JP3739352B2 - 糖ヌクレオチド類および複合糖質の製造法 - Google Patents

糖ヌクレオチド類および複合糖質の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細菌・ウィルス等の感染防御、心血管障害への適応および免疫治療等に有用な複合糖質の製造方法および該複合糖質の合成基質として重要である糖ヌクレオチドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖ヌクレオチドの製造方法として、1)化学合成法(非特許文献1〜4参照)、2)酵素を用いた製造方法(非特許文献5〜7および特許文献1〜3参照)、3)酵母等の微生物菌体を用いる方法(特許文献4〜9参照)、4)耐塩性酵母の微生物菌体からの抽出法(特許文献10参照)等が知られている。
【0003】
1)の方法においては、高価なヌクレオシド−5’−一リン酸(以下、NMPと略す)のモルフォリデート誘導体や糖リン酸等が必要であり、2)の方法においては、ヌクレオシド−5’−二リン酸(以下、NDPと略す)、ヌクレオシド−5’−三リン酸(以下、NTPと略す)、ホスホエノールピルビン酸、糖リン酸等の高価な原料やピルビン酸キナーゼ等多数の酵素が必要であり、3)の方法においては菌体の乾燥処理等が必要である。4)の方法を含め、上記いずれの方法においても、原料として高価なヌクレオチドや糖リン酸等が用いられていたり、操作的に大量生産が困難であるため、今日に至るまで、糖ヌクレオチドの工業的規模での製造法は確立されていない。
複合糖質の製造法としては、1)化学合成法(非特許文献8〜10参照)、2)加水分解酵素(非特許文献11および12参照)を用いる方法、および3)糖転移酵素(特許文献11〜16参照)を利用した方法が知られている。
【0004】
1)の方法では立体選択的合成のためには保護基の導入が必須であり、2)の方法では収率・選択性が十分でなく、3)の方法においてはNDP、NTP、ホスホエノールピルビン酸、糖リン酸、あるいは糖ヌクレオチド等の高価な原料やピルビン酸キナーゼ等多数の酵素が必要であり、いずれの方法においても複合糖質の安価な工業的製造方法は確立されていない。また、安価なヌクレオチドの前駆物質および糖および複合糖質前駆物質のみを原料として、直接複合糖質を工業的に製造する方法は知られていない。
【0005】
コリネバクテリウム属に属する微生物において、オロット酸を添加することによりUMPが生産されるとの報告がある(非特許文献13参照)。また、オロット酸を原料にしてシチジン二リン酸コリンを生成する方法も知られている(特許文献17参照)。
【0006】
【特許文献1】
特表平7-508413号公報
【0007】
【特許文献2】
特表平7-500248号公報
【0008】
【特許文献3】
国際公開第96/27670号パンフレット
【0009】
【特許文献4】
特公昭45-2073号公報
【0010】
【特許文献5】
特公昭46-40756号公報
【0011】
【特許文献6】
特公昭47-1837号公報
【0012】
【特許文献7】
特公昭47-26703号公報
【0013】
【特許文献8】
特公昭49-8278号公報
【0014】
【特許文献9】
特開平2-268692号公報
【0015】
【特許文献10】
特開平8-23993号公報
【0016】
【特許文献11】
特開平7-79792号公報
【0017】
【特許文献12】
特表平7-500248号公報
【0018】
【特許文献13】
特公平5-82200号公報
【0019】
【特許文献14】
国際公開第94/25614
【0020】
【特許文献15】
特表平9-503905号公報
【0021】
【特許文献16】
米国特許第5,583,042号明細書
【0022】
【特許文献17】
特開平5-276974号公報
【0023】
【非特許文献1】
Adv. Carbohydr. Chem. Biochem., 28, 307 (1973)
【0024】
【非特許文献2】
Bull. Chem. Soc. Japan, 46, 3275 (1973)
【0025】
【非特許文献3】
J. Org. Chem., 57, 146 (1992)
【0026】
【非特許文献4】
Carbohydr. Res., 242, 69 (1993)
【0027】
【非特許文献5】
J. Org. Chem., 55, 1834 (1990)
【0028】
【非特許文献6】
J. Org. Chem., 57, 152 (1992)
【0029】
【非特許文献7】
J. Am. Chem. Soc., 110, 7159 (1988)
【0030】
【非特許文献8】
Methods in Enzymol., 247, 193 (1994)
【0031】
【非特許文献9】
Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 21, 155 (1982)
【0032】
【非特許文献10】
Carbohydr. Res., 211, c1 (1991)
【0033】
【非特許文献11】
Anal. Biochem., 202, 215 (1992)
【0034】
【非特許文献12】
Trends Biotechnol., 6, 256 (1988)
【0035】
【非特許文献13】
Amino Acid Nucleic Acid, 23, 107 (1971)
【0036】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、細菌・ウィルス等の感染防御、心血管障害への適応および免疫治療等に有用な複合糖質の製造方法および該複合糖質の合成基質として重要である糖ヌクレオチドの安価で効率的な製造方法を提供することにある。
【0037】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、微生物を用いて、ヌクレオチドの前駆物質を原料とした複合糖質および糖ヌクレオチドの生産について鋭意検討を行った結果、ヌクレオチドの前駆物質および糖のみを原料として糖ヌクレオチドが効率的に生産できること、糖ヌクレオチドの生成に関与する遺伝子の発現を強化することにより、その生産性が向上することを見いだし、さらに、該糖ヌクレオチドを生産可能な微生物、および、糖ヌクレオチドと複合糖質前駆物質から複合糖質を生産する能力を有する微生物あるいは動物細胞あるいは昆虫細胞を利用し、ヌクレオチドの前駆物質および糖および複合糖質前駆物質のみを原料として効率的に複合糖質を生産できることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0038】
本発明は、a)ヌクレオチドの前駆物質からNTPを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物、b)糖とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物、およびc)糖ヌクレオチドと複合糖質前駆物質から複合糖質を生産する能力を有する微生物、動物細胞あるいは昆虫細胞の培養液または該培養液の処理物、を酵素源として用い、これら酵素源、ヌクレオチドの前駆物質、糖および複合糖質前駆物質を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中に複合糖質を生成蓄積させ、該水性媒体中から複合糖質を採取することを特徴とする複合糖質の製造法、a)ヌクレオチドの前駆物質からNTPを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物、およびb)糖とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物、を酵素源として用い、これら酵素源、ヌクレオチドの前駆物質および糖を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中に糖ヌクレオチドを生成蓄積させ、該水性媒体中から糖ヌクレオチドを採取することを特徴とする糖ヌクレオチドの製造法、および糖ヌクレオチドと複合糖質前駆物質から複合糖質を生産する能力を有する微生物、動物細胞あるいは昆虫細胞の培養液または該培養液の処理物を酵素源として用い、該酵素源、複合糖質前駆物質および上記に記載の糖ヌクレオチドの製造法により得られた糖ヌクレオチドを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中に複合糖質を生成蓄積させ、該水性媒体中から複合糖質を採取することを特徴とする複合糖質の製造法を提供する。更に、ガラクトキナーゼ活性の強い微生物の培養液または該培養液の処理物を酵素源として用い、該酵素源およびN−アセチルグルコサミンを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にN−アセチルグルコサミン−1−リン酸を生成蓄積させ、該水性媒体中からN−アセチルグルコサミン−1−リン酸を採取することを特徴とするN−アセチルグルコサミン−1−リン酸の製造法を提供する。
【0039】
表1および表2に本発明に用いる略号および該略号の説明を記す。
【0040】
【表1】
Figure 0003739352
【0041】
【表2】
Figure 0003739352
【0042】
本発明によれば、1)NTPや糖リン酸等の高価な原料を必要とせず、オロット酸等の安価なヌクレオチドの前駆物質および糖のみを原料とする、2)NMPあるいはNDPからNTPへの転換において高価なホスホエノールピルビン酸とピルビン酸キナーゼの添加を必要としない、さらに、3)酵素の単離操作を必要としない等の特徴を有する糖ヌクレオチドの新規な製造法および該糖ヌクレオチド製造法を利用した新規な複合糖質の製造法を提供できる。
【0043】
本発明の製造法で製造される糖ヌクレオチドとしては、ヌクレオシド−5’−二リン酸残基の末端リン酸基と糖残基の還元基とがエステル結合をした一般構造を有する化合物をあげることができ、更に、ヌクレチド残基がシチジン−5’−一リン酸のもの、糖残基がポリオールのものも本発明により製造される糖ヌクレオチドに含まれる。
【0044】
本発明の製造法で製造される複合糖質としては、単糖、オリゴサッカライド、担体等に結合した単糖またはオリゴサッカライド、蛋白質、ペプチド、脂質、糖蛋白質、糖脂質、グリコペプチドあるいはステロイド化合物等に糖質が結合した化合物をあげることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
【0045】
1) 本発明で用いられるヌクレオチドの前駆物質からNTPを生産する能力を有する微生物としては、ヌクレオチドの前駆物質からNTPを生産する能力を有する微生物であればいずれも用いることができ、例えば、エシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物等をあげることができる。
エシェリヒア属に属する微生物としてはエシェリヒア・コリ等をあげることができる。
【0046】
コリネバクテリウム属に属する微生物としてはコリネバクテリウム・アンモニアゲネス等をあげることができる。
2)本発明で用いられる糖とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有する微生物としては、目的とする糖ヌクレオチドを生成する活性を有する生物であればいずれでも用いることができ、例えば、
2)−▲1▼ UDP−Glcの生産に関しては、下記、式1に示した(1)から(4)の酵素活性の強い微生物を用いることが好ましい。
【0047】
具体的には、エシェリヒア属に属する微生物およびコリネバクテリウム属に属する微生物をあげることができ、好ましい具体例としては、エシェリヒア・コリまたはコリネバクテリウム・アンモニアゲネスをあげることができる。
また、(1)、(2)、(3)および(4)から選ばれる一つ以上の酵素の活性を遺伝子組換え技術により増強した形質転換株を用いることもできる。該形質転換体の具体例として、エシェリヒア・コリ由来のgalUおよびppa遺伝子を含む組換え体DNA(pNT12)を保有するエシェリヒア・コリKY8415(FERM BP-408)株等をあげることができる。
【0048】
【化1】
Figure 0003739352
【0049】
(1):ヘキソキナーゼ(EC 2.7.1.1)あるいはグルコキナーゼ(EC 2.7.1.2)
(2):ホスホグルコムターゼ(EC 2.7.5.1)
(3):グルコース−1−リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(EC 2.7.7.9)
(4):(イノーガニック)ピロホスファターゼ(EC 3.6.1.1)
2)−▲2▼ UDP−Galの生産に関しては、下記、式2に示した(5)および(6)の酵素活性の強い微生物を、また、好ましくは、式1に示した(1)から(4)の酵素活性の強い性質をもあわせ持つような微生物を用いることが好ましい。
【0050】
具体的には、エシェリヒア属に属する微生物およびコリネバクテリウム属に属する微生物をあげることができ、好ましい具体例としては、エシェリヒア・コリおよびコリネバクテリウム・アンモニアゲネスをあげることができる。
また、(5)および(6)から選ばれる一つ以上の酵素の活性を、あるいは、(5)および(6)から選ばれる一つ以上の酵素と(1)から(4)から選ばれる一つ以上の酵素の活性を、遺伝子組換え技術により増強した形質転換株を用いることもできる。該形質転換体の具体例として、エシェリヒア・コリ由来のgalTおよびgalK遺伝子を含む組換え体DNA(pNT25)を保有するエシェリヒア・コリNM522株およびエシェリヒア・コリ由来のgalTおよびgalK遺伝子を含む組換え体DNA(pTK7)を保有するコリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170をあげることができる。
【0051】
【化2】
Figure 0003739352
【0052】
(5):ガラクトキナーゼ(EC 2.7.1.6)
(6):ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(EC 2.7.7.12)
2)−▲3▼ UDP−GlcNAcの生産に関しては、下記、式3に示した(7)から(12)および式1に示した(4)の酵素活性の強い微生物、あるいは式3に示した(13)および(10)の酵素活性の強い微生物を用いることが好ましい。
【0053】
具体的には、エシェリヒア属およびコリネバクテリウム属に属する微生物をあげることができ、好ましい具体例としては、エシェリヒア・コリおよびコリネバクテリウム・アンモニアゲネスをあげることができる。
また、(4)、(7)、(8)、(9)、(10)、および(13)から選ばれる一つ以上の酵素の活性を遺伝子組換え技術により増強した形質転換株を用いることもできる。該形質転換体の具体例として、エシェリヒア・コリ由来のglmM遺伝子を含む組換え体DNA(pNT44)を保有するエシェリヒア・コリNM522株、エシェリヒア・コリ由来のglmUおよびppa遺伝子を含む組換え体DNA(pNT14)を保有するエシェリヒア・コリKY8415株、エシェリヒア・コリ由来のglk遺伝子を含む組換え体DNA(pNT46)を保有するエシェリヒア・コリNM522株、エシェリヒア・コリ由来のgalK遺伝子を含む組換え体DNA(pNT54)を保有するエシェリヒア・コリNM522株等をあげることができる。
【0054】
遺伝子組換えによる(8)のホスホグルコサミンムターゼ活性の発現および増強には、Glc−1,6−P2の添加が必要とされるが[J. Biol. Chem., 271, 32 (1996)]、(11)および(12)の酵素の活性を遺伝子組換え技術により増強した形質転換株を用いることにより、Glc−1,6−P2を添加することなく、G−6−PおよびF−6−PからGlc−1,6−P2を供給することが可能である。
【0055】
このような形質転換体の具体例として、エシェリヒア・コリ由来のpgm遺伝子を含む組換え体DNA(pNT24)を保有するエシェリヒア・コリNM522株、エシェリヒア・コリ由来のpfkB遺伝子を含む組換え体DNA(pNT47)を保有するエシェリヒア・コリNM522株、エシェリヒア・コリ由来のpgmおよびpfkB遺伝子を含む組換え体DNA(pNT55)を保有するエシェリヒア・コリNM522株等をあげることができる。
【0056】
(11)および(12)の酵素活性を用いてG−6−PおよびF−6−PからGlc−1,6−P2を供給することにより、(8)のホスホグルコサミンムターゼ活性の発現を増強する方法は本発明で初めて開示された方法である。
(13)のガラクトキナーゼ(EC 2.7.1.6)を用いGlcNAcからGlcNAc−1−Pを製造する方法は本発明で初めて開示された製造法である。該製造法を用いてGlcNAc−1−Pを製造することが可能である。即ち、ガラクトキナーゼ活性の強い微生物、例えば、galKをコードする遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有する微生物の培養液または該培養液の処理物を酵素源として用い、該酵素源およびGlcNAcを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にGlcNAc−1−Pを生成蓄積させ、該水性媒体中からGlcNAc−1−Pを採取することによりGlcNAc−1−Pを製造することができる。
【0057】
水性媒体より、GlcNAc−1−Pの採取は、活性炭やイオン交換樹脂等を用いる通常の方法によって行うことができる。
【0058】
【化3】
Figure 0003739352
【0059】
(7):ヘキソキナーゼ(EC 2.7.1.1)あるいはグルコキナーゼ(EC 2.7.1.2)
(8):ホスホグルコサミンムターゼ
(9):グルコサミン-1-リン酸アセチルトランスフェラーゼ
(10):N-アセチルグルコサミン-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(EC 2.7.7.23)
(11):ホスホフルクトキナーゼ(EC 2.7.1.11)
(12):ホスホグルコムターゼ(EC 2.7.5.1)
(13):ガラクトキナーゼ(EC 2.7.1.6)
2)−▲4▼ UDP−GalNAcの生産に関しては、式3に示した(7)から(12)、式4に示した(14)および式1に示した(4)の酵素活性の強い微生物、あるいは式3に示した(10)、(13)および式4に示した(14)の酵素活性の強い微生物を用いることが好ましい。
【0060】
具体的には、エシェリヒア属およびコリネバクテリウム属に属する微生物をあげることができ、好ましい具体例としては、エシェリヒア・コリおよびコリネバクテリウム・アンモニアゲネスをあげることができる。
また、(7)から(14)および(4)から選ばれる一つ以上の酵素の活性を遺伝子組換え技術により増強した形質転換株を用いることもできる。
【0061】
【化4】
Figure 0003739352
【0062】
(14):UDP−GlcNAc 4−エピメラーゼ(EC 5.1.3.7)
2)−▲5▼ UDP−GlcUAの生産に関しては、式1に示した(1)から(4)および式5に示した(15)の酵素活性の強い微生物を用いることが好ましい。
【0063】
具体的には、エシェリヒア属およびコリネバクテリウム属に属する微生物をあげることができ、好ましい具体例としては、エシェリヒア・コリおよびコリネバクテリウム・アンモニアゲネスをあげることができる。
また、(1)、(2)、(3)、(4)および(15)から選ばれる一つ以上の酵素の活性を遺伝子組換え技術により増強した形質転換株を用いることもできる。
【0064】
【化5】
Figure 0003739352
【0065】
(15):UDP−Glcデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.22)
2)−▲6▼ GDP−Manの生産に関しては、下記、式6に示した(16)から(18)および式3に示した(11)および(12)の酵素活性の強い微生物を用いることが好ましい。
【0066】
具体的には、エシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物をあげることができ、好ましい具体例としては、エシェリヒア・コリまたはコリネバクテリウム・アンモニアゲネスをあげることができる。
また、(16)、(17)および(18)から選ばれる一つ以上の酵素の活性を遺伝子組換え技術により増強した形質転換株を用いることもできる。該形質転換体の具体例として、エシェリヒア・コリ由来のmanBおよびmanC遺伝子を含む組換え体DNA(pNK7)を保有するエシェリヒア・コリNM522株、エシェリヒア・コリ由来のglk遺伝子を含む組換え体DNA(pNT46)を保有するエシェリヒア・コリNM522株等をあげることができる。
【0067】
遺伝子組換え技術による(17)のホスホマンノムターゼ活性の発現および増強には、Glc−1,6−P2の添加が必要とされるが、(11)および(12)の酵素の活性を遺伝子組換え技術により増強した形質転換株を用いることにより、Glc−1,6−P2を添加することなく、G−6−PおよびF−6−PからGlc−1,6−P2を供給することが可能である。このような形質転換体の具体例として、エシェリヒア・コリ由来のpgm遺伝子を含む組換え体DNA(pNT24)を保有するエシェリヒア・コリNM522株、エシェリヒア・コリ由来のpfkB遺伝子を含む組換え体DNA(pNT47)を保有するエシェリヒア・コリNM522株、エシェリヒア・コリ由来のpgmおよびpfkB遺伝子を含む組換え体DNA(pNT55)を保有するエシェリヒア・コリNM522株等をあげることができる。
【0068】
(11)および(12)の酵素活性を用いてG−6−PおよびF−6−PからGlc−1,6−P2を供給することにより、(17)のホスホマンノムターゼ活性の発現を増強する方法は本発明で初めて開示された方法である。
【0069】
【化6】
Figure 0003739352
【0070】
(16):ヘキソキナーゼ(EC 2.7.1.1)あるいはグルコキナーゼ(EC 2.7.1.2)
(17):ホスホマンノムターゼ(EC 2.7.5.7)
(18):マンノース-1-リン酸グアニルトランスフェラーゼ(EC 2.7.7.13)
2)−▲7▼ GDP−Fucの生産に関しては、下記、式7に示した(19)および(20)および式6に示した(16)から(18)および式3に示した(11)および(12)の酵素活性の強い微生物を用いることが好ましい。
【0071】
具体的には、エシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物をあげることができ、好ましい具体例としては、エシェリヒア・コリまたはコリネバクテリウム・アンモニアゲネスをあげることができる。
また、(16)、(17)、(18)、(19)および(20)から選ばれる一つ以上の酵素の活性を遺伝子組換え技術により増強した形質転換株を用いることもできる。該形質転換体の具体例として、エシェリヒア・コリ由来のmanBおよびmanC遺伝子を含む組換え体DNA(pNK7)を保有するエシェリヒア・コリNM522株、エシェリヒア・コリ由来のgmdおよびwcaG遺伝子を含む組換え体DNA(pNK8)を保有するエシェリヒア・コリNM522株、エシェリヒア・コリ由来のglk遺伝子を含む組換え体DNA(pNT46)を保有するエシェリヒア・コリNM522株等をあげることができる。
【0072】
遺伝子組換え技術による(17)のホスホマンノムターゼ活性の発現および増強には、Glc−1,6−P2の添加が必要とされるが、(11)および(12)の酵素の活性を遺伝子組換え技術により増強した形質転換株を用いることにより、Glc−1,6−P2を添加することなく、G−6−PおよびF−6−PからGlc−1,6−P2を供給することが可能である。
【0073】
このような形質転換体の具体例として、エシェリヒア・コリ由来のpgm遺伝子を含む組換え体DNA(pNT24)を保有するエシェリヒア・コリNM522株、エシェリヒア・コリ由来のpfkB遺伝子を含む組換え体DNA(pNT47)を保有するエシェリヒア・コリNM522株、エシェリヒア・コリ由来のpgmおよびpfkB遺伝子を含む組換え体DNA(pNT55)を保有するエシェリヒア・コリNM522株等をあげることができる。
【0074】
【化7】
Figure 0003739352
【0075】
(19):GDP-Man-4,6-デヒドラターゼ(EC4.2.1.47)
