JP3731288B2 - Multilayer magnetic field detector - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁性体層におけるインピーダンス変化を利用し、外部から加わる磁界を検出する積層型磁界検出素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、磁界を検出する磁界検出素子(磁気センサ)が知られており、各種分野で利用されている。特に、低磁界を高感度に検出できる磁界検出素子は、磁気の絶対量をアナログ検出する磁界センサ、物体の位置を非接触で検出する位置センサ、物体との距離を検出する距離センサ、回転をデジタル的に検出する回転センサ、磁気ヘッドなどに用いられる。
【0003】
このような磁界検出素子としては、FeCoSiB、CoSiB、CoNbZrなどのアモルファス軟磁性薄膜を利用するものが、従来から知られている。この従来の磁気センサについて、図1に基づいて説明する。
【0004】
この磁界検出素子では、アモルファス磁性単層薄膜である磁性薄膜900の両端に交流電源950からの正弦波電流を印加する。なお、正弦波電流の周波数は、10MHz〜100MHzとする。これによって、被検出磁界に応じてアモルファス磁性単層薄膜の透磁率μが変化し、それに伴って磁性薄膜900の抵抗RとインダクタンスLが変化する。これにより、この素子(磁性薄膜900)のインピーダンスZが(1)式により変化する。
【0005】
【数1】
Z=√{R2+(ωL)2} ・・・ (1)
ここで、Rは素子の抵抗分、Lは素子のインダクタンス分、ωは駆動角周波数である。なお、被検出磁界と透磁率の関係、透磁率とインピーダンスの関係は予め決定できる。
【0006】
そこで、このインピーダンスZの変化ΔZ/Zに伴う電圧変化を検出器951により検出することで、被検出磁界の大きさを検出することができる。なお、インピーダンスZの外部からの印加磁界(被検出磁界)に対する変化は、図2に示すようなもので、通常利用される正側のピークに至るまでの被検出磁界に対するインピーダンスの変化率は数10%である。
【0007】
ここで、本出願人は、特開平8−320362号公報において、アモルファス磁性膜単層素子ではなく、非磁性導電体層の周りを磁性層が覆う積層構造の素子について提案した。この素子では、図3に示すように、基板960上において、2層構造の磁性膜961、962によって、細長い板状の導電体層963を包み込み、全体としてサンドイッチ構造とする。そして、この導電体層963に交流電源950から正弦波電流を印加する。
【0008】
この積層型素子の外部磁界に対する素子インピーダンス特性を図4に示す。このように、10 Oeの外部磁界(被検出磁界)に対し、インピーダンス変化が2倍以上となり、被検出磁界に対して素子両端のインピーダンス変化率が100%以上と単層膜素子(インピーダンス変化率:数10%)と比較して一桁大きくなる。また、駆動周波数も1MHzから10MHzと単層膜素子(駆動周波数:10MHzから100MHz)と比較して一桁小さくすることができる。
【0009】
ここで、図3に示した積層型素子の出力特性について説明する。アモルファス磁性膜961、962には磁気異方性が付与されている。この磁気異方性の付与により、磁性膜961、962面内にて、磁化容易軸(磁化の向きやすい方向)と磁化困難軸(磁化の向きにくい方向)が生じ、両者のエネルギー差が異方性磁界Hkとして定義される。この異方性磁界Hkが磁気異方性の度合いを表している。そして、異方性磁界Hkは、素子出力特性においてピークを示す磁界の値と一致する。したがって、磁性膜に付与された磁気異方性(異方性磁界Hk)が素子特性をプロファイルを決定する重要な要因の1つと考えられる。
【0010】
磁気異方性が素子特性プロファイル(異方性磁界Hkは素子出力特性においてピークを示す磁界の値と一致する)を決定する理由を理論面から以下に説明する。図5に示すように素子の磁性膜の磁化状態は被検出磁界Hext、異方性磁界Hk、印加される駆動磁界H、そして駆動磁界Hに対し逆向きに発生する反磁場Hdx、Hdyにより決定される。これを用い、素子全体での磁気エネルギーEの式は以下の(2)式のようになる。
【0011】
【数2】
ここで、Msは磁化、θは磁化方向(容易磁化方向となす角度で表示)である。
【0012】
反磁界Hdxは、駆動磁界Hよりもその絶対値が小さく、またHと逆方向であり負号をもつ。反磁界Hdyと被検出磁界Hextとの関係も同様である。磁化の方向θは、Eが最小となるように異方性磁界Hkと被検出磁界Hext、反磁界Hdx、Hdy、そして駆動磁界Hのバランスで決まる。この磁化の方向θより、本素子のインピーダンス特性を決定する磁性膜の透磁率μが算出される。
【0013】
この透磁率μの計算により、本素子のインピーダンス特性において異方性磁界Hkと一致する磁界の値の所でピークを示すことが分かる。さらに、素子感度に関しては、図3に示すように素子の幅方向に異方性(素子幅方向が磁化容易軸となる)を付与した場合に最も大きな素子インピーダンス変化が得られることも分かる。
【0014】
異方性磁界Hkは、スパッタリング、真空蒸着等の薄膜作製技術による素子作製時の磁場中処理、あるいは磁性層間の交換相互作用により安定に制御できるため、薄膜作製技術により素子特性プロファイルをコントロールすることが可能となる。素子特性プロファイルをコントロールすることによって、高性能の磁界センサを得ることができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、自動車、工作機械等の応用を考えた場合、磁界センサの特性として、温度特性、SN比に優れ、さらに直線性が良好でヒステリシスのないことが重要となる。例えば、自動車エンジンへの応用を考えた場合、エンジンオイル温度は120℃、130℃くらいまで上昇するのでセンサの温度特性は、非常に重要である。上述したアモルファス軟磁性膜単層素子や積層型素子では、直線性、高SN比、温度特性の点で不十分であり、さらに検出磁界の正負が判別できないという問題もあった。したがって、自動車、工作機械等において有用な磁界を利用した位置、距離、回転位置・速度等を検出するセンサ、あるいは地磁気検出による方位センサを実現するには、直線性、SN比、温度特性を改善する必要がある。
