを、互いに反応し化合物を形成する物質で成膜した後、加熱等により、高反射膜21と低反射膜25との界面で反応を起こさせることにより、段階的および/または連続的な組成変化を実現し、高反射膜の成分と低反射膜の成分とが混在する領域23を形成する成膜方法を用いることができる。
例えば、低反射膜25をSiまたはSi化合物で形成し、高反射膜21をW、Ni、Cr、Al等のSiと反応する物質で形成し加熱すればよい。
【0050】
(成膜方法3)
さらに、高反射膜21と、低反射膜25とをスパッタ法によりガラス基板上に連続して形成する際、前記ガラス基板10上で高反射膜21を形成するスパッタ粒子と前記低反射膜25を形成するスパッタ粒子とを重ね合せて(混ぜ合わさって)スパッタする成膜方法がある。
この成膜方法によれば、ブラックマトリックス20の断面方向すなわち膜厚方向において、高反射膜21の構成物質と低反射膜25の構成物質とを、段階的および/または連続的かつ任意の割合で組成変化させることができるので、高反射膜21と低反射膜25との界面での剥離がなく、耐久性の良い遮光性膜が形成される上、微細なパターンのブラックマトリックス20が形成できる。
【0051】
ここで、前記高反射膜21を形成するスパッタ粒子と低反射膜25を形成するスパッタ粒を重ね合わせる(混ぜ合わさる)成膜方法として、例えば、高反射膜21を形成するターゲット材と低反射膜25を形成するターゲット材とを近接して載置する方法、あるいはターゲット材と基板間との距離を長くして、基板上でスパッタ粒子が重なり合う(混ぜ合わさる)部分が生じさせる方法等が好適である。
特に、1つのターゲット材に、高反射膜21を形成するターゲット材と低反射膜25とを形成するターゲット材とを並べる方法は、1つのターゲット材で高反射膜21と低反射膜25とを形成でき、かつ高反射膜21を形成するターゲット材と低反射膜25とを形成するターゲット材との幅を制御することにより、高反射膜21と低反射膜25の膜厚も制御できる極めて優れた方法である。
【0052】
(ブラックマトリックスの形成)
以上、説明した成膜方法等により、ガラス基板10上に、高反射膜21であるAlやAl合金薄膜をスパッタリングまたは蒸着法により形成し、さらに、このAlやAl合金薄膜の上に、Alと、低反射膜25の成分であるCrやCr合金のCrとが、段階的および/または連続的に組成が変化し混在する領域23を形成し、さらにその上に低反射膜25であるCrやCr合金を形成して遮光性膜を得る。
得られた遮光性膜を、レジスト膜として感光性樹脂を用いたフォトリソグラフィおよびエッチングにより前記低反射膜25をパターニングし、アルカリ性水溶液で感光性樹脂を除去すると同時に前記高反射膜21であるAlやAl合金薄膜をエッチングして、ブラックマトリックス20を形成する(構成10)に記載の製造方法は、高反射膜21であるAlやAl合金薄膜をエッチングする工程において、低反射膜25をエッチングマスクとしてエッチングが進行するため、ブラックマトリックス20のエッジ形状がシャープになり好ましい。
その上、高反射膜21であるAlやAl合金薄膜のエッチングとパターニングされた感光性樹脂の除去が同時に行える等、利点の多い優れた方法である。
【0053】
(マイクロレンズ基板付き対向基板)
次に、図2、3を用いて、マイクロレンズ基板付き対向基板について説明する。
図2に示すマイクロレンズ基板付き対向基板200について説明する。
マイクロレンズ基板付き対向基板200は、ガラス基板10、ブラックマトリックス20、底壁面が曲面をなす凹部32を有するガラス基板31、高屈折媒質33を有しており、さらにブラックマトリックス20は、高反射膜21と低反射膜25と、高反射膜の成分と低反射膜の成分が混在する領域23より構成されており、底壁面が曲面をなす凹部32を有するガラス基板31とガラス基板とは、高屈折媒質33を挟んだ構造を有し、ここに、凸レンズの機能を有するマイクロレンズ35が多数形成されマイクロレンズアレイを構成している。