(20):GDP-4-keto-6-deoxymannnoseエピメラーゼ/レダクターゼ
2)−▲8▼ CMP−NeuAcの生産に関しては、下記、式8に示した(21)、(22)または(23)、(24)および(25)の酵素活性の強い微生物を用いることが好ましい。
【0076】
具体的には、エシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物をあげることができ、好ましい具体例としては、エシェリヒア・コリまたはコリネバクテリウム・アンモニアゲネスをあげることができる。
また、(21)、(22)、(23)、(24)および(25)から選ばれる一つ以上の酵素の活性を遺伝子組換え技術により増強した形質転換株を用いることもできる。該形質転換体の具体例として、エシェリヒア・コリ由来のnanA遺伝子を含む組換え体DNA(pNAL1)を保有するエシェリヒア・コリC600株[Appl. Environ. Microbiol., 51, 562 (1986)]、エシェリヒア・コリ由来のneuA遺伝子を含む組換え体DNA(pTA14)を保有するエシェリヒア・コリNM522株等をあげることができる。
【0077】
【化8】
Figure 0003739352
【0078】
(21):GlcNAc 2-エピメラーゼ(EC 5.1.3.8)
(22):NeuAcアルドラーゼ(EC 4.1.3.3)
(23):NeuAcシンセターゼ(EC 4.1.3.19)
(24):CMP-NeuAcシンセターゼ(EC 2.7.7.43)
(25):CTPシンセターゼ(EC 6.3.4.2)
微生物が1)に記載の微生物の性質および2)に記載の微生物の性質を同時に有する場合には、該微生物を利用し、ヌクレオチドの前駆物質と糖より糖ヌクレオチドを生産することが可能である。
【0079】
微生物が1)に記載の微生物の性質および2)−▲1▼に記載の性質を同時に有する場合には、該微生物を利用し、オロット酸等のUTP前駆物質とグルコースよりUDP−Glcを、1)に記載の微生物の性質および2)−▲2▼に記載の微生物の性質を同時に有する場合には、該微生物を利用し、オロット酸等のUTP前駆物質とガラクトースよりUDP−Galを、1)に記載の微生物の性質および2)−▲3▼に記載の性質を同時に有する場合には該微生物を利用し、オロット酸等のUTP前駆物質とグルコサミンまたはN−アセチルグルコサミンよりUDP−GlcNAcを、1)に記載の微生物の性質および2)−▲4▼に記載の性質を同時に有する場合には該微生物を利用し、オロット酸等のUTP前駆物質とグルコサミンまたはN−アセチルグルコサミンよりUDP−GalNAcを、1)に記載の微生物の性質および2)−▲5▼に記載の性質を同時に有する場合には該微生物を利用し、オロット酸等のUTP前駆物質とグルコースよりUDP−GlcUAを、1)に記載の微生物の性質および2)−▲6▼に記載の性質を同時に有する場合には、該微生物を利用し、GMP等のGTP前駆物質とマンノースよりGDP−Manを、1)に記載の微生物の性質および2)−▲7▼に記載の性質を同時に有する場合には、該微生物を利用し、GMP等のGTP前駆物質とマンノースよりGDP−Fucを、1)に記載の微生物の性質および2)−▲8▼に記載の性質を同時に有する場合には、該微生物を利用し、オロット酸等のCTP前駆物質とN−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルマンノサミンよりCMP−NeuAcを生産することが可能である。
【0080】
このような微生物の具体例としては、エシェリヒア・コリ由来のgalTおよびgalK遺伝子を発現するコリネバクテリウム・アンモニアゲネスをあげることができる。
また、上記の菌株とは異なり、1菌株中に糖ヌクレオチドの製造に必要な活性の一部しか有していない微生物の場合、それぞれの活性を有する微生物を適宜組み合わせ、糖ヌクレオチドの製造を行うことができる。
【0081】
1)に記載の性質を有する微生物も1種類である必要はなく、2種類以上で1)に記載する性質を構成する場合にも1)に記載の性質を有する微生物として利用できる。具体的には、エシェリヒア・コリ由来のpyrG遺伝子を発現するエシェリヒア・コリとコリネバクテリウム・アンモニアゲネスとの組み合わせを例示することができる(特開平5-276974)。
【0082】
同様に2)に記載の性質を有する微生物も1種類である必要はなく、2種類以上で構成することができる。該微生物群を適宜組み合わせることにより、目的とする糖ヌクレオチドを生産することができる。
例えば、1)に記載の性質を有する微生物および2)−▲1▼に記載の性質を有する一種類以上の微生物を用い、オロット酸等のUTP前駆物質とグルコースよりUDP−Glcを、1)に記載の性質を有する微生物および2)−▲2▼に記載の性質を有する一種類以上の微生物を用い、オロット酸等のUTP前駆物質とガラクトースよりUDP−Galを、1)に記載の性質を有する微生物および2)−▲3▼に記載の性質を有する一種類以上の微生物を用い、オロット酸等のUTP前駆物質とグルコサミンまたはN−アセチルグルコサミンよりUDP−GlcNAcを、1)に記載の性質を有する微生物および2)−▲4▼に記載の性質を有する一種類以上の微生物を用い、オロット酸等のUTP前駆物質とグルコサミンまたはN−アセチルグルコサミンよりUDP−GalNAcを、1)に記載の性質を有する微生物および2)−▲5▼に記載の性質を有する一種類以上の微生物を用い、オロット酸等のUTP前駆物質とグルコースよりUDP−GlcUAを、1)に記載の性質を有する微生物および2)−▲6▼に記載の性質を有する一種類以上の微生物を用い、GMP等のGTP前駆物質とマンノースよりGDP−Manを、1)に記載の性質を有する微生物および2)−▲7▼に記載の性質を有する一種類以上の微生物を用い、GMP等のGTP前駆物質とマンノースよりGDP−Fucを、1)に記載の性質を有する微生物および2)−▲8▼に記載の性質を有する一種類以上の微生物を用い、オロット酸等のCTP前駆物質とN−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルマンノサミンよりCMP−NeuAcを生産することが可能である。
【0083】
上述のように、糖ヌクレオチドの製造において、遺伝子組換え微生物を利用することが可能であるが、該製造に関与する、表3に記載した遺伝子は、エシェリヒア・コリの染色体よりクローン化され、その全塩基配列が決定されている。
【0084】
【表3】
Figure 0003739352
【0085】
該遺伝子を含有するプラスミドを保有するエシェリヒア・コリからのプラスミドDNAの単離精製、プラスミドDNAの制限酵素による切断、切断したDNA断片の単離精製、DNA断片の酵素的結合、組換え体DNAを用いたエシェリヒア・コリの形質転換等、遺伝子組換えに関する種々の操作は公知の方法[例えばJ. Sambrook らの成書;Molecular Cloning, A Laboratory Manual Second edition Cold Spring Harbor Laboratory (1989)]に準じて行うことができる。またポリメラーゼ・チェイン・リアクション(以下、PCRと略す)はパーキン・エルマー・シータス社製のサーマル・サイクラー等を用いて行うことができる。
【0086】
糖ヌクレオチドの製造に関与する遺伝子を宿主中で発現させるためには、該遺伝子を含むDNA断片を、制限酵素類あるいはPCRで、該遺伝子を含む適当な長さのDNA断片とした後に、発現ベクター中プロモーターの下流に挿入し、次いで上記DNAを挿入した発現ベクターを、発現ベクターに適合した宿主中に導入することにより達成できる。
【0087】
宿主としては、目的とする遺伝子を発現できるものは全て用いることができる。例えば、エシェリヒア属、セラチア属、コリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、シュードモナス属、バチルス属、等に属する微生物の他、サッカロマイセス属、キャンディダ属等に属する酵母等をあげることができる。
発現ベクターとしては、上記宿主に於いて自立複製可能ないしは染色体中への組込みが可能で、糖ヌクレオチドの製造に関与する遺伝子を転写できる位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。
【0088】
上記の微生物を宿主として用いる場合は、糖ヌクレオチドの製造に関与する遺伝子の発現ベクターは微生物中で自立複製可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、糖ヌクレオチドの製造に関与する遺伝子、転写終結配列より構成されていることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
【0089】
発現ベクターとしては、例えば、pBTrp2、pBTac1、pBTac2(いずれもベーリンガーマンハイム社製)、pKYP10(特開昭58-110600)、pKYP200[Agric. Biol. Chem., 48, 669 (1984)]、pLSA1[Agric. Biol. Chem., 53, 277 (1989)]、pGEL1[Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 82, 4306 (1985)]、pBluescriptII SK+(STRATAGENE社製)、pTrS30[エシェリヒア・コリJM109/pTrS30(FERM BP-5407)より調製]およびpTrS32[エシェリヒア・コリJM109/pTrS32(FERM BP-5408)より調製]、pUC19[Gene, 33, 103 (1985)]、pSTV28(宝酒造社製 )、pPA1(特開昭63-233798)、pCG11(特公平6-91827)等を例示することができる。
【0090】
プロモーターとしては、上記の宿主中で発現できるものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター、lacプロモーター、PLプ ロモーター、PRプロモーター等の、エシェリヒア・コリやファージ等に由来するプロモーターをあげることができる。またtrpプロモーターを2つ直列させたプロモーター、tacプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。
【0091】
リボソーム結合配列としては、上記の宿主中で発現できるものであればいかなるものでもよいが、リボソーム結合配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。
糖ヌクレオチドの製造に関与する遺伝子の発現には転写終結配列は必ずしも必要ではないが、好適には構造遺伝子の下流に転写終結配列を配置することが望ましい。
【0092】
宿主としては、組換え体DNAが発現でき、糖ヌクレオチドの生成反応に利用できるものならいかなる微生物も使用でき、具体的には、Escherichia coli XL1-Blue、Escherichia coli XL2-Blue、Escherichia coli DH1、Escherichia coli MC1000、Escherichia coli KY3276、Escherichia coli W1485、Escherichia coli JM109、Escherichia coli HB101、Escherichia coli No.49、Escherichia coli W3110、Escherichia coli NY49、Escherichia coli KY8415、Escherichia coli NM522、Bacillus subtilisBacillus brevisBacillus amyloliquefacinesBrevibacterium immariophilum ATCC14068、Brevibacterium saccharolyticum ATCC14066、Brevibacterium flavum ATCC14067、Brevibacterium lactofermentum ATCC13869、Corynebacterium ammoniagenes ATCC21170、Corynebacterium glutamicum ATCC13032、Corynebacterium acetoacidophilum ATCC13870、Microbacterium ammoniaphilum ATCC15354、Pseudomonas putidaSerratia marcescens等をあげることができる。
【0093】
酵母菌株を宿主として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、YEp13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)、YCp50(ATCC37419)等を例示することができる。
プロモーターとしては、酵母菌株の宿主中で発現できるものであればいかなるものでもよい。例えば、ヘキソキナーゼ等の解糖系の遺伝子のプロモーター、gal 1プロモーター、gal 10プロモーター、ヒートショック蛋白質プロモーター、MFα1プロモーター、CUP 1プロモーター等のプロモーターをあげることができる。
【0094】
宿主としては、組換え体DNAが発現でき、糖ヌクレオチドの生成反応に利用できるものならいかなる酵母も使用でき、具体的には、Saccharomyces cerevisiaeCandida utilisCandida parapsilosisCandida kruseiCandida versatilisCandida lipolyticaCandida zeylanoidesCandida guilliermondiiCandida albicansCandida humicolaPichia farinosaPichia ohmeriTorulopsis candidaTorulopsis sphaericaTorulopsis xylinusTorulopsis famataTorulopsis versatilisDebaryomyces subglobosusDebaryomyces cantarelliiDebaryomyces globosusDebaryomyces hanseniiDebaryomyces japonicusZygosaccharomyces rouxiiZygosaccharomyces bailiiKluyveromyces lactisKluyveromyces marxianusHansenula anomalaHansenula jadiniiBrettanomyces lambicusBrettanomyces anomalusSchizosaccharomyces pombeTrichosporon pullulansおよびSchwanniomyces alluvius等をあげることができる。
【0095】
本発明に用いる微生物の培養は、通常の培養方法に従って行うことができる。該微生物を培養する培地は、該微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、該微生物の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれでもよい。
炭素源としては、それぞれの微生物が資化し得るものであればよく、グルコース、フルクトース、シュークロース、ラクトース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、糖蜜、澱粉あるいは澱粉加水分解物等の炭水化物、ピルビン酸、乳酸、クエン酸、フマル酸等の各種有機酸、グルタミン酸、メチオニン、リジン等の各種アミノ酸、エタノール、プロパノール、グリセロール等のアルコール類が用いられる。また、白糠、キャッサバ、バガス、コーン・スティープ・リカー等の天然有機栄養源も用いることができる。
【0096】
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の各種無機および有機アンモニウム塩類、グルタミン酸、グルタミン、メチオニン等のアミノ酸、ペプトン、NZアミン、コーン・スティープ・リカー、肉エキス、酵母エキス、麦芽エキス、カゼイン加水分解物、大豆粕、大豆粕加水分解物、フィッシュミールあるいはその消化物等が用いられる。
【0097】
無機物としては、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸一ナトリウムリン酸二ナトリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、硫酸亜鉛、炭酸カルシウム等が用いられる。ビタミン、アミノ酸、核酸等を必要に応じて添加してもよい。
【0098】
培養は、振盪培養または通気攪拌培養等の好気的条件下で行う。培養温度は15〜45℃がよく、培養時間は、通常5〜96時間である。培養中pHは、3.0〜9.0に保持する。pHの調整は、無機あるいは有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニア等を用いて行う。また培養中必要に応じてアンピシリン、カナマイシンまたはクロラムフェニコール等の抗生物質を培地に添加してもよい。
【0099】
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)等を、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸(IAA)等を培地に添加してもよい。
【0100】
本発明の糖ヌクレオチドの製造において、2種以上の微生物を用いる場合、該微生物それぞれを個別に培養し、該培養液を利用して糖ヌクレオチドの製造に用いてもよいし、一つの培養器に同時に植菌し、混合培養した後、該培養液を利用して糖ヌクレオチドの製造に用いてもよい。また、いずれかの微生物の培養中もしくは培養終了時に残りの微生物を植菌し、培養した後、該培養液を利用して糖ヌクレオチドの製造に用いてもよい。更に、上述1)に記載の性質を有する微生物と2)に記載の性質を有する微生物とを別々に培養し、各々の培養液を利用して糖ヌクレオチドの製造に用いてもよい。
【0101】
該培養により得られた微生物の培養液および該培養液を種々処理した培養液の処理物を酵素源として用い、水性媒体中で糖ヌクレオチドの生成に用いることができる。
培養液の処理物としては、培養液の濃縮物、培養液の乾燥物、培養液を遠心分離して得られる培養上清、該培養上清の濃縮物、培養上清から得られる酵素標品、培養液を遠心分離して得られる細胞(菌体を含む)、該細胞の乾燥物、該細胞の凍結乾燥物、該細胞の界面活性剤処理物、該細胞の超音波処理物、該細胞の機械的摩砕処理物、該細胞の溶媒処理物、該細胞の酵素処理物、該細胞の蛋白質分画物、該細胞の固定化物あるいは該細胞より抽出して得られる酵素標品等を挙げることができる。
【0102】
糖ヌクレオチドの生成において用いられる酵素源の量は、湿菌体として、1〜500g/lであり、好ましくは5〜300g/lである。また、同時に2種以上の微生物を用いて水性媒体中で反応を行う場合には、水性媒体中の該微生物の全湿菌体量は2〜500g/lであり、好ましくは5〜400g/lである。
糖ヌクレオチドの生成において用いられる水性媒体としては、水、リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、トリス等の緩衝液、メタノール、エタノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、アセトアミド等のアミド類等をあげることができる。また、酵素源として用いた微生物の培養液を水性媒体として用いることができる。
【0103】
糖ヌクレオチドの生成において用いられるヌクレオチドの前駆物質としては、オロット酸、ウラシル、オロチジン、ウリジン、シトシン、シチジン、アデニン、アデノシン、グアニン、グアノシン、ヒポキサンチン、イノシン、キサンチン、キサントシン、イノシン−5’−一リン酸、キサントシン−5’−一リン酸、グアノシン−5’−一リン酸、ウリジン−5’−一リン酸およびシチジン−5’−一リン酸等をあげることができ、好ましくはオロット酸およびグアノシン−5’−一リン酸をあげることができる。該ヌクレオチドの前駆物質は、純品および該前駆物質の塩並びに夾雑物が反応を阻害しない限り、微生物により発酵生産された該前駆物質含有培養液および該培養液の該前駆物質粗精製物を用いることができる。ヌクレオチドの前駆物質は0.1mM〜1.0M、好ましくは0.01〜0.3Mの濃度で用いられる。
【0104】
糖ヌクレオチドの生成において用いられる糖としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、マンノース、フコース、N−アセチルマンノサミン、アセチルノイラミン酸およびこれらの誘導体等をあげることができる。該糖は、純品を用いてもよいし、これらを含有するもので、夾雑物が反応を阻害しないものであればいずれも用いることができる。糖は、反応開始時に一括して添加しても良いし、あるいは反応中分割して、あるいは連続して添加することもでき、0.1mM〜2.0Mの濃度で用いられる。
【0105】
糖ヌクレオチドの生成において、必要に応じて、ATP再生に必要なエネルギー供与体、補酵素、リン酸イオン、マグネシウムイオン、フィチン酸等のキレート剤、界面活性剤および有機溶剤を添加してもよい。
エネルギー供与体としては、グルコース、フルクトース、シュークロース、ラクトース、マルトース、マンニトール、ソルビトール等の炭水化物、ピルビン酸、乳酸、酢酸等の有機酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸、糖蜜、澱粉加水分解物等をあげることができ、1.0mM〜2.0Mの濃度で用いられる。
【0106】
リン酸イオンとしては、正リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸、ポリリン酸、メタリン酸、トリメタリン酸、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム等の無機のリン酸塩等をあげることができ、1.0mM〜1.0Mの濃度で用いることができる。
マグネシウムイオンとしては、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム等の無機のマグネシウム塩、クエン酸マグネシウム等の有機のマグネシウム塩等をあげることができ、通常1〜100mMの濃度で用いられる。
【0107】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレン・オクタデシルアミン等の非イオン系界面活性剤(例えばナイミーンS-215、日本油脂社製)、セチルトリメチルアンモニウム・ブロマイドやアルキルジメチル・ベンジルアンモニウムクロライド等のカチオン系界面活性剤(例えばカチオンF2-40E、日本油脂社製)、ラウロイル・ザルコシネート等のアニオン系界面活性剤、アルキルジメチルアミン等の三級アミン類(例えば三級アミンFB、日本油脂社製)等、各種糖ヌクレオチドの生成を促進するものであればいずれでも良く、1種または数種を混合して使用することもできる。界面活性剤は、通常0.1〜50g/lの濃度で用いられる。
【0108】
有機溶剤としては、キシレン、トルエン、脂肪族アルコール、アセトン、酢酸エチル等が挙げられ、通常0.1〜50ml/lの濃度で用いられる。
糖ヌクレオチドの生成反応は、水性媒体中、pH5〜10、好ましくはpH6〜9、20〜50℃の条件で2〜96時間行う。
該方法により糖ヌクレオチドを生成することができ、例えば、ウリジン二リン酸化合物、グアノシン二リン酸化合物およびシチジン一リン酸化合物等をあげることができる。具体的には、UDP−Glc、UDP−Gal、UDP−GlcNAc、UDP−GalNAc、UDP−GlcUA、GDP−Man、GDP−Fuc、CMP-NeuAcおよびこれらの誘導体から選ばれる糖ヌクレオチド等をあげることができる。
【0109】
水性媒体中に生成した糖ヌクレオチドの定量は公知の方法に準じて行うことができ、例えば、UDP−GlcとUDP−Galの分離定量はAnal. Biochem., 216, 188 (1994)記載の高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略す)による方法で行うことができる。また、UDP−GlcNAc、GDP−Man、GDP−Fuc、CMP-NeuAcの分離定量は以下の条件のHPLCにより行うことができる。