【0016】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、その目的は、SNに優れ高い検出分解能を有し、直線性が良好でかつ温度特性に優れた磁界検出素子を実現することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、素子の動作点を最適点にシフトさせる磁界バイアス手段を設けたことを特徴する。
【0018】
外部磁界に対する素子のインピーダンスは、磁性膜の幅方向に付与された異方性磁界に対応する磁界値でピークを持つ特性プロファイルを有する。ここで注目すべきことは、ピークの右側のプロファイルとピークの左側のプロファイルとで、プロファイル形状、及び温度に対する安定性の点で大きく異なる点である。図9に、寸法が縦1mm、横1mmの素子のインピーダンス特性を示す。
【0019】
図9を見ると、左側のプロファイルでは直線性が悪く、ヒステリシスが発生するが、右側のプロファイルでは直線性は良好でヒステリシスも発生しない。さらには、素子寸法を1mm×1mmよりも小さくしても、右側のプロファイルは直線性が良好で、ヒステリシスを示さないことが分かっている。また、右側特性プロファイルと左側特性プロファイルとで安定性(SN比、再現性)の点についても大きく異なり、右側特性プロファイルが左側特性プロファイルと比較して優れていることが分かった。
【0020】
図10に、各温度(雰囲気温度)に対するインピーダンス特性を示す。この結果を見ると、温度変化に対する特性変動についても、右側プロファイルのほうが左側プロファイルと比較して変動幅が小さいことが分かる。
【0021】
以上より、ヒステリシスのない安定した特性を実現するためには、インピーダンス特性プロファイルにおいて右側プロファイルを利用すればよいことが分かる。そこで、本発明においては、右側特性プロファイルが利用できるように、異方性磁界以上の磁界を発生する磁界バイアス手段を設けた。これにより、素子動作点を右側特性プロファイルにシフトさせることができ、SNに優れ高い検出分解能を有するセンサが実現できる。
【0022】
次に、右側特性プロファイルが、左側特性プロファイルと比較して、「何故、SN比、温度特性、ヒステリシス、再現性の点で優れるのか?」を考えてみる。左側の特性プロファイルでは外部磁界に対して磁壁移動が支配的になることより、特性プロファイル形状が複雑になったり、あるいは外部磁界の増減に対してヒステリシスを有したり、あるいは温度変化に対して特性が大きく変化する等の問題が生ずる。一方、右側の特性プロファイルでは外部磁界に対して磁化回転が支配的になることより、特性プロファイルの非直線性、あるいはヒステリシスの問題は全く発生しない。さらに、温度変化に対する特性変化も左側の特性プロファイルと比較して小さくなる。これは、磁壁移動は磁界に対して不可逆過程であるのに対して、磁化回転は磁界に対して可逆過程であることに起因している。したがって、素子に磁界をバイアスして動作点を右側の特性プロファイル部分とすることが高精度の磁気センサを実現する上で重要となる。
【0023】
なお、磁界をバイアスすることのメリットは上で述べたこと以外にもう1つある。上述のような構成の素子のインピーダンス変化は、正負どちらの磁界に対しても同じプロファイルを示す。したがって、素子をそのまま利用した場合には、検出する磁界の正負を判別することはできない。しかし、磁界をバイアスして、動作点を例えば図9に示すように右側特性の中間位置に設けてやれば、検出磁界の正負を判別することができる。
【0024】
次に、本発明は、インピーダンス変化の中におけるインダクタンス変化のみを検出する手段を設けたことも特徴とする。そこで、この点について、説明する。
【0025】
素子は外部からの磁界に対してインピーダンスが大きく変化する。先に述べたように、インピーダンス変化の内訳はインダクタンス変化と抵抗変化とに分けることができる。
【0026】
図6、図7、図8に、雰囲気温度をパラメータとしてインピーダンス、インダクタンス、抵抗の磁界に対する変化を示す。これらの結果を見ると、インダクタンス成分は温度に対して特性変動が抵抗分と比較して小さいことが分かる。すなわち、インダクタンス分Lは、温度の影響を受けにくい磁性膜の透磁率のみによって、透磁率をμとした場合、L=kμのように表される。なお、Kは形状により決定される定数である。一方、抵抗分は、磁性膜の透磁率と、温度の影響を受けやすい導体膜の抵抗率によって決定されている。そのため、雰囲気温度に対する安定性は抵抗分と比較してインダクタンス分が優れていると考えられる。したがって、素子のインダクタンス成分のみを検出する方式のセンサとすることにより、温度特性に優れた磁界センサを実現することができることが分かる。
【0027】
以上述べてきたように、本発明は、磁性体層とこの磁性体層に覆われた導体層とを含む線状の素子に対し、その長さ方向の両端に駆動用の高周波電流源と、電気信号の検出器を並列接続した構成を有し、かつ前記磁性層には素子幅方向に磁気異方性が付与されており、素子面に平行な磁界を素子のインピーダンスの変化として検出する積層型磁界検出素子において、次のような点を特徴とすることができる。
【0028】
(i)素子の長手方向に直流磁界をバイアスする手段を有する。
【0029】
(ii)外部磁界に対する素子インピーダンス変化の内インダクタンス変化分のみを検出する手段を有する。
【0030】
(iii)(i)または(ii)において、磁性層に付与された異方性磁界以上の直流磁界を加える磁界バイアス手段を有する。
【0031】
(iv)(iii)において、素子の下面に硬質磁性層を設けることにより磁界バイアス手段を形成する。
【0032】
(v)(iii)において、素子の下面に軟磁性層を設けることにより磁界バイアス手段を形成したことを特徴とする積層型磁界検出素子。
【0033】
(vi)(iii)において、素子周辺にパターンニングされた配線を設け、その配線に直流電流を通電し磁界バイアス手段とする。
【0034】
(vii)(iii)において、素子周辺に硬質磁性層を設けることにより磁界バイアス手段を形成する。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0036】
本発明に係る積層形磁界検出素子は、磁界感応部素子(軟磁性層と導体層との積層構造素子)、バイアス磁界発生部、インダクタンス検出部、高周波電源の4つの部材よりなる。
【0037】
本発明の代表的な実施形態の構成を図11に示す。このように、素子100の両端に高周波電源101が接続され、素子100に所定の高周波電流を供給する。素子100の両端には、インダクタンス検出回路102も接続されており、素子100におけるインダクタンス変化を検出する。なお、この実施形態では、素子100にバイアス磁界発生部が含まれている。