すなわち、マイクロレンズ基板付き対向基板200は、上述した対向基板100とガラス基板31との間に高屈折率媒質33を挟んだ構造を有し、ここに、凸レンズの機能を有するマイクロレンズ35が形成された構造を有している。
そして、底壁面が曲面をなす凹部32は、ブラックマトリックス20の開口の中心と、各マイクロレンズ35の凹部32の中心軸とが一致するように形成しておく。
【0054】
上述したようにマイクロレンズ基板を設けることにより、液晶表示パネル用対向基板に入射する入射光は、ガラス基板31を通過後、さらにマイクロレンズ35を通過する際に光束が絞られる。その結果、大部分の入射光はブラックマトリックス20の開口部分を通過し、さらに駆動基板上に形成されたTFT(スイッチング素子)を照射することなく、駆動基板を通過する。
この結果、ブラックマトリックス20にかかる入射光による熱的負担が軽減され、駆動基板上に形成されたTFT(スイッチング素子)にかかる迷光が削減されるので、誤作動が起きない信頼性の高い液晶表示パネル用対向基板が得られるとともに、光の利用効率を高めることができるので明るい良好な画像を得ることができる。
【0055】
図3に示すマイクロレンズ基板付き対向基板300について説明する。
マイクロレンズ基板付き対向基板300は、ガラス基板10、ブラックマトリックス20、頂上壁面が曲面をなす凸部42を有するガラス基板41、低屈折媒質43を有しており、さらにブラックマトリックス20は、高反射膜21と低反射膜25と、高反射膜の成分と低反射膜の成分が混在する領域23より構成されており、頂上壁面が曲面をなす凸部42を有するガラス基板41とガラス基板10とは、低屈折媒質43を挟んだ構造を有し、ここに、凸レンズの機能を有するマイクロレンズ45が多数形成されマイクロレンズアレイを構成している。
すなわち、マイクロレンズ基板付き対向基板300は、上述した対向基板100とガラス基板41との間に低屈折率媒質43を挟んだ構造を有し、ここに、凸レンズの機能を有するマイクロレンズ45が形成された構造を有している。
そして、、頂上壁面が曲面をなす凸部42は、ブラックマトリックス20の開口の中心に、各マイクロレンズ45の凸部42の中心軸が位置するように形成しておく。
すると入射光の光束は、上述したマイクロレンズ基板付き対向基板200の場合と同様に、マイクロレンズ45を通過する際に絞られ、殆どの光はブラックマトリックス20の間隙と液晶表示パネル内を通過し、さらに駆動基板上に形成されたTFT(スイッチング素子)を照射することなく、駆動基板を通過する。
この結果、ブラックマトリックスにかかる入射光による熱的負担が軽減され、駆動基板上に形成されたTFT(スイッチング素子)にかかる迷光が削減されるので、誤作動が起きない信頼性の高い液晶表示パネル用対向基板が得られるとともに、光の利用効率を高めることができるので明るい良好な画像を得ることができる。
【0056】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
(実施例1)
幅6インチのターゲット材で、基板搬入側でAlを2インチの幅としたAlターゲット材と、基板搬出側でCrを4インチの幅としたCrターゲット材とを1インチの間隔で近接させたインラインスパッタ装置仕様のターゲット材を、インラインスパッタ装置へ設置した。
このインラインスパッタ装置を用い、さらに、窒化Cr薄膜の成膜は、スパッタ成膜中において、基板搬出側から窒素を含むアルゴンガスを流しながら成膜をおこなって、厚み1.1mmの無アルカリガラス基板(NA35:NHテクノグラス社製)10上に、Al薄膜21を膜厚200Å、窒化Cr薄膜を膜厚800Åに形成した。尚、このときAl薄膜と窒化Cr薄膜との間にAlとCrを有し、無アルカリガラス基板の表面より駆動基板側へ向けてAlが連続的に減少し、Crが連続的に増加するAlとCrを有する混合領域が形成された。
【0057】
この窒化Cr薄膜上に感光性樹脂(レジスト)をスピンコート法により5000Åの厚みで塗布し、さらにフォトマスクを用い、幅4μm、ピッチ26μmのマトリックス状のレジスト膜を形成した。