【0110】
溶出液:0.1M KH2PO4(H3PO4を用いてpH3.2に調整)
流速 :1ml/min
カラム:Partisil-10 SAX(ワットマン社製)
検出 :UV262nm
定量 :スタンダードの吸光度値の比較により算出
反応液中に生成した糖ヌクレオチドの採取は、活性炭やイオン交換樹脂等を用いる通常の方法によって行うことができ、例えば、UDP−GalおよびUDP−GlcにおいてはJ. Org. Chem., 57, 152 (1992)、UDP−GlcNAcにおいてはJ. Org. Chem., 57, 146 (1992)に記載の方法に準じて行うことができる。
【0111】
本発明の複合糖質の製造に用いることのできる微生物あるいは動物細胞あるいは昆虫細胞としては、糖ヌクレオチドと複合糖質前駆物質から複合糖質を生産する能力を有する微生物あるいは動物細胞あるいは昆虫細胞であればいずれも用いることができる。例えば、グルコシルトランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、グルクロノシルトランスフェラーゼ、マンノシルトランスフェラーゼ、シアリルトランスフェラーゼおよびフコシルトランスフェラーゼ等の活性を有する微生物あるいは動物細胞あるいは昆虫細胞をあげることができる。
【0112】
また、前述の糖ヌクレオチドの製造の場合と同様に、遺伝子組換え技術により造成された微生物あるいは動物細胞あるいは昆虫細胞を利用することもできる。例えば、ヒト・メラノーマ細胞SK-Mel-28細胞由来のセラミドグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子を発現するエシェリヒア・コリ[Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 93, 4638 (1996)]、β1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼを産生するヒト・メラノーマ細胞WM266-4株(ATCC CRL1676)、およびヒト・メラノーマ細胞WM266-4由来β1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子を含有するナマルバ細胞KJM-1株等の組換え株(特開平6-181759)、ヒトHela細胞由来のβ1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子を発現するエシェリヒア・コリ[EMBO J., 9, 3171 (1990)]あるいはSaccharomyces cerevisiae[Biochem. Biophys. Res. Commun., 201, 160 (1994)]、ラット由来のβ1,6-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ遺伝子を発現するCOS−7細胞(ATCC CRL1651)[J. Biol. Chem., 268, 15381 (1993)]、ヒト由来のN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ遺伝子を発現するSf9細胞[J. Biochem., 118, 568 (1995)]、ヒト由来のグルクロノシルトランスフェラーゼを発現するエシェリヒア・コリ[Biochem. Biophys. Res. Commun., 196, 473 (1993)]、ヒト由来のα1,3-フコシルトランスフェラーゼを発現するナマルバ細胞[J. Biol. Chem., 269, 14730 (1994)]、ヒト由来のα1,3/1,4-フコシルトランスフェラーゼを発現するCOS−1細胞[Genes Dev., 4, 1288 (1990)]、ヒト由来のα1,2-フコシルトランスフェラーゼを発現するCOS−1細胞[Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 87, 6674 (1990)]、チキン由来のα2,6-シアリルトランスフェラーゼを発現するCOS−7細胞[Eur. J. Biochem., 219, 375 (1994)]、ヒト由来のα2,8-シアリルトランスフェラーゼを発現するCHO細胞[Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 91, 7952 (1994)]、ナイセリア由来のβ1,3-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼあるいはβ1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼあるいはβ1,3-N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼあるいはα1,4-ガラクトシルトランスフェ ラーゼを発現するエシェリヒア・コリ(WO96/10086)、ナイセリア由来のα2,3-シアリルトランスフェラーゼを発現するエシェリヒア・コリ[J. Biol. Chem., 271, 28271 (1996)]、ヘリコバクター・ピロリ由来のα1,3-フコシルトランスフェラーゼを発現するエシェリヒア・コリ[J. Biol. Chem., 272, 21349および21357 (1997)]、酵母由来のα1,2-マンノシルトランスフェラーゼを発現するエシェリヒア・コリ[J. Org. Chem., 58, 3985 (1993)]等の微生物あるいは動物細胞あるいは昆虫細胞をあげることができる。
【0113】
本発明の複合糖質の製造に微生物を用いる場合には、該微生物を、上記ヌクレオチドの前駆物質と糖から糖ヌクレオチドを生産する能力を有する微生物の培養と同様の培地、培養条件により培養することができる。
本発明の複合糖質の製造に動物細胞を用いる場合には、該動物細胞を培養する培地として、一般に使用されているRPMI1640培地、EagleのMEM培地またはこれら培地に牛胎児血清等を添加した培地等が用いられる。培養は、5%CO2存在下等の条件下で行う。培養温度は20〜40℃がよく、培養時間は、通常3〜14日間である。また必要に応じて、抗生物質を培地に添加してもよい。
【0114】
本発明の複合糖質の製造に昆虫細胞を用いる場合には、該昆虫細胞の培養を公知の方法[J. Biol. Chem., 268, 12609 (1993)]に準じて行うことができる。
該培養により得られた微生物あるは動物細胞あるいは昆虫細胞の培養液および該培養液を種々処理した培養液の処理物を酵素源として用い、水性媒体中で複合糖質の生成に用いることができる。培養液の処理物としては、培養液の濃縮物、培養液の乾燥物、培養液を遠心分離して得られる培養上清、該培養上清の濃縮物、培養上清から得られる酵素標品、培養液を遠心分離して得られる細胞(菌体を含む)、該細胞の乾燥物、該細胞の凍結乾燥物、該細胞の界面活性剤処理物、該細胞の超音波処理物、該細胞の機械的摩砕処理物、該細胞の溶媒処理物、該細胞の酵素処理物、該細胞の蛋白質分画物、該細胞の固定化物あるいは該細胞より抽出して得られる酵素標品等を挙げることができる。
【0115】
複合糖質の生成において用いられる酵素源の量は、酵素の活性を、37℃で1分間に1μmoleの複合糖質を生成することのできる活性を1単位(U)として、0.1mU/l〜10000U/lであり、好ましくは1mU/l〜1000U/lの濃度で用いることができる。
複合糖質の生成において用いられる水性媒体としては、水、リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、トリス等の緩衝液、メタノール、エタノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、アセトアミド等のアミド類等をあげることができる。また、酵素源として用いた微生物、動物細胞あるいは昆虫細胞の培養液を水性媒体として用いることができる。
【0116】
複合糖質の生成において、必要に応じて、フィチン酸等のキレート剤、MnCl2等の無機塩、β−メルカプトエタノール等を添加することができる。
複合糖質の生成において用いられる糖ヌクレオチドとしては、上記糖ヌクレオチドの生成で得られた反応液あるいは該反応液から精製した糖ヌクレオチドを用いることができ、0.01mM〜2.0Mの濃度で用いることができる。
【0117】
また、複合糖質の生成反応液中で、上述の方法により糖ヌクレオチドを生成させることにより、糖ヌクレオチドを供給することもできる。
複合糖質の生成において用いられる複合糖質前駆物質としては、単糖、オリゴサッカライド、担体等に結合した単糖およびオリゴサッカライド、蛋白質、ペプチド、脂質、糖蛋白質、糖脂質、グリコペプチドあるいはステロイド化合物等糖転移酵素の基質となるものであればいかなるものでも用いることができる。
【0118】
具体的にはグルコース、ガラクトース、マンノース、シアル酸、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトース、N−アセチルラクトサミン、ラクト−N−ビオース、GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc、GlcNAcβ1-4Galβ1-4Glc、グロボトリオース、Galα1-4Galβ1-4GlcNAc、2'-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース、3'-シアリルラクトース、6'-シアリルラクトース、3'-シアリル−N−アセチルラクトサミン、6'-シアリル−N−アセチルラクトサミン、シアリルラクト−N−ビオース、ルイスX、ルイスa、ラクト−N−テトラオース、ラクト−N−ネオテトラオース、ラクトジフコテトラオース、3'-シアリル-3-フコシルラクトース、シアリルルイスX、シアリルルイスa、ラクト−N−フコペンタオースI、ラクト−N−フコペンタオースII、ラクト−N−フコペンタオースIII、ラクト−N−フコペンタオースV、LS-テトラサッカライドa、LS-テトラサッカライドb、LS-テトラサッカライドc、(α2,3)シアリルラクト−N−ネオテトラオースおよびこれらの誘導体、セリン、スレオニン、アスパラギンおよび該アミノ酸を含有するぺプチドおよびその誘導体、セラミドおよびその誘導体等を例示することができる。該複合糖質前駆物質は0.01mM〜2.0Mの濃度で用いることができる。
【0119】
本発明の複合糖質としては、グルコース、ガラクトース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、グルクロン酸、マンノース、N−アセチルマンノサミン、フコース、シアル酸、ラクトース、N−アセチルラクトサミン、ラクト−N−ビオース、GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc、GlcNAcβ1-4Galβ1-4Glc、グロボトリオース、Galα1-4Galβ1-4GlcNAc、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース、3’-シアリルラクトース、6’-シアリルラクトース、3’-シアリル−N−アセチルラクトサミン、6’-シアリル−N−アセチルラクトサミン、シアリルラクト−N−ビオース、ルイスX、ルイスa、ラクト−N−テトラオース、ラクト−N−ネオテトラオース、ラクトジフコテトラオース、3’-シアリル3-フコシルラクトース、シアリルルイスX、シアリルルイスa、ラクト−N−フコペンタオースI、ラクト−N−フコペンタオースII、ラクト−N−フコペンタオースIII、ラクト−N−フコペンタオースV、LS-テトラサッカライドa、LS-テトラサッカライドb、LS-テトラサッカライドc、(α2,3)シアリルラクト−N−ネオテトラオース、ラクト−N−ジフコヘキサオースI、ラクト−N−ジフコヘキサオースII、ラクト−N−ヘキサオース、ラクト−N−ネオヘキサオース、ジシアリルラクト−N−テトラオースおよびこれらの誘導体から選ばれる糖を1あるいはそれ以上含有する複合糖質または該複合糖質を含む複合糖質をあげることができ、例えば、Galβ1-3Glc、Galβ1-4Glc、Galβ1-3GlcNAc、Galβ1-4GlcNAc、Galβ1-3Gal、Galβ1-4Gal、Galβ1-3GalNAc、Galβ1-4GalNAc、Galα1-3Glc、Galα1-4Glc、Galα1-3GlcNAc,Galα1-4GlcNAc、Galα1-3Gal、Galα1-4Gal、Galα1-3GalNAc、Galα1-4GalNAc、GlcNAcβ1-3Gal、GlcNAcβ1-4Gal、GlcNAcβ1-6Gal、GlcNAcβ1-3Glc、GlcNAcβ1-4Glc、GlcNAcβ1-3GlcNAc、GlcNAcβ1-4GlcNAc、GlcNAcβ1-6GalNAc、GlcNAcβ1-2Man、GlcNAcβ1-4Man、GlcNAcβ1-6Man、GalNAcβ1-3Gal、GalNAcβ1-4Gal、GalNAcβ1-4GlcNAc、GalNAcα1-3GalNAc、Manβ1-4GlcNAc、Manα1-6Man,Manα1-3Man,Manα1-2Man,GlcUAβ1-4GlcN、GlcUAβ1-3Gal、GlcUAβ1-3GlcNAc、GlcUAβ1-3GalNAc、NeuAcα2-3Gal、NeuAcα2-6Gal、NeuAcα2-3GlcNAc、NeuAcα2-6GlcNAc、NeuAcα2-3GalNAc、NeuAcα2-6GalNAc、NeuAcα2-8NeuAc、Fucα1-3Glc、Fucα1-4Glc、Fucα1-3GlcNAc、Fucα1-4GlcNAc、Fucα1-2GalおよびFucα1-6GlcNAcから選ばれる結合を有する糖を含む複合糖質または該複合糖質を含む複合糖質をあげることができる。また、該糖を有する複合糖質に含まれる糖の数としては、10個以下あるいは6個以下のものをあげることができる。
【0120】
具体的な複合糖質製造法としては、
(1)ナイセリア由来のβ1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(WO96/10086)を発現する微生物、UTPの前駆物質からUTPを生産する能力を有する微生物、糖とUTPからUDP−Galを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、オロット酸とガラクトースとグルコースからラクトースを生成させることができる。
(2)ナイセリア由来のβ1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(WO96/10086)を発現する微生物、UTPの前駆物質からUTPを生産する能力を有する微生物、糖とUTPからUDP−Galを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、オロット酸とガラクトースとN−アセチルグルコサミンからN−アセチルラクトサミンを生成させることができる。
(3)ナイセリア由来のα2,3-シアリルトランスフェラーゼ[J.Biol.Chem., 271, 28271 (1996)]を発現する微生物、CTPの前駆物質からCTPを生産する能力を有する微生物、糖とCTPからCMP−NeuAcを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、オロット酸とN−アセチルマンノサミンとピルビン酸とラクトースから3'-シアリルラクトースを生成させることができる。
(4)ナイセリア由来のα2,3-シアリルトランスフェラーゼ[J.Biol.Chem., 271, 28271 (1996)]を発現する微生物、CTPの前駆物質からCTPを生産する能力を有する微生物、糖とCTPからCMP−NeuAcを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、オロット酸とN−アセチルマンノサミンとピルビン酸とN−アセチルラクトサミンから3'-シアリル−N−アセチルラクトサミンを生成させることができる。
【0121】
(5)チキン由来のα2,6-シアリルトランスフェラーゼを発現するCOS−7細胞[Eur. J. Biochem., 219, 375 (1994)]、 CTPの前駆物質からCTPを生産する能力を有する微生物、糖とCTPからCMP−NeuAcを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、オロット酸とN−アセチルマンノサミンとピルビン酸とN−アセチルラクトサミンから6'-シアリル−N−アセチルラクトサミンを生成させることができる。
(6)ナイセリア由来のβ1,3-N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(WO96/10086)を発現する微生物、UTPの前駆物質からUTPを生産する能力を有する微生物、糖とUTPからUDP−GlcNAcを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、オロット酸とN−アセチルグルコサミンとラクトースからGlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcを生成させることができる。
(7)β1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼを産生するヒト・メラノーマ細胞WM266-4株(ATCC CRL1676)、あるいはヒト・メラノーマ細胞WM266-4由来β1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子を発現するナマルバ細胞KJM-1株等の組換え株(特開平6-181759)、 UTPの前駆物質からUTPを生産する能力を有する微生物、糖とUTPからUDP−Galを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、オロット酸とガラクトースとGlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcからラクト−N−テトラオースを生成させることができる。
(8)ヒトHela細胞由来のβ1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子を発現するエシェリヒア・コリ[EMBO J., 9, 3171 (1990)]あるいはSaccharomyces cerevisiae[Biochem. Biophys. Res. Commun., 201, 160 (1994)]、UTPの前駆物質からUTPを生産する能力を有する微生物、糖とUTPからUDP−Galを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、オロット酸とガラクトースとGlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcからラクト−N−ネオテトラオースを生成させることができる。
(9)ナイセリア由来のβ1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(WO96/10086)を発現する微生物、UTPの前駆物質からUTPを生産する能力を有する微生物、糖とUTPからUDP−Galを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、オロット酸とガラクトースとGlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcからラクト−N−ネオテトラオースを生成させることができる。
【0122】
(10)ナイセリア由来のβ1,3-N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(WO96/10086)を発現する微生物、ナイセリア由来のβ1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(WO96/10086)を発現する微生物、UTPの前駆物質からUTPを生産する能力を有する微生物、糖とUTPからUDP−GlcNAcを生産する能力を有する微生物、糖とUTPからUDP−Galを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、オロット酸とN−アセチルグルコサミンとガラクトースとラクトースからラクト−N−ネオテトラオースを生成させることができる。
(11)ナイセリア由来のα2,3-シアリルトランスフェラーゼ[J.Biol.Chem., 271, 28271 (1996)]を発現する微生物、CTPの前駆物質からCTPを生産する能力を有する微生物、糖とCTPからCMP−NeuAcを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、オロット酸とN−アセチルマンノサミンとピルビン酸とラクト−N−ネオテトラオースから(α2,3)シアリルラクト−N−ネオテトラオースを生成させることができる。
(12)ヒト由来のα1,3-フコシルトランスフェラーゼを発現するナマルバ細胞[J. Biol. Chem., 269, 14730 (1994)]、 GTPの前駆物質からGTPを生産する能力を有する微生物、糖とGTPからGDP−Fucを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、GMPとマンノースとラクト−N−ネオテトラオースからラクト−N−フコペンタオースIIIを生成させることができる。
(13)ヘリコバクター・ピロリ由来のα1,3-フコシルトランスフェラーゼ[J.Biol.Chem., 272, 21349および21357 (1997)]を発現する微生物、GTPの前駆物質からGTPを生産する能力を有する微生物、糖とGTPからGDP−Fucを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、GMPとマンノースとラクト−N−ネオテトラオースからラクト−N−フコペンタオースIIIを生成させることができる。
(14)ナイセリア由来のα1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(WO96/10086)を発現する微生物、UTPの前駆物質からUTPを生産する能力を有する微生物、糖とUTPからUDP−Galを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、オロット酸とガラクトースとラクトースからグロボトリオースを生成させることができる。
【0123】
(15)ナイセリア由来のβ1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(WO96/10086)を発現する微生物、ナイセリア由来のα1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(WO96/10086)を発現する微生物、UTPの前駆物質からUTPを生産する能力を有する微生物、糖とUTPからUDP−Galを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、オロット酸とガラクトースとグルコースからグロボトリオースを生成させることができる。
(16)ナイセリア由来のα1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(WO96/10086)を発現する微生物、UTPの前駆物質からUTPを生産する能力を有する微生物、糖とUTPからUDP−Galを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、オロット酸とガラクトースとN−アセチルラクトサミンからGalα1-4Galβ1-4GlcNAcを生成させることができる。
(17)ヒト由来のβ1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ(特開平6-181759)を発現する動物細胞、UTPの前駆物質からUTPを生産する能力を有する微生物、糖とUTPからUDP−Galを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、オロット酸とガラクトースとN−アセチルグルコサミンからラクト−N−ビオースを生成させることができる。