【0038】
素子100の磁界感応部は、Si単結晶などからなる基板215上に形成され、導電体からなる導体層212を軟質磁性体からなる軟質磁性層211で覆った構造である。軟質磁性層211はFeCoSiB、CoSiB等のアモルファス軟磁性体により形成されており、一方導体層212はCu、Al等の、軟質磁性層211に比べて導電率が1桁以上高い導電体で形成されている。各層は、真空蒸着法、スパッタリング法等の薄膜作製技術により作製される。また、軟質磁性層211は、素子の幅方向に直流磁場を印加した状態で作製されるため、素子の幅方向が軟質磁性層211の容易磁化方向となっている。ここでは、軟質磁性層211をFeCoSiB、CoSiBとしたが、これ以外にNiFe,CoNbZr等の、保磁力が1 Oe以下の軟磁性材料で置き換えてもかまわない。また、導体層212はCu等の導電体以外に、Al,Fe,Co等の導電体でもかまわない。
【0039】
軟質磁性層211の下方には、絶縁層213が形成されている。この絶縁層213は、軟質磁性層211の下方にのみ設けてもよいし、素子両端のパッド部として形成された導体層212の下方にまで延長し、素子100の全面に設けてもよい。
【0040】
絶縁層213の下には、磁界バイアス用の磁石である硬質磁性層214が形成されている。硬質磁性層214はCoPt、FePtよりなる。そして、この硬質磁性層214の端部からは漏洩磁界が発生し、この漏洩磁界が絶縁層213を介して上部に作製された素子100にバイアス磁界として印加される。ここで、素子に印加される漏洩磁界(バイアス磁界)の大きさは、磁性層である素子の軟質磁性層211に付与された異方性磁界より大きな値となる必要がある。そこで、硬質磁性層214を調整して、バイアス磁界の大きさを調整する。調整方法は、硬質磁性層214の厚み、あるいは組成の調整により行う。
【0041】
なお、ここでは磁界バイアス用として硬質磁性層214を採用したが、軟質磁性層を用いてもよい。軟質磁性層の組成は、FeSiB,CoSiB,FeCoSiB等の、保磁力が1 Oe以下のアモルファス軟磁性材料ならばどれでもよい。
【0042】
本実施形態の積層型磁界検出素子の動作について説明する。まず、この素子100の導体層212の両端は高周波電源101に結線されており、ここから高周波電流を印加する。
【0043】
この状態において、基板210面に平行に被検出磁界Hextが印加されると、これにより軟質磁性層211の磁化状態が変化し、素子100の幅方向の透磁率μが変化する。この透磁率μの変化により、素子100両端のインピーダンスZが変化する。
【0044】
そのインピーダンス変化Z(内訳:インダクタンスLと抵抗R)の中からインダクタンスL分をインダクタンス検出回路102によりピックアップする。インダクタンス検出回路102は、例えば素子100の両端電圧における振幅と位相の変化を検出して、インダクタンスの変化量を検出する。そして、インダクタンスL分は、透磁率の変化、被検出磁界Hextと対応しているので、インダクタンスの変化量を読みとれば、被検出磁界Hextの大きさがわかる。
【0045】
さらに、素子インダクタンス特性の右側プロファイルを利用するために素子長手方向に直流磁界をバイアスして動作点をシフトさせる。このために、バイアス磁界の大きさは軟質磁性層211に付与された異方性磁界Hkより大きな値としている。外部から検出磁界が加わると、素子インダクタンス特性の右側プロファイルが動くことになる。
【0046】
このように、磁界に対する素子インピーダンス変化の中からインダクタンス成分を抽出することにより、温度特性に優れた磁界センサを達成している。さらに、磁性層に付与された異方性磁界Hk以上の直流磁界を発生する磁界バイアス部を設け素子特性の動作点をシフトさせ素子特性右側プロファイルを利用することにより、検出磁界の正負(方向)が判別でき、高SN比、ヒステリシスのない、直線性が良好で、再現性に優れた磁界センサを実現することができた。
【0047】
元来、外部磁界に対して素子インピーダンスが変化するという素子は、磁気抵抗効果を用いたMR素子、あるいはホール効果を用いたホール素子などと比較して、高感度の点で優れていると言われていた。しかし、温度特性、出力の再現性、あるいはSN比の点では同程度であり、より一層の改善が求められていた。今回、本発明では上記問題を解決し、小型で高感度な実用性の高い磁界検出素子を実現することができた。
【0048】
これにより、自動車内等悪い環境下で使用する場合においても、高精度に磁界検出が可能となる。また、薄膜素子であることより、基板としてSiを用いれば回路一体化が可能となり、磁気センサを用いたシステム全体のコストダウンが可能となる。
【0049】
なお、この実施形態では、磁界バイアス部として磁界感応部の下に絶縁層を介して磁界バイアス用の層を設けたが、これに限らず各種の手法があるので以下に記述する。
【0050】
(1) 素子下面に磁界バイアス層を配置する方法
図12に示すように、素子100の下面に絶縁層213を介して硬質磁性層214を設ける構造とすることにより磁界のバイアスを行う。硬質磁性層214の端面からは漏洩磁界が発生しその上部の素子に磁界が加わることになる。
【0051】
なお、ここでは硬質磁性層214を素子下面に配置したが、硬質磁性層214に代えて軟質磁性層を配置して磁界バイアスをする方法もある。このように、軟質磁性層を配置した場合には、外部から磁界が印加されない時には漏洩磁界が発生しない。しかし、外部から磁界が印加されると、軟磁性層の磁化され端部には磁荷が発生する。そして、この磁荷により漏洩磁界が発生しこれがバイアス磁界となる。
【0052】
(2) 素子にバイアス導線を配置する方法
図13に示すように素子の近くに2本のバイアス導線310を平行に配置し、これらバイアス導線310に同一の方向に直流電流を通電する方法がある。バイアス導線310から直流磁界が発生し、この磁界がバイアス磁界となり素子100の動作点をシフトさせることができる。特に、素子寸法を数mmサイズまで小さくし、2本のバイアス導線310の間隙を狭くすることで、素子100に効果的に磁界が加えられることになり、本方法はより効果的になる。
【0053】
さらには、図14に示すように、素子が作製されている基板の面とは反対側の面(基板裏面)にバイアス導線311を作製し、バイアス磁界を発生させる方法もある。この方法では、バイアス導線311は素子100の直下で素子100の幅方向に配置され、導線の幅は素子の長手方向の寸法より大きくする。こうすることにより、磁界を効率良く素子100に加えることができる。
