JP3735400B2 - メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の検出法及びキット - Google Patents

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の検出法及びキット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感染症対策上重要なメチシリン耐性ブドウ球菌、とりわけメチシリン耐性黄色ブドウ球菌を検出する方法及び検出用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(以下、MRSA)は日本国内における細菌検査で検出されるブドウ球菌の50%以上を占め、院内感染の原因菌として特に注意が必要とされている。この菌はβ−ラクタム薬をはじめとするほとんど全ての抗生物質に耐性を示し、効果的な薬剤は少ない。一般に感染症が疑われたときに予防的に投与される抗生物質のほとんどはMRSAに効果がなく、かえってMRSA感染を進めることにもなりかねず、検査材料からMRSAを迅速かつ正確に検出・同定することは、感染症の予防・治療にあたって極めて重要であると考えられている。
【0003】
MRSAの同定は従来、臨床材料から分離された菌について培養試験で薬剤感受性を見ることにより行われている。しかし、培養試験で薬剤感受性を見る場合は、分離培養に1日以上、感受性試験に1日以上を必要とする。加えて、MRSAの薬剤耐性の発現は複雑な制御を受けており、培養試験ではMRSAを見逃すこともある。
【0004】
そこで、MRSAの耐性の本体であるPBP−2′という新たな細胞壁合成酵素の設計遺伝子であるmecA遺伝子を検出することによって感受性試験の結果を待たずに、かつ培養のぶれに関係なくMRSAの判定を行える方法がポリメラーゼ増幅反応(以下、PCR;特開昭60−281号公報参照)を応用して開発され〔生方ら,J.Clin.Microbiol.30,P.1728−1733(1992)〕、すでに実用化もされている。
【0005】
しかし、mecA遺伝子は黄色ブドウ球菌だけでなく他のブドウ球菌(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌:以下、CNS)も有していることがあり、薬剤感受性に配慮した感染症対策という立場からはメチシリン耐性CNS(以下、MR−CNS)とMRSAとを区別することが重要となってきた。特に、黄色ブドウ球菌はブドウ球菌の中でも毒性が高くCNSに比べて臨床的重要度が高いと考えられていることから、検出されたブドウ球菌が黄色ブドウ球菌であるか否かが依然重要な情報として必要と考えられており、mecA遺伝子を検出及び同定すると同時にMRSAとMR−CNSを区別することが要望されていた。
【0006】
PCRは遺伝子の検出と同定を迅速かつ高感度に行う手段として有用であり、これを用いて黄色ブドウ球菌特異的な遺伝子とmecA遺伝子を同一反応で増幅することは理論的には可能であるが、これを同一反応容器中で実施しようとするとき、別々の遺伝子を増幅するプライマーを単純に4種組み合わせただけでは満足のいく特異的な遺伝子増幅が得られるとは限らないのが実状である。すなわち、PCRにおいて2つ以上の遺伝子を一度に増幅する場合(多重PCR)においては、プライマー同士の増幅反応を含む目的以外の遺伝子の非特異的増幅反応の頻度が高くなるのが一般的である。たとえば4つのプライマーを用いて同時にPCR反応を行うとき、4つのプライマーの解離温度(Tm)を合わせること、また4つのプライマーがとりうる組み合わせにおいてそれぞれの配列が相補的とならないように設計することなどは当然のことであるが、これらを十分に考慮して設計した場合においても予期せぬ反応効率の低下や、非特異的増幅物の生成などが見られることがあり〔Chamberlainら,Nucleic AcidRes.16,P.11141−11156(1988);Chamberlainら,PCR Protocols,P.272−281,Innis他編集,Academic Press(1990);Edwardsら,PCRMethod and Applications 3,P.65−75(1994)〕、特異的なプライマーの組み合わせを得ることは容易ではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、PCRを利用し、MRSAとMR−CNSを区別して検出する、迅速かつ簡便な方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らはMRSAとMR−CNSとをPCR法にて区別して検出するためのプライマーの設計について種々の検討を行い、メチシリン耐性を示すmecA遺伝子を増幅するプライマー2種と、黄色ブドウ球菌を他のブドウ球菌群から識別するマーカーとして知られているプロテインA〔Forsgren,Acta Pathol.Microbiol.Scand.75,P.481−490(1969);Hjolmら,FEBS Letters.28,P.73−76〕の遺伝子であるspa遺伝子を増幅するプライマー2種とを組み合わせることを考案した。しかし、検査を迅速かつ簡便なものとすることを考慮するとPCRの反応時間が長すぎずかつ高感度を保つことが必要であり、そのためにはPCRによる遺伝子増幅で得られるDNAの長さが40塩基対から300塩基対の範囲であるプライマーの組み合わせ中から選択することが望ましく、加えて、その中から非特異的増幅反応をともなわず双方の遺伝子を増幅し得るプライマーの組み合わせを得ることは容易ではなかった。
