JP3733272B2 - Ofdm送受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、送受信装置に関し、特にOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式の移動体通信に用いられるOFDM送受信装置及びその送受信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
OFDM方式の移動体通信において、送信データは、より速度の遅い複数の並列信号に変換され、それぞれがサブキャリアに重畳され、送信される。以下、図24及び図25を用いて、従来のOFDM送受信装置について説明する。図24は、従来のOFDM送受信装置の送信系の概略構成を示す要部ブロック図であり、図25は、従来のOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図である。なお、簡便のため、複数系列信号も1本の矢印で表わすものとする。
【0003】
図24において、変調部11は、送信データを変調処理し、逆フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform;以下、IFFTという)部12は、IFFT処理を行い、送信部13は、IFFT処理後の送信信号を送信処理し、アンテナ14から送信する。
【0004】
図25において、アンテナ21は、無線信号を受信し、受信部22は、受信信号に対して受信処理を行い、タイミング制御部23は、受信部22において獲得されたシンボル同期タイミングに応じて各部を制御し、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform;以下、FFTという)部24は、入力信号に対してFFT処理を行う。
【0005】
なお、受信部22におけるシンボル同期タイミング獲得に関しては、既に様々な方法が提案されており、ここでは詳細な説明は省略する。
【0006】
同期検波部25は、受信信号に対して同期検波処理を行い、フェージング等により受信信号が受けた位相回転及び振幅変動の影響を除去する。
【0007】
このように、従来のOFDM送受信装置は、複数のサブキャリアを用いてデータの送受信を行うことにより、対マルチパスに優れた大容量且つ高品質の無線通信を実現する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のOFDM送受信装置においては、制御情報及び再送情報等の通信制御に用いる重要な情報(以下、単に「重要情報」という)は、ユーザ・データと共にキャリア周波数信号に重畳され、いずれかのサブキャリアで送信される。
【0009】
したがって、フェージング等の影響により、重要情報が含まれたサブキャリアの受信品質が極端に落ち込んだ場合、制御情報や再送情報を表わすビットに誤りが生じ、適切な制御及び再送要求等を行えず、回線品質が極端に劣化する。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、受信局側における重要情報の受信品質を向上させるOFDM送受信装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のOFDM送信装置は、複数のサブキャリアに同一の重要情報を重複して配置し、かつ当該同一の重要情報の重複数を回線品質に応じて適応的に変化させてOFDM信号を形成するOFDM信号形成手段と、前記OFDM信号形成手段により形成されたOFDM信号を送信する送信手段と、を具備する構成を採る。
【0012】
この構成によれば、重要情報を複数のサブキャリアで搬送し、受信局側において受信レベルが最も良好であったサブキャリアの重要情報を受信した重要情報として用いることができるようにするため、特定のサブキャリアのみ受信レベルが落ち込むようなフェージング環境下においても重要情報の受信品質を維持することができる。また同一の重要情報の重複数を回線品質に応じて適応的に変化させるようにしたので、伝送効率の向上および重要情報の誤り率特性の向上を両立することができる。
【0013】
発明のOFDM送信装置は、重畳手段が、重要情報を重畳するキャリア周波数信号として、角周波数0のキャリア周波数信号を用いる構成を採る。
【0014】
この構成によれば、従来は1本のサブキャリアで送信していた重要情報を2本のサブキャリアで送信するようにする際に、2本のうち1本は従来はサブキャリアとして用いられていなかったDCサブキャリアを用いることによって、伝送効率を下げずに、2本のサブキャリアによる重要情報の送信を実現することができる。
【0015】
発明のOFDM送信装置は、重要情報が、特定パケットの信号である構成を採る。
【0016】
この構成によれば、特定パケットにおける各データを複数のサブキャリアで搬送するので、伝送効率をほとんど低下させずに受信側装置における上記特定パケットの誤り率特性を改善することができる。
【0019】
本発明のOFDM送信装置は、重畳手段が、重要情報のうち特定の情報を所定の数のキャリア周波数信号に重畳する構成を採る。
【0020】
この構成によれば、重要情報のうち特定の情報を、固定的に複数のサブキャリアに配置することにより、例えば制御情報や再送情報等のように良好な回線品質が要求される情報については、常に良好な誤り率特性を満足することができる。これにより、良好な通信を実現することができる。
【0021】
本発明のOFDM受信装置は、通信制御に用いる同一の重要情報が少なくとも2つのキャリア周波数信号に重畳されたOFDM信号を受信する受信手段と、受信信号から前記重要情報を抽出する抽出手段と、重要情報が重畳されたサブキャリアの受信レベルを比較し、抽出された重要情報のうち受信レベルが高い方のサブキャリアにより搬送された重要情報を、受信信号の重要情報として決定する決定手段と、を具備する構成を採る。
【0022】
この構成によれば、複数のサブキャリアによって搬送された重要情報の中から受信レベルが最も良好であったサブキャリアの重要情報を受信した重要情報として用いるため、特定のサブキャリアのみ受信レベルが落ち込むようなフェージング環境下においても重要情報の受信品質を維持することができる。
【0023】
本発明のOFDM受信装置は、受信手段が、角周波数0のキャリア周波数信号に重要情報が重畳されてなる第1サブキャリアと、任意の角周波数を有するキャリア周波数信号に前記重要情報が重畳されてなる第2サブキャリアと、を含むOFDM信号を受信し、決定手段が、前記第1サブキャリアの受信レベルと前記第2サブキャリアの受信レベルとを比較し、抽出手段により抽出された重要情報のうち受信レベルが高い方のサブキャリアにより搬送された重要情報を、受信信号の重要情報として決定する構成を採る。
【0024】
この構成によれば、従来は1本のサブキャリアで送信されていた重要情報が2本のサブキャリアで送信される際に、2本のうち1本は従来はサブキャリアとして用いられていなかったDCサブキャリアが用いられるため、伝送効率を下げずに、2本のサブキャリアによる重要情報の送信を実現することができる。
【0025】
本発明のOFDM受信装置は、決定手段が、第1サブキャリアの受信レベル及び第2サブキャリアの受信レベルをそれぞれ平均化処理する平均化手段を具備する構成を採る。
【0026】
この構成によれば、重要情報を搬送するサブキャリアの受信レベルを大小比較する際に、平均化された受信レベルを用いることによって受信レベル大小判定の精度を向上させることができるため、重要情報の受信品質を向上させることができる。