【0054】
(3) 素子にバイアスコイルを配置する方法
図15に示すように素子周囲に導線を巻いてコイル312を形成する。このコイル312に直流電流を通電し直流磁界を発生させる。この磁界がバイアス磁界となり素子100の動作点をシフトさせることができる。
【0055】
(4) 素子の両端に硬質磁性層を配置する方法
図16に示すように素子100の長手方向の両端に、素子100を挟んで、硬質磁性層(磁石)313を配置形成する。この硬質磁性層からは磁界が発生しこの磁界がバイアス磁界となり素子の動作点をシフトさせることができる。
【0056】
【実施例】
「実施例1」
実施例1の素子の斜視図を図17に示す。また、素子断面図を図18に示す。素子100は基板215上に形成されている。まず、磁界バイアス用の硬質磁性層214が基板215上に形成される。その上に、絶縁層213を介して、磁界感応部が形成されている。
【0057】
磁界感応部は、導体層212を軟質磁性層211で上下から覆った構造である。導体層212と軟質磁性層211は、直接接触している。軟質磁性層211はFeCoSiB、CoSiB等のアモルファス軟質磁性体により形成されており、一方導体層212はCu、Al等の、軟質磁性層211に比べて導電率が1桁以上高い導電体で形成されている。各層は、真空蒸着法、スパッタリング法等の薄膜作製技術により作製される。また軟質磁性層211は、素子の幅方向に直流磁場を印加した状態で作製されるため、素子の幅方向が軟質磁性層211の容易磁化方向となっている。
【0058】
絶縁層213の下には磁界バイアス用の硬質磁性層214が形成されている。硬質磁性層214はCoPt、FePtよりなる。硬質磁性層の端部からは漏洩磁界が発生し、この漏洩磁界が絶縁層を介して上部に作製された磁界感応部に印加されることになる。磁界感応部に印加される漏洩磁界(バイアス磁界)の大きさが軟質磁性層211に付与された異方性磁界より大きな値となるように調整し、素子インピーダンス特性においてピークより右側プロファイルの中間に素子動作点がくるようにした。調整方法は、硬質磁性層の厚み、あるいは組成により行った。
【0059】
素子の動作は以下のようである。この素子の導体層212の両端は高周波電源101に結線され、高周波電流が印加される。このとき、素子に外部から被検出直流磁界が与えられると、軟質磁性層211の透磁率が変化する。この透磁率変化に基づき素子のインピーダンスZ(内訳:インダクタンスLと抵抗Rの変化)が変化する。
【0060】
ここで、硬質磁性層214端部に発生する磁荷による磁界バイアスにより素子の動作点はピークより右側の特性プロファイルの中間に設定されている。したがって、検出磁界によるインピーダンス変化は右側の特性プロファイル上を動くことになる。このインピーダンス変化量の中からインダクタンスLの変化量のみを、インダクタンス検出回路102により検出することによって、被検出磁界の磁界強度を検出する。
【0061】
なお、この素子については、素子作製後磁場中熱処理を実施した。熱処理温度280℃、印加磁界2kOe、熱処理時間30minである。この磁場中熱処理により、磁性膜の磁気特性の熱ダメージに対する安定化を図ることができる。
【0062】
「実施例2」
実施例2の説明を以下に行う。図19は、第2実施例の斜視図である。素子100は、基板210上に軟質磁性層211と導体層212で形成されている。軟質磁性層211の寸法は長さ2mm、幅1mm、導体層212の上下の位置にある部分の厚さがそれぞれ2μmであり、導体層212は長さ4mm、幅100μm、厚さ2μmである。軟質磁性層211と導体層212は真空蒸着法等の薄膜作製技術により作製され、互いに密着している。また、基板210と軟質磁性層211の下面も同様に密着している。軟質磁性層211は保磁力が1 Oe以下のFeCoSiBのアモルファス軟磁性体で形成され、その磁化容易軸は素子100の幅方向につけられている。また、導体層212はCuで形成されている。この素子100の導体層212は軟質磁性層211よりも長く取り出され、素子100の長さ方向の両端に配線用の電極を構成する。素子の外側両端には、磁界バイアス用の配線220が配置されている。これらの配線は低抵抗であるCuで形成されている。各々の配線には直流電流が通電されている。電流の通電方向は各々同じである。ここでは、素子100の寸法は1mm角サイズと小さいので、2本のバイアス導線の間隙は数mmと狭い。したがって、素子100に効果的に磁界が加えられることになる。
【0063】
この素子の作製手順を図20に示す。基板上にまず軟質磁性層211を成膜する。次に素子導体層212と磁界バイアス用の配線220を成膜し、最後に軟質磁性層211を成膜する。素子のインピーダンス特性においてピークを示す磁界を決定する一軸磁気異方性は、成膜時に素子の幅方向に磁界を印加することにより付与する。
【0064】
「実施例3」
本発明の実施例3を図21に示す。これは素子100を上部から見た図である。積層化された細線230がつづら折りされ、その両端には電極取り出し用のパッド223が形成されている。素子の寸法は、細線230の幅が50μm、最も長い部分の長さが3mm、折り返し部分の長さが400μm、厚さが6μmである。つづら折り(ミアンダ)状にパターンニングすることにより、素子インピーダンスを大きくすることができ、インダクタンス検出回路102とのマッチングを向上させることができる。素子100の断面構造を断面250でカットしたのが図22である。
【0065】
この素子の細線230は図22のようにシリコン基板215上に軟質磁性層211、導体層212、で構成されている。導体層212はCu,Al等の導電体であり、膜厚が3μmである。軟質磁性層211には、磁化容易軸が線幅方向に付与されている。軟質磁性層211は、FeCoSiB,CoSiBよりなり、膜厚は2μmである。バイアス磁界発生層214が基板215の裏面に形成されている。このバイアス磁界発生層214は、硬質磁性材料、あるいは軟質磁性材料よりなり、膜厚は数μmである。本実施例に見られる素子は、フォトリソグラフィー技術によりシリコン基板215上に形成される。
【0066】
「実施例4」
実施例4の説明を以下に行う。図23は、本実施例の素子を上から見た図である。素子100は、シリコン単結晶の基板215上につづら折り(ミアンダ)状に形成されている。その両端には配線取り出し用のボンディングパッドを形成している。ボンディングパット上には駆動用の高周波電源101とインダクタンス検出回路102が並列に接続される。
【0067】
