JP3738830B2 - 気体用機器の流量特性計測装置および流量特性計測方法 - Google Patents

気体用機器の流量特性計測装置および流量特性計測方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体用機器の流量特性計測装置に関する。また、本発明は、気体用機器の流量特性計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気など圧縮性流体で使用される電磁弁をはじめとする絞り要素における流量特性表示法およびその計測方法の国際規格化が進展しつつある。国際規格では音速コンダクタンスと臨界圧力比で流量特性を表示することになっている。このように、空気圧弁などの空気圧機器の流量特性は音速コンダクタンスと臨界圧力比で表示される。
【0003】
空気圧機器の流量特性を計測する従来の方法としては、JISB8390で規定されている方法と真空充填法などがある。ここで、JISB8390で規定されている方法には、流量法と放出法とがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
JISB8390で規定されている方法のうちの流量法は、可変絞りを段階的に変えた際の空気圧機器の上流と下流の圧力差とそのときの流量を測定する方法である。しかし、この方法では、流量計が必要なことと、繰り返し計測をすることでようやく一つの空気圧機器の流量特性が得られるという問題がある。
【0005】
つぎに、JISB8390で規定されている方法のうちの放出法は、容器内空気を加圧し、大気に空気を放出して途中で放出を止める方法であり、そのときの圧力応答から有効断面積を求めるものである。しかし、有効断面積(音速コンダクタンスと等価)は求められるが、臨界圧力比は求められないという問題がある。
【0006】
つぎに、真空充填法は、真空状態の容器に空気圧機器を通して気体を流入させた際の圧力を測定して、流量特性を求める方法である。臨界圧力比の測定には数点の圧力を用いてその平均をとる。しかし、容器内の温度変化が誤差の原因となる。また、臨界圧力比の測定に時間を要するという問題がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、空気圧機器の流量特性を精度良く簡易に計測することができる、気体用機器の流量特性計測装置および流量特性計測方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の気体用機器の流量特性計測装置は、所定圧力の気体を気体用機器に供給する供給装置と、この気体用機器からの気体を流入させる等温化圧力容器と、この等温化圧力容器の圧力を計測する圧力センサとを有するものである。
【0009】
上述の等温化圧力容器は、表面積の大きな材料を充填した容器であることが好ましい。また、上述の気体用機器は気体用弁であることがより好ましい。
【0010】
本発明の気体用機器の流量特性計測装置によれば、所定圧力の気体を気体用機器に供給する供給装置と、この気体用機器からの気体を流入させる等温化圧力容器と、この等温化圧力容器の圧力を計測する圧力センサとを有するので、等温化圧力容器内の圧力を、温度変化の影響をほとんど受けずに経時的に計測できる。
【0011】
また、本発明の気体用機器の流量特性計測方法は、供給装置の圧力を、所定圧力に設定する工程と、この所定圧力の気体を気体用機器に供給し、かつこの気体用機器からの気体を等温化圧力容器に流入させ、この等温化圧力容器の圧力を計測する工程と、この等温化圧力容器の圧力の計測結果より、気体用機器の流量特性を算出する工程とを有するものである。
【0012】
上述の等温化圧力容器は、表面積の大きな材料を充填した容器であることが好ましい。また、上述の気体用機器は気体用弁であることがより好ましい。また、上述の流量特性は、音速コンダクタンスと臨界圧力比であることがさらに好ましい。
【0013】
本発明の気体用機器の流量特性計測方法によれば、供給装置の圧力を所定圧力に設定する工程と、この所定圧力の気体を気体用機器に供給し、かつこの気体用機器からの気体を等温化圧力容器に流入させ、この等温化圧力容器の圧力を計測する工程と、この等温化圧力容器の圧力の計測結果より気体用機器の流量特性を算出する工程とを有するので、等温化圧力容器内の圧力を、温度変化の影響をほとんど受けずに経時的に計測できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、気体用機器の流量特性計測装置について説明する。図1は、気体用機器の流量特性計測装置の一例としての、等温化圧力容器を用いた各種空気圧弁などの空気圧機器の流量特性計測装置を示したものである。