このマトリックス状のレジスト膜を形成した基板を、Crエッチング液(和光純薬社製HY液)に浸漬して窒化Cr薄膜をエッチングし、次いで、感光性樹脂の除去液であるアルカリ性水溶液に浸漬し、感光性樹脂を除去すると同時にAl薄膜をエッチングしてブラックマトリックスとし、液晶表示パネル用の対向基板を得た。
【0058】
図4は、得られた液晶表示パネル用の対向基板のブラックマトリックスをオージェ分析法により分析した結果である。
縦軸は、ブラックマトリックス中に存在する元素からの信号の相対強度を示す。横軸は、ブラックマトリックス中の分析位置を示し、左側は駆動基板に対向する面であり、右側は無アルカリガラス基板に接する面である。
【0059】
図4から明らかなように、無アルカリガラス基板上に、高反射膜21であるAl薄膜が形成され、このAl薄膜の上に、Alと、低反射膜25の成分であるCrとが、連続的に組成が変化し混在する領域23を形成し、さらにその上に低反射膜25であるCr薄膜が形成されており、Al薄膜と窒化Cr薄膜との間には界面が存在していない。
【0060】
得られた液晶表示パネル用の対向基板は、ガラス面側からの反射率(即ち、対向基板の入射光側表面(入射側のガラス基板表面反射+入射側のAl薄膜表面反射))は91%、駆動基板側からの反射率(即ち、窒化Cr膜表面の反射率)は8%であった。
この液晶表示パネル用の対向基板を100サンプル準備し、次に記載するセロハン粘着テープ剥離試験による膜付着力評価を実施した。
まず、液晶表示パネル用の対向基板のサンプルへ、120℃(30分)←→−55℃(30分)の高温低温の環境試験を1000サイクル行った。
この後、対向基板に形成されたブラックマトリックスに対し、セロハン粘着テープによる剥離試験を行った。
その結果、高反射膜と低反射膜との剥離は、全く起きなかった(0個/100サンプル)。
【0061】
尚、セロハン粘着テープによる剥離試験とは、JISZ1522に規定された粘着テープで幅12〜19mmのものを、対向基板に形成されたブラックマトリックスに張り付ける。次にこの粘着テープをブラックマトリックスの膜面と垂直になるように強く引っ張り、粘着テープを瞬間に引き剥がす。そしてこのときのブラックマトリックスの剥離状態を評価する試験である。
【0062】
また、ブラックマトリックスのパターン断面を電子顕微鏡にて観察したところ、高反射膜と低反射膜とが連続的に徐々に組成変化しているので、各層において段差は認められず、シャープなパターンが得られていることが確認された。この結果、駆動基板側から観察したパターンエッジ部分は非常に滑らかで、形成されたブラックマトリックスの寸法精度も良好であった。
【0063】
上記作製した液晶表示パネル用の対向基板を用いて液晶表示パネルを製造し、投射光を照射した結果、誤作動を起こさないことが判明した。
【0064】
(実施例2)
厚み1.1mmの石英ガラス基板上に、蒸着法によりPdを1at%含むAg薄膜を厚さ800Åで形成し高反射膜とした。次にスパッタリング法により、Ag薄膜上にNi薄膜を1200Åの厚みで形成し低反射膜とした。
さらに、このAg薄膜とNi薄膜とが形成された石英ガラス基板を、酸素を5vol%含む酸素窒素雰囲気中にて600℃で1時間加熱し、Ag薄膜とNi薄膜との界面において熱拡散により、AgとNiを有し、無アルカリガラス基板表面より駆動基板側へ向けてAgが連続的に減少し、Niが連続的に増加する混合領域を形成した。
このとき、Ni薄膜表面は加熱処理雰囲気中の酸素および窒素により酸化窒化され、酸化窒化Niが形成された。
【0065】
この基板の酸化窒化Ni薄膜上に、感光性樹脂(レジスト)をスピンコート法により5000Åの厚みで塗布し、さらにフォトマスクを用い、幅4μm,ピッチ26μmのマトリックス状のレジスト膜を形成した。
このマトリックス状のレジスト膜を形成した基板を、塩化第二鉄溶液に浸漬し、酸化窒化Ni薄膜をエッチングした後、Arガス雰囲気中でAg薄膜をドライエッチングで除去した。そしてアルカリ性水溶液中にてレジスト膜を溶解除去してブラックマトリックスとし、液晶表示パネル用の対向基板を得た。
【0066】