(18)ナイセリア由来のα2,3-シアリルトランスフェラーゼ[J.Biol.Chem., 271, 28271 (1996)]を発現する微生物、CTPの前駆物質からCTPを生産する能力を有する微生物、糖とCTPからCMP−NeuAcを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、オロット酸とN−アセチルマンノサミンとピルビン酸とラクト−N−ビオースからシアリルラクト−N−ビオースを生成させることができる。
(19)ヒト由来のα1,3-フコシルトランスフェラーゼ[J. Biol. Chem., 269, 14730 (1994)]を発現する動物細胞、GTPの前駆物質からGTPを生産する能力を有する微生物、糖とGTPからGDP−Fucを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、GMPとマンノースと3'-シアリルN−アセチルラクトサミンからシアリルルイスXを生成させることができる。
【0124】
(20)ヒト由来のα1,3/1,4-フコシルトランスフェラーゼ[Carbohydrate Research, 190, 1 (1989)]、GTPの前駆物質からGTPを生産する能力を有する微生物、糖とGTPからGDP−Fucを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、GMPとマンノースとシアリルラクト−N−ビオ−スからシアリルルイスaを生成させることができる。
(21)酵母由来のα1,2-マンノシルトランスフェラーゼを発現するエシェリヒア・コリ[J. Org. Chem., 58, 3985 (1993)]、 GTPの前駆物質からGTPを生産する能力を有する微生物、糖とGTPからGDP−Manを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物とを酵素源とした酵素反応を行うことにより、GMPとマンノースからManα1-2Manを生成させることができる。
等をあげることができる。
【0125】
複合糖質の製造法は、上記に記載された例に限定されるものではなく、本特許に記載された糖ヌクレオチド製造法と組み合わせることができる糖転移酵素、および該酵素が許容する基質特異性の範囲において、どのような糖鎖でも、ヌクレオチドの前駆物質、糖、複合糖質前駆物質のみを原料として工業的に製造することが可能である。
【0126】
本発明の製造方法により製造される複合糖質として、例えば、
(1)病原性微生物やウィルスの感染に関与する複合糖質類、例えば、病原性微生物やウィルスの受容体として認識される複合糖質類、
(2)病原性微生物やウィルスが生産する毒素の受容体として認識される複合糖質類、
(3)生体内で、細胞接着、異物の認識、各種リンフォカインの結合等に関与する複合糖質類、
等の、グルコース、ガラクトース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、グルクロン酸、マンノース、N−アセチルマンノサミン、フコース、シアル酸等の糖を、単独あるいは複数、化学的に許容される結合形式で含有する複合糖質をあげることができ、より具体的には、
【0127】
(1)ヒトや動物のミルク中に含有される乳幼児の微生物感染防御に関与する複合糖質類、例えば、ラクト−N−テトラオース、ラクト−N−ネオテトラオース等の複合糖質、
(2)Escherichia coliPropionibacterium granulosiumMycobacterium tuberculosisMoraxella catarahlisCandida albicansStaphylococcus saprophyticusStreptococcus pneumoniaeStreptococcus agalactiaePseudomonas aeruginosaActinomyces naeslundiiNeisseria gonorrhoeaeHelicobacter pyloriHaemophilus influenzae等の微生物を認識する受容体複合糖質、
(3)インフルエンザウィルス、コロナウィルス、センダイウィルス、ニューカッスル病ウィルス、レオウィルス、ロタウィルス、エイズウィルス、等のウィルスの受容体複合糖質、
(4)クリプトスポリジウム、トリパノゾーマなどの原虫の受容体複合糖質
(5)コレラ毒素、大腸菌易熱性毒素、ボツリヌス毒素、クロストリジウムδ毒素、クロストリジウムA毒素、志賀毒素、ベロ毒素、志賀毒素様毒素、腸炎ビブリオ耐熱性毒素、破傷風毒素、等の毒素が結合する受容体複合糖質、
【0128】
(6)GD3,GM3等のガングリオシドやグロボ系糖脂質等の、ガン関連複合糖質、
(7)シアリルルイスx糖鎖等の、白血球の炎症部位への接着や機能修飾に関与する複合糖質類、
(8)慢性関節リュウマチやIgA腎症等の自己免疫疾患に関与する複合糖質類、
(9)異物認識やガン細胞の認識に関与する各種のレクチン様物質が認識する複合糖質類等をあげることができる。
【0129】
水性媒体中に生成した複合糖質の定量は公知の方法に準じて行うことができる。[Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 85, 3289 (1988)、Anal. Biochem., 174, 459 (1988)]。
反応液中に生成した複合糖質の採取は、活性炭やイオン交換樹脂等を用いる通常の方法によって行うことができ、例えば、N−アセチルラクトサミンにおいてはJ. Org. Chem., 47, 5416 (1982)記載の方法に準じて行うことができる。
【0130】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0131】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。
実施例1 galU、ppaを発現する組換え体プラスミドの造成
galU、ppaを発現する組換え体プラスミドpNT12の造成方法について以下に述べる(図1、図2)。
1)PLプロモーターを含む発現ベクターの造成
Lプロモーターを含む発現ベクターであるpPA31およびpPAC31は以下に示す方法で造成した(図1)。
【0132】
トリプトファンプロモーターを含むプラスミドpTrS30を保有するエシェリヒア・コリJM109/pTrS30(FERM BP-5407)およびPLプ ロモーターを含むプラスミドpPA1(特開昭63-233798)、PLプロモーターおよびcI857リプレッサーを含むプラスミドpPAC1(FERM BP-6054)を保有するエシェリヒア・コリを、それぞれLB培地[バクトトリプトン(ディフコ社製)10g/l、酵母エキス(ディフコ社製)5g/l、NaCl 5g/l、pHを7.2]に植菌し、30℃で18時間培養した。
【0133】
該培養により得られた菌体から前述の公知の方法により、pTrS30、pPA1およびpPAC1プラスミドDNAを単離精製した。
精製したpTrS30 DNA0.2μgを制限酵素PstIおよびClaIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、ジーンクリーンIIキット(Bio101社製)により3.4kbの断片を回収した。精製したpPA1 DNA 0.5μgを制限酵素PstIおよびClaIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に1.0kbの断片を回収した。
【0134】
該3.4kbの断片および1.0kbの断片をライゲーションキット(TAKARA ligation Kit、宝酒造社製)を用いて、16℃で16時間、連結反応を行った。
該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を前述の公知の方法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、37℃で一晩培養した。
【0135】
生育してきた形質転換体のコロニーより前述の公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、PLプロモーターによる発現ベクターであるpPA31を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図1)。
精製したpPA31 DNA 0.2μgを制限酵素PstIおよびClaIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、ジーンクリーンIIキットにより3.4kbの断片を回収した。精製したpPAC1 DNA 0.5μgを制限酵素PstIおよびClaIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に2.3kbの断片を回収した。
【0136】
該3.4kbの断片および2.3kbの断片をライゲーションキットを用いて、16℃で16時間連結反応を行った。
該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を前述の公知の方法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、37℃で一晩培養した。
【0137】
生育してきた形質転換体のコロニーより前述の公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、cI857リプレッサーを含むPLプロモーターによる発現ベクターであるpPAC31を取得した。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図1)。
2)galU発現プラスミドの造成
エシェリヒア・コリW3110株の染色体DNAを公知の方法[例えばCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons Inc.(1994)]により単離精製した。
【0138】
配列番号1記載のセンス鎖DNAプライマーと、配列番号2記載のアンチセンス鎖DNAプライマーをアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製380A・DNA合成機を用いて合成した。
該合成DNAをプライマーとして、W3110株の染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。PCRはW3110染色体DNA 0.04μg、プライマー各0.5μM、TAKARA Ex Taq(宝酒造社製)1.0unit、10×Ex Taq緩衝液(宝酒造社製)4μl、deoxyNTP各200μMを含む反応液40μlを用い、94℃―1分、42℃―2分、72℃―3分の工程を30回繰り返すことにより行った。
【0139】
該反応液の1/10量をアガロースゲル電気泳動にかけ、目的の断片が増幅されていることを確認後、残りの反応液と等量のTE〔10mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0)、1mM EDTA〕飽和フェノール/クロロホ ルム(1vol/1vol)を添加し、混合した。該混合液を遠心分離後、得られた上層に2倍容量の冷エタノールを加えて混合し、−80℃に30分放置した。該放置液を遠心分離しDNAの沈殿を得た。該沈殿を70%冷エタノールで洗浄し、真空乾燥して沈殿を得た。以後、TE飽和フェノール/クロロホルムを添加し、エタノールで洗浄したDNAの沈殿を得るまでの操作をエタノール沈殿法と呼ぶ。
【0140】
該DNAの沈殿を20μlのTEに溶解した。該溶解液5μlを用い、DNAを制限酵素HindIIIおよびBamHIで切断し、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離した後、ジーンクリーンIIキットにより0.9kbの断片を回収した。実施例1−1)で取得したpPA31 DNA 0.2μgを制限酵素HindIIIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に4.2kbの断片を回収した。
【0141】
該0.9kbの断片および4.2kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間、連結反応を行った。
該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリKY8415株を前述の公知の方法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
【0142】
生育してきた形質転換体のコロニーより前述の公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、galU発現プラスミドであるpNT9を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図2)。
3)galU,ppa同時発現プラスミドの造成
配列番号3記載のセンス鎖DNAプライマーと、配列番号4記載のアンチセンス鎖DNAプライマーを合成し、該合成DNAをプライマーとして、W3110株の染色体DNAを鋳型として前述と同一の条件でPCRを行った。
【0143】
PCR終了後、エタノール沈殿法により、DNAの沈殿を取得した。該沈殿を20μlのTEに溶解した。該溶解液5μlを用い、DNAを制限酵素BamHIおよびSalIで切断し、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離した後、ジーンクリーンIIキットにより1.0kbの断片を回収した。実施例1−2)で取得したpNT9 DNA0.2μgを制限酵素BamHIおよびSalIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に4.9kbの断片を回収した。
【0144】
該1.0kbの断片および4.9kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間、連結反応を行った。
該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリKY8415株を前述の公知の方法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
【0145】
生育してきた形質転換体のコロニーより前述の公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、galU,ppa同時発現プラスミドであるpNT12を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図2)。
該pNT12 DNA 0.5μgを制限酵素EcoRIお よびSalIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離しジーンクリーンIIキットにより2.2kbの断片を回収した。一方、pSTV28 DNA(宝酒造社製)0.2μgを制限酵素EcoRIおよびSalIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に3.0kbの断片を回収した。
【0146】
該2.2kbの断片および3.0kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間連結反応を行った。該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、galU,ppa遺伝子発現プラスミドであるpNT32を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図2)。
【0147】
実施例2 UDP−Glcの生産
実施例1で得たエシェリヒア・コリKY8415/pNT12株を、アンピシリン50μg/mlを含むLB培地125mlの入った1L容バッフル付き三角フラスコに接種し、30℃で220rpmの条件で17時間培養した。該培養液125mlをグルコース10g/l、バクトトリプトン(ディフコ社製)12g/l、酵母エキス(ディフコ社製)24g/l、KH2PO4 2.3g/l(別殺菌)、K2HPO4 12.5g/l(別殺菌)、アンピシリン 50μg/mlの組成からなる液体培地(pH無調整)2.5Lの入った5L容培養槽に接種し、30℃で4時間、更に、40℃で3時間、600rpm、通気量2.5L/分の条件で培養を行った。
【0148】
該培養中、28%アンモニア水を用いて、培養液のpHを7.0に維持した。また、培養途中で必要に応じてグルコースを添加した。該培養液を遠心分離し、湿菌体を取得した。該湿菌体は必要に応じて−20℃で保存することが可能で、使用前に解凍して用いることができる。
コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株を、グルコース50 g/l、ポリペプトン(日本製薬社製)10g/l、酵母エキス(オリエンタル酵母社製)10g/l、尿素 5g/l、(NH4)2SO4 5g/l、KH2PO4 1g/l、K2HPO4 3g/l、MgSO4・7H2O 1g/l、CaCl2・2H2O 0.1g/l、FeSO4・7H2O 10mg/l、ZnSO4・7H2O 10mg/l、MnSO4・4〜6H2O 20mg/l、L−システイン 20mg/l、D−パントテン酸カルシウム 10mg/l、ビタミンB1 5mg/l、ニコチン酸 5mg/l 、およびビオチン 30μg/l(10N NaOHでpH7.2に調整)の組成からなる液体培地20mlの入った300ml容バッフル付き三角フラスコに接種し、28℃で220rpmの条件で、24時間培養した。
【0149】
該培養液20mlを上記と同一組成の液体培地250mlの入った2L容バッフル付き三角フラスコに接種し、28℃で220rpmの条件で、24時間培養した。得られた培養液を種培養液として用いた。
該種培養液250mlを、グルコース 150g/l、肉エキス(極東製薬社製) 5g/l、KH2PO4 10g/l、K2HPO4 10g/l 、MgSO4・7H2O 10g/l、CaCl2・2H2O 0.1g/l、FeSO4・7H2O 20mg/l、ZnSO4・7H2O 10mg/l、MnSO4・4〜6H2O20mg/l(別殺菌)、β−アラニン 15mg/l(別殺菌)、L−システイン 20mg/l、ビオチン 100μg/l、尿素 2g/l、およびビタミンB1 5mg/l(別殺菌)(10N NaOHでpH7.2に調整)の組成からなる液体培地2.25Lの入った5L容培養槽に接種し、32℃で600rpm、通気量2.5L/minの条件で24時間培養を行った。培養中、28%アンモニア水を用いて、培養液のpHを6.8に維持した。
【0150】
該培養液を遠心分離し、湿菌体を取得した。該湿菌体は必要に応じて−20℃で保存することが可能で、使用前に解凍して用いることができる。
エシェリヒア・コリKY8415/pNT12株湿菌体 40g/l、コリネバクテリウ ム・アンモニアゲネスATCC21170株湿菌体 150g/l、グルコ ース 100g/l、KH2PO4 20g/l、MgSO4・7H2O 5 g/l、フィチン酸 5g/l、オロット酸(カリウム塩)21.2g/l、ナイミーンS−215 4g/l、キシレン 10ml/lの組成からなる反応液30mlを200ml容ビーカーに入れ、該反応液をマグネティック・スターラーにて攪拌(900rpm)し、32℃で21時間反応を行った。
【0151】
反応中、4N NaOHを用いて、該反応液のpHを7.2に維持し、必要に応じてグルコース、KH2PO4を添加した。
該反応により、反応液中に43.9g/lのUDP−Glc(2Na塩)が生成した。
【0152】
実施例3 galT、galKを発現する組換え体プラスミドの造成
galT、galKを発現する組換え体プラスミドpNT25の造成方法について以下に述べる(図3)。
【0153】
配列番号5記載のセンス鎖DNAプライマーと、配列番号6記載のアンチセンス鎖DNAプライマーを合成し、該合成DNAをプライマーとして、W3110株の染色体DNAを鋳型として前述と同一の条件でPCRを行った。
PCR終了後、エタノール沈殿法によりDNAの沈殿を取得した。該DNA沈殿を20μlのTEに溶解した。該溶解液5μlを用い、DNAを制限酵素HindIIIおよびHincIIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離した後、ジーンクリーンIIキットにより2.3kbの断片を回収した。pBluescriptIISK+ DNA 0.2μgを制限酵素HindIIIおよびEcoRVで切断し、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に3.0kbの断片を回収した。
【0154】
該2.3kbの断片および3.0kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間連結反応を行った。
該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を前述の公知の方法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
【0155】
生育してきた形質転換体のコロニーより前述の公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、galT、galK遺伝子を含むプラスミドであるpNT19を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図3)。
該pNT19 DNA0.5μgを制限酵素ClaIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に2.3kbの断片を回収した。実施例1−1)で取得したpPAC31 DNA 0.2μgを制限酵素ClaIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に5.5kbの断片を回収した。
【0156】
該2.3kbの断片および5.5kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間、連結反応を行った。
該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM52株を前述の公知の方法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
【0157】
生育してきた形質転換体のコロニーより前述の公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、galT、galK同時発現プラスミドであるpNT25を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図3)。
【0158】
実施例4 UDP−Galの生産
1)galT、galK、galU、ppa発現株の造成
実施例1−3)で得たpNT32 DNAを用いてエシェリヒア・コリNM522/pNT25株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlおよびクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。生育してきた形質転換体を選択することにより、galT、galK、galU、ppa発現株であるエシェリヒア・コリNM522/pNT25/pNT32株を得た。
2)UDP−Galの生産
実施例4−1)で得たエシェリヒア・コリNM522/pNT25/pNT32株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた各々の培養物を遠心分離し、湿菌体を取得した。また、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた培養物を遠心分離し、湿菌体を取得した。該湿菌体は必要に応じて−20℃で保存することが可能で、使用前に解凍して用いることができる。
【0159】
