JP3732577B2 - 紡糸口金に穿孔するシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属製の紡糸口金素材上にさら穴の位置を位置決めし、且つ穿孔する装置を具えたシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
セルロース・アセテートの合成繊維の紡糸に使用される紡糸口金は、通常、金属プレートに形成されたきわめて小さい多数の穴を具えている。各穴は複数のステップからなる工程を経て形成され、この工程の最初のステップ(別の装置で従来方式で行われる)は、金属素材に穴の入口を特定のパターンに従ってさらえることである。これによって、各さら穴の下方の素材の裏面に「ふくれ」が生じる。このふくれは後で削りとられて薄い金属箔を残し、その後、適宜な形状の工具を用いてこれを通じて実際の穴が穿孔される。紡糸口金には最大寸法で100μm以下の多数の穴が設けられるので、前記さら穴入口の側面を損傷したりパンチ工具を破損したりすることなく最終的な穴を形成するためには、各さら穴入口の上方にパンチを正確に位置決めすることが重要である。更に、穴さらえのステップによって紡糸口金素材の金属が変形するので、最終的な穴を、最初に設計された通りの位置または箇所に正確に位置決めできないと言う問題も生じる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術においては、紡糸口金素材のさら穴を参照してパンチ工具の再位置合わせを行う場合には、作業者が紡糸口金保持固定具の上方に取付けられた光学顕微鏡によって手動で各穴の位置決めを行う必要があった。各さら穴の充分に照明された映像を得るように作業者が顕微鏡を位置合わせすることは困難である。パンチとそのホルダの位置合わせを可能にするために、この顕微鏡の位置合わせは垂直軸を外して行う必要があることから、更に複雑なものとなる。
【0004】
本発明の目的は、金属製の紡糸口金素材上にさら穴の位置を位置決めし、引き続いて穴を穿孔して仕上げるためのシステムを提供することにある。本発明の別の目的は、紡糸口金素材にさら穴の位置を位置決めし、次に該紡糸口金素材の各さら穴の箇所に穴を穿孔して仕上げるシステムであって、作業者の関与が少なくてすむものを提供することにある。本発明のさらに別の目的は、(1)紡糸口金上に、各穴が穿孔されるべき位置を、水平座標(X,Y)と垂直座標(Z)の両方によって位置決めするとともに、円形穴以外の場合には垂直軸「θ」を中心とする回転で表されるその配向を決め、(2)穿孔されるべき穴の位置に対してパンチを位置合わせすると共に、該パンチをθ軸を中心に配向させて、非円形穴を含む最終穴が紡糸口金内で所望の配向を有するようになし、(3)前記位置合わせの際に得られた情報を参照して、紡糸口金を横方向に移動させてさら穴入口をパンチの下方に位置決めし、最後に、(4)パンチを紡糸口金素材に向かってZ方向に所定距離だけ移動させて、穴を形成するシステムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、紡糸口金素材に所定のパターンで形成されたさら穴群の相対位置を正確に決め、各さら穴の上方に順番にパンチ工具を正確に位置合わせし、紡糸口金素材に正確に位置決めされた穴を順番に穿孔するためのシステムであって、X,Y及びθ軸方向に可動の台座を有するコンピュータ制御の光学的座標測定機械と、紡糸口金素材を載せるように構成されて前記台座上に取付けられた固定具と、テレビカメラとレンズシステムを搭載しこれらと共にZ軸方向に可動の台座と、前記Z台座の位置を決めてこれを記憶する手段と、各台座を以前に記憶している任意の位置に復帰させる手段とが設けられ、前記Z台座には更にパンチ工具が搭載されてこれと共に可動であり、該パンチ工具は前記テレビカメラとレンズシステムから所定の距離だけずれて位置し、さら穴の所定のホーム列半径を有する紡糸口金素材をX,Y,θ軸方向に可動に前記固定具に取付け、前記固定具の運動を介して紡糸口金素材を移動させて、ホーム列半径の最内側のさら穴を、次に最外側のさら穴をレンズシステムの下方に位置決めし、さら穴の図心を決定して該位置をコンピュータに記憶し、該コンピュータを介して、ホーム列半径上に位置する最内側と最外側のさら穴の図心を通る二点間直線を描き、局部座標系を描き、さら穴パターンの中心に原点を有する該局部座標系のX軸を前記二点間直線に一致させ、残りの各さら穴を位置合わせし、これらのさら穴の図心の位置を求めてこれをコンピュータに記憶し、台座を移動させて、各さら穴をパンチ工具の下方に位置決めし、該パンチ工具を所定の距離だけ下降させて紡糸口金に穴を穿孔するように構成されている。
【0006】
更に、前記光学的座標測定機械が、X軸とY軸方向に可動にY台座上に取付けられた箔で被覆されたスタンドを具えており、コンピュータのモニタスクリーン上に工具整合用の規準ラインを描き、該規準ラインが非円形のさら穴映像の規準辺に一致するまで、これを移動・回転させ、レンズを箔で被覆された前記スタンドの上方で移動させて、テスト穿孔を行うべき点の位置を記憶し、台座を移動させて前記テストスタンドをパンチ工具の下方に位置させ、Z台座を下降させることによってパンチ工具を下降させてパンチを箔に接触させ、次いで所定の深さだけパンチを動かして箔に押痕を付し、必要に応じてX台座とY台座を移動させて箔の押痕の上方でレンズの心合わせを行い、前記押痕の一辺が工具整合ラインと平行にになるようにパンチ工具を整合させる。
