JP3730011B2 - 同軸円筒型2次電子引き込み電極及びその電極の調整方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子検出・計測技術に係り、特に、2次電子をモット検出器に引き込むための同軸円筒型2次電子引き込み電極及びその電極の調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のモット検出器用2次電子引き込み電極は、以下に示すような構造であった。
【0003】
図4はかかる従来の典型的なモット検出器用2次電子引き込み電極の断面図である。
【0004】
この図において、101は試料、102はシールド電極、103は引き込み電極、104はアパーチャである。
【0005】
この図に示すように、従来のモット検出器用2次電子引き込み電極、つまり、シールド電極102及び引き込み電極103の先端102A,103Aは、細くなるように形成されている。このように、先端が細くなっているのはできるだけ試料101周辺の空間を妨げないための配慮である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、2次電子の引き込み能力が小さいため、試料101から電極先端102A,103Aまでの距離が5mm程度と短く、試料101表面に対する諸作業は困難であった。
【0007】
また、電極の形状が複雑である上、接地電位以外に2つの異なる電位が必要なため、設計・製作も困難であった。
【0008】
本発明は、上記問題点を除去し、試料表面から引き込み電極先端までの距離を十分長くし、電極の形状を簡素化するとともに、引き込み能力を向上させることができる同軸円筒型2次電子引き込み電極及びその電極の調整方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕2次電子をモット検出器に引き込むための同軸円筒型2次電子引き込み電極において、2次電子を引き込むための、外側に配置される円筒型シールド電極とこの円筒型シールド電極の内側に配置される円筒型電子引き込み電極からなる2つの電極と、この2つの電極の後方であって、2次電子の引き込み口に配置される第1アパーチャと、この第1アパーチャの後方に第1ドリフトチューブを介して配置される電子線を集束させるアインツェルレンズと、このアインツェルレンズの後方に第2ドリフトチューブを介して配置される第2アパーチャとを具備するようにしたものである。
【0010】
〔2〕上記〔1〕記載の同軸円筒型2次電子引き込み電極において、前記第1アパーチャは電子線の焦点位置に設置し、エネルギーの高い2次電子や散乱電子などの進入を阻止し、前記アインツェルレンズは前記第1アパーチャの位置で集束した電子線がその後適度に広がった位置に設置し、前記第2アパーチャは余分な電子の進入を阻止するために設置するようにしたものである。
【0011】
〔3〕2次電子をモット検出器に引き込むための同軸円筒型2次電子引き込み電極の調整方法において、2次電子を引き込むための、外側に配置される円筒型シールド電極と該円筒型シールド電極の内側に配置される円筒型電子引き込み電極とを配置し、内側に配置される円筒型電子引き込み電極の先端が外側に配置される円筒型シールド電極の先端に対して、前方から後方になる位置まで前記引き込み電極の長さのみの設定により、2次電子の引き込み能力を調整し、最適条件を得るようにしたものである。
【0012】
このように、本発明によれば、電極形状の工夫により引き込み能力を高く、かつ、製作コストを低減すると同時に、その電極形状が持つ電子線集束性を利用してアパーチャにより余分な電子の進入を阻止するようにしている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施例を示すモット検出器用同軸円筒型2次電子引き込み電極の構成断面図である。
【0015】
図1に示すように、2次電子引き込み電極は、同軸円筒型の2つの電極、つまり、外側に配置される円筒型シールド電極2、内側に配置される円筒型電子引き込み電極3からなり、第1アパーチャ4、アインツェルレンズ5、第2アパーチャ6が配置されている。
【0016】