【0027】
本発明のOFDM受信装置は、決定手段が、第1サブキャリアの受信レベルと第2サブキャリアの受信レベルとの大小判定を行う第1判定手段と、前記第1サブキャリアの受信レベルと前記第2サブキャリアの受信レベルとの差と所定値との大小判定を行う第2判定手段と、を具備し、前記差が前記所定値より小さい場合には、前記第2サブキャリアにより搬送された重要情報を、受信レベルが高い方のサブキャリアにより搬送された重要情報とする構成を採る。
【0028】
この構成によれば、第一のサブキャリアの受信レベルと第二のサブキャリアの受信レベルとの差をしきい値と比較することによって、DCオフセットの影響を考慮した受信レベル大小判定を行うことができ、受信レベル大小判定の精度を向上させることができるため、重要情報の受信品質を向上させることができる。
【0029】
本発明のOFDM受信装置は、決定手段が、第1サブキャリアの判定誤差と第2サブキャリアの判定誤差とを比較し、抽出手段により抽出された重要情報のうち判定誤差が少ない方のサブキャリアにより搬送された重要情報を、受信信号の重要情報として決定する構成を採る。
【0030】
この構成によれば、DCオフセットの影響を無視するために、第一のサブキャリアと第二のサブキャリアの判定誤差によっていずれのサブキャリアの受信品質が良好であるかを判定するため、重要情報の受信品質を向上させることができる。
【0031】
本発明のOFDM受信装置は、抽出手段が、フーリエ変換処理後の第1サブキャリアの受信信号を単位時間毎に積算し、任意数の単位時間分だけ平均化するDCオフセット検出手段と、検出されたDCオフセットを逐次格納する格納手段と、前記格納手段から読み出された任意のDCオフセットを、同期検波処理前の前記第1サブキャリアの受信信号から減算する減算手段と、を具備する構成を採る。
【0032】
この構成によれば、第一のサブキャリア信号を積算し、平均化してDCオフセットを算出し、第一のサブキャリア信号からDCオフセットを除去するため、重要情報の受信品質を向上させることができる。
【0033】
本発明のOFDM受信装置は、決定手段が、第1サブキャリアにより搬送された重要情報と、第2サブキャリアにより搬送された重要情報と、を加算処理する合成手段を具備する構成を採る。
【0034】
本発明によれば、第一のサブキャリア信号からDCオフセットによる影響を除去した上で、2本のサブキャリアによって搬送された重要情報を合成するため、重要情報の受信品質を向上させることができる。
【0035】
本発明のOFDM受信装置は、決定手段が、第1サブキャリアにより搬送された重要情報及び第2サブキャリアにより搬送された重要情報に対して、各サブキャリアの受信レベルに応じた重み付け処理を行い、重み付け処理後の各重要情報を加算する最大比合成手段を具備する構成を採る。
【0036】
この構成によれば、第一のサブキャリア信号からDCオフセットによる影響を除去した上で、2本のサブキャリアによって搬送された重要情報を最大比合成し、受信レベルが反映された合成を行うため、重要情報の受信品質を向上させることができる。
【0037】
本発明のOFDM受信装置は、重要情報が、特定パケットの信号である構成を採る。
【0038】
この構成によれば、送信側装置により特定パケットにおける各データが複数のサブキャリアで搬送された信号を受信するので、伝送効率をほとんど低下させずに上記特定パケットの誤り率特性を改善することができる。
【0039】
本発明のOFDM受信装置は、受信手段が、同一の重要情報が、回線品質に基づいて適応的に設定した数のキャリア周波数信号に重畳されたOFDM信号を受信する構成を採る。
【0040】
この構成によれば、同一の重要情報を配置するサブキャリアの数を回線品質によって適応的に設定することにより、伝送効率の向上および重要情報の誤り率特性の向上を両立することができる。
【0041】
本発明のOFDM受信装置は、受信手段は、重要情報のうち特定の情報が所定の数のキャリア周波数信号に重畳されたOFDM信号を受信する構成を採る。
【0042】
この構成によれば、重要情報のうち特定の情報を、固定的に複数のサブキャリアに配置することにより、例えば制御情報や再送情報等のように良好な回線品質が要求される情報については、常に良好な誤り率特性を満足することができる。これにより、良好な通信を実現することができる。
【0043】
本発明の通信端末装置は、上記いずれかのOFDM送信装置を具備する構成を採る。
【0044】
本発明の基地局装置は、上記いずれかのOFDM送信装置を具備する構成を採る。
【0070】
【発明の実施の形態】
本発明の骨子は、複数のサブキャリアに同一の重要情報を重複して配置し、かつ当該同一の重要情報の重複数を回線品質に応じて適応的に変化させてOFDM信号を形成することによって、伝送効率を下げずに、受信局側における重要情報の受信品質を向上させることである。
【0071】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0072】
(実施の形態1)
本実施の形態に係るOFDM送受信装置は、2本のサブキャリアで重要情報を送信し、又、重要情報を送信する2本のサブキャリアのうち1本は、従来は用いられていなかった周波数0のキャリア周波数信号(直流信号)によるサブキャリアとする。
【0073】
フェージング等の影響により、重要情報が含まれたサブキャリアの受信品質が極端に落ち込み、制御情報や再送情報を表わすビットに誤りが生じることを防止するためには、複数のサブキャリアによって同一の重要情報を搬送し、受信局側において、最も受信品質の良いサブキャリアによって搬送されたの重要情報を用いる、又は、搬送されたすべての重要情報を合成して用いる、ようにすればよい。
【0074】
しかし、この方法では、受信局側における重要情報の受信品質は確かに向上するが、ユーザ・データ以外に送信するデータ量が増えるため、伝送効率が低下するという新たな問題が生じる。
【0075】
そこで、本実施の形態では、同一の重要情報を2本のサブキャリアで送信するものとし、更にこれら2本のサブキャリアのうち1本は、従来はサブキャリアとして用いられていない周波数0のキャリア周波数信号(直流信号;以下、単に「DC」という)によるサブキャリアとし、伝送効率低下を防ぐようにする。
【0076】
図1(a)のスペクトラム図に示すように、通常OFDM方式では、サブキャリア数は偶数であり、図中点線で示すDCによるサブキャリアは、サブキャリアとして用いられない。図1(a)は、重要情報が、斜線で示す第二サブキャリアに割り当てられている様子を示している。
【0077】
そこで、本実施の形態では、1本のサブキャリア(ここでは、第二サブキャリア)で送信される重要情報を、従来サブキャリアとして用いられていないDCサブキャリアでも送信することによって、伝送効率を落とさずに同一の重要情報を2本のサブキャリアで送信することができる。
【0078】
図1(b)に、本実施の形態において、同一の重要情報を2本のサブキャリアで送信する場合のスペクトラム図を示す。図示するように、第二サブキャリアのみならず、DCサブキャリアにも同一の重要情報が重畳されている。
【0079】
