JP3740028B2 - ばね平衡式弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧回路用リリーフ弁等に好適なばね平衡式弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、バランスピストン型リリーフ弁をはじめとするばね平衡式弁においては、圧縮コイルばねの弾発力によって弁体(リリーフ弁では例えばパイロット用弁体)が弁座に押付けられることにより閉弁状態が保たれ、導入される作動流体の圧力が一定以上のときに当該圧力によって前記弁体が前記圧縮コイルばねの弾発力に抗して弁座から開く(すなわち開弁する)ように構成されている。ここで、前記圧縮コイルばねは、例えば前記弁座側に開口するばね収容室内に収容され、この圧縮コイルばねと前記弁座との間に前記弁体が介在するように各部材が配置されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記のようなばね平衡式弁においては、前記弁体が弁座から離れた開弁時に当該弁体の保持状態が不安定となるため、この弁体が作動流体の圧力を受けて径方向(軸方向に直交する方向)に揺れるようにして振動しやすく、当該振動に起因して異音が発生するという不都合がある。
【0004】
なお、特開平11−159648号公報には、前記弁座が形成された弁孔内にパイロット用弁体と対向するピストンが軸方向に移動可能に装填されるとともに、一次圧が一定以上のときにその圧力によって前記ピストンが弁体を圧縮コイルばねの弾発力に抗して開弁側に押し戻すように構成されたバランスピストン型リリーフ弁において、その開弁時にピストンと弁体との接触箇所を支点として当該弁体が揺動するのを防ぐために、ピストンの端面形状を工夫して弁体を弁孔内周面側に押付けるようにしたものが開示されているが、かかる手段を用いても、弁体の動きを規制できるのは当該弁体先端のごく僅かな箇所のみであり、弁体を弁孔内周側に押付ける力は小さいため、前記弁体の振動に起因する異音の発生を十分に防ぐことは困難である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、開弁時における弁体の振動に起因する異音の発生を有効に抑止することができるばね平衡式弁を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記弁体の振動は、この弁体を支える圧縮コイルばねの径方向への揺動(弾性変形による揺動)を伴いながら弁体が揺れるようにしてなされる。従って、当該圧縮コイルばねの揺動を抑えることにより、これに支えられる弁体の揺動を有効に規制することが可能である。ただし、このような圧縮コイルばねの径方向への揺動を抑制する手段として、例えばばね収容室全体の内径を圧縮コイルばねの外径と全く同等もしくはそれよりも小さくして圧縮コイルばねを拘束するといった構造にすると、当該ばね収容室への圧縮コイルばねの組み込みが事実上困難となり、また仮に組み込みができたとしたところで、前記ばね収容室内で圧縮コイルばねがロックされてしまってその円滑な伸縮変形が妨げられ、作動不良を起こすおそれが生じる。
【0007】
本発明は、このような観点からなされたものであり、作動流体流通路を有してその開口端に弁座が形成された弁座部材を含む本体部材と、その弁座を開閉する方向に移動可能となるように設けられた弁体と、この弁体の後方に設けられ、前記弁座側に向かって開口するばね収容室を有するばね収容部材と、このばね収容部材のばね収容室内に圧縮変形状態で収容され、その弾発力によって前記弁体を前記閉位置側に押付ける圧縮コイルばねとを備え、前記作動流体の圧力が一定以上のときにその圧力によって前記弁体が前記圧縮コイルばねの弾発力に抗して開くように構成されたばね平衡式弁において、前記弁座部材を含む前記本体部材に前記ばね収容部材が固定され、このばね収容部材における前記ばね収容室内の少なくとも開口側部分に、ばね保持部材が配置され、前記ばね保持部材は、前記ばね収容部材を構成する材料及び圧縮コイルばねを構成する材料よりも弾性係数の低い材料からなり、前記圧縮コイルばねの外周面にその径方向外側から密着することにより当該圧縮コイルばねの前記弁座に対する径方向の移動を規制するものである。
【0008】