エシェリヒア・コリNM522/pNT25/pNT32株湿菌体 50g/l、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株湿菌体 150g/l、グルコース 80g/l、ガラクトース 20g/l、KH2PO4 15g/l、MgSO4・7H2O5g/ l、フィチン酸 5g/l、オロット酸(カリウム塩) 21.2g/l、ナイミーンS−215 4g/l、キシレン10ml/lの組成からなる反応液2Lを5L容培養槽に入れ、該反応液を600rpmにて攪拌し、1L/minにて通気し、32℃で26時間反応を行った。
【0160】
反応中、4N NaOHを用いて、該反応液のpH7.2に維持し、必要に応じて、グルコース、ガラクトース、KH2PO4を添加した。
該反応により、反応液中に47.4g/lのUDP−Gal(2Na塩)が生成した。
【0161】
実施例5 galT、galKをコリネバクテリウム・アンモニアゲネスで発現する組換え体プラスミドの造成
エシェリヒア・コリ由来のgalT、galKをコリネバクテリウム・アンモニアゲネスで発現する組換え体プラスミドpTK7の造成方法について以下に述べる(図4)。
1)pCG116の造成
コリネバクテリウム・アンモニアゲネスで複製できるプラスミドpCG116の造成を以下のように行った。
【0162】
プラスミドpCG11(特公平6-91827) DNA0.5μgを制限酵素PstIおよびStuIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、ジーンクリーンIIキットにより6.5kbの断片を回収した。
一方、プラスミドpUC19 DNA1.0μgを制限酵素EcoRIで 切断後、DNA Blunting Kit(宝酒造社製)により平滑末端化した。平滑末端化した該DNAをPstIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、MERmaid Kit(Bio101社製)により43bpの断片を回収した。
【0163】
該6.5kbの断片および43bpの断片をライゲーションキットを用いて、16℃で16時間、連結反応を行った。
該連結反応液を用いてコリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170 株をエレクトロポーレーション法[FEMS Microbiol. Lett., 65, 299 (1989)]で形質転換し、該形質転換体をスペクチノマイシン100μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で2日間培養した。
【0164】
生育してきた形質転換体のコロニーより公知の方法[J. Bacteriol., 159 306 (1984)]に従ってプラスミドを抽出し、プラスミドpCG116を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図4)。
2)galT、galKを発現するプラスミドpTK7の造成
実施例3で造成したgalT、galKを発現するプラスミドpNT25DNA1.0μgを制限酵素XhoIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、ジーンクリーンIIキットにより3.5kbの断片を回収した。
【0165】
一方、実施例5−1)で造成したプラスミドpCG116 DNA0.5μgを制限酵素SalIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に6.5kbの断片を回収した。
該3.5kbの断片および6.5kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間、連結反応を行った。
【0166】
該連結反応液を用いてコリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株をエレクトロポーレーション法で形質転換し、該形質転換体をスペクチノマイシン100μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で2日間培養した。
生育してきた形質転換体のコロニーより公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、galT、galK同時発現プラスミドであるpTK7を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図4)。
【0167】
実施例6 UDP−Galの生産
実施例5で得たコリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170/pTK7株を実施例2と同様の方法で32℃で20時間培養した後、40℃で4時間培養し、得られた培養物を遠心分離し、湿菌体を取得した。該湿菌体は必要に応じて−20℃で保存することが可能で、使用前に解凍して用いることができる。
【0168】
コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170/pTK7株湿菌体 150g/l、フルクトース 40g/l、ガラクトース 20g/l 、KH2PO4 15g/l、MgSO4・7H2O 5g/l、フィチン酸 5g/l、オロット酸(カリウム塩)10.6g/l、ナイミーンS−215 4g/l、キシレン 10ml/lの組成からなる反応液30mlを200ml容ビーカーに入れ、該反応液をマグネティック・スターラーにて攪拌(900rpm)し、32℃で22時間反応を行った。
【0169】
反応中、4N NaOHを用いて、該反応液のpH7.2に維持し、必要に応じて、フルクトース、ガラクトース、KH2PO4を添加した。
該反応により、反応液中に7.2g/lのUDP−Gal(2Na塩)が生成した。
【0170】
実施例7 glmU、ppa、pgm、glmM、glk、pfkB発現プラスミドの造成
1)glmU、ppa発現プラスミドの造成
配列番号7記載のセンス鎖DNAプライマーと、配列番号8記載のアンチセンス鎖DNAプライマーを合成した。該合成DNAをプライマーとして、W3110株の染色体DNAを鋳型として前述と同一の条件でPCRを行った。
【0171】
PCR終了後、エタノール沈殿法によりDNAの沈殿を取得した。該DNA沈殿を20μlのTEに溶解した。該溶解液5μlを用い、DNAを制限酵素HindIIIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、ジーンクリーンIIキットにより1.4kbの断片を回収した。実施例1−1)で取得したpPA31 DNA0.5μgを制限酵素HindIIIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に4.2kbの断片を回収した。
【0172】
該1.4kbの断片および4.2kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間、連結反応を行った。
該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリKY8415株を前述の公知の方法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
【0173】
生育してきた形質転換体のコロニーより前述の公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、glmU発現プラスミドであるpNT10を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図5)。
実施例1−3)で取得したpNT12 DNA0.5μgを制限酵素BamHIおよびSalIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し同様に1.0kbの断片を回収した。上記pNT10 DNA 0.2μgを制限酵素BamHIおよびSalIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に5.3kbの断片を回収した。
【0174】
該1.0kbの断片および5.3kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間、連結反応を行った。
該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリKY8415株を前述の公知の方法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
【0175】
生育してきた形質転換体のコロニーより前述の公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、glmU、ppa同時発現プラスミドであるpNT14を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図5)。
2)pgm発現プラスミドの造成
配列番号9記載のセンス鎖DNAプライマーと、配列番号10記載のアンチセンス鎖DNAプライマーを合成した。該合成DNAをプライマーとして、W3110株の染色体DNAを鋳型として前述と同一の条件でPCRを行った。
【0176】
PCR終了後、エタノール沈殿法により、DNAの沈殿を取得した。該沈殿を20μlのTEに溶解した。該溶解液5μlを用い、DNAを制限酵素ClaIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、ジーンクリーンIIキットにより1.8kbの断片を回収した。実施例1−1)で取得したpPAC31 DNA0.2μgを制限酵素ClaIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に5.5kbの断片を回収した。
【0177】
該1.8kbの断片および5.5kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間、連結反応を行った。
該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を前述の公知の方法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
【0178】
生育してきた形質転換体のコロニーより前述の公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、pgm発現プラスミドであるpNT24を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図6)。
3)glmM発現プラスミドの造成
配列番号11記載のセンス鎖DNAプライマーと配列番号12記載のアンチセンス鎖DNAプライマーを合成した。該合成DNAをプライマーとし、エシェリヒア・コリW3110株の染色体DNAを鋳型として前述と同一の条件でPCRを行った。
【0179】
PCR終了後、エタノール沈殿法によりDNAの沈殿を取得した。該沈殿を20μlのTEに溶解した。該溶解液5μlを用い、DNAを制限酵素ClaIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、ジーンクリーンIIキットにより1.6kbの断片を回収した。実施例1−1)で取得したpPAC31 DNA 0.2μgを制限酵素ClaIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に5.5kbの断片を回収した。
【0180】
該1.6kbの断片および5.5kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間連結反応を行った。
該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/lを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
【0181】
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、glmM発現プラスミドであるpNT44を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図7)。
4)glk発現プラスミドの造成
配列番号13記載のセンス鎖DNAプライマーと配列番号14記載のアンチセンス鎖DNAプライマーを合成した。該合成DNAをプライマーとし、エシェリヒア・コリW3110株の染色体DNAを鋳型として前述と同一の条件でPCRを行った。
【0182】
PCR終了後、エタノール沈殿法によりDNAの沈殿を取得し、該沈殿を20μlのTEに溶解した。該溶解液5μlを用い、DNAを制限酵素HindIIIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、ジーンクリーンIIキットにより0.5kbの断片を回収した。
実施例1−1)で取得したpPA31 DNA 0.2μgを制限酵素HindIIIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に4.2kbの断片を回収した。
【0183】
該0.5kbの断片および4.2kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間連結反応を行った。該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/lを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、glkの一部を有するプラスミドであるpNT45を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図8)。
【0184】
上述と同一の条件でPCRを行い、得られたDNA溶解液5μlを用い、DNAを制限酵素HindIIIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に0.5kbの断片を回収した。上に記した方法で取得したpNT45 DNA 0.2μgを制限酵素HindIIIで切断後アルカリホスファターゼにより脱リン酸化処理を行い、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に4.7kbの断片を回収した。
【0185】
該0.5kbの断片および4.7kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間連結反応を行った。
該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/lを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
【0186】
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、glkを発現するプラスミドであるpNT46を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図8)。
5)pfkB発現プラスミドの造成
配列番号15記載のセンス鎖DNAプライマーと配列番号16記載のアンチセンス鎖DNAプライマーを合成した。該合成DNAをプライマーとし、W3110株の染色体DNAを鋳型として前述と同一の条件でPCRを行った。
【0187】
PCR終了後、エタノール沈殿法によりDNAの沈殿を取得した。該沈殿を20μlのTEに溶解した。該溶解液5μlを用い、DNAを制限酵素HindIIIおよびEcoRVで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、ジーンクリーンIIキットにより1.3kbの断片を回収した。pBluescriptIISK+ DNA 0.2μgを制限酵素HindIII およびEcoRVで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に3.0kbの断片を回収した。
【0188】
該1.3kbの断片および3.0kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間連結反応を行った。
該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後30℃で一晩培養した。
【0189】
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、pfkB遺伝子を保有するプラスミドpNT43を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図9)。
pNT43 DNA 0.5μgを用い、DNAを制限酵素ClaIおよびSacIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に1.3kbの断片を回収した。
【0190】
実施例1−1)で取得したpPAC31 DNA 0.2μgを制限酵素ClaIおよびSacIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し同様に5.7kbの断片を回収した。
該1.3kbの断片および5.7kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間連結反応を行った。
【0191】
該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/lを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、pfkB発現プラスミドであるpNT47を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図9)。
【0192】
実施例8 UDP−GlcNAcの生産
実施例7で得たエシェリヒア・コリKY8415/pNT14株、NM522/pNT24株、NM522/pNT44株、NM522/pNT47株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた各々の培養物を遠心分離し、湿菌体を取得した。該湿菌体は必要に応じて−20℃で保存することが可能で、使用前に解凍して用いることができる。
【0193】
エシェリヒア・コリNM522/pNT24株湿菌体6g/l、NM522/pNT47株湿菌体6g/l、100mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0)、6mM MgCl2・6H2O 、10mM グルコース-6-リン酸、2.5mM フルクトース6-リン酸、2.5mM ATP、ナイミーンS−215 4g/lの組成からなる反応液0.1mlを1.5ml容チューブに入れ、37℃で1時間反応を行った。反応液を65℃で5分間処理後、エシェリヒア・コリKY8415/pNT14株湿菌体0.3g/l、NM522/pNT44株湿菌体6g/l、5mM グルコサミン-6-リン酸、5mM アセチルCoA、5mM UTPとなるように菌体および基質を添加し、さらに37℃で30分間反応させたところ、反応液中に2.5mM(1.6g/l)のUDP−GlcNAc(2Na塩)が生成した。この際、エシェリヒア・コリNM522/pNT24株湿菌体あるいはNM522/pNT47株湿菌体を添加しなかった場合のUDP−GlcNAc生成量はそれぞれ0.08mM、0.16mMであった。
【0194】
このことは、pgm発現株とpfkB発現株の組み合わせにより、glmMの活性発現に必要なGlc−1,6−P2が供給できることを示している。
【0195】
実施例9 UDP−GlcNAcの生産
実施例7で得たエシェリヒア・コリKY8415/pNT14株、NM522/pNT24株、NM522/pNT44株、NM522/pNT46株、NM522/pNT47株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた各々の培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。また、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。該湿菌体は必要に応じて−20℃で保存することが可能で、使用前に解凍して用いることができる。
【0196】
エシェリヒア・コリKY8415/pNT14株、NM522/pNT24株、NM522/pNT44株、NM522/pNT47株、NM522/pNT46株湿菌体を各10g/l、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株湿菌体 150g/l、フルクトース 50g/l、グルコサミン塩酸塩80g/l、KH2PO4 15g/l、MgSO4・7H2O 5g/l、フィチン酸 5g/l、オロット酸(カリウム塩) 10g/l、ナイミーンS−215 4g/l、キシレン 10ml/lの組成からなる反応液30mlを200ml容ビーカーに入れ、この反応液をマグネティック・スターラーにて攪拌(900rpm)し、32℃で10時間反応を行った。
【0197】
反応中4N NaOHを用いて、該反応液のpHを7.2に維持し、必要に応じてフルクトース、KH2PO4を添加した。
該反応により、反応液中に6.2g/lのUDP−GlcNAc(2Na 塩)が生成した。
【0198】
実施例10 galK発現プラスミドの造成
実施例3−1)で取得したpNT25 DNA 0.5μgを制限酵素ClaIおよびEcoRVで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、ジーンクリーンIIキットにより6.7kbの断片を回収した。回収したDNAをDNA Blunting Kitにより平滑末端化した後、ライゲーションキットを用いて16℃で16時間連結反応を行った。
【0199】
該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後30℃で一晩培養した。
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、galK発現プラスミドであるpNT54を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図10)。
【0200】
実施例11 UDP−GlcNAcの生産
実施例10で得たエシェリヒア・コリNM522/pNT54株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。また、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。該湿菌体は必要に応じて−20℃で保存することが可能で、使用前に解凍して用いることができる。
【0201】
エシェリヒア・コリNM522/pNT54株湿菌体50g/l、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株湿菌体150g/l、フルクトース40g/l、N−アセチルグルコサミン67g/l、KH2PO4 15g/l、MgSO4・7H2O 5g/l、フィチン酸5g/l、オロット酸(カリウム塩)10 g/l、ナイミーンS−215 4g/l、キシレン10ml/lの組成からなる反応液30mlを200ml容ビーカーに入れ、この反応液をマグネティック・スターラーにて攪拌(900rpm)し、32℃で27時間反応を行った。
【0202】
反応中4N NaOHを用いて、該反応液のpHを7.2に維持し、必要に応じてフルクトース、KH2PO4を添加した。
該反応により、反応液中に17.1g/lのUDP−GlcNAc(2Na塩)が生成した。
【0203】
実施例12 UDP−GlcNAcとUDP−Galの同時生産
実施例3で得たNM522/pNT25株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。また、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。該湿菌体は必要に応じて−20℃で保存することが可能で、使用前に解凍して用いることができる。
【0204】
エシェリヒア・コリNM522/pNT25株湿菌体25g/l、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株湿菌体 150g/l、フルクトース 60g/l、N−アセチルグルコサミン 50g/l、ガラクトース 40g/l、KH2PO4 15g/l、MgSO4・7H2O 5g/l、フィチン酸 5g/l、オロット酸(カリウム塩) 10g/l、ナイミーンS−215 4g/l、キシレン10ml/lの組成からなる反応液30mlを200ml容ビーカーに入れ、この反応液をマグネティック・スターラーにて攪拌(900rpm)し、32℃で24時間反応を行った。