以下、図2から図4を用いて、本実施の形態に係るOFDM送受信装置について説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係るOFDM送受信装置の送信系の概略構成を示す要部ブロック図であり、図3は、本発明の実施の形態1に係るOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図であり、図4は、本発明の実施の形態1に係るOFDM送受信装置の受信系の同期検波部の概略構成を示す要部ブロック図である。なお、本実施の形態においては、重要情報は、図1(b)に示すように、第二サブキャリア及びDCサブキャリアの2つのサブキャリアによって送信されるものとする。
【0080】
送信系を示す図2において、変調部201は、送信データを変調処理し、マッピング制御部202は、重要情報が第二サブキャリア及びDCサブキャリアに割り当てられるように制御し、IFFT部203は、送信信号をIFFT処理し、送信部204は、IFFT処理後の送信信号を送信処理し、アンテナ205から送信する。
【0081】
受信系を示す図3において、アンテナ301は、無線信号を受信し、受信部302は、受信信号に対して受信処理を行い、タイミング制御部303は、受信部302において獲得されたシンボル同期タイミングに応じて各部を制御し、FFT部304は、入力信号に対してFFT処理を行う。
【0082】
なお、受信部302におけるシンボル同期タイミング獲得に関しては、既に様々な方法が提案されており、ここでは任意の方法を用いることができるものとする。
【0083】
同期検波部305は、受信信号に対して同期検波処理を行い、フェージング等により受信信号が受けた位相回転及び振幅変動の影響を除去する。重要情報抽出部306は、シンボル同期タイミングに基づいて、復調された信号の中から重要情報を抽出し、重要情報選択部307は、同期検波部305によって検出された受信レベル情報に基づいて、重要情報が重畳された2本のサブキャリアのうち、受信レベルが高い方のサブキャリアによって搬送された重要情報を抽出し、出力する。
【0084】
同期検波部を示す図4において、既知シンボル抽出部401は、タイミング制御部303から指示されるシンボル同期タイミングに基づいて、受信信号から既知シンボル区間の信号を抽出して乗算器402へ出力し、データシンボル区間の信号は演算部407へ出力する。
【0085】
乗算器402は、受信信号の既知シンボル区間の信号に対して予め保持する既知シンボルを掛け合わせ、フェージング等の影響によって受信信号が受けた位相回転及び振幅変動を算出する。
【0086】
2乗和算出部403は、既知シンボル抽出部401の出力のI成分及びQ成分の二乗和を算出し、算出された受信信号の振幅値の2乗値は、除算器404及びルート演算器408に出力される。
【0087】
除算器404は、乗算器402の出力を2乗和算出部403の出力で除する。メモリ405は、除算器404の出力を一時的に格納する。
【0088】
スイッチ406は、タイミング制御部303から指示されるシンボル同期タイミングに基づいて、受信信号のデータシンボル区間の信号が演算部407に入力される間、メモリ405に格納された除算器404の出力を演算部407に出力する。
【0089】
演算部407は、除算部404の出力の共役複素数を生成し、受信信号のデータシンボル区間の信号に乗じ、同期検波信号を得る。
【0090】
ルート演算器408は、受信信号の振幅の二乗和に対してルート演算を行い、受信信号の受信レベルを算出する。算出された受信レベルは、重要情報選択部307へ出力される。
【0091】
次いで、上記構成を有するOFDM送受信装置の動作について説明する。送信データは、変調部201によって変調処理され、マッピング制御部202によって重要情報は第二サブキャリア及びDCサブキャリアに重畳され、IFFT部203によってIFFT処理され、送信部204によって送信処理され、アンテナ205から送信される。
【0092】
このように第二サブキャリアとDCサブキャリアに重要情報が重畳された無線信号は、アンテナ301によって受信され、受信部302によって受信処理が行われ、FFT部によってFFT処理され、同期検波部305によって同期検波処理が行われる。
【0093】
次いで、重要情報抽出部306によって、同期検波処理された受信信号中からDCサブキャリアによって搬送された重要情報及び第二サブキャリアによって搬送された重要情報が抽出され、重要情報選択部307に出力される。抽出された重要情報は、同期検波部305が出力する受信レベル情報に基づいて、受信レベルが大きい方のサブキャリアによって搬送された重要情報が出力される。
【0094】
このように、本実施の形態によれば、重要情報を2本のサブキャリアで搬送し、受信レベルが良好であった方の重要情報を受信した重要情報として用いるため、特定のサブキャリアのみ受信レベルが落ち込むようなフェージング環境下においても重要情報の受信品質を維持することができる。
【0095】
又、従来は1本のサブキャリアで送信していた重要情報を2本のサブキャリアで送信するようにする際に、2本のうち1本は従来はサブキャリアとして用いられていなかったDCサブキャリアを用いることによって、伝送効率を下げずに、2本のサブキャリアによる重要情報の送信を実現することができる。
【0096】
なお、同一の重要情報を送信するサブキャリアは上記2本に限られず、より多くのサブキャリアを用い、その中から受信状態が良いものを選べば重要情報の品質が向上することは明らかであるが、多くのサブキャリアを重要情報に割り当てるとユーザ・データ送信に用いられるサブキャリア数が減少し、伝送効率が低下するため、本実施の形態のように重要情報を送信するサブキャリアは2本に留め、うち1本をDCサブキャリアとする形態が最も好ましい。
【0097】
(実施の形態2)
本実施の形態に係るOFDM送受信装置は、実施の形態1と同様の構成を有し、但し同期検波部の出力の一つである受信レベルを平均化するものである。
【0098】
以下、図5を用いて、本実施の形態に係るOFDM送受信装置について説明する。図5は、本発明の実施の形態2に係るOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図である。なお、実施の形態1と同様の構成には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。又、送信系の構成図は省略する。又、本実施の形態においても、DCサブキャリア以外に重要情報を搬送するサブキャリアは第二サブキャリアであるものとする。図5において、平均化部501は、同期検波部305の出力の一つである受信レベル情報を平均化し、重要情報選択部307に出力する。
【0099】
このように、本実施の形態によれば、重要情報を搬送するサブキャリアの受信レベルを大小比較する際に、平均化された受信レベルを用いることによって受信レベル大小判定の精度を向上させることができるため、重要情報の受信品質を向上させることができる。なお、平均化するスロット数又は時間区間は任意である。
【0100】
(実施の形態3)
本実施の形態に係る装置は、実施の形態2と同様の構成を有し、但し重要情報を搬送するDCサブキャリア及び第二サブキャリアの受信レベルの大小比較において、DCサブキャリアの受信レベルの方が高い場合、DCサブキャリアの受信レベルと第二サブキャリアの受信レベルとの差が所定値を超える場合のみDCサブキャリアによって搬送された重要情報を選択するようにするものである。
【0101】
DCサブキャリア信号には、送信側及び受信側のアナログ回路において、DCオフセットが乗ってしまうため、受信レベルにはDCオフセットの分の誤差を含む。
【0102】