【0009】
そこで本発明者らは上記の条件を満足させるべく更に検討を重ねた結果、mecA遺伝子特異的なPCRプライマーとして下記(1)及び(2)で示される配列のオリゴヌクレオチドを用い、spa遺伝子特異的なPCRプライマーとして下記(3)及び(4)で示されるオリゴヌクレオチドを用いれば、MRSAがMR−NCSと明確に区別して検出できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は下記の塩基配列(1)、(2)、(3)及び(4);
(1)5′AGAAATGACTGAACGTCCG 3′
(2)5′GCGATCAATGTTACCGTAG 3′
(3)5′TACATGTCGTTAAACCTGGTG 3′
(4)5′TACAGTTGTACCGATGAATGG 3′
〔式中、Aはアデニン、Gはグアニン、Cはシトシン、Tはチミンを示し、任意のTはウラシル(U)と置換されていてもよい〕
で表わされる4種のオリゴヌクレオチドを遺伝子増幅反応プライマーとして用いることを特徴とするメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の検出法を提供するものである。
【0011】
また、本発明は上記4種のオリゴヌクレオチドを含有することを特徴とするメチシリン耐性黄色ブドウ球菌検出用キットを提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるプライマーのうち、上記塩基配列(1)及び(2)で表わされるオリゴヌクレオチド〔以下、プライマー(1)、プライマー(2)と称す〕は、松橋らによって報告されているmecA遺伝子の配列〔FEBS Letters 221,P.167−171(1987)〕から選択されたものであり、例えばDNA自動合成機を用いて化学的に合成することができる。一方、上記塩基配列(3)及び(4)で表わされるオリゴヌクレオチド〔以下、プライマー(3)、プライマー(4)と称す〕は、Finck−Barbanconらによって報告されているspa遺伝子の配列〔FEMS Microbiol.Lett.91,P.1−8(1992)〕から選択されたものであり、例えばDNA自動合成機を用いて化学的に合成することができる。
【0013】
本発明のMRSAの検出法は、前記4種のプライマーを組み合わせて用いる以外は、通常のPCR法に従って行われる。すなわち、検体に前記4種のプライマー及びポリメラーゼを用い、1本鎖DNAへの変性処理、アニーリング及び伸長反応を数十回繰り返した後増幅された遺伝子を検出することにより行われる。
【0014】
本発明の検出法における検体としては、各種臨床検査材料、血液、膿汁、喀痰、髄液、咽頭拭い液、糞便、尿など、あるいはそれらから得られた細菌培養液、単離・培養された細菌コロニーなどを用いることができる。検査にはこれらの材料からPCRの試料となるブドウ球菌の核酸成分を抽出することが必要であるが、そのための方法としてはアルカリや界面活性剤を用いる方法、プロテイナーゼKなどの蛋白質分解酵素を用いる方法等が利用できる。また、リゾスタフィンやアクロモペプチダーゼといった、ブドウ球菌に特有な膜の分解を行う酵素の使用は核酸の抽出効率を上げ、検査の感度を上げることができる。
【0015】
これらの核酸抽出溶液はその一部をそのままPCRに供することもできるが、核酸の精製や濃縮の操作を加えることでPCRの感度を上げることも可能である。精製や濃縮のための方法としては、フェノールなどの有機溶媒を蛋白質の変性剤として用いる方法、その他の特異的な蛋白質変性剤を用いる方法〔Beutlerら,BioTechniques 9,P.166(1990)〕、捕獲・濃縮用のプローブを固定したラテックス粒子など担体を用いる方法〔特開昭63−117262号公報〕などが挙げられる。
【0016】
PCRに用いるポリメラーゼとしては、耐熱性DNAポリメラーゼ、例えばTaq DNAポリメラーゼを用いるのが好ましい。1本鎖DNAへの変性処理は熱処理が好ましい。好ましいPCR条件としては、例えば耐熱性DNAポリメラーゼを用い、温度サイクル条件は、90℃〜96℃で10秒〜60秒、より好ましくは92℃で15秒の変性工程、50℃〜65℃で10秒〜60秒、より好ましくは60℃〜65℃で15秒のアニーリング工程、72℃で0秒〜60秒、より好ましくは5秒〜15秒の伸長工程の繰り返しを行う方法が挙げられる。