上述の工程より得られた液晶表示パネル用の対向基板において、ガラス面側からの反射率(即ち、対向基板の入射光側表面(入射側のガラス基板表面反射+入射側のAg薄膜表面反射))は86%、駆動基板側からの反射率(即ち、酸化窒化Ni薄膜表面の反射率)は27%であった。
この液晶表示パネル用の対向基板を100サンプル準備し、実施例1と同様にセロハン粘着テープ剥離試験による膜付着力評価を実施した。
その結果、高反射膜と低反射膜との剥離は、全く起きなかった(0個/100サンプル)。
【0067】
また、実施例1と同様に、ブラックマトリックスのパターン断面を電子顕微鏡にて観察したところ、高反射膜と低反射膜とが連続的に徐々に組成変化しており、各層において段差は認められず、シャープなパターンが得られていることが確認された。この結果、駆動基板側から観察したパターンエッジ部分は非常に滑らかで、形成されたブラックマトリックスの寸法精度も良好であった。
【0068】
上記作製した液晶表示パネル用の対向基板を用いて液晶表示パネルを製造し、投射光を照射した結果、誤作動を起こさないことが判明した。
【0069】
(実施例3)厚み1.1mmの石英ガラス基板上に、蒸着法によりAl薄膜を厚さ300Åで形成して高反射膜とし、次にスパッタリング法によりSi薄膜を100Å形成し、その上にCr薄膜を800Åの厚みで形成して低反射膜とした。
さらに、このAl薄膜とSi薄膜とCr薄膜とが形成された基板を、一酸化窒素を0.1vol%含むアルゴンガス雰囲気中にて600℃で1時間加熱し、Al薄膜とCr薄膜の間に、AlとSiとの化合物層と、SiとCrとの化合物層とを有する領域を形成した。尚、このとき、Cr薄膜表面は加熱処理雰囲気中の一酸化窒素により酸化窒化され、酸化窒化Crが形成された。
【0070】
この基板の酸化窒化Cr薄膜上に、感光性樹脂(レジスト)をスピンコート法により5000Åの厚みで塗布し、さらにフォトマスクを用い、幅4μm,ピッチ26μmのマトリックス状のレジスト膜を形成した。
次に、マトリックス状のレジスト膜を形成した基板を、塩化第2鉄溶液に浸漬し、次いで、燐酸と硝酸の混合溶液に浸漬し、酸化窒化Cr薄膜と、AlとSiとの化合物層とSiとCrとの化合物層とからなる領域と、Al薄膜とをエッチングした後、最後にアルカリ性水溶液中にてレジスト膜を溶解除去してブラックマトリックスとし、液晶表示パネル用の対向基板を得た。
【0071】
上述の工程により得られた液晶表示パネル用の対向基板はガラス面側からの反射率(即ち、対向基板の入射光側表面(入射側のガラス基板表面反射+入射側のAl薄膜表面反射))は82%、駆動基板側からの反射率(即ち、酸化窒化Cr薄膜表面の反射率)は12%であった。
この液晶表示パネル用の対向基板を100サンプル準備し、実施例1と同様にセロハン粘着テープ剥離試験による膜付着力評価を実施した。
その結果、高反射膜と低反射膜との剥離は、全く起きなかった(0個/100サンプル)。
【0072】
また、実施例1と同様に、ブラックマトリックスのパターン断面を電子顕微鏡にて観察したところ、高反射膜と低反射膜とが連続的に徐々に組成変化しており、各層において段差は認められず、シャープなパターンが得られていることが確認された。この結果、駆動基板側から観察したパターンエッジ部分は非常に滑らかで、形成されたブラックマトリックスの寸法精度も良好であった。
【0073】
上記作製した液晶表示パネル用の対向基板を用いて液晶表示パネルを製造し、投射光を照射した結果、誤作動を起こさないことが判明した。
【0074】
(実施例4)
幅6インチのターゲット材で、基板搬入側でAlを2インチの幅としたAlターゲット材と、基板搬出側でCr酸化物を4インチの幅としたCr酸化物ターゲット材とを1インチの間隔で近接させたインラインスパッタ装置仕様のターゲット材を、インラインスパッタ装置へ設置した。
このインラインスパッタ装置を用い、厚み1.1mmの無アルカリガラス基板(NA35:NHテクノグラス社製)上に、Al薄膜を膜厚100Å、酸化Cr薄膜を膜厚800Åに形成した。尚、このときAl薄膜と酸化Cr薄膜との間にAlとCrを有し、無アルカリガラスの表面より駆動基板側へ向けてAlが連続的に減少し、Crが連続的に増加するAlとCrを有する混合領域が形成された。