したがって、DCサブキャリアの受信レベルと第二サブキャリアの受信レベルとを大小比較し、その結果DCサブキャリアの受信レベルが高かった場合でも、DCサブキャリアの受信レベルと第二サブキャリアの受信レベルとの差が小さい場合、DCサブキャリアの受信レベルからDCオフセット分を除去し実際の受信レベルを比較すると第二サブキャリアの受信レベルの方が大きい場合があり得る。
【0103】
そこで、本実施の形態においては、考え得るDCオフセットよりも大きいしきい値を用いて、DCサブキャリアの受信レベルと第二サブキャリアの受信レベルとの差がDCオフセットよりも充分に大きいと判断できる場合のみ、DCサブキャリアによって搬送された重要情報を選択するようにする。
【0104】
以下、図6を用いて、本実施の形態に係るOFDM送受信装置について説明する。図6は、本発明の実施の形態3に係るOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図である。なお、実施の形態2と同様の構成には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。又、送信系の構成図は省略する。又、本実施の形態においても、DCサブキャリア以外に重要情報を搬送するサブキャリアは第二サブキャリアであるものとする。
【0105】
図6において、減算器601は、DCサブキャリアの受信レベルと第二サブキャリアの受信レベルとを減算処理する。減算器602は、減算器601の出力である減算結果としきい値とを大小比較する。
【0106】
判定器603は、減算器602の出力の正負判定を行い、DCサブキャリアの受信レベルと第二サブキャリアの受信レベルとの差がしきい値を超えるか否かを判定し、判定結果を重要情報選択部307に出力する。
【0107】
重要情報選択部307は、判定結果に基づき、DCサブキャリアの受信レベルと第二サブキャリアの受信レベルとの差がしきい値よりも大きい場合にはDCサブキャリアによって搬送された重要情報を出力し、DCサブキャリアの受信レベルと第二サブキャリアの受信レベルとの差がしきい値よりも小さい場合には第二サブキャリアによって搬送された重要情報を出力する。
【0108】
このように、本実施の形態によれば、DCサブキャリアの受信レベルと第二サブキャリアの受信レベルとの差をしきい値と比較することによって、DCオフセットの影響を考慮した受信レベル大小判定を行うことができ、受信レベル大小判定の精度を向上させることができるため、重要情報の受信品質を向上させることができる。
【0109】
(実施の形態4)
本実施の形態に係るOFDM送受信装置は、実施の形態2と同様の構成を有し、但しサブキャリア選択において受信レベルの代わりに判定誤差を用いるものである。
【0110】
既に述べたように、DCサブキャリアの受信レベルにはDCオフセットという誤差が含まれるため、DCサブキャリアの受信品質は他のサブキャリアと比べると劣化しているといえる。そこで、本実施の形態においては、受信レベルの代わりに判定誤差を用いてサブキャリアの選択を行う。
【0111】
以下、図7及び図8を用いて、本実施の形態に係るOFDM送受信装置について説明する。図7は、本発明の実施の形態4に係るOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図であり、図8は、本発明の実施の形態4に係るOFDM送受信装置の受信系の同期検波部の概略構成を示す要部ブロック図である。なお、実施の形態1及び2と同様の構成には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。又、本実施の形態においても、DCサブキャリア以外に重要情報を搬送するサブキャリアは第二サブキャリアであるものとする。
【0112】
図7において、同期検波部701は、DCサブキャリア及び第二サブキャリアの判定誤差を平均化部501に出力する。平均化部501はこれら判定誤差の平均値を算出し、重要情報選択部307に出力する。重要情報選択部307は、判定誤差が小さい方のサブキャリアによって搬送された重要情報を選択し、出力する。
【0113】
図8において、判定器801は、同期検波信号を判定し、減算器802は、判定前後の信号を減算処理し、判定誤差を平均化部501に出力する。算出された判定誤差は、平均化部501によって平均値が算出され、重要情報選択部307に出力される。
【0114】
重要情報選択部307は、DCサブキャリアの判定誤差と第二サブキャリアの判定誤差とを比較し、判定誤差が小さい方のサブキャリアによって搬送された重要情報を選択し、出力する。
【0115】
このように、本実施の形態によれば、DCオフセットの影響を無視するために、DCサブキャリアと第二サブキャリアの判定誤差によっていずれのサブキャリアの受信品質が良好であるかを判定するため、重要情報の受信品質を向上させることができる。
【0116】
(実施の形態5)
本実施の形態に係る装置は、実施の形態1と同様の構成を有し、但しFFT処理後のDCサブキャリア信号からDCオフセットを除去し、それから同期検波処理を行うものである。
【0117】
DCオフセットは、ディジタル信号波形にかかわらず一定値であり、又、ディジタル信号において1/0の発生確率はおよそ各5割と考えられるため、FFT処理後のディジタル信号を積算し、平均化することによって、1/0がそれぞれ相殺されることから、DCオフセット値のみを検出することができる。そこで、本実施の形態においては、同期検波処理前に上記方法によってDCサブキャリア信号からDCオフセット成分を除去する。
【0118】
以下、図9を用いて、本実施の形態に係る装置について説明する。図9は、本発明の実施の形態5に係るOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図である。なお、実施の形態4と同様の構成には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。又、送信系の構成図は省略する。又、本実施の形態においても、DCサブキャリア以外に重要情報を搬送するサブキャリアは第二サブキャリアであるものとする。
【0119】
図9において、平均化部901は、FFT処理後のDCサブキャリア信号を積算し、平均値を算出する。この算出された平均値が、DCオフセット値である。積算するスロット数又は時間区間は任意とする。メモリ902は、算出されたDCオフセット値を格納する。
【0120】
減算器903は、メモリ902内のDCオフセット値を逐次読み出し、FFT処理後のDCサブキャリア信号から減算する。よって、DCサブキャリア信号からDCオフセットを除去することができる。
【0121】
又、FFT処理後のスロットnの信号からのDCオフセット除去について、スロットnの信号から算出したDCオフセット値を用いると信号の処理が遅れる。そこで、DCオフセットは単位スロット長時間でみるとほぼ一定であると考えられることに鑑み、直前の数スロットについて算出されたDCオフセットを用いるようにするのが好ましい。
【0122】
すなわち、例えば、平均化部901がスロットn−3〜n−1についてのDCオフセット値を算出し、減算器903がこのDCオフセット値をスロットnの受信信号から減算する。このように、直前の数スロットについてDCオフセット値を用いると、タイムラグなくDCオフセット除去処理を行うことができる。
【0123】
このように、本実施の形態によれば、DCサブキャリア信号を積算し、平均化してDCオフセットを算出し、DCサブキャリア信号からDCオフセットを除去するため、重要情報の受信品質を向上させることができる。