この構成によれば、ばね収容室内に設けられたばね保持部材と圧縮コイルばねとが密着した状態で当該圧縮コイルばねが保持される。すなわち、この圧縮コイルばねの弁座に対する径方向への揺動、ひいては、当該ばねに支えられる弁体の径方向の動きが有効に規制されるので、当該弁体の振動に起因する異音の発生が抑止される。
【0009】
ここで、前記ばね保持部材を設ける代わりに、その配設箇所と同じ箇所に前記圧縮コイルばねの外径よりも小さい内径を有する小径部をばね収容部材と一体に形成することも可能ではあるが、このばね収容部材は圧力容器であり、その構成材料には一定レベル以上の剛性や強度が要求されるため、このばね収容部材と一体に前記小径部を形成するとなると、当該小径部の内側にその内径よりも外径の大きい圧縮コイルばねを挿通することは極めて困難であり、従ってその組立を可能にするためには相当厳しい精度で小径部の内径を圧縮コイルばねの外径に合致させなければならず、現実的ではない。また、仮にその寸法精度管理及び組立ができたとしても、その小径部の内側面に圧縮コイルばねの外側面が密着することにより当該密着部分で圧縮コイルばねが前記小径部内周面から極めて大きな摺動抵抗を受けることとなり、当該ばねの円滑な伸縮動作は望めなくなる。
【0010】
これに対し、本発明は前記ばね収容部材に当該ばね収容部材及び圧縮コイルばねの構成材料よりも弾性係数の低い(すなわち弾性に富んだ)材料からなる別部材のばね保持部材が設けられた構成となっているため、当該ばね保持部材の内径がばね収容室の内径より多少小さくても、同部材の弾性変形を利用してその内側に大径の圧縮コイルばねを挿通することが可能であり、また挿通後の状態では、当該ばね保持部材の内周面に圧縮コイルばねの外周面が圧接していても、この圧縮コイルばねの伸縮による軸方向変位に追従して前記ばね保持部材が適宜弾性変形することにより、圧縮コイルばねの円滑な伸縮動作を保証することができる。
【0011】
すなわち、本発明では、組立の際に不都合を伴うことなく、かつ、圧縮コイルばねの円滑な伸縮動作を確保しながら、その圧縮コイルばねの径方向への揺動に起因する開弁時の弁体の振動を有効に抑止することが可能となっている。
【0012】
ここで、前記ばね保持部材の具体的な形状や構造は問わず、前記圧縮コイルばねを外側から密着状態でサポートできるものであればよいが、具体的には、前記圧縮コイルばねの外径と同等またはこれよりも小さい内径を有する筒状保持部を有し、この筒状保持部が前記ばね収容室内の少なくとも開口側部分に設けられているものが好適である。この構成によれば、前記圧縮コイルばねを全周にわたって前記筒状保持部の内周面に密着させることにより、同ばねを径方向外側からより安定した状態で保持することができる。また、ばね収容室内へのばね保持部材の組み付けも容易である。
【0013】
前記各部材の具体的な材質は問わないが、ばね保持部材は、前記のような弾性変形により圧縮コイルばねの円滑な動きを確保できる程度に弾性に富み、かつ、作動流体の圧力に耐え得る程度の強度をもったものが好ましい。具体的には、前記ばね収容部材及び圧縮コイルばねが金属材料で構成され、前記ばね保持部材が合成樹脂材料で構成されているものが好適である。
【0014】
前記ばね保持部材は例えば当該ばね収容室の軸方向全域にわたって設けられていてもよいが、少なくとも前記ばね収容部材の開口側部分に設けられていれば、前記圧縮コイルばねの径方向への揺動を有効に抑止することが可能である。従って、このばね保持部材を前記ばね収容部材の開口側部分にのみ設けるようにすれば、十分な異音防止効果を保ちながら、ばね保持部材を小型にすることができる。
【0015】
この場合、前記ばね保持部材に前記ばね収容部材の開口側端面に対して弁座側から当接する当接部が形成されている構成にすれば、弁の使用中にばね保持部材が誤ってばね収容室の奥方へ移動してしまう不都合を確実に防ぐことが可能になる。
【0016】
本発明にかかるばね平衡式弁の具体的な用途は問わないが、前記弁体がパイロット用弁体であって作動流体の一次側圧力によって開弁するバランスピストン型リリーフ弁に特に好適である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図に示す弁は、バランスピストン型リリーフ弁であり、弁本体を構成する本体部材10,12を備え、その弁本体に、アンチキャビテーション弁14、調圧用弁体15、ピストン16、パイロット用弁体18、プラグ(ばね収容部材)19、及び圧縮コイルばね20が組み込まれている。