【0015】
この空気圧機器の流量特性計測装置は、図1に示すように、空気圧源1、減圧弁2、補助タンク3、電磁弁4、供試弁5、等温化圧力容器6、圧力センサ7、DA変換器8、AD変換器9、およびコンピュータ10から成る。
ここで、空気圧源1、減圧弁2、および補助タンク3を供給装置と定義する。この供給装置は、所定圧力の気体を気体用機器に供給するものである。
【0016】
供給装置を構成する空気圧源1の例としては、コンプレッサを挙げることができる。ただし、空気圧源1は、このコンプレッサに限定されるわけではない。このほか、空気圧源1としては、圧縮空気を充填したボンベなどを挙げることができる。
【0017】
供給装置を構成する減圧弁2は、空気圧源1から供給される空気の圧力を所定の圧力に制御するためのものである。この減圧弁2は、一般に用いられているもので良く、特に限定されるものではない。ここで所定の圧力は、200kPa〜1MPaの範囲にあることが好ましい。所定の圧力がこの範囲にあると、臨界圧力比の測定を行うことができ、また通常のコンプレッサ等で供給できるという利点があるからである。
【0018】
供給装置を構成する補助タンク3は、金属製の中空容器である。この補助タンク3は、減圧弁2から供給される空気を一時的に貯留するものである。この補助タンク3を設置することにより、流量が大きくなることを原因として圧力が降下するのを防止することができる。なお、補助タンク3の容積は5〜100Lの範囲にあることが好ましい。容積がこの範囲にあると、圧力降下を抑えることができ、現在使用されているほとんどすべての空気圧弁の流量特性が測定可能であるという利点があるからである。
【0019】
なお、供給装置は上述した空気圧源1、減圧弁2、および補助タンク3から構成されるものに限定されるわけではない。空気の圧力を所定の値に制御できて、安定して供給できるものであればいかなる装置も採用することができる。
【0020】
電磁弁4は、コンピュータ10(後に詳しく説明する。)からの信号の入力により、弁を開き補助タンク3からの空気を通過させるものである。また、計測終了後は、コンピュータ10からの信号の入力により弁を閉じる。
【0021】
電磁弁4の有効断面積は供試弁5(後に詳しく説明する。)の有効断面積の4倍以上大きいことが好ましい。電磁弁4の有効断面積がこの範囲にあると、電磁弁4による圧力降下をほとんど無視することができるからである。
【0022】
なお、この電磁弁4の代わりに、通常は弁が閉じており電気信号を入力したときに弁が開くものであれば、他の弁を使用することができる。また、手動により弁を開閉するものであってもかまわない。
【0023】
供試弁5は、流量特性を計測しようとする対象物であり、気体用機器の一例である。気体用機器としては、電磁弁、サーボ弁、ポペット弁、スプール弁などの気体用弁の他、固定ノズル、可変ノズルなどを挙げることができる。また、気体用機器の質量速度は1×10-5kg/s〜2kg/sの範囲にあることが計測に適している。質量速度がこの範囲にあると、圧力変化の計測の精度も十分であり、かつ等温化圧力容器6(後にくわしく説明する。)の設備費が過大になるのを防止できるからである。
【0024】
等温化圧力容器6は、供試弁5からの気体を流入させ充填させる容器である。等温化圧力容器6の形状は、例えば円筒であり、いずれか一方の底面側から気体を流入させる。このとき、円筒の高さ(奥行き)は底面の直径の2倍以下であることが好ましい。円筒の高さ(奥行き)がこの範囲にあると気体の流入時における、圧力勾配の発生を抑えることができるからである。
【0025】
等温化圧力容器6の形状は、上述の円筒に限定されるわけではない。このほか多角柱体、球体、楕円体など種々の形状を採用することができる。このときも、気体の流入方向の奥行きは、断面の最大幅の2倍以下とすることが好ましい。断面の最大幅は、例えば多角柱体であれば断面中の最大幅、楕円体であれば奥行き方向の中心の断面における直径である。
【0026】
等温化圧力容器6の容積は0.0002m3 〜1m3 の範囲にあることが好ましい。この範囲は、上述した気体用機器の質量速度の適している範囲に対応させたものである。
なお、等温化圧力容器6の材質は金属である。