【0124】
(実施の形態6)
本実施の形態に係るOFDM送受信装置は、実施の形態5と同様の構成を有し、但しDCサブキャリア及び第二サブキャリアによって搬送された重要情報を合成して用いるものである。
【0125】
実施の形態1から実施の形態5においては、DCサブキャリアと第二サブキャリアのいずれか受信状態の良い方を選択する形態について述べたが、DCオフセット除去によってDCサブキャリアの受信品質も向上することに鑑み、本実施の形態においては、両者を合成して重要情報を得るようにする。
【0126】
以下、図10を用いて、本実施の形態に係るOFDM送受信装置について説明する。図10は、本発明の実施の形態6に係るOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図である。なお、実施の形態1と同様の構成には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。又、送信系の構成図は省略する。又、本実施の形態においても、DCサブキャリア以外に重要情報を搬送するサブキャリアは第二サブキャリアであるものとする。
【0127】
図10において、合成部1001は、重要情報抽出部306によって抽出されたDCサブキャリア及び第二サブキャリアによって搬送された重要情報を合成し、重要情報を出力する。
【0128】
このように、本実施の形態によれば、DCサブキャリア信号からDCオフセットによる影響を除去した上で、2本のサブキャリアによって搬送された重要情報を合成するため、重要情報の受信品質を向上させることができる。
【0129】
(実施の形態7)
本実施の形態に係るOFDM送受信装置は、実施の形態6と同様の構成を有し、但し受信レベルに応じた重み付け処理を行ってから合成処理を行うものである。
【0130】
以下、図11及び図12を用いて、本実施の形態に係るOFDM送受信装置について説明する。図11は、本発明の実施の形態7に係るOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図であり、図12は、本発明の実施の形態7に係るOFDM送受信装置の受信系の合成部の概略構成を示す要部ブロック図である。なお、実施の形態6と同様の構成には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。又、本実施の形態においても、DCサブキャリア以外に重要情報を搬送するサブキャリアは第二サブキャリアであるものとする。
【0131】
図11において、合成部1101には、同期検波部305の出力の一つである受信レベル情報が入力され、合成部1101は、DCサブキャリアによって搬送された重要情報及び第二サブキャリアによって搬送された重要情報それぞれに受信レベルによる重み付け処理を行ってから合成処理を行うといういわゆる最大比合成を行う。
【0132】
図12において、乗算器1201は、重要情報抽出部306によって抽出されたDCサブキャリアによって搬送された重要情報に同期検波部305によって算出されたDCサブキャリアの受信レベル情報が乗積される。
【0133】
同様に、乗算器1202は、重要情報抽出部306によって抽出された第二サブキャリアによって搬送された重要情報に同期検波部305によって算出された第二サブキャリアの受信レベル情報が乗積される。加算器1203は、乗算器1201及び1202の出力を加算処理し、重み付け処理後の重要情報を合成する。
【0134】
このように、本実施の形態によれば、DCサブキャリア信号からDCオフセットによる影響を除去した上で、2本のサブキャリアによって搬送された重要情報を最大比合成し、受信レベルが反映された合成を行うため、実施の形態6の場合よりも重要情報の受信品質を向上させることができる。
【0135】
(実施の形態8)
本実施の形態に係るOFDM送受信装置は、実施の形態1〜実施の形態7において、複数のサブキャリアにより送信する重要情報として、特定のパケットを用いるようにするものである。ここでは、本実施の形態に係るOFDM送受信装置について、実施の形態1を参照して説明するが、本実施の形態に係るOFDM送受信装置は、実施の形態2〜実施の形態7に適用することが可能なものである。
【0136】
以下、図13および図14を用いて、本実施の形態に係るOFDM送受信装置について説明する。図13は、本発明の実施の形態8に係るOFDM送受信装置におけるスペクトラムの一例を示す模式図である。図14は、本発明の実施の形態8に係るOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図である。なお、本発明の実施の形態に係るOFDM送受信装置の送信系については、先に示した図2と略同様である。
【0137】
送信系を示す図2において、特定パケットを含む送信信号は、変調部201により変調処理される。この特定パケットとは、例えば、制御チャネルで送信される信号や、マルチキャストチャネル(複数ユーザにより受信されるチャネル)で送信される信号である。この特定パケットとして、受信系での受信品質が悪いユーザのパケット等、所定のユーザのパケットを用いることが可能であることはいうまでもない。
【0138】
マッピング制御部202では、変調処理された送信信号における特定パケットが複数のサブキャリアに配置(重畳)されるような制御がなされる。このマッピング制御部202による具体的な配置方法は、以下の通りである。
【0139】
マッピング制御部202では、変調処理された特定パケットにおけるデータ1は、図13に示すサブキャリア#1およびサブキャリア#1’の例えば2つのサブキャリアに配置される。また、変調処理された特定パケットにおけるデータ2は、図13に示すサブキャリア#2およびサブキャリア#2’の例えば2つのサブキャリアに配置される。同様に、変調処理された特定パケットにおける各データは、図13に示すいずれか2つのサブキャリアに配置される。
【0140】
なお、ここでは、変調処理された特定パケットにおける各データを配置するサブキャリアを2とした場合について説明しているが、上記サブキャリアの数をさらに増やしてもよい。上記サブキャリアの数は、伝送効率等の様々な条件に基づいて決定されるものである。
【0141】
また、マッピング制御部202では、変調処理された送信信号における上記特定パケット以外のパケットについては、従来と同様に、1サブキャリアに配置されるような制御がなされる。
【0142】
変調処理された送信信号は、上記のようなマッピング制御部202による制御を受けて、IFFT部203によりIFFT処理される。IFFT処理された送信信号は、送信部204により送信処理された後、アンテナ205から送信される。
【0143】
このように特定のパケットにおける各データがいずれか2つのサブキャリアに配置された無線信号は、図14におけるアンテナ1401により受信される。アンテナ1401により受信された信号(受信信号)は、所定の受信処理がなされた後、FFT部1402によりFFT処理される。FFT処理された受信信号は、同期検波部1403により同期検波処理がなされる。なお、同期検波部1403による同期検波処理に代えて遅延検波処理を用いてもよい。同期検波処理(または遅延検波処理)がなされた受信信号は、選択部1404に送られる。
【0144】