図24は、図23の素子100の細線部における断面図である。磁界バイアス層(硬質磁性層)214である第一層上には絶縁層213である第二層が形成される。その後、第二層上には軟質磁性層211である第三層、導体層212である第四層、軟質磁性層211である第五層が配置される。硬質磁性層214はFePt層、絶縁層213はSiO2層、軟質磁性層211はCoSiB層、導体層212はCu層より各々形成される。なお、この素子は実施例1から実施例3において示した素子とは異なり、導体層212の周囲(サイドも含む)を軟質磁性層211が覆う断面構造とはなっていない。導体層212の上下を軟質磁性層211が挟む単なるサンドイッチ構造である。
【0068】
本素子の作製手順を以下に述べる。第一層、第二層、第三層、第四層、第五層と順次成膜していく。成膜は真空蒸着、あるいはスパッタリングにより行う。パターンニングは第五層までの成膜が終わった段階で、レーザートリミング装置を用いて、レーザー描画によるパターニングを行う。この作製方法はフォトリソグラフィ技術による作製と比較してより簡便な手法であり、量産化を考えた場合有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の磁界検出素子の構成を示す図である。
【図2】 図1に示す従来の磁界検出素子の出力特性を示す図である。
【図3】 導体層を有する従来の磁界検出素子の構成を示す図である。
【図4】 図3に示す従来の磁界検出素子の出力特性を示す図である。
【図5】 磁化分布モデルを示す図である。
【図6】 雰囲気温度をパラメータとした外部磁界変化に対するインピーダンス変化を示す図である。
【図7】 雰囲気温度をパラメータとした外部磁界変化に対するインダクタンス変化を示す図である。
【図8】 雰囲気温度をパラメータとした外部磁界変化に対する抵抗変化を示す図である。
【図9】 外部磁界変化に対するインピーダンス変化を示す図である。
【図10】 雰囲気温度に対するインピーダンス変化を示す図である。
【図11】 実施形態の積層型磁界検出素子の構成を示す図である。
【図12】 磁界バイアス発生のための構成例を示す図である。
【図13】 磁界バイアス発生のための他の構成例を示す図である。
【図14】 磁界バイアス発生のためのさらに他の構成例を示す図である。
【図15】 磁界バイアス発生のためのさらに他の構成例を示す図である。
【図16】 磁界バイアス発生のためのさらに他の構成例を示す図である。
【図17】 実施例1の積層型磁界検出素子の構成を示す図である。
【図18】 実施例1の積層型磁界検出素子の断面構成を示す図である。
【図19】 実施例2の積層型磁界検出素子の構成を示す図である。
【図20】 実施例2の積層型磁界検出素子の作製手順を示す図である。
【図21】 実施例3の積層型磁界検出素子の平面構成を示す図である。
【図22】 実施例3の積層型磁界検出素子の断面構成を示す図である。
【図23】 実施例4の積層型磁界検出素子の平面構成を示す図である。
【図24】 実施例4の積層型磁界検出素子の断面構成を示す図である。
【符号の説明】
100 素子、101 高周波電源、102 インダクタンス検出回路、211 軟質磁性層、212 導体層、213 絶縁層、214 硬質磁性層、215 基板。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a stacked magnetic field detection element that detects a magnetic field applied from the outside by using impedance change in a magnetic layer.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, a magnetic field detection element (magnetic sensor) for detecting a magnetic field is known and used in various fields. In particular, magnetic field detectors that can detect low magnetic fields with high sensitivity include magnetic field sensors that detect the absolute amount of magnetism in analog, position sensors that detect the position of an object in a non-contact manner, distance sensors that detect the distance to an object, and rotation. Used for digitally detected rotation sensors, magnetic heads, and the like.
[0003]
As such a magnetic field detection element, an element using an amorphous soft magnetic thin film such as FeCoSiB, CoSiB, CoNbZr or the like is conventionally known. This conventional magnetic sensor will be described with reference to FIG.
[0004]
In this magnetic field detection element, a sine wave current from an
[0005]
[Expression 1]
Z = √ {R 2 + (ΩL) 2 } (1)
Here, R is the resistance of the element, L is the inductance of the element, and ω is the driving angular frequency. The relationship between the magnetic field to be detected and the permeability, and the relationship between the permeability and the impedance can be determined in advance.