【0027】
等温化圧力容器6の中には、表面積の大きな材料が充填されている。表面積の大きな材料としては、スチールウールを用いた。このように、等温化圧力容器6は容器にスチールウールを充填することで伝熱面積を増大させている。こうすることによって、スチールウールを充填していない通常の容器では30K程度温度変化するのに対して、スチールウールを充填した等温化圧力容器6は3K程度に温度変化を抑えることができる。
【0028】
なお、スチールウールの充填密度は20〜40kg/m3 の範囲にあることが好ましい。充填密度がこの範囲にあると、等温化圧力容器内の等圧性が確保できるとともに、容器内の温度変化を無視できる程度に抑えることができるからである。このスチールウールの充填方法は、スチールウールを手で押し込むようにして行う。
【0029】
等温化圧力容器6に充填する材料は、上述のスチールウールに限定されるわけではない。このほか、木綿やプラスチック製の綿などを採用することができる。すなわち、材料が繊維状であり、その径が10〜50μmの範囲にあり、熱伝導度が0.05W/mK以上であれば採用することができる。
【0030】
圧力センサ7は、等温化圧力容器6の圧力を計測するものである。ここでは、圧力センサ7として、半導体式圧力センサを用いた。圧力センサ7の測定可能範囲は、大気圧〜減圧弁2の設定圧力の範囲にあることが好ましい。また、圧力センサ7の精度は0.1kPa以下であることが好ましい。精度がこの範囲にあると流量特性の計測精度を十分なものにすることができるからである。
【0031】
なお、圧力センサ7は、上述の半導体式センサに限定されるわけではない。圧力を電気信号として出力するものであり、計測精度が上述の範囲内にあれば他の圧力センサであってもかまわない。
【0032】
DA変換器8は、コンピュータ10からの、電磁弁4開閉のデジタル信号をアナログ信号に変換するものである。
また、AD変換器9は、圧力センサ7からのアナログ信号をデジタル信号に変換するものである。
【0033】
コンピュータ10は、電磁弁4への開閉の信号を出力するとともに、圧力センサ7からの計測データ信号を入力する。また、コンピュータ10は計測データを基に供試弁5の流量特性の算出を行う。流量特性の算出については後に詳しく述べる。
【0034】
なお、上では気体として空気について説明したが、気体は空気に限定されるわけではない。このほか天然ガス、二酸化炭素などの他の気体にも本発明は適用できることはもちろんである。
【0035】
次に、気体用機器の流量特性計測方法について説明する。図2は、気体用機器の流量特性計測方法の工程フローを示す図である。この工程フローに沿って説明する。
【0036】
最初に、供給装置の圧力を所定圧力に設定する。すなわち、1に示すように、減圧弁2により供給圧の設定を行う。供給圧は400〜600kPaの範囲に設定することが好ましい。供給圧がこの範囲にあると、通常空気圧機器を使用する圧力範囲となり、供試弁の流量特性を精度良く測定できるという利点があるからである。
【0037】
つぎに、2に示すように、流量特性を計測すべき供試弁の設置を行う。ここで、可変ノズルにおいては、開度の調整を行う。
【0038】
つぎに、3に示すように、電磁弁4を開く。この電磁弁4は、コンピュータ10からの出力信号に基づき開くのである。この電磁弁4が開くことにより、上述した所定圧力の気体が供試弁5に供給される。そして、供試弁5からの気体は等温化圧力容器6に流入する。したがって、電磁弁4は、等温化圧力容器への空気充填の開始を制御する役割をもつものである。
【0039】
つぎに、4に示すように、等温化圧力容器6の圧力を計測する。圧力の計測は等温化圧力容器6に設けられた圧力センサ7により行われる。また、圧力の計測は、電磁弁4が開いたときから始める。
【0040】
つぎに、5に示すように、計測データ信号のコンピュータ10への入力が行われる。データの取り込み時間は合計で10〜15秒である。また、サンプリングタイムは2〜10m秒毎の範囲にあることが好ましい。サンプリングタイムがこの範囲にあると、流量特性算出の精度を十分に高くすることができるからである。
【0041】
つぎに、点線で囲んだ枠8に示すように、等温化圧力容器の圧力の計測結果より、供試弁の流量特性の算出を行う。この流量特性の算出は、コンピュータ内で行われる。流量特性の算出は、具体的には、6に示すような最小2乗近似による圧力波形のフィッティングと、7に示すような音速コンダクタンスCと臨界圧力比bの算出である。