【0019】
本体部材10は、前端側(図1では左側)の小径部10a及び後端側(図1では右側)の大径部10bを一体に有する筒状をなし、本体部材12も前端側の小径部12a及び後端側の大径部12bを一体に有する筒状をなしている。そして、本体部材10の大径部10bの内周面に形成された雌ねじと本体部材12の小径部12aの外周面に形成された雄ねじとが螺合されるとともに、これら大径部10bと小径部12aとの間にシール部材22が介在している。また、本体部材10の小径部10aの外周面にも雄ねじが形成され、この雄ねじが図1の二点鎖線で示される方向制御弁50のねじ孔に螺合、装着されるようになっている。
【0020】
本体部材12の小径部12aからは当該小径部12aよりも小径のシート部(弁座部材)12sが前端側に延びており、このシート部12sの中心軸上には小径の弁孔(作動流体流通路)12cが形成されている。すなわち、本体部材12は弁座部材であるシート部12sを含んだものとなっている。図2に示すように、弁孔12cの後端(図2では右端)開口周縁部はテーパー状に面取りされており、これにより弁座13が形成されている。また、シート部12sと小径部12aとの境界近傍部分には本体部材12の内外を径方向に連通する連通口12dが穿設されている。
【0021】
アンチキャビテーション弁14は、前端側の小径部14aと後端側の大径部14bとを一体に有する筒状をなし、その小径部14aの内側に作動流体の一次側流路35を形成する一方、前記本体部材10の内周面との間に作動流体の二次側流路36を形成している。
【0022】
大径部14bの後端部は、前記シート部12sの外側に当該シート部12sに対して軸方向に相対移動可能となるように嵌合されており、これら大径部14bとシート部12sとの間にはシール部材24が介在している。大径部14bの前側よりの部分にはこれを径方向に貫通する作動流体の流通口14cが穿設されている。また、小径部14aの前端面はテーパー状に形成され、前記方向制御弁50内のポンプポート(一次側ポート)Pとタンクポート(二次側ポート)とを区画するシール面14fとなっている。
【0023】
調圧用弁体15は、筒状をなし、前記アンチキャビテーション弁14の大径部14b内において前記シート部12sよりも前方の位置に軸方向に移動可能に収容されており、この調圧用弁体15とシート部12sとの間に背圧室26が形成されている。また、前記調圧用弁体15の外周面と大径部14bの内周面との間にはシール部材23が介在している。
【0024】
調圧用弁体15の前端外周部にはテーパー面15dが形成される一方、前記大径部14bにおいてその流通口14cよりも前側の部分は後側の部分よりも内径が小さく、その段差によって弁座14dが形成されており、この弁座14dに対して前記調圧用弁体15のテーパー面15dが後方から突き当たった状態で前記流通口14cが調圧用弁体15により塞がれる一方、前記弁座14dから前記テーパー面15dが後方に離れることにより前記流通口14cが開かれるようになっている。
【0025】
ピストン16は、その前端側から順に、本体筒部16a、鍔部16b、およびポペット押圧軸部16cを一体に有し、本体筒部16aの中心軸上には前方に開口する受圧室16dが形成されており、この受圧室16dの奥側には当該受圧室16dと外側の背圧室26とを連通する絞り孔16eが穿設されている。
【0026】
前記調圧用弁体15の前側部分は後側部分よりも内径が小さく、その前側部分に前記ピストン16の本体筒部16aがほぼ隙間なく嵌挿されるとともに、当該前側部分の内側面と後側部分の内側面との境界に形成された段部15aとピストン16の鍔部16bとの間に圧縮コイルばねからなる調整ばね28が介在している。一方、ポペット押圧軸部16cは前記シート部12sの弁孔12c内に嵌入されており、この弁孔12cの内周面とポペット押圧軸部16cの外周面との間に軸方向の作動流体流通路が確保されている。
【0027】
パイロット用弁体18は、前方に向かうに従って縮径する略キノコ状のポペット18aと、このポペット18aの中心部から後方に延びる軸部18bを一体に有し、前記ポペット18aの外周面は前記シート部12sの弁座13に接触可能な形状を有している。