また、11は第1のドリフトチューブ、12は第2のドリフトチューブ、13は第3のドリフトチューブ、14は環状絶縁体支持体であり、例えば、円筒型シールド電極2、円筒型電子引き込み電極3、第1アパーチャ4、アインツェルレンズ5、第2アパーチャ6、第1のドリフトチューブ11、第2のドリフトチューブ12、第3のドリフトチューブ13の各部分の材質は、ステンレスを用いることができる。
【0017】
ただし、これらの部分の材質はステンレスに限定されるものではなく、超真空中で使用できる金属材料であれば、基本的には同じ性能になる。できれば、パーマロイなどの磁場を遮蔽するものが望ましい。
【0018】
また、本発明の電極の直径は、例えば「円筒型電子引き込み電極3」の内径(φ2 )が16mm、外径が20mmであり、「円筒型シールド電極2」の内径(φ1 )が30mm、外径が34mmである。e1 は一次電子、e2 は二次電子、試料1と円筒型シールド電極2間の距離は、例えば、45mmである。
【0019】
これに対して、従来型の例では、「円筒型電子引き込み電極3に相当」の内径が6mm、外径が8mm、「円筒型シールド電極2に相当」の内径が14mm、外径が16mmである。
【0020】
ここで、外側に配置される円筒型シールド電極2には接地電位を用い、開口径を適度に大きくしている。
【0021】
また、電子線の焦点面にアパーチャ4を挿入して、不要な電子の進入を阻止するようにしている。
【0022】
このように、本発明では、電極形状の工夫により引き込み能力を高く、かつ、製作コストを低減すると同時に、その電極形状が持つ電子線集束性を利用してアパーチャにより余分な電子の進入を阻止するようにしている。
【0023】
次に、各部の詳細について説明する。
【0024】
〔1〕まず、電極先端の形状を決めるための電子線の軌道計算について説明する。
【0025】
図2は円筒型2次電子引き込み電極の長さを変化させたときの電子線の軌道を示す図である。
【0026】
図2(a)に示すように、円筒型シールド電極2に対して円筒型電子引き込み電極3′が長すぎる場合には、電子引き込み能力は高いが、その後の電子線の焦点位置が遠くなり、第1アパーチャ4、第2アパーチャ6、アインツェルレンズ5を有効に配置することができない。
【0027】
逆に、図2(c)に示すように、円筒型シールド電極2に対して円筒型電子引き込み電極3″が短すぎる場合には、電子引き込み能力が低すぎて、十分な量の2次電子を引き込むことができない。
【0028】
したがって、図2(b)に示すような、図2(a)と図2(c)の間をとった円筒型シールド電極2に対する円筒型電子引き込み電極3の長さとするのが適切である。
【0029】
このように、本発明のモット検出器用同軸円筒型2次電子引き込み電極では、円筒型引き込み電極3の長さだけで引き込み能力を調整し、最適条件を得ることができる特徴を持っている。
【0030】
例えば、円筒型シールド電極2の直径(開口径)を40mm、円筒型引き込み電極3の電位を3kVとしたとき、試料1−同軸円筒型電子引き込み電極3先端間の距離を50mm程度にすることができるという高い引き込み能力を持っている。
【0031】
〔2〕第1アパーチャ4の位置は、図2(b)に示すように、適度な引き込み能力が得られる場合の電子線の焦点位置に設置し、エネルギーの高い2次電子や散乱電子などの進入を阻止することができる。
【0032】
〔3〕アインツェルレンズ5は第1アパーチャ4の位置で集束した電子線が、その後、適度に広がった位置に設置する。アインツェルレンズ5の電位は、計算によって、図3に示す2次電子の軌道のように決定し、目的の位置へ電子線を集束させる。
【0033】
〔4〕第2アパーチャ6は、余分な電子の進入を阻止するためにアインツェルレンズ5の後方に設置する。第2アパーチャ6の径はその位置での電子線の広がり具合の軌道計算から決定する。ただし、第2アパーチャは省略可能である。
【0034】
上記したように、構成したので、
(A)試料表面から引き込み電極先端までの距離を40mm以上へと長くすることができるとともに、引き込み能力の向上を図ることができる。
【0035】
(B)2次電子引き込み電極の形状を簡素化することができる。
【0036】
(C)外側に配置されるシールド電極を接地電位にし、電子引き込み電極に接地電位以外に1つの電位を印加するだけで、済ませることができる。
【0037】
(D)シールド電極に対する引き込み電極の長さのみの設定により、2次電子の引き込み能力を調整し、最適条件を得ることができる。
【0038】