【0007】
穿孔されるべき穴のZ軸上における出口面位置を求めるために、前記光学的座標測定機械は前記固定具に搭載された紡糸口金素材の出口面の下方位置に取付けられたレーザとセンサとを具え、各さら穴の出口面をレーザの上方に位置させてZ軸における位置を求め、残りの金属の厚さを計算して穿孔されるべき厚さを求め、紡糸口金素材をパンチの下方の所定位置に移動させて、穿孔するステップを順次に行う。
【0008】
【発明の実施の形態】
次の詳細な説明と添付図面とによって、本発明は更に充分に理解されるであろう。
本発明の装置は、1650 North Voyager Avenue, Simi Valley, California, 93036, U.S.AのView Engineering, INC.が製造・販売しているBAZIC 12型作業者ワークステーションユニット及びデータ蒐集ユニットの特長を具えている。このユニットは米国特許4,743,771 及び4,920,273 にも記載されており、詳しくは同特許の記載を参照されたい。
【0009】
図1に概略的に示されているこのデータ蒐集ユニットが主要要素を構成し、X軸上の横方向運動を与えるX台座3と、Y軸上の横方向運動を与えるY台座5と、Z軸上の垂直運動を与えるZ台座7を具えている。これら三つの台座は、高解像度直線ガラススケールを使用することによって得られるフィードバックを介して閉じている閉ループ型のDCサーボ駆動システムを採用している。これらのX,Y,Z台座は、毎秒8インチ(203mm) の最高速度を有する。
【0010】
X台座3は、図2に示すように、X方向に動けるようにガイドレール9と11上に搭載されている。サーボモータ13がスクリューシャフト15を回転させると、台座はガイドレール9,11に沿って押されたり牽引されたりする。Y台座5は、Y方向に動けるようにガイドレール17と19上に取付けられている。この運動は、サーボモータ21がスクリューシャフト23を回転させ、台座をガイドレール17,19に沿ってY方向に押したり牽引したりすることによって生じる。図1に示すように、Z台座7はX,Y台座の上方に取付けられ、ガイドレール(図示しない)上をZ方向に可動である。Z台座上には、長焦点20倍レンズを具えたテレビカメラ25が取付けられている。このレンズは、約1/2インチ(12.7mm) の固定用間隙を提供する。このレンズと、テレビカメラ,コンピュータビデオディスプレイ拡大装置との組み合わせによって、600倍に近い倍率が得られる。この倍率は、対象となる穴のサイズ(20〜100μm)に対しては充分なものである。
【0011】
各X,Y,Z台座の主要要素は、サーボモータ、スクリューシャフト、ガイドレール及び直線状ガラススケールである。ガラススケール上の動きの増分を計数するエンコーダ(図示しない)の光電センサが設けられている。サーボ制御回路は、該センサからの計数データを実際の台座位置の情報に変換する。この情報は指示された位置と比較され、これに対応して調整が行われる。台座が指示位置に達してもセンサは計数信号を発し続け、台座が該指示位置に留まっていることを示す。この閉ループ式サーボ制御システムによって、台座は指示位置に対して1μm以内に移動させうる。
【0012】
レンズ27とカメラアセンブリとは、Z台座上にこれと共に移動可能に搭載されている。パンチ工具ホルダ29もこれと同様にZ台座上に、レンズからずれて取付けられている。これによって、ホルダとこれに固定されたパンチとは垂直方向に1μmの精度で移動することができる。これらの光学手段は、Z台座を動かすスクリューシャフトと一致するように取付けられ、軸から外れた運動が生じないようにしている。
【0013】
Y台座の上と下に高精度の回転台座31が設置されている。この回転台座31は、特定サイズの紡糸口金素材を保持するように特に構成された固定具33を具えている。この回転台座31は、市販されている高精度分角位置決め装置である。好ましい回転台座としてはKLinger RTN 160 MSの右又は左側取付け型が挙げられ、これは999Stewart Avenue, Garden City, New York, 11530 のKlinger から販売されている。これは、二列の循環型ボールベアリングに特徴を有するウォームギア駆動の装置であり、高い荷重担持能力と良好な強度特性を有する。この回転台座は、ユニットのベース上の取付けねじ穴を使用して装置のY台座上に取付けられる。図4に示す紡糸口金カップ34を保持するために、固定具33が回転台座上に取付けられている。図3に示すこの紡糸口金カップ即ち口金素材ホルダ固定具は、紡糸口金カップを回転台座上に保持するように特に構成された高精度固定具である。この固定具の表面は平坦に機械仕上げされ、互いに平行になっている。固定具が高精度の回転台座上に取付けられた際に、過剰ながたつきや動きが生じないようにするためには、この平行度が必要である。
【0014】
この工程で使用される二映像解析装置は、自動焦点調節装置と図心決定装置である。自動焦点調節装置は詳しくは表面焦点調節法に基づくものである。自動表面焦点調節は、最良の焦点調節は測定対象の物体が光学システムの焦点面に位置している時に得られると言う概念を利用している。規準に対する物体の高さは、測定対象の物体の映像が、例えばテレビカメラの中などに設けられたセンサの映像面内で焦点調節されている程度を測定することによって決めることができる。