【0042】
ここで、最小2乗近似による圧力波形のフィッティングと、音速コンダクタンスCおよび臨界圧力比bの算出方法をその原理とともに説明する。
なお、これからの説明に用いる式の記号表はつぎの通りである。
【表1】
Figure 0003738830
【0043】
容器内の空気に対して次式の状態方程式が成り立つ。
【数1】
Figure 0003738830
【0044】
この(1)式の状態方程式を微分することによって次式を得る。
【数2】
Figure 0003738830
【0045】
ここで、もし充填時の容器内の状態変化が等温であるとすると(2)式は次式のように表すことができる。
【数3】
Figure 0003738830
【0046】
室温θaが既知の時、チョーク流れにおける流量は次式で与えられる。
【数4】
Figure 0003738830
【0047】
図3は供給圧を600kPaとして等温化圧力容器に空気を充填した時の容器内の圧力応答を表している。
【0048】
この(4)式を(3)式に代入すると次式が求まる。
【数5】
Figure 0003738830
【0049】
この(5)式を充填の開始から積分することによって次式を得る。
【数6】
Figure 0003738830
【0050】
この(6)式は図3でf1(t)として示すように時間に対して線形な式であり、音速コンダクタンスを求めると(6)式より、次式となる。
【数7】
Figure 0003738830
【0051】
一方、ISO 6358によると亜音速流れにおいて次式を用いることが規定されている。
【数8】
Figure 0003738830
【0052】
ここで、(8)式を(3)式に代入することによって次式を得る。
【数9】
Figure 0003738830
【0053】
臨界圧力Pcrに達する時の時間をtcrとすると(9)式を積分することによって圧力波形は次式となる。
【数10】
Figure 0003738830
【0054】
この(10)式は図3に示すf2(t)である。等温化圧力容器において、亜音速流れにおける圧力波形は正弦波で表されることがわかる。
【0055】
そして、本発明の方法は、測定した容器内の圧力波形から(6)式、(10)式で最小2乗近似曲線を求めることによって、音速コンダクタンスCと臨界圧力比bを同時に推定する。
【0056】
つぎに、非線形最小2乗法について説明する。
測定した圧力波形と(6)、(10)式から音速コンダクタンスCと臨界圧力比bを最小2乗近似で求める手順を以下に示す。計算にはガウス- ニュートン法を用いる。
【0057】
(1)次式に対してC,bの初期値C0,b0を与える。
【数11】
Figure 0003738830
【0058】
(2)次式を計算しこれをS0とする。
【数12】
Figure 0003738830
【0059】
(3)以下に示す要素をi=1〜nついて計算する。
【数13】
Figure 0003738830
【0060】
(4)次式の線形方程式を△C,△bについて解く。
【数14】
Figure 0003738830
【0061】
(5)次式よりあらたにC,bを求める。
【数15】
Figure 0003738830
【0062】
(6) C,bを係数として次式を計算する。
【数16】
Figure 0003738830
(7)これが以下に示す収束条件を満たしていれば計算を終了する。そうでなければC,bをC0,b0として繰り返し計算をする。
【数17】
Figure 0003738830
【0063】
ここで、音速コンダクタンスCによってf1(t)の傾きは決まる。また、臨界圧力比bによってf1(t)とf2(t)の切替地点は決定される。また、C,bが決定すればf1(t)とf2(t)の連続性は確保される。
以上の方法によって、圧力波形から瞬時に音速コンダクタンスCと臨界圧力比bを求めることが可能である。
【0064】
つぎに、測定可能範囲および測定精度の検討結果について説明する。
等温化圧力容器の充填の速度が速くなるにつれて等温性が悪化する。温度変化による誤差を0.5%に抑えるには圧力変化速度は100kPa/s以下にする必要があることを確認している。
【0065】
逆に圧力変化速度が遅くなると等温性は向上するが、圧力を微分する際に圧力計の分解能の影響を受ける。本発明で使用した圧力計の分解能より、最低18kPa/sの圧力変化が必要であると考える。よって容積0.001m3 の容器を用いた場合測定可能な流量範囲は2.3×10-4kg/sから1.27×10-3kg/sとなる。