【0028】
ばね収容部材であるプラグ19は、前記シート部12sを含む本体部材12の大径部12b内にその後端開口から挿入され、固定されている。詳しくは、プラグ19の中間部外周面に形成された雄ねじが前記大径部12bの後端開口内周面に形成された雌ねじに螺合され、かつ、前記雄ねじに螺合されたナット32によってプラグ19の挿入深さ位置が固定されている。その挿入深さによって、後述のパイロットばね20の弾発力が調整可能となっている。また、プラグ19の前部外周面と本体部材小径部12aの内周面との間にはシール部材30が介在している。
【0029】
プラグ19は、前方に開口するばね収容室34を有し、このばね収容室34と前記本体部材12の内側空間とで弁室が形成されるとともに、前記ばね収容室34内に記パイロットばね20が収容されている。このパイロットばね20は、前記パイロット用弁体18の軸部18bの外側に嵌められた状態で、当該弁体18のポペット部18aの後端面とばね収容室34の奥端面(後端面)との間に圧縮状態で介在しており、その弾発力によってパイロット用弁体18が前向きに付勢され、そのポペット部18aの円錐面が弁座13に押付けられることにより閉弁状態が保たれるようになっている。
【0030】
基本的に、ばね収容室34の内径は、パイロットばね20の外径よりも大きく設定されているが、ばね収容室34の奥端部34aのみ、その内径が前記パイロットばね20の外径と略同等に設定され、この奥端部34a内に前記パイロットばね20の後端が嵌入、固定されている。
【0031】
さらに、この弁の特徴として、前記プラグ19の前端側部分には、図2にも示すようなばね保持部材40が設けられている。
【0032】
このばね保持部材40は、ばね収容室34の前端開口側部分の内側に挿入される筒状保持部41と、この筒状保持部41の前端から径方向外側に突出する鍔部(当接部)42とを一体に有し、この鍔部42が前記プラグ19の前端面に前側から当たる深さまで前記筒状保持部41がばね収容室34内に挿入されている。鍔部42は、ばね保持部材40が弁使用中に誤ってばね収容室34内の奥方へ入り込んでしまうのを防止するためのものであり、その防止効果は、鍔部42に限らず、例えば周方向の一部にのみ当接部を設けることによっても得ることが可能である。
【0033】
前記ばね保持部材40を構成する材料は、ばね収容部材であるプラグ19の構成材料及びパイロットばね20の構成材料よりも弾性係数の低いものであればよく、また、作動流体の圧力によって著しい変形や破損等を生じない程度の剛性を有するものがよい。具体的に、プラグ19の材質としてはステンレス鋼等の金属材料が、パイロットばね20の材質としてはばね鋼等の金属材料が、プラグ19の材質としては合成樹脂が好適である。その合成樹脂としては、比較的硬質の樹脂(例えばフッ素樹脂等)がより好ましい。また、このような合成樹脂以外でも、十分な耐久性を確保できるのであれば硬質ゴムなどの適用も可能である。
【0034】
ばね保持部材40における筒状保持部41の内径d(図2)は、パイロット用ばね20の外径と同等またはそれよりも小さく設定されている。従って、この筒状保持部41の内周面に前記パイロットばね20の外周面が接触する状態で同ばねがばね収容室34内に収容されている。
【0035】
筒状保持部41の外径は前記ばね収容室34の内径とほぼ等しければよいが、当該筒状保持部41の外径をばね収容室34の内径よりも僅かに大きくし、当該筒状保持部41をばね収容室34の内側に圧入するようにすれば、プラグ19に対してばね保持部材40を簡単に固定することができる。
【0036】
筒状保持部41の軸長は、適宜設定が可能であるが、少なくともばね収容室34の前端開口側部分で圧縮コイルばねの横方向の撓みを規制できる領域に筒状保持部41が存在していればよい。
【0037】
次に、この弁の作用を説明する。
【0038】
まず、使用にあたり、本体部材10の前側小径部10aがシール部材38を挟んで方向制御弁50のねじ孔にねじ込まれ、固定される。
【0039】
一方、方向切換弁50においては、互いに交差するポンプポートP及びタンクポートTが形成されており、前記前側小径部10aの挿入によって、その内側のアンチキャビテーション弁14の一次側通路35が前記ポンプポートPに連通し、二次側通路36がタンクポートTに連通する。
【0040】