【0015】
通常、映像のシャープさは、映像の高周波即ち広帯域エネルギの含有量に比例する事実に基づいて、映像の高周波エネルギの含有量によって焦点調節の程度を測定することが可能である。従って、映像中の空間的細部の最大高周波の点を通ってカメラを動かすことによって、最も良く焦点調節されているカメラのZ軸方向の位置を計測して表面の高さを求めることが可能である。
【0016】
カメラと光学システムとは、両者が一つのユニットとして上下いずれの方向にも正確且つ精密に制御可能なZ軸運動を行えるように互いに強固に固定されている。前述したように、この運動は、精密スクリューシャフトに機械的に連結されたサーボモータによって得られ、これによって、精密な電子的指令と制御の下にカメラ/光学装置のシステムが上下動する。
【0017】
一般的に、映像が細部を最も多く含み、且つ映像に含まれている物体の縁部が最もシャープになった場合に、焦点が調節されたと言われる。
明瞭度と解像度は、焦点調節された映像におけるそれらの最大値のことを言う。焦点調節を定義するその他の方法は、映像の最高空間周波数が完全に再現されていることである。自動焦点調節システムは、映像内の高周波数エネルギが最大になるように計算しつつ作動する。
【0018】
図5に示すブロックダイヤグラムには、最良に調節された焦点の関数、即ち表面位置の関数としての符号化された信号の最大振幅を検出するシステム全体が示されている。センサ(テレビカメラ25)の各走査の際に、出力が高域増幅器45に供給され、そこで見掛けの直流信号ドリフトが除かれて高周波成分の大部分が増幅される。高域増幅器45からの出力はピーク検出器/パルスストレッチャ47に供給される。このピーク検出器は信号のピークを探索し、パルスストレッチャは信号の時間規準を長くする。積分器49は、適宜な時間内のこの信号のエネルギ含有量を積分する。換言すれば、この低域フィルタ積分器49の出力は、0ボルトから始まって所定の正の電圧まで増加する信号であり、該正電圧の大きさが焦点調節の程度を表している。
【0019】
テレビカメラ25が焦点を通ってZ方向即ち垂直方向に動くと、焦点の両側における検出信号は低くなり、このシステムが焦点に近づくにつれて振幅は増加し、ピークに達する。そしてカメラ25が焦点を通過すると、振幅の出力は減少する。
テレビカメラ25のZ軸方向の機械的運動の速度とコンピュータ内の電子装置のデータ処理・サンプリング速度とによって定められた離散的位置において、このシステムは検出された信号の振幅の測定を連続的に行う。この過程で、低域フィルタ積分器49からアナログ信号が取り込まれ、デジタル制御システムによって制御されるステップゲイン増幅器51を通過する。次にこの信号は8ビットのデジタル数に変換される。この8ビットのデジタル数はコンピュータによって読み込まれ、記憶される。テレビカメラの位置を正確に求めるために、位置ロケータ55は高精度スケール(この場合にはHeidenhain Corporation製のHeidenhainガラススケール) を具えている。CPU57は前記位置ロケータ55と協同してアナログ─デジタル(A/D)コンバータ61に信号を供給し、該コンバータはテレビカメラ25の各位置に対して所望の出力信号を発生するために前記ステップゲイン増幅器51の出力も受ける。
【0020】
テレビカメラの運動の各点において、低域フィルタ積分器49の出力である焦点値の振幅の測定が行われ、Z軸位置が求められる。Z軸位置の決定は焦点の両側の全範囲について行われる。CPU57はこれらの値を処理して理論的最大値を求め、この最大値をロケータ55からのテレビカメラ25の実際の位置によって修正して、最良焦点の指標であり且つテスト対象の表面の指標でもある出力信号をA/Dコンバータ61から発生する。
【0021】
異なる点での高さの差が求められる。二つの異なる点での焦点値がコンピュータによって読み込まれ、減算され、その出力信号がこれら2点間の高さの差となる。
前記データ蒐集ユニットは、図6に示す図心決定装置65を構成し、カメラの視野全体に入っている図形の図心(質量中心)を計算するのに使用される。例えば、この図心決定装置は、図形の図心を位置決めし、それをX,Y座標上で位置決めすることができる。該点のZ座標は、図心決定装置を適用する以前に自動的に図形を焦点調節することによって、前以って求められている。
【0022】
視野には、テレビカメラ25に接続された長焦点20倍レンズ27からなる光学系列によって映像が形成される。カメラの作業センサは、幅512(X軸)×高さ480(Y軸)のピクセル(画素)の格子である。この実施例においては、各ピクセルの大きさは0.648 μm/ピクセルが望ましいが、他の大きさのものでも必要な解像度は得られる。各ピクセルはアナログ電圧を発生し、該電圧は8ビットの分解能を持ったA/Dコンバータによって0(黒)から256(白)までの値を有するデジタル信号に変換される。0〜256の範囲はグレイレベルと称される。
【0023】