【0075】
この酸化Cr薄膜上に、感光性樹脂(レジスト)をスピンコート法により5000Åの厚みで塗布し、フォトマスクを用い、幅4μm,ピッチ26μmのマトリックス状のレジスト膜を形成した。
次に、このマトリックス状のレジスト膜を形成した基板を、Crエッチング液(和光純薬社製HY液)に浸漬し、次いで、燐酸と硝酸の混合溶液に浸漬し、酸化Cr薄膜、AlとCrを有する混合領域、Al薄膜をエッチングし、最後にアルカリ水溶液中にてレジスト膜を溶解除去し、液晶表示パネル用の対向基板を得た。
【0076】
得られた液晶表示パネル用の対向基板は、ガラス面側からの反射率(即ち、対向基板の入射光側表面(入射側のガラス基板表面反射+入射側のAl薄膜表面反射))は87%、駆動基板側からの反射率(即ち、酸化Cr薄膜表面の反射率)は16%であった。
この液晶表示パネル用の対向基板を100サンプル準備し、実施例1と同様にセロハン粘着テープ剥離試験による膜付着力評価を実施した。
その結果、高反射膜と低反射膜との剥離は、全く起きなかった(0個/100サンプル)。
【0077】
また、実施例1と同様に、ブラックマトリックスのパターン断面を電子顕微鏡にて観察したところ、高反射膜と低反射膜とが連続的に徐々に組成変化しており、各層において段差は認められず、シャープなパターンが得られていることが確認された。この結果、駆動基板側から観察したパターンエッジ部分は非常に滑らかで、形成されたブラックマトリックスの寸法精度も良好であった。
【0078】
上記作製した液晶表示パネル用の対向基板を用いて液晶表示パネルを製造し、投射光を照射した結果、誤作動を起こさないことが判明した。
【0079】
(実施例5)
インラインスパッタ装置へ4種類のターゲット材を設置した。4種類のターゲット材は、インラインスパッタ装置の基板搬入側より、第1ターゲットとしてAlターゲット材を設置し、以下、基板搬出側へ向かって、第2ターゲットとしてAl−Cr混合物ターゲット材(Al:70at%、Cr:30at%)、第3ターゲットとしてCr−Al混合物ターゲット材(Cr:70at%、Al:30at%)、第4ターゲットとしてCrターゲット材を設置した。
このインラインスパッタ装置を用い、厚み1.1mmの無アルカリガラス基板(NA35:NHテクノグラス社製)上に、第1ターゲットでAl薄膜を膜厚100Å、第2ターゲットでAl−Cr混合物を含むAl−Cr薄膜(Al含有量>Cr含有量)を膜厚200Å、第3ターゲットでCr−Al混合物を含むCr−Al薄膜(Cr含有量>Al含有量)を膜厚300Å、第4ターゲットで酸化クロム薄膜を膜厚400Å形成した。
このとき、第1〜3ターゲットによるスパッタ成膜はアルゴンガス雰囲気中で、第4ターゲットによるスパッタ成膜は酸素を含むアルゴンガス雰囲気中でおこなった。
そして、無アルカリガラスの表面より駆動基板側へ向けてAlが段階的に減少し、Crが段階的に増加するAlとCrとを有する混合領域が形成された。
【0080】
この形成された薄膜上に感光性樹脂(レジスト)をスピンコート法により5000Åの厚みで塗布し、さらにフォトマスクを用い、幅4μm、ピッチ26μmのマトリックス状のレジスト膜を形成した。
次に、マトリックス状のレジスト膜を形成した基板を、Crエッチング液(和光純薬社製HY液)に浸漬し、次いで、燐酸と硝酸の混合溶液に浸漬し、酸化Cr薄膜、混合領域、Al薄膜をエッチングし、最後にアルカリ性水溶液にレジスト膜を溶解除去し、液晶表示パネル用の対向基板を得た。
【0081】
得られた液晶表示パネル用の対向基板は、ガラス面側からの反射率は88%(即ち、対向基板の入射光側表面(入射側のガラス基板表面反射+入射側のAl薄膜表面反射))、駆動基板側からの反射率(即ち、酸化Cr薄膜表面の反射率)は16%であった。
この液晶表示パネル用の対向基板を100サンプル準備し、実施例1と同様にセロハン粘着テープ剥離試験による膜付着力評価を実施した。