上記受信信号のうち特定パケットは、選択部1404によりダイバーシチ部1405に送られる。ダイバーシチ部1405では、ダイバーシチ受信処理がなされる。すなわち、特定パケットにおける2サブキャリアに配置されたデータのうち、受信レベルの大きい方のデータが選択されるか、あるいは、特定パケットにおける2サブキャリアに配置されたデータが合成される。
【0145】
このように、本実施の形態によれば、送信側装置において、特定パケットにおける各データを複数のサブキャリアで搬送し、受信側装置において、上記特定パケットにおける各データのうち、受信レベルが良好であった方のデータが選択されるか、あるいは、上記特定パケットにおける各データが合成されるので、特定のサブキャリアのみ受信レベルが落ち込むようなフェージング環境下においても特定パケットの受信品質を維持することができる。これにより、伝送効率をほとんど低下させることなく、特定パケットの誤り率特性を改善することができる。
【0146】
(実施の形態9)
本実施の形態に係るOFDM送受信装置は、実施の形態1〜実施の形態8において、重要情報を配置するサブキャリアの数を回線品質により適応的に設定するものである。ここでは、本実施の形態に係るOFDM送受信装置について、実施の形態1を参照して説明するが、本実施の形態に係るOFDM送受信装置は、実施の形態2〜実施の形態8に適用することが可能なものである。なお、重要情報としては、上述したような、制御情報、再送情報や回線品質が悪いユーザの情報等を用いることが可能である。
【0147】
まず、本実施の形態にかかるOFDM送受信装置におけるサブキャリアの配置方法について、図15〜図17を参照して説明する。図15は、本発明の実施の形態9に係るOFDM送受信装置における重要情報の第1の配置方法を示す模式図である。図16は、本発明の実施の形態9に係るOFDM送受信装置における重要情報の第2の配置方法を示す模式図である。図17は、本発明の実施の形態9に係るOFDM送受信装置における重要情報の第3の配置方法を示す模式図である。
【0148】
本実施の形態においては、重要情報を配置するサブキャリアの数を、回線品質に応じて、例えば次のように変化させる。まず、重要情報を1つのサブキャリアに配置したときに、このサブキャリアにより搬送された重要情報の誤り率特性が所要値を満たす場合(以下「第1の場合」という。)には、図15に示すように、1つの重要情報を1つのサブキャリアに配置する。すなわち、例えば、重要情報#1および重要情報#2をそれぞれサブキャリア#1およびサブキャリア#2に配置する。
【0149】
また、重要情報を1つのサブキャリアに配置したときには、このサブキャリアにより搬送された重要情報の誤り率特性は所要品質を満たさないが、重要情報を2つのサブキャリアに配置したときには、これらのサブキャリアにより搬送された重要情報の誤り率特性は所要品質を満たす場合(以下「第2の場合」という。)には、図16に示すように、同一の重要情報を2つのサブキャリアに配置する。すなわち、例えば、重要情報#1をサブキャリア#1および#1’に配置し、重要情報#2をサブキャリア#2および#2’に配置する。
【0150】
さらに、重要情報を2つのサブキャリアに配置しても、これらのサブキャリアにより搬送された重要情報の誤り率特性が所要品質を満たさない場合(以下「第3の場合」という。)には、図17に示すように、同一の重要情報を4つのサブキャリアに配置する。すなわち、例えば、重要情報#1をサブキャリア#1、#1’、#1''、および#1'''に配置し、重要情報#2をサブキャリア#2、#2’、#2''、および#2'''に配置する。
【0151】
次いで、上記のようなサブキャリアの配置方法を実現するOFDM送受信装置の構成について説明する。
まず、本実施の形態に係るOFDM送受信装置の送信系の構成について、図18を参照して説明する。図18は、本発明の実施の形態9に係るOFDM送受信装置の送信系の構成を示すブロック図である。なお、図18における実施の形態1(図2)と同様の構成については、図2におけるものと同一の符号を付して、詳しい説明を省略する。
【0152】
図18において、変調部201により変調処理された送信データは、上記実施の形態と同様に、IFFT部203およびマッピング制御部1801に送られる。ここで、変調部201により変調処理された送信データは、次に示すような順序でIFFT部203に送られる。すなわち、第1の場合、第2の場合および第3の場合には、変調部201により変調処理された送信データは、それぞれ、図19、図20および図21に示すような順序で、IFFT部203に送られる。
【0153】
マッピング制御部1801は、IFFT部203におけるサブキャリアの割り当てを制御する。すなわち、マッピング制御部1801は、第1の場合〜第3の場合に、それぞれ重要情報が図15〜図17に示したように配置されるように、IFFT部203を制御する。
IFFT部203は、上記実施の形態と同様に、マッピング制御部1801の制御により、変調処理後の送信データに対してIFFT処理を行う。
【0154】
次いで、本実施の形態にかかるOFDM送受信装置における受信系の構成について、図22を参照して説明する。図22は、本発明の実施の形態9に係るOFDM送受信装置の受信系の構成を示すブロック図である。なお、図22における実施の形態1(図3)と同様の構成については、図3におけるものと同一の符号を付して、詳しい説明を省略する。
【0155】
図22において、タイミング制御部2200は、上記実施の形態と同様に、受信部302により獲得されたシンボル同期タイミングに応じて各部を制御する。さらに、タイミング制御部2200は、上記シンボル同期タイミングに従い、重要情報が配置されたサブキャリアの数に応じて、重要情報抽出部2201を制御する。すなわち、タイミング制御部2200は、第1の場合には、各サブキャリアにより搬送された重要情報を抽出するように、第2の場合には、2つのサブキャリアにより搬送された同一の重要情報を第1合成部2202に送るように、第3の場合には、4つのサブキャリアにより搬送された同一の重要情報を第2合成部2203に送るように、重要情報抽出部2201を制御する。
【0156】
重要情報抽出部2201は、タイミング制御部2200の上述したような制御を受けて、同期検波部305からの復調された信号から重要情報を抽出する。
第1合成部2202は、第2の場合において、重要情報抽出部2201から2つのサブキャリアにより搬送された同一の重要情報が送られてくるので、これら2つのサブキャリアにより搬送された重要情報を合成する。すなわち、図20における重要情報#1を例にとると、図16におけるサブキャリア#1および#1’により搬送された重要情報#1が、第1合成部2202により合成される。
【0157】
第2合成部2203は、第3の場合において、重要情報抽出部2201から4つのサブキャリアにより搬送された重要情報を合成する。すなわち、図21における重要情報#1を例にとると、図17におけるサブキャリア#1、#1’、#1''および#1'''により搬送された重要情報#1が、第2合成部2203により合成される。
【0158】
また、回線品質情報に応じて同一の重要情報を配置するサブキャリアの数を変更する具体的な方法としては、例えば、図22に示した受信系における同期検波部305により検出される受信レベル情報等を用いて回線品質を検出し、検出した回線品質に関する情報を図18に示した送信系に送信すればよい。一方、送信系は、この情報に基づいて、同一の重要情報を配置するサブキャリアの数を変更すればよい。
【0159】