【0205】
反応中4N NaOHを用いて、該反応液のpHを7.2に維持し、必要に応じてKH2PO4を添加した。
該反応により、反応液中に11.4g/lのUDP−GlcNAc(2Na塩)および18g/lのUDP−Gal(2Na塩)が生成した。
実施例13 manB、manC、pgm、pfkB発現プラスミドの造成
1)manB、manC発現プラスミドの造成
配列番号17記載のセンス鎖DNAプライマーと配列番号18記載のアンチセンス鎖DNAプライマーを合成した。該合成DNAをプライマーとし、エシェリヒア・コリW3110株染色体DNAを鋳型として前述と同一の条件でPCRを行った。
【0206】
PCR終了後、エタノール沈殿法によりDNAの沈殿を取得した。該沈殿を20μlのTEに溶解した。該溶解液5μlを用い、DNAを制限酵素HindIIIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、ジーンクリーンIIキットにより3.0kbの断片を回収した。pBluescriptIISK+ DNA 0.2μgを制限酵素HindIIIお よびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に3.0kbの断片を回収した。
【0207】
該3.0kbの両断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間連結反応を行った。該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、manCおよびmanBを含むプラスミドであるpNK6を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図11)。
【0208】
該pNK6 DNA 0.5μgを制限酵素ClaIおよびBamHIで切断後アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し3.0kbの断片を回収した実施例1−1)で取得したpPAC31 DNA 0.2μgを制限酵素ClaIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し同様に5.5kbの断片を回収した。
【0209】
該3.0kbの断片および5.5kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間連結反応を行った。該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、manCおよびmanB発現プラスミドであるpNK7を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図11)。
2)pgm、pfkB同時発現プラスミドの造成
実施例7で取得したpNT24 DNA 0.5μgを制限酵素XhoIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離しジーンクリーンIIキットにより3.0kbの断片を回収した。一方、pSTV28 DNA(宝酒造社製)0.2μgを制限酵素SalIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に3.0kbの断片を回収した。
【0210】
該3.0kbの両断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間連結反応を行った。該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、pgm遺伝子を有するプラスミドであるpNT53を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図12)。
【0211】
配列番号19記載のセンス鎖DNAプライマーを合成し、該センス鎖DNAプライマーおよび配列番号16記載のアンチセンス鎖DNAプライマーを用い、実施例7で取得したプラスミドpNT47 DNAを鋳型として前述と同一の条件でPCRを行った。
PCR終了後、エタノール沈殿法によりDNAの沈殿を取得した。該沈殿を20μlのTEに溶解した。該溶解液5μlを用い、DNAを制限酵素EcoRVおよびBglIIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に1.3kbの断片を回収した。pNT53 DNA 0.2μgを制限酵素SmaIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に6.0kbの断片を回収した。
【0212】
該1.3kbの断片および6.0kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間連結反応を行った。
該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
【0213】
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、pgmおよびpfkB発現プラスミドであるpNT55を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図12)。
【0214】
実施例14 GDP−Manの生産
1)manB、manC、pgm、pfkB発現株の造成
実施例13−2)で得たpNT55 DNAを用いてエシェリヒア・コリNM522/pNK7株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlおよびクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。生育してきた形質転換体を選択することにより、manB、manC、pgm、pfkB発現株であるエシェリヒア・コリNM522/pNK7/pNT55株を得た。
2)GDP−Manの生産
上記1)で得たエシェリヒア・コリNM522/pNK7/pNT55株および実施例7で得たエシェリヒア・コリNM522/pNT46を実施例2と同様の方法で培養し、得られた各々の培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。また、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。該湿菌体は必要に応じて−20℃で保存することが可能で、使用前に解凍して用いることができる。
【0215】
エシェリヒア・コリNM522/pNK7/pNT55株湿菌体25g/l、NM522/pNT46株湿菌体25g/l、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株湿菌体 150g/l、フルクトース 60g/l、マンノース 50g/l、KH2PO4 15g/l、 MgSO4・7H2O 5g/l、フィチン酸 5g/l、GMP(2Na,7H2O塩) 60g/l、ナイミーンS−215 4g/l、キシレン10ml/lの組成からなる反応液30mlを200ml容ビーカーに入れ、この反応液をマグネティック・スターラーにて攪拌(900rpm)し、24時間反応を行った。
【0216】
反応中4N NaOHを用いて、該反応液のpHを7.2に維持し、必要に応じてKH2PO4を添加した。
該反応により、反応液中に14.6g/lのGDP−Man(2Na,1H2O塩)が生成した。
【0217】
実施例15 gmd、wcaG発現プラスミドの造成
配列番号20記載のセンス鎖DNAプライマーと配列番号21記載のアンチセンス鎖DNAプライマーを合成した。該合成DNAをプライマーとし、エシェリヒア・コリW3110株染色体DNAを鋳型として前述と同一の条件でPCRを行った。
【0218】
PCR終了後、エタノール沈殿法によりDNAの沈殿を取得した。該沈殿を20μlのTEに溶解した。該溶解液5μlを用い、DNAを制限酵素HindIIIおよびXhoIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離しジーンクリーンIIキットにより2.3kbの断片を回収した。
実施例1−1)で取得したpPA31 DNA 0.2μgを制限酵素HindIIIおよびSalIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に3.9kbの断片を回収した。
【0219】
該2.3kbおよび3.9kbの断片をライゲーションキットを用いて、16℃で16時間連結反応を行った。
該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
【0220】
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、gmdおよびwcaGを含むプラスミドであるpNK8を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図13)。
【0221】
実施例16 GDP−Fucの生産
実施例14で得たエシェリヒア・コリNM522/pNK7/pNT55株、実施例15で得たNM522/pNK8株および実施例7で得たNM522/pNT46を実施例2と同様の方法で培養し得られた各々の培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。また、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。該湿菌体は必要に応じて−20℃で保存することが可能で、使用前に解凍して用いることができる。
【0222】
エシェリヒア・コリNM522/pNK7/pNT55株湿菌体 25g/l、エシェリヒア・コリNM522/pNK8株湿菌体 25g/l、エシェリヒア・コリNM522/pNT46株湿菌体25g/l、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株湿菌体 150g/l、フルクトース 40g/l、マンノース 60g/l、KH2PO4 15g/l、MgSO4・7H2O 5g/l、フィチン酸 5g/l、GMP(2Na/7H2O塩) 60g/l、ナイミーンS−215 4g/l、キシレン10ml/lの組成からなる反応液30mlを200ml容ビーカーに入れ、この反応液をマグネティック・スターラーにて攪拌(900rpm)し、32℃で24時間反応を行った。
【0223】
反応中4N NaOHを用いて、該反応液のpHを7.2に維持し、必要に応じてKH2PO4を添加した。
該反応により、反応液中に1.0g/lのGDP−Fuc(2.5Na,1H2O塩)が生成した。
【0224】
実施例17 neuA発現プラスミドの造成
エシェリヒア・コリK235株(ATCC13027)染色体DNAを実施例1と同様の方法で調製した。
【0225】
配列番号22記載のセンス鎖DNAプライマーと配列番号23記載のアンチセンス鎖DNAプライマーを合成した。該合成DNAをプライマーとし、エシェリヒア・コリK235株(ATCC13027)染色体DNAを鋳型として前述と同一の条件でPCRを行った。
PCR終了後、エタノール沈殿法によりDNAの沈殿を取得した。該沈殿を20μlのTEに溶解した。該溶解液5μlを用い、DNAを制限酵素EcoRIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、ジーンクリーンIIキットにより1.3kbの断片を回収した。pBluescriptIISK+ DNA 0.2μgを制限酵素EcoRIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に3.0kbの断片を回収した。
【0226】
該1.3kbおよび3.0kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間連結反応を行った。該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、neuA遺伝子を含むプラスミドであるpTA12を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図14)。
【0227】
該pTA12 DNA 0.5μgを制限酵素ClaIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に1.3kbの断片を回収した。実施例1−1)で取得したpPAC31 DNA 0.2μgを制限酵素ClaIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に5.5kbの断片を回収した。
【0228】
該1.3kbの断片および5.5kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間連結反応を行った。
該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
【0229】
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、neuA発現プラスミドであるpTA14を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図14)。
【0230】
実施例18 CMP−NeuAcの生産
実施例17で得たエシェリヒア・コリNM522/pTA14株、C600/pNAL1株[Appl. Environ. Micribiol., 51 562 (1986)]およびJF646/pMW5株[J. Biol. Chem., 261, 5568 (1986)]を実施例2と同様の方法で培養し、得られた各々の培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。また、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。該湿菌体は必要に応じて−20℃で保存することが可能で、使用前に解凍して用いることができる。
【0231】
エシェリヒア・コリNM522/pTA14株湿菌体 50g/l、エシェリヒア・コリC600/pNAL1株湿菌体 15g/l、エシェリヒア・コリJF646/pMW5株湿菌体 25g/l、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株湿菌体 150g/l、オロット酸(カリウム塩) 10g/l、ピルビン酸(Na塩) 20g/l、フルクトース 40g/l、N−アセチルマンノサミン 10g/l、KH2PO415g/l、MgSO4・7H2O 5g/l、フィチン酸 5g/l、ナイミーンS−215 4g/l、キシレン10ml/lの組成からなる反応液30mlを200ml容ビーカーに入れ、この反応液をマグネティック・スターラーにて攪拌(900rpm)し、32℃で24時間反応を行った。
【0232】
反応中4N NaOHを用いて、該反応液のpHを7.2に維持し、必要に応じてKH2PO4を添加した。
該反応により、反応液中に2.7g/lのCMP−NeuAc(Na塩)が生成した。
【0233】
実施例19 ラクト−N−テトラオースの生産
1)β1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼの調製
プロテインAのIgG結合領域とβ1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼとの融合蛋白質をコードしている遺伝子を含むプラスミドpAMoERSAW1(特開平6-181759)で形質転換したナマルバKJM−1株をG418(ギブコ社製)を0.5mg/ml含むRPMI640・ITPSGF培地30mlに5x104cells/mlになるように懸濁し、CO2インキュベーター中で37℃で8日間培養した。
【0234】
該培養液から遠心分離により細胞を除き上清を回収した。該上清は、必要に応じて−80℃で保存可能であり、使用前に解凍して使用することができる。
該プロテインAのIgG結合領域とβ1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼとの融合蛋白質が生成された培養上清にアジ化ナトリウムを最終濃度0.1%になるように添加した後、製品説明書に従って前処理したIgGセファロース(ファルマシア社製)を50μl添加し、4℃で一晩緩やかに攪拌した。
【0235】
攪拌後、遠心分離によりβ1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼの結合したIgGセファロースを回収し、RPMI640・ITPSGF培地1mlで3回洗浄後、該IgGセファロースをβ1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼの酵素源として用いた。
2)ラクト−N−テトラオースの生産
ラクト−N−ネオテトラオース(オックスフォード・グライコシステムズ社製)を公知の方法により[Agric. Biol. Chem., 54, 2169 (1990)]に従って2−アミノピリジンにより蛍光標識した後、0.1Uのβ−ガラクトシダーゼ(生化学工業社製)を加えて37℃で16時間反応させ、非還元末端のガラクトースを除去した。
【0236】
該反応液を、5分間、100℃で加熱し、β−ガラクトシダーゼを失活させた。
該反応により得られたGlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcを複合糖質前駆体として用いた。
該複合糖質前駆物質 0.5mM、上記1)で取得したIgGセファロース結合β1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ 0.5U、実施例4で取得したUDP−Galを含む反応液6μl(5mM)、100mM トリス塩酸緩衝液(pH7.9) 10mM MnCl2、2mM β−メルカプトエタノールの組成からなる反応液36μlを、32℃で65時間放置し、反応を行った。
【0237】
反応終了後、該反応液に蓄積された生成物を下記条件でHPLCを用いて定量した。
カラム:TSKgel ODS-80TMカラム(4.6mm x 30cm、TOSOH社製)
液相 :0.02M酢酸アンモニウム緩衝液(pH4.0)
温度 :50℃
流速 :1ml/min
検出 :蛍光検出器(励起波長320nm、放射波長400nm)
生成物の同定はアミノピリジンで標識したラクト−N−テトラオースと標識された生成物の溶出時間を比較することにより行った。
該反応により0.17mM(0.12g/l)のラクト−N−テトラオースが生成した。
【0238】
実施例20 ラクト−N−ネオテトラオースの生産
実施例19と同様な方法で、ラクト−N−ネオテトラオースからGlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcを調製し、複合糖質前駆体として用いた。
【0239】
該複合糖質前駆体0.5mM、β1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(シグマ社製)0.5U、実施例4で取得したUDP−Galを含む反応液6μl(5mM)、100mM トリス塩酸緩衝液(pH7.9)、10mM MnCl2、2mM β-メルカプトエタノールの組成からなる反応液36μlを、32℃で65時間放置し、反応を行った。
【0240】
反応終了後、該反応液に蓄積された生成物を、実施例19−2)と同様の条件で、HPLCを用いて定量した。なお、生成物の同定はアミノピリジンで標識したラクト−N−ネオテトラオースと生成物の溶出時間を比較することにより行った。
該反応により、0.15mM(0.11g/l)のラクト−N−ネオテトラオースが生成した。
【0241】
実施例21 ラクト−N−フコペンタオースIIIの生産
α1,3-フコシルトランスフェラーゼの結合したIgGセファロースはプロテインAのIgG結合領域とα1,3-フコシルトランスフェラーゼとの融合蛋白質をコードしている遺伝子を含むプラスミドpAMoA-FT6[J. Biol. Chem., 269, 14730 (1994)]で形質転換したナマルバKJM−1株から実施例19−1)と同様な方法で調製し、α1,3-フコシルトランスフェラーゼの酵素源として用いた。
【0242】
ラクト−N−ネオテトラオース(オックスフォード・グライコシステムズ社製)0.25mM、IgGセファロース結合α1,3-フコシルトランスフェラーゼ1.0U、実施例16で取得したGDP−Fucを含む反応液6μl(0.25mM)、100mM トリス塩酸緩衝液(pH7.9)、10mM MnCl2の組成からなる反応液50μlを、37℃で24時間放置し、反応を行った。
【0243】
反応終了後、該反応液に蓄積された生成物をダイオネックス社製の糖分析装置(DX−500)にて定量した。なお、生成物の同定はラクト−N−フコペンタオースIII(オックスフォード・グライコシステムズ社製)と生成物の溶出時間を比較することにより行った。
該反応により、0.21mM(0.18g/l)のラクト−N−フコペンタオースIIIが生成した。
【0244】
実施例22 α1,-4ガラクトシルトランスフェラーゼ(lgtC)発現プラスミドの造成
Neisseria gonorrhoeae(ATCC33084株)染色体DNAを実施例1と同一の方法で調製した。
【0245】
配列番号24記載のセンス鎖DNAプライマーと、配列番号25記載のアンチセンス鎖DNAプライマーを合成した。該合成DNAをプライマーとし、Neisseria gonorrhoeae(ATCC33084株)染色体DNAを鋳型として前述と同一の条件でPCRを行った。
PCR終了後、エタノール沈殿法によりDNAの沈殿を取得した。該沈殿を20μlのTEに溶解した。該溶解液5μlを用い、DNAを制限酵素HindIIIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動により
DNA断片を分離し、ジーンクリーンIIキットにより1.0kbの断片を回収した。実施例1―1)で取得したpPA31 DNA 0.2μgを制限酵素HindIIIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に4.2kbの断片を回収した。
【0246】
該1.0kbの断片および4.2kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃で16時間連結反応を行った。該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、lgtC発現プラスミドであるpGT3を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図15)。
【0247】
実施例23 グロボトリオースの生産
実施例4で得たエシェリヒア・コリNM522/pNT25/pNT32株、実施例22で得たエシェリヒア・コリNM522/pGT3株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた各々の培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。また、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。該湿菌体は必要に応じて−20℃で保存することが可能で、使用前に解凍して用いることができる。
【0248】
エシェリヒア・コリNM522/pNT25/pNT32株湿菌体 50g/l、エシェリヒア・コリNM522/pGT3株湿菌体 50g/l、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株湿菌体 150g /l、フルクトース 100g/l、ガラクトース 100g/l、ラクトース 100g/l、KH2PO4 15g/l、MgSO4・7H2O 5g/l、フィチン酸 5g/l、オロット酸(カリウム塩) 10g/l、ナイミーンS−215 4g/l、キシレン 10ml/lの組成からなる反応液30mlを200ml容ビーカーに入れ、この反応液をマグネティック・スターラーにて攪拌(900rpm)し、32℃で36時間反応を行った。
【0249】