図心決定装置は、所望の図形をONで表しているピクセルと、背景即ち無関係な図形をオフOFFで表しているピクセルとを観察することによって図形を認識する。この作業を行うために、該決定装置は映像処理ユニット(IPU)71を介してその領域内のピクセルを観察し、映像スキャン73を介してセンサのX軸に沿ってピクセルを一つずつ走査し、且つセンサのY軸に沿って垂直方向に一列ずつ走査する。走査するにつれて、IPUはピクセルのグレイレベルの値を二つのしきい値と比較する。二つのしきい値上又はそれらの間に存在するピクセルはONであると判断され、それ以外はOFFであると判断される。IPUがピクセルを走査するにつれて、このシステムはONのピクセルの総数を記憶する。例えば、しきい値が72と170とに設定されている場合、その強度が72未満又は170を越えるピクセルはOFFと判断される。
【0024】
図心決定装置は、図形についての情報、即ち図心の座標とONのピクセルの数とを、逆にこの系に供給することができる。図心(質量中心)のX座標を計算するために、この系はすべてのONのピクセルのX座標値を合計し、それをONのピクセルの全数で割る。同じように、Y座標を計算するために、IPUはONのピクセルのY座標値を合計し、それをONのピクセルの全数で割る。
【0025】
これらX,Y座標は、視野の座標に関するものである。この視野測定は、次に測定の際の部品の台座位置を介して後述する部品座標システムに参照される。この部品座標システムは、最終的に、台座位置のフィードバック測定をする精密ガラススケールを介して絶対的機械座標に参照される。
このシステムはONピクセルの数を利用して図形の面積を計算することも可能である。図形の面積を計算するために、このシステムは単一ピクセルの面積にONピクセルの数を乗じる。
【0026】
以上映像解析装置の詳細を明らかにした。次に、座標システム及び座標システムにおける部品のアラインメントの設定について説明する。このシステムは、設定された座標システムの設定された原点からX,Y,Z方向に動くことによって部品上の位置を見つける働きをする。このシステムが作動する際には、機械座標システム(MCS)に原点が設定される。MCS原点は、X,Y,Z台座の左、右、後、上端位置に位置するハードウエア原点である。付加的な回転システムのための原点は0°である。MCSにおいては、右向きの運動は正のX、前向きの運動は負のY、下向きの運動は負のZである。
【0027】
すべての映像処理装置は、初期設定時のサイズ,位置,座標系に関係している。例えば、部品上の図形を位置決めするために、229,−152,−76mm(MCS)に中心を有する100μmX×100μmYの図心決定装置が使用される。この図心決定装置が再び使用される場合には、図形のために同じMCS座標(229,−152,−76mm)に中心が調節されるであろう。検査対象の部品を保持する固定具が動いたり、対象図形が100×100μmの窓の外にある場合には、図心決定装置は正しく値を戻すことができない。
【0028】
部品の正確な位置決めを行う代わりに、部品座標系(PCS)として公知の座標系内に、他の測定手段を使用する前に部品自体の上に検査用原点を設定してもよい。一旦原点の設定が(割当ステーテメントを通じて)されると、以降の全ての計測工具はPCS原点に対して位置させることができる。
このPCSは、紡糸口金製造の好ましい態様である。使用される倍率では、対象図形が予期したように存在していることは稀であることが判っている。初期設定作業さえすれば、PCS原点を、X軸をホーム列半径(後述する)に平行にした穴のパターンの中心に位置させることが可能である。このPCSが穴のパターンに対して設定されれば、すべての運動は、X軸に沿う公知のミリメータ単位の動きと、穴のパターンのリングに沿う角度運動で表される。ユーザーはさら穴がMCSのどこにあるかを知る必要はなく、PCSそのものさえ知ればよい。座標系の変換作業は、すべて、作業者の介在無しにシステムの作業ソフトを介して自動的に行われる。
【0029】
さら穴は、リングからリングへの移動のためのX台座とリング上での角度運動のためのθ台座上で作られる。これによって、一つの半径上に各穴が並んで設けられる。各穴リング同士は僅かにずれて配置され、最大の穴密度が得られるようになっている。図4に示す、各穴がX軸上に並んでいるこの一つの半径36は、「ホーム列半径」と呼ばれる。
【0030】
高精度固定(表面の平坦性、平行性、及び対向面の心振れの少ないこと)によって、部品の再整合が容易となる。図3に示す固定具は、紡糸口金素材即ちカップの配向をし易くするための位置決めピン37を具えている。このピンは紡糸口金素材に設けられた切り欠き35に係合し、ホーム列半径36にほぼ整合している。この整合ピンを使用することによって、作業者は、紡糸口金素材の再整合に使用される二つの特定の穴の探索を開始すことが可能になる。固定具33は、図3に示すように、紡糸口金素材受入れ用座が形成されたカラーであり、該受入れ座は、素材が固定具33に取付けられたときに該素材のフランジ38の下部外面と係合する内面を有する。該固定具の上部内面にはねじ山39が設けられ、ねじ山付きのリング41と螺合して、紡糸口金素材を固定具内に確実にロックする。
【0031】
始めのさら穴形成が形成され、それに続く膨れ(blister) の除去のために、さら穴を有する素材は固定具から取り外される必要がある。紡糸口金が動かされると、穴のパターンの中心のデータは喪失する。紡糸口金製造の際のさら穴形成ステップは、金属素材に大量のエネルギを付与する。このさら穴形成ステップの際に、金属が激しく動かされるので、後から形成されるさら穴は前に形成されたさら穴の位置に影響を与える。また、紡糸口金を工程間で移動させる必要上からも、機械の寸法公差が必要である。さら穴の位置は大体判っているだけなので、紡糸口金を機械の固定具に対して再整合させることを要する。固定具と紡糸口金素材と工具との公差の組合せによって実際の穴が作られるので、固定具に基づいてパターンの中心を再位置決めすることはできない。
