JP3728543B2 - 高粘度水溶液からのポリマー粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリビニルピロリドン系重合体その他の高粘度のポリマー水溶液から、ドラムドライヤーによる乾燥、及び粉砕を経て、粉末製品を製造する方法に関する。特には、見かけ密度(かさ比重)の高い粉末製品を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリマーの水溶液やスラリーから、乾燥粉末製品を得るにあたり、ドラムドライヤーが用いられている(例えば、特許文献1〜2)。
【0003】
ドラムドライヤーは、水溶液やスラリーを加熱ドラム上に薄く展延し、乾燥固化を行うものである。通常、加熱ドラム上で乾燥固化して生成されるシート状物を、スクレーパーナイフにより掻(か)き取った後、粉砕して乾燥粉末製品を得ている。
【0004】
ドラムドライヤーには、いくつかの方式があるが、高粘度のポリマー水溶液を乾燥させて粉末製品を得るのには、加熱ドラムの上部外周面に液を供給するトップフィード方式が一般に採用されている。これは、トップフィード方式であると、比較的高粘度の水溶液であっても定量供給ポンプを用いて液を問題なく供給できるからである。
【0005】
これに対して、スプレー噴霧により加熱ドラムの外周面(加熱蒸発面)に液を供給するスプレー方式は、高粘度の溶液に対応するのが困難である。また、加熱ドラムの一部を液に浸漬させて液を巻き上げるようにして乾燥を行うディップフィード方式も高粘度の溶液には通常あまり適していない。
【0006】
高粘度のポリマー水溶液からトップフィード方式のドラムドライヤーを用いて乾燥粉末製品を得るにあたり、ある種の製品では、見かけ密度(かさ比重)を大きくすることが一つの課題となっていた。これは、粉末製品の見かけ密度が小さいと、溶解時にママコが生じ、溶解に長時間を要する等の問題があったためである。
【0007】
そこで、特開2002−146033(特許文献3)においては、複数の塗布ローラーを用いて加熱ドラムに対して重ね塗り方式で塗布を行うことが提案されている。これにより、加熱ドラムの外周面に形成されるシート状の乾燥固化物について、気泡の噛み込みを少なくできるので、乾燥固化物の見かけ密度、及びこれからの粉末製品についても見かけ密度を小さくできるとしている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−280840号公報 段落番号[0002]
【0009】
【特許文献2】
特開平6−235582号公報
【0010】
【特許文献3】
特開2002−146033号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、重ね塗り方式であると、複数の塗布ローラとこれにポリマー水溶液を供給する系統等を要し、その分だけ複雑な機構を必要とする。また、加熱乾燥条件などについて、重ね塗りに適したものに限定されるといった問題点もあった。
【0012】
本件発明者らは、上記問題点に鑑み鋭意検討する中で、ポリマー水溶液の供給条件を最適化することについて着目した。すなわち、ポリマー水溶液の供給条件と、乾燥固化物の見かけ密度との間に何らかの相関関係があるのではないかと考えた。
【0013】
しかし、高粘度のポリマー水溶液であることから、定量供給ポンプの精度を上げるのには限界があった。また、加熱ドラムが収容されたチャンバー内は、高温の蒸気が充満していることから、作業員が内部の状態を観察しつつ条件を最適化するのは困難であった。
【0014】
本発明は、高粘度のポリマー水溶液からドラムドライヤーによる乾燥と粉砕を経て乾燥粉末製品を得るにあたり、ドラムドライヤーの構成を複雑にせず、したがって、装置コスト及び生産コストをほとんど上昇させることなく、見かけ密度を大きくできる方法を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリマー粉末の製造方法は、ポリマー水溶液をトップフィード方式にて加熱ドラム上に供給し乾燥固化した後、粉砕してポリマー粉末を製造する方法において、前記加熱ドラムに接した液溜まりの液面の高さを光学的に検出する光学センサと、この光学センサの検出に基づき、前記ポリマー水溶液の供給量を制御する制御装置とを備えることを特徴とする。
【0016】