反応中は4N NaOHを用いて該反応液のpHを7.2に維持し、必要に応じてガラクトース、ラクトース、フルクトース、KH2PO4を添加した。
該反応により、反応液中に188g/lのグロボトリオースが生成した。
該反応液から遠心分離により菌体を除去し、得られた上清10mlから、活性炭を用いる方法により精製を行い、グロボトリオースの白色粉末1.5gを得た。
【0250】
実施例24. Galα1-4Galβ1-4GlcNAcの生産
実施例4で得たエシェリヒア・コリNM522/pNT25/pNT32株、実施例22で得たエシェリヒア・コリNM522/pGT3株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた各々の培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。また、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。該湿菌体は必要に応じて−20℃で保存することが可能で、使用前に解凍して用いることができる。
【0251】
エシェリヒア・コリNM522/pNT25/pNT32株湿菌体 50g/l、エシェリヒア・コリNM522/pGT3株湿菌体 50g/l、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株湿菌体 150g /l、フルクトース 50g/l、ガラクトース 50g/l、N−アセチルラクトサミン 96g/l、KH2PO4 15g/l、MgSO4・7H2O 5g/l、フィチン酸 5g/l、オロット酸(カリウム塩)10g/l、ナイミーンS−215 4g/l、キシレン 10ml/lの組成からなる反応液30mlを200ml容ビーカーに入れ、この反応液をマグネティック・スターラーにて攪拌(900rpm)し、32℃で23時間反応を行った。
反応中は4N NaOHを用いて該反応液のpHを7.2に維持し、必要に応じてガラクトース、フルクトース、KH2PO4を添加した。
【0252】
該反応により、反応液中に10g/lのGalα1-4Galβ1-4GlcNAcが生成した。
該反応液から遠心分離により菌体を除去し、得られた上清30mlから、活性炭を用いる方法により生成物を精製し、Galα1-4Galβ1-4GlcNAcの白色粉末0.2gを得た。
【0253】
実施例25 β1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(lgtB)発現プラスミドの造成
配列番号26記載のセンス鎖DNAプライマーと配列番号27記載のアンチセンス鎖DNAプライマーを合成した。該合成DNAをプライマーとし、N. gonorrhoeae(ATCC33084株)染色体DNAを鋳型として前述と同一の条件でPCRを行った。
【0254】
PCR終了後、エタノール沈殿法によりDNAの沈殿を取得した。該沈殿を20μlのTEに溶解した。該溶解液5μlを用い、DNAを制限酵素HindIIIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、ジーンクリーンIIキットにより0.8kbの断片を回収した。pBluescriptII SK+ DNA 0.2μgを制限酵素HindIIIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に3.0kbの断片を回収した。
【0255】
該0.8kbおよび3.0kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃、16時間連結反応を行った。該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、lgtB遺伝子を含むプラスミドであるpNT60Pを得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図16)。
【0256】
該pNT60P DNA 0.5μgを制限酵素ClaIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し0.8kbの断片を回収した。実施例1−1)で取得したpPAC31 DNA 0.2μgを制限酵素ClaIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に5.5kbの断片を回収した。
【0257】
該0.8kbの断片および5.5kbの断片をライゲーションキットを用いて16℃、16時間連結反応を行った。該連結反応液を用いてエシェリヒア・コリNM522株を常法に従って形質転換し、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
生育してきた形質転換体のコロニーより常法に従ってプラスミドを抽出し、lgtB発現プラスミドであるpNT60を得た。該プラスミドの構造を制限酵素消化により確認した(図16)。
【0258】
実施例26 N−アセチルラクトサミンの生産
実施例25で得たエシェリヒア・コリNM522/pNT60株、実施例3で得たエシェリヒア・コリNM522/pNT25株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた各々の培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。また、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。該湿菌体は必要に応じて−20℃で保存することが可能で、使用前に解凍して用いることができる。
【0259】
エシェリヒア・コリNM522/pNT25株湿菌体 50g/l、エシェリヒア・コリNM522/pNT60株湿菌体 50g/l、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株湿菌体 150g/l、オロット酸(カリウム塩) 10g/l、フルクトース 100g/l、N−アセチルグルコサミン 100g/l、ガラクトース 100g/l、KH2PO4 15g/l、MgSO4・7H2O 5g/l、フィチン酸 5g/l、ナイミーンS−215 4g/l、キシレン 10ml/lの組成からなる反応液30mlを200ml容ビーカーに入れ、この反応液をマグネティック・スターラーにて攪拌(900rpm)し、32℃で34時間反応を行った。
【0260】
反応中4N NaOHを用いて、該反応液のpHを7.2に維持し、必要に応じてガラクトース、フルクトース、KH2PO4を添加した。
該反応により、反応液中に114g/lのN−アセチルラクトサミンが生成した。
【0261】
実施例27 ラクトースの生産
実施例25で得たエシェリヒア・コリNM522/pNT60株、実施例3で得たエシェリヒア・コリNM522/pNT25株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた各々の培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。また、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。該湿菌体は必要に応じて−20℃で保存することが可能で、使用前に解凍して用いることができる。
エシェリヒア・コリNM522/pNT25株湿菌体 50g/l、エシェリヒア・コリNM522/pNT60株湿菌体 50g/l、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株湿菌体 150g/l、オロット酸(カリウム塩) 10g/l、グルコース 115g/l、ガラクトース 115g/l、KH2PO4 15g/l、MgSO4・7H2O 5g/l、フィチン酸 5g/l、ナイミーンS−215 4g/l、キシレン 10ml/lの組成からなる反応液30mlを200ml容ビーカーに入れ、この反応液をマグネティック・スターラーにて攪拌(900rpm)し、32℃で15時間反応を行った。
【0262】
反応中4N NaOHを用いて、該反応液のpHを7.2に維持し、必要に応じてKH2PO4を添加した。
該反応により、反応液中に49g/lのラクトースが生成した。
【0263】
実施例28 グロボトリオースの生産
実施例25で得たエシェリヒア・コリNM522/pNT60株、実施例3で得たエシェリヒア・コリNM522/pNT25株および実施例22で得たエシェリヒア・コリNM522/pGT3を実施例2と同様の方法で培養し、得られた各々の培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。また、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株を実施例2と同様の方法で培養し、得られた培養物を遠心分離し湿菌体を取得した。該湿菌体は必要に応じて−20℃で保存することが可能で、使用前に解凍して用いることができる。
エシェリヒア・コリNM522/pNT25株湿菌体 50g/l、エシェリヒア・コリNM522/pNT60株湿菌体 50g/l、エシェリヒア・コリNM522/pGT3株湿菌体 50g/l、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株湿菌体 150g/l、オロット酸(カリウム塩) 10g/l、グルコース 115g/l、ガラクトース 115g/l、KH2PO4 15g/l、MgSO4・7H2O 5g/l、フィチン酸 5g/l、ナイミーンS−215 4g/l、キシレン 10ml/lの組成からなる反応液30mlを200ml容ビーカーに入れ、この反応液をマグネティック・スターラーにて攪拌(900rpm)し、32℃で13時間反応を行った。
【0264】
反応中4N NaOHを用いて、該反応液のpHを7.2に維持し、必要に応じてKH2PO4を添加した。
該反応により、反応液中に5g/lのグロボトリオースが生成した。
【0265】
【発明の効果】
本発明により、ヌクレオチドの前駆物質および糖のみを原料にして糖ヌクレオチドを、該糖ヌクレオチドおよび複合糖質前駆物質から複合糖質を工業的に効率よく製造できる。
【0266】
【配列表フリーテキスト】
配列番号1−人工配列の説明:合成DNA
配列番号2−人工配列の説明:合成DNA
配列番号3−人工配列の説明:合成DNA
配列番号4−人工配列の説明:合成DNA
配列番号5−人工配列の説明:合成DNA
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配列番号24−人工配列の説明:合成DNA
配列番号25−人工配列の説明:合成DNA
配列番号26−人工配列の説明:合成DNA
配列番号27−人工配列の説明:合成DNA
【0267】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は発現プラスミドpPA31およびpPAC31の造成工程を示す。
【図2】 図2はgalU、ppa遺伝子発現プラスミドpNT12およびpNT32の造成工程を示す
【図3】 図3はgalT、galK遺伝子発現プラスミドpNT25の造成工程を示す。
【図4】 図4はgalT、galK遺伝子をコリネバクテリウム・アンモニアゲネスで発現するプラスミドpTK7の造成工程を示す。
【図5】 図5はglmU、ppa遺伝子発現プラスミドpNT14の造成工程を示す。
【図6】 図6はpgm遺伝子発現プラスミドpNT24の造成工程を示す。
【図7】 図7はglmM遺伝子発現プラスミドpNT44の造成工程を示す。
【図8】 図8はglk遺伝子発現プラスミドpNT46の造成工程を示す。
【図9】 図9はpfkB遺伝子発現プラスミドpNT47の造成工程を示す。
【図10】 図10はgalK遺伝子発現プラスミドpNT54の造成工程を示す。
【図11】 図11はmanB、manC遺伝子発現プラスミドpNK7の造成工程を示す。
【図12】 図12はpgm、pfkB遺伝子発現プラスミドpNT55の造成工程を示す。
【図13】 図13はgmd、wcaG遺伝子発現プラスミドpNK8の造成工程を示す。
【図14】 第14図はneuA遺伝子発現プラスミドpTA14の造成工程を示す。
【図15】 図15はlgtC遺伝子発現プラスミドpGT3の造成工程を示す。
【図16】 図16はlgtB遺伝子発現プラスミドpNT60の造成工程を示す。

Claims (72)

  1. a)ヌクレオチドの前駆物質からヌクレオシド−5’−三リン酸(以下、NTPと略す)を生産する能力を有するエシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物の培養液または該培養液の処理物、b)グルコース、フルクトース、ガラクトース、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、マンノース、フコース、N−アセチルマンノサミンおよびアセチルノイラミン酸からなる群より選ばれる糖とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有するエシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する1種類ないしそれ以上の微生物の培養液または該培養液の処理物、およびc)糖転移酵素を発現する微生物、動物細胞あるいは昆虫細胞の培養液または該培養液の処理物、を酵素源として用い、これら酵素源、ヌクレオチドの前駆物質、グルコース、フルクトース、ガラクトース、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、マンノース、フコース、N−アセチルマンノサミンおよびアセチルノイラミン酸からなる群より選ばれる糖および複合糖質前駆物質を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中に複合糖質を生成蓄積させ、該水性媒体中から複合糖質を採取することを特徴とする複合糖質の製造法。
  2. a)ヌクレオチドの前駆物質からNTPを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物、b)グルコース、フルクトース、ガラクトース、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、マンノース、フコース、N−アセチルマンノサミンおよびアセチルノイラミン酸からなる群より選ばれる糖とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有するエシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する1種類ないしそれ以上の微生物の培養液、該培養液の濃縮物、該培養上清の濃縮物、該培養液を遠心分離して得られる細胞、該細胞の界面活性剤処理物、該細胞の溶媒処理物、該細胞の酵素処理物、または該細胞の固定化物、およびc)糖転移酵素を発現する微生物、動物細胞あるいは昆虫細胞の培養液または該培養液の処理物、を酵素源として用い、これら酵素源、ヌクレオチドの前駆物質、グルコース、フルクトース、ガラクトース、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、マンノース、フコース、N−アセチルマンノサミンおよびアセチルノイラミン酸からなる群より選ばれる糖並びに複合糖質前駆物質を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中に複合糖質を生成蓄積させ、該水性媒体中から複合糖質を採取することを特徴とする複合糖質の製造法。
  3. 糖転移酵素を発現する微生物、動物細胞あるいは昆虫細胞の培養液または該培養液の処理物を酵素源として用い、該酵素源、複合糖質前駆物質および下記[1]の製造法により得られた糖ヌクレオチドを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中に複合糖質を生成蓄積させ、該水性媒体中から複合糖質を採取することを特徴とする複合糖質の製造法。
    [1]a)ヌクレオチドの前駆物質からNTPを生産する能力を有する微生物の培養液または該培養液の処理物、およびb)グルコース、フルクトース、ガラクトース、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、マンノース、フコース、N−アセチルマンノサミンおよびアセチルノイラミン酸からなる群より選ばれる糖とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有するエシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物から選ばれる1種類ないしそれ以上の微生物の培養液、該培養液の濃縮物、該培養上清の濃縮物、該培養液を遠心分離して得られる細胞、該細胞の界面活性剤処理物、該細胞の溶媒処理物、該細胞の酵素処理物または該細胞の固定化物、を酵素源として用い、これら酵素源、ヌクレオチドの前駆物質およびグルコース、フルクトース、ガラクトース、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、マンノース、フコース、N−アセチルマンノサミンおよびアセチルノイラミン酸からなる群より選ばれる糖を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中に糖ヌクレオチドを生成蓄積させ、該水性媒体中から糖ヌクレオチドを採取することを特徴とする糖ヌクレオチドの製造法。
  4. 培養液の処理物が、培養液の濃縮物、培養液の乾燥物、培養液を遠心分離して得られる培養上清、該培養上清の濃縮物、培養上清から得られる酵素標品、培養液を遠心分離して得られる細胞、該細胞の乾燥物、該細胞の凍結乾燥物、該細胞の界面活性剤処理物、該細胞の超音波処理物、該細胞の機械的摩砕処理物、該細胞の溶媒処理物、該細胞の酵素処理物、該細胞の蛋白質分画物、該細胞の固定化物あるいは該細胞より抽出して得られる酵素標品であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  5. ヌクレオチドの前駆物質が、オロット酸、ウラシル、オロチジン、ウリジン、シトシン、シチジン、アデニン、アデノシン、グアニン、グアノシン、ヒポキサンチン、イノシン、キサンチン、キサントシン、イノシン−5’−一リン酸、キサントシン−5’−一リン酸、グアノシン−5’−一リン酸、ウリジン−5’−一リン酸またはシチジン−5’−一リン酸である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  6. 糖ヌクレオチドが、ウリジン二リン酸化合物、グアノシン二リン酸化合物またはシチジン一リン酸化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  7. ウリジン二リン酸化合物、グアノシン二リン酸化合物またはシチジン一リン酸化合物が、ウリジン二リン酸グルコース、ウリジン二リン酸ガラクトース、ウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミン、ウリジン二リン酸−N−アセチルガラクトサミン、ウリジン二リン酸グルクロン酸、グアノシン二リン酸マンノース、グアノシン二リン酸フコース、シチジン一リン酸−N−アセチルノイラミン酸およびこれらの誘導体から選ばれる化合物である請求項6記載の製造法。
  8. 複合糖質が、グルコース、ガラクトース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、グルクロン酸、マンノース、N−アセチルマンノサミン、フコース、シアル酸、ラクトース、N−アセチルラクトサミン、ラクト−N−ビオース、GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc、GlcNAcβ1-4Galβ1-4Glc、グロボトリオース、Galα1-4Galβ1-4GlcNAc、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース、3’-シアリルラクトース、6’-シアリルラクトース、3’-シアリル−N−アセチルラクトサミン、6’-シアリル−N−アセチルラクトサミン、シアリルラクト−N−ビオース、ルイスX、ルイスa、ラクト−N−テトラオース、ラクト−N−ネオテトラオース、ラクトジフコテトラオース、3’-シアリル3-フコシルラクトース、シアリルルイスX、シアリルルイスa、ラクト−N−フコペンタオースI、ラクト−N−フコペンタオースII、ラクト−N−フコペンタオースIII、ラクト−N−フコペンタオースV、LS-テトラサッカライドa、LS-テトラサッカライドb、LS-テトラサッカライドc、(α2,3)シアリルラクト−N−ネオテトラオース、ラクト−N−ジフコヘキサオースI、ラクト−N−ジフコヘキサオースII、ラクト−N−ヘキサオース、ラクト−N−ネオヘキサオース、ジシアリルラクト−N−テトラオースおよびこれらの誘導体から選ばれる糖を1あるいはそれ以上含有する複合糖質または該複合糖質を含む複合糖質である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  9. 複合糖質が、Galβ1-3Glc、Galβ1-4Glc、Galβ1-3GlcNAc、Galβ1-4GlcNAc、Galβ1-3Gal、Galβ1-4Gal、Galβ1-3GalNAc、Galβ1-4GalNAc、Galα1-3Glc、Galα1-4Glc、Galα1-3GlcNAc,Galα1-4GlcNAc、Galα1-3Gal、Galα1-4Gal、Galα1-3GalNAc、Galα1-4GalNAc、GlcNAcβ1-3Gal、GlcNAcβ1-4Gal、GlcNAcβ1-6Gal、GlcNAcβ1-3Glc、GlcNAcβ1-4Glc、GlcNAcβ1-3GlcNAc、GlcNAcβ1-4GlcNAc、GlcNAcβ1-6GalNAc、GlcNAcβ1-2Man、GlcNAcβ1-4Man、GlcNAcβ1-6Man、GalNAcβ1-3Gal、GalNAcβ1-4Gal、GalNAcβ1-4GlcNAc、GalNAcα1-3GalNAc、Manβ1-4GlcNAc、Manα1-6Man,Manα1-3Man,Manα1-2Man,GlcUAβ1-4GlcN、GlcUAβ1-3Gal、GlcUAβ1-3GlcNAc、GlcUAβ1-3GalNAc、NeuAcα2-3Gal、NeuAcα2-6Gal、NeuAcα2-3GlcNAc、NeuAcα2-6GlcNAc、NeuAcα2-3GalNAc、NeuAcα2-6GalNAc、NeuAcα2-8NeuAc、Fucα1-3Glc、Fucα1-4Glc、Fucα1-3GlcNAc、Fucα1-4GlcNAc、Fucα1-2GalおよびFucα1-6GlcNAcから選ばれる結合を有する糖を含む複合糖質または該複合糖質を含む複合糖質である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  10. 複合糖質に含まれる糖が10個以下である請求項または記載の方法。
  11. 複合糖質に含まれる糖が6個以下である請求項または記載の方法。
  12. 複合糖質前駆物質が、単糖、オリゴサッカライド、蛋白質、ペプチド、脂質、糖蛋白質、糖脂質、グリコペプチドおよびステロイド化合物から選ばれる複合糖質前駆物質である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  13. 複合糖質前駆物質が、グルコース、ガラクトース、マンノース、シアル酸、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトース、N−アセチルラクトサミン、ラクト−N−ビオース、GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc、GlcNAcβ1-4Galβ1-4Glc、グロボトリオース、Galα1-4Galβ1-4GlcNAc、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース、3’-シアリルラクトース、6’-シアリルラクトース、3’-シアリル−N−アセチルラクトサミン、6’-シアリル−N−アセチルラクトサミン、シアリルラクト−N−ビオース、ルイスX、ルイスa、ラクト−N−テトラオース、ラクト−N−ネオテトラオース、ラクトジフコテトラオース、3’-シアリル-3-フコシルラクトース、シアリルルイスX、シアリルルイスa、ラクト−N−フコペンタオースI、ラクト−N−フコペンタオースII、ラクト−N−フコペンタオースIII、ラクト−N−フコペンタオースV、LS-テトラサッカライドa、LS-テトラサッカライドb、LS-テトラサッカライドc、(α2,3)シアリルラクト−N−ネオテトラオースおよびこれらの誘導体、セリン、スレオニン、アスパラギンおよび該アミノ酸を含有するペプチドおよびその誘導体、セラミドおよびその誘導体から選ばれる複合糖質前駆物質または該複合糖質前駆物質を含む複合糖質前駆物質である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  14. ヌクレオチドの前駆物質からNTPを生産する能力を有する微生物が、エシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物であることを特徴とする請求項2または3記載の製造法。