この状態でタンクポートPに作動流体が導入されると、その圧力がアンチキャビテーション弁14の小径部14aと大径部14bとの境界の段部14eに対して前向きに作用することにより、前記小径部14aの前端のシール部14fが前記両ポートP,Tの交差部に形成されたテーパー状の弁座52に着座し、両ポートP,Tを区画する。
【0041】
ここで、前記一次側通路35への作動流体の導入圧(一次圧)が一定圧以下であるときには、パイロットばね20の弾発力によってパイロット用弁体18のポペット部18aが弁座13に押付けられ、このポペット部18aの前端がピストン16のポペット押圧軸部16cを前側へ押し、その前向き押圧力が調整用ばね28を介して調圧用弁体15に伝えられることにより、同弁体15は閉弁位置、すなわち、そのテーパー面15dがアンチキャビテーション弁14の弁座14dに前向きに押付けられる位置に保持される。従って、この状態で連通口14cは閉じており、一次側通路35と二次側通路36との間は遮断されている。
【0042】
なお、キャビテーションの発生により一次圧が二次圧よりも低くなった場合には、前記と逆にキャビテーション弁14の段部14eの外側面に対して二次圧が後ろ向きに作用することによりアンチキャビテーション弁14が後退し、そのシール面14fが弁座52から離れて両ポートP,Tが直接連通されることにより、キャビテーションの継続が阻止される。
【0043】
一方、前記一次圧が一定圧を上回ると、次のようなリリーフ動作が行われる。すなわち、前記一次圧を受けているピストン16のポペット押圧軸部16cがパイロット用弁体18をパイロットばね20の弾発力に抗して後方へ押し返し、これにより前記パイロット用弁体18のポペット部18aが弁座13から離れる(パイロット用弁体18の開弁)。これにより、背圧室26内の作動流体が弁孔12cとポペット押圧軸部16cとの間の流路を通じて本体部材12内の弁室に流出し、さらに連通口12dを通じて二次側通路36に逃がされる。
【0044】
この流出により、背圧室26の圧力が低下して前記一次圧との差圧がさらに大きくなるため、当該一次圧を前端面に受けている調圧用弁体15が背圧室26側へ後退してそのテーパー面15dが弁座14dから離れる(調圧用弁体15の開弁)。この開弁で、一次側通路35の作動流体は連通口14cから直通で二次側通路36に逃がされ、これにより一次圧の過剰な上昇が防がれる。
【0045】
この開弁時において、パイロット用弁体18のポペット部18aは弁座13から離れており、当該弁座13から拘束を受けない不安定な状態にある(図2の二点鎖線参照)。ここで従来は、ばね保持部材40がなく、かつ、パイロットばね20とばね収容室34の内側面との間に隙間があったので、その隙間によって許容されるパイロットばね20の径方向への揺動を伴ってパイロット用弁体18が径方向に揺れながら振動しやすく、その振動に起因して著しい異音が発生するおそれがあったが、図示の弁では、ばね収容室34の前端開口側部分に設けられたばね保持部材40とパイロットばね20とが密着した状態で当該ばね20が保持されているので、前記パイロットばね20の前記弁座13に対する径方向への揺動、ひいては、当該ばね20に支えられるパイロット用弁体18の径方向の動きを有効に規制することができ、当該弁体の振動に起因する異音の発生を抑止することができる。
【0046】
しかも、前記ばね保持部材40は、ばね収容部材であるプラグ19とは別部材としているので、当該プラグ19やパイロットばね20には十分な強度をもつ材料(一般には金属材料)を用いながら、前記ばね保持部材40をより弾性係数の低い材料(例えば合成樹脂)で構成することにより、このばね保持部材40の内径がばね収容室34の内径より多少小さくても、同部材の弾性変形を利用してその内側に大径のパイロットばね20を挿通することが可能であり、寸法精度の管理は容易となる。また、挿通後の状態においても、パイロットばね20の伸縮による軸方向変位に追従して前記ばね保持部材40が適宜弾性変形することによって、パイロットばね20の円滑な伸縮動作を保証することができる。従って、ばね保持部材40の寸法管理は非常に容易となる。
【0047】