【0032】
パターンの中心の情報が不必要な場合が二つある。一つは、穴が(紡糸口金を回転するのではなく)横に移動させながら作られる場合であり、二つ目は丸い穴の場合である。丸穴の紡糸口金の場合には、回転しながら作られた紡糸口金と同じような紡糸口金を、横に移動させながら作ることができるので、パターンの中心は不要である。必要に応じて、工具のZ位置と、さら穴のX,Y,Z位置(θ位置は不要)とを位置決めすることによって、装置上で丸穴紡糸口金を作ることができる。紡糸口金のさら穴は、丸穴であろうと非円形穴であろうと、X台座と回転台座の運動を使用して別個の機械で作られる。上流側のさら穴作成機械で作られたパターンを再現することが必要なので、非円形さら穴の配列パターンの仮想中心を再位置決めすることが重要である。この中心を求めることによって、コンピュータ制御によってパターンを該中心の周りに回転させて、さら穴作成機械の作業を再現することができる。これによって、次の工程でパンチ工具をさら穴の中に入れて穴を穿孔することが可能になる。
【0033】
ホーム列は半径を構成しているので、ホーム列の始点はパターンの中心である。紡糸口金の穴の各リングは、定められた直径を有している。パターンの仮想中心を計算するために必要なことは、ホーム列半径の位置決めだけでよい。ホーム列半径決定の精度を高めるために、このホーム列半径に沿う最内側と最外側のさら穴の映像が使用される。これら二つのさら穴映像の図心が、一本の線を決めるための二つの点を規定するのに使用される。各さら穴は、直径の判っているリング上に位置しており、金属の動きを更に補償するために、測定された各リングの中心位置から平均図心が計算される。
【0034】
平均中心=(点1の中心1+点2の中心2)÷2
ここで、点1の中心=点1の図心位置−設計直径1÷2
点2の中心=点2の図心位置−設計直径2÷2
上の式は、さら穴の図心はX,Y,Z軸のデータによって決まると言う事実を簡単に表現している。
【0035】
局部的なPCSがホーム列に沿うパターンの中心に定められた後は、すべての運動は、パターンを規定している単位と同じ単位で表される。リングからリングへの運動はミリメーターで表される。さら穴からさら穴への運動は度(360/該リング中のさら穴の数)で表される。
Z軸の原点は、この整合工程の間に中心点に設定される。局部的PCSは0度におけるデータを有するので、θ軸はこの整合作用によって影響を受けることはない。このデータは前回の製造ステップと一致するように設定される。
【0036】
このように、座標系に対する紡糸口金の再整合は行われる。次のステップは、光学系列に対してパンチ工具をどこに位置決めするかを決めることである。光学系列からの工具のずれは、X,Y,Zデータを含んでいる。これらのデータに加えて、θ軸を中心とする工具の実際の配向も求める必要がある。
パンチ工具は、予圧された48ピッチの特注のウォーム歯車駆動アセンブリに取付けられた高精度のピンバイスに保持されている。予圧はバックラッシュを少なくするために行われる。この予圧は、ボールベアリングとスプリングワッシャに取付けられたホルダのシャフトとに対して押し付けられた一組のセットスクリューによって行われる。この歯車機構によって、ウォーム歯車に取付けられた割り出しノブの一回転に対して7.5°の工具の回転が与えられる。このギア比によって細かい角度制御が可能となり、工具の断面をさら穴形状に対して適正に整合させることが可能になる。例えば、三角形断面を作る場合には、パンチ工具の隅部を三角形断面のさら穴の頂点に位置決めする必要がある。
【0037】
この整合作業を円滑に行うために、図1に示す箔保持スタンド43が、光学装置とパンチ工具の両者からアクセス可能なY台座上の適宜位置に適宜なやり方で取付けられている。該スタンドの高さは、回転台座31の下側に取付けられた固定具の天部よりも上にあって、光学装置を損傷する可能性を少なくし、且つパンチ工具によって箔に押痕が形成されるように選ばれる。レンズと台座の間が十分に空いているが、パンチ工具によって僅かな押痕が作られる。
【0038】
箔とパンチ工具は電気的には互いに独立している。運動制御用のコンピュータの平行ポートとアースとの間に接続回路が形成されている。パンチ工具ホルダと箔ホルダの両者からのリード線がコンピュータの前記平行ポートに電気的に取付けられている。コンピュータの電力供給部によって前記回路に5ボルトの電力が供給されている。コンピュータが回路上で(アースに対して)5ボルトを検出した場合には(開回路)、パンチ工具は箔に接触していない。コンピュータが回路上で0ボルトを検出した場合には(閉回路)、工具が箔に接触している。前記回路は、運動制御コンピュータ上のソフトウエアによりチェックされるので、パンチ工具が箔の方に動くにつれてZ軸上の10μm毎の動きをチェックされる。この箔/パンチ工具接続回路によって、10ミクロン以内の工具先端のZ位置を位置決めすることが可能となり、2ミクロン以内まで再現可能である(実験的に確認済)。パンチ工具の先端のX,Y,Z座標は、箔に印されたパンチ工具の押痕を観察することによって決定される。
【0039】
パンチ工具を(回転調節装置によって)整合させるには、実際のさら穴の配向に基づく規準が必要である。光学装置が同じ視野内にさら穴と箔保持スタンドの両方の映像を得ることが不可能なことから、この別個の規準が必要とされる。