次いで、本実施の形態にかかるOFDM送受信装置による具体的な効果について、図23を参照して説明する。図23は、本発明の実施の形態9に係るOFDM送受信装置におけるシミュレーション結果を示す模式図である。ただし、ここでは、第2の場合(すなわち、同一の重要情報を2つのサブキャリアに配置した場合)を適用した。なお、シミュレーションの条件は、下記の通りである。
FFTサンプルレート:20MHz、パケットサイズ:54byte、変調方式:16QAM、復調方式:同期検波、誤り訂正:軟判定ビタビ(符号化率:1/2、拘束長:7)、最大ドップラー周波数:50MHz、遅延分散:150ns
【0160】
図23において、折れ線2301が本実施の形態におけるシミュレーション結果であり、折れ線2302が従来方式におけるシミュレーション結果である。なお、従来方式におけるシミュレーションの条件は、QPSK変調方式を用いて、重要情報を1つのサブキャリアに配置する(16QAM変調方式を用いた場合における、同一の重要情報を2つのサブキャリアに配置したときと同じ伝送効率)ものである。
【0161】
図23から明らかなように、本実施の形態によれば、例えば、パケット誤り率:10-2を得るための信号対雑音電力比を、従来方式に比べて、約1dB低減することができる。以上のように、本実施の形態では、変調多値数を減らした場合に比べて、同じ伝送効率で誤り率特性を大きく改善できることが明らかである。
【0162】
このように、本実施の形態によれば、同一の重要情報を配置するサブキャリアの数を回線品質によって適応的に設定することにより、伝送効率の向上および重要情報の誤り率特性の向上を両立することができる。
【0163】
なお、本実施の形態においては、回線品質に応じて、同一の重要情報を配置するサブキャリアの数を、1、2および4の3種類に変更する場合を例にとり説明したが、本発明は、これに限定されず、同一の重要情報を配置するサブキャリアの数、および、サブキャリアを変更する種類を適宜変更した場合においても適用可能であることはいうまでもない。
【0164】
(実施の形態10)
本実施の形態に係るOFDM送受信装置は、実施の形態9において、重要情報のうち良好な回線品質が要求される特定のパケット(例えば、制御情報や再送情報を送信するためのパケット等)を配置するサブキャリアの数を固定とするものである。ここでは、本実施の形態に係るOFDM送受信装置について、実施の形態9を参照して説明するが、本実施の形態に係るOFDM送受信装置は、実施の形態1〜実施の形態8に適用することが可能なものである。なお、重要情報としては、上述したような、制御情報、再送情報や回線品質が悪いユーザの情報等を用いることが可能である。
【0165】
上記実施の形態9では、同一の重要情報を配置するサブキャリアの数を回線品質によって適応的に変化させる場合について説明した。ところで、重要情報の中でも、制御情報や再送情報を送信するためのパケット等のような特定のパケットについては常に良好な誤り率特性が要求されるので、上記特定のパケットについての回線品質を向上させる必要がある。
【0166】
そこで、本実施の形態では、重要情報のうち、良好な回線品質が要求される特定のパケットに対しては、固定的に複数のサブキャリア(ここでは例えば4つ)を割り当てる。なお、重要情報のうち、上記特定のパケット以外の情報に対しては、上記実施の形態9と同様に、回線品質に応じた数のサブキャリアを割り当てる。
【0167】
次いで、上記のようなサブキャリアの配置方法を実現するOFDM送受信装置の構成について説明する。本実施の形態に係るOFDM送受信装置の構成は、送信系におけるマッピング制御部1801を除いて、上記実施の形態9におけるものと同様である。すなわち、マッピング制御部1801は、重要情報のうち特定のパケットについては、例えば4つのサブキャリアに固定的に配置されるように、また、重要情報のうち上記特定のパケット以外の情報については、上記実施の形態9と同様な方法で配置されるように、IFFT部203を制御する。
【0168】
このように、本実施の形態によれば、同一の重要情報を配置するサブキャリアの数を回線品質によって適応的に変化させることにより、伝送効率の向上および重要情報の誤り率特性の向上を両立することができる。さらに、重要情報のうち特定のパケット(特定の情報)を、固定的に複数のサブキャリアに配置することにより、制御情報や再送情報等のように良好な回線品質が要求されるパケットについては、常に良好な誤り率特性を満足することができる。これにより、良好な通信を実現することができる。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数のサブキャリアに同一の重要情報を重複して配置し、かつ当該同一の重要情報の重複数を回線品質に応じて適応的に変化させてOFDM信号を形成することによって、伝送効率を下げずに、受信局側における重要情報の受信品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) 従来のOFDM方式におけるスペクトラムの一例を示す模式図(b) 本発明の実施の形態1に係るスペクトラムの一例を示す模式図
【図2】本発明の実施の形態1に係るOFDM送受信装置の送信系の概略構成を示す要部ブロック図
【図3】本発明の実施の形態1に係るOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図
【図4】本発明の実施の形態1に係るOFDM送受信装置の受信系の同期検波部の概略構成を示す要部ブロック図
【図5】本発明の実施の形態2に係るOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図
【図6】本発明の実施の形態3に係るOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図
【図7】本発明の実施の形態4に係るOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図
【図8】本発明の実施の形態4に係るOFDM送受信装置の受信系の同期検波部の概略構成を示す要部ブロック図
【図9】本発明の実施の形態5に係るOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図
【図10】本発明の実施の形態6に係るOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図
【図11】本発明の実施の形態7に係るOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図
【図12】本発明の実施の形態7に係るOFDM送受信装置の受信系の合成部の概略構成を示す要部ブロック図
【図13】本発明の実施の形態8に係るOFDM送受信装置におけるスペクトラムの一例を示す模式図
【図14】本発明の実施の形態8に係るOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図
【図15】本発明の実施の形態9に係るOFDM送受信装置における重要情報の第1の配置方法を示す模式図
【図16】本発明の実施の形態9に係るOFDM送受信装置における重要情報の第2の配置方法を示す模式図
【図17】本発明の実施の形態9に係るOFDM送受信装置における重要情報の第3の配置方法を示す模式図
【図18】本発明の実施の形態9に係るOFDM送受信装置の送信系の構成を示すブロック図
【図19】本発明の実施の形態9に係るOFDM送受信装置の送信系における送信データの第1の場合における順序を示す模式図