[0006]
Therefore, the magnitude of the detected magnetic field can be detected by detecting the voltage change accompanying the change ΔZ / Z of the impedance Z by the
[0007]
Here, the present applicant has proposed, in JP-A-8-320362, an element having a laminated structure in which a magnetic layer surrounds a nonmagnetic conductor layer instead of an amorphous magnetic film single layer element. In this element, as shown in FIG. 3, an elongated plate-
[0008]
FIG. 4 shows element impedance characteristics of the stacked element with respect to an external magnetic field. Thus, the impedance change is more than twice the external magnetic field (detected magnetic field) of 10 Oe, and the impedance change rate at both ends of the element is 100% or more with respect to the detected magnetic field. : Several tens of percent). Also, the driving frequency can be reduced by an order of magnitude from 1 MHz to 10 MHz as compared with a single layer film element (driving frequency: 10 MHz to 100 MHz).
[0009]
Here, output characteristics of the multilayer element shown in FIG. 3 will be described. The amorphous
[0010]
The reason why the magnetic anisotropy determines the element characteristic profile (the anisotropic magnetic field Hk coincides with the value of the magnetic field showing a peak in the element output characteristic) will be described from the theoretical viewpoint. As shown in FIG. 5, the magnetization state of the magnetic film of the element is determined by the detected magnetic field Hext, the anisotropic magnetic field Hk, the applied driving magnetic field H, and the demagnetizing fields Hdx and Hdy generated in the opposite direction to the driving magnetic field H. Is done. Using this, the formula of magnetic energy E in the entire element is as shown in the following formula (2).
[0011]
[Expression 2]
Here, Ms is the magnetization, and θ is the magnetization direction (indicated by an angle formed with the easy magnetization direction).
[0012]
The absolute value of the demagnetizing field Hdx is smaller than that of the driving magnetic field H, and is opposite to H and has a negative sign. The relationship between the demagnetizing field Hdy and the detected magnetic field Hext is the same. The magnetization direction θ is determined by the balance of the anisotropic magnetic field Hk, the detected magnetic field Hext, the demagnetizing fields Hdx and Hdy, and the driving magnetic field H so that E is minimized. From the magnetization direction θ, the magnetic permeability μ of the magnetic film that determines the impedance characteristics of the element is calculated.
[0013]
From the calculation of the magnetic permeability μ, it can be seen that the impedance characteristic of this element shows a peak at the value of the magnetic field that matches the anisotropic magnetic field Hk. Furthermore, with respect to device sensitivity, it can be seen that the largest change in device impedance can be obtained when anisotropy is provided in the width direction of the device as shown in FIG.
[0014]
Since the anisotropic magnetic field Hk can be controlled stably by processing in the magnetic field at the time of device fabrication by sputtering, vacuum deposition or other thin film fabrication technology, or by exchange interaction between magnetic layers, the device characteristic profile should be controlled by thin film fabrication technology. Is possible. By controlling the element characteristic profile, a high-performance magnetic field sensor can be obtained.
[0015]
[Problems to be solved by the invention]
Here, when considering application to automobiles, machine tools, etc., it is important that the magnetic field sensor has excellent temperature characteristics and SN ratio, good linearity, and no hysteresis. For example, when considering application to an automobile engine, the engine oil temperature rises to about 120 ° C. and about 130 ° C., so the temperature characteristic of the sensor is very important. The above-mentioned amorphous soft magnetic film single layer element and laminated element are insufficient in terms of linearity, high S / N ratio, and temperature characteristics, and there is also a problem that the positive / negative of the detected magnetic field cannot be determined. Therefore, in order to realize a sensor that detects the position, distance, rotational position / speed, etc. using a magnetic field useful in automobiles, machine tools, etc., or an azimuth sensor by geomagnetic detection, the linearity, SN ratio, and temperature characteristics are improved. There is a need to.
[0016]
The present invention has been made in view of the above problems, and an object of the present invention is to realize a magnetic field detection element having excellent SN and high detection resolution, excellent linearity, and excellent temperature characteristics.
[0017]
[Means for Solving the Problems]
The present invention is characterized in that magnetic field biasing means for shifting the operating point of the element to the optimum point is provided.
[0018]
The impedance of the element with respect to the external magnetic field has a characteristic profile having a peak at a magnetic field value corresponding to the anisotropic magnetic field applied in the width direction of the magnetic film. What should be noted here is that the profile on the right side of the peak and the profile on the left side of the peak differ greatly in terms of profile shape and temperature stability. FIG. 9 shows impedance characteristics of an element having dimensions of 1 mm in length and 1 mm in width.
[0019]
Referring to FIG. 9, the left profile has poor linearity and hysteresis, but the right profile has good linearity and no hysteresis. Furthermore, it has been found that even when the element size is smaller than 1 mm × 1 mm, the profile on the right side has good linearity and no hysteresis. Further, the right characteristic profile and the left characteristic profile also differ greatly in terms of stability (S / N ratio, reproducibility), and it was found that the right characteristic profile is superior to the left characteristic profile.
[0020]
FIG. 10 shows impedance characteristics with respect to each temperature (atmosphere temperature). From this result, it can be seen that the fluctuation width of the characteristic profile with respect to the temperature change is smaller in the right profile than in the left profile.
[0021]
From the above, it can be seen that the right profile may be used in the impedance characteristic profile in order to realize a stable characteristic without hysteresis. Therefore, in the present invention, a magnetic field biasing means for generating a magnetic field higher than the anisotropic magnetic field is provided so that the right characteristic profile can be used. Thereby, the element operating point can be shifted to the right characteristic profile, and a sensor having excellent SN and high detection resolution can be realized.
[0022]
Next, consider why the right characteristic profile is superior to the left characteristic profile in terms of SN ratio, temperature characteristics, hysteresis, and reproducibility. In the characteristic profile on the left, the domain wall motion becomes dominant with respect to the external magnetic field, so the shape of the characteristic profile becomes complicated, or there is hysteresis with respect to the increase and decrease of the external magnetic field, or the characteristics with respect to temperature changes. This causes problems such as a large change. On the other hand, in the characteristic profile on the right side, the magnetization rotation is dominant with respect to the external magnetic field, so that there is no problem of nonlinearity of the characteristic profile or hysteresis. Further, the characteristic change with respect to the temperature change is also smaller than the characteristic profile on the left side. This is because the domain wall motion is an irreversible process with respect to the magnetic field, whereas the magnetization rotation is a reversible process with respect to the magnetic field. Therefore, it is important to realize a highly accurate magnetic sensor by biasing the element with a magnetic field and setting the operating point as the characteristic profile portion on the right side.