その結果、高反射膜と低反射膜との剥離は、2個/100サンプルで、実用上問題のない結果であった。
【0082】
また、実施例1と同様に、ブラックマトリックスのパターン断面を電子顕微鏡にて観察したところ、高反射膜と低反射膜とが段階的に徐々に組成変化しており、各層において僅かな段差が認められたが、ブラックマトリックス全体としては、シャープなパターンが得られていることが確認された。この結果、駆動基板側から観察したパターンエッジ部分は僅かな段差はあるものの、形成されたブラックマトリックスの寸法精度は、実用上問題のないものであった。
【0083】
上記作製した液晶表示パネル用の対向基板を用いて液晶表示パネルを製造し、投射光を照射した結果、誤作動を起こさないことが判明した。
【0084】
(実施例6)
等方エッチングにより底壁面が曲面をなす多数の凹部が形成されたガラス基板に高屈折率樹脂を供給し、高屈折率樹脂を介してカバーガラス基板を接合してマイクロレンズアレイとしたマイクロレンズ基板を準備した。このマイクロレンズ基板のカバーガラス基板上に、実施例1と同様の方法によりブラックマトリックスを形成して、マイクロレンズ基板付き液晶表示パネル用対向基板を作製した。
【0085】
得られたマイクロレンズ基板付き液晶表示パネル用の対向基板は、ガラス面側からの反射率は91%(即ち、対向基板の入射光側表面(入射側のガラス基板表面反射+入射側のAl薄膜表面反射))、駆動基板側からの反射率(即ち、窒化Cr膜表面の反射率)は8%であった。
このマイクロレンズ基板付き液晶表示パネル用の対向基板を100サンプル準備し、実施例1と同様にセロハン粘着テープ剥離試験による膜付着力評価を実施した。
その結果、高反射膜と低反射膜との剥離は、全く起きなかった(0個/100サンプル)。
【0086】
また、実施例1と同様に、ブラックマトリックスのパターン断面を電子顕微鏡にて観察したところ、高反射膜と低反射膜とが連続的に徐々に組成変化しており、各層において段差は認められず、シャープなパターンが得られていることが確認された。この結果、駆動基板側から観察したパターンエッジ部分は非常に滑らかで、形成されたブラックマトリックスの寸法精度も良好であった。
【0087】
上記作製した液晶表示パネル用の対向基板を用いて液晶表示パネルを製造し、投射光を照射した結果、誤作動を起こさないことが判明した。
【0088】
(比較例1)
厚み1.1mmの無アルカリガラス基板(NA35:NHテクノグラス社製)上に、インラインスパッタ装置を用いてAl薄膜形成用成膜室でAl薄膜を膜厚300Åに形成した後、Al薄膜形成用成膜室から基板を取りだし、Cr薄膜形成用成膜室でCr膜厚を膜厚800Åに形成した。
【0089】
このCr薄膜上に感光性樹脂をスピンコート法により5000Åの厚みで塗布し、さらにフォトマスクを用い、幅4μm、ピッチ26μmのマトリックス状のレジスト膜を形成した。
次に、マトリックス状のレジスト膜を形成した基板を、Crエッチング後(和光純薬社製HY液)に浸漬してCr薄膜をエッチングし、次いで、燐酸と硝酸の混合溶液でAl薄膜をエッチングし、最後にアルカリ性水溶液にて感光性樹脂を溶解除去し、液晶表示用の対向基板を得た。
【0090】
得られた液晶表示パネル用の対向基板は、ガラス面側からの反射率は87%(即ち、対向基板の入射光側表面(入射側のガラス基板表面反射+入射側のAl薄膜表面反射))、駆動基板側からの反射率(即ち、Cr薄膜表面の反射率)は60%であった。
この液晶表示パネル用の対向基板を100サンプル準備し、実施例1と同様にセロハン粘着テープ剥離試験による膜付着力評価を実施した。
その結果、高反射膜と低反射膜との剥離は、15個/100サンプルであった。
【0091】
また、実施例1と同様に、ブラックマトリックスのパターン断面を電子顕微鏡にて観察したところ、高反射膜と低反射膜との境界で大きな段差が確認され、駆動基板側から観察したパターンエッジ部分がぎざぎざ状になっていた。
【0092】
上記作製した液晶表示パネル用の対向基板を用いて液晶表示パネルを製造し、投射光を照射した結果、対向基板の高反射膜と低反射膜とが剥離をおこし、液晶表示パネルの誤作動が起きた。