図7に示すように、予備パンチの映像77の縁に平行な工具整合線を設けることによって、パンチ工具を整合させる際の規準を持つことができる。パンチの位置が決められる間、この整合線はコンピュータのモニタスクリーン上に存在する。パンチ工具を配向させるために、パンチ押痕が箔上に作られ、作業者はこの押痕の縁をチェックして、それが図7に示すように配向線に平行であることを確認する。もし平行でなかった場合は、パンチ工具の調節が行われる。パンチ工具の配向が得られると、工具配向線はコンピュータのモニタから消える。
【0040】
パンチ工具をZ台座上に取付けてこれと共に動くようにすることに加えて、パンチ工具のために述べたのと同じように作用する穴形成工具等の補助工具(図示していないをZ台座上に設けてもよい。本発明のシステムにおいては、この補助工具は、紡糸口金カップに穴をパンチするときにパンチを位置決めするのに使用されるのと同じプログラムを使用して位置決めされる。違いは、この補助工具のずれが、パンチ工具ホルダとテレビカメラ光学システムからずれた位置にあることである。
【0041】
膨れが研磨して取り除かれた後に、さら穴の底と紡糸口金カップの出口表面との間に残っている金属の厚さを求めることが必要である。これは、従来型の計測プローブ装置を使用して、数個のさら穴の金属厚さを測定することによって手作業で行われ、この情報を利用してパンチ装置を設定して各パンチ作業毎にパンチを所定距離だけ移動させる。
【0042】
好ましい方法は、各さら穴の底と紡糸口金素材の出口面との間に残っている金属の厚さを測定する手段を設けることである。本発明は、各さら穴の残存金属厚さの非接触型測定手段を提供する。この非接触型測定を行うために、図1に示すように、LEDレーザと検出器61が、固定具に取付けられた紡糸口金の下面即ち出口面の光学的座標測定機械上の所定位置に設けられている。台座と固定具とは、テレビカメラによる撮像とレーザ/検出器のための正しい作業距離が得られる程度に間隔を空けている。
【0043】
レーザ/検出器の使用によって、紡糸口金素材に穿孔されるべき各穴のための入口及び出口データを決定する能力が付加される。この点に関し、上方から得られたテレビ映像からの「Z」データは、前述したように、さら穴の内部の映像を位置決めすることによって求められる。さら穴の「X」,「Y」及び「θ」軸方向の精密な位置が求められて、記憶される。レーザ光学装置は、テレビカメラ光学装置から「X」,「Y」及び「Z」の距離だけずれて位置している。すべてのさら穴の入口面が測定された後に、さら穴はレーザ光学装置の上方に再位置決めされる。そしてレーザシステムは、所与のさら穴の出口面の位置を捕捉するように制御される。Z軸に沿うこれら二つの位置(入口と出口)が求められた後、パンチするべき深さが正確且つ精密に計算される。この計算は、パンチの形状・寸法と所望の最終穴のサイズと毛管長さとを考慮に入れて行われる。
【0044】
前述したように、レーザは光学的座標測定機械上取付けられている。センサは特注の角型チューブに取付けられている。このチューブは、その両端でX台座を跨ぐようにして取付けられている。この形状により、両台座はその全ストロークにわたってなお可動となる。前記角型チューブ内には、レーザ/検出器パッケージが従来型の光ファイバのバックライトと共に入っている。このバックライトは、光学系列と同一線上に取付けられている。作業者が機械に対面した場合、レーザセンサはバックライトの前方に取付けられている。このレーザ取付け手段は調節ねじ型のエレベータをも提供し、その焦点範囲の中心の周囲でのレーザのおおまかな焦点合わせを可能にする。この位置決めはレーザセンサパッケージZ軸に沿って行われる。
【0045】
このレーザ針電子装置は三つの測定信号を生じる。(1)デジタルLED読み取り信号、(2)アナログLED読み取り信号、(3)+/−10Vのアナログ信号。LEDディスプレー(デジタル及びアナログ)は、このシステムが働いていることを示す目で見えるフィードバックを作業者に与える。この応用例では、アナログ信号はA/Dコンバータに供給される。レーザ針の目盛り係数はSUIを介して(一度は工場で)設定される。信号をスケーリングすることによって、10Vにおける300μmと−10Vにおける−300μmの範囲を直接に読み取ることが可能である。測定を行うために、標準プローブ指令が発せられ、測定が直接ミクロン単位で行われる。
【0046】
本発明に好適な一つのレーザは、Rodenstock LASER Stylus RM600 であり、これはセンサとセンサインターフェースとから構成されている。この光学的非接触型測定方法は、レーザセンサのための2μmのスポットサイズを有する。このレーザビームは表面上に焦点合わせされ、スポットは焦点検出器に向かって反射される。物体までの距離が変わるにつれ(即ち穴から穴に移動するにつれ)、焦点検出器は焦点エラー信号を発生し、これが測定に使用される。実際のエラー信号は自動焦点調節の手順に従って発せられる。自動焦点調節は、ビームが表面上に焦点を結ぶまでサーボシステムが対物レンズを調節することで行われる。この光学的位置は登録され、測定信号として使用される。センサの制御ユニットが光学的座標測定機械のコンピュータとの間のインターフェースを構成し、データを蒐集する。
【0047】