[0023]
There is another merit of biasing the magnetic field in addition to the above. The change in impedance of the element configured as described above shows the same profile for both positive and negative magnetic fields. Therefore, when the element is used as it is, it is not possible to determine whether the magnetic field to be detected is positive or negative. However, if the magnetic field is biased and the operating point is provided at an intermediate position of the right characteristic as shown in FIG. 9, for example, it is possible to determine whether the detected magnetic field is positive or negative.
[0024]
Next, the present invention is characterized in that means for detecting only an inductance change in an impedance change is provided. Therefore, this point will be described.
[0025]
The impedance of the element changes greatly with respect to the magnetic field from the outside. As described above, the breakdown of the impedance change can be divided into an inductance change and a resistance change.
[0026]
6, 7, and 8 show changes in impedance, inductance, and resistance with respect to the magnetic field using the ambient temperature as a parameter. From these results, it can be seen that the inductance component has a smaller characteristic variation with respect to the temperature than the resistance component. That is, the inductance L is expressed as L = kμ, where μ is the magnetic permeability of the magnetic film that is not easily affected by temperature. K is a constant determined by the shape. On the other hand, the resistance is determined by the magnetic permeability of the magnetic film and the resistivity of the conductor film that is easily affected by temperature. For this reason, it is considered that the stability with respect to the atmospheric temperature is superior in inductance compared to resistance. Therefore, it can be seen that a magnetic field sensor having excellent temperature characteristics can be realized by using a sensor that detects only the inductance component of the element.
[0027]
As described above, the present invention relates to a linear element including a magnetic layer and a conductor layer covered with the magnetic layer, a high-frequency current source for driving at both ends in the length direction, A laminate in which electrical signal detectors are connected in parallel, and the magnetic layer is provided with magnetic anisotropy in the element width direction, and detects a magnetic field parallel to the element surface as a change in the impedance of the element. The magnetic field detecting element can be characterized as follows.
[0028]
(I) It has means for biasing a DC magnetic field in the longitudinal direction of the element.
[0029]
(Ii) It has means for detecting only the amount of change in the internal impedance of the change in the element impedance with respect to the external magnetic field.
[0030]
(Iii) In (i) or (ii), there is provided a magnetic field biasing means for applying a DC magnetic field equal to or higher than the anisotropic magnetic field applied to the magnetic layer.
[0031]
(Iv) In (iii), a magnetic field biasing means is formed by providing a hard magnetic layer on the lower surface of the element.
[0032]
(V) A laminated magnetic field detecting element according to (iii), wherein a magnetic field biasing means is formed by providing a soft magnetic layer on the lower surface of the element.
[0033]
(Vi) In (iii), a patterned wiring is provided around the element, and a direct current is applied to the wiring to form magnetic field bias means.
[0034]
(Vii) In (iii), a magnetic field biasing means is formed by providing a hard magnetic layer around the element.
[0035]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention (hereinafter referred to as embodiments) will be described with reference to the drawings.
[0036]
The laminated magnetic field detecting element according to the present invention is composed of four members: a magnetic field sensitive element (a laminated structure element of a soft magnetic layer and a conductor layer), a bias magnetic field generating part, an inductance detecting part, and a high frequency power source.
[0037]
The configuration of a representative embodiment of the present invention is shown in FIG. Thus, the high
[0038]
The magnetic field sensitive part of the
[0039]
An insulating
[0040]
Under the insulating
[0041]
Here, the hard
[0042]
The operation of the multilayer magnetic field detection element of this embodiment will be described. First, both ends of the
[0043]
In this state, when the detected magnetic field Hext is applied parallel to the surface of the
[0044]
An inductance L component is picked up by the
[0045]
Further, in order to use the right profile of the element inductance characteristic, the operating point is shifted by biasing a DC magnetic field in the element longitudinal direction. For this reason, the magnitude of the bias magnetic field is set to a value larger than the anisotropic magnetic field Hk applied to the soft
[0046]
In this way, a magnetic field sensor having excellent temperature characteristics is achieved by extracting an inductance component from changes in element impedance with respect to a magnetic field. Further, a magnetic field bias unit that generates a DC magnetic field greater than the anisotropic magnetic field Hk applied to the magnetic layer is provided to shift the operating point of the element characteristic and use the element characteristic right profile, thereby detecting the positive / negative (direction) of the detected magnetic field. Thus, a magnetic field sensor having a high SN ratio, no hysteresis, good linearity and excellent reproducibility could be realized.
[0047]
Originally, an element whose element impedance changes with respect to an external magnetic field is superior in terms of high sensitivity compared to an MR element using a magnetoresistive effect or a Hall element using a Hall effect. It was broken. However, the temperature characteristics, output reproducibility, and SN ratio are similar, and further improvement has been demanded. This time, the present invention has solved the above-mentioned problems and has realized a small and highly sensitive magnetic field detecting element with high practicality.
[0048]
Thereby, even when used in a bad environment such as in an automobile, the magnetic field can be detected with high accuracy. Moreover, since it is a thin film element, if Si is used as a substrate, circuit integration becomes possible, and the cost of the entire system using a magnetic sensor can be reduced.
[0049]
In this embodiment, the magnetic field bias layer is provided with a magnetic field bias layer below the magnetic field sensitive portion via an insulating layer. However, the present invention is not limited to this, and various methods are described below.