なお、ばね保持部材の具体的な形状や構造は図示のものに限られず、基本的に圧縮コイルばねをその外側から支えて同ばねの撓みを規制できるものであればよい。例えば、短冊状の複数枚の弾性片を周方向に間欠的に並べた状態でばね収容室の開口側内周面に例えば接着によって固定し、これらの弾性片の内側面にそれぞれ前記圧縮コイルばね(図例ではパイロットばね20)の外周面が接触するようにしてもよい。
【0048】
一方、弁体の具体的な形状も図示のようなポペット状に限られず、例えば剛球からなる弁体を圧縮コイルばねの前端側開口に嵌め込んだ弁についても適用が可能である。
【0049】
また本発明は、前記のようなバランスピストン型リリーフ弁に限らず、その他のばね平衡式弁、例えば減圧弁や逆止弁にも適用が可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明は、弁座が形成された弁座部材を含む本体部材にばね収容部材が固定され、このばね収容部材のばね収容室に収容される圧縮コイルばねの弾発力で弁体が弁座に押付けられるばね平衡式弁において、前記ばね収容室の少なくとも開口側部分に前記ばね収容部材及び圧縮コイルばねよりも弾性係数の低いばね保持部材が設けられ、このばね保持部材の内周面と圧縮コイルばねとが接触する状態で当該ばねが保持されて前記弁座に対する径方向の移動が規制されるようにしたものであるので、圧縮コイルばねの円滑な伸縮動作を確保しながら、開弁時における弁体の振動に起因する異音の発生を有効に抑止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるバランスピストン型リリーフ弁の断面正面図である。
【図2】前記リリーフ弁の要部を示す断面正面図である。
【符号の説明】
10 本体部材
12 シート部を含む本体部材
12s シート部(弁座部材)
13 弁座
18 パイロット用弁体
19 プラグ(ばね収容部材)
20 パイロットばね(圧縮コイルばね)
34 ばね収容室
35 一次側通路
36 二次側通路
40 ばね保持部材
41 筒状保持部
42 鍔部(当接部)
Claims (6)
- 作動流体流通路を有してその開口端に弁座が形成された弁座部材を含む本体部材と、その弁座を開閉する方向に移動可能となるように設けられた弁体と、この弁体の後方に設けられ、前記弁座側に向かって開口するばね収容室を有するばね収容部材と、このばね収容部材のばね収容室内に圧縮変形状態で収容され、その弾発力によって前記弁体を前記閉位置側に押付ける圧縮コイルばねとを備え、前記作動流体の圧力が一定以上のときにその圧力によって前記弁体が前記圧縮コイルばねの弾発力に抗して開くように構成されたばね平衡式弁において、前記弁座部材を含む前記本体部材に前記ばね収容部材が固定され、このばね収容部材における前記ばね収容室内の少なくとも開口側部分に、ばね保持部材が配置され、前記ばね保持部材は、前記ばね収容部材を構成する材料及び圧縮コイルばねを構成する材料よりも弾性係数の低い材料からなり、前記圧縮コイルばねの外周面にその径方向外側から密着することにより当該圧縮コイルばねの前記弁座に対する径方向の移動を規制することを特徴とするばね平衡式弁。
- 請求項1記載のばね平衡式弁において、前記ばね収容部材は、前記圧縮コイルばねの外径と同等またはこれよりも小さい内径を有する筒状保持部を有し、この筒状保持部が前記ばね収容室内の少なくとも開口側部分に設けられていることを特徴とするばね平衡式弁。
- 請求項1または2記載のばね平衡式弁において、前記ばね収容部材が金属材料で構成され、前記ばね保持部材が合成樹脂材料で構成されていることを特徴とするばね平衡式弁。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のばね平衡式弁において、前記ばね保持部材は前記ばね収容室の開口側部分にのみ設けられていることを特徴とするばね平衡式弁。
- 請求項4記載のばね平衡式弁において、前記ばね保持部材に前記ばね収容部材の開口側端面に対して前記弁座側から当接する当接部が形成されていることを特徴とするばね平衡式弁。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のばね平衡式弁において、当該ばね平衡式弁はバランスピストン型リリーフ弁であり、前記弁体は前記作動流体の一次側圧力によって開弁するパイロット用弁体であることを特徴とするばね平衡式弁。
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