光学的座標測定機械からのレーザ光学装置のずれX,Yを求めることが必要である。この手続きは、装置の初期設定の際、又は固定具に対する何らかの機械的調整が行われるときにのみなされる。これを行うために、特定の紡糸口金素材が回転台座固定具に取付けられる。この素材はほぼ中心に穿孔された大きな穴(紡糸口金穴標準による)を有する。この穴は約0.03インチ(0.76mm)の直径を有する。この穴は手動で光学装置とSUIに位置合わせされる。この穴は背後から照明され(レーザと同じ側である下側から)、比較的容易に見出される。穴が見つかった後、三点円工具(標準視映像解析工具)を使用して穴の中心が求められ、これらの座標は記憶される。
【0048】
次にレーザを使用して同じ穴を見出す。このレーザシステムは、その焦点中心から+/−0.3mm以内の任意の物体の上にピント合わせすることが可能である。穴はレーザ光学装置の上方を移動する。レーザ用の制御パネルは、ピントが合っているか否かを示す一連のLEDを有している。穴がレーザ上をよぎると、レーザは焦点を結ばず(それは穴である)、LEDはピントが外れたことを示す。穴の周囲の領域でピントが合っているか否かを知ることによって、穴の中心を精密に特定することができる。
【0049】
光学的座標測定機械の光学装置とレーザ光学装置からの穴の中心のX,Y座標がこうして求められる。レーザのX,Yのずれは、台座の座標を使用して穴の座標を光学的座標測定機械の座標から差し引くことによって求められる。
レーザのX,Yのずれ=RM600における穴の中心のX,Y座標−光学的座標測定機械における穴の中心のX,Y座標
レーザが必要な理由はカップの表面が平坦ではないからなので、Z軸に対する恒久的なずれを求める方法はない。その代わりとして、すべての紡糸口金に対するデータを発生させる。引き続く穴の測定はこのデータに関して行われる。工程用のデータは、機械的プローブによる最初の穴の残存金属厚さの測定から得られる。レーザシステムは次にすべての穴の測定を行い、光学的座標測定機械のコンピュータは最初の穴の厚さに関する測定結果を記録する。この利点は、非接触型の測定なので、穴を損傷しないで測定を行える点にある。
【0050】
作業のサイクル
次に述べるのは作業のサイクルであり、本発明のシステムを説明している。
先ず、既に最初のさら穴形成ステップを終えて、出口面の膨れを削り取られたすべての穴を有する紡糸口金カップの素材が準備される。この紡糸口金素材は整合用切り欠き35をカップのフランジに有し、該切り欠きは前以ってカップに形成されているさら穴の「ホーム列半径」上に位置している。該カップは、前記切り欠き35が該固定具上に設けられた整合ピン37と一致するように、回転台座の下方の固定具33に載せられる。ねじ山付きリング41が締め込まれて紡糸口金素材を固定具にしっかりとロックする。
【0051】
SUI(the view simplified user interface;機械オぺレータインターフェースの種々の図形に沿って移動可能である)、同軸レンズの光がセットされて良好なさら穴の映像が得られる。
ジョイスティックを介してSUIを使用して、台座をZ台座上に取付けられたカメラのレンズの下に移動し、第1のずれていない穴をホーム列半径に沿ってレンズの視野に入れる。穴を視野の中心に位置決めする。この位置をSUIによって記憶する。
【0052】
次に、工具のずれを求めるために、予めプログラムされているユーザインターフェースをSUIによって動かす。このプログラムによって色付きの規準線がスクリーン上に描かれる。矢印、−、=キーを使用して、この線が断面の一つの辺に平行になるまで、該線を移動・回転させる(この操作は、丸穴の場合には不要である)。SUIとジョイスティックを使用して、レンズを箔でカバーされたオフセットスタンドの上方に移動させる。箔の映像の焦点が調節されると、クロスヘアをテストパンチを行いたい箇所に位置決めする。次にプログラムは、台座をスタンドと共に動かし、パンチ工具の下方に所定のずれを以て位置決めする。このずれは最初に決められており、この点から、このプログラムによって決められた前回のずれから常に呼び出される。次にプログラムは、工具を10μm降下させ、これが箔に(接続回路を介して)接触したか否かをチェックする。この作業は、工具が箔に接触するまで繰り返される。次に工具は10〜30μm程下降して箔を押し、これに押痕を印す。次にプログラムは台座を移動させ、押痕をレンズの下に位置決めし、その視野に入れる。次に作業者は台座を動かして、クロスヘアによって示されているレンズの中心が押痕の上方に来るように心合わせを行い、ずれの微調整を行う。ウォーム歯車のノブによってパンチ工具ホルダが回転させられ、パンチ工具の断面が前記色付き線と一致するように調節される。この手順は、ずれと回転角度が受入れ可能になるまで繰り返される。
【0053】
予めプログラムされた次の操作、さら穴位置の決定がSUIによって行われる。プログラムは、穴のサイズ;リングの数;リング間の距離;リング当たりの穴の数;及び紡糸口金のパンチの深さのデータ等のパターンの情報を要求する。即ち、次にプログラムは、ホーム列半径に沿う最内側のずれがゼロの穴を指定するように、作業者に要求する。SUIを使用して、以前に求められていた位置に戻される。ジョイスティックによって穴の上方にクロスヘアを大体心合わせする。数個の視野工具が自動的に使用されて微調整が行われ、このさら穴の図心が記憶される。次に、プログラムは、ホーム列半径に沿う最外側のずれていない穴を指示するように要求する。SUIとジョイスティックを使用して、クロスヘアをさら穴の映像の上に心合わせすることによって、穴の大体の中心を示す。