上記構成により、加熱ドラム上に、均一に、厚みの大きいシート状固化物を生成することができる。そのため、重ね塗りと同一またはそれ以上の効果を得ることができ、したがって、乾燥粉末製品の見かけ密度(かさ比重)を充分に大きくできる。
【0017】
好ましくは、前記光学センサが、前記加熱ドラムの軸方向端部よりも外側に配置され、前記液溜まりの液面を斜め上方から捉える。
【0018】
このようであると、光学センサは、加熱蒸発面から上昇する水蒸気に直接さらされないように配置されているため、加熱水蒸気により損傷を受けることもない。
【0019】
ポリマー水溶液の粘度が3000mPa・s以上であるならば、均一な厚さのシート状固化物を得る上で好ましい。
【0020】
なお、本発明の説明において、ポリマー水溶液の語は、未溶解の分散物を含む場合や、スラリー状の場合も含めるものとする。また、ポリマー水溶液の粘度は、室温(25℃)にてB型粘度計により測定した値である。
【0021】
本発明のポリマー粉末の製造方法は、ポリビニルピロリドン系重合体に特に適しており、0.4Kg/リットル以上の見かけ密度を容易に得ることができる。
【0022】
好ましくは、トップフィード方式で供給されるポリビニルピロリドン系重合体の水溶液の粘度を10,000〜50,000mPa・sの範囲内とし、かつ加熱ドラムへの供給直前の温度を30〜80℃の範囲内に保つ。また、加熱ドラムの乾燥蒸発面の温度を110〜130℃に保つ。
【0023】
このような条件を採用することにより、乾燥粉末製品の見かけ密度を大きくすることができる。ポリマーがポリビニルピロリドン系重合体である場合、見かけ密度を、容易に、0.4Kg/リットルまたはそれ以上とすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明のポリマー粉末の製造方法は、高粘度のポリマー水溶液を用いる場合に適したものであり、ポリマー水溶液の粘度は、一般に3000mPa・s以上、好ましくは5000mPa・s以上、特に好ましくは10,000mPa・s以上である。ポリマー水溶液の粘度の上限は、一般に100,000mPa・s、好ましくは50,000mPa・sである。このような粘度の範囲であると、加熱ドラム上で、均一な厚さの含水ポリマーシートを形成しやすく、見かけ密度を高くする上で有利である。
【0025】
ポリマー水溶液は、水溶液重合の重合反応完結後のものが好ましい例として挙げられるが、これに限らず、水溶性ポリマーを種々の方法で溶解して得られたものが含まれる。また、ポリマー水溶液は、有機溶媒や各種低分子添加物を少なからず含むものであっても良い。
【0026】
ここで、水溶性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン系重合体、アクリルアミド系重合体、ポリビニルアルコール、でんぷん変性物等を挙げることができる。
【0027】
これらの中でも、ポリビニルピロリドン系重合体は、安全性や生体適合性が高く、医薬、化粧品、接着剤、塗料、インク等の各種用途に有用であり、見かけ密度を大きくすることが、特に、意義がある。また、ポリビニルピロリドン系重合体は、水溶液での重合に適したものであるため、重合により生成したポリマー水溶液をそのまま用いることができる点で、本発明に適している。
【0028】
しかし、水溶液重合以外の方法で得た、ポリビニルピロリドン系重合体であっても、本発明のポリマー粉末の製造方法を好適に適用することができる。
【0029】
なお、ポリビニルピロリドン系重合体とは、N-ビニル-2-ピロリドンなどのビニルピロリドンの単独重合体または他のモノマーとの共重合体である。共重合する他のモノマーとしては、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー、アクリルアミドやその誘導体などを挙げることができる。ポリビニルピロリドン系重合体におけるビニルピロリドンの含量は、好ましくは40%以上、特に好ましくは50%以上である。
【0030】
特に好ましい態様においては、ビニルピロリドンのモノマー含量が50モル%以上のポリビニルピロリドン系重合体に本発明が適用され、この際、ポリマー水溶液の粘度(B型粘度計,25℃)が10,000〜40,000mPa・s(cP)に調整される。また、この特に好ましい態様において、加熱ドラムの外周面の温度が、110〜130℃に保たれるとともに、加熱ドラム上に供給される直前のポリマー水溶液の温度が30〜80℃に保たれる。