【0017】
本発明におけるプライマーを用いたPCRによるDNA増幅の判定は、生成した増幅DNAのサイズを電気泳動で確認する方法や、ニトロセルロース膜などに反応物を固定し目的の増幅DNAの配列に相補的な配列を持つ標識プローブとハイブリダイゼーションを行わせる方法などで可能であるが、より簡便にDNA増幅の判定を行うには、識別可能な標識を施したプライマーを用いてPCRを行い、標識された増幅DNAを固相に捕獲して識別する方法が有利である。
【0018】
増幅DNAを捕獲して識別する方法としては、標識に特異的に結合する物質をあらかじめ固定した固相を用いる方法〔特開平1−252300号公報〕、目的の増幅DNAの配列に相補的な配列を持つ捕獲プローブをあらかじめ固相に固定しておき、ハイブリダイゼーションによって特異的な結合を行わせる方法などがあり、そのための固相としては、マイクロタイターウエル、あるいはビーズなどを用いることができるが、一度に多検体を処理するにはマイクロタイターウエルを使用するのが有利である。
【0019】
ところで、臨床検体を直接の試料として検査を行うときには、試料中にブドウ球菌が存在したとしてもその数が少なくPCRにおいてもDNA増幅のための温度サイクルを相当数繰り返す必要があることが考えられる。こうした場合には、十分に検討して得たプライマーを用いた場合でさえも、非特異的な増幅DNAが生じる危険を完全に拭うことはできず、増幅DNAの捕獲には捕獲プローブとのハイブリダイゼーションを利用することが望ましい。捕獲プローブのマイクロタイターウエルへの固定には川井らの方法〔Analytical Biochemistry 209,P.63−69〕などを用いることができる。
【0020】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0021】
実施例1(プライマーの選択)
(1)検体の調製
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌TK784株及び大腸菌をそれぞれMueller−Hinton培地で培養し、SDS−フェノール法でDNAを抽出・調製した。
【0022】
(2)プライマーの合成と標識
プライマーとするオリゴヌクレオチドは遺伝子の配列から設計したmecA遺伝子増幅用プライマー(M1〜M12)及びspa遺伝子増幅用プライマー(S1〜S4)をアプライドバイオシステム社のDNA合成装置を用いてホスホアミダイド法にて合成した。5′末端の塩基にはアミノリンクII(商品名:アプライドバイオシステム社)を用いてアミノ基を導入し、その後セファデックスG−50を用いたゲル濾過で精製した。
得られたアミノ化オリゴヌクレオチドは以下のように標識化した。すなわち、10μg/μl DMFと100mM NaHCO3を含む溶液中でアミノ化オリゴヌクレオチドをビオチニル−N−ヒドロキシサクシニミドエステルと反応させ、ビオチン標識オリゴヌクレオチドを得た。又は、33%エタノールと67mM NaHCO3を含む溶液中でアミノ化オリゴヌクレオチドをジニトロフルオロベンゼンと反応させてジニトロフェニル標識オリゴヌクレオチドを得た。
【0023】
(3)PCR
PCRは、検体DNA(20ng)と、各プライマー(mecA遺伝子増幅用プライマー2種類及びspa遺伝子増幅用プライマー2種類:それぞれ50ng/50μl)、Taq DNAポリメラーゼ(2.5単位/50μl)、dATP、dGTP、dCTPそれぞれ200μM、dUTP 400μM、50mM KCl、50mM トリス緩衝液(pH8.3)という反応液組成で、パーキンエルマー・シータス社のサーマルサイクラー9600を用い、92℃で15秒の変性工程、60℃で15秒のアニーリング工程、72℃で15秒の伸長工程という温度サイクルを40回繰り返して実施した。
【0024】
プライマーは、表1に示すmecA遺伝子増幅プライマー(M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8、M9、M10、M11、M12)及びspa遺伝子増幅用プライマー(S1、S2、S3、S4)を表2の組み合わせで加えた。それぞれ奇数番号は遺伝子のセンス側に対応する配列、偶数番号はアンチセンス側に対応する配列である。なお、増幅効率を見る側の奇数番号にビオチン標識オリゴヌクレオチドプライマーを、偶数番号にジニトロフェニル標識オリゴヌクレオチドプライマーを用い、他方はアミノ化オリゴヌクレオチドプライマーを用いた。
【0025】
【表1】
Figure 0003735400
【0026】
(4)増幅結果の判定
PCRによる遺伝子増幅の判定は、ストレプトアビジン固定マイクロタイターウエルに、それぞれの増幅反応液10μlを100μlのアルカリホスファターゼ標識抗ジニトロフェニル抗体溶液とともに加えて25℃で30分間インキュベートし、洗浄後、p−ニトロフェニルリン酸溶液(40μg/ml)100μlを加え、25℃で30分間インキュベート後、405nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定することで行った。