  15. 請求項1記載のヌクレオチドの前駆物質からNTPを生産する能力を有するエシェリヒア属に属する微生物、または請求項14記載のエシェリヒア属に属する微生物が、エシェリヒア・コリであることを特徴とする請求項1または14記載の製造法。
  16. 請求項1記載のヌクレオチドの前駆物質からNTPを生産する能力を有するコリネバクテリウム属に属する微生物、または請求項14記載のコリネバクテリウム属に属する微生物が、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスであることを特徴とする請求項1または14記載の製造法。
  17. とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有するエシェリヒア属に属する微生物が、エシェリヒア・コリである請求項1〜3のいずれか 1 項に記載の製造法。
  18. とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有するコリネバクテリウム属に属する微生物が、コリネバクテリウム・アンモニアゲネスである請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  19. とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有するエシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物が、グルコキナーゼ(以下、glkと略す)、ホスホグルコムターゼ(以下、pgmと略す)、グルコース−1−リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(以下、galUと略す)およびピロフォスファターゼ(以下、ppaと略す)から選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  20. 糖ヌクレオチドが、ウリジン二リン酸グルコースである請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  21. glk、pgm、galUおよびppaから選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物が、glkをコードする遺伝子、pgmをコードする遺伝子、galUをコードする遺伝子およびppaをコードする遺伝子から選ばれる1種類以上の遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有する1種類以上の微生物から構成されることを特徴とする請求項19記載の製造法。
  22. glkをコードする遺伝子、pgmをコードする遺伝子、galUをコードする遺伝子およびppaをコードする遺伝子が、エシェリヒア・コリ由来の遺伝子であることを特徴とする請求項20記載の製造法。
  23. とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有するエシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物が、glk、pgm、galU、ppaおよびウリジン二リン酸グルコースデヒドロゲナーゼ(以下、ugdと略す)から選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  24. 糖ヌクレオチドが、ウリジン二リン酸グルクロン酸である請求項1〜3および23のいずれか1項に記載の製造法。
  25. glk、pgm、galU、ppaおよびudgから選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物が、glkをコードする遺伝子、pgmをコードする遺伝子、galUをコードする遺伝子、ppaをコードする遺伝子およびudgをコードする遺伝子から選ばれる1種類以上の遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有する1種類以上の微生物から構成されることを特徴とする請求項23記載の製造法。
  26. glkをコードする遺伝子、pgmをコードする遺伝子、galUをコードする遺伝子、ppaをコードする遺伝子およびudgをコードする遺伝子が、エシェリヒア・コリ由来の遺伝子であることを特徴とする請求項25記載の製造法。
  27. とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有するエシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物が、ガラクトキナーゼ(以下、galKと略す)およびガラクトース−1−リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(以下、galTと略す)から選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  28. 糖ヌクレオチドが、ウリジン二リン酸ガラクトースである請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  29. galKおよびgalTから選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物が、glk、pgm、galUおよびppaから選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物であることを特徴とする請求項27記載の製造法。
  30. galKおよびgalTから選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物が、galKをコードする遺伝子およびgalTをコードする遺伝子から選ばれる1種類以上の遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有する1種類以上の微生物から構成されることを特徴とする請求項27記載の製造法。
  31. glk、pgm、galUおよびppaから選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物が、galKをコードする遺伝子およびgalTをコードする遺伝子から選ばれる1種類以上の遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNA、並びにglkをコードする遺伝子、pgmをコードする遺伝子、galUをコードする遺伝子およびppaをコードする遺伝子から選ばれる1種類以上の遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有する1種類以上の微生物から構成されることを特徴とする請求項29記載の製造法。
  32. galKをコードする遺伝子、galTをコードする遺伝子、glkをコードする遺伝子、pgmをコードする遺伝子、galUをコードする遺伝子およびppaをコードする遺伝子が、エシェリヒア・コリ由来の遺伝子であることを特徴とする請求項30または31記載の製造法。
  33. とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有するエシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物が、ppa、glk、ホスホグルコサミンムターゼ(以下、glmMと略す)、グルコサミン−1−リン酸アセチルトランスフェラーゼおよびN−アセチルグルコサミン−1−リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(以下、両者を併せてglmUと略す)から選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  34. とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有するエシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物が、galKの活性の強い微生物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  35. 糖ヌクレオチドが、ウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミンである請求項1〜3、33および34のいずれか1項の記載の製造法。
  36. ppa、glk、glmMおよびglmUから選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物が、ホスホグルコムターゼ(以下pgmと略す)およびホスホフルクトキナーゼ(以下、pfkBと略す)活性の強い微生物であることを特徴とする請求項33記載の製造法。
  37. ppa、glk、glmMおよびglmUから選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物が、ppaをコードする遺伝子、glkをコードする遺伝子、glmMをコードする遺伝子およびglmUをコードする遺伝子から選ばれる1種類以上の遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有する1種類以上の微生物から構成されることを特徴とする請求項33記載の製造法。
  38. pgmおよびpfkBの活性の強い微生物が、ppaをコードする遺伝子、glkをコードする遺伝子、glmMをコードする遺伝子およびglmUをコードする遺伝子から選ばれる1種類以上の遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNA、並びにpgmをコードする遺伝子およびpfkBをコードする遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有する1種類以上の微生物から構成されることを特徴とする請求項36記載の製造法。
  39. ppaをコードする遺伝子、glkをコードする遺伝子、glmMをコードする遺伝子、glmUをコードする遺伝子、pgmをコードする遺伝子およびpfkBをコードする遺伝子が、エシェリヒア・コリ由来の遺伝子であることを特徴とする請求項37または38記載の製造法。
  40. galKの活性の強い微生物が、galKをコードする遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有する微生物であることを特徴とする請求項34記載の製造法。
  41. galKをコードする遺伝子が、エシェリヒア・コリ由来である請求項40記載の製造法。
  42. とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有するエシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物が、ppa、glk、glmM、glmUおよびウリジンジホスホ−N−アセチルグルコサミン 4−エピメラーゼから選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  43. とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有するエシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物が、galKおよびウリジンジホスホ−N−アセチルグルコサミン 4−エピメラーゼの活性の強い微生物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  44. 糖ヌクレオチドが、ウリジン二リン酸−N−アセチルガラクトサミンである請求項1〜3、42および43のいずれか1項に記載の製造法。
  45. ppa、glk、glmM、glmUおよびウリジンジホスホ−N−アセチルグルコサミン 4−エピメラーゼから選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物が、pgmおよびpkfBの活性が強い微生物であることを特徴とする請求項42記載の製造法。
  46. pgmおよびpfkBの活性の強い微生物が、ppaをコードする遺伝子、glkをコードする遺伝子、glmMをコードする遺伝子、glmUをコードする遺伝子およびウリジンジホスホ−N−アセチルグルコサミン 4−エピメラーゼをコードする遺伝子から選ばれる1種類以上の遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNA、並びにpgmをコードする遺伝子およびpfkBをコードする遺伝子から選ばれる1種類以上の遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有する1種類以上の微生物から構成されることを特徴とする請求項45記載の製造法。
  47. ppaをコードする遺伝子、glkをコードする遺伝子、glmMをコードする遺伝子、glmUをコードする遺伝子、pgmをコードする遺伝子およびpfkBをコードする遺伝子が、エシェリヒア・コリ由来の遺伝子であることを特徴とする請求項46記載の製造法。
  48. galKおよびウリジンジホスホ−N−アセチルグルコサミン 4−エピメラーゼの活性の強い微生物が、galKをコードする遺伝子およびウリジンジホスホ−N−アセチルグルコサミン 4−エピメラーゼをコードする遺伝子から選ばれる1種類以上の遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有する1種類以上の微生物から構成されることを特徴とする請求項43記載の製造法。
  49. galKをコードする遺伝子が、エシェリヒア・コリ由来の遺伝子であることを特徴とする請求項48記載の製造法。
  50. とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有するエシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物が、ホスホマンノムターゼ(以下、manBと略す)、マンノース−1−リン酸グアニルトランスフェラーゼ(以下、manCと略す)およびglkから選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  51. 糖ヌクレオチドが、グアノシン二リン酸マンノースである請求項1〜3および50のいずれか1項に記載の製造法。
  52. manB、manCおよびglkから選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物が、pgmおよびpfkBの活性の強い微生物であることを特徴とする請求項50記載の製造法。
  53. manB、manCおよびglkから選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物が、manBをコードする遺伝子、manCをコードする遺伝子およびglkをコードする遺伝子から選ばれる1種類以上の遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有する1種類以上の微生物から構成されることを特徴とする請求項50記載の製造法。
  54. pgmおよびpfkBの活性の強い微生物が、manBをコードする遺伝子、manCをコードする遺伝子およびglkをコードする遺伝子から選ばれる1種類以上の遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNA、並びにpgmをコードする遺伝子およびpfkBをコードする遺伝子から選ばれる1種類以上の遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有する1種類以上の微生物から構成されることを特徴とする請求項52記載の製造法。
  55. manBをコードする遺伝子、manCをコードする遺伝子、glkをコードする遺伝子、pgmをコードする遺伝子およびpfkBをコードする遺伝子が、エシェリヒア・コリ由来の遺伝子であることを特徴とする請求項53または54記載の製造法。
  56. とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有するエシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物が、manB、manC、glk、GDP-4,6-マンノースデヒドラターゼ(以下、gmdと略す)およびGDP−4−ケト−6−デオキシマンノース エピメラーゼ/レダクターゼ(以下、wcaGと略す)から選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  57. 糖ヌクレオチドが、グアノシン二リン酸フコースである請求項56記載の製造法。
  58. manB、manC、glk、gmdおよびwcaGから選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物が、pgmおよびpfkBの活性の強い微生物である請求項56記載の製造法。
  59. manB、manC、glk、gmdおよびwcaGから選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物が、manBをコードする遺伝子、manCをコードする遺伝子、glkをコードする遺伝子、gmdをコードする遺伝子およびwcaGをコードする遺伝子から選ばれる1種類以上の遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有する1種類以上の微生物から構成されることを特徴とする請求項56記載の製造法。
  60. pgmおよびpfkBの活性の強い微生物が、manBをコードする遺伝子、manCをコードする遺伝子、glkをコードする遺伝子、gmdをコードする遺伝子およびwcaGをコードする遺伝子から選ばれる1種類以上の遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNA、並びにpgmをコードする遺伝子およびpfkBをコードする遺伝子から選ばれる1種類以上の遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有する1種類以上の微生物から構成されることを特徴とする請求項58記載の製造法。
  61. manBをコードする遺伝子、manCをコードする遺伝子、glkをコードする遺伝子、gmdをコードする遺伝子、wcaGをコードする遺伝子、pgmをコードする遺伝子およびpfkBをコードする遺伝子が、エシェリヒア・コリ由来の遺伝子であることを特徴とする請求項59または60記載の製造法。
  62. とNTPから糖ヌクレオチドを生産する能力を有するエシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物が、GlcNAc 2−エピメラーゼ、CMP−NeuAcシンセターゼ(以下、neuAと略す)、NeuAcアルドラーゼ(以下、nanAと略す)、NeuAcシンセターゼ(以下、neuBと略す)およびCTPシンセターゼ(以下、pyrGと略す)から選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  63. 糖ヌクレオチドが、シチジン一リン酸−N−アセチルノイラミン酸である請求項62記載の製造法。
  64. GlcNAc 2−エピメラーゼ、neuA、nanA、neuBおよびpyrGから選ばれる1つ以上の酵素の活性の強い微生物が、GlcNAc 2−エピメラーゼをコードする遺伝子、neuAをコードする遺伝子、nanAをコードする遺伝子、neuBをコードする遺伝子およびpyrGをコードする遺伝子から選ばれる1種類以上の遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有する1種類以上の微生物から構成されることを特徴とする請求項62記載の製造法。
  65. neuAをコードする遺伝子、nanAをコードする遺伝子、neuBをコードする遺伝子およびpyrGをコードする遺伝子が、エシェリヒア・コリ由来の遺伝子であることを特徴とする請求項64記載の製造法。
  66. 糖転移酵素を発現する微生物が、エシェリヒア・コリ、サッカロマイセス・セレビシエまたはコリネバクテリウム・アンモニアゲネスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  67. 糖転移酵素が、グルコシルトランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、グルクロノシルトランスフェラーゼ、マンノシルトランスフェラーゼ、シアリルトランスフェラーゼおよびフコシルトランスフェラーゼから選ばれるトランスフェラーゼであることを特徴とする請求項1〜3および66のいずれか1項に記載の製造法。
  68. 請求項1〜3記載の糖転移酵素を発現する微生物、あるいは請求項66記載のエシェリヒア・コリ、サッカロマイセス・セレビシエまたはコリネバクテリウム・アンモニアゲネスが、グルコシルトランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、グルクロノシルトランスフェラーゼ、マンノシルトランスフェラーゼ、シアリルトランスフェラーゼおよびフコシルトランスフェラーゼから選ばれるトランスフェラーゼをコードする遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有する微生物であることを特徴とする請求項1〜3および66のいずれか1項に記載の製造法。
  69. グルコシルトランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、グルクロノシルトランスフェラーゼ、マンノシルトランスフェラーゼ、シアリルトランスフェラーゼおよびフコシルトランスフェラーゼから選ばれるトランスフェラーゼをコードする遺伝子が、微生物由来であることを特徴とする請求項68記載の製造法。
  70. 動物細胞が、COS−7細胞またはナマルバKJM−1細胞であり、昆虫細胞がSf9細胞であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  71. 請求項1〜3記載の動物細胞または昆虫細胞、あるいは請求項70記載のCOS−7細胞、ナマルバKJM−1細胞またはSf9細胞が、グルコシルトランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、グルクロノシルトランスフェラーゼ、マンノシルトランスフェラーゼ、シアリルトランスフェラーゼおよびフコシルトランスフェラーゼから選ばれるトランスフェラーゼをコードする遺伝子を含むDNA断片とベクターとの組換え体DNAを保有する動物細胞あるいは昆虫細胞であることを特徴とする請求項1〜3および70のいずれか1項に記載の製造法。
  72. グルコシルトランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、グルクロノシルトランスフェラーゼ、マンノシルトランスフェラーゼ、シアリルトランスフェラーゼおよびフコシルトランスフェラーゼから選ばれるトランスフェラーゼをコードする遺伝子が、動物細胞由来であることを特徴とする請求項71記載の製造法。
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