【0093】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明は、液晶表示パネルに用いられる対向基板上のブラックマトリックスを構成する高い反射率を有する部材で構成された部分と、前記高い反射率を有する部材よりも低い反射率を有する部材とが、発生する応力により膜剥れすることなく、加えて、ブラックマトリックスのパターン形状に段差がなく寸法精度が良好なものとするため、高い反射率を有する部材で構成された部分と、前記高い反射率を有する部材よりも低い反射率を有する部材で構成された部分との間に、前記高い反射率を有する部材と、前記高い反射率を有する部材よりも低い反射率を有する部材とが混在する部分を有することを特徴とする液晶表示パネル用対向基板を発明した。
この結果、前記剥離や前記段差の発生は抑制され、誤作動が起きない信頼性の高い液晶表示パネル用対向基板および液晶表示パネルを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る対向基板の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るマイクロレンズ基板付き対向基板の断面図である。
【図3】本発明の異なる実施の形態に係るマイクロレンズ基板付き対向基板の断面図である。
【図4】対向基板のブラックマトリックスをオージェ分析法により分析した結果である
【符号の説明】
10…ガラス基板、20…ブラックマトリックス、21…高反射膜、23…高反射膜と低反射膜の成分が混在する領域、25…低反射膜、100…対向基板。
Claims (13)
- 複数の画素電極と、前記複数の画素電極を個々にスイッチング駆動する複数のスイッチング素子を有する駆動基板と、前記駆動基板より所定の間隙を介して対向設置された対向基板と、前記所定の間隙に保持された液晶とを有する液晶表示パネルに用いられる前記対向基板であって、
前記液晶表パネルは液晶プロジェクターに搭載されるものであり、
前記対向基板は、透光性を有する基板上に、少なくとも前記スイッチング素子に対応した領域、前記液晶表示パネルを駆動する駆動回路に対応した領域の何れか一方又は両方にフォトリソグラフィー法により形成されたパターン形状の遮光性膜が形成されており、
前記遮光性膜は、前記透光性を有する基板側が高い反射率を有する部材で構成され、前記駆動基板側が前記高い反射率を有する部材よりも低い反射率を有する部材で構成されており、前記高い反射率を有する部材で構成された部分と、前記低い反射率を有する部材で構成された部分との間に、前記高い反射率を有する部材と、前記低い反射率を有する部材とが混在する部分を有するとともに、前記高い反射率を有する部材の主成分がAlであり、前記低い反射率を有する部材の主成分がCr及び/又はNiであることを特徴とする液晶表示パネル用対向基板。 - 前記高い反射率を有する部材と、前記低い反射率を有する部材とが混在する部分において、前記透光性を有する基板側より前記駆動基板側へ向けて、前記高い反射率を有する部材の成分が、段階的および/または連続的に減少するか、または前記低い反射率を有する部材の成分が、段階的および/または連続的に増加するか、または前記高い反射率を有する部材の成分が、段階的および/または連続的に減少し、且つ前記低い反射率を有する部材の成分が、段階的および/または連続的に増加することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネル用対向基板。
- 前記遮光性膜は、前記高い反射率を有する部材の成分と前記低い反射率を有する部材の成分とが、連続的に組成変化している膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示パネル用対向基板。
- 前記低い反射率を有する部材において、前記駆動基板側に酸素および/または窒素が含まれていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液晶表示パネル用対向基板。