(E)アパーチャの配置により、余分な電子の進入を阻止することができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0040】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
【0041】
(1)請求項1記載の発明によれば、外側に配置される円筒型シールド電極とこの円筒型シールド電極の内側に配置される円筒型電子引き込み電極からなる2つの電極を用い、2次電子の引き込み口に配置される第1アパーチャと、この第1アパーチャの後方に第1ドリフトチューブを介して配置される電子線を集束させるアインツェルレンズと、このアインツェルレンズの後方に第2ドリフトチューブを介して配置される第2アパーチャとを具備するようにしたので、引き込み能力が高く、試料表面─電極間距離が長く、調整が容易で、設計・製作の容易な引き込み電極を得ることができる。
【0042】
(2)請求項2記載の発明によれば、前記第1アパーチャは電子線の焦点位置に設置し、エネルギーの高い2次電子や散乱電子などの進入を阻止し、前記アインツェルレンズは前記第1アパーチャの位置で集束した電子線がその後適度に広がった位置に設置し、前記第2アパーチャは余分な電子の進入を阻止するために設置することにより、製作コストを低減すると同時に、その電極形状が持つ電子線集束性を利用してアパーチャにより余分な電子の進入を阻止することができる。
【0043】
(3)請求項3記載の発明によれば、2次電子を引き込むための、外側に配置される円筒型シールド電極と該円筒型シールド電極の内側に配置される円筒型電子引き込み電極とを配置し、前記円筒型電子引き込み電極の先端が前記円筒型シールド電極の先端に対して 、前方から後方になる位置まで前記引き込み電極の長さのみの設定により、2次電子の引き込み能力を調整し、最適条件を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示すモット検出器用同軸円筒型2次電子引き込み電極の構成断面図である。
【図2】 円筒型2次電子引き込み電極の長さを変化させたときの電子線の軌道を示す図である。
【図3】 本発明の実施例を示すモット検出器用同軸円筒型2次電子引き込み電極の2次電子の軌道を示す図である。
【図4】 従来の典型的なモット検出器用2次電子引き込み電極の断面図である。
【符号の説明】
1 試料
2 円筒型シールド電極(接地電位)
3,3′,3″ 円筒型電子引き込み電極
4 第1アパーチャ
5 アインツェルレンズ
6 第2アパーチャ
11 第1のドリフトチューブ
12 第2のドリフトチューブ
13 第3のドリフトチューブ
14 環状絶縁体支持体
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子検出・計測技術に係り、特に、2次電子をモット検出器に引き込むための同軸円筒型2次電子引き込み電極及びその電極の調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のモット検出器用2次電子引き込み電極は、以下に示すような構造であった。
【0003】
図4はかかる従来の典型的なモット検出器用2次電子引き込み電極の断面図である。
【0004】
この図において、101は試料、102はシールド電極、103は引き込み電極、104はアパーチャである。
【0005】
この図に示すように、従来のモット検出器用2次電子引き込み電極、つまり、シールド電極102及び引き込み電極103の先端102A,103Aは、細くなるように形成されている。このように、先端が細くなっているのはできるだけ試料101周辺の空間を妨げないための配慮である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、2次電子の引き込み能力が小さいため、試料101から電極先端102A,103Aまでの距離が5mm程度と短く、試料101表面に対する諸作業は困難であった。
【0007】
また、電極の形状が複雑である上、接地電位以外に2つの異なる電位が必要なため、設計・製作も困難であった。
【0008】