【0031】
このような特定の条件を採用することにより、ポリマー水溶液を均一に厚く塗布する上で有利となり、適度の速度での水の蒸発を起こさせることができる。その結果、見かけ密度が0.4Kg/リットル以上の粉末製品を、容易に得ることができる。
【0032】
本発明の製造方法においては、トップフィード方式のドラムドライヤーの中でも、小径の塗布ローラーを用いてポリマー水溶液を加熱ドラム上部外周面に供給する方式のものが、塗布量を一定にする上で特に好ましい。しかし、これに限らず、2つの略等径の加熱ドラムを組み合わせて用いるダブルドラム(ツインドラム)方式であっても、ほぼ同様である。また、これら以外でも、加熱ドラムの外周面の上部で液溜まりが形成されるものならば採用可能である。例えば、スクレーパーナイフと加熱ドラムとの間で液溜まりが形成される方式であっても良い。
【0033】
本発明の製造方法に用いる光学センサーの好ましいものとして、デジタル式のレーザーセンサを挙げることができる。レーザー光を用いることにより、水蒸気が充満する条件で精度の高い計測が容易に行え、また、デジタル式であると、マイコン、コンピュータまたはその他のコントローラーによる数値制御が容易であるからである。しかし、非デジタル式や非レーザー方式の各種光学センサを使用可能である。
【0034】
光学センサーにより液面を捉える個所は、加熱ドラムの軸方向端部の近傍とするのが好ましい。光学センサからの距離が近く、蒸気等の影響が少ないからである。しかし、場合によっては、それ以外の個所を捉えて液面の高さを測定しても良い。
【0035】
以下に、本発明の実施例で用いたドラムドライヤー10の構成について図1〜2を用いて説明する。
【0036】
実施例のドラムドライヤー10は、加熱ドラム2の外周面(加熱蒸発面)に対し、塗布ローラー3を用いてポリマー水溶液6の塗布を行うものである。塗布ローラー3は、例えば、加熱ドラム2の頂点から約45度傾斜した位置で加熱ドラム2の外周面にほぼ接している。そして、この塗布ローラー3と、加熱ドラム2との間のくぼみに、ポリマー水溶液6が供給されて液溜まり62が形成されている。
【0037】
液溜まり62の個所の上方には、ドラム軸方向に等間隔に複数の給液ノズル41が設けられており、ポリマー水溶液6のタンク43から、電磁バルブ42及び給液管4を経て、各給液ノズル41へとポリマー水溶液6が均等に供給される。
【0038】
また、塗布ローラー3とほぼ対称をなす位置、すなわち、加熱ドラム2の頂点から逆側に約60度傾斜した位置では、スクレーパーナイフ5が加熱ドラム2の外周面に接している。ゆっくりと回転する加熱ドラム2の外周面上で、含水ポリマーシート7が充分に乾燥された後、スクレーパーナイフ5により掻(か)き取られる。そして、充分に乾燥されたシート状固化物が、不図示の粗砕機及び粉砕機により、粉砕されて、粉末製品が得られる。
【0039】
一方、ドラムドライヤー10には、液溜まり62の液面61の高さを検出するためのレーザーセンサー1が備えられる。レーザーセンサー1は、加熱ドラム2の一方の軸方向端部2aの外側、すなわち、加熱ドラム2の上方の領域からドラム軸方向に外れた個所に備え付けられる。そして、レーザーセンサー1は、その軸方向端部2aの近傍の個所で液溜まり62の液面61にレーザー光を照射し、レーザー光の反射強度により液面61の高さを検出する。
【0040】
図1に模式的に示すように、レーザーセンサー1がマイコン8に電気的に接続しており、マイコン8には、さらに、ポリマー水溶液6の供給量を調整するための電磁バルブ42が電気的に接続されている。レーザーセンサー1により検出された液面61の高さLが所定値Loよりも低い場合、電磁バルブ42の開度を大きくし、高さLが所定値Loよりも大きい場合、電磁バルブ42の開度を小さくする。このような制御により、液面の高さLを、所定値Lo±dの範囲内に保つ。
【0041】
このようにポリマー水溶液6の供給量を制御して最適状態に保つことにより、加熱ドラム2の外周面上の含水ポリマーシート7の厚みを、均一にすることができる。すなわち、加熱ドラム2の外周面に塗布される厚みを一定に保つことができるのであり、ときおり、含水ポリマーシート7の厚みが小さくなるということを防ぐことができる。
【0042】