【0066】
圧力測定法の誤差は誤差の伝播則より次式で与えられる。
【数18】
Figure 0003738830
圧力センサの誤差δPは0.5%であると考えられる。また供給圧力の変動 による誤差δPs、容器の容積の測定誤差δVもそれぞれ0.5%であると考えられる。
【0067】
時間の誤差δtは電磁弁の応答遅れ0.01[s]であり、充填時間を10[s]とした場合誤差は0.1%となる。温度計測の誤差は1[K]、0.3% と考えられる。以上により誤差は0.9%におさまることが明らかとなった。
【0068】
以上のことから、所定圧力の気体を気体用機器に供給する供給装置と、この気体用機器からの気体を流入させる等温化圧力容器と、この等温化圧力容器の圧力を計測する圧力センサとを有する、気体用機器の流量特性計測装置により、または、供給装置の圧力を所定圧力に設定する工程と、この所定圧力の気体を気体用機器に供給し、かつ上記気体用機器からの気体を等温化圧力容器に流入させ、上記等温化圧力容器の圧力を計測する工程と、上記等温化圧力容器の圧力の計測結果より気体用機器の流量特性を算出する工程とを有する、気体用機器の流量特性計測方法により、等温化圧力容器内の圧力を、温度変化の影響をほとんど受けずに経時的に計測でき、気体用機器の流量特性を精度良く簡易に計測することができる。すなわち、本発明は、等温化圧力容器を用い、容器に空気を充填する際の圧力応答から繰り返し計測することなしに、精度良く簡易に流量特性を測定することができる。
【0069】
なお、本発明は上述の実施の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0070】
次に、本発明にかかる実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
【0071】
具体的な条件は以下の通りである。
供試弁:電磁弁
空気圧源:コンプレッサ(商品名:COMPAC55P、IWATA社製)
減圧弁の設定圧力:600kPa
補助タンクの容量:約10L
室温:25℃
等温化圧力容器:円筒形状、奥行き/底面直径=1.5、
容器容積=1.0×10-33
等温化圧力容器の充填物:スチールウール(商品名:ボンスター超極細、
日本スチールウール社製)、スチールウールの径=25μm、
充填密度=30kg/m3
圧力センサ:半導体式圧力センサ(商品名:PMS−5、
豊田工機社製)、精度=0.3kPa
データの取り込み時間:20秒
サンプリングタイム:5m秒毎
【0072】
図4に電磁弁に対して実験を行なった結果の圧力波形と最小2乗近似曲線を示す。
実験結果(実線)と近似曲線(点線)は大変良い一致を示しており、最小2乗近似が適切に行なわれていることがわかる。
【0073】
図5に供試弁の圧力流量特性の結果を示す。図5は、供試弁の圧力流量特性の結果を、ISOで規定されている方法で測定した結果と対比した図である。図中の白丸は流量計と圧力計を用いてISOで規定されている方法で測定した結果である。図中の実線は図4の圧力波形を微分することによって求めた結果である。ISOの方法と比較して大変良い一致を示していることがわかる。この結果より、本発明の方法の有効性が明らかとなった。
【0074】
供試弁として、電磁弁のほかに可変バルブ、単純な絞りについて同様の実験を行ない、本発明方法の有効性を検証した。結果を表2,3に示す。なお、表2,3に示すバルブは、具体的にはA:可変絞り、B:絞り、C:可変絞り、D:電磁弁である。
【0075】
また、ISOの方法とは、ISO6358とJISB8390で規定されている方法である。供試弁の上流圧、下流圧と通過する流量から流量特性を測定する。まず供試弁下流に接続した可変絞りを全開にして最大流量を流し、音速コンダクタンスを算出する。次に最大流量の80%、60%、40%、20%の4点での流量と上下流圧を測定し、それぞれの点から求めた臨界圧力比を平均することで臨界圧力比bを算出する方法である。
【0076】
また、改良ISO(Improved ISO)の方法とは、実験装置はISOの方法と同様であるが、臨界圧力比を求める際に4点の流量を用いるのではなく、より多数の点での流量と圧力比から求めた臨界圧力比(およそ10点)を平均することで、ISOの方法より精度よく臨界圧力比bを求めるものである。
【0077】
【表2】
Figure 0003738830
【0078】
【表3】
Figure 0003738830