本発明は、上記問題点を除去し、試料表面から引き込み電極先端までの距離を十分長くし、電極の形状を簡素化するとともに、引き込み能力を向上させることができる同軸円筒型2次電子引き込み電極及びその電極の調整方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕2次電子をモット検出器に引き込むための同軸円筒型2次電子引き込み電極において、2次電子を引き込むための、外側に配置される円筒型シールド電極とこの円筒型シールド電極の内側に配置される円筒型電子引き込み電極からなる2つの電極と、この2つの電極の後方であって、2次電子の引き込み口に配置される第1アパーチャと、この第1アパーチャの後方に第1ドリフトチューブを介して配置される電子線を集束させるアインツェルレンズと、このアインツェルレンズの後方に第2ドリフトチューブを介して配置される第2アパーチャとを具備するようにしたものである。
【0010】
〔2〕上記〔1〕記載の同軸円筒型2次電子引き込み電極において、前記第1アパーチャは電子線の焦点位置に設置し、エネルギーの高い2次電子や散乱電子などの進入を阻止し、前記アインツェルレンズは前記第1アパーチャの位置で集束した電子線がその後適度に広がった位置に設置し、前記第2アパーチャは余分な電子の進入を阻止するために設置するようにしたものである。
【0011】
〔3〕2次電子をモット検出器に引き込むための同軸円筒型2次電子引き込み電極の調整方法において、2次電子を引き込むための、外側に配置される円筒型シールド電極と該円筒型シールド電極の内側に配置される円筒型電子引き込み電極とを配置し、内側に配置される円筒型電子引き込み電極の先端が外側に配置される円筒型シールド電極の先端に対して、前方から後方になる位置まで前記引き込み電極の長さのみの設定により、2次電子の引き込み能力を調整し、最適条件を得るようにしたものである。
【0012】
このように、本発明によれば、電極形状の工夫により引き込み能力を高く、かつ、製作コストを低減すると同時に、その電極形状が持つ電子線集束性を利用してアパーチャにより余分な電子の進入を阻止するようにしている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施例を示すモット検出器用同軸円筒型2次電子引き込み電極の構成断面図である。
【0015】
図1に示すように、2次電子引き込み電極は、同軸円筒型の2つの電極、つまり、外側に配置される円筒型シールド電極2、内側に配置される円筒型電子引き込み電極3からなり、第1アパーチャ4、アインツェルレンズ5、第2アパーチャ6が配置されている。
【0016】
また、11は第1のドリフトチューブ、12は第2のドリフトチューブ、13は第3のドリフトチューブ、14は環状絶縁体支持体であり、例えば、円筒型シールド電極2、円筒型電子引き込み電極3、第1アパーチャ4、アインツェルレンズ5、第2アパーチャ6、第1のドリフトチューブ11、第2のドリフトチューブ12、第3のドリフトチューブ13の各部分の材質は、ステンレスを用いることができる。
【0017】
ただし、これらの部分の材質はステンレスに限定されるものではなく、超真空中で使用できる金属材料であれば、基本的には同じ性能になる。できれば、パーマロイなどの磁場を遮蔽するものが望ましい。
【0018】
また、本発明の電極の直径は、例えば「円筒型電子引き込み電極3」の内径(φ2 )が16mm、外径が20mmであり、「円筒型シールド電極2」の内径(φ1 )が30mm、外径が34mmである。e1 は一次電子、e2 は二次電子、試料1と円筒型シールド電極2間の距離は、例えば、45mmである。
【0019】
これに対して、従来型の例では、「円筒型電子引き込み電極3に相当」の内径が6mm、外径が8mm、「円筒型シールド電極2に相当」の内径が14mm、外径が16mmである。
【0020】
ここで、外側に配置される円筒型シールド電極2には接地電位を用い、開口径を適度に大きくしている。
【0021】
また、電子線の焦点面にアパーチャ4を挿入して、不要な電子の進入を阻止するようにしている。
【0022】
このように、本発明では、電極形状の工夫により引き込み能力を高く、かつ、製作コストを低減すると同時に、その電極形状が持つ電子線集束性を利用してアパーチャにより余分な電子の進入を阻止するようにしている。
【0023】
次に、各部の詳細について説明する。
【0024】
〔1〕まず、電極先端の形状を決めるための電子線の軌道計算について説明する。
【0025】
図2は円筒型2次電子引き込み電極の長さを変化させたときの電子線の軌道を示す図である。
【0026】