【図20】本発明の実施の形態9に係るOFDM送受信装置の送信系における送信データの第2の場合における順序を示す模式図
【図21】本発明の実施の形態9に係るOFDM送受信装置の送信系における送信データの第3の場合における順序を示す模式図
【図22】本発明の実施の形態9に係るOFDM送受信装置の受信系の構成を示すブロック図
【図23】本発明の実施の形態9に係るOFDM送受信装置におけるシミュレーション結果を示す模式図
【図24】従来のOFDM送受信装置の送信系の概略構成を示す要部ブロック図
【図25】従来のOFDM送受信装置の受信系の概略構成を示す要部ブロック図
【符号の説明】
202 マッピング制御部
306 重要情報抽出部
307 重要情報選択部
501 平均化部
1001 合成部
Claims (19)
- 複数のサブキャリアに同一の重要情報を重複して配置し、かつ当該同一の重要情報の重複数を回線品質に応じて適応的に変化させてOFDM信号を形成するOFDM信号形成手段と、
前記OFDM信号形成手段により形成されたOFDM信号を送信する送信手段と、
を具備することを特徴とするOFDM送信装置。 - 前記OFDM信号形成手段は、前記同一の重要情報を重複して配置する複数のサブキャリアとして、角周波数0のキャリア周波数のサブキャリアを含むようにする、ことを特徴とする請求項1に記載のOFDM送信装置。
- 前記同一の重要情報の重複数を、通信相手から通知される回線品質に関する情報に基づいて適応的に変化させる、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のOFDM送信装置。
- 通信制御に用いる同一の重要情報が少なくとも2つのキャリア周波数信号に重畳されたOFDM信号を受信する受信手段と、受信信号から前記重要情報を抽出する抽出手段と、重要情報が重畳されたサブキャリアの受信レベルを比較し、抽出された重要情報のうち受信レベルが高い方のサブキャリアにより搬送された重要情報を、受信信号の重要情報として決定する決定手段と、を具備し、
前記受信手段は、角周波数0のキャリア周波数信号に重要情報が重畳されてなる第1サブキャリアと、任意の角周波数を有するキャリア周波数信号に前記重要情報が重畳されてなる第2サブキャリアと、を含むOFDM信号を受信し、前記決定手段は、前記第1サブキャリアの受信レベルと前記第2サブキャリアの受信レベルとを比較し、前記抽出手段により抽出された重要情報のうち受信レベルが高い方のサブキャリアにより搬送された重要情報を、受信信号の重要情報として決定することを特徴とするOFDM受信装置。 - 前記決定手段は、第1サブキャリアの受信レベル及び第2サブキャリアの受信レベルをそれぞれ平均化処理する平均化手段を具備することを特徴とする請求項4に記載のOFDM受信装置。
- 前記決定手段は、第1サブキャリアの受信レベルと第2サブキャリアの受信レベルとの大小判定を行う第1判定手段と、前記第1サブキャリアの受信レベルと前記第2サブキャリアの受信レベルとの差と所定値との大小判定を行う第2判定手段と、を具備し、前記差が前記所定値より小さい場合には、前記第2サブキャリアにより搬送された重要情報を、受信レベルが高い方のサブキャリアにより搬送された重要情報とすることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のOFDM受信装置。
- 前記決定手段は、第1サブキャリアの判定誤差と第2サブキャリアの判定誤差とを比較し、前記抽出手段により抽出された重要情報のうち判定誤差が少ない方のサブキャリアにより搬送された重要情報を、受信信号の重要情報として決定することを特徴とする請求項4に記載のOFDM受信装置。
- 前記抽出手段は、フーリエ変換処理後の第1サブキャリアの受信信号を単位時間毎に積算し、任意数の単位時間分だけ平均化するDCオフセット検出手段と、検出されたDCオフセットを逐次格納する格納手段と、前記格納手段から読み出された任意のDCオフセットを、同期検波処理前の前記第1サブキャリアの受信信号から減算する減算手段と、を具備することを特徴とする請求項4から請求項7のいずれかに記載のOFDM受信装置。
- 前記決定手段は、第1サブキャリアにより搬送された重要情報と、第2サブキャリアにより搬送された重要情報と、を加算処理する合成手段を具備することを特徴とする請求項8に記載のOFDM受信装置。
- 前記決定手段は、第1サブキャリアにより搬送された重要情報及び第2サブキャリアにより搬送された重要情報に対して、各サブキャリアの受信レベルに応じた重み付け処理を行い、重み付け処理後の各重要情報を加算する最大比合成手段を具備することを特徴とする請求項8に記載のOFDM受信装置。
- 前記重要情報は、特定パケットの信号であることを特徴とする請求項4から請求項10のいずれかに記載のOFDM受信装置。
- 前記受信手段は、同一の重要情報が、回線品質に基づいて適応的に設定した数のキャリア周波数信号に重畳されたOFDM信号を受信することを特徴とする請求項4から請求項11のいずれかに記載のOFDM受信装置。
- 前記受信手段は、重要情報のうち特定の情報が所定の数のキャリア周波数信号に重畳されたOFDM信号を受信することを特徴とする請求項4から請求項12のいずれかに記載のOFDM受信装置。
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載のOFDM送信装置を具備することを特徴とする通信端末装置。
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載のOFDM送信装置を具備することを特徴とする基地局装置。
- 複数のサブキャリアに同一の重要情報を重複して配置し、かつ当該同一の重要情報の重複数を回線品質に応じて適応的に変化させてOFDM信号を形成するOFDM信号形成工程と、
前記OFDM信号形成工程で形成したOFDM信号を送信する送信工程と、
を具備することを特徴とするOFDM送信方法。 - 前記OFDM信号形成工程では、前記同一の重要情報を重複して配置する複数のサブキャリアとして、角周波数0のキャリア周波数のサブキャリアを含むようにする、ことを特徴とする請求項16に記載のOFDM送信方法。
- 前記同一の重要情報の重複数を、通信相手から通知される回線品質に関する情報に基づいて適応的に変化させる、ことを特徴とする請求項16又は請求項17に記載のOFDM送信方法。
- 通信制御に用いる同一の重要情報が少なくとも2つのキャリア周波数信号に重畳されたOFDM信号を受信する受信工程と、受信信号から前記重要情報を抽出する抽出工程と、重要情報が重畳されたサブキャリアの受信レベルを比較し、抽出された重要情報のうち受信レベルが高い方のサブキャリアにより搬送された重要情報を、受信信号の重要情報として決定する決定工程と、を具備し、
前記受信工程では、角周波数0のキャリア周波数信号に重要情報が重畳されてなる第1サブキャリアと、任意の角周波数を有するキャリア周波数信号に前記重要情報が重畳されてなる第2サブキャリアと、を含むOFDM信号を受信し、決定工程は、前記第1サブキャリアの受信レベルと前記第2サブキャリアの受信レベルとを比較し、抽出工程により抽出された重要情報のうち受信レベルが高い方のサブキャリアにより搬送された重要情報を、受信信号の重要情報として決定することを特徴とするOFDM受信方法。
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