[0050]
(1) Method of arranging a magnetic field bias layer on the lower surface of the element
As shown in FIG. 12, the magnetic field is biased by providing a structure in which a hard
[0051]
Although the hard
[0052]
(2) A method of arranging a bias conductor in the element
As shown in FIG. 13, there is a method in which two bias conducting
[0053]
Further, as shown in FIG. 14, there is a method in which a bias
[0054]
(3) Method of arranging a bias coil in the element
As shown in FIG. 15, a
[0055]
(4) Method of disposing hard magnetic layers at both ends of the element
As shown in FIG. 16, hard magnetic layers (magnets) 313 are arranged and formed on both ends of the
[0056]
【Example】
"Example 1"
A perspective view of the element of Example 1 is shown in FIG. FIG. 18 shows a cross-sectional view of the element. The
[0057]
The magnetic field sensitive part has a structure in which the
[0058]
A hard
[0059]
The operation of the element is as follows. Both ends of the
[0060]
Here, the operating point of the element is set in the middle of the characteristic profile on the right side of the peak due to the magnetic field bias caused by the magnetic charge generated at the end of the hard
[0061]
This element was subjected to heat treatment in a magnetic field after the element was manufactured. The heat treatment temperature is 280 ° C., the applied magnetic field is 2 kOe, and the heat treatment time is 30 minutes. This heat treatment in a magnetic field can stabilize the magnetic properties of the magnetic film against thermal damage.
[0062]
"Example 2"
The second embodiment will be described below. FIG. 19 is a perspective view of the second embodiment. The
[0063]
A manufacturing procedure of this element is shown in FIG. First, the soft
[0064]
"Example 3"
A third embodiment of the present invention is shown in FIG. This is a view of the
[0065]
The
[0066]
Example 4
Example 4 will be described below. FIG. 23 is a top view of the device of this example. The
[0067]
24 is a cross-sectional view of the thin line portion of the
[0068]
A manufacturing procedure of this element will be described below. The first layer, the second layer, the third layer, the fourth layer, and the fifth layer are sequentially formed. Film formation is performed by vacuum evaporation or sputtering. Patterning is performed by laser drawing using a laser trimming apparatus at the stage where the film formation up to the fifth layer is completed. This manufacturing method is a simpler method than manufacturing by a photolithography technique, and is effective when considering mass production.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a configuration of a conventional magnetic field detection element.
FIG. 2 is a diagram showing output characteristics of the conventional magnetic field detection element shown in FIG.
FIG. 3 is a diagram showing a configuration of a conventional magnetic field detection element having a conductor layer.
4 is a diagram showing output characteristics of the conventional magnetic field detection element shown in FIG. 3. FIG.
FIG. 5 is a diagram showing a magnetization distribution model.
FIG. 6 is a diagram showing an impedance change with respect to an external magnetic field change using an ambient temperature as a parameter.
FIG. 7 is a diagram showing an inductance change with respect to an external magnetic field change using an ambient temperature as a parameter.
FIG. 8 is a diagram showing a resistance change with respect to an external magnetic field change using an ambient temperature as a parameter.
FIG. 9 is a diagram showing an impedance change with respect to an external magnetic field change.
FIG. 10 is a diagram showing a change in impedance with respect to an ambient temperature.
FIG. 11 is a diagram illustrating a configuration of a multilayer magnetic field detection element according to an embodiment.
FIG. 12 is a diagram illustrating a configuration example for generating a magnetic field bias.
FIG. 13 is a diagram illustrating another configuration example for generating a magnetic field bias.
FIG. 14 is a diagram showing still another configuration example for generating a magnetic field bias.
FIG. 15 is a diagram showing still another configuration example for generating a magnetic field bias.
FIG. 16 is a diagram showing still another configuration example for generating a magnetic field bias.
FIG. 17 is a diagram showing a configuration of a multilayer magnetic field detection element of Example 1.
18 is a diagram showing a cross-sectional configuration of the multilayer magnetic field detection element of Example 1. FIG.
FIG. 19 is a diagram showing a configuration of a multilayer magnetic field detection element of Example 2.
20 is a diagram showing a manufacturing procedure of the multilayer magnetic field detection element of Example 2. FIG.
FIG. 21 is a diagram illustrating a planar configuration of a multilayer magnetic field detection element of Example 3.
22 is a diagram showing a cross-sectional configuration of the multilayer magnetic field detection element of Example 3. FIG.
FIG. 23 is a diagram illustrating a planar configuration of a multilayer magnetic field detection element of Example 4.
24 is a diagram showing a cross-sectional configuration of the multilayer magnetic field detection element of Example 4. FIG.
[Explanation of symbols]
100 elements, 101 high frequency power source, 102 inductance detection circuit, 211 soft magnetic layer, 212 conductor layer, 213 insulating layer, 214 hard magnetic layer, 215 substrate.
Claims (2)
素子の長手方向に直流磁界をバイアスする磁界バイアス手段を有し、
この磁界バイアス手段は、
前記被検出磁界の検出範囲を、被検出磁界が大きくなるに従って、前記素子のインピーダンスが単調減少することになるところまでシフトさせる大きさの直流磁界をバイアスすることを特徴とする積層型磁界検出素子。A linear element including a magnetic layer and a conductor layer covered with the magnetic layer has a configuration in which a driving high-frequency current source and an electric signal detector are connected to both ends in the length direction. In the stacked magnetic field detection element, the magnetic layer is provided with magnetic anisotropy in the element width direction, and detects a detected magnetic field parallel to the element surface as a change in the impedance of the element.
Have a magnetic field biasing means for biasing DC magnetic field in the longitudinal direction of the element,
This magnetic field biasing means
A laminated magnetic field detecting element characterized by biasing a DC magnetic field having a magnitude that shifts the detection range of the detected magnetic field to a point where the impedance of the element monotonously decreases as the detected magnetic field increases. .
前記素子のインダクタンスを検出するインダクタンス検出回路を有し、このインダクタンス回路により前記素子のインダクタンスを検出することで被検出磁界を検出することを特徴とする積層型磁界検出素子。 A multilayer magnetic field detection element having an inductance detection circuit for detecting an inductance of the element, and detecting a detected magnetic field by detecting the inductance of the element by the inductance circuit.
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