【0054】
次に、これら二つの点(断面の図心)を使用して、X軸台座の座標系に平行になるように内部的に設定されている線を形成する。これが、紡糸口金の局部的座標系となる。次に、プログラムは自動的に台座を動かして、残りの穴のすべてを位置決めし、その図心(X,Y,Z及びθ座標)を求める。前述のように、レーザを使用して紡糸口金素材の各さら穴の出口面のZ座標を求める。出口面の寸法から入口面の寸法を差し引くことによって、残存金属の厚さが計算される。これらのデータは、パンチの位置と深さを求めるために記憶される。
【0055】
すべてのデータが集まると、SUIはパンチング・プログラムを実行する。パンチング・プログラムは台座を動かし、各穴をパンチ工具の下に再位置決めし、工具を所定量だけ降下させ、穴を穿孔する。
以上、好適実施例に基づいて本発明を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、変形や改変を行うことが可能なことは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に使用される装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、X/Y台座の模式図であり、取付け手段とサーボ制御手段を示している。
【図3】図3は、紡糸口金カップが取付けられている紡糸口金カップホルダの断面図である。
【図4】図4は、さら穴を具えた紡糸口金カップであり、その上にはホーム列半径が示されている。
【図5】図5は、最良ピントの関数として従って表面位置の関数として、符号化された信号の最大振幅を検出するのに使用されるシステム全体のブロックダイヤグラムである。
【図6】図6は、全体としてカメラの視野内に入っている特徴部分の図心を計算するのに使用されるシステム全体のブロックダイヤグラムである。
【図7】図7は、非円形パンチの押痕の一辺に一致した配向ラインを示す図である。
【符号の説明】
3…X
5…Y
7…Z
9,11…ガイドレール
13…サーボモータ
17,19…ガイドレール
21…サーボモータ
23…スクリューシャフト
25…テレビカメラ
Claims (3)
- 紡糸口金素材に所定のパターンで形成されたさら穴の相対位置を正確且つ精密に求め、各さら穴の上方に順番にパンチ工具を正確に位置合わせし、紡糸口金素材に正確に位置決めされた穴を順番に穿孔するための下記(1)〜(5)の要素からなるシステムであって、
(1)X,Y及びθ軸方向に可動の台座を有するコンピュータ制御の光学的座標測定機械、
(2)紡糸口金素材を載せるように構成されて前記Y台座上に取付けられた固定具、
(3)テレビカメラおよびレンズシステムと前記テレビカメラおよびレンズシステムから所定の距離だけずれて位置するパンチ工具とを搭載し、これらと共にZ軸方向に可動の台座、
(4)前記Z台座の位置を決めてこれを記憶する手段、および
(5)各台座を以前に記憶している任意の位置に復帰させる手段、
下記の(イ)〜(ホ)の工程によって紡糸口金素材に穴を穿孔するように構成されているシステム。
(イ)さら穴の所定のホーム列半径を有する紡糸口金素材をX,Y,θ軸方向に可動に前記固定具に取付け、
(ロ)前記固定具の運動を介して紡糸口金素材を移動させて、ホーム列半径の最内側のさら穴を、次に最外側のさら穴をレンズシステムの下方に位置決めし、そしてさら穴の図心を決定して該位置をコンピュータに記憶させ、
(ハ)該コンピュータを介して、ホーム列半径上に位置する最内側と最外側のさら穴の図心を通る二点間直線を描き、
(ニ)さら穴パターンの中心に原点を有し、X軸を前記二点間直線に一致させた局部座標系を描いて、残りの各さら穴を位置合わせし、これらのさら穴の図心の位置を求めてこれをコンピュータに記憶し、
(ホ)台座を移動させて、各さら穴をパンチ工具の下方に位置決めし、該パンチ工具を所定の距離だけ下降させる。 - 前記光学的座標測定機械が、X軸とY軸方向に可動にY台座上に取付けられた箔で被覆されたスタンドを具えており、コンピュータのモニタスクリーン上に工具整合用の規準線を描き、該規準線が非円形のさら穴映像の規準辺に一致するまで、これを移動・回転させ、レンズを箔で被覆された前記スタンドの上方で移動させて、テスト穿孔を行うべき点の位置を記憶し、台座を移動させて前記テストスタンドをパンチ工具の下方に位置させ、Z台座を下降させることによってパンチ工具を下降させてパンチを箔に接触させ、次いで所定の深さだけパンチを動かして箔に押痕を付し、必要に応じてX台座とY台座を移動させて箔の押痕の上方でレンズの心合わせを行い、前記押痕の一辺が工具整合ラインと平行になるようにパンチ工具を整合させる請求項1に記載のシステム。
- 穿孔されるべき穴のZ軸上における出口面位置を求めるために、前記光学的座標測定機械は前記固定具に搭載された紡糸口金素材の出口面の下方位置に取付けられたレーザとセンサとを具え、各さら穴の出口面をレーザの上方に位置させてZ軸における位置を求め、残りの金属の厚さを計算して穿孔されるべき厚さを求め、紡糸口金素材をパンチの下方の所定位置に移動させて、穿孔するステップを順次に行う請求項1又は2に記載のシステム。
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