【0027】
(5)結果
表2に示す如く、MRSA DNA添加時に1.0以上の強い発色を認め、E.coli DNA添加時の非特異的発色が0.1を超えない組み合わせとしてM9(配列番号1)、M6(配列番号2)、S3(配列番号3)、S4(配列番号4)の組み合わせが得られた。
【0028】
【表2】
Figure 0003735400
【0029】
実施例2(spa遺伝子の特異性の認識)
(1)検体
臨床分離されたブドウ球菌(黄色ブドウ球菌187株、その他のブドウ球菌(CNS)25株)のコロニーを検体とした。
【0030】
(2)PCR
被検コロニーの一部(105〜107の菌数に相当)を溶菌液1(7μg/30μl リゾスタフィン、50mM トリス緩衝液(pH7.5))30μlに懸濁し、50℃で5分間インキュベート後、溶菌液2(プロテイナーゼK 2μg/10μl、110mM トリス緩衝液(pH8.9)、1.5mM MgCl2、80mM KCl、50μg/10μl 牛血清アルブミン)10μlを加えて60℃で10分間、94℃で5分間インキュベートした。これに増幅用試薬(spa遺伝子増幅用プライマーS3とS4(それぞれ50ng/10μl)、Taq DNAポリメラーゼ 2.5単位/10μl、dATP、dGTP、dCTP、dTTPそれぞれ10nmole/10μl、250mM KCl、250mM トリス緩衝液(pH8.3 ))を加えて実施例1と同様にPCRを行った。
【0031】
(3)増幅結果の判定
実施例1と同様にして、ストレプトアビジン固定ウエルとアルカリホスファターゼ標識抗ジニトロフェニル抗体溶液を用いて実施した。
【0032】
(4)結果
PCRの結果、黄色ブドウ球菌187株全株でspa遺伝子陽性であり、その他のブドウ球菌全株ともspa遺伝子の増幅を認めなかった。
【0033】
実施例3(プローブを用いた増幅検出)
(1)ファージプローブ固定マイクロタイターウエルの調製
プローブオリゴヌクレオチドは遺伝子の配列から設計した表3に示すmecA遺伝子用プローブ配列及びspa遺伝子用プローブ配列に結合用の配列を加えたオリゴヌクレオチド(M13、M14、M17、M18、M19、M20、M21、M22、S13、S14、S17、S18、S19、S20、S21、S22、S23、S24(結合用に付加した配列を小文字のアルファベットで示す。))を、実施例1と同様にアプライドバイオシステム社のDNA合成機で合成した。合成したそれぞれのオリゴヌクレオチドは相補的な組み合わせ(M13とM14、M17とM18、M19とM20、M21とM22、S13とS14、S17とS18、S19とS20、S21とS22、S23とS24)ごとにDNAリガーゼを用いて10個を直列に結合させ、これらを更にプラスミドpUCSfiに挿入した。それぞれのプラスミドで大腸菌JM109株を形質転換し、形質転換した大腸菌を培養後、ヘルパーファージを加えて、目的のプローブ配列を持つファージの一本鎖DNA、MP14(M14の配列を含む)、MP17(M17の配列を含む)、MP19(M19の配列を含む)、MP21(M21の配列を含む)、SP13(S13の配列を含む)、SP21(S21の配列を含む)、SP23(S23の配列を含む)を得た。得られたそれぞれの一本鎖DNA(以下、ファージプローブ)を10mM トリス緩衝液(pH7.6、1mM EDTAを含む)で100ng/μlの濃度とし、これに4倍容の水と5倍容の固定化緩衝液(1.5M NaCl、0.3M Tris・HCl pH8.0、0.3MMgCl2)を加えて混和し、マイクロタイターウエル(グライナー社製)に1ウエルあたり100μlずつ加えた。これに蓋をして37℃で16時間放置し、液を除いた後風乾した。
【0034】
【表3】
Figure 0003735400
【0035】
(2)ファージプローブ固定マイクロタイターウエルを用いた検出
PCR
実施例1と同様にしてMRSAのDNAを検体とし、プライマーはビオチンで標識したM9、M6、S3及びS4を用いて実施した。
遺伝子増幅反応を終えた反応液50μlに50μlの0.4N NaOH溶液を加えDNAを変性させた後、50μlの0.4N HClを加えて中和した。その30μlをあらかじめハイブリダイゼーション緩衝液(500mM Tris・HCl pH7.5、100mM NaCl、13% グアニジンチオシアン酸)100μlを加えたファージプローブ固定マイクロタイターウエルに加え、37℃で1時間インキュベートした。液を除いた後、洗浄液(0.1M Tris・HCl pH7.5、0.3M NaCl、2mM MgCl2、0.05% Triton−X100)で2回洗浄、アルカリホスファターゼ標識ストレプトアビジン溶液100μl を加えて37℃で15分間インキュベートした。洗浄液で2回洗浄した後、p−ニトロフェニルリン酸溶液(40μg/ml)100μlを加え、37℃で30分間インキュベート後、405nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。