したがって、加熱ドラム2の外周面に塗布される厚みについて、加熱ドラム2の乾燥性能や、粉砕機の性能によって決まる最大限の厚みに近い状態に、常に維持することができる。その結果、従来の技術における、ポリマー水溶液6の重ね塗りの場合と同等、またはそれ以上の効果を得ることができる。
【0043】
図3には、本発明の変形例について示す。
【0044】
変形例のドラムドライヤー装置は、ダブルドラム方式である他は上記実施例と全く同様である。等寸法の2つの加熱ドラム2’,2”が組み合わされ、これらの間のくぼみに、ポリマー水溶液の液溜まり62が形成されている。そして、この液溜まり62の液面61の高さを検出するための、同様のレーザーセンサー1が備えられ、同様に斜め上方から計測を行っている。
【0045】
以下に、具体的な実施例について、比較例とともに説明する。
【0046】
<具体的な実施例>
50リットルの攪拌機付き反応槽に、純水16kg、N-ビニル-2-ピロリドン4kgを仕込み、窒素ガスを導入して、反応機内の酸素を除去した。次いで、反応機内を攪拌しつつ、反応器のジャケットに温水を流して、内温を50℃とした。この状態で、重合開始剤として2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-ノル)プロパン]ジヒドロクロリド40gを仕込み、重合を開始した。内温を90℃に昇温して3時間熟成を行うことで、重合反応を完結させた。
【0047】
得られたポリマー水溶液は、20重量%濃度であって、25℃での粘度が36,000mPa・sであった。
【0048】
また、上記に説明した実施例のドラムドライヤー装置10として、具体的には、加熱ドラム2の直径が700mm、軸方向寸法が600mmであるものを用いた。加熱ドラム2と塗布ローラー3との間隔は、0.2mmに調整した。加熱ドラム2の蒸発面の温度は、加熱ドラム2内への0.25Mpaの蒸気の導入により、130℃に昇温し、この温度に保った。
【0049】
上記のポリマー水溶液6を、タンク43中で60℃に昇温し、加熱ドラム2と塗布ローラー3との間のくぼみ中へと、3つの給液ノズル61から供給した。昇温したポリマー水溶液の粘度(60℃)は、16,000mPa・sであった。
【0050】
また、レーザーセンサー1として、キーエンス社のデジタルレーザセンサLVH−62を用いた。ここで用いるレーザー光の波長は650nmであり、出力は3mWである。また、レーザー光の照射スポットの径が1mm以下であり、反射強度の測定により液面61の高さLを測定するものである。
【0051】
加熱ドラム2と塗布ローラー3がほぼ接する個所からの液面61の高さLは、約3cmであった。レーザーセンサー1の検知に基づく電磁バルブ42の制御により、高さLが3±0.5cmの範囲内となるようにした。
【0052】
加熱ドラム2は、液溜まり62の個所からスクレーパーナイフ5まで、50秒かけて2/3回転を行う。
【0053】
スクレーパーナイフ5により掻き取られた乾燥固形物は、厚み190μmの均一なシートであった。この乾燥固形物を粗砕機にて1cm角程度に切断した後、フィッツミルにて、平均粒径200μmに粉砕した。得られた粉末製品は、揮発分が4.0重量%であり、見かけ密度(かさ比重)が0.49kg/Lであった。
【0054】
500mlフラスコに、20℃の水を200ml入れ、攪拌しつつ2gの粉末製品を、10秒かけて添加した。水への溶解の様子を観察したところ、ママコの生成は全く見られず、20分後には、完全に溶解していた。
【0055】
<比較例>
液溜まり62の液面61の高さの計測、及びこれに基づく、ポリマー水溶液供給量の制御を行わなかった。他の条件は、上記の具体的な実施例と全く同一の処方操作を採用した。
【0056】
スクレーパーナイフ5により掻き取られた乾燥固形物のシートは、厚みが、100〜190μmの範囲内でばらついた。得られた粉末製品は、揮発分が3.9重量%であって、見かけ密度(かさ比重)が0.38kg/Lであった。また、上記の具体的な実施例と同様に溶解テストを行ったところ、ママコの発生が見られ、溶解が完了するまで2時間を要した。
【0057】
この比較例の結果と、上記具体的な実施例の結果との比較から知られるように、本発明の液面検出に基づく原液供給量の制御により、粉末製品の見かけ密度及び溶解性を著しく向上させることができる。
【0058】
なお、液面検出に基づく原液供給量の制御を、必要な程度だけ行うというやり方により、粉末製品の見かけ密度及び溶解性を、所望のレベルに適宜コントロールすることも可能である。