【0079】
表2においてバルブAは音速コンダクタンスが小さいことから容積が6.0×10-43 の容器を、他のバルブに対しては容積が1.0×10-33 の容器を用いた。音速コンダクタンスに関してはいずれの場合もISOの方法を基にして流量計で測定した結果と2%以内の精度で合っており、本発明の方法の有効性が確認された。
【0080】
また、表3に注目すると、臨界圧力比は、バルブCのようにチョーク点が低いと8%弱の誤差を生むことがわかった。しかし、バルブCの圧力流量特性を図示すると図6のようになり、本発明の方法の曲線は流量計から求めた結果と良く対応していることがわかる。つまりbの値の多少のずれは全体には大きな影響を与えないことがわかった。よってこの程度の精度で十分実用的であると考えられる。
【0081】
以上のことから、本実施例によれば、容器内の状態変化をほぼ等温にできる等温化圧力容器を用いて、供試弁を通して容器に充填される空気の圧力を測定するのみで、簡易に供試弁の流量特性を計測することができる。すなわち、一度の充填で、容器内の圧力波形のみから、計算によって音速コンダクタンスと臨界圧力比を同時に測定できる。また、流量計を用いた測定結果との比較検討の結果、測定精度も十分確保されており、本発明の方法の有効性が実験によって明らかになった。
【0082】
【発明の効果】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
所定圧力の気体を気体用機器に供給する供給装置と、この気体用機器からの気体を流入させる等温化圧力容器と、この等温化圧力容器の圧力を計測する圧力センサとを有する、気体用機器の流量特性計測装置により、または、供給装置の圧力を所定圧力に設定する工程と、この所定圧力の気体を気体用機器に供給し、かつ上記気体用機器からの気体を等温化圧力容器に流入させ、上記等温化圧力容器の圧力を計測する工程と、上記等温化圧力容器の圧力の計測結果より気体用機器の流量特性を算出する工程とを有する方法により、気体用機器の流量特性を精度良く簡易に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】気体用機器の流量特性計測装置にかかる発明の実施の形態を示す図である。
【図2】本実施の形態にかかる気体用機器の流量特性計測方法の工程フローを示す図である。
【図3】等温化圧力容器に空気を充填したときの、圧力の経時変化を示す図である。
【図4】電磁弁に対して実験を行った結果の圧力波形と、最小2乗近似曲線を示す図である。
【図5】供試弁の圧力流量特性の結果を、ISOで規定されている方法で測定した結果と対比した図である。
【図6】バルブCの圧力流量特性の結果を、ISOで規定されている方法で測定した結果と対比した図である。
【符号の説明】
1‥‥空気圧源、2‥‥減圧弁、3‥‥補助タンク、4‥‥電磁弁、5‥‥供試弁、6‥‥等温化圧力容器、7‥‥圧力センサ、8‥‥DA変換器、9‥‥AD変換器、10‥‥コンピュータ

Claims (7)

  1. 所定圧力の気体を気体用機器に供給する供給装置と、
    上記気体用機器からの気体を流入させる等温化圧力容器と、
    上記等温化圧力容器の圧力を計測する圧力センサと
    を有する、気体用機器の流量特性計測装置。
  2. 請求項1記載の、気体用機器の流量特性計測装置において、
    等温化圧力容器は、表面積の大きな材料を充填した容器である。
  3. 請求項2記載の、気体用機器の流量特性計測装置において、
    気体用機器は、気体用弁である。
  4. 供給装置の圧力を、所定圧力に設定する工程と、
    上記所定圧力の気体を気体用機器に供給し、かつ上記気体用機器からの気体を等温化圧力容器に流入させ、上記等温化圧力容器の圧力を計測する工程と、
    上記等温化圧力容器の圧力の計測結果より、気体用機器の流量特性を算出する工程とを
    有する、気体用機器の流量特性計測方法
  5. 請求項4記載の、気体用機器の流量特性計測方法において、
    等温化圧力容器は、表面積の大きな材料を充填した容器である。
  6. 請求項5記載の、気体用機器の流量特性計測方法において、
    気体用機器は、気体用弁である。
  7. 請求項6記載の、気体用機器の流量特性計測方法において、
    流量特性は、音速コンダクタンスと臨界圧力比である。
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