JP3727799B2 - ガス混合器 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はボイラ排ガス中にアンモニアを添加して排ガス中のＳＯ₃ を硫酸アンモニウムとし、電気集塵器で硫酸アンモニウム粒子を捕集する排煙処理装置などの各種排煙処理装置において、煙道中に設置し、排ガスを均一に混合して排ガス中のＳＯ₃ などの処理対象成分の濃度分布や温度分布を解消するのに適したガス混合器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
排煙処理方法としてアンモニアを添加して排ガス中のＳＯ₃ を除去する方法を例に採って説明する。排ガス中のＳＯ₃ を除去するため、排ガス中にアンモニアを注入してＳＯ₃ を電気集塵器（以下、ＥＰと略称する）で除去可能な硫酸アンモニウムの粒子とするが、その際、排ガス中のＳＯ₃ 濃度分布のばらつきが大きいと部分的に未反応アンモニア量が増加し、全体として必要なアンモニア量が増加してしまう。そこで、ボイラから出る排ガスを混合し、ＳＯ₃ 濃度分布や温度分布を小さくするためにガス混合器が使用されている。
図３に従来使用されているガス混合器の概略図を示す。図３（ａ）は側面図、図３（ｂ）は上面図である。この種のガス混合器は、通常、エアヒータ（以下、ＡＨと略称する）出口とＥＰを繋ぐダクト（煙道）の途中（アンモニア注入位置より上流側）に設置される。ＡＨ出口における排ガスのＳＯ₃ 濃度分布は約±８０〜９０％、温度分布は約１５〜２０℃である。図３のガス混合器は煙道内に設置した支持棒１２に複数枚の攪拌翼１３が取付けられており、この攪拌翼１３はそれぞれが特定の角度をもって固定された状態で取付けられている。図３中の１１は煙道側壁であり、図中の矢印はガスの流れを示している。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような従来のガス混合器では、混合に寄与する渦のスケールが混合器に取付けられている攪拌翼の大きさで規定されるため、混合が局所的になってしまい、排ガス中の全体的なＳＯ₃ 濃度分布や温度分布を解消することができない。 本発明はこのような従来技術に鑑み、煙道内のガス流全体を効果的に攪拌し、排ガス中のＳＯ₃ などの処理対象成分の濃度分布や温度分布を低減し、後流側における排ガス処理反応装置などにおける負荷を均一にし、使用薬剤やエネルギの損失を極力抑えることができるガス混合器を提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明は、煙道内に設置するガス混合器であって、筒状体を複数段の平行な層に分割し、各層はガス流入側において一方の側壁側の一部を閉口部とし、他方の側壁側を開口部とし、各段の開口部と閉口部とを交互に重ね、かつ中央部においては各段の交差領域が形成されるように開口部どうしを重ねて配置し、各層の開口部には閉口部側に湾曲する複数個のルーバー翼を設けて開口部の後流側に閉口部側に湾曲する複数のガス流路を形成するように構成してなることを特徴とするガス混合器である。
【０００５】
【発明の実施の形態】
本発明のガス混合器は、煙道内に設置するガス混合器であって、筒状体を複数段の平行な層に分割し、各層はガス流入側において一方の側壁側の一部を閉口部とし、他方の側壁側を開口部としている。各段の開口部と閉口部は交互に重なり、かつ中央部においては開口部どうしが重なるように配置し、各層の開口部には閉口部側に湾曲する複数個のルーバー翼（偏向翼）を設けてガス流路を分割し、開口部の後流側に閉口部側に湾曲する複数のガス流路を形成するように構成してある。
流路面積に対する開口部の割合は６０〜８０％とし、中央部の開口部の重なり範囲は２０〜６０％とするのが好ましい。中央部に開口部の重なりがあるため、各段の交差領域が増加し、流れの剪断による混合促進が図れると共に、中央部の重なりがない場合に比較して開口部が増大するためガスの通過流速を低下させることができ、圧力損失を低減させることができる。ただし、開口率が大きくなりすぎると流れの剪断が弱くなり、混合効果が低減してしまう。
【０００６】
このようなガス混合器の１例を図１に示す。図１（ａ）は上方から見たガス流路の概要を示す図、図１（ｂ）はガス流入方向から見た正面図、図１（ｃ）は全体の概要を示す鳥瞰図である。このガス混合器は、ガスの流路を形成する筒状体１０が第１段８−１〜第４段８−４の４段の平行な層に分割されている。各層はガス流入側の正面が図１（ｂ）に示すように、一方の側壁側の一部を閉口部７とし、他方の側壁側を開口部６とし、各段の開口部６と閉口部７は交互に重なり、かつ中央部においては開口部６どうしが重なるように配置してある。各層の開口部６には閉口部７側に湾曲する複数個（図の例では各層それぞれ９個）のルーバー翼（偏向翼）９を設けてガス流路を分割し、図１（ａ）に示すように開口部６の後流側に閉口部７側に湾曲する複数のガス流路を形成するように構成されている。図中の矢印はガスの流れ方向を示している。
【０００７】
各段の層の開口部を通過するガス流は図２の矢印に示すような流れを形成する。このように多数の層状に並んだ閉口部方向に湾曲する開口からなる開口部を、出口側のガス流が交差流となるように鉛直方向に多段（煙道の寸法、形状により異なるが、通常４段又は６段）積み重ねた多段交差型とすることにより、形成される交差流れ間のせん断及び流路急拡大に伴う渦流動によりガスを混合する。また、ガス混合器を設置する煙道ダクトにベンド（曲がり角度３０°以上、通常は９０°前後）が存在する場合、ガス混合器により形成される交差流れがベンドにおいて保持される程度上流側にガス混合器を設置することにより、ベンドにおける剥離による大規模な渦流動をガスの混合に利用することができる。
【０００８】
【発明の効果】
本発明によれば、前記構成のガス混合器において、一端の閉口部を残してルーバー翼で細かく区分した一連の開口部からなる層を積層し、各層ごとに交差流を形成させることにより、各層間のせん断と各段の流路急拡大による渦流動によりガスを混合し、均一な混合を行うことができ、特に流路の各層に平行な方向での混合が良好となる。また、このタイプではダクトがベンドを有する場合、ガス混合器により形成した流れの積層構造がベンドの位置で保持されるようにすれば、ベンドでの剥離による大規模な渦流動によりガスの混合を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明のガス混合器の１例を示す説明図。
【図２】 図１のガス混合器におけるガスの流れを示す説明図。
【図３】 従来のガス混合器の１例を示す説明図。

Claims (1)

1. 煙道内に設置するガス混合器であって、筒状体を複数段の平行な層に分割し、各層はガス流入側において一方の側壁側の一部を閉口部とし、他方の側壁側を開口部とし、各段の開口部と閉口部とを交互に重ね、かつ中央部においては各段の交差領域が形成されるように開口部どうしを重ねて配置し、各層の開口部には閉口部側に湾曲する複数個のルーバー翼を設けて開口部の後流側に閉口部側に湾曲する複数のガス流路を形成するように構成してなることを特徴とするガス混合器。

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