【0059】
<参考例1>
加熱ドラム2の加熱蒸発面(外周面)の温度を150℃に設定した他は、上記具体的な実施例と全く同様の条件で粉末製品の製造を行った。すると、加熱蒸発面で急激な沸騰が起こった。
【0060】
掻き取られたシート状の乾燥固化物は、ひび割れやくぼみを有しており、厚みが80〜200μmの範囲でばらついた。得られた粉末製品は、揮発分が3.2重量%であって、見かけ密度(かさ比重)が0.36kg/Lであった。また、上記の具体的な実施例と同様に溶解テストを行ったところ、ママコの発生が見られ、溶解が完了するまで2時間を要した。
【0061】
<参考例2>
ポリマー水溶液として、粘度(25℃)が51,000mPa・sのものを用い、加熱ドラムに供給する直前のポリマー水溶液の温度を25℃とした。すなわち、供給時の粘度がかなり高く供給量の制御が困難なものであった。
【0062】
その他は、上記具体的な実施例と全く同様の条件で粉末製品の製造を行った。ここで用いたポリマー水溶液は、具体的な実施例と同様の合成反応において、重合開始剤の量を30gに減少させて得られたものである。ポリマー水溶液は、具体的な実施例と同様、20重量%である。
【0063】
スクレーパーナイフ5により掻き取られた乾燥固形物のシートは、厚みが120μmと、具体的な実施例の場合よりもかなり小さくなった。得られた粉末製品は、揮発分が3.5重量%であって、見かけ密度(かさ比重)が0.35kg/Lであった。また、上記の具体的な実施例と同様に溶解テストを行ったところ、ママコの発生が見られ、溶解が完了するまで2時間を要した。
【0064】
これら参考例の結果から知られるように、本発明の液面高さの検知に基づく原液供給量の制御を行うことにより、加熱蒸発面の温度や供給時の粘度が全く不適な場合でも、ある程度の見かけ密度が得られる。
【0065】
しかし、具体的な実施例との比較から知られるように、ポリビニルピロリドン系重合体の乾燥粉末製品の製造に適した条件を採用してこそ、見かけ密度が0.4kg/L以上であって、溶解性の優れたものを得ることができる。
【0066】
【発明の効果】
粉末製品の見かけ密度及び溶解性を向上させることができる。また、見かけ密度や溶解性を適宜コントロールすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のドラムドライヤーの構成について説明するための模式的な断面斜視図である。
【図2】図1のドラムドライヤーの要部の縦断面図である。
【図3】変形例のドラムドライヤーについて説明するための模式的な断面斜視図である。
【符号の説明】
1 レーザーセンサー
2 加熱ドラム
3 塗布ローラー
4 給液管
41 給液ノズル
42 電磁バルブ
5 スクレーパーナイフ
6 ポリマー水溶液
61 液面
62 液溜まり
7 含水ポリマーシート
8 マイコン
Claims (5)
- ポリマー水溶液をトップフィード方式にて加熱ドラム上に供給し乾燥固化した後、粉砕してポリマー粉末を製造する方法において、
前記加熱ドラムに接した液溜まりの液面の高さを光学的に検出する光学センサと、
この光学センサの検出に基づき、前記ポリマー水溶液の供給量を制御する制御装置とを用いることを特徴とするポリマー粉末の製造方法。 - 前記光学センサが、前記加熱ドラムの軸方向端部よりも外側に配置され、前記液溜まりの液面を斜め上方から捉えるようにすることを特徴とする請求項1記載のポリマー粉末の製造方法。
- 前記ポリマー水溶液の粘度が3000mPa・s以上であることを特徴とする請求項1または2記載のポリマー粉末の製造方法。
- 前記ポリマー粉末がポリビニルピロリドン系重合体の粉末であって、その見かけ密度が0.4Kg/リットル以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリマー粉末の製造方法。
- 前記ポリマー水溶液の粘度を10,000〜40,000mPa・sの範囲内とし、かつ前記加熱ドラムへの供給直前の温度を30〜80℃の範囲内に保ち、
前記加熱ドラムの乾燥蒸発面の温度を110〜130℃に保つことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリマー粉末の製造方法。
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