図2(a)に示すように、円筒型シールド電極2に対して円筒型電子引き込み電極3′が長すぎる場合には、電子引き込み能力は高いが、その後の電子線の焦点位置が遠くなり、第1アパーチャ4、第2アパーチャ6、アインツェルレンズ5を有効に配置することができない。
【0027】
逆に、図2(c)に示すように、円筒型シールド電極2に対して円筒型電子引き込み電極3″が短すぎる場合には、電子引き込み能力が低すぎて、十分な量の2次電子を引き込むことができない。
【0028】
したがって、図2(b)に示すような、図2(a)と図2(c)の間をとった円筒型シールド電極2に対する円筒型電子引き込み電極3の長さとするのが適切である。
【0029】
このように、本発明のモット検出器用同軸円筒型2次電子引き込み電極では、円筒型引き込み電極3の長さだけで引き込み能力を調整し、最適条件を得ることができる特徴を持っている。
【0030】
例えば、円筒型シールド電極2の直径(開口径)を40mm、円筒型引き込み電極3の電位を3kVとしたとき、試料1−同軸円筒型電子引き込み電極3先端間の距離を50mm程度にすることができるという高い引き込み能力を持っている。
【0031】
〔2〕第1アパーチャ4の位置は、図2(b)に示すように、適度な引き込み能力が得られる場合の電子線の焦点位置に設置し、エネルギーの高い2次電子や散乱電子などの進入を阻止することができる。
【0032】
〔3〕アインツェルレンズ5は第1アパーチャ4の位置で集束した電子線が、その後、適度に広がった位置に設置する。アインツェルレンズ5の電位は、計算によって、図3に示す2次電子の軌道のように決定し、目的の位置へ電子線を集束させる。
【0033】
〔4〕第2アパーチャ6は、余分な電子の進入を阻止するためにアインツェルレンズ5の後方に設置する。第2アパーチャ6の径はその位置での電子線の広がり具合の軌道計算から決定する。ただし、第2アパーチャは省略可能である。
【0034】
上記したように、構成したので、
(A)試料表面から引き込み電極先端までの距離を40mm以上へと長くすることができるとともに、引き込み能力の向上を図ることができる。
【0035】
(B)2次電子引き込み電極の形状を簡素化することができる。
【0036】
(C)外側に配置されるシールド電極を接地電位にし、電子引き込み電極に接地電位以外に1つの電位を印加するだけで、済ませることができる。
【0037】
(D)シールド電極に対する引き込み電極の長さのみの設定により、2次電子の引き込み能力を調整し、最適条件を得ることができる。
【0038】
(E)アパーチャの配置により、余分な電子の進入を阻止することができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0040】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
【0041】
(1)請求項1記載の発明によれば、外側に配置される円筒型シールド電極とこの円筒型シールド電極の内側に配置される円筒型電子引き込み電極からなる2つの電極を用い、2次電子の引き込み口に配置される第1アパーチャと、この第1アパーチャの後方に第1ドリフトチューブを介して配置される電子線を集束させるアインツェルレンズと、このアインツェルレンズの後方に第2ドリフトチューブを介して配置される第2アパーチャとを具備するようにしたので、引き込み能力が高く、試料表面─電極間距離が長く、調整が容易で、設計・製作の容易な引き込み電極を得ることができる。
【0042】
(2)請求項2記載の発明によれば、前記第1アパーチャは電子線の焦点位置に設置し、エネルギーの高い2次電子や散乱電子などの進入を阻止し、前記アインツェルレンズは前記第1アパーチャの位置で集束した電子線がその後適度に広がった位置に設置し、前記第2アパーチャは余分な電子の進入を阻止するために設置することにより、製作コストを低減すると同時に、その電極形状が持つ電子線集束性を利用してアパーチャにより余分な電子の進入を阻止することができる。
【0043】
(3)請求項3記載の発明によれば、2次電子を引き込むための、外側に配置される円筒型シールド電極と該円筒型シールド電極の内側に配置される円筒型電子引き込み電極とを配置し、前記円筒型電子引き込み電極の先端が前記円筒型シールド電極の先端に対して 、前方から後方になる位置まで前記引き込み電極の長さのみの設定により、2次電子の引き込み能力を調整し、最適条件を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示すモット検出器用同軸円筒型2次電子引き込み電極の構成断面図である。