【0036】
(3)結果
表4に示す如く、いずれのファージプローブ固定ウエルも増幅遺伝子の捕獲に使用可能であった。
【0037】
【表4】
Figure 0003735400
【0038】
実施例4(特異性の確認)
(1)検体の調製
Staphylococcus aureus TK784(MRSA)、Staphylococcus aureus ATCC19636(MSSA)、Staphylococcus epidermidis No.86(メチシリン耐性株:MRSE)、Staphylococcus epidermidis TK3344N(メチシリン感性:MSSE)、Echerichiacoli、Citrobacter freundi、Klebsiellapneumoniae、Salmonella typhimurium、Enterobacter cloacae、Proteus mirabilis、Morganella morgani、Providencia rettgeri、Pseudomonas aeruginosa、Acinetobacter calcoaceticusの各菌について実施例1と同様にして培養し、DNAを調製した。
【0039】
(2)検出
PCRは、プライマーとして実施例1のM9(配列番号1)、M6(配列番号2)、S3(配列番号3)、S4(配列番号4)の組み合わせをそれぞれビオチン標識して用い、後は実施例1と同様に操作した。
検出は実施例3に示した1本鎖DNA MP21と1本鎖DNA SP23をそれぞれ固定したマイクロタイターウエルを用い、実施例3と同様にハイブリダイゼーション、発色検出を行った。
【0040】
(3)結果
表5に示す如く、mecA遺伝子とspa遺伝子のそれぞれを保存する株に特異的に発色が認められ、非保有株では認められず、本発明の検査法でMRSAを特異的に検出できることが確認された。
【0041】
【表5】
Figure 0003735400
【0042】
【発明の効果】
本発明の検出法によればMRSAをMR−CNSと区別して正確かつ迅速に検出でき、MRSA感染症に対する適切な治療及び予防が可能となる。
【0043】
【配列表】
配列番号:1
配列の長さ:19
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖上
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列の特徴:
他の特徴:ブドウ球菌の配列と相補的な配列を有する。
配列:5′AGAAATGACTGAACGTCCG 3′
【0044】
配列番号:2
配列の長さ:19
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖上
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列の特徴:
他の特徴:ブドウ球菌の配列と相補的な配列を有する。
配列:5′GCGATCAATGTTACCGTAG 3′
【0045】
配列番号:3
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖上
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列の特徴:
他の特徴:ブドウ球菌の配列と相補的な配列を有する。
配列:5′TACATGTCGTTAAACCTGGTG 3′
【0046】
配列番号:4
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖上
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列の特徴:
他の特徴:ブドウ球菌の配列と相補的な配列を有する。
配列:5′TACAGTTGTACCGATGAATGG 3′

Claims (2)

  1. 下記の塩基配列(1)、(2)、(3)及び(4);
    (1)5′AGAAATGACTGAACGTCCG 3′
    (2)5′GCGATCAATGTTACCGTAG 3′
    (3)5′TACATGTCGTTAAACCTGGTG 3′
    (4)5′TACAGTTGTACCGATGAATGG 3′
    〔式中、Aはアデニン、Gはグアニン、Cはシトシン、Tはチミンを示し、任意のTはウラシル(U)と置換されていてもよい〕
    で表わされる4種のオリゴヌクレオチドを遺伝子増幅反応プライマーとして用いることを特徴とするメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の検出法。
  2. 請求項1記載の4種のオリゴヌクレオチドを含有することを特徴とするメチシリン耐性黄色ブドウ球菌検出用キット。
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