- 前記低い反射率を有する部材において、前記酸素および/または窒素が、前記駆動基板側から前記透光性を有する基板側に向かうに従って連続的に減少していることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示パネル用対向基板。
- 前記高い反射率を有する部材の反射率が70%以上、前記低い反射率を有する部材の反射率が30%以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の液晶表示パネル用対向基板。
- 前記透光性を有する基板において、前記対向基板に光が入射する側に、マイクロレンズを形成した基板が設けられており、前記マイクロレンズは、前記画素電極に前記光が投射されるように形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の液晶表示パネル用対向基板。
- 請求項1から7のいずれかに記載の液晶表示パネル用対向基板を用いて製造されことを特徴とする液晶表示パネル。
- 前記高い反射率を有する部材と前記低い反射率を有する部材とが混在する部分は、前記高い反射率を有する部材と低い反射率を有する部材とのエッチングレートの格差が小さく、ぎざぎざ状の段差の発生を抑制させる程度に形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の液晶表示パネル用対向基板。
- 複数の画素電極と、前記複数の画素電極を個々にスイッチング駆動する複数のスイッチング素子を有する駆動基板と、前記駆動基板より所定の間隙を介して対向設置された対向基板と、前記所定の間隙に保持された液晶とを有する液晶表示パネルに用いられる前記対向基板の製造方法であって、
前記液晶表示パネルは液晶プロジェクターに搭載されるものであり、
前記対向基板は、透光性を有する基板上に、少なくとも前記スイッチング素子に対応した領域、前記液晶表示パネルを駆動する駆動回路に対応した領域の何れか一方又は両方にフォトリソグラフィー法により形成されたパターン形状の遮光性膜が形成されており、
前記遮光性膜は、前記透光性を有する基板側がAlを主成分とする高い反射率を有する部材で構成され、前記駆動基板側が前記高い反射率を有する部材よりも低い反射率を有するCr及び/又はNiを主成分とする部材で構成され、
前記高い反射率を有する部材と、前記低い反射率を有する部材とをスパッタリング法により、前記透光性を有する基板上に連続して形成し、
且つ、前記高い反射率を有する部材と、低い反射率を有する部材との間で、前記高い反射率を有する部材を形成するスパッタリング粒子と、前記低い反射率を有する部材を形成するスパッタリング粒子とが重なり合って成膜される部分が形成されるように成膜する遮光膜形成工程を有することを特徴とする液晶表示パネル用対向基板の製造方法。 - 前記遮光性膜形成工程の後、前記遮光性膜上に感光性樹脂膜を形成する工程と、前記感光性樹脂膜をフォトリソによってパターニングして、感光性樹脂膜パターンを形成する工程と、前記感光性樹脂膜パターンをマスクとして、前記低い反射率を有する部材をパターニングした後、アルカリ性溶媒により、前記感光性樹脂膜と、前記低い反射率を有する部材をマスクとして、前記高い反射率を有する部材を同時にエッチングにより除去し、遮光性膜パターンを形成する遮光性膜パターン形成工程とを有することを特徴とする請求項10記載の液晶表示パネル用対向基板の製造方法。
- 前記高い反射率を有する部材は、Al又はAl合金を含み、前記低い反射率を有する部材は、Cr又はCr合金を含むことを特徴とする請求項11記載の液晶表示パネル用対向基板の製造方法。
- 請求項12に記載の液晶表示パネル用対向基板の製造方法によって得られた液晶表示パネル用対向基板を用いて液晶表示パネルを製造することを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
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