【図2】 円筒型2次電子引き込み電極の長さを変化させたときの電子線の軌道を示す図である。
【図3】 本発明の実施例を示すモット検出器用同軸円筒型2次電子引き込み電極の2次電子の軌道を示す図である。
【図4】 従来の典型的なモット検出器用2次電子引き込み電極の断面図である。
【符号の説明】
1 試料
2 円筒型シールド電極(接地電位)
3,3′,3″ 円筒型電子引き込み電極
4 第1アパーチャ
5 アインツェルレンズ
6 第2アパーチャ
11 第1のドリフトチューブ
12 第2のドリフトチューブ
13 第3のドリフトチューブ
14 環状絶縁体支持体
Claims (3)
- 2次電子をモット検出器に引き込むための同軸円筒型2次電子引き込み電極において、
(a)2次電子を引き込むための、外側に配置される円筒型シールド電極と該円筒型シールド電極の内側に配置される円筒型電子引き込み電極からなる2つの電極と、
(b)該2つの電極の後方であって、2次電子の引き込み口に配置される第1アパーチャと、
(c)該第1アパーチャの後方に第1ドリフトチューブを介して配置される電子線を集束させるアインツェルレンズと、
(d)該アインツェルレンズの後方に第2ドリフトチューブを介して配置される第2アパーチャとを具備することを特徴とする同軸円筒型2次電子引き込み電極。 - 請求項1記載の同軸円筒型2次電子引き込み電極において、前記第1アパーチャは電子線の焦点位置に設置し、エネルギーの高い2次電子や散乱電子などの進入を阻止し、前記アインツェルレンズは前記第1アパーチャの位置で集束した電子線がその後適度に広がった位置に設置し、前記第2アパーチャは余分な電子の進入を阻止するために設置することを特徴とする同軸円筒型2次電子引き込み電極。
- 2次電子をモット検出器に引き込むための同軸円筒型2次電子引き込み電極の調整方法において、
2次電子を引き込むための、外側に配置される円筒型シールド電極と該円筒型シールド電極の内側に配置される円筒型電子引き込み電極とを配置し、前記円筒型電子引き込み電極の先端が前記円筒型シールド電極の先端に対して、前方から後方になる位置まで前記引き込み電極の長さのみの設定により、2次電子の引き込み能力を調整し、最適条件を得ることを特徴とする同軸円筒型2次電子引き込み電極の調整方法。
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JP10426098A JP3730011B2 (ja) | 1998-04-15 | 1998-04-15 | 同軸円筒型2次電子引き込み電極及びその電極の調整方法 |
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JP10426098A JP3730011B2 (ja) | 1998-04-15 | 1998-04-15 | 同軸円筒型2次電子引き込み電極及びその電極の調整方法 |
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JPH11297261A JPH11297261A (ja) | 1999-10-29 |
JP3730011B2 true JP3730011B2 (ja) | 2005-12-21 |
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JP2000215842A (ja) * | 1999-01-26 | 2000-08-04 | Japan Science & Technology Corp | 複合放出電子顕微鏡におけるその場観察システム |
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1998
- 1998-04-15 JP JP10426098A patent/JP3730011B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH11297261A (ja) | 1999-10-29 |
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